女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。
過去の映画作品紹介(2006年)

『シャーロットのおくりもの』  『合唱ができるまで』  『ファースト・ディセント』  『ルナハイツ2』  『フランキー・ワイルドの素晴らしき世界』  『鉄コン筋クリート』  『無花果の顔』  『ダーウィンの悪夢』  『イン・ザ・スープ』 『リトル・ミス・サンシャイン』 『長い散歩』  『あるいは裏切りという名の犬』  『愛されるために、ここにいる』  『とかげの可愛い嘘』  『敬愛なるベートーヴェン』  『ダニエラという女』  『ファミリー』  『Mr. ソクラテス』  『赤い鯨と白い蛇』  『めぐみ 引き裂かれた家族』  『コワイ女』  『パプリカ』  『ボクラの島を忘れない』  『沈黙の傭兵』  『雨音にきみを想う』  『キング 罪の王』  『家門の危機』  『ソウ3』  『麦の穂をゆらす風』  「中国文化フェスティバル2006」  『ナオミ・ワッツ プレイズ エリー・パーカー』  『HAZARD』  『ラブいぬ ベンジー はじめての冒険』  『ウィンター・ソング』  『氷の微笑2』  『TANNKA 短歌』  『Sad Movie<サッド・ムービー>』  『待合室』  『エコール』  『CHAOS カオス』  『炭鉱(ヤマ)に生きる』  『ユア・マイ・サンシャイン』  『ナチョ・リブレ』  『ニキフォル 知られざる天才画家の肖像』  『unknownアンノウン』  『明日へのチケット』  『トンマッコルへようこそ』  『バタリアン5』  『クリムト』  『木更津キャッツアイ ワールドシリーズ』  『地下鉄(メトロ)に乗って』  『天使の卵』  『ダンジョン&ドラゴン2』  『サラバンド』  『百年恋歌』  『ドラゴン・スクワッド』  『ハリヨの夏』  『幸福(しあわせ)のスイッチ』  『ヘイヴン 堕ちた楽園』  『旅の贈りもの 0:00発』  『いちばんきれいな水』  『ありがとう ー「奈緒ちゃん」自立への25年ー』  『ツヒノスミカ』  『デビルズ・リジェクト マーダー・ライド・ショー2』  『スーパークロス』  『夜のピクニック』  『フラガール』  『奇跡の朝』  「ヴィスコンティ生誕100年祭」  『オーストラリア映画祭』  『天軍』  『記憶の棘』  『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』  『海と夕日と彼女の涙 ストロベリーフィールズ』  『出口のない海』  『靴に恋する人魚』  『弓』  『アガサ・クリスティーの奥様は名探偵』  『ONE LOVE』  『トリノ、24時からの恋人たち』  『マイアミ・バイス』  『幻遊伝』  『楽日』『迷子』『西瓜』  『青春☆金属バット』  『ハイテンション』  『花田少年史 幽霊と秘密のトンネル』  『マスター・オブ・サンダー 決戦!! 封魔龍虎伝』  『マッチポイント』  『深海 Blue Cha-Cha』  『愛と死の間(はざま)で』  『森のリトル・ギャング』  『島ノ唄 Thousands of Islands』  『鬘 かつら』  『ビースティ・ボーイズ 撮られっぱなし天国』  『ザ・フォッグ』  『恋する日曜日』  『トランスアメリカ』  『神の左手、悪魔の右手』  『ハチミツとクローバー』  『ダスト・トゥ・グローリー』  『蟻の兵隊』  『機械じかけの小児病棟』  『ディセント』  『ハイジ』  『ジャンプ!ボーイズ』  『奇跡の夏』  『ローズ・イン・タイドランド』  『胡同のひまわり』  『サイレントヒル』  『チーズとうじ虫』  『バタリアン4』  『レイヤー・ケーキ』  『美しい人 9lives』  『母たちの村』  『恋は足手まとい』  『春の日のクマは好きですか?』  『君に捧げる初恋』  『初恋』  『佐賀の がばいばあちゃん』  『13歳の夏に僕は生まれた』  『puujee プージェー』  『ママが泣いた日』  『恋するトマト クマインカナバー』  『間宮兄弟』  『アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶』  『雪に願うこと』  『隠された記憶』  『夜よ、こんにちは』  『かもめ食堂』  『家の鍵』  『ヨコハマメリー』  『ビリーブ』  「シネマート・シネマ・フェスティバル」  『第3回女たちの映像祭・大阪 2006』  「東京国際シネシティフェスティバル2006」  「さらば戦争!映画祭2006」  「第7回東京フィルメックス」  「大阪アジアン映画祭」  『ベアテの贈りもの』  「第7回 NHKアジア・フィルム・フェスティバル」  「第19回 東京国際映画祭」  「コリアン・シネマ・ウィーク 2006」  「第19回 東京国際女性映画祭」  「第2回甲賀映画祭」  「シネマトーク『クジラの島の少女』」  『メキシコ・ドキュメンタリー映画祭』  「溝口健二の映画」  「監督 鈴木英夫」  「中国映画の全貌2006」  「アニメはアニメである:夏休みは親子でアニメ映画を!」  『家族プロジェクト 父の家』  『ダメジン』  『クール・ディメンション』  『ジョルジュ・バタイユ ママン』  『ハーダー・ゼイ・カム』  『ふたつの恋と砂時計』  『アフロサッカー』  『恋するブラジャー大作戦(仮)』  『バルトの楽園』  『ゲット・リッチ・オア・ダイ・トライン』  『ジャスミンの花開く』  『タイヨウのうた』  『TWO LOVE〜二つの愛の物語〜』  『ココシリ』  『トランスポーター2』  『親指さがし』  『DEATH TRANCE デス・トランス』  『ガーダ −パレスチナの詩−』  『玲玲の電影日記』  『ダック・シーズン』  『戦場のアリア』  『リトル・イタリーの恋』  『タブロイド』  『僕の恋、彼の秘密』  「連連影展〜フェミニスト・アクティブドキュメンタリー・ビデオフェスタ(FAV)」  「アジアフォーカス・福岡映画祭2006」  「シネマコリア2006」  「ソビエト映画回顧展06」  『映画の記憶』  「第2回 アジア海洋映画祭イン幕張」  「アルメニア・フィルム・セレクション」  「下北シネマタイフーン 都市を生きる」  「ロシア・ソビエト映画祭」  「第3回SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2006」  「ドイツ映画祭2006」  「中国映画祭 横浜プレミアム」  『ライフ シネマティック 映画的人生(1)』  「オキナワ映画クロニクル2006」  The Japan Foundation Film Series Part.6「巨匠と時代劇」  「韓国女性監督映画の夕べ」  「中国映画祭」  「華流シネマウィーク2006」  『水に棲む花』  『夢駆ける馬ドリーマー』  『GOAL!』  『ジャケット』  『アンジェラ』  『柔道龍虎房』  『ニューヨークで暮らしています 彼女たちがここにいる理由(わけ)』  『太陽に恋して』  『愛より強く』  『デュエリスト』  『トム・ヤム・クン!』  『ディバージェンス−運命の交差点−』  『ダンサーの純情』   『緑茶』  『クライング・フィスト』  『連理の枝』  『GINGA ジンガ』  『美しき運命の傷痕』  『立喰師列伝』  『リバティーン』  『風のファイター』  『マクダル パイナップルパン王子』  『ステップ!ステップ!ステップ!』  『プリティ・ヘレン』  『美しき野獣』  『クラッシュ』  『マイ・アーキテクト』  『白バラの祈り:ゾフィー・ショル、最期の日々』  『三年身籠る』  『ホテル・ルワンダ』  『カミュなんて知らない』  『ロバと王女』  『デック 子どもたちは海を見る』  「イタリア映画祭2006」  『パパラッチ』  『バイバイ、ママ』  「監督 川島雄三 第2弾」  『サウンド・オブ・サンダー』  『トゥー・フォー・ザ・マネー』  『ウォレスとグルミット』  『ghost dance』  『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』  『コルシカン・ファイル』  『Touch the Sound』  『ウォーターズ』  『エミリー・ローズ』  『沈黙の脱獄』  『力道山』  『SPL 狼よ静に死ね』  『六ヶ所村ラプソディー』  『スティーヴィー』  『ミュンヘン』  『小さな恋のステップ』  『僕が9歳だったころ』  『沈黙の追撃』  『B型の彼氏』  『RIZE<ライズ>』  『オリバー・ツイスト』  『博士の愛した数式』  「フランス映画祭2006」  「巨匠が描いた花街の女たち」  「第2回アラブ映画祭」  『WARU』  『イラクニ接近ス』  『プルーフ・オブ・マイ・ライフ』  『僕と未来とブエノスアイレス』  『ギミー・ヘブン』  「第14回 EARTH VISION 地球環境映像祭」  「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2006」  「第16回にいがた国際映画祭」  「初笑いだよ!お正月映画大集合!」 

2006年12月23日〜

『シャーロットのおくりもの』

監督:ゲイリー・ウィニック
脚色:スザンナ・グラント、キャリー・カークパトリック
原作:E・B・ホワイト
撮影:シーマス・マクガーベイ
音楽:ダニー・エルフマン
プロダクション・デザイナー:スチュアート・ワーツェル
出演:ダコタ・ファニング(ファーン)、ケビン・アンダーソン(パパ)、エシー・デイビス(ママ)
声の出演:ジュリア・ロバーツ(クモのシャーロット)、スティーブ・ブシェミ(ネズミのテンプルトン)、ジン・クリース(羊のサミュエル)、キャシー・ベイツ(牛のベッツィー)、ロバート・レッドフォード(馬のアイク)、オプラ・ウィンフェリー(ガチョウのグッシー)、サム・シェパード(ナレーション)ほか

エラブル農場に11匹の子豚が生まれた。しかしママのおっぱいは10個。 はみ出してしまった小さな子豚は間引かれる寸前、ファーンに救われる。 「おんなじ命なのに。私が育てる!」ファーンは子豚にウィルバーと名前をつけ、 その日からお母さんがわりになった。 ミルクを卒業したころ、ウィルバーはファーンの農場の近所のザッカーマンおじさんに引き取られた。 ファーンは毎日会いに来てくれるが、ウィルバーは淋しくてたまらない。 納屋にいる動物たちに話しかけていると、優しい返事が。 みんなには嫌われているクモのシャーロットの声だった。

1952年にアメリカで生まれた小説が原作です。 ネズミが主人公の『スチュアート・リトル』も同じE・B・ホワイトの作品。 世界中で4500万部も発行され、多くの子供たちの愛読書となっています。
主人公の子豚の動物たちの声を豪華な俳優陣が担当、生き生きした動物たちの表情や動きも楽しめます。 子供たちはこのお話を通して、友達や命の大切さを知るでしょう。 冬休みの子供たちにぜひ観てもらいたい作品。もちろん大人もどうぞ。 クモやネズミに泣かされるとは思いませんでした。(白)

日本語吹き替え版では、鶴田真由(シャーロット)、福田麻由子(ファーン)、 山寺宏一(テンプルトン)たちが担当。ナレーションは高橋英樹。

2006/アメリカ パラマウント映画/UIP配給/
http://www.charlotte-movie.jp/site/index.php

12月23日(土・祝)〜日比谷スカラ座ほか全国ロードショー



『合唱ができるまで』

監督:マリー=クロード・トレユ
撮影:ピエール・ストウベール
録音:イヴ・ズロトニッカ
出演:クレール・マルシャンとパリ13区立モーリス・ラヴェル音楽院 合唱団

教会でのコンサートに向けて練習を繰り返すアマチュアの合唱団。 小学生から若者、中年女性、老人達まで、 さまざまなメンバーがパートに分かれてミサ曲を歌っています。 指導の仕方もグループによってそれぞれ違っていますが、 共通しているのは誰もがとても楽しそうなこと。 思わず観ているこちらも、呼吸したり声を出したりしそうになります。 こんな風に練習するものなのかと見入ってしまいました。 コンサートが近づくと全員が集まってのリハーサル。 女性指揮者のクレール・マルシャンを見つめる眼差しが真剣。 ひとりひとりの声・パーツが集まって心がひとつになり、ハーモニーが生まれていくのです。 合唱を楽しんでいる人はもちろん、そうでない人も音楽の楽しさに共感するはず。 できあがる過程の部分が主とはいえ、発表部分をもっと聞きたかったな。(白)

2005/フランス/カラー/35mm/ビスタ/DTS SR /98分/ドキュメンタリー
配給:バップ+ロングライド 宣伝:アルシネテラン

http://www.longride.jp/gassho/

★12月23日(祝)より、ユーロスペースにて 心ひとつにロードショー


『ファースト・ディセント』原題:FIRST DESCENT
プロデューサー/監督/脚本:ケビン・ハリソン
プロデューサー/監督/編集:ケンプ・カーリー
撮影:スコット・ダンカ
音楽:マーク・マザースポ
ナレーション:ヘンリー・ロリン
キャスト(世界のトップライダー達)
ショーン・ホワイト(トリノ五輪、金メダリスト)
ハンナ・テーナー(トリノ五輪、金メダリスト)
テリエ・ハーコンセン(スノーボード界のシンボル)
ショーン・ファーマー(ビックマウンテンのパイオニア)
ニック・ペラタ(誰よりもアラスカを知り尽くす男)
トラビス・ライス(オールラウンドに完成された最高のライダー)

「初めての滑走」を意味する『ファースト・ディセント』。 アラスカの山に集まった新旧のトップ・スノーボーダー六人が、 手付かずの斜面を滑り降りる、体感型スノーボード・ドキュメンタリーです。

標高が山の名前になった(7601)の頂上からの滑走は、産毛も逆立つ究極の興奮! とプレスに書いてありましたが、それ以上です…。
圧巻は滑走中に、自分の後ろから来る雪崩を、ただ迫りくる風圧や雪音を体で感じ取り、 避けるシーンは(予告に入っています)、それをとおり越しています。 ノリのよい音楽と共に興奮を体感しながら、 ライダーたちの恐怖はいかほどのものだろうかと身がすくみました。 年末から正月にかけての必見映画に加えたい作品です。(美)

2005年/アメリカ/英語/カラー/スコープサイズ/SRD/110分/配給:東北新社
日本語字幕:林完治/監修:石原繁

http://www.fd-movie.jp/

12月23日(祝)よりシネ・アミューズにて公開


『ルナハイツ2』

監督:初山恭洋
原作:星里もちる
脚本:ミスミホノオ
撮影:村埜茂樹
出演:安田美沙子(大月まどり)、柏原収史(南條隼人)、後藤ゆきこ(松浦友美)、斉藤優(茅ヶ崎裕子)、上野未来(日高りん)、山口由紀子(土屋重子)、小西大樹(大久保雅春)、村野武範(石塚部長)、乱一世(池野課長)ほか

同僚の隼人に告白したばかりのまどり、 そこへ隼人の婚約者だった友美が戻って妊娠していることを告げる。 ショックで落ち込むが、女子寮となっている家は元々隼人が友美との結婚のために用意した新居なのだ。 同居をしぶしぶ受け入れるみんなだったが、友美が入ったことでギクシャクし始める。 一方、新入社員の大久保がまどりへアタックし始め、気が気でない隼人。 3角どころか4角にまで発展しそうなこの恋の行方は??

星里もちるが2003年に連載したほのぼのラブコメ漫画が原作。 そういえば読んだことがありました。 優柔不断なやさ男と、しっかりもので行動的なヒロインという定番の組み合わせ。 ところどころに漫画そのまんまのギャグがあって、ちょっとういています。 出演の彼女たちはグラビアアイドルやレースクイーン出身のかわいこちゃん(死語?)ばかり。 男性には目の保養。おばちゃんな私が見るとしっかりせぃ!といいたくなるけど。
この2でお話は完結。特別先行上映の舞台挨拶に、主演のまどかを演じた安田美沙子が登場。 「本当に思い入れのある作品です。前回同様大きな優しい満月や並木道が印象に残っ ています。撮影中近所の人が現場に乱入したりのハプニングもありました。大事な人 と観に来ていただけるとすごく嬉しいです」とコメント。 (白)

2006/日本/カラー/ビスタ/ドルビー/SRD/100分
配給:リベロ

12月2日(土)有楽町シネカノンにて特別先行上映
12月23日(祝)より渋谷シネ・ラ・セットにてモーニング&レイトショー
前作『ルナハイツ』はDVD発売中

公式 HP >> http://www.lunaheights2.com/



『フランキー・ワイルドの素晴らしき世界』原題:It's All Gone Pete Tong

監督・脚本:マイケル・ドース
キャスティング・ディレクター:サム・シャンドリー
製作総指揮:キム・ロバーツ
音楽:グラハム・マッセイ
音楽スーパーバイザー:ロル・ハモンド
編集:スチュワード・ギャザード
撮影監督:バラージュ・ボリゴ
キャスト:ポール・ケイ(フランキー・ワイルド)、ペアトリス・バタルダ(ペネロペ)、マイク・ウィルモット(マックス)、ケイト・マゴワン(ソーニャ)、ピート・トン(本人)

スペイン、イビザ島。この島は地中海に浮かぶ高級リゾート地であると同時に、 超高級人気クラブの聖地でもある。 今夜も、カリスマDJのフランキー・ワイルドの神業プレイでクラブは最高潮。 富と名声をほしいままにするフランキーの暮らしぶりは、島の一等地の豪華なヴィラに住み、 妻は元モデル、一人息子ジャクソンはマイケル似(?)。 しかし、そんな生活も長くは続かなかった。 生まれつき聴覚の弱かったフランキーは少しずつ聴力を失う。 障害を隠しながらプレイするがクラブの客はごまかせない。 落ち目のフランキーは自暴自棄になる。妻子も去って行った…。

これはドキュメンタリー風に作られた映画です。フランキー・ワイルドは架空のDJですが、 病んだ彼が再起するまでの道のりは、生身の男の力強さを感じました。 完全に聴力を失った彼は、読唇術を学び、非常な努力と工夫を積み重ね、 今までの経験をベースにリズムは振動で、音程は機械の力で理解し、再度DJに返り咲きます。 しかし彼は華々しい場所を愛する人と去ります。 その終わり方が潔く見事でした。
この映画では本物のDJがたくさん出演しています。ポール・ヴァン・ダイク、ティエスト、サラ・メイン、ダニー・ホィッスル、カール・コックス、等々。(美)

2004年 トロント国際映画祭 シティ・アワード受賞
2005年 英国インディペンデント映画賞 最優秀プロダクション賞ノミネート
2006年 バンクーバー批評家協会賞 最優秀ブリティッシュ・コロンビア映画賞受賞

2004年/イギリス・カナダ合作/92分/シネマスコープ/ドルビー・デジタル/カラー/日本語字幕:風間綾平
配給:エイベックス・エンタテインメント
http://www.frankie-wilde.com/

12月23日(祝)、渋谷シネ・アミューズにてロードショー


『鉄コン筋クリート』

監督:マイケル・アリアス
脚本:アンソニー・ワイントラープ
演出:安藤裕章
キャラクターデザイン総作画監督:伏見祥示郎
美術監督:木村真二
原作:松本大洋
音楽:Plaid
アニメーション制作:スタジオ4℃
声キャスト:二宮和也(クロ)、蒼井優(シロ)、伊勢谷友介(ヤクザ・木村)、宮藤官九郎(沢田刑事)、田中泯 (ヤクザ・鈴木)、大森南朋(チョコラ)、岡田義徳(バニラ)、本木雅弘(蛇)、森三中(小僧)

義理と人情とヤクザの“地獄”の街、「宝町」。ここには「ネコ」と呼ばれる「第1級ぐ犯少年(注)」、クロとシロがいた。親を知らない2人は町中を自由に飛び、助けあって暮らしてきた。昔馴染みの「ネズミ」ことヤクザの木村が舞い戻ったころ、宝町に再開発の波が押し寄せ、「子供の城」というレジャー施設が建設されることになった。その中心にいるのは「蛇」と名のる不気味な男だった。
(注)「ぐ犯少年」とは,性格,行状等から判断して、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をするおそれのある20歳未満の者をいう。

©2006松本大洋 小学館、アニプレックス、アスミック・エース、Beyond C

原作は『ピンポン』の松本大洋。1993年から週間ビックコミックスピリッツに連載。 これを1995年当時、来日していたマイケル・アリアス氏(CG映像の仕事をしていた)が見て、感動したのだとか。 以来ずっとアニメ化を夢見続けて、これが初監督作品となりました。集まった製作メンバーの全てが松本大洋と「鉄コン筋クリート」ファン。その熱意がひしひしと感じられる作品です。
監督が非常にこだわったという宝町の映像がもうすっごく好きです。雑多で混沌としたアジア〜ンな感じ。建物・看板などなんと味があるのでしょう。日本はもとより、やっぱり香港、スリランカへもロケに行って映像を集めてきたそうです。この町で繰り広げられる、クロとシロと大人たちのバトルが壮絶で、その分二人のつながりがくっきり浮き上がってきます。

クロ「心配ないよ。シロは俺が守るから。俺たちの、この町もな」
シロ「クロの足りないネジ、シロがみんな持ってる」


うるうる・・・。(白)

2006/日本/カラー/111分/35mm/アニメーション

公式 HP >> http://tekkon.net/

★12月23日(祝)より渋谷東急ほか、全国松竹・東急系にてお正月ロードショー


『無花果の顔』

監督・脚本・出演:桃井かおり
美術監督:木村威夫
撮影:釘宮慎治
照明:中村裕樹
衣装デザイン・アートディレクション:伊藤佐智子
美術:安宅紀史
録音:高橋義照
音楽:Gilad Benamram/主題歌「How Your Trees Grow」
出演:桃井かおり、山田花子、石倉三郎、高橋克実、岩松了、光石研、渡辺真起子、HIROYUKIほか

主人公は、庭に無花果の木が植えられた古い家に住む門脇家の四人家族。
縁側に面した茶の間で鍋を囲む彼らは、ありふれた日常を生きているように見えながら、実は家出、突然の死、引越し、再婚、出産と、ドラマチックな人生を歩んでいきます。

誰にも真似できない独創的なスタイルの「桃井ワールド」映画誕生です。軽妙な脚本、色彩、カメラの角度、音楽の素晴らしさ、そして、俳優たちの花(華)はないが実のある顔、顔…。特に、山田花子を起用した監督の確かな眼力に脱帽です。監督自身、映画作りを心底楽しんでいることが観ているものに伝わってくる作品です。きっと観た後は、ふんわりと心地よい感動に包まれるはずです。(美)
注:最後のタイトルロールも見逃せませんよ。

第11回釜山国際映画祭正式招待作品
2006/日本/カラー/94分/35ミリ/ヴィスタ/ドルビーSR
配給:シナジー

公式 HP >> http://www.129-movie.com/

★2006年12月23日(祝)より、シネマスクエアとうきゅう他にて全国ロードショー

★初日舞台挨拶
 場所:シネマスクエアとうきゅう(新宿)
 日時:12月23日(土)12:00〜12:20
   ☆初回10:30の回終了後
 登壇者:桃井かおり、石倉三郎、高橋克美(予定)



『ダーウィンの悪夢』Darwin’s Nightmare

監督・構成・撮影:フーベルト・ザウパー
録音:コスマス・アントニアデス
編集:デニーズ・ヴィンデフォーヘル

アフリカ・タンザニア共和国の北部には世界第3位の大きな湖、ビクトリア湖がある。 ここには多様な生物が生息していることから「ダーウィンの箱庭」と呼ばれていた。 半世紀ほど前、誰かが放った大型の肉食魚「ナイルパーチ」が他の魚を駆逐して、 あっという間に増えてしまった。 白身のナイルパーチに目をつけた加工業者が湖畔に工場を建設、 漁師が獲ったナイルパーチは切り身となり、冷凍されて主にヨーロッパや日本に送られる。 農村からも仕事を求めて人が集まるが、誰もがありつけるわけではない。 貧困がはびこり、売春婦やストリートチルドレンが増え、エイズが蔓延していく。 切り身を取った後のアラはどこへ行くのか? 冷凍魚をヨーロッパへ運ぶ飛行機は、往路に何を積んでくるのか?

昨年の山形で観る時間がなく、3月にBSで放映されたものを一度観ました。 これは新しく字幕をつけ直したものです。 観終わってずっしり重い荷物を受け取った気分になった映画です。 この作品のほかには『亀も空を飛ぶ』、『ホテル・ルワンダ』もそうでした。 内容そのものと、描かれていたことをちっとも知らずにいたことがショックだったのですが、 この『ダーウィンの悪夢』は、さらに「自分もこの“システム”に参加している一人」 と気づかせるのです。 よくこれだけの取材をされたものだと頭が下がります。 どうか目をそらさずに観て、そして忘れないでください。(白)

2004年/仏・オーストリア・ベルギー/カラー/35mm/107分/英語、ロシア語、スワヒリ語/ 配給:ビターズ・エンド 宣伝:ムヴィオラ

★山形国際ドキュメンタリー映画祭2005 審査員特別賞+コミュニティシネマ賞受賞
12月23日(土)より、渋谷シネマライズにて上映

公式 HP >> http://www.darwin-movie.jp/



『イン・ザ・スープ』

監督:アレクサンダー・ロックウェル
製作総指揮:鈴木隆一
エグゼクティブ・プロデューサー:すずきじゅんいち、船原長生
音楽:メーダー
撮影:フィル・パーメット
脚本:アレクサンダー・ロックウェル、ティム・キッセル
出演:スティーブ・ブシェーミ、シーモア・カッセル、ジェニファー・ビールス、ジム・ジャームッシュ

クリスマスのニューヨーク。うらびれたイーストビレッジのア パートに住むアルドルフォは、隣に住む美女アンジェリカを主 人公に映画を撮ることを夢見ている。が、現実はバイトでなん とか食いつなぐ日々。ある日、自分の書いた映画の脚本を売り に出すことを思いつき、新聞広告を出す。それを見て映画製作 に資金を出すと現れた初老の男ジョー。調子のいいこの男、資 金調達のためと言って、次々と怪しげな仕事にアルドルフォを 誘い込む。一方、アンジェリカとのデートも取り持ってくれた りして、アルドルフォはすっかりジョーに振り回される日々。 “どつぼ=イン・ザ・スープ”にハマってしまったアルドルフ ォ、映画製作の夢は叶えられるのか?

  

製作から15年を経て、再度公開される「イン.ザ.スープ」。 日本で1994年に公開されたとき12週間のロングランを記録した というが、残念ながら観ていない。モノクロの映像が、もっと 昔に作られたような懐かしさをかもしだしていて素敵。
新聞広告を見て、脚本を買うと名乗りでた初老の男ジョーが、 次々に起こす不可思議な行動に、アルドルフォがおろおろしな がらも巻き込まれていく姿がなんとも可笑しい。『フラッシュ ダンス』(1983年)で初々しいダンサーとして一世風靡した ジェニファー・ビールスが、この作品では、ちょっと凄みもあ る大人の女というのも魅力。見終わって、狐につままれたよう な不思議な気分ながらも、ほんわかとした幸せを感じたのはな ぜだろう...。(咲)

シーモア・カッセルの芸達者ぶりがきわだちます。だ、誰この人?と思って調べましたら、出演作を何本か観ていました。記憶にないのは、この作品ほど目立たなかったからでしょうか。いつも一番変な人のスティーブ・ブシェーミがここではかなり普通で、いい男に見えてしまいます(笑)。(白)

◆1992年サンダンス・フィルム・フェスティバル グランプリ受賞

公式 HP >> http://www.web-wac.co.jp/group/inthesoup_intro.html

★12月23日より、シアターN渋谷にてクリスマス&新春レイトショー!
 連日21:20より上映<全国順次公開>


『リトル・ミス・サンシャイン』

監督:ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス
脚本:マイケル・アーント
撮影:ティム・サーステッド 音楽:マイケル・ダナ
出演:グレッグ・キニア(リチャード・フーヴァー)、トニ・コレット(シェリル・フーヴァー)、スティーヴ・カレル(フランク)アラン・アーキン(グランパ)、ポール・ダノ(ドウェーン・フーヴァー)、アビゲイル・ブレスリン(オリーヴ・フーヴァー)ほか

オリーヴはアリゾナに住んでいる9歳の女の子。美少女コンテストを目指して、今日も受賞の瞬間の練習中。パパは「勝ち組に入れ!」が口癖だけど、自分はちっとも成功できていない。お兄ちゃんのドウェーンはニーチェにかぶれていて、家族と口もきかず必要なときはメモを見せる。おじいちゃんはコカイン中毒で老人施設から追い出されたけど、オリーヴのミスコン出場を応援してくれる。ママは自殺を図ったお兄さんのフランクを引き取ることにした。フランクおじさんはゲイでプルースト研究の第一人者だったのに、恋人も名声もなくしてしまったのだ。おじさんがやってきた日、リトル・ミス・サンシャインコンテストに繰り上げ出場が決まったと連絡が入る。フーヴァー一家は本選の行われるハリウッドまで、おんぼろバンで出かけることになった。

第19回東京国際映画祭で最優秀監督賞、最優秀主演女優賞、観客賞、3冠の作品。オーチャード・ホールでの満場の拍手に、監督ご夫妻がとても嬉しそうでした。
完成まで5年を要したというインディーズ作品ですが、各地の映画祭で絶賛。劇場公開もロングランとなったものです。俳優たちは人気の大スターではないかもしれませんが、きっちり仕事のできる人たち。パパ役のグレッグ・キニアは『ふたりにクギづけ』にマット・デイモンと双子の役で主演、ママ役のトニ・コレットは『イン・ハー・シューズ』の弁護士だけど容姿にコンプレックスのある姉を演じていました。伯父さん役のスティーヴ・カレルは『40歳の童貞男』の主役アンディ。子役のアビゲイル・ブレスリンは『サイン』でメル・ギブソンの末娘役。
よく言えば個性的なバラバラ家族が、小さな娘のため故障続出のボロ車で長い旅をし、ちょっとずつ気持が寄り添っていくロードムービー。クライマックスの美少女コンテストには口あんぐり。ジョンベネちゃんの映像を思い出しますが、あんなのです。実際にコンテストに出場する少女とその母親たちが登場しています。ここはとっても皮肉な場面だと思うのですが、彼女たちは映画に出て嬉しかったのかしらん? おなかぽっこりの幼児体型で、眼鏡っ子のオリーヴがどうしたかというと・・・映画館で観てくださいね。(白)

2006/アメリカ/カラー/100分
配給:20世紀フォックス

公式 HP >> http://movies.foxjapan.com/lms/

★12月23日(土)〜シネクイント、シネ・リーブル池袋にてロードショー


2006年12月16日〜

『長い散歩』

監督・企画・原案:奥田瑛二
脚本:桃山さくら、山室有紀子
撮影:石井浩一
音楽:稲本響
出演:緒形拳(安田松太郎)、高岡早紀(横山真由美)、杉浦花菜(横山幸)、松田翔太(ワタル)、大橋智和(浩司/真由美の情夫)、木内みどり(節子/松太郎の妻)、原田貴和子(亜希子/松太郎の娘)、山田昌(管理人)、津川雅彦(医者)、奥田瑛二(刑事)ほか

==人生は長い散歩。愛がなければ歩けない。==

校長を定年退職した松太郎は、名古屋の自宅を出て小さなアパートで一人暮らしを始めた。 仕事一筋で厳格すぎる彼は、家族と和を保てず妻節子はアルコール依存症となり、 節子が死んだことで娘の亜希子も松太郎を許そうとはしなかった。 家族への贖罪のように質素に暮らす松太郎の隣室には、水商売らしい若い母親と小さな娘、 その愛人が住んでいる。 母親に虐待され叫び声を上げている少女は、 いつも紙で作った天使の羽を背に一人で遠くを見ていた。 ある日松太郎は情夫の手から少女を助け出し、 「おじいちゃんと一緒に行くか?」と声をかける。 二人の小さな旅=長い散歩が始まった。

『少女』、『るにん』と映画製作をしてきた奥田瑛二監督の3本目の作品。 監督自身も二人を追う刑事役で出演。緒形拳に出会って以来、 ぜひ彼の映画を撮りたいと念じ続けて作ったもの。
壊れていく家族や幼児虐待、悩める若者など社会現象も盛り込んだ 「老人のハードボイルド(監督いわく)」&ロードムービーとなっています。 大人の思惑通りにはけっして行かずにてこずったという、 5歳の幸(さち)役の杉浦花菜ちゃんを中心に(お察しします)、 70代目前の緒形さんは走り、高岡さんはあざのできる熱演、 二人の若手男優もアップにはっとする存在感あり。 真摯な姿勢の感じられる映画でした。 (白)


モントリオール国際映画祭2006(8月24日〜9月4日)のワールドコンペティション部門に正式出品

2006/日本/136 分/アメリカン・ヴィスタ/ドルビーSRD 配給:キネティック

12月16日(土)より、渋谷Q-AXシネマ ほか全国順次ロードショー

http://www.eiga.com/official/nagaisanpo/

★「長い散歩」の初日舞台挨拶が決定しました。
12月9日(土)AM9:00より、劇場窓口にて初日舞台挨拶の回の座席指定券を受付(販売)開始
★舞台挨拶登壇者(予定)
奥田瑛二監督、緒形拳、杉浦花菜、松田翔太、高岡早紀

68号に完成披露記者会見記事が掲載されています。


『あるいは裏切りという名の犬』

監督:オリヴィエ・マルシャル
脚本:オリヴィエ・マルシャル、フランク・マンクーゾ、ジュリアン・ラプノー
共同脚本:ドミニク・ロワゾー
出演:ダニエル・オートゥイユ、ジェラール・ドパルデュー、アンドレ・デュソリエ、ロシュディ・ゼム、ヴァレリア・ゴリノ

シテ島オルフェーヴル河岸36番地にあるパリ警視庁に2人の男がいた。1人はBRI(探索出動班)のレオ・ヴリインクス警視(ダニエル・オートゥイユ)。正義感が強く、部下の信頼も厚いが、事件解決のために危ない橋を渡ることもある。もう一人はBRB(強盗鎮圧班)のドニ・クラン警視。出世欲が強く、次期長官の椅子を狙っていた。二人はかつては親友だったが、同じ女性を愛し、彼女がレオを選んだために、今は宿敵となって対立していた。
パリでは連続現金輸送車襲撃事件がおきていた。警察は特別捜査態勢を敷き、昇進の決まった長官は2人のうち、この事件を解決した方に次期長官にすると言う。しかし長官が信頼しているのはレオだった。ドニは焦りのあまり禁断の手を使う。レオはドニの裏切りで全てを失ってしまう・・・。

久しぶりに見応えのあるフランス・ノワール映画。オリヴィエ・マルシャル監督は元警察官で、当時に見聞きした警察内部の事件を元に、この作品の脚本を書いたそうです。映画の中の強盗団逮捕作戦のくだりも実際にあった事件を元にしているし、レオという人物のモデルもいるというから驚きです。あくまでも2人の警察官の話なのに、ギャング団なみにダークな世界が展開します。フランスきっての名優2人がそろい踏みし、フレンチローストのコーヒーのように苦みの効いた、しかし芳しい香りを放つ演技を見せてくれるのも嬉しいです。(梅)

2004年/フランス/110分/カラー/スコープサイズ/ドルビーSRD
配給:アスミック・エース

公式 HP >> http://www.eiga.com/aruinu/

★12月16日(土)より、銀座テアトルシネマにて独占ロードショー


『愛されるために、ここにいる』

監督・脚本:ステファヌ・ブリゼ 撮影:クロード・ガルニエ、ジュリエット・セールズ
音楽:クリストフ・H・ミュラー、エドゥアルド・マカロフ
美術:ヴァレリー・サダジアン
出演:パトリック・シェネ(ジャン=クロード)、アンヌ・コンシニ(フランソワーズ)、ジョルジュ・ウィルソン(父)、シリル・クトン(息子)、リオネル・アベランスキー(ティエリ)

ジャン=クロードはもうすぐ51歳になる。 父から継いだ執行官の仕事をずっと続けてきた。 家賃を滞納している家を訪ね、裁判所からの請求を伝え、泣かれたり罵倒されたりの毎日だ。 自分でもいやでたまらないこの仕事を、別れた妻との間の息子に継がせようと事務所に迎える。 口下手な似たもの親子は、会話も滞りがち。 週末は老人ホームの父親を訪ねているが、 年々気難しくなる老父に怒鳴り出したいのを押さえるのがやっとだ。 事務所の窓からは向かいのタンゴ教室が見える。 興味を持っていても、なかなか行動できずにいた。 医者の「運動をすること」という勧めで、思い切って教室のドアを開く。 そこで結婚式で踊るためレッスンに来ていたフランソワーズと出会う。

3月のフランス映画祭では『愛されるために、ここにいる訳じゃない』という仮題で上映されました。 「訳じゃない」がなくなると違うものになります。 「愛するために」「愛したいから」という能動的な意味がなくなってしまうのになぁ。 映画は初老の不器用な男と、30代後半の女性との心のゆらめきを、ほんとに少ないセリフとタン ゴで描きます。 この静かな日常の描写と、控えめな動きやセリフは昔の日本映画のようです。 二人の気持の動きが、ちょっとした指先や表情の変化から読み取れます。 ダンスも情熱的な動きはなく、流れるタンゴの名曲がロマンをプラス。 パトリック・シェネはすっかり人生に疲れた感じで、60代以上に見えます(このとき58歳)。 頑固な老父と自分、息子は、本人は気づかずともそっくり。 口に出さずに我慢した挙句、うっぷんを身近に八つ当たりしています。 全くもう、と笑えて後でしんみりしてきます。 アンヌ・コンシニは今まで出演作を見ているはずなのに、全然記憶にありませんでした。 この作品ではとても素敵。(白)

2005/フランス/カラー/93分/ヴィスタサイズ(1:1.85)/DTS
配給:セテラ・インターナショナル
http://www.cetera.co.jp/tango/
12月16日(土)より、ユーロスペースにてロードショー



『とかげの可愛い嘘』(原題:とかげ 英題:LOVE PHOBIA)

監督:カン・ジウン
脚本:ファン・イノ
音楽:パク・ギホン
編集:コ・イムピョ
撮影:キム・ヨンフン
製作総指揮:キム・インス
製作:チョン・スン
企画:イ・ジュンイク
出演:チョ・スンウ(ジョガン)、カン・ヘジョン(アリ)、カン・シニル、チョン・ソンファ、イ・ジェヨン、ビョン・ジョヨン、パク・コンテ

晴れの日も雨の日も黄色いレインコート、ポケットにとかげを入れ、嘘ばかりつい て、先生や友達を煙にまいている転校生のアリ。ジョガンはそんなアリを好きにな る。ある日、二人が雨に濡れて帰った翌日、アリは忽然と姿を消す。10年後、高校生 の二人は再会を果たすが、それもつかの間、アリはまたジョガンの前から行方をくら ましてしまう。3度目、社会人になったジョガンの前にアリが突然現れ、(明日アメ リカに行くの)とわざわざ別れを告げに来た。そして4度目の再会で、ジョガンはア リが悲しい嘘をつき続ける理由を知るのだった…。

一人の女性を20年間想い続ける青年ジョガンを『マラソン』のチョ・スンウ。可愛いが変わり者のアリには『トンマッコルへようこそ』のカン・ヘジョン。二人は3度の再会をしますが、その再会の瞬間のシーンがとても印象的です。その一瞬に様々な感情が入り交じり、相手を愛おしく想っている気持ちが強く伝わってきます。また、子役の二人がとても可愛いのです。特に黄色のレインコートの子、ビョン・ジョヨンに目を奪われました。韓国映画にも多数の名子役がいますが、目力(めぢから)No.1はこの子で決まりでしょう。
脇を固めるジョガンの父(カン・シニル/シルミド、公共の敵)も、ジョガンの先輩役(チョン・ソンファ)も台詞まわしがうまい役者さんです。撮影地の蕎麦の花で有名な(金羅北道高昌/トンマッコルへようこそのロケ地でもある)田舎風景も必見です。
ところでアリのユニークな性格を象徴するとかげは、本物の生きたとかげ(オーストラリア出身)を使い、出番までベストコンディションにする為、スタッフは餌の確保、温度調節、ストレス管理などで1番手間のかかる出演者だったそうです。(美)

2005/韓国/117分/カラー/シネマスコープ/ステレオ/ドルビーSRD/日本語字幕:根本理恵
配給:エスピーオー

公式 HP >> http://www.cinemart.co.jp/tokage/

★2006年12月16日、シネマート新宿、シネマート六本木ほかにて全国順次公開


2006年12月9日〜

『敬愛なるベートーヴェン』Copying Beethoven

監督:アニエスカ・ホランド
脚本・製作:クリストファー・ウィルキンソン、スティーヴン・リヴェル
撮影:アシュレイ・ロウ
美術:キャロライン・エイミーズ
出演:エド・ハリス(ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン)、ダイアン・クルーガー(アンナ・ホルツ)、マシュー・グード(マルティン・バウアー)、ジョー・アンダーソン(カール・ヴァン・ベートーヴェン)、ラルフ・ライアック(ウェンツェル・シュレンマー)、ビル・スチュワート(ルディー)ほか

1827年3月、死の床にあるベートーヴェンのもとに駆けつける女性がいた。 アンナ・ホルツ、出会いは3年前のウィーンに遡る。 「第九」の初演4日前、ベートーヴェンの音楽出版社のシュレンナーは優秀なコピスト (写譜師:作曲家の書いた楽譜を清書する)を音楽学校に依頼していた。 現れたのは作曲家を志す若い女性のアンナ、困惑したシュレンナーは彼女に 「あの“野獣”ベートーヴェンだぞ」と翻意を促すが、 ベートーヴェンを尊敬するアンナは目を輝かせる。 若い女性コピストが来たことにベートーヴェンは激怒するが、 彼の書き間違いを堂々と「修正」したアンナの才能と自分の音楽への理解の深さを認め、 仕事を任せることにした。 アンナは家に煩雑に通ううちに天才作曲家の苦悩と孤独を知ることになる。 聴覚を殆ど失っていたベートーヴェンが「第九」を指揮する日が近づいてきた。

孤高の音楽家ベートーヴェンの歴史を丹念に検証しながら、大胆な脚色をほどこした作品です。 アンナは実在の何人かの女性のエピソードを融合して一人の女性に造形した架空の人物。 実際3人いたと言われるコピストの一人だけが不明なのだそうです。 ダイアン・クルーガーのクラッシックな美貌がこの時代のコスチュームによく似合い、 強い意志とひたむきさを感じさせます。 ベートーヴェンを演じたエド・ハリスは、この役のために激太りし、バイオリンにピアノ、 楽譜の書き方から指揮まで特訓して撮影に臨んだそうです。 音楽のノートの表紙やデスマスクでしか知らないベートーヴェンですが、 彼が演じるといつも体中に音楽がうずまいている天才音楽家が生き生きとせまってきます。 才能あふれ傲慢で率直なあまりに、 愛が成就しなかったというベートーヴェンにこういう物語を書き加えたのはアニエスカ・ホランド監督。 『太陽と月に背いて』で詩人のランボーを描いています。 10分間にわたる「第九」の演奏場面は圧巻です。 ベートーヴェンの隣に住むおばあちゃんのセリフも印象的。 (白)


2006/イギリス・ハンガリー/カラー/英語/104分/シネマスコープ/SRD
配給:東北新社、宣伝:アステア

http://www.daiku-movie.com/

12月9日(土)より、日比谷シャンテ シネ、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー

★東京国際映画祭で一足早く上映されます。


『ダニエラという女』Combien tu m'aimes

監督・脚本:ベルトラン・ブリエ
撮影:フランソワ・カトネ
美術:フランソワ・ド・ラモット
衣装:カトリーヌ・ルテリエ
出演:モニカ・ベルッチ(ダニエラ)、ベルナール・カンパン(フランソワ)、ジェラール・ドパルデュー(シャルリー)、ジャン=ピエール・ダルッサン(アンドレ)、エドワール・バレル(エドワール)

〜イタリアの宝石、モニカ・ベルッチが教える本当の愛の見つけ方。
恋に臆病になってしまった大人に贈るラブストーリー〜

内気で恋人もないフランソワは、飾り窓の美女に釘付けになっている。 勇気を出して店に入り、「君はいくらなの?」と声をかける。 宝くじが当たったので、お金があるうち自分と暮らしてほしい、とダニエラに大胆な申し出をする。 承知したダニエラは「優しくすること」とフランソワに約束させ、アパートに住むことになった。 しかし妖艶で官能的なダニエラとの生活は、心臓の悪いフランソワには刺激が強すぎた。 彼を心配する医師のアンドレは静かな生活を送ること、と注意するのだが・・・。

ぱっとしない男と類稀な美しい娼婦とのロマンチックなストーリー、ではおさまりません。 そもそも宝くじの賞金から始まったこの生活なのです。 憧れの美女と暮らす夢が叶ったフランソワは、すっかり舞い上がっています。 「愛されるのが特技」というダニエラはそこにいるだけで男たちの目を引き、フランソワの苦悩の種となります。 二人の周りの同僚や隣人などくせのある人物たちが、うまくストーリーに配されて面白さアップ。 思わずにやりとする幕切れです。
モニカ・ベルッチの衣装やジュエリーは娼婦娼婦した安物ではなく、カルティエ、プラダ、ディオールなど。彼女のゴージャスな美貌をより引き立たせています。 1964年生まれというのが信じられない美しさですが、モニカは当時出産したばかりで、毎日赤ちゃんを連れてきて授乳しながら撮影に臨んでいたのだとか。 あっぱれ!(白)

ベルトラン・ブリエ監督は『アレックス』のモニカ・ベルッチを観て、惚れ込んでしまったそうです。彼女のために作った、娼婦でありなりながら、無邪気な愛らしさを持ち、母の包容力も兼ね備えた美しい女性と、ちょっと冴えない男との愛の物語はもう、監督(ひいては世の男性)の妄想全開な世界で、思わず笑ってしまいました。(梅)

2005年/フランス/カラー/1時間35分/シネマスコープドルビーSRD/
提供:ハピネット/配給:ハピネット、クレストインターナショナル

第28回モスクワ国際映画祭監督賞受賞(ベルトラン・ブリエ)

12月、、シアター・イメージ フォーラム、銀座シネパトスにてロードショー

http://www.crest-inter.co.jp/daniela/


2006年12月2日〜

『ファミリー』

監督・脚本:イ・ジョンチョル
製作総指揮:キム・スンボム
撮影監督:チェ・サンムク
美術:カン・ソヨン
出演:スエ(ジョンウン)、チョ・ヒョン(チュソク)、パク・チビン(ジョンファン)、パク・ヒスン(チャンウォン)、オム・テウン(ドンス)ほか

お父さん、世界で一番アナタが嫌いです。

傷害の罪で服役していたジョンウンは保護観察となり、幼い弟チュソクと父のいる家に帰ってきた。留学していると聞かされていた弟は素直に喜ぶが、3年ぶりに会った父は「何故帰った?いつ出て行くんだ」と冷たく言うだけだった。父は元警察官だったが目を悪くして辞職し、以来酒びたりになっては母に暴力をふるってきた。ジョンウンは6年前母が死んだのは父のせいだと思い、父は自分へのあてつけのように不良になった娘にさらに厳しくあたるようになったのだ。3年の間に二人の溝はさらに深まっていた。ジョンウンは美容院で働き始めるが、昔の悪い仲間がつきまとうようになった。


ⓒ2004 TUBE Entertainment. All Rights Reseved.

この試写でたまたま(美)さんと一緒になりました。二人とも幼い弟はてっきりジョンウンと不良仲間のどっちかの男の子供で、親が弟として育てたのだと勘違いしていました。それくらいこの家族の愛憎が激しかったのです。プレスノートの解説に「儒教の教えに近親相姦を絶対に悪とする」という一項があり、いとこ同士の結婚などありえない。だから家族は心おきなく愛情表現ができるのだというのに、へええ!でした。それでなくとも韓国の映画を観ると、情の濃さに驚かされます。ジョンウンを演じるスエはTVドラマで「涙の女王」と呼ばれているようですが、この映画では今までにないたくましく純粋なヒロインを好演していて、国内で多くの新人女優賞を獲得しています。パク・チビンくんは『奇跡の夏』より前の作品なのでちょっと幼くてさらに可愛いです。(白)

2004/韓国/カラー/96分/ビスタサイズ/SRD・SR/字幕:根本理恵
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
宣伝:スキップ
http://www.sonypictures.jp/movies/afamily/index.html
12月2日(土)シネマスクエアとうきゅう他にてロードショー


『Mr.ソクラテス』Mr.Socrates

監督・脚本:チェ・ジノン
撮影:チン・ヨンファン
音楽:ソン・ギワン
武術監督:イ・ウンジュン
美術:イ・ジョンピル
出演:キム・レウォン(ク・ドンヒョク)、カン・シニル(先生)、イ・ジョンヒョク(シン班長)、ユン・テヨン(チョ弁護士)、ホ・ジョンミン(ク・ドンピル/弟)、オ・クァンノク(父)、パク・ソンウン(ハンドゥ)、チュ・ミンチョル(イワシ)、パク・チョルミン(脱獄犯)ほか

不良青年のドンヒョクは札付きのワル。 刑務所の父にまで金をせびりに行くどうしようもない奴だ。 金にならないと知るや仲間の殺人を密告しようとしたとき、正体不明の男たちに拉致される。 連れて行かれたのは山の中の廃校で、なぜか無理やり勉強させられる羽目になる。 たった一人の生徒のドンヒョクに、見るからに悪人の生徒指導の面々。 “先生”は「勉強だけが生きる道だ」と警察官採用試験合格まで地獄のような特訓を開始する。 一度はまんまと逃げ出したドンヒョクだが、弟のドンピルをヤクザの鉄砲玉にすると脅され、 生まれて初めて猛勉強をするのだった。

キム・レウォンは『アメノナカノ青空』、『マイ・リトル・ブライド』 などで人気の甘いマスクの俳優。今回は笑顔を見せずにワル役に挑戦。 大柄なせいかあまり機敏に見えないのですが、アクション場面も多く頑張っています (暴力描写も多いので韓国ではR18指定)。 前半がちょっと長い感じがしました。
“先生”役のカン・シニル、警察の上司シン班長役のイ・ジョンヒョク、 極悪弁護士役のユン・テヨンなど、助演の俳優たちのユニークさも目立ちます。 資料によれば、製作会社代表の知り合いの一人が、 このドンヒョクのモデルとして貢献しているとのこと。 元チンピラから警察署の凶悪犯罪課勤務となった彼は、非常に型破りな刑事なのだそうです。 2を作ってドンヒョクが刑事になってからの活躍をもっと見せてほしいです。(白)

2005/韓国/カラー/111分/ビスタ/ドルビー/
配給:エスピーオー、宣伝:グアパ・グアポ

http://www.cinemart.co.jp/socrates/  (準備中)

12月2日(土)より、シネマート六本木ほかにて全国順次ロードショー


2006年11月25日〜

『赤い鯨と白い蛇』

監督:せんぼんよしこ
脚本:冨川元文
製作総指揮:奥山和由
撮影:柳田裕男
音楽:山口岩男
キャスト:香川京子(雨見保江)、浅田美代子(河原光子)、宮地真緒(田中明美)、坂野真理(河原里香)、樹木希林(大原美土里)ほか

物忘れの多くなった保江は、息子夫婦の家に身を寄せることになった。 迎えに来た孫の明美と千葉県の千倉に向かう電車内で、保江は突然館山に降りたいと言い出す。 戦争中に疎開した家をどうしても見たいと譲らず、明美は保江の記憶の中にある家を探すことになる。 かつて歩いた道を迷わず進む保江は、昔のままの萱葺き屋根の家を訪ねあてる。 そこには蒸発した夫を待つ光子と、小学生の娘里香が住んでいた。 家が取り壊されると聞いたからと、以前の住人だった美土里も現れ、光子の好意で3人はこの古い家に泊まることになった。 懐かしい家でおちついた保江は「昔この家には150歳の白い蛇がいた」と皆を驚かせる。

TV界では大ベテランのせんぼんよしこ監督が、長く一緒に仕事をしてきた冨川元文氏の誘いで、 初めて映画を撮りました。 5世代の女性が集まった古い民家は、約200年前江戸中期に建てられたというもの。 大きな萱葺きの屋根や広い土間、座敷や縁側など、昔の日本の美しいものが残されています。 違った年代の女性の気持が開かれ、 保江がしだいに記憶を取り戻していくのにこれほど似合いの場所はありません。 初めてこの家が現れるシーンはそのまま、 保江(ロケハンをしたスタッフや監督も)が驚いた気持が伝わってくるようでした。
年をとっても凛としたたたずまいの香川さん、 ようやく実年齢に近い役どころを観た気がする樹木さんは期待どおりですが、 浅田さんにはこんなにいい女優さんだったのか、と目うろこでした。(白)

わたしが生まれた家はぼろい長屋風社宅でしたが、そこにも白い蛇がいたそうです。母は驚いて追い払おうとしたのですが、祖母に家の守り神なのだから粗末に扱ってはいけないと怒られたと言っていたのを思い出しました。
白い蛇はわかるけど、赤い鯨とは何なのだろうと不思議だったのですが、見終わってなるほどそういうことかと思いました。館山は何度か行ったことがありましたが、そんな歴史があったとは知りませんでした。若い世代はほとんど知らないのではないでしょうか。せんぼんよしこ監督が戦時中に館山へ疎開されていて、どうしても伝えたいと思っていたテーマだそうです。悲しい歴史と大切な人を”忘れない”というメッセージが、わたしに今は亡き祖母の思い出を蘇らせてくれました。(梅)

2006/日本/カラー/102分/ヴィスタサイズ/DTS−SR

配給:東北新社クリエイツ+ティー・オー・ピー
宣伝:ムヴィオラ

http://www.asproject.jp/

★第 30 回モントリオール世界映画祭「First Films World Competition」部門へ出品
11月25日(土)より岩波ホールにてロードショー

脚本の冨川元文さんによる書き下ろし原作小説発売中!
「赤い鯨と白い蛇」
クリーク・アンド・リバー社刊/216p/定価1575円/ISBN 4-903679-00-4 C0093



『めぐみ 引き裂かれた家族』原題:ABDUCTION The Megumi Yokota Story

製作総指揮:ジェーン・カンピオン(ピアノ・レッスン)
監督/製作/協力:クリス・シェリダン&パティ・キム
製作協力:ユウコ・カワベ
編集/撮影:クリス・シェリダン
音楽:ジョージ・カメダ
出演:横田滋、横田早紀江、増元照明、他

1977年11月15日、当時13歳の横田めぐみさんが学校帰りに、忽然と姿を消した。
横田さん一家は、その日から帰って来ない娘を探し続けた。それが(北朝鮮拉致事件)という途方もないものとは、知るよしもなかった…。
国家的陰謀に巻き込まれた家族の30年を、日本人ではない部外者の目で、真っ正面から描かれたドキュメンタリー・フィルムです。

今日、若い人に人気のあるアイドル主演映画を観に行きました。会場は初日土曜とあって、予告中もざわめきは止みません。
ところが、この『めぐみ−引き裂かれた家族の30年』の予告が始まると、会場は水を打ったように静かになり、緊張感が走りました。
今だかつて、このような経験はありません。
前置きが長くなりましたが、このドキュメンタリーには予告だけでも、じーんと胸に迫り来る力強さがあります。私は製作総指揮が『ピアノ・レッスン』のジェーン・カンピオン監督で驚きましたが、彼女の「この作品に関われたことを心から誇りに思う」というメッセージに深く感動しました。
もう一つ。めぐみさんがシューマン作曲「流浪の民」の一節を独唱するテープが流れます。その歌詞は偶然にも、めぐみさんのその後を暗示するように思え、胸に迫ります。しかし、歌声はこれが幼い少女の声であろうかと疑うほど、美しく気高い声でした。(美)

2006年ダラス・アジアン映画祭、最優秀ドキュメンタリー賞受賞
2006年スラムダンス映画祭、観客賞受賞
2006年サンフランシスコアジアン・アメリカ国際映画祭、最優秀審査員賞受賞
2006年オマハ映画祭、観客賞受賞

2006年/アメリカ/90分/ビスタ/カラー
配給:ギャガ・コミュニケーションズ powered by ヒューマックスシネマ
http://www.megumiyokota.com/

11月25日(土)より シネマGAGA、テアトルタイムズスクエアほかにて全国ロードショー
(C) Safari media LLC 2004


『コワイ女』

「コワイ女」をテーマに3人の監督が撮ったオムニバスホラー作品。それぞれに全く違ったテイストを持っている。

『カタカタ』
原案・脚本・監督:雨宮慶太
出演:中越典子、小林裕子、豊原功補 ほか

吉沢加奈子は婚約者とのデートの帰り道、自宅近くにある、とあるマンションの前を通りかかったときに、”カタカタ”という奇妙な音を聞いた。その直後、何か大きな衝撃を受けて気を失う。目を覚ますと路上に倒れていたが、何事もなくそのまま自宅へ帰りつく。すると、婚約者から「別れた女房に刺された」と電話が掛かってきた。加奈子は驚くが、その時また”カタカタ”というあの奇妙な音が。振り向いた彼女が見たものは、赤いワンピースを着て包丁を手にした、もの凄い形相の異形の女だった。
ビジュアル的な恐怖を追求していて、小林裕子さんが扮する異形の女の造形が強烈。しかし、ストーリーには疑問が残るし、なぜかアテレコが浮き上がったような奇妙な感じがして、気になって仕方なかった。

『鋼 - はがね - 』
脚本・監督:鈴木卓爾
原案・脚本:山本直輝
出演:柄本佑、菜葉菜、香川照之

自動車修理工場で働く関口幹夫は、ある夜、上半身にずだ袋をかぶった奇妙な人間に体当たりを食らう。その翌日、工場の社長に自分の妹とデートしてやってくれないかと頼まれ、見せられた写真がかわいかったこともあって、渋々引き受ける。約束の日、社長の自宅を訪ねると、荒れ果てた家の中で、あのずだ袋をかぶった人間が、足踏みミシンを踏み続けていた。それこそが、社長の妹の”はがね”だった。どうして良いかわからないまま、幹夫はドライブに送り出されてしまう。
際だって独創的! 主人公と一緒に、こちらもワケのわからないシュールな世界に引きずり込まれます。幹夫が得体の知れないはがねの色っぽい足に発情し、はがねもとても気弱だけど優しくもある幹夫に発情するあたり、男女の性のようなものを感じて、可笑しいやら哀しいやら。柄本佑さんは、気弱で存在感の薄〜い男を、リアルに演じていて印象深いです。

『うけつぐもの』
原案・脚本・監督:豊島圭介
原案・監修:清水崇
出演:目黒真希、須賀健太、松岡俊介、左時枝

夫と離婚し息子の道夫を連れて田舎の母の住む実家へ戻ってきた菱川冴子。しかし母は、何かを恐れるようにすぐに東京へ戻れと言う。道夫は自分と同じ年頃の少年の写真を見つけた。その子は母の兄で、7歳の時に行方不明になっていた。ある日、冴子は家の裏手にある土蔵で、ひとつの掛け軸を見つける。そこに描かれたものを見て以来、彼女の道夫に対する態度が少しずつおかしくなり始める。
非常に日本的で古典的なホラー。古い田舎の家屋、そこに飾られた故人の写真、土蔵など、自分も子供の頃に気味が悪いと思ったものです。しかし、そういう体験が少なくなったであろう最近の若者が観たときに、やはり怖いと思うのだろうかと、ふと疑問に思いました。 (梅)

2006年/日本/カラー/35mm/ビスタサイズ/DTSステレオ/107分
配給・宣伝:アートポート

公式 HP >> http://www.kowai-onna.jp/

★11月25日(土)より、シネマート六本木、シネマート心斎橋ほか全国順次ロードショー


『パプリカ』

監督:今敏
脚本:水上清資/今敏
原作:筒井康隆
作画監督:安藤雅司
撮影監督:加藤道哉
美術監督:池信孝
音楽:平沢進
アニメーション制作:マッドハウス
キャスト:林原めぐみ(パプリカ/千葉敦子)、江守徹(乾精次郎)、堀勝之祐(島寅太郎)、古谷徹(時田浩作)、大塚明夫(粉川利美)、山寺宏一(小山内守雄)、田中秀幸(あいつ)ほか

千葉敦子は若きサイコ・セラピスト。最先端のテクノロジーを駆使した精神医療臨床に携わっている。普段はクールで知的な容貌だが、患者の夢の中に入り込み「夢探偵」となるときは、全く別人の少女「パプリカ」に変身する。パプリカは患者と一緒に解決の糸口を見つけるため、夢の中を縦横無尽に動き、悩める患者を魅了する。正体を知るのは島所長と、同僚の時田の二人だけ。時田が考案したサイコセラピー機器「DCミニ」は、頭に装着して眠るだけで、同じ機器を使用している者同士が見る夢を共有できる。しかし、悪用されれば他人の人格を破壊できるという危険な面も持っている。それが何者かに盗まれてしまった。夢を犯していくのは誰か?そしてなんのために?

1991年から雑誌連載、1993年に出版された筒井康隆の人気SFが原作。『東京ゴッドファーザーズ』ですっかり今敏監督ファンになった私は、前作を遡って観て、この最新作を楽しみにしていました。これは夢の中が主な舞台ということもあって、ものすごいスピードで画面から溢れるほどのキャラクターが登場します。パレードは圧巻です。これを観ると人形嫌いになるかも(笑)。説明をあれこれ聞くよりも劇場でどっぷりひたってください。筒井康隆氏(玖珂)と今敏監督(陣内)も特別出演!(白)

2006/日本/ビスタ/SR,SRD、DTS/1時間30分/アニメーション
配給:ソニーピクチャーズエンタテインメント
宣伝:アルゴピクチャーズ

公式 HP >> http://www.sonypictures.jp/movies/paprika/

★今 敏×筒井康隆×マッドハウス『パプリカ』公式サイト内に秘密のサイトradioclub.jpがオープン!
秘密のページへアクセスし夢の世界へ!

11月25日(土)テアトル新宿ほか全国ロードショー


『ボクラの島を忘れない』

監督:多田亜佐美
語り:斉藤とも子
プロデューサー:伊勢真一

文通をしていた少女から、瀬戸内の小さな島の保育所が無くなってしまうことを聞いた監督は、島の保育所の最後の一年間を記録しようと通い始めます。
6人の子供たちと、保育士さんたちと、毎年芋掘りに招待してくれる木下のばあちゃんたちとの交流には、親だけでなく沢山の大人たちが子供たちの成長を見守り、子供たちの元気が大人たちに元気を与えるという、理想的な循環ができていました。「田舎だからできること」ではありません。ここにはきっと子供たちの明るい笑顔をみる秘訣が隠されているはずです。(梅)

アップリンクXにて、11月25日(土)〜12月15日(金)まで上映
11月25日(土)〜12月1日(金) 11時、14時、17時
12月2日(土)〜12月15日(金) 11時、14時

2005年/カラー/61分
ドキュメンタリー映画 文部科学省選定
製作:ASAMIプロ/いせFILM

同時期に伊勢真一プロデュース作品『めぐる』+『きゅう漆』も上映されます。

公式 HP >> http://asami.babyblue.jp/
アップリンクX HP >> http://www.uplink.co.jp/



『沈黙の傭兵』

監督・撮影監督:ドン・E・ファンルロイ
脚本:スティーヴン・コリンズ
出演:スティーヴン・セガール(ジョン・シーガー)、ルーク・ゴス(ジョン・ドレシャム)、ロジャー・グーンヴァー・スミス(アンソニー・チャペル)、ジャクリーン・ロード(マキシーン・バーナル)ほか

CIAの要請で屈強な傭兵たちが、手配師のチャペルにより集められる。湾岸戦争の英雄シーガーと親友のラジオも加わった。アフリカの独裁国家ガルモラル島の住民を解放するという名目だったが、欲に目のくらんだCIAのドレシャムの陰謀で傭兵た ちは倒れていった。シーガーは真相を知り、ラジオを埋葬して島を後にする。チャペルはラジオの未亡人と子供を人質に、実現不可能と思える新たなミッションをシーガーへ命じる。

92年の『沈黙の戦艦』から始まった沈黙シリーズ最新作。とはいっても日本の公開題名がそうなので、話が続いているわけではありません。製作・主演をかねているスティーヴン・セガールのアクション映画として定着しています。今回も冒頭からアクションシーン満載、銃器も多数登場するのでマニアの方には嬉しいことでしょう。ドラマのほうが脇にいってしまって、私など映画でも人を無駄に死なせないで・・・と思ってしまうのですが、セガールのアクションファンはそういう見方はしないんでしょうね。(白)

2005/アメリカ/35mm/カラー/ヴィスタ/96分
配給:アートポート、宣伝:アンカープロモーション

公式 HP >> http://www.chinmoku.jp/

★11月25日(土)より銀座シネパトスにてロードショー


2006年11月18日〜

『雨音にきみを想う』(原題:摯愛 英語題:Embrace your shadow)

監督・脚本:ジョー・マ
出演:ディラン・クォ(チョッカン)、フィオナ・シッ(ウィンイン)、チャン・コッキョン(フェン)、チャン・チンユー(シウヤウ)、サミュエル・パン(フー)ほか

香港の喧騒から離れた郊外に小さな家がある。ウィンインは妻に去られた兄フェンと、その娘シウヤウの世話をしながら内職を続けている。フェンは遺伝性の病で全身麻痺のため24時間介護が必要だ。ウィンインも同じ病気で体温が下がると体が硬直してしまう。辛く貧しい生活の中で笑顔も忘れがちだったウィンインの前に、チョッカンという青年が現れる。迷子になっていたシウヤウを送り届けてくれたのだった。 フェンに招かれ、3人の暮らしぶりを見たチョッカンは、翌日電動車椅子をプレゼン トに持ってくる。彼の優しさにふれ、初めは頑なだったウィンインもしだいに笑顔を見せるようになる。チョッカンは組織の若きボス、フーに一目置かれる泥棒だったのだが。

187cmという長身に甘いマスクのディラン・クォ、愛くるしいフィオナ・シッは人気上昇中。ジョー・マ監督は『ファイティング・ラブ』、『サウンド・オブ・カラー/ 地下鉄の恋』などラブ・ストーリーがお得意。なんだか久し振りのチャン・コッキョンに、子役のチャン・チンユーの演技も後押し、泣かせどころ満載のストーリーです。大分前のチョウ・ユンファやアンディ・ラウの青春映画を思い出します。これに海賊の話などからめたところがジョー・マ監督味かな。
敵役のサミュエル・パンがおもいきり悪役です。アニタ・ムイやアンディ・ホイのコンサートでのダンサー姿(写真で見ただけです)が眼に焼きついております。(白)

2005/香港/カラー/102分/ビスタサイズ
提供・配給:ムービーアイ
宣伝協力:アルシネテラン

公式 HP >> http://www.amakimi.com/

★11月18日(土)より、新宿武蔵野館他全国ロードショー


『キング 罪の王』原題:The King

監督:ジェームズ・マーシュ
脚本:ジェームズ・マーシュ、ミロ・アディカ
劇中曲:ドリー・バートン「谷間の静けさ」、「キャレキシコ「Crystal Frontier」、フレディ・フェンダー「涙のしずく」、ボブ・ディラン「COLD IRONS BOUND」
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル(エルビス)、ウィリアム・ハート(デビッド)、ベル・ジェームズ(マレーナ)、ローラ・ハーリングほか

エルビスは21歳、母親が亡くなって一人きりになってしまった。 海軍を退役したその足でポンコツ車を買い、テキサスの小さな町に向かう。 そこに住むデビッドが彼の父だと母親から聞いていたのだ。 期待をいだいて近づいたエルビスだったが、 エルビスの存在など知らないデビッドは訝しげな視線を向ける。 彼は人々の尊敬を受ける神父で、美しい妻と自慢の息子と娘がいた。 過去を封じ込めたいデビッドは子供たちに何も知らせず、 「家族に近づくな」とエルビスをつきはなす。 「家族」になることを拒否されたエルビスは、デビッドの娘=自分の腹違いの妹16歳のマレリーに接近する。

『モーターサイクル・ダイアリーズ』で若きチェ・ゲバラを演じ、 『バッド・エデュケーション』では妖艶な美女になり、 と作品ごとに全く違った顔を見せるガエル・ガルシア・ベルナルの主演作。 子犬系の童顔の彼が、この作品では危険な香りを漂わせ、 自分のほしいものをどんなことをしても手に入れようとします。 なんでそこまで?と思うのは、私がほんとの孤独を知らないからでしょうか。 家族や教会、社会への痛烈な皮肉の見える1本。(白)

第59回 カンヌ映画祭「ある視点」部門正式出品

2005/アメリカ/105分/カラー/35mm/シネマスコープ/ドルビーSRD
提供:プレシディオ、メディア・スーツ 協力:メディア・ファクトリー
配給:メディア・スーツ
http://www.king-movie.jp/

11月18日(土)より、渋谷アミューズCQNにて罪深くロードショー


『家門の危機』Marrying The Mafia II

監督:チョン・ヨンギ
脚本:キム・ヨンチャン,チョン・テウォン
撮影監督ムン・ヨンシク
出演:シン・ヒョンジュン(チャン・インジェ/長男)、キム・ウォニ(キム・ジンギョン/ジンスク)キム・スミ(ホン・ドクチャ/母親)、タク・チェフン(次男)、イム・ヒョンジュン(三男)、コン・ヒョンジン(ボン検事)、チョン・ジュナ(チョンミョン)、シニ(スンナム/次男嫁)、キム・ヘゴン(ユン・ドシク 斧派ボス)ほか

地方に拠点を持つ白虎組の女ボス、チャン・ドクチャの心配ごとは、ソウルに進出した跡取りの長男インジェがまだ独身ということ。彼はかつての恋人ジンスクが忘れられずにいたのだった。家門を守るため、エリートの嫁をと夢見る母親は、次男と三男に来月の還暦の祝いの日までに、インジェに嫁を見つけること、と命令する。そのころインジェはスーツをさっそうと着こなし、長い髪をなびかせた美女ジンギョンに一目ぼれしていた。ジンギョンがヤクザの天敵のマル暴担当検事とも知らずに・・・。

2002年に公開され、ヒットした『家門の栄光(邦題:大変な結婚)』の第2弾。ヤクザの組に生まれた者の伴侶探しという軸は同じで、スタッフ、キャストが変わったこの作品は前作を上回る大ヒット。2005年の興行成績は『トンマッコルへようこそ』、 『マラソン』についで第3位となっています。チョン・ヨンギ監督の第1作は『人形霊』、怖そうで未見ですが、このラブコメディをたいへんテンポ良く、楽しい作品に仕上げています。
クールな役の多いシン・ヒョンジュンがいつもと違ったコメディ演技。キレのいいアクションも見せますし、カッコいいのは変わりませんがコメディセンスも十分。2役のキム・ウォニと、シニのスケ番対決も見もの。コン・ヒョンジンは先輩検事役で、 愛の歌まで披露しています。早くも出来上がった第3弾ではもっと活躍しそうですよ (9月韓国で公開予定)。前作で入り婿となったチョン・ジュノもちょっと顔を出します。(白)

2005/韓国/カラー/115分/ビスタ/ドルビー
配給:リベロ、宣伝:アンカープロモーション

公式 HP >> http://www.kamon-kiki.jp/

★11月18日よりシネマート六本木他にてロードショー


『ソウ3』

監督:ダーレン・リン・バウズマン
原案・脚本:ジェームズ・ワン、リー・ワネル
撮影:ディヴィッド・A・アームストロング
音楽:チャーリー・クロウザー
特殊効果コーディネイター:ティム・グッド
出演:トビン・ベル(ジグソウ)、ショウニー・スミス(アマンダ)、アンガス・マクファデン(ジェフ)、バハール・スーメキ(Dr.リン)、ダイナ・メイヤー(ケリー)ほか

小学校の殺人事件現場に来たケリー刑事は、遺体が探していたエリック刑事ではなかったことにほっとする。 鎖で繋がれ、爆死したのは誰なのか? そして誰の仕業なのか? ケリーは「ジグソウじゃない」と言い切る。 ジグソウのパターンとは違う、それにジグソウは重篤のはず・・・。
最愛の息子を交通事故で失ったジェフは、息子の思い出に執着し、犯人を憎むことでようやく生きていた。 彼も突然何者かに拉致され、気がつくと食肉工場の地下にいた。 目の前のテープレコーダーを再生すると「さあ、ゲームをしよう」という声が聞こえる。

全世界を震撼させたソリッド・シチュエーション・ホラーの第3部。 先の1,2作の謎解きと新しいトリックが詰め込まれています。 よくこんなストーリーを考えつくものだ!という驚きが恐怖よりまさって、 ホラー苦手なのに目をつぶりながら(!)毎回観ています。 音も椅子を響かせて身体に伝わってくるので、どきどき倍増。 今回はジグソウに選ばれたゲームの相手ばかりでなく、ジグソウとアマンダの背景も明らかになります。 前作を観ていない人はおさらいしてから、劇場へ。 一挙3本上映という計画もあるそうですが、体力勝負ですね。 元気満タンのときにご覧ください。(白)

2006/アメリカ/カラー/ヴィスタサイズ/1時間47分/ドルビー・デジタル/15−R
配給:アスミック・エース
宣伝:ファントム・フィルム

http://saw-3.jp/

11月18日(土)TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー


『麦の穂をゆらす風』 原題:The Wind That Shakes The Barley(大麦を揺らす風)

監督:ケン・ローチ
脚本:ポール・ラヴァティ
主演:キリアン・マーフィー(『バットマン・ビギンズ』『プルートで朝食を』)

1920年、英国統治下のアイルランド南部の町コーク。 医学生デミアンは研修医としてロンドンに旅立つ前に、友人たちとの送別を兼ねてハーリングを楽しむ。 アイルランド特有の競技であるハーリングをしたことが、 悪名高き治安警察補助部隊“ブラック・アンド・タンズ”の知るところとなり、 仲間と共に屈辱的な尋問を受け、友人のミホールは、 “マイケル”という英語名を名乗らなかった為に殺されてしまう。 理不尽な殺人行為に、ロンドン行きをとりやめ、独立運動に身をやつすデミアン・・・。

本作の原題は、有名なアイルランドの伝統歌(アイリッシュ・トラッド)のタイトルからとっている。 その詩は、恋を捨て抵抗運動に身を投じる青年を唄ったもので、 弾圧により命を落とした者を悼んで、よく歌われたという。 美しい旋律が悲しく胸に響く。
アイルランドの人々の激しいゲリラ戦に、英国はやがて停戦を申し入れ、 講和条約により1921年「アイルランド自由国」が誕生する。 しかし、それがあくまで英連邦の自治領としての独立で、 しかも北部6郡は英国領として残るという分離独立であったために、その後、 主義主張の違いにより内部抗争に陥ってしまう。
人間の歴史の中で繰り返されてきた強国の支配と抵抗運動、そして権力者の去っ たあとの内戦。ケン・ローチは、国内で起こるであろう批判覚悟で英国の恥部を 描くことにより、今なお世界の各地で絶えることのない戦争の無念さを説き、共 生の可能性を願って本作を製作したのだという。それにしても、人間は敵対心を 持った時、どうしてあそこまで残酷になれるのだろう。悲しい。(咲)

*2006年カンヌ国際映画祭パルムドール受賞

配給:シネカノン
後援:アイルランド大使館、ブリティッシュ・カウンシル
宣伝:ムヴィオラ

2006年/アイルランド=イギリス=ドイツ=イタリア=スペイン/126分/カラー/1:1.85/ドルビーSRD

★2006年11月18日(土) シネカノン有楽町、渋谷シネ・アミューズにてロードショー、以下全国順次公開
公式HP>>  http://www.muginoho.jp/


2006年11月17日〜

「中国文化フェスティバル2006」

「中国文化フェスティバル2006」が11月17日から1ヶ月に渡って開催されています。 お知らせが遅くなってしまいましたが、まだ参加できるイベントがありますのでご紹介します。
詳細はこちら
http://www.fmprc.gov.cn/ce/cejp/jpn/zt/qqq950/default.htm

任賢齊(リッチー・レン)コンサート
=就在「老地方」 いつもの場所で・・・=
台湾の人気歌手・俳優のリッチー・レン初の日本コンサートが開催されます。

◆12月8日(金)18:30開場 19:00開演
◆練馬文化センター 大ホール
◆S席 10,000円 A席 8,000円 B席 6,000円
 チケットぴあ
 電話予約 : 0570-02-9999 インターネット : http://pia.jp/t
◆問い合わせ 日中通信社 03-5984-3152
http://www.long-net.com/

●2004年の日中カラオケコンクールにゲストで来日したときのレポートはこちら。
 http://www.cinemajournal.net/special/2004/karaok/index.html
●日本公開作品:『星願 あなたにもういちど』、『ゴージャス』、『シルバーホー ク』、『ブレイキング・ニュース』

中国上海映画祭2006

◆12月16日(土)〜22日(金)
◆テアトルタイムズスクエア 新宿高島屋12F
◆チケット チケットぴあ 0570(02)9999
【当日券】 1,200円均一
【前売券】 共通1回券1,000円/5回券4,500円(劇場窓口のみ販売)

「芙蓉鎮/ふようちん」(1987年/165分)監督:謝晋(シエ・チン)
「喜瑪拉雅王子 / ヒマラヤ王子」(2006年/107分)監督:胡雪樺(フー・シュエフォア)
「長恨歌 / ちょうこんか」(2005年/110分)監督:關錦鵬(スタンリー・クワン)
「自娯自楽 / じごじらく」(2004年/120分)監督:李欣(リー・シン)
「上海倫巴 / 上海ルンバ」(2006年/110分)監督:彭小蓮(ポン・シャオリエン)
ほかに上海アニメーション、水墨画アニメーション

スケジュールなど詳細はこちら
http://www.cs-ff.net/index.html

●「自娯自楽 / じごじらく」に関しては、製作に関わった斉藤マユミさんの記事 「『自娯自楽』長ーい編集後記」がシネマジャーナル62号に掲載されています。 また李欣監督の以前の作品『天使の眼(花眼)』に関連して監督インタビューが シネマジャーナル56号 に掲載されています。



2006年11月11日〜

『ナオミ・ワッツ プレイズ エリー・パーカー』 ELLlE PARKER

監督・脚本:スコット・コフィ
製作:スコット・コフィ、 ナオミ・ワッツ
撮影:スコット・コフィ、 ブレア・マストパーム
音楽:ニール・ジャクソン
歌・演奏:ビルト・ライク・アラスカ
キャスト:ナオミ・ワッツ(エリー・パーカー)、レベッカ・リグ(サム)、スコット・コフィ(クリス)、マーク・ペルグリノ(ジャスティン)、チェビー・チェイス(デニス)、キアヌ・リーブス(本人)

ナオミ・ワッツ扮する無名の女優エリー・パーカーは、 明日のスターを夢みる女優の卵。 今日もオーディションを掛け持ちで受けまくり、一息入れる暇もない。 浮気者で売れないミュージシャンの彼との仲もうまくいかないエリーは、 追突事故でクリス(スコット・コフィ)と知り合う。 彼は売り出し中の写真家だった・・・。

なんて素晴らしい体当たり演技でしょうか! 観ていて(私もがんばらなきゃ!)と心底思えてくる映画です。
ナオミ・ワッツさんと言えば『ザ・リング』『キング・コング』 を立て続けに大ヒットさせたハリウッドの人気女優さん。 つい5年前の2001年にデヴィッド・リンチ監督『マルホランド・ドライブ』 で多くの主演女優賞をもらうまでは、こんな苦労をしていたのか・・・と頭が下がります。
監督のスコット・コフィは2001年のサンダンス映画祭で短編映画 『エリー・パーカー』を上映して好評を博し、その後4年かけて長編にしました。 その間にナオミ・ワッツがどんどん有名になり、 まるでセミ・ドキュメンタリーの様に変貌を遂げてしまった作品です。 元気をもらいたい方に、是非とも観ていただきたいです。(美)

2005年 サンダンス映画祭正式出品作
2005年 シアトル映画祭審査員特別賞受賞

2005年/アメリカ/カラー/35mm/1時間35分/ヴィスタ/
提供:レイドバック・コーポレーション
配給:グラッシィ

11月11日(土)より 渋谷シアター・イメージフォーラムにて上映

http://www.glassymovie.jp/naomi/


『HAZARD』

監督・原作・脚本:園子温
脚本協力:熊切和嘉
撮影:柳田裕男
スチール:黒田光一
挿入曲:オダギリジョー
出演:オダギリジョー(シン)、ジェイ・ウェスト(リー)、深水元基(タケダ)、池内博之(ウォン)ほか

1991年、バブル崩壊後の日本。退屈な学生生活を送っていたシンは、図書館でニューヨークを紹介した本を見つけた。 HAZARD(危険)を探すべく、ぬるい日常を捨てて飛び立つことにした。 行くあてもないまま到着したニューヨークでタクシーから降ろされ、 地下鉄で出会った2人組にバッグを取られ街をさまようはめになってしまう。 無一文で空腹のシンに声をかけたリーとタケダは、 彼を望みどおり刺激的な日々に放り込んでくれる。

ニューヨークのブルックリンを中心に、ゲリラロケも敢行したとか。4年前に完成後、 映画祭での上映だけだったのが、このほど劇場公開されることになりました。 オダギリジョーの映画初出演は『アカルイミライ』と思っていたら、 こっちの方が古かったのでした。 彼が主演なのですが、共演のジェイ・ウェストがめちゃめちゃテンション高くて、 ふり回されている感じです。 撮った監督本人が「かなり青臭いことをやった」と言っていますが、 若さの勢いや痛さがある作品。 園子温監督(1961年生・本名)は17歳で詩人としてデビュー、 “Gパンをはいた朔太郎”と称されていたそうです。 数々の作品はぴあフィルムフェスティバルを皮切りに、世界の映画祭で紹介されています。(白)

2002/日本/103分/DTS/アメリカンビスタ/
配給・宣伝:アンプラグド

★「HAZARD」写真展 カメラマン:黒田光一
10/27-11/5 LAPNET SHIP (渋谷区神宮前1-9-11-1F)
★オダギリジョー写真集「four years ago」、アルバム「JOE ODAGIRI」発売

http://www.hazardmovie.com/

11月11日(土)、シアターN渋谷にてロードショー


『ラブいぬ ベンジー はじめての冒険』BENJI: OFF THE LEASH!

監督・脚本・製作:ジョー・キャンプ
製作:マーガレット・ローシュ
撮影:ドン・レディ
音楽:アンソニー・ディロレンゾ
トレーナー(ベンジー):ジェニー・カーンズ
トレーナー(シャギー):ロジャー・シューマッハー
キャスト:ベンジー(ベンジー)、シャギー(ベロンチョ)、ジンジャー(デイジー)、ジプシー(マーリン)、ニック・ウィデカー(コルビー少年)、クリス・ケンドリック(父:ハチェット)、クリスティ・サマ−ヘイズ(母:クレア)、ランドール・ニューサム(リビングストン)、ドゥエイン・スティーヴンス(シェルドン)、ニール・バース(フィンチ)

コルビーは父に隠れて、親子の犬の世話をしていた。 母犬デイジーは高価な純血種だったが、雑種と交配されてしまったらしい子犬たちは、 悪徳ブリーダーの父に捨てられると思ったからだ。 案の定見つかって、デイジーと毛の色の違うチビちゃんは投げ捨てられてしまう。 コルビーは子犬を探し出し、自分の秘密基地でこっそり面倒を見ることにした。 子犬は元気で賢く育ち、具合の良くない母犬のデイジーを心配するようになる。

1974年に第1作が誕生した『ベンジー』ですが、今までにTVも含めて10本が製作されています。 すべてを手がけたジョー・キャンプが、監督・脚本・製作までつとめたのが今回の作品です。 主人公のベンジーは実際に動物保護施設で見つけたのだそうです (べンジーもシャギーも監督に引き取られています)。 こんなに利発で可愛いのになぜ捨てられたのだろう、という監督の疑問を元にオリジナル・ストーリーができたのだとか。
CGを使わず、セリフも言わせることなく、犬たちの本来の可愛さで出来上がっている作品です。 初め動物保護観察局のでこぼこコンビがかたき役かと思いましたが、悪役はコルビーの父のハチェットでした。 息子や妻に暴力をふるい、ブリーダーなのに犬たちの世話もろくにしないひどい男です。 このへんが現代的かな。(白)

2004/アメリカ/1時間37分/ビスタサイズ/
配給:東芝エンタテインメント

***あなたのラブいぬ自慢キャンペーン!***
『ラブいぬ ベンジー はじめての冒険』パンフレットにあなたの愛犬の写真が載ります。 詳しくはHPをご覧ください。10月15日まで受付。

http://www.benji.jp/

11(ワン・ワン)月11(ワン・ワン)日(土)、シネリーブル池袋ほか全国ロードショー


『ウィンター・ソング』(原題:如果・愛)

監督:陳可辛(ピーター・チャン)
脚本:林愛華(オーブリー・ラム)、杜國威(レイモンド・トー)
撮影:鮑徳熹(ピーター・パウ)
音楽:金培達(ピーター・カム)、高世章(レオン・コー)
振付:ファラー・カーン(FARAH KHAN)
出演:金城武、周迅(ジョウ・シュン)、張學友(ジャッキー・チュン) 、池珍煕(チ・ジニ)

上海の撮影所に天使 (池珍煕)が降り立つ。彼の役目は人間に、誤って切り捨てた人生のフィルムを返してあげること。そこには、映画への情熱と自信を失いかけている有名監督のニエ・ウェン(張學友)、主演女優で恋人のスン・ナー(周迅)、そして主演男優のリン・ジェントン(金城武)の3人がいた。
スンとリンは、かつて恋人同士だった。10年前、リンは北京で映画監督を目指す学生で、ある日スターを夢見て、踊り子をするスンと出会い、恋に落ちる。しかしスンは、自分の夢のために彼を捨て、リンはこの10年、片時も彼女を忘れられずにいた。ところが、再会したスンはまるで記憶を失ったかのように、彼を無視し、リンはあの愛の記憶は幻だったのかと苦悩する。同時に、2人の関係は撮影するミュージカル映画のストーリーとぴたりと重なっていた。役柄を通して本心を伝えてくるリンにスンの心は揺れ、ニエもまた彼女の心変わりを感じて揺れ始めるのだった。

特別記事『ウィンター・ソング』金城武、情けなくも美しいあなたに萌えた もご覧下さい。

2005年/香港/カラー/ドルビーSRD/ビスタサイズ/109分/日本語字幕:水野衛子
提供:角川ヘラルド映画、東宝
配給:角川ヘラルド映画

公式 HP >> http://www.winter-song.jp/

★11月11日(土)より、有楽町スバル座、TOHOシネマズほか 全国ロードショー


『氷の微笑2』(原題:Basic Instinct 2)

監督:マイケル・ケイトン=ジョーンズ
脚本:レオラ・バリッシュ、ヘンリー・ビーン
出演:シャロン・ストーン、デヴィッド・モリッシー、シャーロット・ランプリング、デヴィッド・シューリス

自らの軌跡を作品の糧とし、官能的なミステリー小説を書き続けるキャサリン・トラメル。彼女はロンドンに居を移し活動していたが、自動車事故を起こし同乗者の男性を死なせたことから、警察の聴取を受け、精神鑑定を受けることになる。担当となった精神分析医マイケル・グラス博士は、将来を嘱望される優秀な学者だが、私生活では離婚したばかりで、不安を抱えていた。キャサリンに危険を耽溺する傾向があると見抜き、彼女には不利な診断を下したが、結局彼女は無罪放免になってしまう。キャサリンはマイケルの元に来て自分の危険中毒症を治療してほしいと願い出る。マイケルは若干の危険を感じつつ、彼女への興味から治療を引き受けるが、それから彼の周囲で不振な死が相次ぎ、彼自身の生活も歯車が狂い初め、次第に追い詰められていく。

©2006 IMF Internationale Medien und Film GmbH & Co.3.Produktions KG

第一作からすでに14年が経過し、シャロン・ストーンもさすがに当時の輝くばかりの美貌からは衰えましたが、それでも実年齢(48歳)を聞くとぶっ飛びの若さと美しさです。何より仕草が優美。アメリカでは制作途中でトラブルが続き、ゴシップだらけになって興行成績も悪かったのですが、わたしは映画自体はとても面白いと思いました。前作では「彼女は真犯人なのか?」が注目点でしたが、今回のキャサリンは徹底して悪女。他人に支配されることを極度に嫌い、欲望に忠実で常に刺激を求める究極のS女です。精神治療という名目で自分をコントロールしようとする精神科医の支配欲の強さを逆手にとって、巧みに破滅へと導く様は、痛快ですらあります。(梅)

2006年/アメリカ/シネスコ/DTS/114分/R-18/字幕:小寺陽子
配給:シナジー
提供:ジェネオン エンタテインメント
宣伝:フリーマン

公式 HP >> http://www.ko-ri2.jp/

★11月11日(土)より、全国シネコンロードショー


『TANNKA 短歌』

監督:阿木燿子
脚本:阿木燿子、岩下悠子
原作:俵万智「トリアングル」(中公文庫)
音楽:宇崎竜童
出演:黒谷友香、黄川田将也、村上弘明ほか

フリーライターの薫里にはカメラマンで年上の恋人がいる。彼には妻も子供もいたが、別に結婚したいと願う訳でもなく、心も身体も満たしてくれる彼との関係に、不満はなかった。しかし一方で、行きつけのバーで知り合った年下のバイオリニストの青年とも関係を持つ。まっすぐに自分を求めてくる彼が新鮮に思えたのだった。

折々に薫里の気持ちを詠んだ短歌はとても官能的だ。それなのに、どうしてこうも映像からエロスを感じないのだろう。主演の黒谷さんは手足の長いスレンダーな肢体をあらわにしてがんばり、セックスシーンもこんなに多いのに。それに年上の彼との関係について、彼女の心がどう動いているのかよくわからないし、男の言葉も嘘くさく感じてしかたない。ベリーダンスというアイテムももう一つ効果的に使われていなくて残念だ。(梅)

2006年/日本/R-15
製作プロダクション:東映東京撮影所

公式 HP >> http://www.tannka.jp/

★11月11日(土)、全国ロードショー


『Sad Movie<サッド・ムービー>』

監督:クォン・ジョングァン(『Sダイアリー』)
出演:チョン・ウソン(『私の頭の中の消しゴム』)、イム・スジョン(『アメノナカノ青空』、「ごめん、愛してる」)、チャ・テヒョン(『猟奇的な彼女』『僕の、世界の中心は、君だ』)、ソン・テヨン、シン・ミナ(『甘い人生』)、イ・ギウ(『ラブストーリー』『まわし蹴り』)、ヨム・ジョンア『ビッグ・スウィンドル!』、ヨ・ジング

危険と隣り合わせの消防士のジヌと、彼のプロポーズを待ちわびる手話アナウンサーのスジョン。
スジョンの妹で、火事で火傷をおった耳の聴こえない少女スウンと、彼女が着ぐるみのアルバイトをしている遊園地でよく絵を描いているハンサムな青年サンギュ。
いつまでも定職に就かず、「別れさせ屋」を思いつくハソク。そんな彼と付き合って3年、彼と別れることを決意するスーパーのレジ係スッキョン。
インテリアデザイナーとして活躍しながら、子育てをしているジョヨンと、その息子で小学校2年生フィチャン。
4組の別れの物語が、切なく描かれたサッド・ムービー。恋人、親子、友人…、人生には素敵な出会いがたくさんあるけれど、そんな大事な人たちとも、いつしか別れなければいけない時が訪れるもの。周りの人たちを大切にしたい… そんな思いにさせられます。

来日してくれたウソンさまや、テヒョンくんの魅力も勿論ですが、『まわし蹴り』で軽やかな蹴りを見せ、『ラブストーリー』では貧血を起こして転んでばかりいたのっぽのイ・ギウが、気の優しい絵描きの男の子を演じていて、ちょっと注目。 (咲)

提供:ギャガ・コミュニケーションズ ビックショット 関西テレビ放送 配給:ギャガ・コミュニケーションズ 2005年/韓国/109分/カラー/シネマスコープ/ドルビーSR・デジタル

公式 HP >> http://www.sadmovie.jp/

★11月11日(土)有楽座他東宝洋画系にてロードショー
特別記事『Sad Movie<サッド・ムービー>』来日記者会見&舞台挨拶レポートもご覧下さい。


2006年11月4日〜

『待合室』

監督・脚本:板倉真琴
撮影:丸池納(J.S.C)
音楽:荻野清子
主題歌:綾戸智絵
美術:鈴木昭男
出演:富司純子(和代)、寺島しのぶ(若き日の和代)、ダンカン(志郎)、あき竹城(澄代)、斉藤洋介(康夫)、楯真由子(晶子)、利重剛(浩一)、風見章子(母)、市川実和子(由香)ほか

いわて銀河鉄道の小繋(こつなぎ)駅の待合室には、いつからか「命のノート」がある。 「いつまでもつかわかりませんが、とりあえず置いてみます。旅のものより」と、 誰かが書き残して置いていったのが始まりだった。 ノートには旅人たちの様々な思いがびっしりと書き込まれている。 そのひとつひとつに返事を書いている女性がいた。 駅のすぐ近くでひとり酒屋を切り盛りする和代は、 旅人たちにお茶やおにぎりを差し入れしながら、ノートに励ましの言葉を書き続けてきた。 和代の元には、ノートを通じて知り合った若者が時々やってくる。 今日もトラックの運転手が友達を連れて訪ねてきた。

2003年に新聞に紹介された記事を読んだ板倉監督が、ぜひとも映画化を、 と奔走して完成した作品です。 全編実際に舞台となった岩手でのロケで、 和代のモデルとなった“おばちゃん”の店もそのまま使われています。 雪の舞う小繋駅、キュッキュッという雪を踏む音が厳しい寒さを感じさせます。
観光地でもない小さな駅に置かれたノートがなぜそんなに続き、大切にされてきたのか? 映画は和代の若きころまで遡ります。 東京オリンピックの放送が懐かしかったです(と、年がばれる・・)。 富司純子と寺島しのぶの親子共演が話題でしたが、 和代一人の時代を分けて二人が演じるので一つの画面に並ぶことはなくちょっと残念。 岩手の四季の風景が美しいです。劇中の小学校はすでに廃校となり、取り壊されることが決まっているのだとか。 映画の中に留めておけて地域の方はさぞ嬉しかったでしょうね。(白)

2006/日本/カラー/107分/デジタルシネマ作品
配給:東京テアトル/デジタルサイト
宣伝:マジックアワー

11月4日(土)より、ユーロスペース、銀座テアトルシネマほかにてロードショー
東京国際映画祭 日本映画ある視点部門 10月23日上映
http://www.machiaishitsu.com/


『エコール』(原題:INNOCENCE)

監督・脚本:ルシール・アザリロヴィック
撮影:ブノワ・デビエ 音楽:リチャード・クック 原作本:「ミネハハ」(フランク・ヴェデキント著/秋、リトルモアより発売)
出演:ゾエ・オークレール(イリス)、ベランジェール・オーブルージュ(ビアンカ)、リア・ブライダロリ(アリス)、マリオン・コティヤール(エヴァ先生)、エレーヌ・ドゥ・フジュロール(エディス先生)ほか

少女たちはどこから来て、どこへ行くのか?
小さな棺をかついだ男たちが地下道をやってくる。一室に棺が置かれると、どこからか白い服の少女たちが集まってきた。棺の中には下着ひとつを身につけた6歳の少女イリスが眠っていた。ここは深い森の中、高い塀で外界と遮断された学校(エコール)。今日からエリスの家となるのだ、と年かさの少女ビアンカが言う。少女たちは髪に学年別のリボンを結んでいて、エリスが入ったので順繰りに色を変える。6〜12 歳までの少女たちは1グループになり、毎日自然の生態やダンスを学んでいる。少女たちのほかには、2人の女性教師とまかないをする老女たち、と女性ばかりが住んでいる。森の外には出られないこと、様々な決まりに従うことをイリスは年上の少女たちから学んでゆく。

大人になる手前の可愛い少女たちが、森や池で戯れている場面はまるで妖精のようです。ただ、なぜ彼女たちがここに集められているのか、説明はありません。先生たちのセリフなど思わせぶりな場面が多いので、観客それぞれに想像+創造してくださいということかと思います。ダンスのできる子たち(うまくなくても)をキャスティングしたという監督の言葉でしたが、ポスターの写真の女の子の足が綺麗です。(白)

*ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 審査員特別賞を受賞

◆エコール人形展&人形写真集発売決定
「Petite Ecole exhibition 〜エコール人形展〜」
期間:9月15(金)〜24日(日)
   11:00〜20:00
場所:アニエスベー青山店(入場無料)
主催:アニエスベー
協力:キネティック、ピグマリオン

2005/ベルギー・フランス合作/カラー/1時間55分/ Dolby SRD / シネマスコープ
配給:キネティック

公式 HP >> http://www.mokeyama.com/ecole/

★11月4日(土)より、シネマライズほか全国順次ロードショー


『CHAOS カオス』

監督・脚本:トニー・ジグリオ
撮影監督:リチャード・グレートレックス
音楽:トレバー・ジョーンズ
ジェイスン・ステイサム(『トランスポーター』)、ウェズリー・スナイプス(『ブレイド』)、ライアン・フィリップ(『クラッシュ』)

武装集団によって銀行が襲撃される。しかし犯人は慌てて逃げる様子もなく、リーダー(ウェズリー・スナイプ)は包囲した警察に交渉人として、ある事件で謹慎処分となっていたコナーズ刑事(ジェイスン・ステイサム)を指名してきた。新米刑事のデッカー(ライアン・フィリップ)とコンビを組まされコナーズは現場に復帰し、交渉に当たるが、犯人は銀行を爆破し、まんまと逃げおおせてしまった。不思議なことに銀行からは現金を盗んだ形跡はなく、犯人が誰で何故コナーズを指名したのかも謎だった。テレビクルーが撮った映像がヒントとなって一味の一人が分かり、コナーズたちは追跡を開始する。だがデッカーは犯人の残した「カオスの中にも秩序はある」という言葉に引っかかるもの感じていた。

はじめに沢山の謎がばらまかれ混沌としてたものが、一つずつ解明されながらもまたそれが新たな謎を生むと言った具合で、観る者を最後まで厭きさせません。また、3人の役者のキャラクターも魅力的。冷静沈着で現場の仲間から厚い信頼を置かれる刑事役が、『トランスポーター』のフランク同様クールではまるジェイスン・ステイサム。アクションシーンは少なめですが、大胆不敵で冷酷な謎の銀行強盗犯役にウェズリー・スナイプ。そしてクレバーで熱い闘志をみなぎらし、コナーズの信頼を勝ち取るルーキー刑事役のライアン・フィリップ。童顔でとても若く見えますが、もう31歳、奥様はリース・ウィザースプーンでした(^^;)。実は彼が一番身体をはって活躍してくれます。アクション好きにも、サスペンス好きにも満足のいく一本です。(梅)

2005年/アメリカ/107分/35mm/カラー/シネマスコープ/SDDS、ドルビーデジタル
提供:アートポートxハピネット
配給:アートポート
宣伝:フレスコ

公式 HP >> http://www.chaos-movie.jp/

★11月4日より、シネマGAGA!、銀座シネパトス他にてロードショー


『炭鉱(ヤマ)に生きる』

監督 萩原 吉弘

今年は、炭鉱に関わる映画が続けて公開されていますが、この作品は、 筑豊炭鉱で鉱夫として長年働いていた山本作兵衛翁が炭鉱での生活を描いた絵画をもとに作られています。
作兵衛翁が描いた数百枚に及ぶ炭鉱絵画には、炭鉱の仕事や、炭住での生活、娯楽など、 筑豊炭鉱で暮らした人々の姿が生き生きと描かれ、炭鉱に生きた仲間たちの心意気、 人情、文化など、共に生きた人たちの姿を、私たちに伝えてくれる。
さらには、炭鉱で働いていた人々、劇場の支配人、炭住に来ていた大道芸人など、 炭鉱に関わっていた人たちへのインタビューからなる構成で、 筑豊には何百もの炭鉱があったと知り、日本にあった石炭産業の規模の大きさにびっくりした。 『三池 終わらない炭鉱の物語』『フラガール』、そして、この作品を観て、 日本の近代化を担ってきたのは、彼炭鉱夫たちだったんだと思った。 そして、炭鉱ではたくさんの女たちが石炭を切り出す最先端で働いていたことも知った。

http://www.montage.co.jp/yama/

11月4日より ポレポレ東中野にてモーニングロードショー公開中

11月18日(土)19時よりトークショー
「語りたい!! 筑豊炭鉱の本当の本当の姿を」
出演 田中直樹(日本大学生産工学部教授) 炭鉱労働史の第一人者
司会 萩原 吉弘 監督


2006年11月3日〜

『ユア・マイ・サンシャイン』you're my sunshine

監督・脚本:パク・チンピョ
撮影:ソン・スンテク
音楽:パン・ジュンソク
キャスト:チョン・ドヨン(ウナ/オップン)、ファン・ジョンミン(ソクチュン)、ナ・ニム(ソクチュンの母)、ソ・ジュヒ(ウナの友人)、ユン・ジェムン(ソクチュンの友人)、リュ・スンス(ソクチュンの友人)、ペク・ヨンハク(レポーター)、チョン・ユソク(ウナの前夫)ほか

36才独身のソクチュンは生まれ育った村で母親と暮らしている。 夢は自分の牧場を持つこと、お嫁さんを見つけて、幸せな家庭を作ること。 こつこつ働いて貯めた貯金があるが2つめの夢はなかなか実現しそうにない。 フィリピンへ花嫁探しに行って失敗したばかりだ。
喫茶室に勤めるウナは、業者のところで喧嘩しているソクチュンを見かけるが「オジサン」でしかない。 たまたまバイクに乗るウナとすれ違ったソクチュンは彼女に一目ぼれ、店へ通い牛乳を届けるわ、送迎をかって出るわとひたすら尽くしまくる。 かつて男性で苦労した過去のあるウナは「私は縁起の悪い女」と取り合おうとしないが、 裏表のないソクチュンの愛情にしだいにほだされてくる。

2002年韓国で論議をよんだHIVキャリアの女性とその夫のニュースを元に、パク・チンピョ監督が実際に彼らに取材し映画化した作品。 映画のうち5割ほどのエピソードが実話だそうです。 TVのドキュメンタリーのディレクターだったパク監督の脚本&演出に、演技派の俳優がこたえ、恋愛映画歴代NO.1ヒットの作品となりました。
構想段階からウナ役にチョン・ドヨンを考えていたという監督ですが、彼女は固辞し続け、最後にモデルとなった男性の2枚の写真を見せられてやっと受ける決心がついたそうです。 ファン・ジョンミンはその写真のように、初め純朴な田舎の青年らしく15kg体重を増やし、ウナに去られてからの撮影のために今度は12kg体重を減らしたといいます。 周りの偏見や妨害のため苦労し続ける2人ですが、実はとっても幸せなカップルだったのね!と祝福したくなる映画でした。(白)

DVに苦しみ、売春行為でHIVキャリアになり、投獄されと、ウナの人生は辛いことだらけですが、ソクチュンのとことん一途な愛によって全て帳消しになるほどの幸せを掴みます。フィクションの脚本だったら、ベタベタのおとぎ話のようですが、これが実話に基づいているというから、その愛の強さに感動してしまいます。(梅)

2005/韓国/カラー/122分/SRD/
配給:東芝エンタテインメント

11月3日(祝・金)、シャンテシネ、Q・A・Xほかにてロードショー

http://www.sunshine-movie.jp/

☆関連特別記事「『ユア・マイ・サンシャイン』チョン・ドヨン来日記者会見」もご覧下さい。


『ナチョ・リブレ』

監督・脚本:ジャレッド・ヘス
製作・脚本:マイク・ホワイト
撮影:ハビエル・ペレス・クロベット
音楽:ダニー・エルフマン
スタント・コーディネイター:ニック・ハウエル
出演:ジャック・ブラック(イグナシオ/ナチョ)、ヘクター・ヒメネス(スティーブン/ヤセ)、アナ・デ・ラ・レグエラ(シスター・エンカルナシオン)、セサール・ゴンザレス(ラムセス)ほか

両親に早く死なれて修道院で育てられたナチョは、 子供のころからルチャ・リブレ(メキシコ式レスリング)が好きだったが、 教会の教えに反すると禁止されていた。 ナチョの仕事は教会の料理番。 食材も十分なく「サラダが食べたい」という孤児たちに、ごった煮とチップスを配る毎日。 しかし新しくやってきたシスター・エンカルナシオンに一目ぼれ!がぜんやる気満タン。 孤児たちにおいしい食事を!シスターには愛を!自分には生きていく自信を! ナチョは憧れていたルチャのチャンピオン、ラムセスを目指すことにした。 町で捕まえたチップス泥棒のヤセをタッグの相棒に、 覆面ルチャドール(レスラー)となってリングに上る日がやってきた。


『スクール・オブ・ロック』で組んだマイク・ホワイトとジャック・ブラックのコンビが、 今度はメキシコを舞台に覆面プロレスラーとなる愛すべきダメ男の映画を作りました。 孤児院と覆面レスラーとくれば、思い出すのは「タイガーマスク」。 その原案とも言われるメキシコの伝説的ルチャドール、フライ・トルメンタ“暴走神風”を元に、 この「ナチョ・リブレ」が生まれました。 ジャック・ブラックは裸より恥ずかしいというぴちぴちタイツで頑張っています。 が、ナチョが強くなるのに、もうちょっと納得のいく修行をしてほしいと思うのは、 ジャッキー・チェン映画をさんざん観てしまったからでしょうか。 相棒のヤセの得意技?がお裁縫っていうのが笑えます。 (白)

2006/パラマウント映画/カラー/1時間32分/ビスタサイズ/SRD/
配給:UIP 宣伝:マンハッタン・ピープル

http://www.nacho-movie.jp/top.html

11月3日(金・祝)よりテアトルタイムズスクエアほか全国ロードショー
10月23日(月)東京国際映画祭(シアターコクーン)にて上映


『ニキフォル 知られざる天才画家の肖像』

監督:クシシュトフ・クラウゼ
脚本:ヨアンナ・コス、クシシュトフ・クラウゼ
撮影:クシシュトフ・プタク
美術:マグダレーナ・ディポイント
製作:ジュリアス・マチュルスキ
出演:クリスティーナ・フェルドマン(ニキフォル)、ロマン・ガナルテック(マリアン・ヴォシンスキ)、ルチアナ・マレク(ハンカ)、イエジ・グデンコ(ノワク)ほか

1960年、共産主義政権下のポーランド。南部の保養地クリニッツァに風変わりな老人がいた。 小さな旅行カバン一つを持ってどこででも絵を描き、観光客相手に売って日銭を稼ぐ放浪画家のニキフォルだ。 役所の美術担当として働くマリアン・ヴォシンスキも、役所の一角に小さなアトリエを構えていた。 栄転を間近に控え、妻子とともにより良い環境に移ることを楽しみにしている。 しかしニキフォルがアトリエに入り込み、勝手に絵を描き始めてしまう。 描きかけの自分の絵をけなされたマリアンは追い出そうとするが、ニキフォルが新聞に取り上げられたことから上司の言いつけで面倒をみるはめになってしまった。 頑固でわがまま、おまけに結核におかされた老人をうっとうしく思っていたマリアンだったが、何の束縛もなく自由で純朴なニキフォルの絵にいつしか魅了されていく。 妻のハンカが子供を連れて家を出、家庭崩壊の危機に陥りながらも、この孤独な老人を決して見捨てることはなかった。

ニキフォル(1895〜1968)は、現在ポーランドを代表する画家の一人として評価されています。 しかしその人生の大半を貧困と病苦の中で過ごしました。 言語障害を持ちはっきりと話せなかったために、絵を描くことを伝達手段としたのではないかと言われています。 誰かに習ったものではなく彼独特の描法で、生涯に4〜5万点もの作品を描き上げました。 映画は、ニキフォルと、晩年に出会ったマリアンとの交流を主に描いています。 二人の縁を感じずにいられません。ニキフォルを演じたクリスティーナ・フェルドマン(86歳の女優)は本人の写真に生き写し! 画面はニキフォルの目を通したかのように、どれも絵画的な感じがします。(白)

映画はニキフォルとマリアンの交流が中心なので、彼の作品の創作過程や、作品そのものはあまりクローズアップされません。そのため映画を観ていると、どんどん彼の作品を観てみたくなります。そんな欲求を満たすべく、劇場のロビーではニキフォルの原画などを展示するミニギャラリーが開かれます。 人よりも生きる苦しみが何倍も大きかったはずですが、彼の絵は鮮やかな色彩に溢れ、素朴で、ちょっとユーモラスですらあります。この機会に是非、ご覧になってみてください。(梅)

2004/ポーランド/カラー/1時間40分/ヴィスタサイズ/ドルビーデジタル/
提供:パイオニア映画シネマデスク
配給:エデン配給協力:レゾナント・コミュニケーション
宣伝:フリーマン

http://www.nikifor-movie.com/

11月3日(金・祝)〜12月14日(木) 写真美術館にて上映
休映日:毎週月曜日及び 12/1、12/9、12/10
★上映期間中、劇場ロビーにてニキフォルのミニギャラリーも開催されます。


『unknownアンノウン』
監督:サイモン・ブランド(映画初監督、CM出身)
脚本:マシュー・ウェイニー
撮影:スティーヴ・イェドリン
出演:ジム・カヴィーゼル(デニムの男)、グレッグ・キニア(鼻が折れた男)、バリー・ペッパー(作業着の男)、ジョー・ハントリアーノ(縛られた男)、ジェレミー・シスト(手錠の男)、ピーター・ストーメア(蛇皮ブーツの男)、ブリジッド・モイナハン(エリザ・コールズ)ほか

床に倒れていた男が目を覚ます。見回すと血のついたスコップが落ちている。 椅子に縛られている眼鏡の男、うつぶせに倒れている男、 手錠につながれて高い柵に吊り下げられている男がいた。 皆生きているのか死んでいるのか動かない。男は恐怖にかられて出口を探し回る。 古い工場のようだが他に人はいない。 トイレの手洗いで水を飲み、鏡に写った自分を見て愕然とする。俺は誰だ?! 目が覚めるまでの記憶が何一つなかった。

密室で人が倒れていて、手錠とくれば『SAW』を思い出しますね。 これは5人の記憶を失った男たちがまずいて、 なぜこんな状態になったのか誰にも思い出せません。 後にそのうちの2人が誘拐された人質、3人は誘拐犯とわかります。 わかったのはそれだけで、自分が誰でどちら側なのか、他の4人は敵か味方かが不明です。 誘拐犯の仲間が数時間後には戻ることで、緊張感がいよいよ高まっていきます。 この5人の生き残りへのかけひきと、警察と誘拐犯の仲間の攻防を交互に写して、ドキドキ。 観客も誰が誰で、何の役目を持っているのかと頭をフル回転させられます。 先に観た人はネタばらし厳禁ですよ。(白)

2006年/アメリカ/カラー/シネマスコープ/SRD・SR/上映時間:85分/字幕翻訳:太田直子

提供:ムービーアイ+プレシディオ+ジェネオン エンタテインメント
配給・宣伝:ムービーアイ
http://www.movie-eye.com/unknown/

11月3日(祝)、渋谷シネクイント他全国ロードショー


2006年10月28日〜

『明日へのチケット』原題:TICKETS

共同監督:エルマンノ・オルミ(『木靴の樹』)、アッバス・キアロスタミ(『桜桃の味』、ケン・ローチ(『麦の穂をゆらす風』)

いずれもカンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールを受賞した3人の監督が、 ローマへ向かう特急列車を舞台に、一本の作品を作り上げた。 様々な国の人たちが乗り合わせた列車の中で繰り広げられる人間模様・・・。登場人物は微妙に重なり合い、単なるオムニバスではない、 自然に繋がりのある長編となっている。

◆1枚目のチケット(エルマンノ・オルミ監督)

初老の大学教授(カルロ・デッレ・ピアーネ)は、 出張先のインスブルックからローマへの飛行機が全便欠航となった為、 列車で帰ることになる。仕事のパートナーであるオーストリア企業の秘書 (ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)が確保してくれた席は、食堂車。連結部分にも人が溢れる満杯の列車。食堂車入口の通路で、 アルバニア移民の家族が赤ちゃんのミルクを調合しようとしていたところに軍人が通りかかり、ミルクをこぼしてしまう。謝るどころか、彼らを邪魔扱いする軍人をみていた大学教授は、 思わぬ行動に出る・・・。

◆2枚目のチケット(アッバス・キアロスタミ監督)

翌朝、イタリアの小さな駅で、将軍の未亡人である太った中年女性 (シルヴィア・ドゥ・サンティス)が、兵役義務の青年(フィリッポ・トロジャーノ)をお供に、 将軍のお墓参りに向かうために乗り込んでくる。 彼女の持っているチケットは二等車のものだったが、青年が引きとめるのもかまわず、強引に一等車の空席に座ってしまう・・・。
窓ガラスに映る反対側の風景や、尾根に一定間隔を置いて並ぶ木など、いかにもキアロスタミの世界。彼女が座ってしまった席の指定券を持った二人連れの紳士は、 クレジットされていないが、ペルシア語で会話していて、イラン人と思われる。

◆3枚目のチケット(ケン・ローチ監督)

列車内のビュッフェ。 スコットランドから地元チームのローマでのサッカーの試合の応援に向かう スーパーマーケットの若い店員3人が、ベッカムのユニフォームを着た少年に声をかける。 少年はアルバニア出身。 3人があげたサンドイッチを席に戻って家族と分けあって食べている姿を見て、 持っていた残りのサンドイッチも彼らに差し出す。 アルバニアの家族は、一家の大黒柱である父親の出稼ぎ先であるローマに向かうところだったが、 訳あって切符は一人分足りない・・・。


人間のエゴ、勘違い、助け合い、思わぬ出会い・・・ 人生を凝縮したような列車内の出来事の数々に、 人の数だけ物語が存在することを思わずにいられなかった。 そして、自分の人生が、出会った人の人生の一部になっていくことにも思いが至った。 三人の監督は、この作品の構想が出るまで、会ったことはないという。 様々な出会いが人生を豊かにするごとく、三人の監督の出会いが、 この作品に不思議な味わいをもたらしているように思った。(咲)

イタリア・イギリス合作/110 分/ドルビー・デジタル/2005年
配給: シネカノン
宣伝: ムヴィオラ

★10月28日(土)より、渋谷シネ・アミューズにて都内独占ロードショー
公式サイト: http://www.cqn.co.jp/ticket/


『トンマッコルへようこそ』Welcome To Dongmakgol

監督:パク・クァンヒョン
脚本:チャン・ジン(原作)/パク・クァンヒョン
撮影:チェ・サンホ
音楽:久石譲
キャスト:チョン・ジェヨン(リ・スファ/人民軍)、シン・ハギュン(ピョ・ヒョンチョル/韓国軍)、カン・ヘジョン(ヨイル)、イム・ハリョン(チャン・ヨンヒ/人民軍)、ソ・ジェギョン(ムン・サンサン/韓国軍)、リュ・ドックァン(ソ・テッキ/人民軍)、スティーブ・テシュラー(スミス/連合軍)、チョン・ジェジン(村長)、チョ・ドッキョン(キム先生)、クォン・オミン(ドング)ほか

1950年代、朝鮮戦争まっただなかの頃。深〜い山の中に、争いごととは縁のない人情豊かな人々の住むトンマッコルという村があった。戦争があることも知らずに暮らしていた村に、ある日次々と外の人間がやってきた。墜落した連合軍偵察機のパイロット、アメリカ人のスミスは村人に助けられた。天真爛漫な娘ヨイルは、敗走する人民軍のリ・スファら3人を連れてくる。韓国軍のピョ・ヒョンチョルと衛生兵のサンサンも、道に迷っているところを救われた。ところが敵同士のこの5人、すぐさま銃を向け合い、村人にも動くな! と恫喝。村人たちは武器を見たこともなく、なんで怒ってるの? という始末。それより畑を荒らすイノシシのほうが大問題なのだ。睨み合ったまま朝を迎えた兵士たちは、誤って村の食料倉庫を手榴弾で吹き飛ばしてしまった。冬用に蓄えた食料を台無しにしたことに責任を感じた兵士たちは、ひとまず戦いはやめて畑仕事を手伝い始める。
一方連合軍は、行方知れずになったスミスを探して、新しい作戦を立てていた。

劇作家、映画監督としても活躍中のチャン・ジンの舞台劇を元に映画化したもの。後輩にあたるパク・クァンヒョン監督は、初の長編作品ですがこれまでCM界で高い評価を得ています。センスある映像美でファンタジーとヒューマンドラマを見事に融合させています。誰もが行ってみたくなるトンマッコルの村では、心身に傷を負った兵士たちも癒され、笑顔を取り戻します。思わず観ているほうも戦争など忘れてしまうのですが、外の世界は容赦なくこの村にも侵出して・・・。あとは劇場でどうぞ。久石譲氏の音楽がこの世界をより深くしています。妖精のようなカン・ヘジョンを始め、どの配役もぴったりでした。(白)

軍服を脱ぎ捨て、村人たちと同じ服を着たそれぞれの兵士たち。言葉や肌の色が違っても人間は皆、同じ。楽しそうに踊っている村人たちを見て、「これが人生だよね」とつぶやく連合軍の兵士。そう、戦いなんかやめて、皆輪になって踊りましょう! 民間人への誤爆をなんとしても避けようと、元は戦い合う立場の兵士たちが力を合わせる姿を、毎日のように聞こえてくる民間人の犠牲を引き起こしている人たちに是非観てもらいたいと思った。(咲)

トンマッコルで人生は憎しみあって争うためにあるのではなく、心穏やかに素直に楽しむためにあるはずと気づく兵士たち。彼らが命がけで守ろうとしたものは、誰にも汚されたくない自らの良心だったのではないでしょうか。
凝った映像はたまにやり過ぎに感じる部分もありましたが、素晴らしくファンタジックなシーンがいくつもあり、これから先もずっと心に残りそうです。(梅)

2005/韓国/132分/カラー/ドルビーデジタル
配給:日活
宣伝:メゾン

公式 HP >> http://www.youkoso-movie.jp/

★10月28日(土)より、感動の全国ロードショー

特別記事『トンマッコルへようこそ』パク・クァンヒョン監督&久石譲舞台挨拶レポートもご覧下さい。

特別記事『トンマッコルへようこそ』舞台挨拶&記者会見もご覧下さい。

試写会招待状プレゼント
試写会招待状プレゼント終了。
たくさんのご応募ありがとうございました。抽選の上(みなさんに差し上げたかったです。外れた方ごめんなさい)、15通を17日発送いたしました。

日程/8月29日(火)
会場/イイノホール (東京メトロ霞ヶ関駅徒歩2分)
時間/開場18:00  舞台挨拶18:30  上映開始19:00
ゲスト/シン・ハギュン、チョン・ジェヨン、カン・ヘジョン、パク・クァンヒョン監督  (4人揃っての舞台挨拶を予定)

15組 30名様をご招待


『バタリアン5』
監督:エロリー・エルカイェム
脚本:ウィリアム・バトラー、アーロン・ストロンゴーニ
音楽:ロバート・ダンカン、エイミー=リン・チャドウィック
出演:ジョン・キーフ(ジュリアン)、エイミー=リン・チャドウィック(ベッキー)、コリー・ハードリクト(コーディ)、ジェニー・モーレン(ジェニー)、ピーター・コヨーテ(チャールズ)ほか

チャールズはハイプラテックス社「トライオキシン5」で蘇ったゾンビによる混乱に乗じ、 研究所からトライオキシン入りドラム缶を盗み出していた。 黒服の二人に売りつける予定だったが、本物かどうか確認してからと言われる。 死体安置所で実験した挙句、チャールズは噛み殺されてしまう。 甥のジュリアンは家の片付けに行き、伯父の隠した残りのドラム缶を見つける。 ジュリアンに頼まれて缶の中味を調べた化学おたくのコーディは、 その液体がドラッグとなることを発見。 悪友たちと一儲けしようと、カプセルにつめて学生に売り始めてしまった。 チャールズの家には黒服の二人組が忍び込み、ドラム缶がほかにもあることを突き止める。 そんな騒ぎも知らず、ハロウィーンのパーティが着々と準備されていた。

前作の4と同時製作されたので、スタッフ、キャストほぼ同じです。 ホラーが苦手で、ポスターを見ただけで敬遠していた『バタリアン』シリーズを今回初めて観ました。 「ホラー/コメディ」ジャンルだったのね。あちこち笑えました。 トライオキシンの行方を追って出没するインターポールの二人組もお笑い担当。 次々と増殖するゾンビと個別に闘う主人公たち。効率が悪い! ドラッグとセックスとダンスと音楽に酔いしれる若者たちの中では、 「ブレイン〜」と頭に噛み付くゾンビたちが目立ちません。 収拾の仕方も皮肉。タールマンも出てきます。(白)

4からの続き物のはずなのに、高校生から大学生になった主人公たちは、ゾンビに対してまったく無知。前回、恋人や友人も失っているのに、そんな過去の痛みも全くナシ! 君たち、軍に記憶抹消されたの? それともドラッグやりすぎて、脳みそゾンビに食べられる以前に溶けちゃった?(笑) シュールな笑いが加速していて、5は4以上に面白いです。わたしはネズミが何処へ行ったのか気になってしかたありません。このシリーズ、まだまだ続くのかも・・・(梅)

2005/アメリカ/カラー/95分/映倫 R-15
アートポート/ギャガ・コミュニケーションズ

★10月28日(土)より銀座シネパトスほかにてロードショー


『クリムト』(原題:Klimt)

脚本・監督:ラウル・ルイス
製作代表:ディエター・ポホラトコ
撮影監督:リカルド・アロノヴィッチ
衣装:バージット・フッター
出演:ジョン・マルコヴィッチ、ヴェロニカ・フェレ、サフラン・バロウズ、ニコライ・キンスキー、スティーヴン・ディレイン ほか

クリムトは「エロスとタナトス(死)」をテーマにした、官能的な女性像を描き続けた画家ですが、彼の生きた時代にそのような題材を描くことは大変な挑戦であり、彼は常に賞賛と罵声の両方を浴びました。映画は単純にクリムトの人生を追うだけではなく、夢とうつつを彷徨いながら、彼の迷い続ける精神世界を、ひいてはフロイトやマーラーやウィトゲンシュタインが登場した19世紀末ウィーンの空気を描き出そうとしています。
モデルに触れなければ描けないと言い、当時ウィーンには彼の子供が30人もいたという噂。一方で彼の一番の理解者であったミディとはプラトニックな関係を通したと言います。画家でありながら、ボクシングやレスリングを好む体力自慢のマッチョな男。しかし子供たちの生活費の面倒は見ていたし、貧富や人種による差別や偏見も持たない人だったようです。この矛盾だらけの魅力的な人物を、マルコビッチが繊細に、危うさ一杯に演じています。
ところで今年の初めに、ナチスドイツ政権下で接収されたクリムトの代表作5作品が、絵画のモデルの遺族による訴えを裁判所が認めて、オーストリア政府に返還を命じたというニュースがありました。19世紀末の画家の代表作を多く収蔵するオーストリア・ギャラリーから、クリムトの主要作品が5つもなくなるのは大きな損失。どうするのか注目されましたが、その後、その中の一つ「アデーレ・ブロッホ・バウアーI」がオークションに掛けられ155億円でニューヨーク市の美術館「ノイエ・ギャラリー」が落札し、7月に一般公開されて話題となりました。
わたしはちょうどこの公開時期にニューヨークへ行っていて、ノイエ・ギャラリーの近くを通ったのですが、美術館の外に行列が出来ていました。しかしその時は、この話題を知らず「なにこの行列は?」と思っただけでした。後になってこの映画を観たり、ニュースを知ったりして、予定変更して観に行けば良かったとかなり後悔しています。(梅)

2006年/オーストリア・フランス・ドイツ・イギリス合作/97分/カラー/35mm/アメリカン・ヴィスタ/Dolby SRD/映倫 R-15
配給:メディア・スーツ

公式 HP >> http://www.klimt-movie.com/

★10月28日(土)より Bunkamuraル・シネマ、シネスイッチ銀座ほか 全国順次ロードショー


『木更津キャッツアイ ワールドシリーズ』

監督:金子文紀
脚本:宮藤官九郎
撮影:山中敏康
音楽:仲西匡
プロデューサー:磯山晶
出演:岡田准一(ぶっさん)、櫻井翔(バンビ)、岡田義徳(うっちー)、佐藤隆太(マスター)、塚本高史(アニ)、酒井若菜(モー子)、阿部サダヲ(猫田)、山口智充(山口先輩)、ユンソナ(ユッケ)、栗山千明(杉本彩子)、MCUほか

ぶっさんが死んで3年。木更津キャッツアイのみんなは木更津を離れそれぞれの道に進んでいった。バンビだけは木更津に残り、市役所職員になった。市長選挙の宣伝カーで走っていたある日、バンビの耳にぶっさんの声が聞こえる。「それを作れば彼がやって来る」と。「それ」って何?バンビはケンカ別れしていたアニとマスターに会いにゆく。「俺たち、ちゃんとぶっさんにバイバイ言ってない」3人はぶっさんのいう「それ」を作ってぶっさんに再会しようと考える。もう一人のキャッツメンバー、うっちーは自衛隊員になっていた。美人教官の杉本の強烈なしごきに耐えかねて脱走したうっちーは、自分のと間違えてとんでもないものが入ったバッグを持ち出してしまう。

3年ぶりに復活した「木更津キャッツアイ」。上映前に興をそぐことのないよう、NGワードがたくさんあります。そこに触れずして、ストーリーや感想を語ることは非常に難しいので詳しくは語れません。がっ、前作にましてパワー炸裂(岡田くんがあんなにテンション高いとはっ)、なだれのようにありえない展開になり、豪華配役陣がスピード感もたっぷりに笑いと涙をプレゼント。一日でも早くクドカン脚本に引きず りまわされたい方は東京国際映画祭狙いで。(白)

2006/日本/カラー/2時間12分/ヴィスタサイズ/ドルビーデジタル
配給:アスミック・エース

公式 HP >> http://www.tbs.co.jp/catseye/

☆10月25日(水)東京国際映画祭(シアターコクーン)にて上映
★10月28日(土)渋谷シネマライズほか全国一斉ロードショー


2006年10月21日〜

『地下鉄(メトロ)に乗って』

監督:篠原哲雄
原作:浅田次郎
出演:堤真一、岡本綾、田中泯、笹野高史、北条隆博、吉行和子、常盤貴子、大沢たかお

長谷部真次、43歳。下着メーカーの営業マン。 ある日、携帯に父が倒れたとの弟からのメッセージ。 巨大企業を一代で築いた父とは、高校卒業後縁を切って以来会っていない。 思えば今日は若くして亡くなった兄の命日。 過去に思いを馳せながら、地下鉄を降りると前を行く男が兄の姿に思えて、思わず追いかける。 階段を上ると、そこには、「東京五輪」と書かれた提灯の連なる町が…。 真次は昭和39年の町に迷い込んだのだった。 その日は、兄の亡くなる直前の日。 戸惑う真次の時空を越える旅は、終戦直後昭和21年の東京へと移り、闇市でアムールと呼ばれる男と、その恋人お時に出会う。 そこには、真次の恋人みち子も時空を越えてやってきていた。 そして、さらに遡り、真次とみち子は戦時中に誘いこまれる。 銀座線に乗って、出征する兵士たち。 そこで真次は、「祝出征 小沢佐吉」のたすきをかけたアムールを見かける。 闇市の男アムールは、忌み嫌った実の父親の若き姿だったことを知る…

このところ、『ALWAYS 三丁目の夕日』『嫌われ松子の一生』など、 戦後の混乱から立ち上がり、高度成長期に差しかかった時代を描いた映画をいくつか観て、 戦後生まれの私にとっては、懐かしい思いで胸がいっぱいになったが、 本作では、さらにその前の戦時中、終戦後の苦しい時代も描き出している。 私の両親の世代が、戦争に翻弄された青春を送った時代にあらためて思いが至り、 困難な境遇に陥ったときの人間のエネルギーは凄いと思った。 今の日本人、いや、私にそんな力はあるだろうか・・・。(咲)

10月21日(土) 丸の内ピカデリー2他 全国松竹・東急系にてロードショー

http://www.metro-movie.jp/


『天使の卵』
監督:冨樫森
脚本:今井雅子
撮影:中澤正行
主題歌:「君がいるから」SunSet Swish
原作:村山由佳「天使の卵 エンジェルス・エッグ」「天使の梯子」集英社
出演:市原隼人(一本槍歩太)、小西真奈美(五堂春妃)、沢尻エリカ(斉藤夏姫)、戸田恵子(歩太の母)、北村想(歩太の父)、鈴木一真、三浦友和

国語教師の夏姫(なつき)は、工事現場で懐かしい後姿を見つけ、声をかける。 一本槍歩太(いっぽんやりあゆた)、せっかく入学した美大にも行かず絵も描いていないと聞いていた。 「もう描きたい人がいない」、そう言って立ち去る歩太に夏姫は「いるじゃない、一人だけ」とつぶやく。 二人には忘れられない共通の思い出があった。

4年前、美大志望の浪人生だった歩太は満員電車で美しい女性に出会った。 面影を胸に刻んで、何枚もの絵を描いたが、父親が入院していた病院で偶然再会する。 彼女は五堂春妃(ごどうはるひ)、父の主治医だった。 さらに当時ガールフレンドだった夏姫の8歳違いの姉だとわかるが、歩太は彼女への想いを止めることができなかった。

94年に刊行された村山由佳「天使の卵 エンジェルス・エッグ」をもとに、 『ごめん』、『星に願いを。』の冨樫森監督がメガホンをとりました。 一途に恋する歩太に『チェケラッチョ!』の市原隼人。 この作品では優しくて繊細な表情を見せます。清楚で凛とした春妃には小西真奈美。 『阿弥陀堂だより』のことばの不自由な少女役でしたね。 元気な夏姫には出演作があいつぐ沢尻エリカ。 冒頭のスーツ姿に大人の女性になったんだなとびっくり。 それぞれが好演している胸の痛くなる純愛ストーリーです。 劇中歩太が描く絵は全て、東京芸大卒の津田やよいさんの手になるものです。 これがすごく繊細で、綺麗。寅壱のニッカボッカが似合う歩太のイメージとはちょっと違う気もするのですが。 市原隼人くん息子にしたい可愛さです。しかーし一番印象に残ったのは、 純な眼差しのお父さん役、北村想氏でした。(白)

2006/日本/カラー/114分/ビスタサイズ/
配給:松竹株式会社
http://www.tentama.jp/

10月21日(土)より東劇ほか全国ロードショー
劇場窓口にて特別鑑賞券お買い上げの方に「特製色鉛筆セット」プレゼント中。愛する人をデッサンしよう!


『ダンジョン&ドラゴン2』(Dungeons & Dragons:The Elemental Might)

監督:ゲリー・ライブリー
脚本:ロバート・キメル、ブライアン・ラドニック
撮影:イゴール・メグリック
音楽:デビッド・ジュリアン
出演:マーク・ダイモンド(べレク)、クレメンシー・バートン=ヒル(メローラ)、ブルース・ペイン(ダモダール)、 エリー・チドジー(ラックス)、スティーヴン・エルダー(ドリアン)、ルーシー・ガスケル(オーマリン)、ニム(ティム・スターン)ほか

イシュミールは人間とメイジ(魔術師)たちが力を合わせて平和を守っている国であった。 近衛隊長であったべレクは宰相となり、妻のメローラはメイジとしての研鑽も怠りなかった。 近衛隊が出かけてしまった後、近くの村に異変が起こった。 べレクとメローラが探索し、洞窟に眠る巨大な黒龍を発見する。 書庫にあった幻のチュランの書により、黒龍は大昔ファラジアという地獄を支配していたが、 チュラン国の魔術師によって山に封じ込められたことを知る。 一方、呪いをかけられて死んだダモダールが復活し、 龍を呼ぶ力を秘めたファラジアの宝珠(オーブ)を手に入れていた。 闇の力が強まったことを知った国王は、龍が目覚める前にオーブを探し出すよう、 べレクに命じる。べレクはバーバリアンのラックス、神官ドリアン、魔術師のオーマリン、 そして闇の世界を知るローグのニムを伴って旅に出ることになった。

前作2000年製作の『ダンジョン&ドラゴン』の100年後の世界を描いています。 元となっている「ダンジョンズ&ドラゴンズ」は1974年に誕生した、 世界初のロールプレイングゲーム(RPG)です。30年前のことですから、 コンピュータではありません。ダイスとダンジョンマップ(洞窟地図)、シナリオ、 ルールブックを使った複雑なボードゲームといえばいいのでしょうか。 後に続々と生まれるゲームはもちろん、映画や小説にまで大きな影響を与えたものです。 前作で死んだ悪の魔術師ダモダールが復活し、 黒龍を目覚めさせて復讐を遂げようとします。 それを阻止するべく、勇者が戦うというもの。 ゲームの世界観がどんなふうに映像で表現されているのか、お確かめください。 俳優さんがちょっと地味かなぁ。(白)

2005/アメリカ/カラー/105分/DTS/ビスタサイズ/
配給:AMGエンタテインメント
配給協力:シナジー
宣伝:フリーマン・オフィス

10月21日(土)より銀座シネパトスにてロードショー


『サラバンド』(原題:SARABAND)

監督・脚本:イングマール・ベルイマン
撮影:レイモンド・ウェンメンロブ、ペーオー・ラント、ソフィ・ストリッド
出演:リヴ・ウルマン、エルランド・ヨセフソン、ボリエ・アールステット、ユーリア・ダフヴェニウス、グンネル・フレッド

マリアンは離婚して30年ぶりに元夫ヨハンの住む別荘を訪ねる。争った過去は遠く過ぎ去り、懐かしい友のように抱き合い、再会を喜ぶ。戸惑いからその日に帰るつもりだったが、少し長く逗留することに変更する。
別荘の近くにはヨハンの息子ヘンリックとその娘カーリンが住んでいた。カーリンは音楽家の父の教育を受けてチェロの才能を伸ばしていたが、母を亡くして以来、父のカーリンに対する愛情は異常なまでに激烈で、彼女は持てあまし気味だった。一方、ヨハンとヘンリックの間には長年に渡り埋めようのない亀裂があった。マリアンは再びヨハンとその家族に関わり、その深い葛藤を間近に見つめることになる。

この作品は1974年に製作された『ある結婚の風景』の続編にあたります。ベルイマン監督は20年前に『ファニーとアレクサンドル』を撮って映画監督引退宣言をし、その後は舞台の脚本を演出をしていました。85歳でこの作品を遺作と公言して発表しましたが、デジタルハイビジョン撮影という新しい試みにチャレンジすることからして、その精神はいまだとても若々しいと感じます。物語も映像も一切の無駄が無く、シンプルの極み。それなのにどうしてこんなに心の揺れを露わにできて、観る者を引き込み、緊張させるのだろうと、感嘆しました。
尚、この作品はCS放送シネフィル・イマジカ開局10周年記念上映作品です。9月30日にはシネフィル・イマジカにてベルイマン特集として旧4作品が一挙放送されます。 (梅)

1974年作品『ある結婚の風景』は、夫婦関係に亀裂が生じ、崩壊するさまをリアルに描いた作品だが、『サラバンド』は別れて30年後の二人を描いた作品。リヴ・ウルマンと、エルランド・ヨセフソンが前作と同じ役で出演しているが、前作を観ていなくても、単独で充分に楽しめる作品となっている。
「サラバンド」とは、17〜18世紀にヨーロッパの宮廷で普及した古典舞曲のこと。元夫婦のヨハンとマリアン、父と息子ヨハンとヘンリック、父と娘ヘンリックとカーリン・・・、それぞれの愛憎を象徴するが如く、バッハの≪無伴奏チェロ組曲第5曲≫、ブルックナーの交響曲、ブラームスの弦楽四重奏曲などが奏でられる。幻想的な映像は、是非スクリーンで味わってほしい。(咲)

2003年/スウェーデン/112分/カラー/16:9(ハイビジョン)/ドルビーSRD/R-15
配給:シネフィル・イマジカ
宣伝:テレザ、グアパ・グアポ
後援:スウェーデン大使館

公式 HP >> http://www.saraband-movie.com/

★10月21日(土)より、ユーロスペースにてロードショー


『百年恋歌』原題:最好的時光/英題:Three Times

監督:ホウ・シャオシェン
脚本:チュー・ティエンウェン
撮影:リー・ピンビン
製作・編集:リャオ・チンソン
製作・美術:ホワン・ウェンイン
出演:スー・チー(秀美/芸妓/陳靖)、チャン・チェン(青年/客/震)、メイ・ファン(老女将)、ディ・メイ(秀美の母/女将)、リャオ・シュウチョン(ビリヤード場女主人/靖の母)、チェン・シーチャン(春子/妹芸妓/BLUE)、リー・ペイシュアン(ビリヤード場女の子/MICKY)

三つの時、三つの夢、三つの愛——
あなたといつも一緒にいたい、いつまでも

候考賢(ホウ・シャオシエン)の集大成ともいえる「百年恋歌」は三つの時代に、 儚くも激しく求めあった男女を描いている。

★1966年「恋の夢」
ビリヤード場で働く女シウメイ(スー・チー)と兵役を控えた若者(チャン・チェン)。 互いに柔らかい眼差しでチラッと見ているだけですが、幸せそう・・・。 聴いたことのある古い曲が、二人を優しく包んでいます。 また目をつむって音だけを聴くと、音楽は効果音とセッションしているのを強く感じました。 玉突きの音、チョークで擦る音、すべてが音楽に組み込まれているのです。 これは「珈琲時光」でも強く感じました。題名どおり、淡い恋の情感たっぷりです。

★1911年「自由の夢」
遊郭の芸妓(スー・チー)と外交官(チャン・チェン)の大人の恋をサイレントで表しています。 そこに漂う気品にはため息が出ました。 南管(四本弦だが三味線に似た音で爪弾く)の響きが胸のうちに秘めた恋の痛みを感じさせ、 どの場面を切り取っても色彩、陰影、光の取り入れ方に無理がなく圧倒されました。

★2005年「青春の夢」
バイクの爆音で始まる現在。 歌手のジン(スー・チ−)とカメラマン(チャン・チェン)は激しく惹かれあうが、 お互い独り身ではない。 心の奥底で激しく渦巻く恋しい気持ちを表に出せない苦しさが伝わりましたが、 私は現代なんだから、はっきり言って!と少し苛つきました。 これは時代も場所も「ミレニアム・マンボ」に共通するものがあります。

『ミレニアム・マンボ』の多感なス−・チ−、『ガラスの城』の上品なスー・チ−、 『トランスポーター』の躍動感あふれるスー・チーを観てきましたが、 『百年恋歌』では寡黙で横顔素敵!のスー・チーでした。(美)

2005年台湾電影金馬奨 最優秀主演女優賞(スー・チー)、最優秀台湾映画賞受賞

2005/台湾/カラー/ドルビーSR,SRD/ヴィスタ/131分
配給:プレノン・アッシュ

10月21日(土)より、シネスイッチ銀座にてロードショー


2006年10月14日〜

『ドラゴン・スクワッド』(原題:猛龍)

監督:ダニエル・リー
脚本:ダニエル・リー、ラウ・ホーリョン
アクション監督:チン・ガーロウ
撮影:トニー・チャン(HKSC)
美術:マー・クォンウィン
音楽: ヘンリー・ライ、チェン・ヨン
キャスト:ヴァネス・ウー(ホー)、ショーン・ユー(ロク)、ホァン・シェンイー(シュウ)、シャ・ユイ(シャオジュン)、ローレンス・チョウ(ジェイ)、マイケル・ビーン(ペトロス)、ホ・ジュノ(コー)、マギー・Q(ユエ)、ジン(リー・ピンピン)、サイモン・ヤム(ホン警視)、サモ・ハン(ゴン・ロン)ほか

黒社会の首領の弟パンサーが、重要事件の証言のため出廷することになった。 護衛のため、各地から若き精鋭が香港に召集される。 アメリカから元SWATの一級射手ホー、イギリスから元特殊部隊員のジェイ、中国からスナイパーのシャオジン、 地元香港からは最高のドライビング・テクニックを誇るロク、 紅一点の潜入捜査官シュウの5人。 綿密に練られた護送計画だったが、パンサーは突如襲ってきた強力な武装集団に拉致されてしまった。 失態を演じた5人をホン警視は、元の上司ゴン・ロンに預ける。 あと数日で定年になるロンは、銀行強盗事件の捜査で部下を死なせて以来なんの意欲もわかず、彼らを鍛えようともしなかった。 しかし事件当時敵対したコーが現れる。コーはパンサーを拉致した武装集団の1人だった。

『猛龍』という原題は、70年代の人気TVドラマ「Gメン’75」の香港タイトル「猛龍特警隊」からとったもの。 共通しているのはそれぞれ特技をもったメンバーが、チームとして難事件を解決すること、とリー監督。 東京でのソロ・コンサートを成功させたばかりのヴァネスは、 リー監督と『スター・ランナー』についで2度目の合作。 左手でのガンアクションがさまになっています。
映画の冒頭、風を切って現れる5人はとってもかっこいいのですが、 敵も豪華な布陣で、ひさしぶりのマイケル・ビーンに韓国の演技派ホ・ジュノ、 『M:i:III』での大役を射止めたマギー・Qほか。 貫禄負けしている若い5人をサポートするのは、ベテランのサイモン・ヤムとサモ・ハン。 派手な銃撃戦やアクションばかりでなく、 それぞれの背景も描き込まれていてサモ・ハンのエピソードはちょっと泣かせます。 ショーン・ユーの兄役でトニー・ホーも出演。(白)

2005/香港/カラー/111分/ビスタ/ドルビーSRD/
配給:SPO 宣伝:シナジー・リレーションズ

http://www.cinemart.co.jp/d-squad/

★10月14日(土)より、シネマート六本木、シネマート心斎橋ほか全国順次ロードショー


『ハリヨの夏』

監督・脚本:中村真夕(なかむらまゆ)
撮影:山崎裕
音楽:PE'Z(ペズ)
出演:於保佐代子(大島瑞穂)、高良健吾(杉本翔)、風吹ジュン(母)、柄本明(父)、キャメロン・スティール(チャーリー)、谷川俊太郎(三木先生)ほか

1990年京都。瑞穂(みずほ)は高校3年生。居酒屋で働く母になにかと反発し、父が家を出たのは母のせいではと思っている。別居中の父とはときどき会い、いつか元どおりに家族が揃うことを願っている。父からハリヨという小さな魚をもらった。綺麗な水にしか住まないというその魚を育ててみるつもりだ。
同級生の翔は泳ぎを教えてくれたりする仲だけれど、瑞穂の友達も翔を好きらしい。 瑞穂の誕生日に必ず来ると約束した父は来なくて、母の居酒屋での男友達がケーキを持って訪れる。ベトナム帰りだというチャーリーに妹はすっかりなついているし、いたたまれなくなった瑞穂は一人家を飛び出してしまう。

中村真夕監督の劇場映画デビュー作品。1973年生まれの監督の思春期のころ、一足早く大人になった同級生がいたそうです。そんな思い出を元に、高校生の女の子が経験するひと夏のできごとを、ハリヨの成長と交互にみずみずしく描いています。ハリヨは背中に3本のトゲを持つトゲウオ科の小さな淡水魚。オスが巣を作ってメスを呼び、産卵した後の世話は全てオスが行う。で、男が子育てする話かと思ったのですが違いました。
現役高校生だった於保佐代子(おほさよこ)さんは、きりっとしてちょっと不機嫌そうな横顔が、一本気な瑞穂そのままです。高良健吾(こうらけんご)くんは、クラッシックな美青年だなぁと思ったら熊本出身でした。東京国際映画祭で上映される『犬神家の一族』、『M』に出演。中村監督のお父様(正津勉氏)つながりなんでしょうか、詩人の谷川俊太郎氏が特別出演しています。(白)

2006年/日本/98分/DVCPRO/HDCAM SR
制作・配給:葵プロモーション
製作:葵プロモーション/毎日広告社/アルゴ・ピクチャーズ/World apart ltd
宣伝:ライスタウンカンパニー

公式 HP >> http://hariyononatsu.jp/

★10月14日(土)より、シネマート六本木他にて、ロードショー公開
釜山国際映画祭NEW CURRENTS部門(アジアの新人監督を対象)出品決定


『幸福(しあわせ)のスイッチ』

監督・脚本:安田真奈
撮影:中村夏葉
音楽:原夕輝
主題歌:ベベチオ「幸福(しあわせ)のスイッチ」
美術:古谷美樹
出演:上野樹里(稲田怜)、沢田研二(父・誠一郎)、本上まなみ(姉・瞳)、中村静香(妹・香)、林剛史(電気工事士・鈴木裕也)、笠原秀幸(牧村耕太)、芦屋小雁(常連客・木山)、新屋英子(野村おばあちゃん)ほか

東京のデザイン事務所に勤める怜(れい)は、 今日も上司とやりあった勢いで「やめます!」と口走ってしまった。 頑固で言い出したらきかない自分にあきれながらも、頭を下げて撤回することができない。 仕事が見つからず先が心配になった頃、妹の香から切符入りの手紙が届いた。 「お姉ちゃんが絶対安静。早く帰ってきて!」と。 田辺市の小さな電器店イナデンが怜の実家。慌てて戻ってみたら姉の瞳は元気。 妊娠8ヶ月で順調だった。実は父親が全治一ヶ月の骨折で入院していたのだ。 お客第一、儲けや家族は二の次の父に反発して上京した怜だったが、 しぶしぶ店を手伝うことになってしまった。

主人公の次女・怜役の上野樹里は主演作が続いています。 奈良美智描くところの女の子のようにいつも不機嫌。 ほんわかした長女・瞳役に本上まなみ、 元気で屈託のない三女・香役にオーディションで選ばれた中村静香。 私も3人姉妹の次女なので、性格の描き分けには同感。 真ん中の子はなんだか意地っ張りになるんです。素直になれない自分がいやで不機嫌の二乗。 がんこな父親役の沢田研二が思ったより似合っていました。 父の姿が見えてきた怜がしだいに変わっていくところに泣け、 地域のお客とのやりとりに心が温まりました。私もイナデンのお客になりたい〜。
安田監督は、OL時代から映画を製作。 短編作品は映画祭で受賞、TVや映画の脚本も数多く手がけています。 電気メーカー勤務だったころから構想10年、綿密な取材を重ねて脚本が書き上げられました。 実際に電器店でも働かれたそうです。 小さいリアルなエピソードがたくさん集まって、命が吹き込まれた作品です。(白)

2006/日本/カラー/ビスタサイズ/105分/
配給:東京テアトル

http://www.shiawase-switch.com/

10月14日(土)より、テアトル新宿、テアトル梅田ほか全国ロードショー
★あいち女性映画祭2006にて上映決定 (9月9日)
★和歌山県先行上映決定 (10月7日より)

特別記事『幸福(しあわせ)のスイッチ』安田真奈監督インタビューもご覧下さい。



『ヘイヴン 堕ちた楽園』(原題:HAVEN)

監督・脚本:フランク・E・フラワーズ
出演:オーランド・ブルーム、ビル・バクストン、ゾーイ・サルダナ、アグネス・ブルックナー、スティーブン・ディレイン

楽園のように美しい島・ケイマン諸島を舞台に二つの物語が交錯する。
アメリカのビジネスマン・リドリー(ビル・バクストン)は、脱税の容疑でFBIの家宅捜索を受ける。直前に届いた謎のファックスによって、辛くもFBIの手から逃れたリドリーは、娘のピッパ(アグネス・ブルックナー)を連れ、かき集めた100万ドルを持って、彼のパートナーでケイマン諸島に住む弁護士のアレンに助けを求める。
そのケイマン諸島の観光客を乗せる船で働く青年シャイ(オーランド・ブルーム)は、ボスの娘アンドレア(ゾーイ・サルダナ)と愛し合い、人目を避けて逢い引きを繰り返していた。彼女の18歳の誕生日の夜に2人は初めて結ばれるが、彼女の父に見つかり、レイプだと訴えられる。アンドレアの兄は怒りにまかせてシャイを襲い…

カリブ海のケイマン諸島は島民から税金を免除する”タックス・ヘイヴン”の島として有名で、税金対策のために世界中の金持ちが集まってきている。今や何百もの銀行や信託会社が島に登録し、かつてはのどかな釣りの島だったのが、大きく様変わりしているという。ケイマン諸島出身の監督は、初めて島での長期ロケを敢行し、ドラッグやセックスに溺れる若者たちや、金にしがみつく大人たちといった、楽園の影の部分を告発している。製作も買ってでているオーランド・ブルームは、一方の物語の主役として、甘い恋に酔っていたのが、一転して肉体的にも精神的にも深い傷を負い、闇の淵へと沈んでいく青年を演じています。(梅)

2005年/アメリカ/35mm/ヴィスタ/ドルビーSDR/98分
配給:アートポートxギャガ・コミュニケーションズ
宣伝:ビー・ウイング

公式 HP >> http://www.haven.jp/

★10月14日(土)、シネマGAGA!、新宿武蔵野館ほかにてロードショー


2006年10月7日〜

『旅の贈りもの 0:00発』

監督:原田昌樹
脚本:篠原高志
音楽:浅倉大介
挿入曲:徳永英明「時代」、中森明菜「いい日旅立ち」
キャスト:櫻井淳子(由香)、多岐川華子(華子)、徳永英明(チョンチョ先生)、太平シロー(若林)、細川俊之(網干)、大滝秀治(元郵便局長)、黒坂真美(ミチル)、樫山文枝(多恵)、梅津栄(喜助)ほか

心に傷を持つ5人の男女が乗り込んだ1本の列車。 キャリアウーマンの由香、高校生の華子、リストラされたサラリーマン若林、妻を亡くした網干、 夢にたどり着けないミチル・・・。 それぞれの思いを乗せて、深夜0:00大阪発のミステリートレインが到着したのは、「風町」という小さな港町だった。 なんのへんてつもないところなのに、どうしてここに? さて、みんなが出会ったもの、そして贈りものとはなんだったのか?

旅人たちが乗る列車として実際に走行しているのは、 今では国内に4輌しかないものだそうです。 お召し列車の牽引用機関車として製造された「EF58-150」と、 かつての特急列車の一等展望席として利用され、 動体保存されている車輌としては国内で1輌のみが現存する「マイテ49」。 優雅な姿と力強い走りは、鉄道ファンならずとも心躍ること請け合い!
日本に●十年住んでいても知らないところがいっぱい。 飛行機で遠くに行くばかりでなく、電車に揺られて知らない町へと小さな旅がしたくなりました。 ふらりと乗って来る女子高生役の子は、だれかに似ているなぁと思ったら、 多岐川裕美さんの娘さんでした。口元がそっくりです。 こんなに大きな子がいたんですね。 5人の男女のほかにも乗客はいます。旅する大学生、元気なおばちゃんグループ・・・。 自分に近い人に心重ねて映画の旅に出てみてください。 私はさしずめおばちゃんグループの一人かな。(白)

2006/日本/カラー/109分/ヴィスタサイズ/DTS,SR/
配給:パンドラ

http://www.tabi-000.jp/

★10月7日(土)銀座テアトルシネマほかロードショー決定!
特別鑑賞券1500円 発売中
劇場窓口でお求めの方に限り、“コネクトトレイン・ストラップ”プレゼント

10月7日(土)より全国公開となりました映画『旅の贈りもの -0:00発』の初日を記念して、 銀座テアトルシネマにて舞台挨拶がありました。 宣伝のスキップさんより写真とキャストのコメントが届きましたのでご紹介いたします。

映画初主演の櫻井淳子さん多岐川華子さん、 また今年デビュー20周年で映画に初出演の?コ永英明さん、 黒坂真美さんという豪華キャストが揃い、会場は大いに盛り上がりました。

由香役:櫻井淳子さん
温かい気持ちになる疲れた心に効く映画です。 30代女性でプレッシャーを感じる方々にも共感して頂けるような作品です。 もし一人旅をするとしたら、この映画でロケをした西日本に行きたいです。

華子役:多岐川華子さん
初めての演技だったので共演者が話してくれないかと心配していましたが、 みんな優しい人達だったのでよかったです。

越智太一(ちょんちょ先生)役:?コ永英明さん
監督の指示どおり演技をし、NGを出さない役者でした(笑)。 古きよき日本の風景が出ている懐かしい気持ちになる映画ですので、 皆さんに楽しんで見ていただける作品になりました。

ミチル役:黒坂真美さん
他のキャストは色々なものを抱えているけれど、 ミチルだけが元気いっぱいの憎めないキャラクターでこの役が大好きです。

原田昌樹監督
素晴らしいキャストの方々に出演してもらって、非常に良い作品になりました。

特別記事『旅の贈りもの −0:00発』原田昌樹監督インタビューもご覧下さい。



『いちばんきれいな水』

監督:ウスイヒロシ
脚本:三浦有為子
原作:古屋兎丸「いちばんきれいな水」
(「Wsamarus 2001」より)イースト・プレス刊
撮影:蔦井孝洋(J.S.C)
音楽:沢田穣治
美術:須坂文昭
出演:加藤ローサ(谷村愛)、菅野莉央(谷村夏美)、南果歩(母)、田中哲司(父)、カヒミ・カリィ(真理子)ほか

6年生の夏美は中学の受験を控えて、夏休みも毎日塾通いの予定だ。 家には難病の手術の後、8歳から11年間も眠ったままの姉の愛がいる。 夏美が赤ちゃんのころからなので、いばら姫のように眠った愛しか見ていない。 両親も夏美も愛を中心に穏やかに生活している。 母の妹でカメラマンの真理子がやってきて、夏美の写真も撮ろうとするけど 愛のように可愛くないから、と夏美は撮られるのをいやがる。 塾の男の子たちに「メガネザル」とからかわれても、軽くかわしている夏美だけれど、 実はちょっと気にしているのだ。
南米に出かけた真理子が事故に遭ったという知らせがあり、両親は留守を心配する が、夏美は「愛ちゃんのお世話ならちゃんとできる」と送り出す。生まれて初めて姉 妹だけの毎日が始まった。


(C)「いちばんきれいな水」フィルムパートナーズ

古屋兎丸の人気コミック「いちばんきれいな水」を映画化した作品。 姉妹だけの留守番の間におきる奇跡の3日間を描いています。 10年寝たきりの人を介護した経験からすれば、「ありえねー」ところいっぱいなのですが、 まあお話ですからね。 19歳になっているのに、心や記憶は眠る前の8歳という役を演じた加藤ローサは、 最初たいへんだったようすが、無邪気に生き生き演じています。 夏美が年齢よりしっかりしているのは、 眠り姫の姉の愛がいるので両親に負担をかけないよう知らず知らずにいい子、 しっかりした子になったのだろうと推測。 「いちばんきれいな水」とのつながりがちょっと遠い〜と思いますが、 この年頃の子ならよくわかるのかも。(白)

2006/日本/カラー/90分/ビスタサイズ/ドルビー/
配給:アミューズソフトエンタテインメント 宣伝:アステア

http://www.cplaza.ne.jp/kireina-mizu/

10月7日(土)ユナイテッドシネマ豊洲、渋谷シネクイント(レイトショー)ほか全国順次公開


2006年9月30日頃〜

『ありがとう ー「奈緒ちゃん」自立への25年 ー』

監督・脚本・演出・編集:伊勢真一
撮影:石倉隆二
出演:奈緒ちゃん一家

てんかんと知的障害を合わせ持つ奈緒ちゃん。監督は、姪である奈緒ちゃんの姿を8歳の時から追い続けてきた。長くは生きられないかも知れないという家族の心配を跳ね飛ばし、奈緒ちゃんは、今、32歳。お嫁にやりたいというお母さんの願いはまだ叶わないけれど、自立して、障害者のグループホーム「みなみ風3」で暮らし始める ことになった。弟の記一さんも別のグループホームの担当職員として障害者の親代わりの日々。家はお父さんとお母さんの二人きりになり、お母さんは「ぽっかり穴が空いたようで寂しいわ」と嘆くが、お父さんは、「新婚時代に返ったみたいでいいじゃないか」とくったくがない。

「奈緒ちゃんより先に死ねない」とお母さんはつぶやく。健常児でも子育ては大変だと思うのに、障害児を育てるのは並大抵のことでないと思う。でも、この一家は、奈緒ちゃんを中心にして、がっちり気持ちが結ばれていて、今どき珍しい位の家族愛に満ち溢れている。伊勢真一監督がプロデューサーを務める山本起也監督の『ツヒノスミカ』同様、家族の何気ない会話が光る作品である。(咲)

伊勢監督の姪御さんである西村奈緒ちゃんは、てんかんと知的障害があり、生まれたときにはそれほど長くは生きられないだろうと言われました。監督は家族のアルバムのつもりで、奈緒ちゃんが8歳の時から一家を撮り始めますが、奈緒ちゃんを中心として深い絆で繋がれる家族に惹かれて、長きにわたり撮り続け、とうとう1995年にドキュメンタリー映画『奈緒ちゃん』を発表しました。その後、2002年には『ぴぐれっと』を発表。そして今回、25年に渡る奈緒ちゃんの自立への記録としてこの『ありがとう』を制作したのです。  

奈緒ちゃんは32歳になりました。彼女のお母さんたちが立ち上げた、障害者の自立を助ける地域作業所「ぴぐれっと」は、さらに一歩進んでグループホームを開設し、彼女も家を出てグループホームで仲間と助け合いながら暮らすことを望みます。しかし、いざとなると奈緒ちゃん自身よりも、お父さん、お母さんの方が彼女が家からいなくなることに耐えられないのです。そのあたりの様子を見たときに思い出したことがあります。
韓国映画『マラソン』のモデルとなった母子が日本を訪問し、自立支援作業所を訪問する様子がテレビのニュースで放送されたことがありますが、その時も自閉症である息子は新しい環境と自立するということに興味があり、所長さんから「ここで一度生活してみてはどう?」という誘いにも前向きなのですが、お母さんが明らかにうろたえているのがとても印象的でした。

奈緒ちゃんのお父さんも、行かせたくないと言い、さらに定年を迎えることもあって、これからどうすればいいかと大いに悩んでいます。お母さんも奈緒ちゃんと福祉に没頭してきたこれまでの生き方に、ちょっと不安を感じて揺れています。一方、弟の記一くんは今や「ぴぐれっと」運営の中心メンバーとして信頼されており、姉のグループホームでの生活に不安を感じながらも、頑張って欲しいと冷静に願っています。

 
提供:いせFILM

年月が経てば、子供は親の元から旅立ち、どこの家族も形を変えていかざるを得ません。しかし西村家には、奈緒ちゃんという明るく素敵な心の接着剤があり、絆が断ち切れることはないようです。それは、とても幸せなことですよね。映画が映す彼らの様子は、思ったことを言い合い(亡くなった犬のぷーちゃんのお墓についての激論が面白い!)、一緒に考えることを止めません。それは絆を保つために、どこの家族にも必要なことだよなぁと、改めて思いました。(梅)

2006年/日本/16mm/カラー/105分/レーザーキネコ、レーザーサラウンド

ポレポレ東中野 HP >> http://www.mmjp.or.jp/pole2/
いせフィルムHP >> http://www2.odn.ne.jp/ise-film/

★9月30日(土)より、ポレポレ東中野にて公開
 プロデュース作品『ツヒノスミカ』同時公開 
 同一日に両作品をご鑑賞の場合、どちらかの作品を200円割引

☆14時45分からの『ありがとう』上映後、連日トークショー!(ホスト・伊勢真一監督)
トークショーゲスト
9月30日(土) 斉藤とも子 (女優、『ありがとう』応援団)
10月1日(日) 谷川賢作 (『ツヒノスミカ』作曲家)
10月2日(月) 林英哲 (『朋あり。』主人公、太鼓奏者)
10月3日(火) 澄川嘉彦 (『タイマグラばあちゃん』監督)
10月4日(水) 青木裕子 (朗読、NHKアナウンサー)
10月5日(木) 細谷亮太 (『風のかたち』企画者、小児科医)
10月6日(金) 松友了 (全日本手をつなぐ育成会)
10月7日(土) 伊藤俊也 (映画監督)
10月8日(日) 西村一家 (『ありがとう』主人公)
10月9日(月) 佐藤真 (映画監督)
10月10日(火) 苫米地サトロ (『風のかたち』歌手)
10月11日(水) 本橋成一 (映画監督、写真家)
10月12日(木) 白崎映美 (『上々颱風』ボーカル)
10月13日(金) 西村信子 (『ありがとう』主人公)


『ツヒノスミカ』

監督:山本起也
プロデューサー:伊勢真一、岩永正敏、米山靖
撮影:内藤雅行
出演:山本マツ、山本耕三、山本美代子、山本雅也
ナレーション:寺島進
音響構成:渡辺丈彦
音楽:谷川賢作
アルトサックス演奏:宮野裕司

マツばあちゃんの家が取り壊されることになった。90歳を越えて今なお達者だが、妹が風呂場で亡くなってから、「ひとりは寂しい」と言うようになったため、息子夫婦は家を建て直して同居することにしたのだ。
家を片付ける中で、がらくたと共に思い出が一つ、一つ消えていく。洋裁をして貯め込んだ布の切れ端を、ばあちゃんは「それを捨てられちゃ困る。死んでも捨てられない」と言う。息子も、じいちゃんが使っていた酒杯を捨てられない。静かに2人の家とのお別れが続く。

 
提供:こたつシネマ

静岡の実家から、「おばあちゃんの家を来週解体するよ」と連絡を貰った山本監督。 このチャンスを逃す手はないと、解体を2週間延期させて本作の撮影を敢行したそうだ。
おばあちゃんの朝食は、りんごと人参をジューサーで搾った生ジュースに、食パン2枚の間に納豆を挟んだサンドイッチが定番。長男は、「たくさん食べるね」と呆れるが、これがおばあちゃんの元気のもと。家中の物を整理するおばあちゃん。昔、洋裁をしていた頃の端切れの詰まった箱。「これはもう捨てようね」という長男に、「これは歳とって動けなくなった時の楽しみ!」と断固捨てさせない。なにげない会話の数々に家族っていいなぁ〜と、しみじみ。(咲)

処女作『ジム』から4年。第2作目として山本監督が撮ったのは、自分のおばあちゃんと取り壊される家でした。家の片付けも、おばあちゃんの日常も、周りに確かに喧噪があるのに、印象に残るのは耳の遠いおばあちゃんの中に入ったかのような静けさです。
若い者には、おばあちゃんはそこにいるけれど、違う世界に佇んでいるように感じることがあります。しかしこの映画を観て、どんなに年を取っても生ある限り人生は続き、確かに皆と共に生きていて、坦々とした日常に見えてもドラマは常に生まれているんだと確認しました。
寺島進さんの必要最小限のナレーションや、谷川賢作さんの音楽と宮野裕司さんのアルトサックスの音がツボを押さえて、とても効いています。(梅)

2006年/日本/16mm/カラー/80分
宣伝協力:スローラーナー

ポレポレ東中野 HP >> http://www.mmjp.or.jp/pole2/
いせフィルムHP >> http://www2.odn.ne.jp/ise-film/

★9月30日(土)より、ポレポレ東中野にて公開
 伊勢真一監督作品『ありがとう』同時公開 
同一日に両作品をご鑑賞の場合、どちらかの作品を200円割引

☆10月2日(月)から『ツヒノスミカ』(21:10の回)上映後、トークイベントあり。
トークイベントゲスト
10月2日(月) 林 海象 映画監督/『夢見るように眠りたい』『探偵事務所5』
10月3日(火) 成田裕介 映画監督/『あぶない刑事FOREVER』『バカヤロー!2』
10月4日(水) 高橋伴明 映画監督/『TATTOO(刺青)あり』『光の雨』『火火』
10月5日(木) 福岡芳穂 映画監督/『愛してよ』『空が、近い』
※6日(金)以降もサプライズゲストあり!ポレポレ東中野の情報にご注目下さい。


『デビルズ・リジェクト マーダー・ライド・ショー2』(原題:THE DEVIL'S REJECTS)

監督・脚本:ロブ・ゾンビ
撮影:フィル・パーメット
音楽: タイラー・ベイツ、テリー・リード、ロブ・ゾンビ
出演:シド・ヘイグ(キャプテン・スポールディング)、ビル・モーズリィ(オーティス)、シェリ・ムーン・ゾンビ(ベイビー)、ウィリアム・フォーサイス(ワイデル保安官)、カレン・ブラック(マザー・ファイアフライ)、マシュー・マッグローリー(タイニー)、ジェフリー・ルイス(ロイ)、ケン・フォリー(チャーリー)、ダニー・トレホ(ロンド)ほか

大きな男の影が少女の死体を引きずって森の中を進んでいる。少し離れた道路をパトカーが数台通り過ぎていった。人里離れた農場に住むファイアフライ一家は、ワイデル保安官の襲撃にたたき起こされ、激しい銃撃戦が始まる。何件ものおぞましい殺人を繰り返してきた狂気の家族は一網打尽かと思えたが、母親一人を逮捕しただけで兄のオーティス、妹のベイビーは逃げおおせてしまった。二人は父親のキャプテン・スポールディングに連絡をとり、合流地点へ向かう間にまた死人を増やしていく。兄の復讐に燃えるワイデルは執拗に彼らを追いつめていくが・・・。

なんにも予備知識なしに観ましたら、めっちゃめちゃバイオレンスでした。第一作は『マーダー・ライド・ショー』(原題:House of 1000 Corpses)、あまりに衝撃的でなかなか公開されなかったようです。だって題が「1000の死体の家」ですよー。しかし、公開されたとたんヒットしたそうですから、この手の映画が好きな人には、さぞやそそるものがあったのでしょう。
ロブ・ゾンビ監督は「ホワイト・ゾンビ」というへヴィ・ロックバンドの有名ミュージシャンでもあります。バンドのミュージック・ビデオを自ら監督し95年には受賞もしています。子供のころからのホラー好きで、4000本ものコレクションがあるとか。映画は凄惨なシーンだけでなく、笑える場面もあってコミックも好きだというのが頷けます。一家は極悪人だというのに、全編に流れるロックが妙に明るいせいもあり、なんだかヒーローのようなのです。これは『俺たちに明日はない』を意識したという、監督の思惑にまんまと乗せられてしまった、というところです。
ベイビーを演じるシェリ・ムーンは一作目の後に結婚した監督夫人。マシュー・マッグローリー(『ビッグ・フィッシュ』に出ていた優しい巨人)が、この作品では一家の末っ子らしく「タイニー(おちびさん?)」と呼ばれていますが、昨年8月に32歳で亡くなっていたんですね、知りませんでした。合掌。(白)

2005/アメリカ/カラー/1時間47分
配給:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
宣伝:アンカー・プロモーション

★9月30日(土)よりシアターN渋谷にてレイトショー公開


『スーパークロス』(原題:SUPERCROSS)

監督:スティーブ・ボーヤム
脚本:バート・ベイカー、ケン・ソラルツ
出演:スティーブ・ハウィー(KC・カーライル)、マイク・ボーゲル(トリップ)、ソフィア・ブッシュ、キャメロン・リチャードソン

KC・カーライルとトリップはプールの掃除のアルバイトをする貧しい生活ながらも、バイクに掛ける情熱と才能は誰にも負けない。兄のKCは慎重派で堅実なライディングが持ち味。弟のトリップは天才肌で危険で挑戦的なライディングを好む。いつかは亡き父の果たせなかった、”スーパークロス”で優勝するという夢を叶えたいと願っている。
2人はモトクロスのレースに出場し、素晴らしい走りを見せるが、トリップの無茶がたたり、惜しくも優勝を逃す。しかし、その様子を見ていた大手企業レースチームの監督からスカウトを受け、チャンス到来と2人は喜ぶ。ところが実際に採用されたのはKCだけだった。トリップはくさり、2人の間に微妙な溝が出来てしまう。KCもトップチームに入ったものの、トップレーサーの援護役でしかなく、自分のレースが出来ずに悩んでいた。

”スーパークロス”とは、スタジアム内に複雑多岐なダートコースを造り、そこでトップレーサーたちが速さ、高さ、Coolさを競うレースで、正式にはAMA Supercrossといい、今年はシリーズ16戦が行われました。アメリカではとても人気でESPNなどのスポーツチャンネルで放送されています。
物語はひたむきな兄弟の挫折と栄光を描く、まっすぐなエンタテインメントで楽しめますが、何と言っても主役はバイクレースです。映画は8割以上がバイクシーン。華麗なトリックシーンがふんだんに盛り込まれていて、バイク・ファンでなくてもその迫力に魅了されます。本物の一級ライダーたちも数多く参加しているので、その点はファンにはたまらないでしょう。
わたしはバイクに関しては無知なのですが、ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキと、ほとんど日本企業の独壇場なんですね。それも凄いなぁと思っちゃいました。(梅)

2005年/アメリカ/82分/ビスタ/カラー/ドルビーデジタル
配給:日活
宣伝:スキップ

公式 HP >> http://www.supercross.jp/

★9月30日(土)よりシアターN渋谷ほか全国順次ロードショー!!


『夜のピクニック』

監督:長澤雅彦
脚本:三澤慶子+長澤雅彦
原作:恩田陸 第2回本屋大賞受賞作品
プロデューサー:上原英和
撮影:小林基己
音楽プロデューサー:伊東宏晃
音楽:REMEIDIOS, DAKOTA STAR
VFXプロデューサー:隠田雅浩
キャスト:多部美華子(甲田貴子)、石田卓也(西脇融)、郭智博(戸田忍)、西原亜希(遊佐美和子)、貫地谷しほり(梨香)、松田まどか(千秋)、柄本佑(高見)、高部あい(亮子)、加藤ローサ(杏奈)、池松壮亮(順弥)、南果歩(貴子の母)他

みんなで夜歩く。ただそれだけなのに、どうしてこんなに特別なんだろう。

80キロの道のりを夜を徹して歩きとおす、高校の伝統行事「歩行祭」。 高校生活最後の歩行祭を迎えた甲田貴子は一人密かに賭けをしていた。 一度も話したことのない同じクラスの西脇融に話しかけるということ。 そんな簡単なことができない、親友にも言えない秘密の理由が貴子にはあった。 西脇融も貴子を避けている。 友達は貴子が融を、融の親友戸田も融が貴子を好きなのではと勘違いして、何かと世話を焼くのだった。 なかなか話しかけるきっかけをつかめないまま時は過ぎ、残された道のりはあと20キロ。 クラスごとに歩く「団体歩行」から、友人や好きな人と歩く「自由歩行」へ変わるときが来た。

第2回本屋大賞を受けた恩田陸の同名小説に、プロデューサーと監督が惚れ込んで映画化権を獲得した作品。 「歩行祭」は恩田氏の母校、水戸一高で今も行われています。 「歩く会」と称して本当に24時間80kmを全校生徒が歩くのだそうです。 作品冒頭、1000人のエキストラが校庭に集まり、出発を今や遅しと待ち構えているシーンは、クレーン2台と手持ちカメラを使っての長回しです。 圧巻。 主要キャスト14名と監督、スタッフが撮影前、実際に60kmのコースを歩いたそうです。
大きな事件はありません。 ただ歩くだけの特別な一日に、高校生たちの思いが交錯していきます。 『HINOKIO』の多部美華子、『蝉しぐれ』の石田卓也を始めとするメインや脇の俳優たちのみずみずしい演技に、「ああ、こういう人いたなぁ」と、はるか昔となった高校生活を思い出しました。 歩行祭はなかったけれど、文化祭や修学旅行など、疲れるほどにハイになった行事がありました。 妙に素直になってお喋りしたものです。 キャストと、のべ5000人というエキストラにも特別な夏になったのは想像に難くありません。一服の清涼剤のような作品。(白)

2006年/カラー/ビスタサイズ/ドルビーデジタル/117分
企画・製作:ムービーアイ エンタテインメント
配給:ムービーアイ・松竹
宣伝:アルシネテラン

http://www.yorupic.com/

★09/30(土) 丸の内プラゼールほか、全国松竹・東急系にてロードショー
劇場窓口にて「夜ピク万歩計」つき特別鑑賞券発売中 ¥1300


『フラガール』

監督:李相日
脚本:李相日 羽原大介
音楽:ジェイク・シマブクロ
美術:種田陽平
出演:松雪泰子、蒼井優、豊川悦司、富司純子、岸部一徳ほか

昭和40年、本州最大の常磐炭坑は、かつての隆盛は見る影もなく閉山の危機に陥っていた。そんな町を救うため、この北国に「常夏の楽園 ハワイ」を作り上げる起死回 生プロジェクトが持ち上がる。目玉はフラダンスショー! 東京からダンス教師平山まどか(松雪泰子)を呼び寄せ、フラガールに応募してきたど素人の娘たちの3ヶ月の猛特訓が始まるが・・・。

これは40年前、福島県常磐ハワイアンセンター(現:スパリゾートハワイアンズ)の誕生を支えた人々の奇跡の実話です。監督は『スクラップ・ヘブン』の期待の若手、 李相日(リ・サンイル)監督。俳優陣は松雪、蒼井、富司の三世代を代表する女優。 脇を固める山崎静代(南海キャンディーズ・しずちゃん)、豊川悦司、岸部一徳ら個性派俳優の熱演で笑いあり、涙ありの感動実話映画です!
観どころはなんて言ってもフラダンス。松雪さんは切れの良い動きで他を寄せ付けません。ダンス教師役だから当たり前の様ですが、体の線が美しい、それに体を鍛えた人しか出せない声を腹式呼吸で自然に出していました。蒼井優さんは『花とアリス』 で紙コップをガムテープで足に巻き、トゥシューズにして踊ったのを思い出しました。この映画の中でも、一生懸命踊って楽しませてくれました。他に特筆することは、美術の素晴らしさと松雪さんの衣装担当の方に頭が下がりました。このお二人の力で、観ている私たちを無理なく40年前にタイムスリップさせてくれました。(美)

提供:シネカノン
協力:スパリゾートハワイアンズ
後援:福島県 いわき市 ハワイ州観光局
企画・制作・配給:シネカノン
2006年/日本/120分/SRD

公式 HP >> http://www.hula-girl.jp/index2.html

★9月23日(土)より、シネカノン有楽町ほか全国一斉ロードショー


『奇跡の朝』(原題:Les Revenants)

監督:ロバン・カンピヨ
脚本:ロバン・カンピヨ、ブリジット・ティジュー
撮影:ジャンヌ・ラポワリー
出演:ジェラルディン・ペラス、ジョナサン・ザッカイ、フレデリック・ピエロ、ヴィクトール・ガリヴィエ、カトリーヌ・サミー、ジャメル・バレク、マリ・マテロン

ある朝、突然に無数の人々が、静かに街へと行進し流れ込んできた。それは皆、この10年ほどの間に亡くなった人々だった。人々は驚きのあまりに、言葉もなくその異様な光景を見つめていた。行政は彼らを受け入れるために動きだし、あらゆる調査を始める。一方、死んだはずの者が戻ってきた家族や恋人は、この信じがたい事実に戸惑いを隠せない。

死者が突然家族の元へと帰ってくると聞くと、日本では3年前にヒットした『黄泉がえり』を思い出します。『黄泉がえり』はエモーショナルなエンタテインメント作品でしたが、この『奇跡の朝』は似た題材でありながら、かなり印象が異なります。暖かみよりも、不気味さが強く、どっきりシーンはまったくありませんが、ちょっとホラー作品のような感じがします。あり得ない状況なのですが、その仮定を真剣に掘り下げ、直面した人たちのリアルな精神的葛藤を描いていて、つい観ているこちらも真剣に自分だったらと考えてしまうのです。映画では3組の人々が、それぞれに希望や諦めや覚悟を見いだしていきます。実は途中まで、彼らはなぜ、何のために戻ってきたのかが気になって仕方なかったのですが、蘇生も死と同様に現象として一律に起こり、それが周囲の人に作用する結果はそれぞれに異るのだと理解したら、腑に落ちました。(梅)

2004年/フランス/103分/カラー/35mm/シネスコ/ドルビー
配給:バップxロングライド
宣伝:フリーマン
協力:ユニフランス東京

公式 HP >> http://www.longride.jp/kiseki

★9月23日(土)より、ユーロスペースにてロードショー

特別記事 映画『奇跡の朝』シンポジウム ”死の準備教育”とはなんだろう もご覧下さい。



「ヴィスコンティ生誕100年祭」

ヴィスコンティ芸術の代表作3本を一挙上映!

『山猫』イタリア語・完全復元版
出演:バート・ランカスター、アラン・ドロン、クラウディア・カルデイナーレほか
1963年/イタリア=フランス合作/187分/カラー/シネマスコープ/モノラル/イタリア語版
第16回カンヌ映画祭グランプリ

『ルードヴィヒ』完全復元版
出演:ヘルムート・バーガー、ロミー・シュナイダー、トレヴァー・ハワードほか
1973年/イタリア=フランス=西ドイツ合作/237分/カラー/シネマスコープ/モノラル/イタリア語版

『イノセント』完全復元&無修正版
出演:ジャンカルロ・ジャンニーニ、ラウラ・アントネッリ、ジェニファー・オニールほか
1976年/イタリア=フランス合作/124分/カラー/シネマスコープ/モノラル/イタリア語版

テアトルタイムズスクエアにて10月7日(土)より11月2日(木)までロードショー
(新宿 タカシマヤタイムズスクエア12F TEL:03-5361-1937)
http://www.cinemabox.com/

◆ヴィスコンティ生誕100年記念「ヴィスコンティの遺香」篠山紀信写真展
・10月20日(金)〜11月18日(土)
・イタリア文化会館


日豪交流年2006「オーストラリア映画祭」

期間:10月3日(火)〜29日(日)月曜休館
会場:東京国立近代美術館フィルムセンター 大ホール
   中央区京橋3-7-6
料金:一般500円/高校・大学生・シニア300円/小・中学生100円
(生演奏付き上映:一般1,000円/高校・大学生・シニア800円/小・中学生600円)
/障害者(付添者は原則1名まで)は無料
・観覧券は当日・当該回にのみ有効です。
・発券・開場は開映の30分前から行い、定員に達し次第締切となります。
・学生、シニア(65歳以上)、障害者の方は、証明できるものをご提示ください。
・発券は各回1名につき1枚のみです。

開映後の入場はできません。
定員 310名 但し生演奏つき無声映画は300名(各回入替制)
発券 2階受付

主催:東京国立近代美術館フィルムセンター
   オーストラリア・フィルム・コミッション
後援:豪日交流基金
協賛:シェブロン・オーストラリアPty Ltd
協力:文化庁、オーストラリア大使館、オーストラリア外務貿易省

★スケジュールなど詳細はHPで

http://www.momat.go.jp/FC/fc.html


2006年9月23日頃〜

『天軍』

監督・脚本:ミン・ジュギ
撮影:パク・チェヒョン
音楽:ファン・サンジュン
キャスト:パク・チュンフン(イ・スンシン)、キム・スンウ(北朝鮮軍 ミンギル少佐)、ファン・ジョンミン(韓国軍 パク・チョンウ少佐)、コン・ヒョジン(キム・スヨン)、キム・スンチョル、キム・ビンチュンほか

2005年10月、北朝鮮・韓国共同で秘密裏に開発した核兵器「飛撃震天雷」がアメリカ側に譲り渡されることになった。 北朝鮮のカン・ミンギル少佐はこれに反発し、核物理学者キム・スヨンを拉致、飛撃震天雷の核弾頭を盗み出した。 連合軍首脳は、韓国軍のパク・チョンウ少佐に核弾頭の奪還と犯人射殺を命じる。 鴨緑江流域で、双方の銃撃戦が始まったその時、433年周期の彗星が上空を通過した。 激しい流れに巻き込まれた彼らが気がついたとき、目の前では見慣れぬ服装の男たちが刀や矢で血みどろの戦いを繰り広げていた。 思わず発砲すると蛮族たちは逃げ出し、残った村人たちは「天軍」と讃えて感謝した。 なんと彼らは時を越え、過去の朝鮮に来ていたのだった。 混乱したまま洞窟で寝入ったころ、一行の持ち物をあさる男を捕まえる。 そのこそ泥が、後に朝鮮の英雄となるイ・スンシンとわかる。

「朝鮮王朝実録」という歴史書からアイディアが出ているのだそうですが、韓国版『戦国自衛隊』といえばわかりやすいでしょうか。 戦車や飛行機はなく、抱えていた銃器を持ち込んだだけですが、過去の住民たちが驚くには十分。 南北の兵士たちは追うもの、追われるものであったため、タイムスリップ先でもいがみあい、 隠れ住むボロ家で境界線をひいたりしています。 会話に南北間の違いが垣間見られて面白いです。 天才核物理学者役のコン・ヒョジンがあまりに普通のおねえちゃんで、 天才学者にはとうてい見えないのは彼女の風貌もですが、服装がいまひとつふたつ。 壁いっぱいに計算すれば彗星の軌道がわかるのか(天才だから?)とか、 なぜ核弾頭のスイッチが入っていて、その進み具合違うのかなど、つっこみどころ満載です。 しかし、いかにも生真面目なファン・ジョンミンが、蛮族の襲撃に怯える村人を助け、 英雄になるはずの男を叱咤激励しと頑張っていますし、 キム・スンウの軍服姿もうるわしいです。 イ・スンシンは豊臣秀吉の水軍を破り、民族の英雄と呼ばれている人物です。 扮するパク・チュンフンは、最初の駄目男から徐々に雄雄しく変貌していく様を見せ、 いいところをさらって行きました。主役はこの人?(白)

2005/韓国/カラー/106分/ビスタサイズ/

配給:SPO 宣伝:アンカープロモーション

★9月23日(土・祝)より、シネマート六本木ほか全国ロードショー
http://www.cinemart.co.jp/tengun/


『記憶の棘』(原題:Birth)

監督・脚本:ジョナサン・グレイザー
共同脚本:ジャン・クロード=カリエール、マイロ・アディカ
撮影監督:ハリス・サヴィデス
音楽:アレクサンドル・デプラ
衣裳:ジョン・ダン
キャスト:ニコール・キッドマン(アナ)、キャメロン・ブライト(少年ショーン)、ローレン・バコール(アナの母)、ダニー・ヒューストン(ジョゼフ)、アン・ヘッシュ(クララ)、ピーター・ストーメア(クリフォード)ほか

アナの夫ショーンは10年前にジョギング中に急逝した。彼女は10年を経てようやくジョゼフと再婚して新たな人生を歩む決心をしたところだ。アナの母の誕生日で家族が集まる場に、突然10歳の少年が現れ「ぼくはショーン、君の夫だ。ジョゼフと再婚しないで欲しい。」と言い始める。アナを初め、誰もが悪い冗談だと本気にしなかったが、その真剣な瞳や夫婦の間でしか知り得ないようなことまで知っていることから、アナは激しく動揺し始める。

輪廻転生という東洋的思想は香港やタイの映画などアジアの映画では良く題材になりますが、アメリカ映画では珍しいですね。ファンタジーでありながら、リアルにこだわった為にちょっとどっちつかずな印象ですが、映像の美しさは特筆すべきものがあります。ベリーショートにしたニコール・キッドマンはその完璧なまでのデコルテ・ラインを見せて美しさが際だちます。またショーン役のキャメロン・ブライトは顔立ちや身体はあどけない少年なのに、瞳の奥に憂いを宿した大人の目をしていて驚きです。(梅)

2004/アメリカ/カラー/ビスタサイズ/1時間40分
配給:東芝エンタテインメント

公式 HP >> http://www.kiokunotoge.jp/

★9月23日(土・祝)より、シャンテシネ、新宿武蔵野館ほか めぐり合うロードショー


2006年9月16日頃〜

『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』

監督・特技監督:小中和哉
監修:円谷一夫
プロデューサー:鈴木清
脚本:長谷川圭一
美術:大澤哲三
編集:松本朗
音楽:佐橋俊彦
音楽プロデューサー:玉川静
CGI監督:板野一郎
主題歌・挿入歌:KIYOSHI (氷川きよし)
出演:五十嵐隼士( ヒビノ・ミライ/ウルトラマンメビウス)、黒部進(ハヤタ/ウルトラマン)、森次晃嗣(モロボシ・ダン/ウルトラセブン)、団時朗(郷秀樹/ウルトラマンジャック)、高峰圭二(北斗星司/ウルトラマンエース)、いとうあいこ(ジングウジ・アヤ)、田中碧海(タクト)、堀内正美、山田まりや、アメリカザリガニ、布川敏和、田中実、風見しんご他

20年前、ウルトラ4兄弟が力を合わせて、究極超獣Uキラーザウルスと戦ったことがあった。 彼らのエネルギーの殆どを使って神戸沖に封印したため、再び変身することが不可能になっていた。 4人は地球人として穏やかに暮らしていたが、Uキラーザウルスを蘇らせようとたくらむものが現れた。 “ウルトラマンメビウス”であるCREW GUYS隊員ヒビノ・ミライは異変を感じ、調査のため神戸に向かっていた。 同じく異変を察知していた海洋学者のジングウジ・アヤとその弟のタクトに出会う。

ウルトラマンシリーズ誕生40周年記念作品。「ウルトラマン」のTV放送開始は1966年7月7日。 私も観ていて主題歌や怪獣のいくつかが記憶に残っています。 現在TVでは五十嵐隼士主演で「ウルトラマンメビウス」が放映中。 親子2代、もしかしたら3代に渡ってのファンがいるかもしれないこのシリーズ、試写室は男性ばかりでした。
すっかり渋いオジサマになったウルトラ4兄弟(怪獣、超獣たちも年を取ってるのかしら?)。 若き日の懐かしい映像も織り交ぜて、ヒーローのピンチにかけつける兄弟たちと超獣のバトルが大画面に繰り広げられます。 いまだに町を壊しながらの肉弾戦なのね。 変身ポーズや得意技も懐かしい! そうそう、小さなウルトラマン・ファンとの交流も見逃せません。 タクト役の田中碧海(たなかおうが)くんは『花よりもなほ』の吉坊。 エンディングでも懐かしい人たちの顔が観られますので、最後までお席に。(白)

2006/日本/カラー/1時間46分/ヴィスタサイズ/ドルビーデジタル/
配給:松竹株式会社
http://www.ultraman-movie.com/

★9月16日(土)より全国ロードショー


『海と夕日と彼女の涙 ストロベリーフィールズ』

監督・脚本・編集:太田隆文
撮影:三本木久城
音楽:遠藤浩二
出演:佐津川愛美(夏美)、谷村美月(マキ)、芳賀優里亜(理沙)、東亜優(美香)、浪岡一喜(鉄男)、伊藤裕子(京子先生)、小西博之(夏美の父)、三船美佳(春美)ほか

古い木造校舎で高校生活を過ごした夏美には、3人の級友たちとの忘れられない2日間の思い出があった。おとなしくていじめられッ子だった夏美は友達もいなかったのだが。ある日同じクラスのマキが柔道の大会に出場することになり、クラスから美香、 理沙、夏美の3人が代表で応援に行くことになった。夏美は大好きな8mmカメラを持参し、マキたち3人の笑顔を写していた。ところが会場に向かう途中で車は事故に遭い、夏美以外は死んでしまう。1人残った夏美が泣きながら名前を呼ぶと、なんと3人は48時間の期限付きで現世に戻ってきた。しかし彼女たちの姿が見え、会話ができるのは夏美だけ。残された時間でなにができるのだろうか、みんなの望みを叶えようと夏美は孤軍奮闘する。

佐津川愛美(さつかわあいみ)、谷村美月(たにむらみつき)、芳賀優里亜(はがゆりあ)、東亜優(ひがしあゆ)ら主演の女の子たちそれぞれがとても可愛くて、友達がいないという設定に無理があるなぁと思いました(笑)。親世代の私から見ると、 時間限定でせっかく戻ってきたのに、ぼーっとしている彼女らに「家に帰んないの?」「したいことないの?」と思わずあれこれ言いたくなります。あー歯がゆい。 これが長編第一作の太田隆文監督は、この和歌山県田辺市出身だそうで故郷への愛は十二分に伝わりました。『パッチギ!』で注目していた波岡一喜と死神さんがいい味出しています。(白)

佐津川愛美は『蝉しぐれ』でデビューし注目され、今年は『笑う大天使』にも出演していました。谷村美月は『カナリア』の主演で映画デビュー。現在NHKで放映中の「生物彗星WoO」に主演しています。芳賀優里亜は「仮面ライダー555」でブレイクし、今年は『マスター・オブ・サンダー 決戦!!封魔龍虎伝』にも出演。東亜優は宮藤官九郎脚本の話題の昼ドラ「吾輩は主婦である」でミッチー(及川光博)と斉藤由貴の娘役を演じていました。それぞれ今後を期待される若手女優たちです。涙いっぱいの演出にもう少し変化があれば、可愛い彼女たちの魅力をもっと発揮できたのではと思います。(梅)

★アジア海洋映画祭参加作品 9月1日、2日に上映が決定しています。
2006/日本/カラー/91分

公式 HP >> http://sbf.goo.ne.jp/ 公式ブログ >> http://blog.goo.ne.jp/umitoyuuhi

★ 9月16日(土)〜渋谷シアター・イメージフォーラムにてモーニングショー(10時45分より連日朝1回上映)


『出口のない海』

監督:佐々部清(『半落ち』『チルソクの夏』)
原作:横山秀夫(「出口のない海」講談社刊)
脚本:山田洋次、富川元文
主題歌:竹内まりや「返信」(ワーナーミュージック・ジャパン)
出演:市川海老蔵、伊勢谷友介、上野樹里、塩谷瞬、柏原収史、伊崎充則、香川照之、古手川祐子、三浦友和

1945年、太平洋戦争末期。戦局が日本にとって最悪の状況へと向かう中、日本海軍は最後の秘密兵器「回天」の開発を行っていた。高性能魚雷を一人乗り用潜水艦に改造したもので、敵艦へ体当たりして爆破させる究極の兵器だ。もちろん脱出装置はない。
この海の特攻部隊と言える任務に、多くの若者たちが自ら志願した。並木浩二(市川)もその一人だった。明治大学の野球部のエースピッチャーだった彼は、野球を、そして家族や友人たちや恋人を愛していた。部隊の仲間である北(伊勢谷)、佐久間(柏原)、沖田(伊崎)たちそれぞれも、迷いや恐れを抱きながら、ただ愛する者たちを守りたいと願い、艦長(香川)からの出陣命令を待っていた。

作品では回天の操縦訓練の描写に多くの時間が割かれていて、回天の操縦がどれだけ困難であったか、またその内部が操縦する者にとってどれほど狭い閉鎖空間であったか(観ているだけで息苦しくなる)がよくわかる。こんなもの到底人が乗るべきものではない。今から見れば試作品以下の出来だ。それでも作戦実行に踏み切ったことからも、当時の日本軍がどれほど焦り、常軌を逸していたかが知れる。
主人公の並木は大学生で戦況の悪化についても知っていて、親しい者の前では「日本は戦争に負けるだろう」とまで言っている。それでも世の大局に飲み込まれ、自ら海軍へ志願する。父の「敵を見たことはあるか?」「国家とは何だろうか?」という静かな問いかけに、十分な答えを持たない自分に気付きながらも。この状況に陥ってしまっては、どんな良識も冷静さも一般国民にとっては手遅れだったのだろう。
同時多発テロ以降、世の中が次第に民族主義に傾き、異文化への無知から来る不寛容がはびこってきている。それは悲劇への第一歩だと気づいているだろうか? 再び、彼らのように輝く未来への希望を捨てざるを得ない若者たちを生み出さぬように、今一度、回天に乗り込んだ彼らの切ない願いに思いを馳せてみてはいかがだろう。(梅)

2006年/日本/121分/ビスタサイズ
製作:松竹/ポニー・キャニオン/住友商事/テレビ朝日/衛星劇場/スカパー・ウェルシンク/IMAGICA/講談社/メモリーテック/Yahoo! JAPAN/朝日新聞社/東京都ASA連合会/アドギア/メ〜テレ/山口放送
配給:松竹

公式 HP >> http://www.deguchi-movie.jp/



2006年9月9日〜

『靴に恋する人魚』(人魚朵朵 THE SHOE FAIRY)

監督・脚本:ロビン・リー
撮影監督:チン・ディンチャン
美術・衣装:ワン・イーフェイ
音楽:ダニー・リャン
企画:Focus Films Ltd.
ナレーション:アンディ・ラウ
挿入歌:ビビアン・スー
出演:ビビアン・スー(ドド)、ダンカン・チョウ(スマイリー)、タン・ナ(魔女/靴屋)、チュウ・ユェシン(ジャック社長)、ラン・ウェンピン(ビッグ・キャット)ほか

あるところにドドという可愛い女の子がおりました。 楽しみは寝る前に絵本を読んでもらうこと。 パパが高い棚に上げてしまった『人魚姫』を読んで心配になりました。 ドドは歩くことができなかったのです。 足をもらうと声が出なくなってしまうの? パパとママはドドに手術を受けさせ、ドドが麻酔で眠っているとき、魔女が言いました。 「・・・幸せとは黒い羊と白い羊を手に入れること・・・」
手術は成功して、ドドはまっすぐな足の美しい娘に成長しました。 出版社で働くドドは綺麗な靴が大好き。 ウインドウに並ぶ靴を見ると連れて帰りたくなるのです。 ドドに選ばれなかった靴はぽろぽろと泣いてしまうのでした。 大好きな靴の手入れをしていた日、急に歯が痛くなったドドはスマイリー歯科に行きました。 真っ白な歯のスマイリー先生はドドの王子様になりました。 さて羊はどこにいるのでしょう?

童話がたくさんちりばめられた大人のためのラブストーリー。 日本では久し振りにお目見えのビビアン・スーが主演。 可愛いファッションで楽しませ、ちょっぴり泣かせます。 素敵な王子様役は『僕の恋、彼の秘密』、『セブンソード』のダンカン・チョウ。 ロビン・リー監督はこれが長編デビュー作ですが、ただのメルヘンに終わらないしっかりした演出力とセンスの持ち主です。 200足もの靴や衣装、絵本のように可愛いセットやインテリアなどなど、ストーリー以外にもお楽しみがたくさん。
歌手のタン・ナ、「猪頭皮」として知られるチュウ・ユエシュンらのキャストに加え、アンディ・ラウがナレーションをつとめています。 この作品は、彼が率いる映画会社フォーカス・フィルムズが2005年に発足させた、若手監督支援プロジェクト「FFC:アジア新星流」の1本。(白)

2005/台湾/カラー/95分/1:1.85/SRD/
提供:IMX
宣伝:マジックアワー

http://www.ffcjp.com/kutsu/index.html

★9月9日(土)より、新宿武蔵野館にてロードショー


『弓』

監督・脚本・製作:キム・ギドク
製作総指揮:鈴木径男、池田史昭
撮影監督:カン・ヨング
出演:チョン・ソンファン(老人)、ハン・ヨルム(少女)、ソ・ジソク(青年)、チョン・グクァン(青年の父親)ほか

海に浮かぶ古い船に、老人とどこからか拾われてきた少女が2人きりで住んでいる。 老人は少女を宝物のように育て、17歳になった日彼女と結婚するのを楽しみに生きている。街に出るたび美しい婚礼衣裳を少しずつ調えてきた。一日が終わるとき、カレンダーに×印をつけ、少女の手を握って彼は眠りに入る。
船にやってくる釣り客は2人を好奇の目で見、少女に手を出そうとする男もいたが、 老人は得意の弓で少女を守ってきた。2人の愛情は揺らぐことがないように見えたが、ある青年に少女が心ひかれたことから、老人は嫉妬にさいなまれる。

老人と少女は一言もセリフがなく、老人が持つ弓矢、奏でる楽器、少女の視線と微笑みが彼らの言葉代わり。「弓占い」をしたときだけ、少女は結果を老人に耳打ちしますが、それは観客には聞こえません。釣り客と青年だけが普通のセリフを話します。 青年の問いかけは当たり前のことですが、船は2人の聖域で老人には通じません。 『サマリア』のハン・ヨルムがこの作品でも微笑んでいて、無垢な少女にも妖艶な娼婦にも見えます。チョン・ソンファンは『清風明月』に出演していますが、この前来日公演のあったミュージカル『ジキルとハイド』にとっても似た人が出ていたのです。主役の説明しかないので確認できませんが、別人かな。
孤独な老人が純愛を捧げるストーリーですが、私はすごく居心地が悪かったです。海も風に吹かれる布も弓の音色も美しいのに、人間の業がからみついてくるような思いがしました。これがキム・ギドク的? みなさんはなんと観るでしょう。(白)

第58回カンヌ国際映画祭「ある視点部門」オープニング上映作品

2005/韓国/カラー/ドルビーSRD/アメリカンビスタ/90分
提供:ハピネット
配給:東京テアトル、ハピネット
宣伝:ナインエンタテインメント

公式 HP >> http://yumi-movie.net/

★9月9日(土)より、Bunkamuraル・シネマにてロードショー


『アガサ・クリスティーの奥様は名探偵』(原題:Mon petit doigt m'a dit...)

監督:パスカル・トマ
共同脚本:フランソワ・カヴィリオーリ、ナタリー・ラフォリ、パスカル・トマ
原作: 「親指のうずき」アガサ・クリスティー著
撮影:ルナン・ポレス
音楽:ラインハルト・ワグナー
キャスト:カトリーヌ・フロ(プリュダンス)、アンドレ・デュソリエ(ベリゼール)、ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド(ローズ)、ヴァレリー・カプリスキ(ブレイ)、ローラン・テルジェフ(アネット)、フランソワーズ・セニエ(アダ伯母)ほか

フランスの田舎で悠々自適の生活を送るベリゼールとプリュダンス夫妻。好奇心旺盛なプリュダンス奥様に、旦那様は退屈している暇がない。二人でアダ叔母さんの住む高級老人ホームを訪ね、プリュダンスはローズという老婦人に出会い不思議な言葉をかけられる。後日アダが亡くなり、遺品の整理に再訪して一枚の風景画に目が止まる。それはローズが贈ったもので、どこか見覚えのある屋敷が描かれていた。しかも彼女は突然ホームから姿を消してしまっていて、プリュダンスは気になってしかたがない。ベリゼールが出かけるのをまちかねて、さっそくローズの行方と屋敷の捜査を開始する。すぐに帰れるはずだったのだが・・・。

アガサ・クリスティーが創造したポアロ、ミス・マープルに継ぐ人気キャラクターのおしどり探偵「トミー&タペンス」がスクリーンに登場。カトリーヌ・フロとアンドレ・デュソリエのおしゃれで軽妙な夫婦の会話を楽しんでください。日本の中年夫婦ではなかなかこうはいきません。お屋敷もファッションもお金かかっているんですわ。この二人と脇を固める豪華キャストたちが、クリスティーお得意の美しい田園風景に隠れたミステリーを展開させていきます。プレスにはクリスティ作品の解説も詳しく載っていて、また読み返してみたくなりました。(白)

2005/フランス/カラー/105分/1:1.85)ドルビーSRD
提供・配給:ハピネット
宣伝:セテラ・インターナショナル

公式 HP >> http://www.okutan.jp/

★9月9日(土)より、シネ・スイッチ銀座にて奥様探偵“捜査開始”


2006年9月2日〜

『ONE LOVE』

監督:ドン・レッツ、リック・エルグッド
出演:キマーニ・マーリー、シェリーヌ・アンダーソン、アイドリス・エルバ

音楽を心から愛する青年カッサ。仲間たちとバンドの練習をしていたとき、地元のラジオ局が主催のコンテストが行われると知る。賞金は2万ドル、しかも有名な音楽プロデューサー・セレクターGのスタジオで録音できる! スタジオ録音の日、カッサは教会のゴスペル・グループで歌うセリーナに出逢い、その声に魅了されてしまう。彼女に自分のバンドで歌ってくれないかと誘うが、セリーヌはゴスペル以外の歌を歌うことは禁止されていた。その上、牧師である彼女の父や婚約者は異教のラスタファリアンであるカッサを蔑視し、娘に近づかせまいとする。それでもセリーナはカッサと音楽を通して徐々に心を通わせていく。そんなとき、カッサたちはセレクターGから契約を持ちかけられる。しかしそれはセレクターGの罠だった。

ジャマイカから南国の太陽のようにストレートに愛と平和を奏でるレゲエ・ムービーが届きました。主演のキマーニ・マーリーはボブ・マーリーの息子で自身もミュージシャン。(ちなみにボブ・マーリーの子供は11人以上います。) ヒロイン役のシュリーヌ・アンダーソンはシンガーとしても活躍しています。二人とも素晴らしい声の持ち主で、数々の歌のシーンは心躍ります。またレゲエ、ゴスペル、ラスタファリズム、キリスト教、呪術、海、森などなど、ジャマイカの様々な面をギュッと凝縮して詰め込んでいて、初めてジャマイカやレゲエに触れる者にとっては、珍しいことだらけで興味は尽きません。どうぞこの夏はこの作品を観て、復活したレゲエ・サンスプラッシュ(8月19日横浜にて開催)にでも行って、レゲエにはまっちゃってください。(梅)

2003年/ジャマイカ、ノルウェー、イギリス/96分/COLOR

公式 HP >> http://www.onelove-movie.jp/

★9月2日(土)より、シアターN渋谷にてロードショー


『トリノ、24時からの恋人たち』DOPO MEZZANOTTE

製作・監督・脚本:ダヴィデ・フェラーリオ
撮影:ダンテ・チェッキン
音楽:バンダ・イオニカ、ダニエル・セーベ
キャスト:ジョルジョ・パゾッティ(マルティーノ)、フランチェスカ・イナウディ(アマンダ)、ファビオ・トロイアーノ(アンジェロ)、フランチェスカ・ビコッティ(バルバラ)、シルヴィア・オルランド(語り手)ほか

イタリアの映画都市として知られるトリノの象徴は“モーレ・アントネッリアーナ”。元々教会として建てられたが、今は国立映画博物館となっている。夜警として働くマルティーノはシャイな映画好き。いつも1人で大好きなバスター・キートンのフィルムを楽しみ、大切にしている手回しカメラで自分の映画を撮り貯めている。
マルティアーノがいつも寄るハンバーガーショップのアマンダは、時間通りに仕事を終えると終バスに間に合わない。今日も店長ともめてしまった。恋人のアンジェラは車泥棒が生業。2,3人の手下を使って連携プレイをする。ちょっといい男なので、ルームメイトのバルバラもアンジェラを狙っている。アマンダがついに店長に切れてしまった晩、逃げ込んだのはマルティアーノの働くモーレだった。

主な舞台となるのは夜の映画博物館で、これだけでも作り手の映画への愛情が伝わってきます。そこで働く寡黙なマルティーノは、古いサイレント映画から全てを学んでいるような青年です。映画漬けの暮らしの中に恋人のいる女の子が飛び込んできて、1人の女に2人の男という黄金の△関係ができます(トリュフォーの映画の引用ももちろん出てきます)。このマルティアーノの現実の生活と、彼の好きな映画のシーンが交互に出てきて、これがなかなか楽しいのです。気がつけばずーっと顔がにやけていました。3人の俳優も個性的ですし、低予算・短期間で撮ったとは思えない作品でした。もうひとつの『ニュー・シネマ・パラダイス』かな?いつかあの映画博物館をゆっくり見たいです。
マルティーノが太極拳を練習するシーンがありますが、演じたジョルジョ・パゾッティは北京大学卒で、香港のカンフー映画に出演したこともあるのだとか。へぇ!(白)

2004/イタリア/カラー/1時間33分/1:1.85/ドルビーデジタル

公式 HP >> http://www.crest-inter.co.jp/torino24/

★9月2日(土)より、Bunkamuraル・シネマにて輝くようにロードショー!


『マイアミ・バイス』

監督・脚本・製作:マイケル・マン(『ヒート』『コラテラル』)
撮影:ディオン・ビーブ(『SAYURI』)
音楽:ジョン・マーフィー(『スナッチ』『ミリオンズ』)
出演:コリン・ファレル(『S.W.A.T.』)、ジェイミー・フォックス(『Ray/レイ』)、コン・リー(『愛の神、エロス』)

ソニー・クロケット(コリン・ファレル)とリカルド・ダブス(ジェイミー・フォックス)は強い絆で結ばれたマイアミ警察特捜部(バイス)の敏腕刑事コンビ。彼らの情報屋が家族を殺され、自分も自殺するという事態が起きた。同時にFBIの麻薬囮捜査官2人も殺害される。どうやら麻薬密売組織にアメリカ司法機関の合同捜査情報が流れているらしい。FBIは合同捜査とは関係のない彼らに潜入捜査を依頼する。それは孤立無援の危険な捜査だったが、2人は引き受ける。運び屋として組織への接触に成功した2人だが、クロケットは組織内部と深く関係しているらしい美女イザベラ(コン・リー)と恋に落ちてしまう。

1986年から88年にかけて日本でもテレビ東京系列で放送された「マイアミ・バイス」は、ドン・ジョンソンとフィリップ・マイケル・トーマスによるコンビでオシャレな演出にハードな物語という、マイアミという街そのものを巧みに表すようなテレビドラマで、世界的にヒットしました。この映画は登場人物や設定はそのままですが、焦点は潜入捜査の危険でドラマチックな面を再現することに当てていて、テレビの時のような軽いノリは無く、ダークでリアルです。特に、麻薬組織と警察の銃撃戦のシーンは、撃ち合う人間の視点で撮したアングルが多用され、着弾の音も凄くて迫力です。テレビドラマとは違うものと思って観た方が楽しめるかも知れません。(梅)

2006年/アメリカ/132分/シネマスコープ/DTS,SRD,SDDS,SR/Technicolor
ユニバーサル映画 UIP配給

公式 HP >> http://www.miami-vice.jp/

★9月2日(土)より、日劇ほか全国拡大ロードショー


2006年8月26日頃〜

『親指さがし』

監督:熊澤尚人
脚本:まなべゆきこ、高橋泉
原作:山田悠介「親指さがし」(幻冬舎文庫刊)
撮影:斉藤幸一
VE:さとうまなぶ
音楽:安川午朗>br> 美術:松本知恵
キャスト:三宅健(武)、伊藤歩(知恵)、松山ケンイチ(智彦)、永井流奈(綾)、尾上寛之(信久)、小野明日香(由美子)、手塚里美(由実子の母)、佐野史郎(刑事)ほか

12歳の夏、「死んだ子のなくなった親指を見つけたら願いが叶うんだって」と、由美子が始めた「親指さがし」ゲーム。 他愛ない遊びだったはずなのに、気がつくと由美子だけが消えてしまっていた。 始める前「もし私がいなくなったら探して」という由美子に、武は「きっと探し出すよ」と約束していたのだったが・・・。
それから8年がたった8月13日。母校で開かれた同窓会で、武、知恵、智彦、綾、信久たち5人は久し振りに再会する。武が4人に頼んだのは「親指さがしをもう一度、一緒にやってほしい。由美子のために」。 旧友たちは困惑しながらも、武の願いどおりゲームを再現する。

「リアルおにごっこ」で作家デビューした山田悠介の原作を『ニライカナイからの手紙』の熊澤尚人が監督。 V6の三宅健が初めて単独主演した作品です。 子供のころの記憶を封印したまま20歳になった5人が、行方不明になってしまった1人を探すのですが、わりあいあっさりしていてそんなに怖くありません。 原作者もその読者も若いせいでしょうか。 そんなに作りこまれていない感じがしました。 子供ってなんでわざわざ怖い遊びをするのかな。 考えると昔話も結構残酷だったりするし、今も残っている「かごめかごめ」や「はないちもんめ」などは「マザーグース」同様、「本当は怖い」んですよね。(白)

2006/日本/カラー/35mm/ビスタ/96分
http://oyayubisagashi.com/index.html
配給:ザナドゥー
(c)2006 映画「親指さがし」製作委員会

8月26日(土)、全国ロードショー

[ザナドゥーからのお知らせ]

全国の公開劇場において、本篇上映前に出演者の三宅健、伊藤歩、松山ケンイチ、永井流奈、 尾上寛之による、"舞台挨拶"プレミアムメッセージの上映が決定いたしました。
本メッセージは上映劇場のみにて観ることのできるもので、普段、舞台挨拶等でまわることのできない地区のお客様にも楽しんでいただけるものと思います。

■上映期間 : 8月26日(土)〜9月8日(金)(予定)
■場所 : 全国の映画『親指さがし』上映劇場


『幻遊伝』(原題:神遊情人)

監督:陳以文(チェン・イーウェン)
脚本:陳以文(チェン・イーウェン)、法四(ファースゥ)
撮影:リー・ヒンビン
音楽:神尾憲一
アクション監督:李忠志
キャスト:田中麗奈(シャオディエ/チンディーズ)、大杉漣(父親)、チェン・ボーリン(アミン/ハイション)、リー・リーチュン(百鶴道士)、ホン・ティエンシャン(アーゴウ)、ミャオ・ツーチィエ(浄心道士)、北村豊晴(キョンシー)、タイパオ(キョンシー)ほか

シャオディエ(小蝶)は台北生まれのいまどきの女の子。 母は小さい頃に亡くなって、漢方薬店を営む父と二人暮しだ。 両親の故郷の日本に行きたくて、毎日のように親子喧嘩をしている。 今日も夜遊びをした挙句、悪友達と映画の撮影所に忍び込んのだが、シャオディエだけがなぜか過去の世界にタイムスリップしてしまう。 女盗賊に間違えられ役人に追われたり散々な目にあう。 そして出会ったのは、キョンシーを送り届ける百鶴道士、貧しい村のために盗みを働いたハイションとアーゴウ。 元の世界に帰れないシャオディエは彼らと一緒に旅を続けるが、現代では目覚めない彼女を父とアミンが見守っていた。

異世界に飛び込んでしまったヒロインが、様々な人に出会い、困難をクリアして成長するというロールプレイングゲームのような作品。 田中麗奈が現代からやってきた少女と、過去での女盗賊の二役をこなし、アクション初挑戦しています。 チェン・ボーリンも同じく二役、過去でのシャオディエとのロマンスは胸キュンもの。 サモハンの長男のホン・ティエンシャン(洪天祥)も軽快な演技。 香港ものとちょっと違うキョンシー、上海・松江のオープンセットでの撮影も見所のSFアドベンチャー。 ボスキャラとの戦いが意外にあっさりでしたが、女盗賊を主役に続編の構想もあるようです。 (白)

2006/カラー/1時間42分/ビスタサイズ/SRD/
配給・宣伝:角川ヘラルド映画

8月26日(土)より【Q−AXシネマ】他にて時空を越えるロードショー!


【蔡明亮=監督・製作作品3本!!!】 『楽日』 『迷子』 『西瓜』

『楽日』(原題:不散/Goodbye, Dragon Inn)

監督・脚本:ツァイ・ミンリャン(蔡明亮)
製作:リァン・ホンチー
撮影:リャオ・ペンロン
美術:ルー・リーチン
編集:チエン・シェンチャン
衣裳:スン・ホイメイ
出演:チェン・シャンチー(陳湘?h)、リー・カンション(李康生)、三田村恭伸、ミャオ・ティエン(苗天)、シー・チュン(石雋)、ヤン・クイメイ(楊貴媚)、チェン・チャオロン(陳昭榮)ほか

今日で閉館という台北の古い映画館(福和大戯院)。 最後の映画はキン・フ−の傑作『血闘竜門の宿』が、大スクリーンに映し出されている。 しかし客はまばら。 そんな中で食い入るようにスクリーンを観ているのは往年のスター、ミャオ・ティエンとシ−・チェン。 彼らは今日最後の映画の主演男優たち。
さて一方、闇と大音響に隠れて繰り広げられる男たちの集い場のトイレでは、孤独な男たちがうごめく。
そんな場内の出来事も知らないで、足の悪い受付係りの女(チェン・シャンチ−)は、桃饅頭を保温器に入れ、映写技師に届ける。 その最後のプレゼントに思いを込めて。

ゆっくりとした流れの中に身体を預けて、観ていただきたい作品です。 巨大なスクリーンが大きくうねっている中で激しく戦う剣士の表情がとても新鮮で、 客席にはその剣士の面影を宿した往年のスターが目に涙を浮かべ見入っています。 劇場も往年の俳優も一体となって、過去との決別を確認しあっているようでした。 この映画の終盤に、上映が終わったスクリーンを5分間不動で写し出していました。 この5分の中には(二度と取り戻すことができない)何かがたくさん含まれているんだと感じ、 波のように哀しみが押し寄せて来ました。
さて、楽日で日本の俳優さんがデビューしました。 彼はトイレに集う男の役でせりふは確かではありませんが、 (僕は○○です 日本から来ました)だけだったと思うのですが、 急に日本語が出てきたのでインパクトがありました。 最後のタイトルロールでは山田村恭伸となってましたが、それは間違いで三田村恭伸さんです。 彼はツァイ・ミンリャン監督の『青春神話』を観て衝撃的に会いたくなり、 制作会社だけを頼りに台湾へ行き、出会いを実現させたそうです。(美)

2003年/台湾/カラー/ビスタ(1:1.85)/82分/

2003年 ヴェネチア国際映画祭 国際批評家連盟賞 受賞

★8月26日(土)より 渋谷ユーロスペースにてロードショー

『迷子』(原題:不見/The Missing)

監督・脚本:リー・カンション(李康生)
製作:ツァイ・ミンリャン
撮影:リャオ・ペンロン
美術:ルー・リーチン
編集:チェン・シェンチャン
出演:ルー・イーチン(陸弈静)、ミャオ・ティエン(苗天)、チャン・チェア(張捷)ほか

不安が人に思いがけない行動を起こさせる。 原因不明の伝染病の記事を読み、突然新聞紙を切り刻み部屋中にばらまく老人。 金魚鉢にも・・・、共有階段にも・・・。
一方、三歳の孫が公園で迷子になり、探し回る中年女は、 もうこのまま出てこないのではと不安に駆られ、 断りもなしに見ず知らずの男のオートバイの後ろに乗り「街中をさがして!」と懇願する。 最後は死んだ連れ合いの墓所まで行き、願をかける。

泣きながら孫の名を呼び、公園中の人に聞き廻るのは、 リー・カンション監督お気に入りマダム、ルー・イ−チン! 便所でしゃがみ込んで用を足している姿も、力尽きて鼻水垂らして泣いている姿も、 オートバイジャックをして喚いている姿も、驚くほど汚く、醜く、不様。 しかしどの場面も、彼女の引力で目をそらすことは出来なかった。 (美)

2003年/台湾/カラー/ビスタ(1:1.85)/88分/

2003年 釜山国際映画祭 最優秀アジア新人作家 受賞
2004年 ロッテルダム国際映画祭 タイガーアワード、NETPAC賞 受賞

★8月26日(土)より 渋谷ユーロスペースにてレイトショー

『西瓜』(原題:天邊一朶雲/The Wayward Cloud)

監督・脚本:ツァイ・ミンリャン
製作総指揮:ヴィンセント・ワン 製作:ブリュノ・ペズリー
撮影:リャオ・ペンロン
美術:イップ・カムティン
編集:チェン・シェンチャン
衣裳:スン・ホイメイ
出演:チェン・シャンチー(陳湘?h)、リー・カンション(李康生)、ルー・イーチン(陸弈静)、ヤン・クイメイ(楊貴媚)、夜桜すもも

極限状態の水不足が続く台湾の街。 テレビでは節水の方法として西瓜ジュースを奨励している。 帰国したばかりのシャンチーもせっせと作っている。 そんなある日、以前路上で時計を買ったことのあるシャオカンに会う。 鍵を無くしたスーツケースを開けてもらおうとシャンチーは彼を招待する。 二人はお互いに惹かれあい、少しずつ親密になるが・・・。 彼の今の職業はAV男優、しかもシャンチーの同じマンションが撮影現場! 彼女にばれたくない彼は、悪戦苦闘する。

『西瓜』は台湾で2005年の興行収入第1位を記録しました。 強烈なセックスシーンはタブーとされている台湾に衝撃が走った問題作です。 セックスシーンは凄いというほどではありませんが、西瓜を媒体としているところに凄みを感じました。 西瓜が粘膜(膣)、血、腹に取って代わる創造性は、観ているこちらが触られている奇妙な感覚がしました。 現実の生活、AV撮影シーン、空想上の鮮やかなミュージカルシーンを行き来するうちに、 登場人物の思いや焦りが伝わってきました。
見どころ1 夜桜すももさんのAV女優としてのプロ根性には頭が下がります! 見どころ2 ラストでシャオカンが究極の技でシャンチーに求愛します! 見どころ3 ルー・イーチンの蜘蛛女姿の舞踏! (美)

2005年/台湾/カラー/ビスタ(1:1.85)/112分/

2005年ベルリン国際映画祭 銀熊賞(芸術貢献賞)、アルフレッド・パウエル賞、国際批評家連盟賞 受賞

★9月23日(土)より 渋谷/シアター・イメージフォーラムにて
12:30/14:50/16:10/18:30 (レイトショー:20:50 9/23〜9/29)

配給:プレノンアッシュ
http://www.prenomh.com/

==カウントダウントークショー==

		◆ 第五弾 
		日 時:8月13日(日)
		受 付:15:00
		開 演:15:30
		ゲスト:西島秀俊(俳優)
		    ×三田村恭伸(『楽日』出演)
		場 所:T'S SALON 1Fイベントスペース
		     渋谷区渋谷1-6-8 渋谷井上ビル1F
		URL:http://www.salon.tsstyle.jp/map2.html
	  
		●第六弾 
		日時 :8月19日(土) 14:00〜16:00(予定)
		ゲスト: 斎藤綾子(作家/『愛よりも早く』、『ルビーフルーツ』など)
		    ×伏見憲明(作家/『魔女の息子』、『ゲイという[経験]』など)
		場所 :渋谷/T'S SALON 1F(http://www.salon.tsstyle.jp/map2.html
		●第七弾 
		日時 :8月20日(日) 15:00〜17:00(予定)
		ゲスト: 野崎歓(翻訳家・映画評論家)
		    ×三田村恭伸(『楽日』出演)
		    ×夜桜すもも(『西瓜』出演)
		  場所 :渋谷/COZMO'S CAFÉ & BAR(http://www.cozmoscafe.com/
◎料金はすべて 2500円均一(『楽日』『迷子』『西瓜』のいずれかのチケット付!選べます!)

蔡明亮倶楽部 HP
http://www.tml-movie.jp/index.html
ブログはこちら
http://tml.jugem.jp/


『青春☆金属バット』

監督:熊切和嘉
脚本:宇治田隆史
原作:古泉智浩(秋田書店ヤングチャンピオン刊)
撮影:橋本清明
音楽:赤犬(P-VINE)
主題歌:「ならば、友よ」野狐禅
出演:竹原ピストル(難馬)、安藤政信(石岡)、坂井真紀(エイコ)、上地雄輔、佐藤めぐみ、若松孝二(なぞの老人)、寺島進ほか

社交性はないが、未完成な愛があった。
高校の野球部でベンチを暖めていた難馬は、27歳になった今もコンビニのバイト店員。バイト仲間の女子高生には「キモイんですけど」と言われるし、店長にもまともに相手にされていない。毎日バイト先とアパートを往復し、バッティングセンターに行くだけだ。たった一つの目標は「究極のスイング」を体得すること。そのためにこの10年間毎日バットを振ってきたのだ。そんな難馬の前に巨乳自慢の酔っ払い女エイコが現れ、傍若無人な彼女に振り回されつつもなぜだか、アパートに泊める流れに。 おまけにエイコのせいで「バット強盗の2人組」として警察に追われることになってしまった。2人を見つけたのはやる気ゼロの不良警官、石岡。難馬を「バナンバ」と呼ぶ石岡は、同じ野球部でエースだったのだ。

主演の竹原ピストルは、フォーク・ロック・バンド「野狐禅(やこぜん)」メンバー。寡黙な青年をまるで地のように自然に演じています。エンディングの力強い歌を聞くと同一人物とは思えません。安藤政信はいつも不機嫌で投げやりな青年役。 酔っ払いで暴力的なエイコを坂井真紀。ほんっとに迷惑な女なのに、難馬はひかれていきます。巨乳だから、ばかりではなくどこか可愛いところがあるんです。要領よく生きられる人間もいるけれど、不器用な彼らは裏も表もなく、状況は悪く転がるばかり。この困った3人を結ぶのは「野球」で、「野球」に関わるときだけ笑顔になります。熊切監督の作品は痛いところもあるのですが、なんだかじんわりさせられます。 (白)

ダメダメな主人公たちの痛いシチュエーションをザラザラした映像で描く。じめっと暗くて、きつい作品になってしまいそうなものですが、意外にからっとして見終わったときに明るい気持ちにしてくれる青春映画になっているのは、監督の才能なんだと思います。映画のラストシーンを石岡(安藤)のあの一言で締めさせるなんて、最高です。(梅)

2006/日本/カラー/アメリカンビスタ/DTSステレオ/96分/PG-12
配給:ゼアリズエンタープライズ+日本出版販売

公式 HP >> http://www.s-bat.com/

★2006年8月26日(土)より、 渋谷シネアミューズ他にてロードショー


『ハイテンション』

監督:アレクサンドル・アジャ
脚本:アレクサンドル・アジャ、グレゴリー・ルヴァスール
特殊メイク:ジャネット・デ・ロッシ
出演:セシル・ドゥ・フランス、マイウェン、フィリップ・ナオン

アレックス(マイウェン)とマリー(セシル・ドゥ・フランス)は田舎にあるアレックスの実家で週末を過ごそうとやってきた。その夜、皆が寝静まった頃、正体不明の男がやってきて呼び鈴を押した。それは恐ろしい惨劇の幕開けだった。男はアレックスの一家を次々と惨殺し、アレックスを縛り上げて連れ去ろうとする。機転を利かしたマリーは男の魔の手を逃れ、アレックスを助けようと追跡を開始するのだが・・・

リュック・ベッソンのヨーロッパ・コープで製作されたフランス産のスプラッター映画という変わり種。タイトル通りハイテンションにこれでもかと残虐無慈悲な惨劇が繰り広げられる。スプラッター映画としてのお楽しみはきっちり押さえられていると思う。しかし、このエンディングはいかがなものか。これを許したら何でもアリになってしまうのでは?(梅)

2003年/フランス/カラー/スコープサイズ/ドルビーデジタル/91分
提供:ヨーロッパ・コープ、アレクサンドル・フィルム、アスミック・エース エンタテインメント
配給・宣伝:ファントム・フィルム
宣伝協力:アンカープロモーション

公式 HP >> http://www.hightension.jp/

★8月26日(土)より、お台場シネマメディアージュ、新宿オスカー他にてロードショー


2006年8月19日〜

『花田少年史 幽霊と秘密のトンネル』

監督:水田伸生
原作:一色まこと(講談社刊)
脚本:大森寿美男
音楽:岩代太郎
主題歌:サンボマスター「美しさと心の壁」(Sony Music Records Inc.)
出演:須賀健太、篠原涼子、西村雅彦、北村一輝、安藤希、杉本哲太、もたいまさこ

海辺の田舎町に住む花田一路(須賀健太)は有名な腕白少年。ある夏の日、トラックと衝突して意識を失う。そのまま天に昇っていこうとする一路を、セーラー服を着た謎の少女(安藤希)が引き留めて下界に突き戻したため、一命を取り留める。ところがそれ以来、一路には幽霊が見えるようになってしまった。助けてくれたセーラー服の少女の他に、死んだ近所のばあちゃんには犬のジロの世話を頼まれるし、一路の本当の父だと名乗る怪しげな男まで現れる。一路にとっては怖いばかりでとんだ迷惑の能力だが、次第に知らなかった大人たちの世界を垣間見ることになるのだった。

思いっきり笑って観られる作品かと思ったら、意外にも大泣きしながら観てしまいました。大人の都合で辛い思いをしながらも、健気にもそれを受け入れようとする子供たちの演技に涙を搾り取られました。一路の親友・壮太役の松田昴大くんが良い!(梅)

主演の須賀健太くん、『雨鱒の川』の舞台挨拶で見たことがある。 恥ずかしそうにでもしっかり挨拶していたなぁ。 『ALWAYS三丁目の夕日』でも元気な姿を見せていたけど、この作品ではくりくり頭でさらに腕白。 子供といっしょに観られるいい映画があると、未来の映画ファンが育つと思う。
西村雅彦70年代ファッションは笑えるけど、家族思いの「とうちゃん」を好演。 「かあちゃん」役の篠原涼子さんは綺麗だし、もたいさんはあいかわらずおかしいし、 VFXはつめこみすぎ?と思える話をひっぱっているし、で、 お子様といっしょに安心して観られる作品。(白)

企画・製作:日本テレビ放送網、光和インターナショナル
製作:バップ、読売テレビ、読売新聞、報知新聞、読売エージェンシー、松竹
配給:松竹

公式 HP >> http://www.hanada-shonen.com/

★8月19日(土)より夏休みロードショー!


『マスター・オブ・サンダー 決戦!! 封魔龍虎伝』

監督・動作設計:谷垣健治
脚本:谷垣健治、青木万央
撮影:芹沢亮
特技監督:小田一生
音楽:吉川晃司、特撮(大槻ケンヂ、NARASAKI、三柴理、ARIMATSU)
キャスト:木下あゆ美(アユミ)、芳賀優里亜(ミカ)、椿隆之(トオル)、永田杏奈(アンナ)、小松彩夏(カオリ)、アドゴニー・ロロ(アポロ)、平中功治(コースケ)、杉原勇武(イサム)、中村浩二(悪鬼)、松村雄基(小野篁)、J.J Sonny chiba/千葉真一(源流和尚)、倉田保昭(三徳和尚)、長谷部瞳(美央)、竹財輝之助、岡田秀樹ほか

かつて「青龍の7人衆」により封じられていた怨霊「小野篁(おののたかむら)」が、多くの悪霊を従え現世に蘇ってきた。 桔梗院の住職、三徳和尚の一番弟子イサムらは、怨霊の潜む五重塔へ向かうが、篁の配下の悪鬼に瞬く間に打ち倒されてしまう。 桔梗院に預けられていたアユミはこの光景を目撃し、三徳和尚はアユミに鬼封じの歴史を語った。 三徳は「鬼封じ」の法力を持つ「青龍の7人衆」の一人であり、戌年の今年は12年に一度の「鬼封じの年」だということ。 しかし、鬼/怨霊の力は強大で今のままではとても勝ち目がない。 アユミは一人山を降りて「青龍の7人衆」の縁者を探すことにした。

戦隊・ヒーローもので人気の若手俳優たちと、アクション好きにはたまらない千葉真一&倉田保昭の顔合わせが観られる(よくぞ揃えてくださいました!)作品。 谷垣健治監督が、「青春スポ根ものです」という初の劇場公開作品は、両方のファンを取り込める楽しいものとなりました。 集まった7人は修行も能力もとても足りなそうなへなちょこぶりだし、冒頭の1人勝ちの悪鬼は強すぎるし(中村浩二さんすごいです。お疲れ様でした)、絶対に勝てないわ、こりゃと思えるのです。 が、文句言いつつ脱落もせず一所懸命な7人(特に女の子頑張ってます)と、彼らの対極にいる二人の重鎮がひとつのストーリーに収まっているのです。 今までもこれからも観られないだろうベテラン二人のアクションと、これから伸びていくに違いない若手をぜひチェックしましょう。

うんちく:小野篁(おののたかむら)は平安時代の実在の人物で、小野小町は彼の姪と言われています。 文武に優れ、多くの和歌が残されていて「わたの原八十島(やそしま)かけて漕ぎ出でぬと人には告げよ海人(あま)の釣り船」が有名です。 6尺2寸の美丈夫で腹違いの妹と恋に落ちたとか、閻魔大王の臣下で井戸を通ってこの世と黄泉の国を行き来したとか伝えられています。 この作品には篁伝説のネタがちゃんと仕込まれていました。

本誌68号(8月発行予定)に谷垣監督インタビュー掲載予定です。(白)

冒頭の悪鬼vs三徳和尚の弟子100人の長回しは谷垣監督の意気込みを感じる迫力のシーンです。ステディカムを背負って何テイクも撮ったカメラマンさん、本当にお疲れ様でした。
若手の俳優陣のがんばりは爽やかで好感が持てます。ベテランの2人のがっぷり四つに組んだ対決は今後もう観る機会が無い貴重なものでしょう。そして松村雄基さんの劇画から抜け出てきたような哀しみの怨霊がいいんですわ。(梅)

2006/日本/ カラー/92分/1:1.85ビスタサイズ/DTS/
配給:日活株式会社

http://www.m-thunder.com/

オリジナル・サウンドトラック:徳間ジャパンコミュニケーションズより8月2日発売

★8月19日(土)、シネマート六本木ほか伝承開始!


『マッチポイント』

監督・脚本:ウディ・アレン
撮影:レミ・アデファラシン
美術:ジム・クレイ
キャスト:ジョナサン・リース・メイヤーズ(クリス)、スカーレット・ヨハンソン(ノラ)、エミリー・モーティマー(クロエ)、マシュー・グード(トム)、ブライアン・コックス(父アレック)、ペネロピー・ウイルトン(母エレノア)、ジェームズ・ネズビット(バナー刑事)、スティーヴ・ペンバートン(パリー刑事)ほか

テニスの試合でボールがネット上に当たる。
その瞬間 ボールがどっちに落ちるか。
運良く向こうに落ちたら、勝ち。こっちに落ちたら、負けだ。

クリスは元プロテニスプレイヤー。 野心家の彼はアイルランドを出て、ロンドンでテニスコーチの職を見つけた。 クラブのメンバーは上流階級の人々。富豪の御曹司トムと知り合い、トムの妹のクロエとも懇意になっていく。 別荘に招かれ魅力的なアメリカ人女優のノラに出会うが、彼女はトムの婚約者だった。 クリスはやがてクロエとその父親にも気に入られ、クロエと結婚し事業に頭角を現わしていく。 上流階級の仲間入りをし、地位もお金も手に入れるが、どうしてもノラを忘れることができなかった。 クロエと約束した美術館で、偶然ノラを見つけたクリスはむりやり電話番号を聞きだしていた。

ニューヨークから移ったウディ・アレンが初めてロンドンから発信した作品。
2006年第63回ゴールデン・グローブ賞4部門ノミネート、2006年第78回アカデミー賞脚本賞ノミネート。 ありがちな不倫の話をイギリス上流階級を舞台に、おしゃれでスピーディかつスリリングにまとめています。 不倫といえば思い出す『ウディ・アレンの 重罪と軽罪』は、2組の夫婦の物語でアレン自身も出演していたブラックコメディでしたが、こちらは若いカップルのみでコメディ色はありません。 しかし冒頭のことばがその後の展開に深くかかわっていたり、地位が上がるにつれて生活の場所も高くなっていくクリスが高所恐怖症という設定だったり、と思わずニヤリとします。 うまいなぁ。 メイヤーズとヨハンソン、モーティマーのリアルな演技に、身に覚えのある人はぎくり?街の映像も美しく、これからウディ・アレンがどんなロンドンを見せてくれるのか楽しみです。(白)

2005/イギリス/カラー/2時間4分/ヴィスタサイズ/ドルビーデジタル
製作:ジェイダ・プロダクション
提供:BBCフィルムズ・セーマ・プロダクションSA
配給:アスミック・エース

2006年8月19日、恵比寿ガーデンシネマ、シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー
『マッチポイント』特別企画

(1)キレイになる! プレゼント
9/16(土)〜18(月・祝) 恵比寿ガーデンシネマ、シネスイッチ銀座ご来場のお客様、 毎日先着各100名様に "マッチポイント" 力 UPアイテムをプレゼント
  • 9/16(土):100% りんごのお酒 シドニーサイダー(20歳以上のみ) 提供:カーヴ
     パリっと爽やか、後味さっぱりのシャンパン果実酒を飲んで、ほろ酔い気分で意中 の相手を虜に!
  • 9/17(日):レッグケアシステム7.5.3 提供:ドクター・ショール
     英国のフットケアブランド「ドクター・ショール」から脚の疲れ、 ムクミを解消するストッキングを。 脚と美しくサボートし、オシャレなデイリースタイルを!
  • 9/18(月・祝):グラムシャイン N ほかスキンケアサンプル入りの"マッチポイント" 特別セット 提供:ロレアル パリ
     S・ヨハンソンのような官能的な唇を目指すには、グラムシャイン Nがぴったり。 ハート型のアプリケーターを使ってグロスを塗ったら、一度でふっくらツヤ唇に。 「特別な女」になれるかも・・・

(2)スペシャルトークショー 開催!

人生は運しだい?! 恋の、人生のマッチポイントを勝ち抜くコツが聞けるかも?!

登壇者:【第一弾】9/12(火) 鏡リュウジさん(心理占星術家)
    【第二弾】9/26(火) TAKAKOさん(ビューティークリエイター)
場所:恵比寿ガーデンシネマにて/時間:19:00の回上映終了後 (両日共)

■鏡リュウジさん(心理占星術家):
心理術を心理的アプローチで解釈・紹介した日本での第一人者。著書、翻訳多数。 幅広い層から圧倒的な支持を受け雑誌、テレビ、ラジオなど幅広いメデイアで活躍。

■TAKAKOさん(ビューティークリエイター):
ロンドン、NYで数々の一流ブランドCM、人気雑誌、アーティストを手掛け帰国。 そのグローバルなスーパーテクニックは幅広い層に絶大な人気を誇る。 イベントやラジオなどでも活躍。



『深海 Blue Cha-Cha』

監督:チェン・ウェンタン(鄭文堂:『時の流れの中で』)
出演:ターシー・スー(蘇慧倫:『宝島 トレジャー・アイランド』『藍月』)、リー・ウェイ(李威)、ルー・イーチン(陸?静:『青春神話』『河』『ふたつの時、ふたりの時間』)、レオン・ダイ(戴立忍:『ヤンヤン 夏の思い出』)

刑務所から出所したアユー(ターシー・スー)は、身寄りもなく、服役中に知り合って実の姉のように慕っていたアン(ルー・イーチン)を頼って、海辺の彼女のバーで働き始める。いつも自分の殻に閉じこもっているアユーだが、魅力ある彼女に、羽振りのいい客の男(レオン・ダイ)が好意を寄せ、大金を積んで彼女を外に連れ出す。男に夢中になり、「また来る」という男の言葉を信じて待つが、一向に現れない男に、アユーは執拗に電話をかける。男はバーに怒鳴り込み、アユーは男に掴みかかる。アンは問題を起こしたアユーに工場勤めを勧める。新しい職場で、作業指導にあたる先輩の若い男シャオハオ(リー・ウェイ)が彼女に寄せた好意にすがるように、アユーは彼の家で暮らし始めるが・・・

いつもそばにいたいのに、一緒にいられないと、もう愛されてないと思い込むアユー。愛が感じられなくなった時、彼女の心の中で何かが爆発してしまい、思いもかけない行動に出てしまう。(若い頃、一途に追いかけすぎて相手に拒否された苦い経験を思い出して痛かった!) 物憂げなリズムに乗せて、アンやアユーがチャチャを踊る姿に、人間は所詮一人で生きていかなくてはならないことを感じながら、心のよりどころがあってこその人生を思った。家族、友達、恋人、同僚・・・まわりのいろんな人の領域を侵さないようにしながら、お互いささえあって歩んでいくのが人生だろうか。
かつて歌手として、フルーズ・ガーデン(独)のカヴァー曲「LEMON TREE」などで大ヒットを飛ばしたターシー・スーが、心の病を抱えた女性を演じきっていて、心の糸が切れる様が実にリアル。ラスト、海のそばで演じられる布袋戯の人形使いの若い男性も心の病を抱え、家族に支えられて心の平安を保っているという役どころだが、演じているのは、『戯夢人生』の李天祿の愛弟子の方とのこと。また、アンを演じたルー・イーチンは、『青春神話』などでシャオカンのお母さん役を演じているツァイ・ミンリャン監督作品の常連の方。
アユーの人生はちょっと痛いけれど、鉄橋を渡る列車が川面に映る姿や、高雄の海など、映像が素晴らしくて、明日への希望が感じられた。(咲)

2005年台湾・金馬賞音楽賞受賞(シンシン・リー:李欣芸)
第18回東京国際映画祭〈アジアの風〉台湾:電影ルネッサンス出品 (2005年)

2005年/台湾/108分/北京語/ヴィスタ(1:1.85)ドルビーSRD
後援:台湾駐日経済文化代表部
協賛:チャイナエアライン
提供:コミックリズ、エスピーオー、レゾナント・コミュニケーション、ワコー
配給:コミックリズ、ワコー
宣伝: グアパ・グアポ

公式 HP >> http://www.shinkaimovie.com/

★8月19日 新宿武蔵野館にてロードショー〈全国順次公開〉


2006年8月12日頃〜

『愛と死の間(はざま)で』All about love

監督・脚本:ダニエル・ユー/ユー・コンロッ
エグゼクティブ・プロデューサー:アンディ・ラウ、リ・ナン、ユー・ドン
撮影:ジェイソン・クワン
美術:クリスタル・バー
主題歌:アンディ・ラウ
キャスト:アンディ・ラウ(コウ/デレク)、チャーリー・ヤン(ユンサム)、シャーリン・チョイ(チーチン)、アンソニー・ウォン(ホー医師)、ホイ・シウホン(チーチン父)、ラム・シュッ(コウ同僚)ほか

コウ医師は日々忙しさに追われ、愛妻のチーチンとの約束もしょっちゅう破り、先延ばしばかり。 食事の約束がまた先送りになり、1人帰る途中チーチンは事故にあって亡くなってしまう。 悲嘆にくれたコウは、医師をやめて救護隊員となり、時間厳守の生活をしていた。 ある夜、たまたま遭遇した交通事故の被害者を救出しようとしたとき、なぜか彼女の心音に特別な感情を呼び起こされる。 その女性はユンサム、かつて心臓移植手術を受けていた。 ユンサムが気になってならないコウは、主治医のホー医師に詰め寄り、ユンサムに移植されたのはチーチンの心臓と確信する。


© 2005 FOCUS FILMS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED

アンディ・ラウが医師と美容師の二役をこなし、しかも両手に花。 シャーリンが幼く見えるので、チャーリーとカップルの方が安心して観ていられました(?)。 『インファナル・アフェア 終極無間』を撮った後の作品で、久々の優しいラブロマンスです。 しかし、せっかく純愛に涙しているというのに、どうしても気になるシーンがあるのです(どう考えてもいらないんじゃないの、と思える)が、みなさんはいかがでしょうか?
プレスにアンディの年齢が書かれていなかったのですが、柳葉敏郎、中井貴一・・・この作品で共演のアンソニー・ウォンも同い年の40代。 相変わらずアップにたえる男前でした。 ホイ・シウホン、ラム・シュッもいい味出しています。(白)

2005/香港/カラー/ヴィスタ/SRD・SR/1時間42分
提供・配給:ムービーアイ

http://www.ai-to-shi.com/top.html
★8月12日(土)よりシャンテシネにてロードショー
ミニ・クリアファイルつき特別鑑賞券発売中


2006年8月5日〜

『森のリトル・ギャング』(原題:Over the Hedge)

監督:ティム・ジョンソン、キャリー・カークパトリック
原作:マイケル・フライ、T・ルイス「Over the Hedge」
音楽:ルパート・グレグソン=ウィリアムズ
歌:ベン・フォールズ
キャスト(声):ブルース・ウィリス(RJ)、ギャリー・シャンドリング(ヴァーン)、スティーブ・ガレル(ハミー)、ワンダ・サイクス(ステラ)、ウィリアム・シャトナー(オジー)、アヴリル・ラヴィーン(ヘザー)、ユージン・レヴィ(ルー)、キャサリン・オハラ(ペニー)、ニック・ノルティ(ヴィンセント)

ある春の日に冬眠から目覚めた森の動物たちが目にしたものは、巨大などこまでも続く緑の壁(垣根)。彼らのリーダー亀のヴァーンは、おそるおそる垣根の向こう側を見に行くと、そこには新しく開発されたヒトの住む世界が広がり、彼らの森はかろうじてほんの一部が残されただけだった。これでは十分な食料が確保できない、どうしよう!とうろたえる彼らの前に、流れ者のアライグマ・RJが現れる。RJは食べ物ならヒトの世界にとびきりおいしいものが一杯あるから奪ってくればいいと教える。ヴァーンは危険すぎると反対するが、一度ヒトの食べ物の味を知ってしまった仲間たちはRJに従って食べ物奪取に奔走する。しかしRJには下心があった。

『シュレック2』や『マダガスカル』のドリームワークスアニメーションがこの夏に提供するのがこの作品。原作は人気コミックでRJとヴァーンのコンビが人間社会を観察・風刺するというものですが、映画は原作にはないこの二匹が出逢って森の家族となる過程を描いています。
基本的には子供向けアニメーションですが、ユーモアは鋭いウィットに富んでいて大人向け。RJが森の仲間にヒトの習性について説明する部分には大笑い。またハミーの大活躍には、大人も子供も爆笑必死です。
笑わせながら、誰かのために生きることや、動物がヒトの家に侵入してるんじゃない、ヒトが動物のエリアを侵害したんだといったメッセージも伝えてくれます。是非家族でご覧下さい。(梅)

2006年/アメリカ/カラー/84分/ヴィスタサイズ/ドルビーデジタル/日本語字幕:稲田嵯裕里
ドリームワークスアニメーション提供
配給:アスミック・エース

公式 HP >> http://mori-gang.com/

★8月5日(土)より全国松竹・東急系にて拡大ロードショー


『島ノ唄 Thousands of Islands』

監督:伊藤憲
撮影:夏海光造
出演:吉増剛造、島尾ミホ、里英吉、松田栄喜

現代詩人でありアーティストでもある吉増剛造。 基地の街東京福生で育った彼が奄美や沖縄の島々を巡りはじめて20年。 伊藤監督がそんな吉増剛造の島を旅する姿を4年間追い続けた静かなドキュメンタリーが完成した。 訪れたのは、奄美大島、沖永良部島、加計呂麻島、沖縄本島。 昔からヤマトだけでなく、中国、朝鮮半島、東南アジアから様々な人々が渡来し、戦後はアメリカの基地の文化も入ってきた地。 吉増の背中越しに、島の人々の暮らしが描かれる。 辛い過去を押し殺したように、楽しそうに踊り出す島の人たち姿が哀愁を誘う。 島の風を受けて作った吉増の詩も語られて、この島が歩んできた歴史に思いが至る。

監督は、自分たちの住む日本という島国とは何なのか、どういう生き方が島国にとって美しいのか、そんなことを考えながら、映像で何ができるかを模索したという。 島国日本では、かつては、海の向こうからしか入ってこなかった外の文化。 今は様々なルートで外の文化が乱入する。 切磋琢磨で文化は変わっていくものだと思うが、あらためて島国日本のはぐくんできたものを見直してみたいと思った。(咲)

ハイビジョン・ビデオ作品/カラー/93分
★8月5日(土)よりポレポレ東中野にてモーニング&レイト ロードショー


『鬘 かつら』

監督・脚色:ウォン・シニョン
脚本:ド・ヒョンジョン
出演:チェ・ミンソ(スヒョン)、ユソン(ジヒョン)、ムンス(ギソク)

ジヒョンには癌で余命幾ばくもない妹のスヒョンがいる。治療の為に髪を失った妹に姉は鬘をプレゼントした。その美しい鬘をスヒョンはとても気にいり、鬘を着けているときは健康を取り戻したかのように元気だった。しかし、次第にスヒョンは黒髪にまつわる幻覚を見て取り乱したり、姉のジヒョンを挑発するような行動を取り始め、ジヒョンは言いしれぬ恐怖を抱くのだった。

女性の長い黒髪というのは美しさの象徴であると共に、恐怖を増長するものです。日本古来の女性の幽霊は皆長い黒髪ですし、最近では「貞子」も長い黒髪が強烈な印象を残しています。この作品はストレートにその黒髪が主役で、意思を持ち、人を操り、自ら動いちゃいます。その鬘の秘密が徐々に明かされる展開や、仲が良かったはずの姉妹の関係が軋んでいく様子はとてもスリリングです。スヒョンの顔つきが段々変わっていくのがとても自然なのにもびっくり。ギソク役のムンスの妖しい魅力にも大注目です。一番怖さを感じさせるのは坊主頭のスヒョンのやせ細った全裸シーンだったりするのですが・・・ 
ところで髪にはその人の記憶が宿るものというのは韓国古来の考え方なのでしょうか?(梅)

2005年/韓国/102分/SRD/ビスタサイズ
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
宣伝:フリーマン・オフィス

★8月5日(土)より、シネマート六本木ほか 全国ロードショー

◆『鬘かつら』 美人姉妹割引!

ご姉妹でご来場いただくと、当日1人1000円でご鑑賞頂けます。

※自己申告制となります。
※シネマート六本木のみでの実施になります。
※お連れ様皆様、同時の入場となります。
※他の割引との併用はできません。
※女性姉妹の方のみご利用頂けます。
※ご姉妹であれば何名様でもご利用頂けます。


2006年7月29日〜

『ビースティ・ボーイズ 撮られっぱなし天国 』AWESOME;I FUCKIN' SHOT THAT!

監督・製作:ナサニエル・ホーンブロワー
キャスト:ビースティ・ボーイズ(マイクロ、アドロック、MCA)、ミックス・マスター・マイク、マニー・マーク、アルフレッド・オルティズ、ダグ・E・フレッシュ(スペシャル・ゲスト)

2004年10月9日ニューヨーク、満員御礼のマジソン・スクエア・ガーデン。
ビースティ・ボーイズのライブ直前、50人の観客に1台ずつのビデオカメラが手渡された。 彼らの使命は自分達の視点でこのライブを撮影すること。 何を撮ってもいい、ただしライブの最後まで決して録画を止めないこと。 この「素人たち」が撮った映像を監督のナサニエル・ホーンブロワー(ビースティ・ボーイズのメンバー、MCAの変名)が1年をかけて編集、ついに1本の作品として完成。 これ以上ないほどのリアリティで、ライブの熱狂と興奮が伝わってくるコンサート・フィルムが誕生した!

アメリカ/カラー(1部モノクロ)/1時間29分/ビスタサイズ/ドルビーデジタル
配給:アスミック・エース
宣伝:エレクトリック89

7月29日(土)よりシネマライズにてレイトショー
8月5日(土)より梅田ガーデンシネマにてレイトショー



『ザ・フォッグ』THE FOG

監督:パート・ウェインライト
製作・オリジナル脚本:ジョン・カーペンター、デブラ・ヒル
脚本:クーパー・レイン
撮影:ネイサン・ホープ
音楽:グレーム・レヴェル
キャスト:トム・ウェリング(ニック・キャッスル)、マギー・グレイス(エリザベス・ウィリアムズ)、セルマ・ブレア(スティヴィー・ウェイン)ほか

1871年オレゴン州の小さな港町、アントニオ・ベイ。 濃い霧がたちこめる海にボートを漕ぎ出した男たちがいた。 彼らは帆船エリザベス・デイン号で待っていた乗客や乗員をだまし、 金目のものを持ち出したうえに、人々を閉じ込めて火を放って逃げ出した。 船は海底に沈み、おぞましい事件は誰にも語られず葬り去られたのだった。
そして100年後。アントニオ・ベイの功労者4人を讃える銅像が完成し、祝典が近づいていた。 不思議な霧が海上を覆い始めたころ、 ニューヨークから帰郷したエリザベスが恋人のニックと再会していた。 エリザベスはたびたび同じ悪夢にうなされ、その謎を解くため戻ってきたのだ。

鬼才ジョン・カーペンター監督の同名 ホラー(1980年公開)を、 『スティグマータ/聖痕』のルパート・ウェインライト監督でリメイク。 ホラー苦手な私でもカーペンター監督の『遊星からの物体X』や『透明人間』は観たことがあります。 このリメイク作品では製作にまわり、若いウェインライト監督にまかせました。 オリジナルよりも怨霊たちの悲しみや恨みを前面に出し、ドラマを感じさせます。 主演のトム・ウェリング、マギー・グレイスともTVでの活躍が長く、 あまりなじみがありませんが、トム・ウェリングのスタイルと笑顔に心惹かれるものがありました。 TVの「ヤング・スーパーマン」の主演だったのだとか。納得。 「100年前の罪を償え!」とやってくる怨霊はもちろんですが、 濃い霧の中スピードを落とさず走る車も怖かったです!ぶつかるって。(白)

2005/アメリカ/カラー/シネスコ/ドルビーデジタル/1時間39分
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
配給協力:メディアボックス

http://www.sonypictures.jp/movies/thefog/index.html

7月29日(土)〜8月25日(金) シネマートN渋谷にて4週間限定ロードショー!
初日プレゼント:『ザ・フォッグ』特製パニック防止酸素ボンベを先着50名様へ


2006年7月22日〜

『恋する日曜日』

監督:廣木隆一(『ヴァイブレータ』『やわらかい生活』)
脚本:いずみ吉紘
主題歌:「君が僕を知っている」RCサクセション
出演:水橋貴己、若葉竜也、芳賀優里亜、佐々木和徳、水橋研二、小山田サユリ、石野真子

1学期の終業式の日。高校生の晶(水橋貴己)は父の仕事の都合で、長年暮らしてきた上田から明日東京に引っ越すことになっている。最後の日を幼なじみの直(若葉竜也)と二人で過ごしたい、そして思いを伝えたいと願っていた。しかし直は同じクラスの環(芳賀優里亜)に夢中で、送別会に彼女も呼んでしまう。一方、弓道部の先輩・楽(佐々木和徳)は晶に思いをぶつけてきた。楽は環の元カレで、環はまだ未練がある様子。晶の上田での最後の夜は、晶の思いをよそに、なぜか4人で過ごすことになってしまう。

幼い頃からずっと一緒で家族同然のつきあいだから、相手が自分を恋愛対象には思っていないことは重々承知。それでも女の子の方が心は先に大人になるので、優しい彼を好きにならずにはいられない。でも今好きだなんて言ったら、二人の距離は上田と東京の距離よりも離れてしまうかもしれない。言う?言わない?言う?言わない・・・
晶の千々に乱れる心を、水橋貴己が等身大に無理なく演じていて好感度大。1人何も知らない脳天気な直役の若葉竜也も、ちょっと可愛いです。彼は大衆演劇の若葉劇団でチビ玉三兄弟の1人として活躍してきた役者。二人ともこれから活躍することでしょう。晶が最後に出した答えには、高校生がそこまで達観した言葉を伝えられるのは凄いなあ、凄すぎないかなぁとも思いますが、夏の朝のように爽やかな青春映画で、幼なじみがいる人がうらやましくなりました。(梅)

★7月22日(土)より、シネマート六本木にてさわやかなロードショー
 7月15日〜 名古屋シネマスコーレ
 8月12日〜 大阪シネ・ヌーヴォ ほか


『トランスアメリカ』(原題:TRANSAMERICA)

脚本・監督:ダンカン・タッカー
音楽:デヴィッド・マンスフィールド
主題歌:ドリー・バートン「Travelin' Thru」
出演:フェリシティ・ハフマン、ケヴィン・ゼガーズ、フィオヌラ・フラナガン、バート・ヤング、エリザベス・ペーニャ、グレアム・グリーン

ロサンゼルスで慎ましく暮らすブリー(フェリシティ・ハフマン)は性同一性障害で男性から女性へと変わる最後の手術を1週間後に控えている。その彼女にニューヨーク警察から一本の電話が入る。 トビー(ケヴィン・ゼガーズ)という少年が万引きで捕まり、父親のスタンレーを探しているというのだ。ブリーは激しく動揺する。なぜなら”スタンレー”とは、男性だった頃のブリーの名で、一度だけ関係を持った女性が知らぬ間に息子を生んでいたからだ。 過去を切り離そうとするブリーに、彼女の良き相談相手のセラピストは、過去に立ち向かわなければ手術に同意するサインはしないと言い、ブリーは渋々ニューヨークへ向かう。 初めて会う息子のトビーは、母を亡くし、テキサスの養父の元を飛び出して、ニューヨークで仲間と男娼をしながら暮らしていた。荒んだ生活をする彼をさすがに放っておけない。トビーはブリーを教会のボランティアだと思いこんだ。彼の勘違いはそのままに、ブリーはロサンゼルスへ父親を探しに行きたいという彼の願いを聞くふりをして養父の元へ届けようと考える。二人の大陸横断の旅が始まる。

男性から女性へ変わる人の役はこれまでは男性の俳優が演じることがほとんどだったと思う。しかし実は女性の俳優の方が合っているのかも知れない。彼らは心が女性なのだから。フェリシティ・ハフマンは外見的にも、散々傷ついて殻に閉じこもって生きてきたブリーの内面もとても上手く演じている。対するケヴィン・ゼガーズも繊細さと傲慢さが入り交じる美しい青年を好演していて印象深い。イケメン好きは要チェック。 主人公がトランスジェンダーなのでそこに注目がいくが、物語の核は親子の絆。ブリーが息子のトビーと、あるいは両親との愛と絆を取り戻し、再出発する。笑いながらほろりとさせられる、素敵な作品。(梅)

2005年/アメリカ/103分/ヴィスタサイズ/ドルビーデジタル/カラー
配給:松竹
宣伝:ザジフィルムズ

公式 HP >> http://www.transamerica-movie.jp/

★2006年7月22日(土)より、シネスイッチ銀座ほかにてロードショー


『神の左手、悪魔の右手』

監督:金子修介
原作:楳図かずお
脚本:松枝佳紀
出演:渋谷飛鳥、小林翼、前田愛、清水萌々子、小木茂光、田口トモロヲ

イズミは弟のソウが人間の悪意を夢で予知するという不思議な能力を持っていて、そのために苦しんでいるのを知っている。弟を助けたいと願うイズミだが、どうしたらいいのか分からない。
ある夜、ソウは原因不明の大量出血で病院に運ばれる。このままでは本当に命が危ないと知り、イズミはソウが話していた夢の中の親子を捜し始める。その親子というのは、娘は歩くことが出来ず、父親が描いてくれる絵本だけを楽しみにしているのだが、そこに描かれているのはいつも少女を惨殺するというおぞましい物語だった。

とにかく瞳孔まで開いちゃっているような田口トモロヲさんが怖いよぉ。娘のモモ役の清水萌々子ちゃん(『誰も知らない』の末の子ね)、怖くて泣かなかったかしら(笑)。
楳図かずおの漫画はセリフをそのまま役者に言わせると、突然、時代が100年くらいさかのぼってしまう。だけど設定は現代。なんだかちょっと気持ち悪い。(梅)

2006年/日本/95分/カラー/35mm/ビスタサイズ(1:1.85)/ドルビーサラウンド
配給:東芝エンタテインメント

公式 HP >> http://www.kaminohidarite.com/

★7月22日(土)より、渋谷アミューズCQNにてロードショー


『ハチミツとクローバー』

監督:高田雅博
脚本:河原雅彦
原作:羽海野チカ(月刊「コーラス」連載中/集英社刊)
撮影:長谷川圭二
音楽:菅野よう子、主題歌:スピッツ、エンディングテーマ:スガシカオ
キャスト:櫻井翔(竹本祐太)、蒼井優(花本はぐみ)、伊勢谷友介(森田忍)、加瀬亮(真山巧)、関めぐみ(山田あゆみ)、堺雅人、西田尚美、中村獅童ほか

浜美大建築科三年の花本祐太は、美大生らしからぬ純朴で健康的短パン男。 花本研究会の餃子パーティに参加した竹本は、そこで噂の天才転校生、はぐみに一目ぼれしてしまう。 竹本が「恋に落ちる瞬間」を見た真山は、先輩の理香に密かな恋心を抱いている。 そんな真山を見つめるのは山田あゆみ。 竹本は、はぐみと顔をあわせるだけでバラ色の日々を送っていたが、放浪中の先輩森田が寮に帰って雲行きがあやしくなってきた。

美大生5人、全員片想いというせつない状況を描いたこの大人気のコミック、映画でもキャストの魅力との相乗効果でますます「青春!」な作品となりました。 高田雅博監督は「KDDI」、「BOSS」などCMの人気ディレクター。 映画作品はこれが初めてですが、俳優の魅力を十二分に引き出しています。 完成披露試写会では、海外で撮影中だった加瀬亮以外の4人の主人公と高田監督が登壇しましたが、それぞれ映画は地だったの?と思うほどキャラが近い感じがしました。 あ、櫻井翔くんは映画の竹本くんより明るく行動的でした。
タイトルは原作者の羽海野チカがスピッツの「ハチミツ」、スガシカオの「clover」を聴いていたことからつけたもの。 天才少女はぐの絵はMAYAMAXX、もう一人の天才森田の彫刻は、伊勢谷と同じ東京藝術大学卒の森田太初が手がけています。 プライベートでも仲の良いバイク仲間だとか。(白)

2006/日本/カラー/配給:アスミック・エース

映画公式サイト http://hachikuro.jp/

★7月22日(土)より、渋谷シネマライズ、新宿ジョイシネマ、池袋シネマサンシャインほか全国ロードショー


『ダスト・トゥ・グローリー』

監督:デイナ・ブラウン
クリエイティブ・コンサルタント:ブルース・ブラウン
出演:マイク“マウス”マッコイ、ジミー・バッサー、ロビー・ゴードン、ジョニー・キャンベル、ライアン・アルシエロ、アラン・フルーガー、JN&ジミー・ロバーツ、マリオ・アンドレッティ、チャド・マックィーンほか

「バハ1000」は世界最長のノンストップのオフロードレース。 1967年の第1回から、毎年秋にはバイクやトラック、バギー、ワーゲンに乗った冒険者たちが集まってくる。 彼らはバハ・カリフォルニア半島を端から端(エンセナーダ〜ラパス)まで1000マイル(約1600km)に渡って不眠不休で縦断する。 一般車両と一緒に公道を走る部分もあり、ここではレース中といえども交通規則に従わねばならない。 警官にお説教された挙句、数珠繋ぎになって先導されていく面白い光景が見られる。 パリ=ダカールのような大きなレースと違って、バハにはプロ、アマ問わず個人やチーム様々な形で参加している。 サボテンが林立し、コヨーテがひそむ荒野を砂塵を巻き上げて疾走するので、ちょっとした凹凸で転倒し故障することもざら。 他者と競うというより、バハと闘っている。 この美しくて過酷な地では、べテランだから、プロだから勝てるとは限らない。 何度でも挑戦したくなる所以だろう。 スティーブ・マックィーン、ジェイムズ・ガーナーもこのレースを愛していた一人で、フィルムに顔を見せていた。 走る一人一人にドラマがあり、車好きでなくとも熱くなれたドキュメンタリー!(白)

極めつけのレース・バカたちが集まる「バハ1000」。あまりに過酷なコースに、なんだってこんなレースにみんな出たがるんだ!?と思うのは最初だけ。参加者たちの目の輝きを観ているうちに、こちらもワクワクしてきてしまう。愛するものが共通の人間たちが世界中から集まるその場所が、いかに楽しくて特別で、毎年でも来たいと思ってしまうかは、愛するものがある人にはよ〜く分かるはず。
途中のメンテナンスでストップする以外は、不眠不休で走り続けるため、アドレナリンが極限まで吹き出して、ドライバーの言動が明らかにおかしくなっている様子など、カメラは生々しく映している。ドライバーの1人は、「バハから戻ると日常はあまりに穏やかで止まっているようにさえ見える」と語る。一度この状態を経験したら、さもありなんだ。参加者の中には親子のチームや女性だけのチームもある。夫たちがバハに夢中になっているのを見て、自分もやりたいと思った妻たちが集まったという。子は父親がいつも語るバハの魅力に憧れたという。こうしてバハの熱は人から人へ伝えられてきた。そして今、この映画を通してわたしたちはその熱を受け取れる。(梅)

2005/アメリカ/カラー/ビスタ/97分
提供:レイドバックコーポレーション
配給:グラッシィ
http://www.glassymovie.jp/d2g

★7月22日(土)より、シアターN渋谷ほか全国爆走ロードショー!



『蟻の兵隊』

池谷 薫 監督

日本軍山西省残留問題とは?

 1945年6月15日に太平洋戦争が終わってからも武装解除されず、中国山西省に残って、中国の内戦を戦った日本軍兵士がいたことを知っていますか? その数2600名。国民党系の軍閥の部隊と合流して、その後4年間共産党軍と戦い、550名が戦死。700人以上が捕虜になり、戦後10年近くたって、やっと帰国できたのだという。この方たちは軍の命令で残留したにも関わらす、自ら志願して残ったとされ、戦後補償を受けられないでいます。このドキュメンタリーは、当事者であり、捕虜として5年間中国に抑留された後、やっと、戦後9年たって日本に戻ることができた奥村和一さんの姿を追う。軍の指示により残留したということを認めない国に対して、裁判を起こした元軍人たちだが、認められるため、その証拠を探して、奥村さんは自分が駐留した中国に出かける。
 証拠探しだけでなく、初年兵だった自分が、初めて人を殺した場所を訪ね、線香をあげ、多くの仲間を失ったかつての戦場を訪ね、亡くなった人たちの無念の思いを国に伝えたいと誓う。
 冒頭、奥村さんが靖国神社に行くシーンが出てくるが、靖国神社に行ってもお参りをしない奥村さんの「国に取られ、侵略戦争の戦いに出て死んだ人間は神ではありません。そういうごまかしは許さない」という言葉がこのドキュメンタリーのすべてを語っている。
 また、靖国神社で講演をしていた小野田寛郎さんに対し、「侵略戦争を美化するのか」と、奥村さんが、するどい言葉を投げかけて詰め寄るシーンも出てくる。

 

戦後、中国に残された残留孤児や残留婦人などの問題はよく知られているが、兵士が残されて、さらに中国の内戦を戦ったということを知りびっくりした。日本軍再興のための軍上層部の作戦だったらしいが、残った人たちが自分の意志で残ったとされて、戦後補償を受けられないでいるということを知り、そんなことってあり?と許せない気持ちになった。そういうことを、靖国神社にお参りする小泉首相はご存知なのだろうか。ぜひ、政府関係者は靖国のことを言う前に、この作品をみるべくだろう。
「私たちは上官の命令に従い、蟻のように黙々と戦った」という言葉が重い。(暁)

公式 HP >> http://www.arinoheitai.com/

★7月22日(土)より、渋谷シアターイメージフォーラム、名古屋シネマスコーレ、大阪第七芸術劇場にて公開中


2006年7月15日〜

『機械じかけの小児病棟』(原題:Fragile)

監督:ジャウマ・バラゲロ
脚本:ジャウマ・バラゲロ、ホルディ・ガルセラン
出演:キャリスタ・フロックハート、リチャード・ロクスバーグ、エレナ・アナヤ、ヤスミン・マーフィー

イギリスのワイト島にある古い病院。老朽化で閉鎖される予定だったが、患者を移送する日に大きな列車事故が発生して移送先の病院が満杯になってしまった。やむなく小児病棟患者の移送は延期され、病院は臨時に夜勤の看護婦としてエイミーを雇う。前任の看護婦が病欠してしまったからだ。エイミーが仕事を始めて早々に、長いあいだ閉鎖されている3階から恐ろしい大きな音を聞いた。子供たちは異常に何かに怯えているようだった。その中の1人の少女マギーは「シャーロットが怒っている」とエイミーに告げる。シャーロットとはこの病院に出るという全身に矯正器具を付けた幽霊のことだった。初めは本気にしなかったエイミーだが、度重なる異常な出来事に、次第に深刻な事態だと気付いていく。

監督自身が幼児期に体験した不安と恐怖を映像化したものだそうです。邪悪な力が子供たちの骨をボキッ!と折るシーンは、痛そうでかわいそうで。また登場する幽霊の造形がかなりエグイ。監督もホントいやなシーンを考えつきます(笑)。
主演のキャリスタ・フロックハートは心に何かトラウマを抱えて、今度こそ失敗はしまいとピリピリしている女性を演じてますが、その折れそうに細い身体と相まって実にうまくはまっています。でもロバート先生役のリチャード・ロクスバーグはちょっと印象薄い。この方は『レジェンド 三蔵法師の秘宝』で楊紫瓊(ミシェール・ヨー)の相手役でした。(梅)

2005年/スペイン/英語/102分/シネマスコープ/ドルビーデジタル
提供:松竹
配給:ザナドゥー

公式 HP >> http://www.xanadeux.co.jp/kikaijikake/

★7月15日(土)よりシネマスクエアとうきゅうにて痛撃のロードショー


『ディセント』(原題:The Descent)

監督・脚本:ニール・マーシャル
出演:シャウナ・マクドナルド、ナタリー・メンドーサ、アレックス・リード、サスキア・マルダー、ノーラ・ジェーン・ヌーン、マイアンナ・バリング

サラは女友達のジュノやベスたち7人でアパラチア山脈の洞窟探検へと出かける。ジュノが企画したこの冒険は、観光マップにも載っている気軽に楽しめる洞窟探検のはずだった。ところが途中で落盤事故が発生。来た道を戻ることは出来なくなる。サラたちは他の出口へのマップを求めるが、実はジュノが皆には黙って当初の計画とは違う、より刺激の多い未踏の洞窟へ案内していた。もう自分たちで出口を探すしかないのだ。暗闇の恐怖と闘いながら出口を探す7人の前には、さらなる恐怖が待ち構えていた。

暗くて狭くて何があるのか全然わからないという、恐怖映画のシチュエーションとしてはうってつけに思える洞窟。でもこれまで洞窟を舞台にした怖い映画ってあんまり無かったですね。サイコホラーのような始まりですが、予想を裏切る展開で驚愕。ショッキングなシーンは、ギョエ〜ッって感じでちょっと直視できませんでした。しかし暗闇よりも何よりも恐ろしきは人の心かな。絶対洞窟探検になんて行きたくなくなります(笑)。ディセントとは急降下の意味。ジェットコースターやフリーフォールなどの刺激がお好きな方は是非どうぞ!(梅)


写真提供:フリーマン

2005年/イギリス/カラー/シネマスコープ/ドルビーSR/99分/R-15
配給:エイベックス・エンタテインメント、トルネード・フィルム
宣伝協力:フリーマン

公式 HP >> http://www.descent.jp/

★7月15日(土)よりシネセゾン渋谷ほかにてロードショー


『ハイジ』原題:HEIDI

監督: ポール・マーカス
出演: エマ・ボルジャー(『イン・アメリカ/三つの小さな願いごと』)、マックス・フォン・シドー(『ヒマラヤ杉に降る雪』、ジェラルディン・チャップリン(『ドクトル・ジバゴ』『トーク・トゥ・ハー』)

アルプス山麓の小屋で人を避けるように一人暮らしをする老人アルム(マックス・フォン・シドー)のもとに、幼い頃両親を亡くした孫のハイジ(エマ・ボルジャー)が、連れて来られる。 近くの貧しい家のヤギ飼いの少年ペーターと仲良くなったハイジは、毎日ペーターと一緒に山の放牧地へ。 ペーターにとってはこれまで辛い仕事だった放牧も、楽しいピクニックに。 アルム爺さんも、ハイジにチーズの作り方を教えたりして、すっかり顔も和やかになる。 そんなある日、ハイジの叔母デーテが突然ハイジを連れ戻しにきて、富豪のお嬢さまで車椅子生活のクララの遊び相手にと都会に連れていく。 母を亡くしたクララの面倒をみている執事のロッテンマイヤー夫人(ジェラルディン・チャップリン)は、ことごとくハイジに辛く当たる。 山の楽しかった生活を思い出して、町の教会の搭から山を眺めようとするハイジ・・・・。

あまりにもお馴染みの「アルプスの少女ハイジ」。 テレビでロングランしたアニメ版は、残念ながら観ていなかったが、小学生の時に、ワクワクしながら本を読んだ時の記憶は今でも鮮明だ。 屋根裏部屋の干し草のベッドから眺める星空、ペーターと共に歩くアルプス山麓の牧草地、町でのお嬢さまとの暮らし・・・、本で読んで想像していた光景が、まさにそのままにスクリーンに繰り広げられる。 原作は19世紀のスイスを舞台にした物語だが、本作の撮影が行われたのは、アルプスの山小屋の場面はスロベニア共和国のリゾート地クランスカ・ゴーラ、フランクフルトの町はリュブリャナ。 19世紀の雰囲気の出せる場所をスタッフがあちこち探した結果のロケ地だそうだ。 スロベニアにほんの2日間行ったことがあるが、景観がどこもほんとに美しい国。

無垢で天使のような少女ハイジが、アルムお爺さん、ペーター、クララ・・・まわりの人たちの人生を、まるで魔法をかけたように変えていく姿に、世の中こんな人物ばかりなら平和なのにと思わずにはいられない。(咲)

2005年/イギリス/104分/ビスタ/SR,DIGITAL/カラー
文部科学省 選定/(社)日本PTA全国協議会 特別推薦
協力:ポニーキャニオン
提供・配給:ギャガ・コミュニケーションズGシネマグループ

★7月15日(土)より、恵比寿ガーデンシネマ、シネ・リーブル池袋他全国公開

公式HP>> http://www.heidi-movie.jp/


『ジャンプ!ボーイズ』(原題:翻滾[ロ巴]!男孩)

監督:リン・ユゥシェン(林育賢)
撮影:リン・ユゥシェン、チュアン・チンシェン
音楽:ジェフリー・チェン
出演:林育信(リン・ユゥシン)、楊育銘(ヤン・ユゥミン)、黄靖(ホァン・ジン)、李智凱(リィ・チカイ)、黄克強(ホァン・ワーチャン)、林信志(リン・シンチ)、小軒(シャオシュエン)、小恩(シャオエン)

2003年春、台湾東部の地方都市の公正小学校。放課後、体操選手に選ばれた子供たちが体育館に集まってストレッチに励んでいる。コーチは林監督の実兄、林育信33歳。 かつてアジア大会の金メダリストで、今は現役を引退し母校で子供たちを指導している。6歳から9歳の7人は、10月の全国大会に向けて猛特訓中。種目は、ゆか、あん馬、つり輪、跳馬、平行棒、鉄棒。時には痛さに泣き、できない悔しさに泣きながらも諦めずに練習を続けている子供たちに胸が熱くなった。家族や先生のコメントを交え、まだまだ幼く無邪気な素顔と、真剣に試合に臨むようすを見せる。
林コーチ自身もジュニアから体操を続けていて、飴とムチを使い分けながらの指導ぶりも素晴らしい。秋の全国大会、そしてさらに1年後、成長した子供たちに拍手したくなった。ドキュメンタリー映画ながら、2005年の台湾映画では第5位の興行成績をあげたという作品。(白)

金馬賞ドキュメンタリー部門最優秀賞
アジアフォーカス福岡映画祭・釜山映画祭上映

2004年/台湾/カラー/84分/ドキュメンタリー

公式 HP >> http://www.jumpboys.net/

★7月15日(土)より、シネスイッチ銀座にてロードショー


『奇跡の夏』

監督:イム・テヒョン
脚本:キム・ウンジョン
原作:キム・ヘジョン ノベライズ:竹書房
撮影:キム・ヨンホ
音楽:イ・ジス、ナ・スクジュ
キャスト:パク・チビン(ハニ)、ソ・テハン(ハンビョル)、ペ・ジョノク(母)、パク・ウォンサン(父)、チェ・ウヒョク(ウク)、オ・ジヘ(ウクの母)ほか

腕白で元気いっぱいのハニは9歳の男の子。 もの静かで優しいお兄ちゃんハンビョルとは正反対だが二人は仲良しだ。 ゲームに夢中のハニは塾に行くのをすっかり忘れてしまう。 お兄ちゃんも寝たまま起きられなくてお母さんに叱られた。でも様子がおかしい。 あわてて病院に連れて行かれ、とても重い病気だとわかりすぐ入院することになった。 お父さんもお母さんも元気がないので、ハニはお母さんに得意のダンスをして見せたり、お兄ちゃんには宝物のカードをあげたりした。 病院にはいろんな子供がいて、お兄ちゃんはウクという男の子と仲良しになったらしい。 ハニは面白くない。

脚本のキム・ウンジョンの実姉のエッセイ「悲しみから希望へ」がもとになった作品。 9歳の弟の眼を通して、どこの家庭にでも起き得るドラマと、それを乗り越えていく家族の絆や愛情を描いています。 子供たちが主人公で、おまけに重病とくるともう涙腺崩壊です。 もっとも重い症状のウクが、ニコニコと天真爛漫な男の子で、緊張を緩める役を担っています。 陰で見えないように泣いている母親たちの様子には、もらい泣きしてしまいました。 ハニ役のパク・チビンは韓国の’05大鐘賞新人男優賞にノミネート、カナダのニュー・モントリオール映画祭では主演男優賞を受賞。 ハニに限らずどの子も演技と見えないのです。 韓国は子役も層が厚いと感心させられました。 小児ガン病棟でのお楽しみ会のシーンに、この映画のモデルとなった母子が出演しているそうです。(白)

2005/韓国/97分/カラー/シネスコサイズ/SRD/

7月15日(土)より、シャンテシネにてロードショー!
提供:松竹・衛星劇場
配給:パンドラ 宣伝協力:スキップ

公式 HP >> http://www.kisekinatsu.jp/



2006年7月8日〜

『ローズ・イン・タイドランド』(原題:TIDELAND)

監督:テリー・ギリアム
脚本:テリー・ギリアム、トニー・グリゾーニ
原作:ミッチ・カリン
撮影:ニコラ・ベッコリーニ
音楽:ミカエル&ジェフ・ダナー
キャスト:ジョデル・フェルランド(ローズ)、ジェフ・ブリッジズ(父ノア)、ジェニファー・ティリー(ママ)、ジャネット・マクディア(デル)、ブレンダン・フレッチャー(ディケンズ)ほか

ローズは「不思議の国のアリス」が大好きな10歳の少女。学校にも行かず、すっかり太って人使いの荒いママや、元ロックスターでジャンキーのパパの世話をしている。 ある日ママが薬の飲みすぎで死んでしまい、盛大に見送った後、パパとローズはパパの好きなユトランドへ向かう。バスに揺られて着いたところはパパの故郷のテキサスだった。おばあちゃんが死んだ後荒れ放題の家で、パパはさっそく「バケーション」に入ってしまった。ローズはお気に入りのバービー人形(首だけ)と仲良くお喋りしながら近所の探検に出かける。

『12モンキーズ』、『ロスト・イン・ラ・マンチャ』の後、時間をおいて『ブラザーズ・グリム』で完全復帰したテリー・ギリアム最新作。前回は大作だった分普通にまとめた感じでしたが、今回はギリアム満開!の不思議空間が広がっています。主人公のキャスティングに成否がかかっていたとの監督の弁でしたが、ジョデル・フェルランドはず〜っと(殆ど一人で)ギリアム・ワールドを自在に動き回っています。すごい! 撮影中に10歳になったのだそうですが、赤ちゃんのときから活躍しているベテラン子役。
しかしこの作品、10歳の子供は観られないでしょうに、出演するのはいいのでしょうか? 疑問。童話は実は残酷と言われますが、これも「可愛いおとぎ話」と期待するとのけぞります。題のタイドランドは「干潟」と「境界」の意味があるそうです。ローズの幻想(海)と現実(草原)の境界線となる場所がすなわちタイドランド、10歳のローズは子供から大人の女性になる境界にもいるわけですね。大人になってしまうとこういう幻想の世界からいやおうなくはみ出てしまいます。ジェフ・ブリッジズもある意味出ずっぱり。(白)

2005/アメリカ/カラー/スコープサイズ/SRD/117分
配給:東北新社

公式 HP >> http://www.rosein.jp/

★東京での上映は終わりました。全国の詳しいスケジュールは公式HPをご覧下さい。


『胡同のひまわり』(原題:向日葵/Sunflower)

監督:張楊(チャン・ヤン)(『こころの湯』『スパイシー・ラブ・スープ』)
脚本:張楊、蔡尚軍(ツァイ・シャンチュン)、霍[日斤](フォ・シン)
撮影:林良忠(ジョン・リン)
音楽:林海(リン・ハイ)
出演:孫海英(スン・ハイイン)、陳冲(ジョアン・チェン)、劉子楓(リウ・ツーフォン)、張凡(チャン・ファン)、高歌(ガオ・グー)、王海地(ワン・ハイデイ)、李濱(リー・ビン)、張[王月](チャン・ユエ)

1967年、夏の日に男の子が生まれる。父(孫海英)は庭に咲いていた向日葵にちなんで「向陽(シャンヤン)」と名付けた。
1976年、シャンヤン(張凡)が9歳の時、文化大革命が終わりを告げ、強制労働にかり出されていた父(孫海英)が6年ぶりに戻って来る。母(陳冲)は嬉しそうだが、ずっと父なしで暮らしてきたシャンヤンにはぴんと来ない。それどころかそれまでの自由気ままな生活から一変し、父の監視の下、絵を勉強する日々が始まる。強制労働で手を痛め画家の夢を絶たれた父は息子にその夢を託そうと考えたのだ。それはその後20数年に渡る、父と子の葛藤の日々の始まりだった。

親が果たせなかった自分の夢を子供に託すというのは、古今東西よくあることですが、多くの場合は子供の反抗にあって成就するのは難しいものです。この父子の場合は本当に子に才能があったのと、父の本気度がハンパでなかったと言うことでしょうか。
主人公は張楊監督と同い年で、監督の父もまたあまり有名ではない映画監督だったそうで、色々と監督自らの経験が反映されているようです。でも自伝ではなくあくまでも創作だとのこと。
またこの作品はシャンヤンの30年あまりの人生を描きながら、文革後、劇的に変貌する北京とそこに暮らす人々を映しだしています。この世代の監督だからこそ描ける北京が観られて、その点でも大変興味深いです。(梅)

サンセバッスチャン映画祭 最優秀監督賞 最優秀撮影賞 受賞

2005年/中国/129分/ビスタ/SRD
配給:東芝エンタテインメント

公式 HP >> http://www.Himawari-movie.com/

★東京での上映は終わりました。全国の詳しいスケジュールは公式HPをご覧下さい。
特別記事『胡同(フートン)のひまわり』来日記者会見もご覧下さい。

●『胡同のひまわり』公開記念 ジャン・シャオガン展

映画の公開を記念し、劇中に登場する父子愛を象徴する家族の肖像画を描いた画家ジャン・シャオガンの日本初の展覧会を、渋谷のトーキョーワンダーサイトで開催することが決定いたしました。 ジャン・シャオガンは、現在世界で最も注目され急成長を遂げる中国のアート界を常にリードし、4月に行われたサザビーズでは作品が中国人コンテンポラリーアート史上最高額の1億円(1ミリオンUSドル)で落札されるなど、今最も注目を集めるアーティストです。 絵画展開催にあわせて、ジャン・シャオガンが来日する予定です。

*期間 7/4(火)〜7/14(金)
*開催場所 トーキョーワンダーサイト渋谷
 開館時間 :11:00〜19:00(入場は18:30まで)
 月曜休館(祝日の場合はその翌日火曜日)
 展覧会関連イベント アーティスト・トーク 7/5(水)18:00〜20:00(予定)

お問い合わせ
 トーキョーワンダーサイト渋谷   http://www.tokyo-ws.org/shibuya.html
 〒150-0041 東京都渋谷区神南 1-19-8
 Tel:03-3463-0603  Fax:03-3463-0605


『サイレントヒル』

監督:クリストフ・ガンズ(『ジェヴォーダンの獣』)
脚本:ロジャー・エイヴァリー
製作:サミュエル・ハディダ、ドン・カーモディ
製作総指揮:ヴィクター・ハディダ、山岡晃、アンドリュー・メイソン
撮影:ダン・ローストセン
プロダクション・デザイナー:キャロル・スピアー
音楽:ジェフ・ダナ
クリーチャーデザイン&スーパーバイザー:パトリック・タトポロス
キャスト:ラダ・ミッチェル(ローズ)、ショーン・ビーン(クリストファー)、ジョデル・フェルランド(シャロン、アレッサ、ダーク・アレッサ)、ローリー・ホールデン(シビル巡査)、デボラ・カーラ・アンガー(ダリア)、キム・コーツ(グッチ刑事)、タニヤ・アレン、アリス・クリーグほか

ローズとクリストファーの娘シャロンは、赤ん坊のときに養女にしたのだがこのごろ悪夢に苦しんでいた。 最愛の娘を救うため、ローズはシャロンを連れてウェストバージニア州の無人の街「サイレントヒル」に向かった。 娘がつぶやく「サイレントヒル…」という言葉を手がかりにやってきたのだが、ローズは車の事故で意識を失ってしまう。 気がついたとき娘の姿は消えていた。 後悔にさいなまれながら霧と灰の中をさまよううち、娘が死んだという女性ダリアに出会う。 シャロンの写真を見た彼女は、自分の娘の「アレッサ」だと言う。 ローズは追ってきたシビル巡査から逃げ出し、シャロンらしき少女を追って学校へやってくる。 二人を心配する夫のクリストファーは、「サイレントヒル」の忌まわしい過去と明かされない秘密を探し出そうとしていた。

原案はコナミの人気ゲーム「サイレントヒル」。現在4まで発表されています。 全く知識なく試写に出かけましたら、アドベンチャー&ホラーでした。 夜中に一人で帰宅しなくちゃいけないのにこれを観に来たなんて、と後悔しましたね。 ああ、怖かった。
映画はゲームにはいない母親を主人公に、娘を救うのに奔走&闘わせます。 ただのお母さんがこんなことができていいもんでしょうか?  いや、子供のためなら母親は力が出るのです。でも私は気絶必至。 一方父親は謎解きに努力はするけれど、妻が想像を絶する恐しい目に遭っている街へ入ることができません。 出てくる敵がまあおぞましいのなんの、って。 ゲームにあるもの、新しく作られたもの、クリーチャー好きな人は嬉しいでしょう。 ガンズ監督がキャスティングしたというジョデル・フェルランド(『ローズ・イン・タイドランド』)は3役をこなす活躍ぶり。 日本版イメージソング「Lovin’you」を土屋アンナが歌っています。(白)

提供:松竹/ポニーキャニオン/衛星劇場
配給:松竹
宣伝:リベロ
c) Silent Hill DCP Inc. / Davis Production SH S.A.R.L

http://www.silenthill.jp/main.html
http://www.konami.jp/gs/game/silenthill/

★東京での上映は終わりました。全国の詳しいスケジュールは公式HPをご覧下さい。


『チーズとうじ虫』

監督:加藤治代
撮影:加藤治代/加藤直美/栗田昌徳/中嶋憲夫 整音:菊池信之/早川一馬/久世圭子
編曲:須賀太郎
出演:加藤直美、小林ふく、加藤治代 他

発酵したチーズから天使が現れるような希望と安らぎ
3人で過ごしたかけがえのない時間

加藤治代はがんを患っている母直美の看病のため、群馬へ帰省する。 母の回復を信じ「退屈しのぎに、あるいは遊びの道具として」カメラを回し始めた。 祖母ふくと女3代の何気ない日常が収められていく。 母親の笑顔と気丈な姿は闘病の苦痛などはすこしも感じさせず、治代の声もあくまで明るく優しい。 しだいに母親の病状が進み、最後のときを迎える。 母を送った後、治代は思い出を辿る祖母との生活を記録する。
これは病気の母親を持つ娘として撮ったものだったが、途中映画美学校のドキュメンタリーコースに通い始め、映像が編集された。 さらにスカラシップ作品に選出されて予算を得、菊池信之の手により整音が加えられた。

昨年山形に行ったとき、この作品を観ることができず残念でしたが、ようやく試写で観られました。 闘病中の母親(素敵な笑顔)とその高齢の母親(ユーモアたっぷり)、娘である監督の3人の生活が、時折入る雲や花や夕焼けの映像と一緒に思い出アルバムのように映し出されていきます。 ナレーションはなく、主なシーンの切り替わりはミルクのような白い画面に小さくタイトルが現れます。 母親の葬儀の後のこの画面がほかよりも長く、その白いスクリーンを見ながら私は自分の父親の死と、監督の心を思いました。 画面に辛いところや涙はないのですが、それはそんなときはカメラが持てなかったから。 個人的な映像ですが、肉親の病気と死という誰もに起こる出来事を素直に記録しているのに、とても好感を持ちました。
タイトルは、カルロ・ギンズブルグ著「チーズとうじ虫」より。 作品とは直接関係はありませんが、下のメノッキオの言葉が、母親の死を受け入れようと苦悩していた監督にインスピレーションを与えたため、タイトルとして用いられたそうです。 画面にも母親が丹精していた畑のコンポストのうじ虫が登場します。 数回挿入されていたさなぎ(?)のアップから、カメラがぐっと引くラストに監督の新しい決意のようなものを感じました。(白)

「私が考え信じているのは、すべてはカオスである、すなわち、土、空気、水、火、などこれらの全体はカオスである。 この全体は次第に塊になっていった。 ちょうど牛乳のなかからチーズの塊ができ、そこからうじ虫があらわれてくるように、このうじ虫のように出現してくるものが天使たちなのだ。——メノッキオ」

——「チーズとうじ虫」カルロ・ギンズブルグ著 杉山光信訳 みすず書房

2005年山形国際ドキュメンタリー映画祭小川紳介賞・批評家連盟賞ダブル受賞
2005年フランス・ナント三大陸映画祭ドキュメンタリー部門最高賞(金の気球賞)受賞

2005年/日本/ビデオ/98分/配給:「チーズとうじ虫」上映委員会
http://chee-uji.com/

★東京での上映は終わりました。全国の詳しいスケジュールは公式HPをご覧下さい。


『バタリアン4』(原題:Return of the Living Dead: Necropolis)

監督:エロリー・エルカイェム
特殊効果:ジョン・ヴリッチ&オプティック・ナーヴ・スタジオ
出演:ピーター・コヨーテ、ジョン・キーフ、エイミー・リン・チャドウィック

化学兵器「トライオキシン5」は度重なるゾンビ発生事故を起こしたため、廃棄されたはずだった。しかしそれは密かにチェルノブイリ原発の倉庫に隠されており、アメリカのハイブラテック社は密かにこれを回収した。
高校生ジュリアンは両親を事故で亡くして以来、弟のジェイクと共に叔父の家で暮らしているが、叔父との折り合いは悪く、憂鬱な日々を送っている。ある日モトクロスの練習中に、仲間のジークが転倒し病院へと運ばれる。ジュリアンたちは病院へ駆けつけるが、医者に搬送中に彼は死亡したと告げられる。しかしジークは病院ではなく、ハイブラテック社へと運ばれていたことが判明。ジュリアンたちはジークを取り戻すべく、ハイブラテック社へと乗り込むのだが、そこに待ち受けていたのはゾンビの群れだった。

21年前にゾンビブームの中、発表された『バタリアン』は笑えるゾンビ映画として多くのホラー映画ファンの支持をうけました。それから『バタリアン2』(1987年),『バタリアン・リターンズ』(1993年)と作られ、この作品は久しぶりの新作。また「ブレイ〜ン(脳みそくれ〜)」と言いながらゾンビが頭にかぶりついてきます。引き続き『バタリアン5』の公開もあるそうです。
巨大総合企業ハイブラッテック社のCMから始まりますが、一昔前のような妙に明るい如何にもな企業CMが笑えます。主人公たちが住む街は全てにおいてハイブラテックに寄りかかっている企業城下町。アメリカの一部地方都市の現状を皮肉っていたりするわけですが、そんな風刺も大した効果はなく、とにかくユルイ(笑)。今回のボスキャラは“メカタリアン”ですが、これも思わず「よわくさっ!」と叫んでしまいます。つっこみまくりながら観られる、徹底して正しくB級ホラーです。(梅)

2005年/アメリカ/ビスタサイズ/ドルビーデジタル/90分/R-15
提供:アートポート
配給:アートポート、ギャガ・コミュニケーションズ

公式 HP >> http://www.batarian4.jp/

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2006年7月1日〜

『レイヤー・ケーキ』Layer Cake

監督・製作:マシュー・ヴォーン
原作・脚本:J・J・コノリー
撮影:ベン・ディヴィス
美術:ケイヴ・クイン
音楽:リサ・ジェラード、アイラン・エシュケリ
キャスト:ダニエル・クレイグ(XXXX)、コルム・ミーニイ(ジーン)、ケネス・クラナム(ジミー・プライス)、ジョージ・ハリス(モーティ)、ジョイミー・フォアマン(デューク)、シエナ・ミラー(タミー)、マイケル・ガンボン(エディ・テンプル)ほか

すべては終わらせるために始まった。
「レイヤー・ケーキ」とは下っ端のチンピラから、上層部のボスまで裏社会の階層(レイヤー)をケーキにたとえたことば。 一番上は美味しそうだが、この仕事そんなに甘くない。

XXXXは麻薬のディーラー。 クールで凄腕の彼はこの仕事の潮時を見極め、ボスのジミーからの依頼を最後に裏社会から引退するつもりだった。 その依頼とはジミーの親友の娘を探し出すこと、大量の「高純度エクスタシー」をさばくことの二つ。 すぐに解決できるはずが、失踪した娘はなかなか見つからない。 おまけにクスリは国際指名手配中のセルビア人スラヴォから、信用ならないデュークがまんまと盗んできたものだった。 スラヴォはデュークがXXXXの指示で動いたと誤解し、強力な殺し屋を送り込んできた。今まで好調だったXXXXの歯車が狂い始め、引退どころか決して手にしなかった銃を持ち、自分の身を守らねばならなくなってしまった。

『スナッチ』などのプロデューサーとして著名なマシュー・ヴォーン監督第1作。 この作品で2004年の英国アカデミー賞、新人監督賞にノミネートされています。 名前も過去も明かされない主人公の麻薬ディーラーに、『007カジノロワイヤル』で6代目ジェームス・ボンドとなるダニエル・クレイグ。 1968年生まれ。『ミュンヘン』や『ジャケット』も記憶に新しいですね。 そんなに長身ではありませんが、細身で均整のとれた立ち姿がカッコいいです。 映画は非常にテンポ良く、スタイリッシュに欲望うずまく裏社会の男たちを描いていきます。 全般ブリティッシュ・ロック(たぶん)が流れますが、ラストにとっても懐かしい歌が流れました。日本語歌詞の方が有名でしょう。劇場でご確認ください。(白)

2004/イギリス/1時間45分/スコープサイズ/SRD・SR/
ソニー・ピクチャーズ クラッシックス提供
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント配給

http://www.sonypictures.jp/movies/layercake/site/

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『美しい人 9lives』

監督・脚本:ロドリゴ・ガルシア
エグゼクティブ・プロデューサー:アレサンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ

『彼女を見ればわかること』で女性たちの痛みを鮮烈に映像化したロドリゴ・ガルシア監督の最新作。9人のアメリカを代表する女優たちが、10分ほどの物語の主人公になり、演技を競う。その熱演たるやすごいのひとこと。ショートストーリーだからテンションを保ち続けられるのか、ただただ驚くばかりである。また、監督の実験的試みなのか、一話がワンカットで描かれていることにも驚いた。いつ、カットが変わるのか、そちらに興味がいってしまったところもあるのですが。

それぞれのエピソードには、女性なら誰でも直面するリアルな問題が描かれている。ただ、ややこしい問題は現実だけでたくさん。映画でも、せつない女性たちのもやもやした問題を見せられて、欝になってしまう人もいるかも。個人的には、やはり映画はウソでも楽しい気持にさせてくれるものがいい。

ガルシア監督、第一作目の『彼女を見ればわかること』では、女性たちがよく泣くので、ちょっと白けた覚えがありましたが、それを言ったら、「そんなことはない、私は女性たちに強い共感を覚えた、ベスト3にはいる映画だ」と支持する意見も多かった。

エピソードの中、好みで言えば第2話が好きである。竹内まりやの『駅』という歌がある。その駅がスーパーマーケットになったような話。ショーン・ペンの美しい奥さん、ロビン・ライト・ペンが主役。恋人と別れて結婚し、もうすぐ出産というときに、その恋人と再会。その場所がスーパーマーケット。お互い、普段着で買い物する姿にちょっとどきっとする。籠に食料品を入れながら、現在の生活を報告しあうが、やがて、恋人同士だったころの熱い思いがわき上がって。ま、男は今の家庭にもどるが、ロビンは家庭に戻るのかどうかははっきり描かれてない。

エピソードを飾る女優たちは、一話からエルビディア・カリーロ、ロビン・ライト・ペン、リサ・ゲイ・ハミルトン、ホリー・ハンター、アマンダ・セイフライド、エイミー・ブレナマン、シシー・スペイセク、キャシー・ベイカー、グレン・グロース。(中原絵美)

2005年ロカルノ映画祭で、最優秀作品賞、9人の女優たちが最優秀主演女優賞を受賞。

アメリカ/2005年/114分/カラー/35mm
提供:博報堂DYメディアパートナーズ、ENTERTAINMENT FARM、ツイン、エイベックス・エンタテインメント、テレビ東京
配給:エレファン・ピクチャー、ツイン、博報堂DYメディアパートナーズ
宣伝協力:テレザ

公式 HP >> http://www.elephant-picture.jp/utsukusii/

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2006年6月17日〜


『母たちの村』moolaade

監督・脚本・製作:ウスマン・センベーヌ
撮影:ドミニク・ジャンティ
美術・衣裳:ジョセフ・クポブリ
音楽:ボンカナ・マイガ
キャスト:ファトゥマタ・クリバリ(コレ)、マイヌナ・エレーヌ・ジャラ(ハジャトゥ)、サリマタ・トラオレ(アムサトゥ)、ドミニク・D・ゼイダ(兵隊さん)ほか

西アフリカの小さな村。 太鼓の音で子供が6人いなくなったと知らされる。 そのうちの4人がコレを頼ってくる。 もうじき受けることになっていた割礼を恐れて逃げてきた少女たちだった。 コレが自分の娘の割礼を拒否していたのを知って、「保護」を求めて来たのだ。 コレは家の入り口に縄をかけ「モーラーデ(弱いものを保護すること)」を宣言する。 始めたものが終わるというまで、この聖域には立ち入ることができない。 少女たちはこの中にいる限り安全なのだ。 しかし割礼師や少女たちの母親が談判にやってくる。 割礼は古くからの風習で、受けないものは不浄で結婚できないとされている。 コレは割礼のおかげで難産し、2度も子供を死なせていた。 3度目は帝王切開でやっと産むことができ、この娘の割礼を拒否し続けているのだ。

 

男性の割礼は宗教的あるいは衛生上から行われていると聞いています。 しかし一部の国で行われている女性の割礼には百害あって一利なしです。 いったいいつまでこんなことが続けられるのでしょう。 この映画は伝統に真っ向から立ち向かい、娘たちを守ろうとした勇気ある母たちの物語です。 テーマは重いのですが、画面はアフリカの光のもと原色の衣裳が美しく、母親たちの笑顔に力づけられます。 「アフリカ映画の父」と尊敬されているウスマン・センベーヌ監督は83歳でこの作品を作りました(拍手〜!)。

この映画の後に「砂漠の女ディリー」という本を読みました。 ソマリアの遊牧民の娘が年寄りに嫁がされるのを嫌って家出し、親戚を頼りロンドンでメイドをします。 その間にカメラマンに見出され、モデルの仕事につきニューヨークでトップモデルにまでなる実話です。 その中にこの割礼のくだりがあり、あまりにもひどいしうちなので震えそうでした。 ディリーは親しい記者に割礼の話をしたのがきっかけで、国連大使をつとめ女子割礼廃絶のための運動もしています。(白)

女たちが頭上に水がめを載せて、モスクの前を歩いていく。 木のくいがいっぱい飛び出たモスクは、世界遺産に指定されているマリ共和国トンブクトゥのモスクと同じタイプの、西アフリカでよく見られる日干し煉瓦で造られたスーダン様式。 のどかな風景だが、水汲みという重労働が女たちに課せられていて、一夫多妻は労働力確保のためかと思いたくなる。 本来、イスラームが一人の男に4人まで妻を娶ることを認めたのは、イスラーム初期の聖戦で男たちが数多く戦死したための方策であったはずだ。 イスラームが各地に伝播するうちに解釈が違っていたり、本来の宗教の教義と、その土地の因習が交じり合い、あたかもそれがイスラームの定めであるかのように扱われていたりしていることは実に多い。 本作で取り扱われている女子割礼(女性性器切除)については、十数年前に現代アラブ文学者の岡真理さんの講義で知り驚愕したが、もちろんイスラームの教義に定められたことではない。
本作では女子割礼が神の定めたこととして、村の長老たちは絶対的権力をもって執り行っている。 しかしある日、女たちはラジオを聴いていて、「メッカに巡礼している女たちは割礼していない」という指導者の言葉を耳にする。 ラジオを取り上げ焼き払う長老たち。 けれども、指導者の言葉というお墨付きを得た女たちは、女子割礼廃止に向けて立ち上がる。 エンディングに高らかに唄われる歌の歌詞「割礼のことは書かれていない」とは、もちろん、「コーランに書かれていない」という意味。 女子割礼に苦しむ女たちに、安心して反対運動を起こしなさいとエールをおくっているようである。

本作には、女たちだけでなく、悪しき因習から立ち上がろうとする男たちも描かれている。 パリ帰りの村長の息子、長兄の命令で妻に鞭を振るいつつも妻に理解を示す夫…。 男も女も共に意識を変えていかなければ社会は変らないことを訴えているのであろう。
もう一人、際立った登場人物が「兵士」と呼ばれている商人の男。 普段、村人相手に暴利をむさぼる商売をしているが、割礼廃止に立ち上がった村の女たちの味方をする。 そのために長老たちによって葬りさられるのだが、この男、国連平和軍に従軍していた折りに、高官が給料をピンはねしていることを口外したために刑務所送りとなった経験があるという人物だ。 監督はアフリカの伝統社会に一石を投げているだけでなく、国際社会に向けても、ぴりりと批判の言葉を発していて、喝采をおくりたい。(咲)

第57回カンヌ国際映画祭ある視点部門グランプリ受賞

2004/フランス・セネガル/124分/カラー/35mm/ヨーロピアン・ビスタ/ドルビー・SR/
配給・宣伝:アルシネ・テラン

http://www.alcine-terran.com/main/home.html

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2006年6月24日〜


『恋は足手まとい』原題:UN FIL A LA PATTE

監督:ミシェル・ドヴィル
脚本/製作:ロザリンド・ドヴィル
原作:ジョルジュ・フェドー
撮影:ピエール=ウィリアム・グレン
美術:ティエリ・ルプルスト
衣装:マドリーヌ・フォンテーヌ
キャスト:エマニュエル・ベアール(リュセット)、シャルル・ベルリング(エドワール)、サラ・フォレスティエ(ヴィヴィアヌ)、ドミニク・ブラン(男爵夫人)、タニスラス・メラール(イリグア)、ジャック・ボナフェ、マチュー・ドゥミ、ジュリー・ドパルデュー、トム・ノヴァンブルほか

文化・芸術が花開いたべル・エポックのパリ。 社交界で人気の歌姫リュセットのサロンには、いつも多くの男たちが集まってくる。 別れた夫は養育費の無心に、自分を天性の物書きと信じるプーザンは詩を持って、リッチな若者イリグアは高価なプレゼントを持って。 気のいいリュセットは一文無しのエドワールに恋していたが、彼は持参金目当てに若い令嬢と婚約している。 そんなこととは知らないリュセットは、婚約式で歌う約束をする。 エドワールはリュセットに別れ話が切り出せず、婚約がばれないように、あの手この手でごまかそうと一騒動。

ジョルジュ・フェドーの19世紀の戯曲を映画化したコメディ。 エマニュエル・ベアールは年齢不詳の可愛らしさ満開、しゃれたドタバタ喜劇となっています。 恋人が来なくてさめざめと泣くリュセットが涙を拭いたり、鼻をかんだりするオープニングのシーン、この時代ティッシュはないので、真っ白なハンカチ(レースや縫い取りがある)をボーイが次々と捧げ持ってくるのです。 ま、贅沢!と思いましたが、これは洗ってまた使うので、紙を使い捨てている今の方が贅沢。 いつまでもあると思うな地球の資源。
エマニュエル・ベアールの髪型や衣裳、部屋の調度も素敵です。 それなのに、色男のはずのエドワールの裸のしまりのなさときたら! イリグア役のタニスラス・メラールに替わってほしかったです(笑)。(白)

2005/フランス/カラー/1時間20分/ビスタサイズ/ドルビー/R−15
配給:バップ/ロングブライド

http://longride.jp/ashidematoi/

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2006年6月10日〜


『春の日のクマは好きですか?』

監督:ヨン・イ
脚本:ファン・ジョユン
出演:ペ・ドゥナ、キム・ナムジン(『永遠の片思い』)、ユン・ジヘ、ユン・ジョンシン

ヒョンチェ(ペ・ドゥナ)は、ちょっと変わっていて彼氏の出来る気配がない。しかし妄想力だけは人一倍で、いつかは王子様が現れると信じている。そんな彼女だけをずっと見つめてきた幼なじみのドンハ(キム・ナムジン)の気持ちは、もちろん全然気付いていない。
ある日ヒョンチェは、父に頼まれて図書館で借りてきた美術書の中に、「春の日のクマのように、君が愛おしくてたまらない」という愛のメッセージを見つける。そしてそこには次の美術書とページが示されていて、次なる愛のメッセージへと繋がっていた。
ヒョンチェはこのメッセージの送り主こそ王子様だと確信して夢中になって探し始めるのだった。

もう3年も前の作品ですが、ようやく公開の運びとなりました。これまたペ・ドゥナの魅力が満載。か、かわいいっ!! 相手役のキム・ナムジンもイケてない感じがとても良くて、ガンバレと応援したくなります。春の日の暖かい日差しのような作品です。(梅)

2003年/韓国/98分/カラー/SRD/ビスタサイズ
配給:アット エンタテインメント
宣伝:アンカー・プロモーション

公式 HP >> http://www.harukuma.com/

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『初恋』

監督:塙幸成
脚本:塙幸成、市川はるみ、鴨川哲郎
原作:中原みすず(「初恋」リトルモア刊)
主題歌:元ちとせ「青のレクイエム」(Epic Records Japan)
出演:宮崎あおい、小出恵介、宮崎将、小嶺麗奈、柄本佑、青木崇高、松浦祐也、藤村俊二

みすずの母は兄だけを連れて失踪し、彼女は叔父の家で誰からも愛されず深い孤独の中に生きていた。ある日、突然兄が尋ねてきて「何かあればここに来い」と手渡されたのは、新宿にあるジャズ喫茶Bのマッチ。
兄の仲間たちがたむろするその場所に初めて足を踏み入れたとき、「子供が何の用だ」と冷たく言い放ったのは東大生の岸。その言葉にみすずは「大人になんてなりたくない」と思わず叫ぶが、それによって仲間として受け入れられた。Bはみすずにとって初めて知る暖かい場所、そして岸は初恋の人となる。しかし楽しい日々は、そう長くは続かなかった。激化する学生運動は仲間たちの生活にも影響し、徐々にちりぢりになっていく。そして岸はある途方もない計画を立てていた。

あの3億円事件の実行犯は女子高生だった・・・
これだけ聞くとかなり突拍子もない話しに聞こえるが、当時の時代背景を踏まえた設定やみすずの感情描写が緻密で、それもあり得るかも知れないと思わせる。
事件が起きたのはわたしの生まれた年で、その頃の空気は知るよしもないが、ただ初恋に殉じただけだったみすずの切なさは、十分に伝わってきて、ラストシーンには久々に胸が締め付けられるような気持ちになった。
NHK朝の連続テレビ小説「純情きらり」での主役や『NANA』『ギミー・ヘブン』『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』『好きだ、』など映画主演作も目白押しで、飛ぶ鳥落とす勢いの宮崎あおいが、この作品では一層の輝きを放っている。 兄役の宮崎将は実兄で、『ユリイカ』でも共演していた。2人ともすっかり大きくなってと、まるで近所のおばさんのような気分。(梅)

私が高校時代の忘れられない事件といえば、3億円事件、三島由紀夫自害、東大安田講堂占拠に象徴される学生運動である。 主人公みすずのほんの少し下の世代の私にとって、この作品は、あの時代にタイムスリップさせてくれた。 タータンチェックのプリーツのミニスカートやベルボトムのジーパン(当時は、ジーンズというより、こう呼んでいた)は、私も太い足を気にせず穿いていた。 実に時代の色がよく出ていて、新宿南口の階段にそっくりな風情の場所をよく見つけてきたものだと思う。 ジャズ喫茶は、煙草の煙が充満している上に音がうるさくて好きになれなかったが、足を踏み入れたことはある。どれもこれもが懐かしい。
それにしても、あの3億円事件と学生運動を結びつけた発想はすごい。 あの頃の若者はほんとに反体制運動に熱くなったものだ。 学生運動が私の高校にも飛び火して、2〜3ヶ月授業をせずに連日教室で討論を重ね、最後3名がハンストを起こし、結果勝ち取ったのが、文科系理科系別のクラスの廃止と男女別クラスの廃止。 その後、親友のF君はべ平連(ベトナムに平和を! 市民連合)に参加し、あげく自殺。 学生運動で検挙された同級生もいたらしい。 『初恋』の登場人物は、まさにあの時代の若者たちだ。(咲)


2006/日本/カラー/ビスタサイズ/DTS-SR/114分
製作・配給:ギャガ・コミュニケーションズ

公式 HP >> http://www.hatsu-koi.jp/

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2006年6月3日〜


佐賀の がばいばあちゃん』

監督:倉内均
脚本:山本清多、島田洋七
撮影:三好保彦
音楽:坂田晃一
原作:島田洋七 同名 徳間文庫刊
キャスト:吉行和子(ばあちゃん)、三宅裕司・鈴木祐真・池田晃信・池田壮磨(明広)、工藤夕貴(母)、浅田美代子(おば)、山本太郎(中野先生)ほか

新幹線の車中で岩永明広は、母と離れた一人旅で泣きべそをかいている少年に出会った。 明広は44年前の自分を思い出す・・・。
昭和32年の広島。小学2年だった明広の父は原爆症で亡くなり、母は女手ひとつで小さな居酒屋を切り盛りし息子たちを育てていた。 母の故郷佐賀から急に母の姉だというおばさんがやってくる。 明広は駅まで見送るが発車直前、母に汽車の中へ押し込まれてしまった。 驚く明広におばさんは「これから佐賀のおばあちゃんのところで暮らすんよ」と告げる。 明広はそれから8年の間、ばあちゃんと佐賀で生活する。 これがまた「がばい(佐賀弁で“すごい”)ばあちゃん」だった!

B&Bの島田洋七(1950〜)が2001年に発表した自伝がもと。 発行されてからじわじわとファンが増えて、映画化を応援する基金ができ完成しました。 母親と離れてばあちゃんと暮らす少年が、「明るい貧乏」がモットーのばあちゃん、友達や先生とのふれあいの中、元気に成長してゆくようすを描いています。 このばあちゃんの前向きな生活ぶり、その中から生まれるきらりとした言葉の数々が秀逸。 それを聞いたビートたけしが「財産だから書きとめておけ」と言ったのだとか。 漫才のぼけとつっこみのようで、映画を観ながら笑ったり泣いたりしました。 ちょっとだけご紹介。 こんなおばあちゃんになりたいものです。ばあちゃん役の吉行和子さんが綺麗で、あんまり田舎のばあちゃんに見えないんですが・・・。友情出演の方々も多数。(白)

明広:ばあちゃん、英語なんかさっぱり分からん
ばあちゃん:じゃあ答案用紙に、「私は日本人です」って書いとけ
明広:漢字も苦手で…
ばあちゃん:「僕はひらがなとカタカナで生きていきます」って書いとけ
明広:歴史も嫌いでなあ…
ばあちゃん:歴史もできんとか?「過去には、こだわりません」って書いとけ!

http://www.gabai-baachan.com/

1時間44分/配給:T・ジョイ 配給協力:東映

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『13歳の夏に僕は生まれた』Once You Are Born

監督・脚本:マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ
脚本:サンドロ・ぺトラリア、ステファノ・ルッリ
原作:マリア・パーチェ・オッティエーリ
「生まれたからには逃げも隠れもできないー埋もれた民族をめぐる旅」
撮影:ロベルト・フォルツァ
美術:ジャンカルロ・バジリ
衣裳:マリア・リタ・バルベラ
音響:フルジェンツィオ・チェッコン
挿入歌:「Un'Emozione per Sempre」 キャスト:マッテオ・ガドラ(サンドロ)、アレッシオ・ボーニルチア(父)、ミケーラ・チェスコン(母)、エスター・ハザン(アリーナ)、ヴラド・アレクサンドル・トーマ(ラドゥ)、ロドルフォ・コルサート(ポーピ)

北イタリアの小都市ブレシャ。実業家の父に連れられて自家用ヨットで地中海クルージングに出かけた13歳の少年サンドロは、真夜中に海に転落してしまう。漂流していたサンドロは、不法移民をめざす様々な国の人々でひしめく密航船に拾い上げられる。助けたのは、ルーマニア人の少年ラドゥ。妹アリーナと共に国を出てきたのだった。密航船の船員たちが、難民たちをイタリアに上陸させずに逃げてしまい、海上巡視船に保護された難民たちは、移民センターに送りこまれる。サンドロは、イタリア国民で、行方不明となり話題になっていた金持ちの息子と判明し、両親が迎えに来るが、彼は世話になったラドゥとアリーナを家に一緒に連れ帰ってほしいと頼むが・・ ・。

『ペッピーノの百歩』『輝ける青春』で、政治的に揺れ動く70年代のイタリアを描いた監督が、本作では、少子化と移民流入という、イタリアの現代社会が抱える問題を実にうまく捉えて描いている。また、13歳の夏に、これまで自分の育った環境とは違う世界を垣間見て、少年が大人になっていく様が生き生きと描かれている。
一方で、目を引いたのが、冒頭に映し出された、アラビア文字やイタリア語でない様々な文字の壁の落書き。この映画が何を描こうとしているのか・・と、興味を惹かれたのだが、見ている途中で、その落書きが移民してきた人たちのものであるとわかり、国を捨ててイタリアに新天地を求めてきた人たちのいろんな思いに心が馳せた。 (咲)

2005年/イタリア/カラー/シネマスコープ1:2.35/SR-D/120分

提供:レントラックジャパン コムストック
配給:コムストック 宣伝:アステア 宣伝協力:キネティック

(C)2005 Cattleya S.p.A.-Rai Cinema S.p.A.-Once You Are Born Films(UK)Ltd.-Babe Sarl

公式 HP >> http://www.13natsu.jp

★東京での上映は終わりました。全国の詳しいスケジュールは公式HPをご覧下さい。
特別記事 イタリアの移民問題を少年の目を通して描く『13歳の夏に僕は生まれた』マルコ・トゥーリオ・ジョルダーナ監督インタビューもご覧下さい。


『puujee プージェー』

監督:山田和也
撮影:佐々木秀和
音楽:川崎真弘
出演:関野吉晴、プージェー(プレブヒシグ:木曜日に生まれた幸せな子)、エルデネチメグ(母)、スレン(祖母)、シャラフドルジ(祖父)、バーサン(いとこ)、セルチン(叔父)

1999年、探検家の関野吉晴は、南米最南端から人類誕生の地アフリカを目指す旅の途中モンゴルを訪れた。 首都ウランバートルから100kmほど離れた大草原で、自在に馬を操るひとりの少女と出会い、思わず近づいてシャッターを切る。 厳しい目でこちらを見ていた少女は「写真撮るなら、こっちに来ないで!」 とぴしりと言う。 少女の名前はプージェー、当時6歳で祖父母と母、2歳のいとことゲルに住んでいた。 誇り高い遊牧民の姿に魅了された関野は、それから何度もこの家族のもとを訪れる。

市場経済導入後貧富の差が広まり、草原では遊牧民の命ともいえる家畜泥棒が横行していた。 プージェーの家でも放牧していた馬が盗まれたばかり。 決して楽ではない生活の中、いつも笑顔を絶やさないおばあちゃんとお母さんは関野を暖かく迎え入れる。
その冬、草原は「ソド」という寒波の被害を受け、飢えと寒さで全体の1割もの家畜が死に、遊牧民の生活はますます困窮していく。 春にプージェーの家族を再訪した関野は、おじいさんばかりかお母さんまで亡くなったことを知り絶句。 落馬して重傷を負ったお母さんは救急車が来ず診療を受けるのが遅れ、健康保険もないことから結局受診もできずに死んでしまったのだった。

プージェーと同い年の一人娘があった関野氏は「かっこいい!娘に見せてやりたい」 とプージェーを撮ります。 初めは厳しい表情だったプージェーも、次第に笑顔を見せるようになります。 現金収入を得るため、父親は町へ出稼ぎに出ていて画面には登場しません。 女と子供と年寄りで守る草原の生活では、小さな子にも果たすべき役割があります。 母親が盗まれた馬を探して家を空ければ、母親の分の仕事はプージェーの肩にかかってきます。 知らない外国人を警戒するのは当然、おまけに仕事の邪魔をされては、あの眉を寄せた表情になっても無理はありません。
学校の先生になるのが将来の夢だったプージェーは、関野氏と出会ってから「勉強をして通訳になりたい」と言うようになりました。 人は人と出会うことで、深く印象に残ったり互いに影響しあったりします。 この5年にわたった記録から関野氏の感動を分けてもらいました。 特に同じくらいの子供たちや、そのお母さんにぜひこの映画を観てほしいです。(白)

2006/日本/カラー/110分/長編ドキュメンタリー/puujee製作委員会

ポレポレ東中野にてアンコール上映中

<関野吉晴さんと山田和也監督のトークイベント>映画上映前
★山田和也監督 トーク
  6月3日(土) 10:40/13:00
  6月4日(日) 10:40/13:00
★関野吉晴氏  トーク
  6月10日(土) 17:40
  6月11日(日) 13:00
  6月17日(土) 17:40
  6月18日(日) 13:00

http://www.mmjp.or.jp/pole2/


『ママが泣いた日』 原題:The Upside of Anger

監督・脚本・出演:マイク・バインダー
出演:ジョアン・アレン(「『きみに読む物語』」/ケヴィン・コスナー(『ダンス・ウィズ・ウルブズ』『ボディガード』)/エリカ・クリステンセン/エヴァン・レイチェル・ウッド(『サーティーン あの頃欲しかった愛のこと』)/ケリー・ラッセル/アリシア・ウィット/デーン・クリステンセン

デトロイト郊外の閑静な住宅街に住むウルフマイヤー家。 ある日、テリー(ジョアン・アレン)は、書き置きもなく帰ってこない夫が、秘書と駆け落ちして秘書の故郷スウェーデンに行ってしまったと思い込む。 それからというもの、酒浸りになり、4人の娘に怒りをぶつける日々。 そんなテリーのところに、元野球選手で今はラジオ番組でDJを務める隣人のデニー(ケヴィン・コスナー)が両家の間にある土地開発のことで訪れる。 夫に家出されたことに同情し、飲み友達を買ってでるデニーに、いつしか心も体も許し、娘たちも二人を公認。 美しい4人の娘たちも、それぞれに勉学、就職、結婚と自分達の道を歩んでいく。そうして3年程たったある日・・・。

実家と離れた大学在学中に恋人を作って出来ちゃった結婚をする長女ハドリー(アリシア・ウィット)、バレエダンサーを夢見て芸術学院への入学を決め、母親に猛反対される次女のエミリー(ケリー・ラッセル)、大学に進学せず、デニーの口利きでラジオ局に就職する三女のアンディ(エリカ・クリステンセン)、そして、転校生に恋する高校生の末娘ポパイ(エヴァン・レイチェル・ウッド)。 テリーと隣人デニーが心を通いあわせていく姿と共に、父親不在の家庭の娘たちの人生の転機も丁寧に、かつ、ユーモラスに描かれ、家族や男女の絆の大切さを感じさせてくれる。 けれどもこの映画は、ただただ泣いて笑えるハートウォーミングな物語に終わらない。 本作では折々にテロへの報復、アフガン侵攻、白人至上主義団体KKK、宗教戦争、はたまたボツワナのある民族の怒りの行動などのニュース映像が流される。 ヒロインのテリーは、夫が駆け落ちしたと思い込んで怒りを爆発させるのだが、この世界も、思い込みや偏見が争いを起こしていると訴えているのだ。 「寛大な心に安らぎが訪れる」と映画は結ぶ。(咲)

2005年/アメリカ/117分/ カラー/シネスコサイズ/ドルビーデジタルDTS
提供:ギャガ・コミュニケーションズ
配給:ギャガ・コミュニケーションズ、アニープラネット
協力:日活
宣伝:グアパ・グアポ

★東京での上映は終わりました。全国の詳しいスケジュールは公式HPをご覧下さい。
公式HP>> http://www.annieplanet.co.jp/mama/


2006年5月13日〜


『恋するトマト クマインカナバー』

監督:南部英夫
企画・脚本・製作総指揮:大地康雄
撮影:小松原茂
音楽:寺田鉄生
原作:小檜山博「スコール」集英社刊
キャスト:大地康雄(野田正男)、アリス・ディクソン(クリスティナ)、富田靖子(景子)、ルビー・モレノ(リバティ)、清水綋治(中田)、村田雄浩(和男)、藤岡弘(勇作)ほか

野田正男45歳、老いた両親と田畑を守る働き者。不器用で要領が悪く、これまで何度お見合いしても断られてきた。気合を入れて臨んだダンスパーティは大ウケ。田舎暮らしに憧れるOL景子との縁談が進むかに思えたのだったが、農家の長男なのが災いしてか破談に終わる。意気消沈する正男に、勇作はフィリピン・パブで働くリバティを紹介する。交際した末、リバティの両親に会い、結婚式を挙げるため二人は フィリピンへ向かう。歓待を受けて正男は翌朝リバティを迎えに行くが、家はもぬけのからだった。農協から借りた結婚資金も騙し取られ、正男は生きる気力をなくしフィリピンの街を放浪する。

茨城県霞ヶ浦近くの農村が正男の故郷。フィリピンに渡ったまま帰れなくなった正男が、後にたまたま立ち寄るフィリピンの農村ラグーナ。驚くほど似通ったその村で、 水田で働く娘クリスティーナに出会います。題名の『恋するトマト』のわけは物語後半になってあきらかになります。「クマインカナバー」と小さく添えられた題名はタ ガログ語で「ご飯食べませんか?」の意味。この作品のためフィリピン取材に出かけたおりの事。大地康雄さんと脚本の小檜山さんが、浜辺で貧しい食事をとっていた ホームレスからこう声をかけられたのだそうです。貧しくても他人への思いやりを忘 れない心に二人はいたく感激、この言葉と心を映画の核にしようと決意したのだとか。この映画の企画がスタートしてから13年、大地さんの真摯な情熱と多くの人の心が詰まった作品が完成しました。ぴったりのキャストと、「大切なのは土と水と太陽」というセリフが印象に残ります。(白)

2005/日本/カラー/126分/35mm/アメリカンビスタ/DTSステレオ
配給:ゼアリズ・エンタープライズ

公式 HP >> http://theres.co.jp/tomato/

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『間宮兄弟』

監督・脚本:森田芳光
撮影:高瀬比呂志
音楽:大島ミチル
主題歌:「Hey,Brother」 RIP SLYME
原作:「間宮兄弟」江國香織著 小学館
キャスト:佐々木蔵之介(兄)、塚地武雅(弟)、常盤貴子(葛原先生)、沢尻エリカ(本間直美)、北川景子(本間夕美)ほか

間宮明信(兄)はビール会社の開発研究員。徹信(弟)は小学校の校務員。三十路を 過ぎた二人だが、まだ独身で仲良く共同生活をしている。横浜ベイスターズの試合を スコアをつけながらTVで応援、ポップコーンと飲み物を用意してのビデオ鑑賞、紙飛 行機にクロスワード、今日の反省会・・・二人で楽しめることはいっぱいあった。全 くモテない二人だったが、ビデオ店でバイトをしている直美だけは笑いかけてくれ る。徹信は学校の葛原先生と直美を誘って「カレーパーティ」をしよう、と提案す る。綿密に計画を立て、明信が作った3種類のカレーは大好評。モノポリーも盛り上 がった。さて、彼らは友達以上になれるのか?

大きな事件も起きず、仲良し兄弟の毎日とちょっとした感情のゆれをほのぼのと描いています。全然似てない兄弟だけど、とってもいいコンビです。彼らが暮らす部屋は本や面白いものがいっぱい。居心地良さそうで、ほんとに誰かが住んでいそうです。 ああ、私も招かれたい(笑)。「協力」に「ブックオフ」とあるので、あのたくさんの本もみな美術や道具のスタッフさんが集めたのでしょう。動くと骨が鳴ったり、寝ていてびくッと動いたり「あるある、いるいる」と笑える小ネタがちりばめてありま す。
中島みゆきさんが母親役というのは意外でしたが、こういうお母さんならいい息子たちになりそう、と思わせます。そういえば登場するのは美女ばかり。沢尻エリカは 『パッチギ!』で朝鮮高校生キョンジャを演じていました。妹役の新人、北川景子は同じ’86年生まれ。観終わったら「兄弟っていいなぁ」と思うでしょう。そして、 ビールかコーヒー牛乳が飲みたくなるかも。(白)

*試写の前に突然、主演の佐々木蔵之介さん、塚地武雅さんが現れました。息のあった凸凹コンビで笑わせてくれました。現場での楽しさが伝わってくるようです。カメラは持っていましたが撮影はできなくて残念。

2006/日本/カラー/1時間59分/ヴィスタサイズ/ドルビーSRD
配給:アスミック・エース

公式 HP >> http://mamiya-kyoudai.com/

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2006年5月20日〜


『アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶』(ドキュメンタリー)

監督・脚本:ハインツ・バトラー
出演:アンリ・カルティエ=ブレッソン、アーサー・ミラー、エリオット・アーウィット、イザベル・ユペール

2004年8月アンリ・カルティエ=ブレッソンの訃報が世界中を駆け巡った。 95歳だった。
彼は、ロバート・キャパらとともに、写真家集団“マグナム”を設立し、小型カメラのライカを片手に、スペイン内戦前夜やパリ解放、ガンジーの死など歴史的瞬間を撮った報道写真の先駆者だった。
また、写真集『決定的瞬間』(英語版タイトル)で独自の写真美学を確立し、世界中の写真家に多大な影響を与え、写真を芸術の域に高めた。 ヨーロッパ、アメリカ、インド、中国、日本など世界中を旅した彼は、その“激動の20世紀”の瞬間を捉え続けた。

人前に顔をさらすのを嫌い、自身についてほとんど語ることのなかった偉大なる芸術家が、人生の最期に初めて、その半生と作品について語る。 映画は当時93歳のカルティエ=ブレッソン本人と、親交のあった写真家エリオット・アーウィットや昨年惜しくも亡くなった劇作家アーサー・ミラーなどの貴重なインタビューで構成されている。 撮影の大半は、チュイルリー公園を望むカルティエ=ブレッソンの自宅で行われた。 青春のメキシコ、捕虜収容所の脱走、戦時下のパリ、助監督もつとめた映画監督ジャン・ルノワールと の出会い、 “マグナム”の仲間たちとの思い出、マリリン・モンロー、ココ・シャネル、トルーマン・カポーティ、サルトルとボーヴォワールら20世紀の“顔”を撮影したエピソード…。 そして、ついにカルティエ=ブレッソン本人の口から“決定的瞬間”の謎が明かされる。 (資料より)

2003年/スイス・フランス/72分/カラー/ビスタサイズ/ステレオ/デジタル

http://www.longride.jp/hcb/

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『雪に願うこと』

監督:根岸吉太郎
脚本:加藤正人
原作:「輓馬」鳴海章 文藝春秋刊
キャスト:伊勢谷友介(矢崎学)、佐藤浩市(矢崎威夫)、小泉今日子(田中晴子)、吹石一恵(首藤牧恵)、山崎努、草笛光子(母)、香川照之ほか

矢崎学は東京での会社経営に失敗し、妻や友人にも去られ、かつて捨てた故郷の帯広へと舞い戻って来た。 “ばんえい競馬”の厩舎を営み家を守ってきたきた兄の威夫は、そんな学を「こきつかってやる」と馬の世話をさせる。 成績を上げなければ馬肉になるしかない「ウンリュウ」や、厩舎の仲間と寝起きを共にするうち、都会の華やかな生活に未練たらたらだった学は少しずつ変わってゆく。


©『雪に願うこと』フィルムパートナーズ

第18回東京国際映画祭グランプリ、監督賞、男優賞、観客賞受賞作品で、昨秋いちはやく鑑賞しました。 輓馬(ばんば)の馬たちの存在感が圧倒的で、俳優のみなさんはさぞ大変だったこととお察しします。 佐藤浩市さんも「馬に負けないように頑張りました」と挨拶していました。
私の故郷も北海道なので、「きーん」と表現したくなる冷気や、馬の白い鼻息、きゅっきゅっと鳴る雪道など懐かしいです。 そんな風景の中での兄弟の確執、家族の絆、挫折から立ち上がる人々のようすが丁寧に描かれ胸をうたれました。 何もかもなくしたとき、あなたはどこへ帰りますか?(白)


根岸監督(右)と佐藤浩市さん
第18回(2005年)東京国際映画祭
グランプリ、監督賞、男優賞、観客賞受賞


2005/日本/カラー/112分/35mm/ドルビーSR/配給:ビターズ・エンド

舞台挨拶決定!詳細は公式HPをご覧ください
★東京での上映は終わりました。全国の詳しいスケジュールは公式HPをご覧下さい。

http://www.yukinega.com/


2006年4月29日〜


『隠された記憶』

監督・脚本:ミヒャエル・ハネケ
撮影:クリスチャン・ベルジェ
キャスト:ダニエル・オートゥイユ(ジョルジュ)、ジュリエット・ビノシュ(アン)、モーリス・ベニシュー(マジッド)、レスター・マクドンスキ(息子ピエロ)、ベルナール・ル・コック(上司)、アニー・ジラルド(母)ほか

ジュルジュはTV局の人気キャスター。 妻のアン、息子のピエロと共に何不自由なく暮らしていたが、ある日差出人不明の包みが届けられる。 中には子供の落書きのような絵とビデオテープが入っていた。 再生するとすぐ近くで撮ったらしい彼の家と家族たちが映っていた。 度重なる不気味なプレゼントに不安を募らせるが、実害がないので警察も対応ができない。 やがてジョルジュの記憶の底から幼い日の思い出が蘇ってきた。

フランス映画祭ではお馴染み、『8日目』でカンヌ映画祭男優賞を受けているダニエル・オートゥイユと、ジュリエット・ビノシュが夫婦役。 『ピアニスト』のミヒャエル・ハネケ監督作品。 これもなんだかひりひりと痛い映画で、記憶の底に沈めていたものが浮かび上がってくるときの怖さったらない。 どのシーンも意味ありげで、でも過ぎていってしまうので巻き戻したくなる。 キャッチコピーの「衝撃のラストカット」、ちゃんとわかった人教えて〜。(白)

カンヌ映画祭 監督賞ほか3部門受賞

2005/フランス・オーストリア・ドイツ・イタリア/カラー/1時間59分/

http://www.kioku-jp.com/

★東京での上映は終わりました。全国の詳しいスケジュールは公式HPをご覧下さい。
渋谷区円山町1-5 Q-AXビル3F(渋谷・文化村前交差点左折)

■ミヒャエル・ハネケ映画祭開催決定!   2006年4/15(土)〜4/28(金)
会場:ユーロスペース


『夜よ、こんにちは』

監督・脚本:マルコ・ベロッキオ
撮影:パスクァーレ・マーリ
音楽:リッカルド・ジャーニ
キャスト:マヤ・サンサ(キアラ)、ルイジ・ロ・カーショ(マリアーノ)、ロベルト・ヘルリツカ(モロ首相)、ピエル・ジョルジュ・ベロッキオ(エルネスト)ほか

1978年、ローマ。 歴史の裏には、自由と理想を追い求める葛藤があった。
1977年の暮れ、キアラとエルネストは新居の下見に訪れる。 2人は極左集団「赤い旅団」のメンバー。 隠れ家にするため、不動産屋には夫婦と偽っているのだった。
1978年3月16日、キアラはアパートの上空を飛ぶヘリコプターに気づいて、テレビに見入る。ニュースはモロ元首相が誘拐されたことを告げていた。 リーダーのマリアーノ率いるメンバーの計画が成功したのだ。

実際に起こった事件を「赤い旅団」メンバーの手記を元に映画化したもの。 ほとんどが閉ざされたアパートのシーン。 外が陽光にあふれていても、モロを監禁していることが知られないようカーテンが引かれています。 思惑と違って、労働者に受け入れられず苛立つ若いメンバーたち、 監禁されて要求に従いながらも家族を思うモロ。 メンバーとして行動してきたキアラは、しだいに自分の信念に疑いを持つようになります。 引き裂かれそうなキアラは夢を見、監督が史実から離れて加えてくれたシーンに私も息をつきました。 スクリーンに映ったのはカラーの映像のはずなのに、蘇るのは白黒のシーンばかりです。なぜかな?(白)

2003/イタリア/カラー/105分/1:1.66/ドルビーデジタル/
配給:ビターズ・エンド
宣伝:ムヴィオラ

http://www.bitters.co.jp/yoruyo/

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☆4/29(祝)、4/30(日)各日先着300名様に、イタリアで一番売れているパスタ「バリラ・スパゲッティ」をプレゼント!


2006年3月11日〜


『かもめ食堂』ruokala lokki

脚本・監督:荻上直子
原作:群ようこ(「かもめ食堂」幻冬社、2006年1月刊)
エンディング・テーマ:井上陽水「クレイジーラブ」
出演:小林聡美(サチエ)、片桐はいり(ミドリ)、もたいまさこ(マサコ)、ヤルッコ・ニエミ(トンミ)、タリア・マルクス(リーサ)、マルック・ペルトラ(マッティ)

サチエはフィンランドのヘルシンキに、一人「かもめ食堂」を開いたが、窓越しに興味本位で覗く人ばかりで、お客さんはさっぱり来ない日が続いている。それでもサチエは毎日まじめにやっていれば、きっと上手くいくと信じている。
ある日、ニャロメのTシャツを着た青年トンミが一人「コンニチハ!」と入ってくる。トンミはサチエに「ガッチャマン」の主題歌を教えてと頼むが、サチエ冒頭の歌詞しか思い出せない。しかしこの「ガッチャマン」がサチエとミドリの出会いをもたらし、二人の出会いがシナモンロールを作らせ、シナモンロールの香が窓の向こう側にいたお客さんをお店の中へと誘う。そうしてちょっとずつ、かもめ食堂の席が埋まり始めた頃、ロスト・バゲージで途方に暮れるマサコがやって来る。

初めに試写状を見た時、「かもめ食堂、オールフィンランド撮影!なんじゃ?」と頭の中にクエスチョンマークが一杯になった。しかし主演女優が3人で小林聡美、もたいまさこ、室井滋じゃないけど片桐はいりって即刻「やっぱり猫が好き」を思い出し、期待値がググッと上昇。しかも監督は『バーバー吉野』『恋は五・七・五!』の荻上(おぎがみ)直子監督で、この方はフジテレビ「やっぱり猫が好き2005」の脚本を書いていた。
そんなわけでちょっと期待して観に行った作品。果たしてその結果は、なんと心楽しい映画だった事か!
小林聡美演ずるサチエは、凛とした立ち振る舞いが美しい。料理の所作もテキパキとし、どの位訓練したのか知らないが、フィンランド語の台詞もよどみなく実に堂々としていた。人種・国籍関係なく人間に対してオープンで、変化する事を恐れず受入れる。でも自分の好きな事しかしない。とにかくこの女性がカッコイイ!!3人の女性たちの背景はあまり多くは語られないが、3女優の実に巧みな演技によって、大いに想像力をかき立てられる。この物語はファンタジーではあるが、彼女たちに自分の姿を重ねる女性も多いのではないだろうか。
観終わると「ちゃんと食べて、ちゃんと生きよう!」と背筋を正され、思わずシナモンロールとコーヒーを食べに行ってしまったのでした。(梅)

2005/日本/カラー/35mm/アメリカンビスタ/102分/DTS
配給・宣伝:メディア・スーツ

公式 HP >> http://www.kamome-movie.com/

★2006年10月21日(土)より11月3日(金)まで、三軒茶屋シネマにて上映


2006年4月8日〜


『家の鍵』(原題:Le Chiavi di Casa)

監督:ジャンニ・アメリオ
脚本:ジャンニ・アメリオ、ステファノ・ルッリ、サンドロ・ペトラリア
出演:キム・ロッシ・スチュアート、アンドレア・ロッシ、シャーロット・ランプリング

ジャンニは15年前に障害を持って生まれた息子パオロから逃げ出していたが、これまでパオロを育てていた叔父からベルリンの病院へ彼を連れて行くことを託される。ジャンニは初めて接する息子に戸惑いと緊張を隠せないが、パオロの方は何にも誰にも臆すること無く、ジャンニを親しい友人の様に受け入れる。上手くいくかと思えたが、パオロの行動は時にジャンニの予測を越え、不安と混乱をもたらす。病院で彼は重い障害を持つ娘の母ニコールと出会う。彼女との出会い、そしてパオロとの触れ合いを重ねる中で、ジャンニは恐る恐るながら父性に目覚めていく。

これまで障害を持つ子とその母の関係を描いた映画は多いけれど、父との関係を描いた作品というのは珍しいです。しかもパオロを演じているのは、本当に障害を抱えているアンドレア・ロッシという少年。監督は当初映画の中でも登場する「明日、生まれ変わる」というジュゼッペ・ポンティッジャの著書を元に映画を撮ることを依頼されました。その時は自分にはできないと思ったのだけれど、アンドレア・ロッシとの出会いによって、この作品を撮れると確信したのだそうです。その結果、彼はパオロの役を演じているのだけれど、彼自身の個性と渾然一体となっていて、演じている様にはとても見えません。そして幼子のように屈託なく笑い、老人のように頑固で、繊細なのに大胆な行動をとり、好奇心に瞳を輝かせる彼の存在が、観る者を惹き付けてやみません。
これまでの人生で子供と接する経験が殆どない私には、父ジャンニの不安と混乱がリアルに感じられました。演じるキム・ロッシ・スチュアートは『アパッショナート』などに出演している正統派美男俳優ですが演技も素晴らしく、映画監督もするという、天が二物も三物も与えてしまっている人。そんな彼だからこそ、息子を受け入れられずにいることに、一層の説得力を感じるのです。
そしてもう一人ニコールを演じるシャーロット・ランプリングも素晴らしいです。ジャンニがまだパオロとの関係を始めたばかりで、不安と喜びの両極端な感情に振り回されているのに比べ、ニコールは20年間、娘の世話一筋に生きてきたため、感情をある程度コントロール術を身につけていて、常に穏やかな様子でいます。しかし一瞬吐露する言葉が心の中の深い闇の淵をみせ、ゾッとさせられます。果たして多くの親が彼女と同じようなことを考えるのでしょうか? 介護を巡るあらゆる問題が頭を巡ります。
深刻なテーマではありますが、重くなりすぎず、むしろ観終わって心に温かいものが残りました。映像は美しいけれど華美ではなく、泣かせるための過度な演出など一切無く、調和のとれた素晴らしい作品です。(梅)

第61回ヴェネチア国際映画祭 正式出品作品
第77回アカデミー賞外国語映画賞 イタリア代表作品
イタリア映画祭2005 オープニング作品

2004年/イタリア映画/111分/カラー/1:1.85ヴィスタ/ドルビー・デジタル
提供:朝日新聞社、国際メディア・コーポレーション、ザジフィルムズ、博報堂DYメディアパートナーズ
配給:ザジフィルムズ
宣伝協力:セテラ・インターナショナル

★東京での上映は終わりました。全国の詳しいスケジュールは公式HPをご覧下さい。

公式 HP >> http://www.zaziefilms.com/ienokagi/



2006年4月15日〜


『ヨコハマメリー』

監督:中村高寛
企画・制作:人人フィルム
プロデューサー:白尾一博(編集も)、片岡希
撮影:中澤健介、山本直史
音楽:Since テーマ曲:「伊勢崎町ブルース」渚ようこ
出演:永登元次郎、五代路子、杉山義法、団鬼六、大野慶人、山崎洋子、森日出夫ほか

五代路子さんの一人芝居「横浜ローザ」にも描かれた伝説の娼婦、ハマのメリーさん。白塗り白装束のメリーさんを避ける人たちがいる一方で、何かとメリーさんを気遣っていたシャンソン歌手の永登元次郎さん。二人の人生を交差させながら、横浜の戦後史の断面を紐解いた中村高寛監督は、1975年生まれ。本作は、北京電影学院で映画演出・ドキュメンタリー理論を学んだ監督のデビュー作である。

高校時代を横浜で過ごした私にとって、横浜は今なお思い入れのある町だ。そんな私も、「関内」という地名が、関内駅から海寄りの、洋館が立ち並ぶ旧外国人居留地を指すことを、この作品を通じて初めて知った。今は京浜東北線の線路下になってしまった川の鉄橋に関所があって、関所の内側には特権階級の外国人が住み、日本人は「関外」で暮していた。メリーさんがよく出没していた伊勢崎町界隈や、元次郎さんのシャンソンライブハウス「シャノワール」があった日の出町界隈は、関外の歓楽街。高校生の時、野毛山のピアノの先生のところに通うのに、日の出町駅を利用していたのだが、夜の妖しい雰囲気が充満しているところだった。私はメリーさんをお見かけした記憶はない。あの町で様々な人生があったことに感慨を覚えた。「部屋が欲しい」と語っていたというメリーさんが、晩年は故郷の町で静かに暮していたことに安堵した。癌と闘っていた元次郎さんの歌う「人は皆いつかこの世を去るだろう。自由な心で暮そう、マイ・ウェイ」 が、じぃ〜んと心に響いて、悔いのない人生をおくりたいとあらためて思った。(咲)

横浜は観光地しか訪ねたことがなく、ましてや戦後の横浜を知るよしもないが、このドキュメンタリーでメリーさんについてのいろいろな人の証言からその輪郭を見せてもらった気がする。仮面のような白塗りの化粧の老婆がひっそりと町の風景になっていたこと、かつては美人娼婦だったこと、そしてある日突然姿を消し、彼女は都市伝 説になったこと。監督は彼女を疎む人思いやる人の話を聞き歩く。戦中戦後の関外の話や家も持たないメリーさんがチケットを買って観にくる公演が必ずあたるというのが面白い。闘病中だったシャンソン歌手の永登元次郎さんがメリーさんを見つめて歌う声のなんと優しいことだろう。今は故人となったお二人に合掌。(白)

2005/カラー/スタンダード/1時間32分
提供:レントラックジャパン、ナインエンタテインメント
配給:ナインエンタテインメント
配給協力・宣伝:アルゴピクチャーズ

公式 HP >> http://www.yokohamamary.com/

★9月16日(土)から29日(金)まで 下高井戸シネマにて上映


『ビリーブ』

監督・製作:小栗謙一 (『エイブル』毎日映画コンクール記録文化映画賞受賞)
撮影:赤平勉
音楽:小林研一郎
ナレーター:滝田栄
Believeクルー:勝又由貴、河口弘樹、下池健一、平山浩二、前原えりか、増満伸朗、宮崎亮太、渡辺元、和田勇人
スペシャルゲスト:岩崎恭子、牛山奈穂美、安部恵、続素美代、小錦千絵、KONISHIKI

「障がい者はできないのではない。社会が彼らをできないと思って、できなくさせているのだ」 1999年、小栗監督が初めて訪れたノースカロライナでのスペシャルオリンピックスで、創設者のユニス・シュライバー夫人はこんなスピーチをした。 この言葉は監督の心から消えることがなかった。 そして、「彼らを信じるというなら、私は彼らに道を開いているだろうか、被写体としてだけではなく、なぜ彼らとともに映画を作らないのだろうか?」監督は自らに問いかけ、この映画『ビリーブ』が生まれた。

2005年2月、長野で開催されたスペシャルオリンピックスに、参加者と同じ障がいを持つクルー9人がメディアとしてデビュー。 プロの機材で撮影し、マイクを握り締めてゲストやアスリートにインタビューをした。 自薦他薦で集まった彼らが、200日に渡るトレーニング期間を経て、ぶつかったり、すねたり、笑ったりしながら挑戦した日々を記録した作品。

19歳から35歳まで、女の子二人を含む9人は、それぞれがスペシャルオリンピックスのアスリートたちです。 家から離れて合宿をし、カメラやマイクなど機材の扱い方から習います。 発声、インタビューの練習も映し出すうち、一人一人の個性が少しずつ明らかになっていきます。 誰に対しても臆することなく、絶妙の間でインタビューする増満くん、決まりごとに厳しい正義漢の川口くん、頑張りやの和田くん・・・。 仲間うちでちょっともめたりもしますが、自分達で解決できるよう周りが見守っているのが見てとれます。 対象をしっかりとフレームに納められるようになった頃には、チームワークもばっちり。 そろいのユニフォーム姿が頼もしく見えました。(白)


競技場に乗り込んだ撮影クルー。 まだ他のクルーは到着していなくて、どこにでも設営できるのに、 「邪魔にならないところに構えよう」と皆に声をかける川口くん。 彼らが社会の邪魔にならないようにと気を配りながら暮らしていることを痛感した。 昨年、友人が通訳ボランティアで長野で開かれるスペシャルオリンピックスに行くと聞いた時、 それがどんな競技会かも尋ねなかったのだが、テレビで放映されたのも気付かなかった。 それほどに世の中(自分も含め)の関心も薄い知的障害者の人たちが、障害を認識しつつ、 目標を持って輝いている姿をこの作品は見せてくれて、人生諦めちゃいけない・・と思わせてくれた。(咲)

2005年/日本/35mm/カラー/ビスタサイズ/DTSステレオ/109分/
配給:ableの会、配給協力:イメージフォーラム 宣伝:ムヴィオラ

◆東京での上映は終了しています。詳しい作品紹介は公式HPをご覧下さい。
http://www.film-able.com/

〜僕ら9人の写真展〜
2005年スペシャルオリンピックス冬季世界大会・長野の記録

★2006年1月17日(火)〜1月25日(水)10:00〜19:00
      無休/入場無料(最終日は15:00まで)
★コニカミノルタプラザギャラリーA
160−0022
東京都新宿区新宿3−26−11
新宿高野ビル4F コニカミノルタプラザ
03−3225−5001

★お問い合わせ:ableの会 03−3502−1900


『第3回女たちの映像祭・大阪 2006』

2002年から始まった「女たちの映像祭・大阪」も、もう3回目です。 各招待作品上映後、監督のトークも予定されています。

と き 2006年12月1日(金)〜 3日(日)
ところ とよなか男女共同参画推進センターすてっぷホール
    大阪府豊中市 阪急宝塚線、豊中駅下車すぐ、エトレ豊中5F
主 催 波をつくる女たち Women Make Sister Waves
協 賛 財団法人 とよなか男女共同参画推進財団


12/1(金)
13:00〜15:00 「布—結びあう女たち」 監督 チェン・ウエイスー(台湾)
18:00〜19:00 オープニングセレモニー Swing MASA Band 他
19:30〜21:00 「プリカちゃん」 監督 天宮沙江(日本)
「レズビアンの何が悪いの?」 監督 WOM(韓国)
12/2(土)
10:00〜12:00  アニメと短編と公募作品
「ふうわり」監督 プリムプラパー・ワウンピチャヤスク(タイ)
「月明かりのなかで」監督 マドフリータ・アナンド(インド)
「悪夢の新生児」監督 アン・エルヴェダール リーセ・オスヴォル(ノルウェー)
「バタフライウーマン」監督 シグネ・スービー・ベック(デンマーク)他
12:00〜14:00  交流会 
14:30〜17:00 「塩 鉄道労働者の物語」 監督 パク・ジョンソク(韓国)
「家政婦」 監督 エメル・チェレビ(トルコ)
18:00〜20:00  「布—結びあう女たち」 監督 チェン・ウエイスー(台湾)
12/3(日)
10:00〜12:00 「花のこえ」 監督 太田綾花(日本)
「ゆらりゆらゆら」 監督 下之坊修子(日本)
12:10〜14:30 「ショッキングファミリー」 監督 キョンスン(韓国)
15:00〜17:00 シンポジウム「女の価値観をどう実現するか—女の表現を通して」
  エメル・チェレビ「家政婦」監督 (トルコ)
  MASA サックス奏者(日本)
  チェン・ウエイスー「布—結びあう女たち」監督(台湾)他
18:00〜19:30 「 纏足—10センチの金色の蓮花」監督 ユーチン・ヤン(カナダ/中国)

チケット:
 前売り:1000円/当日:1400円/5枚綴券:4500円/3日通し券:6000円
 障害者割引:半額、付き添い1名の方も、半額
 交流会券:1500円(前売りのみ・軽食飲み物付き)

チケット販売:
 フリーク 06-6855-3746
 すてっぷ事務所:06-6844-9773
 ウイメンズブックストアゆう:06-2910-8627 ドーンセンター1階

詳細はこちら >> http://sisterwave.exblog.jp/


「シネマート・シネマ・フェスティバル」

シネマート新宿12月9日(土)オープン!
【オープニングイベント】シネマート・シネマ・フェスティバル
12月9日(土)〜15日(金)

『インディアン・サマー』
 2001年
監督:ノ・ヒョジョン
出演:パク・シニャン、イ・ミヨン
『キリマンジャロ』
 2000年
監督:オ・スンウク
出演:パク・シニャン、アン・ソンギ
『相棒〜シティ・オブ・バイオレンス〜』 2006年 監督:リュ・スンワン
出演:チョン・ドゥホン、リュ・スンワン
『インビジブル・ウェーブ』
 2005年
監督:ペンエーグ・ラッタナルアーン
出演:浅野忠信、カン・へジョン
『フライ・ダディ』
 2006年
監督:チェ・ジョンテ
出演:イ・ジュンギ、イ・ムンシク
『血も涙もなく』
 2002年
監督:リュ・スンワン
出演:チョン・ドヨン、イ・ヘヨン
『フェイス』
 2004年
監督:ユ・サンゴン
出演:シン・ヒョンジュン、ソン・ユンア
『ウェディング・キャンペーン』
 2005年
監督:ファン・ビョングク
出演:チョン・ジェヨン、スエ
『朴大統領暗殺』
 2004年
監督:イム・サンス
出演:ハン・ソッキュ、ペク・ユンシク
『素敵な夜、ボクにください』
 2006年
監督:中原 俊
出演:吹石一恵、キム・スンウ
『私たちの幸せな時間〔仮題〕』
 2006年
監督:ソン・ヘソン
出演:カン・ドンウォン、イ・ナヨン

公式 HP >> http://www.cinemart.co.jp/contents/ccf/

「東京国際シネシティ フェスティバル2006」

期間:11月23日(木・祝)〜11月26日(日)
会場:新宿ミラノ1、シネシティ広場

惜しくも休止となってしまった東京国際ファンスティック映画祭にかわり、 【東京国際シネシティ フェスティバル2006】の開催が決定!
オープニングに『007 カジノ・ロワイヤル』、 クロージングには『ディパーテッド』、 招待作品には『めぐみ−引き裂かれた家族の30年』など今年の冬の注目作品を集め、 「映画まるかじりの4日間」をキャッチフレーズに、 元祖青空シネコン・歌舞伎町シネシティで4日間に渡って開催される新しい映画祭です。
洋邦の最新話題作の上映はもちろん、オールナイト、秘蔵映像の本邦初上映、ファミ リー向けのプログラムなどに加え、デジPOPコンペティションも開催されます。

★チケット発売:10月14日(土)

◆上映作品ラインナップ
『007/カジノ・ロワイヤル』(オープニング)
『ディパーテッド』(クロージング)
『めぐみ−引き裂かれた家族の30年』
『幸福な食卓』
『国境の南』
『モンスター・ハウス』
『パフューム』
『名犬ラッシー』
『LOVEDEATH』
◇ 企画上映
●デジPOPコンペティション
●フレディ・マーキュリー没後15年メモリアル・フィルム・コンサート 〜QUEEN ROCK IN SHINJUKU〜
●SKIPシティ国際Dシネマ映画祭コラボ・プログラム
●松本大洋“まるかじり”ナイト!
●映画における表現の自由を考える夕べ

公式HP>>   http://ticf.jp/


「さらば戦争!映画祭2006」

人間が始めたものは、人間がやめればいい。

11月18日(土) 10:00〜20:00(開場9:30)
発明会館ホール
前売券 2000円 / 当日券 2500円 中学生以下 無料

<上映作品>
10:00 『Marines Go Homeー辺野古・梅香里・矢臼別』 監督:藤本幸久
2005年 131分
13:30 『NAGASAKI・1945 アンゼラスの鐘』 監督:有原誠治
2005年 80分
15:35 『蟻の兵隊』 監督:池谷薫
2005年 101分
17:35 『Dear Pyongyang〜ディア・ピョンヤン』 監督:梁英姫
  (ヤン・ヨンヒ)
2005年 107分
19:20 梁英姫監督トークショー

ボランティアスタッフ随時募集中!
詳しくは公式サイトをご覧ください

公式 HP >> http://www.eigasai-60.com/



「第7回東京フィルメックス」

日時:11月17日(金)〜26日(日)
場所:有楽町朝日ホール、東京国立近代美術館フィルムセンター大ホール、シネカノン有楽町、東京国際フォーラム・ホールC

オープニング作品決定!
『三峽好人Still Life(原題)』(中国、賈樟柯/ジャ・ジャンクー監督)
第63回ベネチア映画祭にて金獅子賞を受賞した同作がプレミア上映されることに決定しました。

クロージング作品
『黒眼圏(原題)』(台湾、フランス、オーストリア、蔡明亮/ツァイ・ミンリャン監督)

コンペティション 9作品、特別招待作品 11作品、ダニエル・シュミット追悼上映 2作品、特集上映・岡本喜八 12作品 上映
詳しいスケジュールは公式ページをご覧下さい。
[チケット発売] 前売はチケットぴあにて11月3日(祝)より発売

公式 HP >> http://www.filmex.net/

コンペティション作品にはイランから3作品、イスラエル、タジキスタンからもあり、東京国際映画祭にはない中東の作品が多く並び、ファンには嬉しいところでしょう。今回はフィリピンからのエントリーが初めてあります。監督のアウレウス・ソリトは2003年に山形ドキュメンタリー映画祭でドキュメンタリー作品の上映がありましたが、今回は初の劇映画です。去年の東京フィルメックスでグランプリを受賞した小林政広監督、また審査員特別賞を受賞した應亮(イン・リャン)監督の新作もエントリーしています。

特別招待作品には黒沢清監督『叫(さけび)』がジャパンプレミアとして上映。また杜[王其]峰(ジョニー・トー)監督の『エレクション』『エレクション2』が共に上映され、ファンには嬉しい限りでしょう。その他の作品も見逃せないものばかりです。

今年の8月に逝去されたスイスの巨匠ダニエル・シュミット監督を追悼して、2作品が上映されます。いずれも日本未公開作品ですので、この機会に是非ご覧下さい。

今年で4回目を迎える特集上映ですが、今年は岡本喜八監督です。初期から中期にかけての12本をニュープリント、英語字幕付きで上映します。黒沢清監督は会見で「日本人離れした日本映画の代表」とおっしゃっていましたが、会見後の試写で上映されたデビュー作『結婚のすべて』を観て確かにと納得しました。初っ端からびっくりさせられるカット。軽快なテンポで、ユーモアに溢れ、本当に楽しい作品でした。来年2月のベルリン国際映画祭で特集上映されることも決定したそうです。ヨーロッパで岡本喜八作品が紹介されるのは初だそうですが、きっと大きな注目を集めるでしょう。その前に、日本の若い観客にも是非ご覧いただきたいと思います。



「大阪アジアン映画祭」

韓国、中国、香港、日本作品を中心に、劇場未公開の新作・名作など珠玉の娯楽映画計8本を上映。また、豪華ゲストを迎え、華やかなオープニング・クロージング上映を行ないます。

11月4日(土)・5日(日)
会場…リサイタルホール(中之島)
日本劇場未公開作8本上映


(C)2005 i Love Cinema Co.,Ltd. All rights Reserved
<オープニング作品>
『Sad Movie<サッド・ムービー>』 韓国
 チャ・テヒョン氏舞台あいさつ

(C)2005 Cinema Service Co., Ltd. All Rights Reserved
<クロージング作品>
『王の男』 韓国
 王を笑わせなければ死刑!昨年、韓国歴代映画動員記録を塗り変えた話題作。
『Mr.BOO! 愛憎バトル』(仮題)(原題:煎醸参寶) 香港
「Mr.BOO!」が21世紀に復活!豪華メンバー出演の傑作コメディー最新作。
『おばちゃんチップス』 日本
 2時間ドラマの帝王 船越英一郎が大阪の下町を舞台に映画初主演!
 船越英一郎氏、misono氏、田中誠監督舞台あいさつ

(C) MEI AH FILM PRODUCTION CO,LTD. SMI CORPORATION LIMITED.
『デザート』(仮題)(原題:後備甜心) 香港
 香港からの甘くて可愛いロマンティックなラブストーリー
『胡同愛歌』 中国
 消えつつある北京の下町 胡同で懸命に生きる親子の絆を描く

(C) 2005 Lotte Entertainment
『ウェディング・キャンペーン』 韓国
 ウズベキスタンへ花嫁探し!真の愛、結婚とは何かを描いた感動作
『愛されてた記憶』(原題:玉観音) 香港
 ニコラス・ツェー、ヴィッキー・チャオ競演。壮絶な復讐劇を展開するサスペンス

公式 HP >> http://www.oaff.jp/



『ベアテの贈りもの』

監督・脚本:藤原智子
撮影:海老根務
編集:黒木宏
音楽:演奏=レオ・シロタ、音響デザイン=山崎宏
製作:『ベアテの贈りもの』製作委員会:赤松良子、岩田喜美枝、落合良、日本映画新社
出演者:ベアテ・シロタ・ゴードン、野村晴一、原田冴子、池野ヒサ子、中村玲子、 前田薫、池田説子、富田玲子、山口みつ子、山口美代子、田中園子、赤松良子、宇野 淑子、石原一子、植木眞砂子、白藤栄子、西村かつみ、正路怜子、井上輝子、緒方貞 子(出演順)

『ベアテの贈りもの』から考える男女平等 公開講座&上映会
★11月4日(土) 13時〜14時45分 (開場:12:30)
  上映会後「トーク・トーク」を実施します(自由参加)
場所:アートフォーラムあざみ野 レクチャールーム
参加費:500円
申込方法:10月1日からFAX またはEメールにて先着順
申込み・問い合わせ先:FAX 045-913-2518(鈴木)
           Eメール beate-net-owner@yahoogroups.jp
  「ベアテの贈りもの上映会」、氏名、FAXまたはEメールアドレスを明記してください。
保育:1歳6ヶ月〜未就学児、予約制、有料
   保育申込先:男女共同参画センター横浜北事業課 tel. 045-910-5700

『ベアテの贈りもの』公式 HP >> http://www.geocities.jp/michocop/

2004/日本/ドキュメンタリー/カラー/92分/35mm/ヴィスタサイズ

本誌63号に東京国際女性映画祭上映時の映画紹介掲載
本誌64号に藤原智子監督インタビュー、ベアテ・シロタ・ゴードンさんインタビュー掲載



「第7回 NHKアジア・フィルム・フェスティバル」

2006年11月1日(木)〜5日(日)
場所:渋谷NHKみんなの広場ふれあいホ−ル
料金: 500円

*上映作品*
今年はNHK国際共同制作作品のほかに、アジア各国で制作された作品も上映されます。

<国際共同制作作品>
「甘い泥」(イスラエル)
<アジア各国制作作品>
「パオの物語」(ベトナム)
「モンゴリアン・ピンポン」(モンゴル・中国)
「ナヴァラサ」(インド)
「こんなに近く、こんなに遠く」(イラン)
「孔雀」(中国)→ 作品紹介
http://www.nhk.or.jp/sun_asia/aff7/index.html



第19回 東京国際映画祭

期間:2006年10月21日(土)〜10月29日(日) 9日間
会場:六本木ヒルズ(港区)、Bunkamura(渋谷区)をメイン会場に都内各劇場、施設、ホールなど。



9月19日(火)、東京国際映画祭の2回目で最後の記者会見が行われました。
前回一部のみのお知らせでしたが、残る全作品と、国際審査員の発表がありました (上映作品などは別ページをご覧ください)。
審査委員長のクロード・ルルーシュ監督が辞退されましたので、 現在検討中とのことです。
また、黒澤明賞に先日の市川崑監督のほかにもうお一人、 ミロス・フォアマン監督(1932年生まれ。 『カッコーの巣の上で』、『ヘアー』、『アマデウス』など)の受賞が決まりました。
ゲストにはオープニング・イブを飾る『武士の一分』の山田洋次監督と、 ヒロインの檀れいさんが登場しました。檀さんは宝塚を昨年退団。 これが映画初出演となります。 山田監督によりますと、 夫役の木村拓也さんが映画初出演の檀さんに細やかな気遣いを見せていたそうです。 『幸福の黄色いハンカチ』を撮影したとき(1977年)に主演の高倉健さんが、 若い桃井かおりさん武田鉄矢さんを同じように気遣っていたのを思い出しました、 とのことでした。(白)(写真:金子ひろみ)

<審査委員>
工藤夕貴、マルコ・ミュレール、ビル・メカニック、ガリン・ヌグロホ、柳町光男

◆黒澤明賞受賞者
ミロス・フォアマン監督、市川崑監督
------------------------------------------------
[旧情報]

*上映作品の一部が発表されました(以下)。

◆オープニング作品(六本木にて上映)
『父親たちの星条旗』2006/アメリカ/
監督:クリント・イーストウッド監督
出演:ライアン・フィリップ、ジェシー・ブラッドフォード、アダム・ビーチほか

◆クロージング作品(渋谷にて上映)
『犬神家の一族』2006/日本/
監督:市川崑
出演:石坂浩二、松嶋菜々子、尾上菊之助ほか

◆特別招待作品
『不都合な真実』アメリカ/ディビス・グッゲンハイム監督/ドキュメンタリー
『7月24日通りのクリスマス』日本/村上正典監督
『王の男』韓国/イ・ジュンイク監督
『木更津キャッツアイ ワールドシリーズ』日本/金子文紀監督
『鉄コン筋クリート』日本/マイケル・アリアス監督/アニメーション
『世界最速のインディアン』ニュージーランド・アメリカ/ロジャー・ドナルドソン監督
『ユメ十夜』日本/新旧10人の監督の競作
◆コンペティション部門
『アート・オブ・クライング』デンマーク/ピーター・ショーナウ・フォー監督
『孝試』中国/プ・ジアン監督
『フォー・ギヴネス』アメリカ/ウディ・アローニ監督
『OSS117 カイロ、スパイの巣窟』フランス/ミシェル・ハザナヴィシウス監督
『ロケット』カナダ/シャルル・ビナメ監督
◆国際審査員
審査委員長 クロード・ルルーシュ
審査委員 工藤夕貴、マルコ・ミュレール
◆Animecs TIFF (TIFF アニメCGフェスティバル)
オープニング作品
『パプリカ』日本/今敏監督/筒井康隆原作/
今敏監督全作品も上映!
2006年「黒澤明賞」の市川崑監督(90歳)が車椅子で登場しました。
現在『犬神家の一族』を製作中です。

(左より 角川チェアマン、市川崑監督、工藤夕貴さん)





■ 第 19 回 東京国際映画祭 共催企画


「コリアン・シネマ・ウィーク 2006」 〜様々な家族の絆〜

◇ 期間 : 2006年10月22日(日)〜10月25日(水) * 4日間 5作品上映
◇ 会場 : Bunkamuraシアターコクーン(東京都渋谷区道玄坂2-24-1)
◇ 主催 : 駐日韓国大使館 韓国文化院  
◇上映作品、及び上映スケジュール

『お母さん』(Mom's Way)
・日 時 :2006年10月22日(日) 開場:14:30 開演:15:00
・監 督 : ク・ソンジュ
・出 演 : コ・ドゥシム/ソン・ビョンホ
 2005年/95分/35mmカラー/

『散策』(Promenade)
・日 時 : 2006年10月22日(日) 開場:18:45 開演:19:15
・監 督 : イ・ジョングク
・出 演 : キム・サンジュン/パク・チニ
 2000年/100分/35mmカラー/

『みんな、大丈夫?』(Family Matters)
・日 時 : 2006年10月23日(月) 開場:18:45 開演:19:15
・監 督 : ナム・ソノ
・出 演 : キム・ユソク/キム・ホジョン
 2006年/104分/35mmカラー/

『家門の危機』(Marrying The Mafia II)
・日 時 : 2006年10月24日(火) 開場:18:45 開演:19:15
・監 督 : チョン・ヨンギ
・出 演 : シン・ヒョンジュン/キム・ウォニ
 2005年/115分/35mmカラー

『ファミリー』(A Family)
・日 時 : 2006年10月25日(水) 開場:18:45 開演:19:15
・監 督 : イ・ジョンチョル
・出 演 : スエ/チュ・ヒョン/パク・チビン
 2004年/96分/35mmカラー


「第19回 東京国際女性映画祭 映像が女性で輝くとき」

日時:2006年10月22日(日)〜26日(木)
会場:東京ウィメンズプラザ

前売券 ¥1000 当日券 ¥1200
前売券取扱所 電子チケットぴあ、岩波ホール

○上映作品

『赤い鯨と白い蛇』日本/せんぼんよしこ監督
『オーケストラ・シート』フランス/ダニエル・トンプソン監督
『あなたになら言える秘密のこと』スペイン/イザベル・コヘット監督
『ダブルシフト−パパの子育て奮闘記−』スエーデン/マリア・エッセーン監督
『ドバイの恋』フィリピン/ロリー・B・キントス監督
『ショッキング・ファミリー』韓国/キョンスン監督
『漁師と妻』ドイツ/ドリス・デリエ監督
○特別上映
『白い馬の季節』中国・内モンゴル自治区/ニンツァイ&ナーレンホア
『雀』アメリカ/無声映画/澤登翠の活弁で上映
『ニムロス』『こどもの目で』ポーランド/短編
『ファンキー・ライフスタイル』日本映画学校卒業制作
『終わりよければすべてよし』日本/羽田澄子監督
『こほろぎ嬢』日本/浜野佐知監督
『サッちゃん−作曲家・大中恩の世界−』日本/渋谷昶子監督

スケジュールなど詳細はHPへ
http://www.iwff.jp/


「第2回甲賀映画祭」

滋賀県甲賀市で、地元ボランティアスタッフの運営による「第2回甲賀映画祭」が 開催されます。 「映画はうたう」をテーマとして、「音楽の聴こえてくる」映画が集められています。

■日時:10月15日(日)、20日(金)・21日(土)・22日(日)
■場所:碧水ホール・あいこうか市民ホール・アレックスシネマ・陶芸の森信楽ホール

問合せ先:甲賀シネマパーティー
(甲賀映画祭実行委員会)事務局
電話:0748-63-2006

詳細は、公式サイト http://cinepa.jp/をご覧下さい。


シネマトーク『クジラの島の少女』

10月20日(金)、横浜市青葉区のアートフォーラムあざみ野で、 『クジラの島の少女』の上映と 映画評論家の松本侑壬子さんによるトークがあります。

 ○タイトル あざみ野金曜サロンvol.2
 シネマトーク「クジラの島の少女」
 ○日 時  2006年10月20日(金)
       18:00開場/18:30上映
 ○トーク  松本侑壬子
      (映画評論家、著書『シネマ女性学』『女性映画がおもしろい』他)
 ○会 場  アートフォーラムあざみ野(レクチャールーム) 
  住所:横浜市青葉区あざみ野南1-17-3
 ○入場料  1,000円(自由席)
 ○申 込  電話:045−910−5723
 ○保 育  あり(1歳半〜未就学児、有料、予約制)

*問合せ 男女共同参画センター横浜北 アートフォーラムあざみ野
      TEL:045-910-5700 FAX:045-910-5755 事業課
       http://www.women.city.yokohama.jp/seminor/guest2.php?c_id=317

関連記事:『クジラの島の少女』記者会見


「メキシコ・ドキュメンタリー映画祭」

主催:メキシコ・ドキュメンタリー映画祭実行委員会
後援:在日メキシコ大使館/メキシコ外務省
助成:国際交流基金
協力:メキシコ映画公社(IMCINE)国家文化芸術庁(CONACULTA)メキシコ映画研修センター(CCC)モレリア国際映画祭実行委員会
協賛:株式会社メキシコ観光グローバルキャプションセンター

2006年10/14(土)〜20(金)渋谷ユーロスペース
2006年10/21(土)〜26(木)神戸アートビレッジセンター

★スケジュールなど詳細はHPで:

http://www.action-inc.co.jp/mexico/


映画祭「溝口健二の映画」

9月9日(土)〜10月20日(金) 恵比寿ガーデンシネマほか全国順次公開!
スケジュールの詳細は公式HPの発表をお待ちください。
http://www.kadokawa-herald.co.jp/mizoken/index.html

黒澤明、小津安二郎とならび、日本が生んだ最も偉大な映画監督、溝口健二(1898〜1956)。
33年間の監督人生で、約90本の傑作・名作を残した溝口は、 1951年の『西鶴一代女』から『雨月物語』(52)、『山椒大夫』(53) とヴェネチア映画祭で三年連続の国際賞受賞という空前絶後の偉業を達成、 世界のミゾグチとしてその名を轟かせる。 その後の多くの世界の映像作家たちに影響を与えるとともに、日本映画の黄金期を創出した。

没後50年目の命日となる今年の8月24日には、溝口健二に影響を受けた国内外の映画監督、 生き証人となる女優たちが一堂に会す国際シンポジムを開催。 これを皮切りに約15年ぶりとなる特集上映「溝口健二の映画」が一年かけて全国を巡回する。 「溝口健二入門編」となる代表作19作品をラインナップ。 巨匠・溝口健二が遺した、「世界でもっとも美しい映画」を連続上映する。 特に、宮川一夫キャメラマンと組み世界で絶賛された後期8作品を、 全てニュープリント化して上映する。また、邦画各社の垣根を越え、現存する約30本の中で、 映画館での鑑賞に耐えうるものを揃えた。


◆没後50年 溝口健二 国際シンポジウム
・2006年8月24日(木)12:00〜20:30 (11:30開場)
・有楽町朝日ホール 千代田区有楽町2-5-1マリオン11階
・セッション1〜4 多彩なパネリスト登場
 特別上映
 ●『朝日は輝く』(1929年/25分)
 ●『東京行進曲』(1929年/29分)
 入場料(1日通し券)
 前売券:一般2,300円、学生・60歳以上2,100円/当日券:一般2,500円、学生・60歳以上2,300円
 ※前売券、当日券ともに整理番号付き ※通訳付き


特集上映「監督 鈴木英夫」
クールでモダン!鈴木英夫ワールドへようこそ

劇場:シネマアートン下北沢   期間:9月9日(土)〜10月6日(金)

9月9日(土)〜9月15日(金)
15:00  「魔子恐るべし」1954  根岸明美 森繁久彌
17:00  「大番頭小番頭」1955  池部良 雪村いづみ
19:00  「サラリーマン目白三平
 亭主のためいきの巻」1960 
笠智衆
9月16日(土)〜9月22日(金)
15:00  「危険な英雄」1957  石原慎太郎 司葉子
17:00  「脱獄囚」1957  池部良 草笛光子
19:00  「燈台」1959  久保明 津島恵子
9月23日(土)〜9月29日(金)
15:00  「花の慕情」1958  司葉子 宝田明
17:00  「非情都市」1960  三橋達也 司葉子
19:00  「その場所に女ありて」1962  司葉子 宝田明
9月30日(土)〜10月6日(金)
15:00  「黒い画集 第二話 寒流」1961  池部良 新珠三千代
17:00  「悪の階段」1965  山崎努 団令子
19:00  「彼奴を逃すな」1956  木村功 津島恵子


*当日券:一般・学生 1,200円/シニア 1,000円/2回券:2,000円/3回券 3,000円/会員:900円

*問い合わせ先  シネマアートン下北沢
  住所  世田谷区北沢1−45−15 スズナリ横丁2F
  TEL 03-5452-1400
  http://www.cinekita.co.jp/

「和製フィルムノアールの名手」ということですが、 個人的には「目白三平」あたりが面白そうな予感が……。 なお、鈴木英夫監督インタビューなどが 「映画の國」「日本映画の玉(ギョク)」で読めます。



「中国映画の全貌2006」

1990年4月の第一回開催から今回で7回目となる「中国映画の全貌」。今回は2本の新作『ニーハオ [登卩]小平』と『ようこそ、羊さま』を加え全35本の上映となります。 会場となってきた三百人劇場は再開発のため今年の末で閉鎖され、映画企画としてはこれが最後となります。皆さん、是非足をお運びください。

期間:2006年8月19日(土)から9月10日(日)
会場:三百人劇場

三百人劇場公式 HP >> http://www.bekkoame.ne.jp/‾darts/



「アニメはアニメである:夏休みは親子でアニメ映画を!」

知る人ぞ知るアニメの古典『桃太郎 海の神兵』はじめ、古今東西の30数本の作品が上映されます。

とき:8月12日(土)〜9月1日(金)
ところ:シネマヴェーラ渋谷 渋谷区円山町1−5、Q−AXビル4F
    03−3461−7703
http://www.cinemavera.com/schedule.html

		  料金: 
		  ★昼の部 2本立て
		    シニア・会員:1000円
		    大学・高校生:800円
		    中学生以下:500円
		  ★モーニングショー、レイトショー 
		    昼の部料金よりそれぞれ100円引き
		  
		  ■昼の部 上映作品 ( )内は公開年
		  『くもとちゅうりっぷ』1943年
		  『桃太郎 海の神兵』1945年
		  『わんわん忠臣蔵』1963年
		  『長靴をはいた猫』1969年
		  『岡本忠成(1)『小さな五つのお話』『南無一病息災』1974年
		  『岡本忠成(2)『おこんじょうるり』『モチモチの木 』1982年
		  『川本喜八郎(1)『鬼』『いばら姫またはねむり姫』『セルフポートレート』1972年
		  『川本喜八郎(2)『道成寺』『火宅』『セルフポートレート』1976年
		  『パンダ・コパンダ』『パンダ・コパンダ 雨降りサーカスの巻』1972年
		  『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』1984年
		  『クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡』1997年
		  『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』2001年
		  『キリクと魔女』1998年
		  『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』2000年
		  『デジモンアドベンチャー 02 デジモンハリケーン上陸!! / 超絶進化!!黄金のデジメンタル』2000年
		  『チキンラン』2000年
		  『アリーテ姫』2000年
		  『ニュー ハル&ボンス』2006年
		  『鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』 2005年
		  『ミトン』『レター』『ママ』1967年
		  『ペンギン・スーの宝物』『最後の一葉』『小舟のチージック』1968年
		  
		  ■モーニングショー
		  『パペットアニメ ムーミン』1979年
		  『ムーミン谷の彗星』1992年
		  ■レイトショー
		  『The World of GOLDEN EGGS』2005年
		


『家族プロジェクト 父の家』

日時:7月10日(月)10:00〜11:05
会場:北沢タウンホール11F研修室4(下北沢駅より徒歩5分)
韓国のドキュメンタリー映画上映
 作品「家族プロジェクト 父の家」
 監督、脚本、撮影、編集、録音、ナレーター、製作:チョ・ユンギョン
 韓国/2002/韓国語/カラー/ビデオ/52分
参加費無料(当日直接会場へ)



『ダメジン』

監督・脚本:三木聡
企画:三木聡/緋田康人/温水洋一
撮影:小林元(J.S.C)
音楽:坂口修 主題歌:しんどうこうすけ
美術:茂木豊
出演:佐藤隆太(リョウスケ)、緋田康人(ヒラジ)、温水洋一(カホル)、市川実日子(チエミ)、篠井英介(ササキ)、ふせえり(カズエ)、笹野高史(猫じじい)、岩松了(沼さん)、山崎一(村下)、片桐はいり(タイアン)、 麿赤兒、謙吾、村松利史、迫英雄、加藤歩(ザブングル)、菅原洋一、岡田真澄、嶋田久作、伊東美咲、吉岡秀隆

ある暑い夏の川崎。 リョウスケ、ヒラジ、カホルは働きもせず一年中夏休み気分のお気楽3人組。 何が食べられるかを日々真剣に探求中。 近所の猫じじいに「インドに行けば働かなくてもなんとかなるぞ」と言われるが、先立つものがない。 3人の幼馴染のチエミは親友をトルエン中毒で亡くしたのに、自分はいまだにやめられずにいる。
失踪していた恋人のササキが戻ってチエミの生活が少しだけ変わる。 3人組、カズエと一緒に鍾乳洞へドライブすることになったが、チエミとササキが喧嘩したため、5人はササキに置き去りにされてしまった。 カズエはちゃっかり電車で帰り、リョウスケはチエミをバイクに頼んで送ってもらう。 野宿したリョウスケ、ヒラジ、カホルの3人は謎の宇宙人「ゴールデン・チャイルド」に「インドに行って、人類を救いなさい」と教示を受ける。

三木聡監督は、人気TV番組の構成作家として、また2000年までシティ・ボーイズの作・演出家として活躍。 先に『イン・ザ・プール』、『亀は意外と早く泳ぐ』が公開されていますが、実はこの作品が第1作で2002年の真夏に撮影されたものだそうです。 小ネタ満載で細かく笑わせるのは、長くお笑いを手がけてきたからでしょう。 前2作で「脱力系」と称されましたが、第1作のこの作品で、すでにゆるーい脱力ボールを投げていたのでした。 おやおやというような豪華メンバーが出演しています。 サラリーマン生活がいやでたまらない人、気をしっかり持って観ないとあなたも「ダメジン(駄目人)」の仲間入り。 ま、それもいいか。 笑いの中にも真実あり、川に浸かったまんまのインバさん(村松利史)が、「人は誰かのために働くんですよ。私はもうなくなったからねぇ」と言うのに私も思わず頷いたのでした。(白)

2006/日本/カラー/98分/35mm/ドルビー/ビスタサイズ
宣伝・配給:アンプラグド
http://www.damejin.com/
07/01(土)よりテアトル新宿にてロードショー


『クール・ディメンション』

監督:石井良和
撮影:佐久間公一、ふじもと光明
音楽:瀬戸郁寛
アクション監督:谷垣健治
キャスト:三津谷葉子、大谷允保、重泉充香、二階堂智、川地民夫、遠藤健一ほか

幼い頃よりアサシン(女暗殺者)として育てられた美女たち。 キャットスーツに身を包み、指令に従って殺した者は数知れず。 大物政治家からの依頼で標的の資料を見るうちに、自分の生い立ちが重なり 「もう殺したくない」と感じ始める。

石井良和監督は本作がデビュー。 『亡国のイージス』、『交渉人 真下正義』、『日本沈没』など特撮の助監督としてキャリアを積んできた。 ヒロインはグラビアアイドルの三津谷葉子。 『東京大学物語』主演に大抜擢されたのが記憶に新しい。 大谷允保、重泉美香とともにアクションに初挑戦。 ストーリーが暗いので、輝くような笑顔が見られずファンはちょっと淋しいかも。 題名どおり「クール」な「ディメンション(局面)」をご覧ください。(白)



2006/日本/72分/DV

★7月1日(土)〜14日(金)テアトル池袋 レイトショー21:10より上映
初日舞台挨拶決定!
http://www.cool-d.net/


『ジョルジュ・バタイユ ママン』

監督:クリストフ・オノレ
脚本:クリストフ・オノレ
原作:ジョルジュ・バタイユ「わが母」(二見書房刊「聖なる神」三部作)
撮影:エレーヌ・ルバール キャスト:イザベル・ユペール、ルイ・ガレル、エマ・ドゥ・コーヌ

20世紀を代表する思想家、ジョルジュ・バタイユが遺した美しくも残酷な衝撃作

17歳のピエールは父との暮らしにあきあきしていた。 最愛の母親と暮らすため、スペイン・カナリア諸島を訪れる。 今までとは違う暮らしを期待するピエールだったが、ママンは「私はふしだらな女よ。パパは知っている」という。 そして仮面の下の本性を徐々に露わにしはじめる。 不道徳で魅惑的なママン。 残酷で暴力的な愛の姿とはー。

ピエールは母親の手でなく祖母に育てられたようです。 母は美しく憧れの女性であり、姿が見えないと「ママン、ママン」と呼び歩く17歳。 夜遊びする母親に翻弄され、彼女の友人たちに新しい世界へひきずりこまれていきます。 刹那的に生きる母親を『ピアニスト』のイザベル・ユペール、笑っていても痛々しく悲しい感じがつきまといます。 ルイ・ガレルはゴダールの再来と言われているフィリップ・ガレル監督の息子。 『ドリーマーズ』でエヴァ・グリーンと双子の役でした。2005年のベネチア映画祭で銀獅子賞を受賞した『Everyday Lovers(仮)』(フィリップ・ガレル監督)にも主演。 黒髪で濃い眉と目が金城武に似ています。(白)

「生きる意味を身体で感じたい。感情を抑えて過ごすうち、自分の欲望にさえ鈍くなってしまうなら。ふしだらであってもいい、剥き出しのままで。それが、真の輝きだと思うから・・・」(プレスより) 自分のふしだらさを肯定して、この言葉を体現する母。キリスト教の信仰を持って生きてきた息子は、根幹を揺さぶられて混乱し、背徳の世界へと引きずり込まれていきます。彼の目に映るカナリア諸島の盛り場は、まるでソドムとゴモラのよう。欲望のままに生きてきた母やその友人たちですが、そこには幸福という概念はないかのよう。満ち足りた笑顔とは対極にあるような、どこか引きつった表情。それはバタイユ自身の思想とは相反するように私には思えたので、原作と比較してみたくなりました。ルイ・ガレルが金城武に似ているかは、ファンとしては微妙・・・(梅)

カナリア諸島の抜けるように青い海と白い沙漠が、倒錯した愛の痛さをさらに際立たせて、胸に突き刺さるようでした。ママンが遠くを見るような懐かしい面持ちで、「イスタンブルに3年居た時が一番幸せだったわ。トルコの人たちは噂されているような人たちじゃなくて、とてもいい人たちよ」と語ったのが、なんだか唐突だったのですが、イスラーム贔屓の私には、嬉しい一言でした。これに続く一言がきつかったのですが、ここで披露するのはやめた方がよさそう!(咲)

2004/フランス/カラー/110分/配給: アット エンタテインメント
http://www.at-e.co.jp/maman/
★7月1日(土)より、テアトルタイムズスクエア&テアトル銀座にてレイトロードショー


『ハーダー・ゼイ・カム』

監督・脚本・製作:ペリー・ヘンゼル
出演:ジミー・クリフ、ジャネット・バークレイ、ザ・メイタルズ、プリンス・バスター、アルトン・エリス他

★★★★★レゲエを世界に広めた伝説の音楽映画!★★★★★

ボブ・マーリィと『ハーダー・ゼイ・カム』により、世界はレゲエを知った——。
‘60年代の終わりにカリブの島国ジャマイカで発祥した強烈なビート、レゲエ。 いまや全世界の音楽シーンに定着したレゲエを世界に広める決定的な火付け役となったのが、ジミー・クリフ主演の『ハーダー・ゼイ・カム』である。 ジャマイカ初の長篇劇映画『ハーダー・ゼイ・カム』は、本国はもちろんアメリカでも大反響を巻き起こし、カリスマ的人気を獲得。 ジミーと並ぶ初期レゲエの人気バンド、メイタルズも参加したサントラ盤は世界的に大ヒットし、同年にリリースされたボブ・マーリィ&ウェイラーズのアルバム『キャッチ・ア・ファイアー』とともにレゲエ・ムーヴメントを巻き起こした。 『ハーダー・ゼイ・カム』は、ジャマイカの強烈な陽射しと、ゲットーの熱気と、シャンティ・タウン(スラム街)で生まれた反逆の音楽レゲエ誕生のルーツを映し出した音楽映画の金字塔である。(資料より)



(C)1999 - International Films Ltd., All Rights Reserved

亡くなった祖母の家を売った金をにぎりしめ、スター歌手になることを夢見て首 都キングストンに出てきた青年アイヴァン。 あっというまに金を騙し取られ、一文無しになったアイヴァンは、自作の曲「ハーダー・ゼイ・カム」をたった20ドルで悪徳中国系プロデューサーに権利を売り渡してレコーディングする。 その後アイヴァンは人殺しをして追われる身となるが、それが逆に曲の人気に火をつける・・・。

15周年を迎える横浜レゲエ祭(2006年8月5日)が、2万人を動員するほど、 日本にも定着したレゲエ。 そのルーツは、軟弱な日本社会とは正反対の逆境の地。 ドキュメンタリーとも思える映像からは、アフリカから奴隷として連れて来られた人々の子孫の貧困に喘ぐ生き様がリアルに伝わってくる。 1970年代、日本初公開時にこの映画を観た私の妹は、あまりに凄まじいジャマイカのスラムの姿に驚いたという。 黒人音楽の反骨の思いを感じたとも言う。 ボブ・マーリィのどこか懐かしい歌や、教会でゴスペルに興じる人たちなど、音楽映画としても、社会派映画としても興味深い1作。 主演を務め、いまやレゲエ界の大御所ジミー・クリフは、来る8月久しぶりに来日する。(咲)


1972年/ジャマイカ/103分/ビスタサイズ/
宣伝:グアパ・グアポ
http://www.cinefil.co.jp/hardertheycome/

(C)1999 - International Films Ltd., All Rights Reserved
DVD発売に先がけ、6月24日(土)よりUPLINK X にてレイトロードショー


『ふたつの恋と砂時計』 原題:あしながおじさん/Daddy-Long-Legs

監督:コン・ジョンシク
原作:ジーン・ウェブスター
出演:ハ・ジウォン(『恋する神父』『愛しのサガジ』『デュエリスト』「バリでの出来事」「チェオクの剣」)、ヨン・ジョンフン(「悲しき恋歌」)、パク・ウネ(「宮廷女官チャングムの誓い」)、ヒョンビン(『まわし蹴り』「私の名前はキム・サムスン」)

幼い時に両親を亡くしたヨンミ(ハ・ジウォン)。 名前を名乗らず、学費やプレゼントを届けてくれる謎の紳士“あしながおじさん”に支えられ、ヨンミは大学を卒業し、ラジオ局で放送作家として働くようになる。 彼女は、いつの日かあしながおじさんに会えることを夢みて、彼宛の手紙を書き続けている。 ラジオ局が提供してくれた素敵な一軒家で暮らし始めたヨンミは、エレベーターで恥ずかしい出会いをしてしまった資料室勤務のジュンホ(ヨン・ジョンフン)が、近所に住んでいることを知る。 淡い恋心を抱く二人・・・。
一方、ヨンミは、社宅のパソコンに届いたEメールで、ヨンウ(パク・ウネ)という内気な少女が、初恋の相手ヒョンジュン(ヒョンビン)に、長年声もかけることもなく、密かに思い続けていることを知る。 ヨンウの想いを伝えたいと、ラジオで恋物語を放送する。 ヨンミとジュンホ、ヨンウとヒョンジュン、ふたつの恋の行方は?  そして、ヨンミは、あしながおじさんに会えるのか・・・?

少女の頃に、ワクワクしながら読んだ「あしながおじさん」が、とてもピュアなふたつの恋の物語に味付けされました。 TVドラマ「悲しき恋歌」で、兵役の為降板したソン・スンホンに代わり抜擢されて大ブレークしたヨン・ジョンフンが、爽やかな笑顔で和ませてくれます。 これまできついイメージだったハ・ジウォンも、恋する乙女の優しい雰囲気。 また、「宮廷女官チャングムの誓い」で、王様の側室となるチャングムの親友ヨンセンを演じたパク・ウネも、可憐な姿を見せてくれます。 そして、注目のヒョンビンも見逃せません。 また、ヨンミの同僚のコミカルな女性と小太りなプロデューサーの恋の物語には、どんな人にも恋は訪れるもの・・・と、ほっとさせられます。 韓流ドラマファン必見の一作!(咲)

2005年/韓国/98分/カラー/ビスタ/ドルビーSRD
後援:韓国観光公社
提供:ポニーキャニオン/エスピーオー
配給:エスピーオー

★6月24日(土) 《幸せが見つかる》ロードショー
 シネマート六本木、シネ・リーブル池袋他

公式HP>> http://www.cinemart.co.jp/sunadokei/


『アフロサッカー』

監督:ソムチン・スィースパープ
脚本:ソムポップ・ウェーチャピパット
撮影:タマヌーンアー・タロプラユーン
キャスト:ポンパット・ワチラバンジョン(パオトゥー)、サムリット・マイケルセーン(マムアン)、カーン・ジャンノーイ(マイパイ)、アングーン・サムジャイミット(ラン)、コムサン・スィーターントー(ガスー)、アタポン・トーンコーン(ルークヤーン)ほか

パオトゥーはかつては多くの試合で審判を務めてきたが、サッカー賭博で身を持ち崩しいまや借金とりに追われる日々。逃げ回ってやってきた村で、サッカーに興じるアフロヘアの少年達を見る。素晴らしい運動能力を持つ彼らはさらに山奥に住む先住民のサガイ族で、村の人々は原因不明の疫病に苦しんでいた。パオトゥーは村の長に掛け合い、監督兼マネージャーとなり「サガイ・ユナイテッド」を結成、優勝を目指す。チームが勝てばパオトゥーにも大金が転がり込むのだ。

個性豊かで純朴な選手達は、初めて都会に出て様々な誘惑にさらされていきます。パオトゥーも懲りずに八百長を仕掛けようとしたり、試合以外にも見せ場を作っています。長髪のため最初気づきませんでしたが、このパオトゥー役のポンパット・ワチラバンジョンは『風の前奏曲』や『バトル7』にも出ていましたね。タイ映画らしくゆるーいのですが、アフロヘア+はだしで駆け回るサッカー選手たちを応援したくなる映画でした。(白)

2005/タイ/カラー/ビスタサイズ/ドルビーデジタル/103分
配給:アートポート
宣伝:フレスコ・エンタテインメント

公式 HP >> http://www.afro-soccer.jp/

★6月24日(土)より銀座シネパトスにてキックオフ!


『恋するブラジャー大作戦(仮)』(原題:絶世好Bra)

監督:パトリック・レオン/チャン・ヒンカイ
脚本:チャン・ヒンカイ/エイミー・チン
撮影:アンソニー・プン『ディバージェンス‐運命の交差点‐』
音楽:アンソニー・チュウ『わすれな草』
キャスト:ラウ・チンワン(ジョニー)、ルイス・クー(ウェイン)、サマンサ(カリーナ・ラウ)、レナ(ジジ・リョン)、青山知可子(ナナコ)、リー・サンサン(キャンディ)ほか

シスは日本の人気下着メーカー。 社長のナナコは女性のスタッフのみで行ってきた事業を、 「究極のブラジャー」完成のため男性にも門戸を開くことにする。 香港支社長のサマンサはこの方針に納得がいかなかったが、 3ヶ月の期限内に新製品を作るため面接を開始する。 入社してきたのは男性下着のデザイナーだったジョニー、 車のデザイナーだったウェインの2人。 チーフデザイナーのレナは、プレイボーイ&自信家の男たちに反発するが、 ほかの女性社員たちはめろめろ。 新製品は完成するのか??

日本でのロケも交えて繰り広げられる大人の恋愛エンタテインメント。 カリーナ・ラウの貫禄と色っぽさにはチンワンならずともくらっときそう。 少女漫画みたいなジジ・リョンの「はんっ」も可愛いです。 何より芸達者なラウ・チンワンと、ハンサムなルイス・クーの男2人が笑わせてくれます。 市場調査として彼らが巡る女人街はじめ、香港の街のようすも楽しいし、 素で笑っている(だろう)場面がおかしくってたまりません。 エンドロールでの会話に字幕がつきますように。(白)

2001/香港/カラー/広東語/本編111分/35mm/シネマスコープ/ドルビーデジタル
配給:ファイヤーカラッカー/真空間
協力:タキ・コーポレーション
宣伝:ステップ・バイ・ステップ

★6月24日よりキネカ大森にて公開

公式 HP >> http://www.koibra.com/

特別記事「ルイス・クー(古天樂)出演作続々登場!!」もご覧下さい。


『バルトの楽園』

監督:出目昌伸
脚本:吉田求
出演:松平健・ブルーノ・ガンツ・阿部寛・高島礼子・中山忍ほか

1914年、第一次世界大戦で日本軍は、ドイツの極東根拠地・中国の青島を攻略した。ドイツ兵4700人は捕虜として送還され、日本各地にある収容所に収められる。
厳しい待遇が当然な収容所の中で、奇跡の様な収容所が徳島にあった。板東俘虜収容所の所長を務める会津人の松江豊寿は、陸軍の上層部の意志に背いてまでも、捕虜達の人権を遵守し、寛容な待遇をさせた。捕虜達は、パンを焼くことも、新聞を発刊すること、楽器を演奏すること、ビールを飲むことも許された。また、言語・習慣・ 文化の異なる地域住民の暖かさに触れ、収容所生活の中で、生きる喜びをみいだして行く。 しかしドイツ帝国の敗戦で、自由を宣告された捕虜達は、松江豊寿や所員、 そして地域住民に感謝を込めて、ベートーベンの『交響曲第九番 歓喜の歌』を演奏した。日本で年末に演奏されるのが恒例となっている『第九』が、日本で初めて演奏されたのが、この収容所であったのである。

公式 HP >> http://www.bart-movie.jp/index.html



『ゲット・リッチ・オア・ダイ・トライン』GET RICH OR DIE TRYIN'

監督:ジム・シェリダン
脚本:テレンス・ウィンター
撮影:デクラン・クイン
音楽:クインシー・ジョーンズ/キャビン・フライデー/モーリス・シーザー
キャスト:カーティス“50セント”ジャクソン(マーカス)、テレンス・ハワード(バマ)、ジョイ・ブライアント(シャーリーン)、ビル・デューク(リーバー)、アドヴェール・アキノエ=アグバエ(マジェスティック)、マイク・ジョン・ジェフリーズ(少年時代のマーカス)ほか

ニューヨーク、クイーンズに住むマーカスの父親は誰なのかわからない。 母親はドラッグを売って二人の暮らしを支えていた。 マーカスは新しいスニーカーを楽しみにし、ラップの歌詞をノートに書きとめるのが日課だった。 ある日母は売人同士のトラブルが元で殺されてしまう。 祖母に預けられたマーカスは、一人で生きるために母の「稼業」を継いだ。 彼は母の知り合いだったマジェスティックに重用され、売人のチームの采配に腕をふるう。 現金でベンツが買えるほどになったとき、偶然幼馴染のシャーリーンに再会した。 昔マーカスはシャーリーンにラップを歌って聞かせていたのだ。 コロンビア人との小競り合いで親友のアントワンが重傷を負い、血気にはやったマーカスたちは報復に走る。

ヒップホップ界のカリスマ、カーティス“50セント”ジャクソン(1975〜)の半自伝的作品。 社会派の巨匠ジム・シェリダンに語った話が元になった。 この壮絶なドラマの主人公、分身ともいうべきマーカスを“50セント”本人が演じ、サントラの曲も撮影中に作っている。 ギャングとの抗争で9発の銃弾を撃ち込まれ、彼の頬や身体には、今もその傷痕が見える。 彼のラップにはクスリだの銃だのという言葉が煩雑に出てくるが、それは言葉の飾りでなく本当にその中で生きてきたのだ。 愛する人と守るものができて良かった。(白)

2005/アメリカ/カラー/シネマスコープ/DTS・SRD/1時間56分

http://www.getrich-movie.jp/  (すぐ音楽が流れます)

6月17日(土)よりシネマライズにて公開


『ジャスミンの花開く』(原題:茉莉花開)

監督:侯咏(ホウ・ヨン)
脚本:ホウ・ヨン、ツァン・シャン
撮影:ヤオ・シャオファン
美術:ミン・ツォンスー
音楽:スー・ツォン、イン・チン
キャスト:章子怡(チャン・ツィイー)、陳冲(ジョアン・チェン)、姜文(チアン・ウェン)、陸毅(ルー・イー)、劉[火華](リィウ・イェ)ほか

激動の上海を背景に、女優の夢を追う可憐な茉(モー)、不妊症のため精神に異常をきたしていく莉(リー)、夫と決別して精神的な自立を目指す花(ホア)、それぞれの運命を引き受けて生き抜く強さを身につけた三人の娘をチャン・ツィイーが熱演。 2004年金鶏奨最優秀女優賞を獲得した。また、作品は2004年上海国際映画祭審査員大賞を受賞。茉、莉の母役、花の祖母役をジョアン・チェンが貫禄で演じて作品を支えている。

母と娘の住む写真館が時代によって姿を変えていく様が、窓辺の洗濯物や壁を這う植物によっても表現されています。「子は親の言うことを聞かず、親がしたようにする」という言葉を思い出す作品でした。(白)

2004/中国/カラー/ビスタサイズ/ドルビーSD/129分/字幕:水野衛子
配給:日本スカイウェイ
宣伝:アステア

公式 HP >> http://www.jasminewomen.jp/

★6月17日、シネスイッチ銀座、シネ・リーブル池袋ほかにて切なく花開くロードショー


『タイヨウのうた』

監督:小泉徳宏
脚本・原作:坂東賢治「タイヨウのうた」ソニー・マガジンズ
撮影:中山光一
音楽:椎名KAY太 主題歌:YUI「Good bye days」
キャスト:YUI(雨音薫)、塚本高史(孝治)、麻木久仁子(母)、岸谷吾朗(父)、通山愛里(美咲)ほか

海辺の高台に暮らしている薫は16歳。 いつも部屋の窓から一人の高校生を見つめていた。 毎朝サーフボードを抱え、海へ走っていく孝治は18歳。 薫はXP(Xeroderma Pigmentosum色素性乾皮症)という病気のため、日光に当たることができず、ずっと学校には行けずにいた。 明け方に眠りにつき、日が沈むと起き出す逆転した生活の薫は、孝治と外で出会うはずもなかったのだが・・・。

XPという病気は、なぜか日本での発症が多いのだそうです。 紫外線により皮膚障害を起こし、皮膚ガンも高率で発生します。 この映画では実際とは違うところもありますが、XPへの関心を持ち、この病気を抱えた本人や家族を暖かく見守ってほしいという願いがこめられています。
薫を演じるYUIは福岡出身のシンガーソングライターで、映画初主演ながらギターを抱えて歌う姿はそのまま薫と重なります。 劇中の歌はYUI自身が作曲したもので、その透明感のある歌声は映画が終わった後も長く心に残りました。 孝治役の塚本高史もちょっととぼけたキャラで、薫を一心に支えようとする高校生を好演。 若い人のデート映画にぴったり。 かつての少年少女たちも、青春を思い出して甘酸っぱい気持ちになると同時に、命の大切さをあらためて感じることでしょう。(白)

2005/日本/カラー/
制作:ROBOT 宣伝:KICCORIT/P2
配給:松竹

http://www.taiyonouta.jp/

6月17日(土)より全国ロードショー


『君に捧げる初恋』

監督・脚本:オ・ジョンノク
主演:チャ・テヒョン『猟奇的な彼女』、ソン・イェジン 『四月の雪』、ユ・ドングン『大変な結婚』
2003年、原題:初恋死守決起大会

テイル(チャ・テヒョン)とイルメ(ソン・イェジン)は共にテイルのお母さんのお乳で育った。小さいときからイルメが大好きなテイルは大人になったらお嫁にやる、というイルメの父ヨンダル(ユ・ドングン)の言葉を信じて育った。イルメに告白するテイルにヨンダルから「劣等生に娘はやれない!」と厳しい条件が出された。テイルは毎日鼻血を出しながら勉強し、全国3000位内の成績をとって、ソウル大学に合格。イルメもだんだんその気になるが、次は難関の司法試験合格という条件。テイルの初恋は叶うのか?

主演の二人はラブコメの定石通り。それよりお父さん役のユ・ドングンが活躍。『大変な結婚』でもキム・ジョンウンの兄役で笑わせた人。早くに妻を亡くし、男手ひとつで育てたヨンダルはイルメを手放したくないのだ。テイルとイルメの初恋話より、テイルとヨンダルの対決が中心のストーリー。(白)

初めはテイルの暴走ぶりに「おいおい・・・」と笑って観ていたら、後半はうって変わって涙ナミダの展開にびっくり。これぞ韓国エンタテインメント映画の王道か?!(梅)

公式 HP >> http://www.cinemart.co.jp/hatsukoi/

★2006年6月10日よりシネマート六本木、シネ・リーブル池袋ほかにてロードショー!


『TWO LOVE〜二つの愛の物語〜』

脚本・監督:橋本直樹
主題歌:浜田省吾「I am a father」「君と歩いた道」「Thank you」
『キャッチボール』出演:時任三郎、康汰、島綾佑、水橋研二、吹越満
『君と歩いた道』出演:柳生みゆ、森田直幸、渡辺奈緒子、森岡龍

『キャッチボール』
6月のある日曜、康汰と綾佑の兄弟は2人だけで単身赴任中の父の元へ東京から会いに行く。何も知らない父は、仕事のトラブルが発生し、休日返上で奔走していた。


『君と歩いた道』
大吾は夏休みの宿題である作文「将来の夢」を書けずにいた。夏休み明け、クラスに美少女・真琴が転校してきて、大吾は一目で心奪われてしまう。しかし彼女は誰ともうち解けようとはせず、孤独の中にいた。そして大吾は彼女も作文が書けないでいることを知る。

2005年にデビュー30周年を迎えた浜田省吾の楽曲「I am a father」「Thank you」を元にショートストーリーを制作しようと当初企画されたものが、良い脚本と監督、役者に恵まれて、素敵な短編映画へと昇華しました。 そしてこれまで全国各地のイベントホールにて期間限定で上映されてきましたが、この夏とうとう劇場にてロードショーされることになりました。(梅)

公式 HP >> http://www.twolove-movie.com/

★6月10日より、シアターN渋谷にてレイトショー


『ココシリ』(原題:可可西里)

監督・脚本:陸川(ルー・チューアン)
撮影監督:カオ・ルー
美術:ルー・ドン&ハン・チュンリン
キャスト:デュオ・ブジェ(リータイ)、チャン・レイ(ガイ)、キィ・リャン(リウ)、チャン・シュエジン(ロンシエ)ほか

1996年。「ココシリ」とはチベット語で「青い山々」、モンゴル語で「美しい娘」 を意味する。海抜4700mの広大な無人地帯、チベットのココシリ高原を舞台に、チ ベットカモシカの密猟者とそれを追う民間マウンテン・パトロール隊の壮絶な物語。 警備にあたっていた隊員の一人が殺害され、その取材に北京から記者のガイがやって くる。隊長のリータイは彼を伴って、密猟者を追跡する旅に出る。一行が旅立つ日、 別れを惜しむ家族の涙に驚くガイだったが、すぐに厳しい自然との過酷な戦いを身を もって知ることになる。

チベットカモシカの毛は高級カシミアとなり、できあがったショールはリングの中を 通るほど薄い。高値で取引されるため、密猟者が後を絶たず、その数は激減してい た。何百頭という単位で殺し、皮をはがして死体をうち捨てる密猟者たち。捉えてみ れば、皮はぎのために雇われた貧しい農民たちだった。大元にたどり着く前に、ガソ リンや食料が底をつき、一人また一人と隊員が減っていく。祖先が残した美しい自然 を次の世代に渡すため、命がけでココシリを守る誇り高いチベット族の生き方を描い た力作。ぜひ大きな画面でご覧ください。(白)

第17回東京国際映画祭・審査員特別賞

2004/中国/カラー/95分/配給:ソニー・ピクチャーズエンターテインメント

公式 HP >> http://www.sonypictures.jp/movies/mountainpatrol/site/top.html

★6月3日(土)より、日比谷シャンテシネほか全国順次ロードショー
シネマジャーナル67号に関連記事が掲載されています。


『トランスポーター2』

監督:ルイ・レテリエ
製作:リュック・ベッソン・スティーヴン・チャスマン
脚本:リュック・ベッソン
撮影:ミッチェル・アムンセン
音楽:アレクサンドル・アザリア
武術指導:コーリー・ユン
キャスト:ジェイスン・スティサム(フランク・マーティン)、アンバー・ヴァレッタ(ジャック母)、マシュー・モディーン(ジャック父)、ジャック(ハンター・クラリー)、アレッサンドロ・ガスマン(ジャンニ)、ケイト・ノタ(ローラ)ほか

元特殊部隊員のフランク・マーティンはプロの運び屋(トランスポーター)だ。 そのルールは1,契約厳守 2,名前は聞かない 3,依頼品は開けない 
しかし今は死や危険と隣り合わせの仕事から足を洗い、 マイアミで裕福な家の一人息子ジャックの送り迎えをしている。 6歳のジャックと過ごすのはフランクにとっても楽しくかけがえのないものとなっていた。
ところがある日、ジャックを送って行った病院で、医師たちが二人を狙って銃を乱射してきた。 フランクは怯えるジャックに「必ず守る」と約束する。

2003年に公開された『トランスポーター』ではスー・チーがその「依頼品」でしたが、 今回は小学生の男の子の送迎が仕事。 突如事件が起きてからは、息もつかせぬ怒涛の展開となります。 コーリー・ユンの指導の元、身体能力を限度いっぱいに使ってのアクションや、 お約束のカーチェイスの迫力たるや目を見張ります。 自分が車に乗っているかのようで、力入って肩がこってしまいました。 ツィッギー(ふるっ!)を思い出させるスタイルとメイクのケイト・ノタは、 モデル出身でシンガーソングライターでもあり、挿入歌も歌っています。(白)

な〜んにも考えずに思いっきり楽しめるアクション映画です。あり得ないカー・アクションに手をたたいて喜んじゃいました。生身のアクションはさすが元奎指導だけあって、バリバリ香港テイストです。これは3も作る気、満々ですね。『007』みたいに続くかも。(梅)

2005/フランス/カラー/1時間28分/スコープサイズ/ドルビーデジタル
http://tp2.jp/
配給:アスミック・エース

2006年6月3日(土)より 渋谷東急ほか松竹・東急系にて全国ロードショー


『親指さがし』

監督:熊澤尚人
脚本:まなべゆきこ、高橋泉
原作:山田悠介「親指さがし」(幻冬舎文庫刊)
撮影:斉藤幸一
VE:さとうまなぶ
音楽:安川午朗
美術:松本知恵
キャスト:三宅健(武)、伊藤歩(知恵)、松山ケンイチ(智彦)、永井流奈(綾)、尾上寛之(信久)、小野明日香(由美子)、手塚里美(由実子の母)、佐野史郎(刑事)ほか

12歳の夏、「死んだ子のなくなった親指を見つけたら願いが叶うんだって」と、由美子が始めた「親指さがし」ゲーム。 他愛ない遊びだったはずなのに、気がつくと由美子だけが消えてしまっていた。 始める前「もし私がいなくなったら探して」という由美子に、武は「きっと探し出すよ」と約束していたのだったが・・・。
それから8年がたった8月13日。母校で開かれた同窓会で、武、知恵、智彦、綾、信久たち5人は久し振りに再会する。 武が4人に頼んだのは「親指さがしをもう一度、一緒にやってほしい。由美子のために」。 旧友たちは困惑しながらも、武の願いどおりゲームを再現する。

「リアルおにごっこ」で作家デビューした山田悠介の原作を『ニライカナイからの手紙』の熊澤尚人が監督。 V6の三宅健が初めて単独主演した作品です。 子供のころの記憶を封印したまま20歳になった5人が、行方不明になってしまった1人を探すのですが、わりあいあっさりしていてそんなに怖くありません。 原作者もその読者も若いせいでしょうか。 そんなに作りこまれていない感じがしました。 子供ってなんでわざわざ怖い遊びをするのかな。 考えると昔話も結構残酷だったりするし、今も残っている「かごめかごめ」や「はないちもんめ」などは「マザーグース」同様、「本当は怖い」んですよね。(白)

2006/日本/カラー/35mm/ビスタ/96分
http://oyayubisagashi.com/index.html
配給:ザナドゥー
(c)2006 映画「親指さがし」製作委員会


『DEATH TRANCE デス・トランス』

監督: 下村勇二
脚本: 加藤淳也 、藤田真一、千葉誠治、下村勇二
撮影: 藤田真一
衣装: 武内香奈
音楽: 小川類、Dir en grey(エンディング・テーマ&挿入歌)
キャラクターデザイン: 武内香奈
出演: 坂口拓(グレイヴ) 、須賀貴匡(リュウエン)、剣太郎セガール(シド)、竹内ゆう紀(女剣士ユーリ)、藤田陽子ほか

戦乱の世、東願寺が守り続けてきた「あるもの」を封じた「棺」が何者かに盗まれた。 巷にはそれを手に入れれば、どんな願いも叶う・・・と誤った噂が流れていたのだ。 奪ったのはグレイヴという男、棺を開くため「禁断の森」を目指していた。 一方、大僧正から棺奪還の命を受けた僧侶のリュウエンは、無頼漢に襲われ危ないところを拳銃使いのシドに助けられる。 シドも棺の行方を追っていた。

北村龍平監督の『VERSUS』(2000)でアクション監督を勤めた下村勇二と、主演デビューを果たした坂口拓がタッグを組んだ作品。 前作はインディーズ作品ながらアメリカで6万枚のDVDセールスをあげたというヒット作。 坂口拓の鮮やかなアクションは今回も冴え渡り、剣X拳X弾丸なんでも来い! 「大丈夫ですか?」のリュウエンは、仮面ライダー龍騎で大ブレイクした須賀貴匡。 その後も出演作が相次いでいる。 剣太郎セガールはスティーヴン・セガールの長男、ゆるい関西弁が独特の雰囲気を醸し出しておかしい。 『VERSUS』はバイオレンス&ホラーといった趣だったが、こちらはアクション(ハード!)+ファンタジー=ゲーム風味。 日米同時公開。(白)

http://www.deathtrance.jp/

2005/日本・アメリカ/カラー/89分/ビスタサイズ/DTSステレオ
配給:メディア・スーツ

★東京での上映は終わりました。全国の詳しいスケジュールは公式HPをご覧下さい。


『ガーダ −パレスチナの詩−』

撮影・監督:古居みずえ
製作:安岡卓治、野中章弘
編集:安岡卓治、辻井潔

パレスチナ、アフガニスタン等紛争地域の女性や子供たちを中心に取材を続けるフォトジャーナリストとして有名な古居みずえさんが、写真と共に、ビデオを撮りためていた。 その時間延べ500時間。 本作は、その膨大なビデオの中から、ガザの難民キャンプに暮らすパレスチナ女性ガーダの、23歳から35歳までの生き様をまとめたものである。 ガーダは、古い因習の残る地域で、比較的進歩的な父親の元で育ち、自立心の強い女性である。 当初、英語ができることから通訳として起用して知り合い、古居さんは家に泊めてもらうようにもなる。
ガーダは伝統的結婚式を拒否して結婚、出産。そして、親戚の男の子カラムがイスラエル兵により殺されたことをきっかけにジャーナリストとしての道を歩み始める。 イスラエル建国前のパレスチナの暮らしについて、老人たちから聞き書きを続けるガーダ。 「ミズ(古居さん)の影響を受けた」とガーダは語るが、古居さん自身、ガーダを通して、より多くのパレスチナの女性たちの生の声を聴くことになる。

おばあさんの悲しそうな目が忘れられない。 そして、女性たちがふっと口ずさむ歌…。 普通に平穏に暮らしたいだけなのに・・・それ以上のことは望まないのに・・・という思いが切々と伝わってきた。 1948年以前は共存して暮らしていたのに、イスラエルという国ができたために、故郷を捨てなければならなかったパレスチナの人々。 やっと建てた難民キャンプの家さえも、戦車で壊されてしまう。 こんな理不尽が許されていることに憤りを感じる。 軍事力を誇るイスラエルに対して、小さな子供たちまでもが、石を投げるという行為でしか抵抗できない悲しさ。 石を投げる子供たちの目線で、古居さんのカメラがまわっているのが凄いと思った。 ご自身にふりかかる危険をものともせず、パレスチナの現実を世界に知らせたいという思いの伝わってくる作品である。(咲)


→ 大病から奇跡的に立ちなおり、40歳にしてジャーナリストとしての道を歩み始めた古居みずえさんへのインタビュー記事を、シネマジャーナル67号に掲載しています。


2005年/日本/DVCAM(NTSC)/106分
製作協力:古居みずえドキュメンタリー映画支援の会代表 土井 幸美/北林 岳彦
製作:安岡フィルムズ アジアプレス・インターナショナル
配給宣伝:バイオタイド

★5月20日(土)、東京 UPLINK X、大阪 シネ・ヌーヴォ他、全国主要都市にてロードショー公開

◆『ガーダ —パレスチナの詩—』公開記念トークライブ
日時:2006年4月15日(土)
場所:アップリンク・ファクトリー
18:00/19:45 「ガーダ パレスチナの詩」先行特別上映
19:55/20:25 「ガーダ」を語る/古居みずえ
20:35/21:55 「ビデオジャーナリストという仕事」/野中章弘


◆『ガーダ』 公開記念トークイベント開催 第二弾!
7月15日(土)坂手洋二(劇作家・演出家)x 古居みずえ監督
7月17日(祝)ゲスト:森沢典子(「パレスチナが見たい」著者)x 古居みずえ監督
7月21日(金)ゲスト:根岸季衣さん(女優)x 古居みずえ監督
上映:18:00〜
トークショー:20:00〜
場所:アップリンク・ファクトリー
料金:2000円(特別鑑賞券+500円でもご入場出来ます。)
※上映終了後、トークショーをおこないます。
また、トークショーのみでも500円でご覧になることができます。
※ゲストはすべて予定

公式HP>> http://www.ghada.jp/


『玲玲の電影日記』(原題 『夢影童年』)

監督・脚本 小江(シャオ・ジャン)
出演 夏雨/シア・ユィ(『太陽の少年』『我が家の犬は世界一』)
   姜易宏/チアン・イーホン(『鬼が来た!』)
   李海濱/リー・ハイビン(『鬼が来た!』『ヘブン・アンド・アース』)
   關曉彤/クアン・シャオトン(『故郷の香り』『PROMISE』)

中国映画への思いが込められた家族再会の物語

北京で働く映画が大好きな大兵(ダーピン)。 ある事故をきっかけに耳が聞こえない女性と出会い、彼女の日記を手にした。そこには、映画に包まれた彼女の幼き日の思い出がつづられていた。 文化大革命末期の1971年、中国北部の炭鉱町。 映画スターを夢見ていた母と少女玲玲(リンリン)。 父親はいなくても、母と一緒に野外映画を観に行くのが楽しみだった。 野外映画館のハンおじさんも大の仲良しで、お母さんと一緒におじさんのところに入り浸っていた。 そこで観た映画の数々。
 しかし、そんな生活は長く続かなかった。 野外映画を一緒に屋上で観た幼友達との別れ、ハンおじさんと母との再婚、弟ができたことで、玲玲を中心に回っていた生活は一変した。 そして、TVの普及で野外映画館も閉鎖の憂き目にあう。 弟の死をきっかけに、家出をした玲玲。それ以来、一人で暮らしてきた。 家族への思いは募るが、家に戻るわけにはいかない。
 日記を読み進むうち、玲玲の幼友達とは自分であることに気づく大兵。 思わぬ再会に驚く。そして、快活だった玲玲が精神を病むまでに至った事情を知る。 玲玲の両親をみつけた大兵は、玲玲が病院に入院していることを告げ、彼女との再会を設定した。 その再会の場は、病院での野外映画会。 病院の庭の臨時スクリーンに映し出される懐かしい映画に玲玲は心癒されていく。

 随所に映し出される、『街角の天使』『小街』、革命戦争映画など、日本未公開の古い中国映画の数々。 玲玲の母があこがれていた、1930年代に大活躍した女優&歌手の周璇(チョウ・シュアン)が歌う映像も見所である。 監督は1972年生まれの女性監督小江(シャオ・ジャン)。 中国映画への思いがこめられた、ノスタルジーを感じさせる作品である。

*大兵を演じる夏雨君には、『太陽の少年』日本公開前年の1996年に、北京でインタビューしたことがあるし(シネマジャーナル38号掲載)、 『西洋鏡』の東京国際映画祭上映の時にもインタビューしたことがあるので(シネマジャーナル51号掲載)、 また、公開作が観られてうれしい。 また、字幕を担当した佐野ちなみさんは、 以前シネマジャーナルに記事を書いてくれたことがあり、彼女の仕事にも注目。 詳しくは、本誌67号に掲載。(暁)

2004/中国映画/100分/ビスタサイズ/ドルビーSR/英題 ELECTRIC SHADOWS
配給 アルバトロス・フィルム5月13日より シアターN渋谷にて公開
   TEL03−5489−2592
公式HP http://www.rinrin-movie.com/

★東京での上映は終わりました。全国の詳しいスケジュールは公式HPをご覧下さい。



『ダック・シーズン』

監督・脚本:フェルナンド・エインビッケ
撮影:アレクシス・サベ
音楽:アレハンドロ・ロッソ 歌:ナタリア・ラフォルカデとラ・フォルケティーナ
キャスト:ダニエル・ミランダ(フラマ)、ディエゴ・カターニョ・エリソンド(モコ)、ダニー・ペレア(リタ)、エンリケ・アレオーラ(ウリセス)ほか

赤毛のフラマとモコは14歳、大の親友。 今日はフラマのママが出かけるので、一日二人でTVゲームをしまくる予定。 ゲームの途中で隣の娘リタがオーブンを使わせて、とやってきた。 最初は断ったけど、しつこく頼むので貸してやる。リタは勝手に台所でケーキを作りはじめた。 ゲームに戻ったらいいところで停電、しょうがないのでピザを頼んだ。 フラマの家は団地の8階なのに停電でエレベーターが動かない。 ピザ配達のウリセスはおっさんなので、はあはあ昇ってきて時間ちょうどといったけど、 フラマとモコは11秒超過だとピザ代を払わない。 代金をもらうまで帰らない、とウリセスも家に上がりこむ。 3人はピザ代を賭けてサッカーのTVゲームを始める。

短編映画やミュージック・ビデオで評価を受けてきたエインビッケ監督の初長編。 アパートの1室がほとんどのシーンを占め、14歳の少年2人と16歳の少女は初主演。 30代のピザ配達の男性役だけがキャリアのある俳優というフレッシュでユーモアに満ちた作品です。 題名の「ダック・シーズン」はフラマの家の壁にかけられた絵から? 鳥(カモ)が池から羽ばたいていくところで、 それぞれに問題を抱えた4人が解放される象徴になっています。 若い俳優たちの今後が楽しみです。(白)

メキシコ・アカデミー賞(アリエル賞)で主要部門を含む11部門受賞

2004/メキシコ/白黒/90分/35mm/1:1.85/スペイン語/

http://www.crest-inter.co.jp/duck_season/

配給:クレスト・インターナショナル
宣伝:ムヴィオラ

★東京での上映は終わりました。全国の詳しいスケジュールは公式HPをご覧下さい。


『戦場のアリア』JOYEUX NOEL

監督・脚本:クリスチャン・カリオン
撮影:ウォルター・ヴァン・デン・エンデ
音楽:フィリップ・ロンビ
歌:ナタリー・デッセー(アナ)、ロランド・ヴィラゾン(ニコラウス)
出演:ダイアン・クルーガー(アナ)、ベンノ・フユルマン(ニコラウス)、ギ ヨーム・カネ(オードベール中尉)、ゲイリー・ルイス(パーマー司祭)、ダニー・ ブーン(ポンシェル)、ダニエル・ブリュール(ホルストマイヤー中尉)、スティー ヴン・ロバートソン(ジョナサン)、アレックス・ファーンズ(ゴードン)ほか

「1914年クリスマス、前線で友好を結んだ英・独・仏の兵士に捧げる」
最前線での塹壕の中、クリスマスをむかえた3カ国の兵士たちが過ごした奇跡のような一夜の話。軍の記録にはないけれど、実際にそこにいた兵士たちが家族にあてて書いた多くの手紙がその事実を伝えている。ノーマンズランドに兵士たちが四方八方か ら集まるようすに涙腺がゆるむ。戦場に流れる美しいアリアに歌は民族を越えて人を結ぶのだと感激した。一人兄を亡くしたばかりのジョナサンだけはその輪に加われない。それにもまた涙。戦争をしたい人たちはみな同じことを言い、自分は決して危険な場所にはいない。冒頭に各国の子供たちが自分の国の正当性と敵国の残虐非道性を訴える場面がある。世の親がわが子に人を殺せと教えた時代だった。そんな日が再び来ないようにしなくてはと思う。(白)

一夜限りの休戦協定を結んだ3カ国の兵士たちが、そこかしこに犠牲者の横たわる戦場で、シャンパンを酌み交わす。お互いの言葉は違っても、家族の写真を見せ合ったりして意思疎通をはかり、中には戦争が終ったら訪ね合おうと住所まで交換する者もいる。砲撃の危険から解き放された安堵のひとときが終わり、「大義のために」と別れを告げる人たちの姿に、誰しもほんとは戦いたくないはずと心が痛む。ドイツ軍の厳格なホルストマイヤー中尉が、「ユダヤ人の僕にはクリスマスは関係ないけど、いいもんだな」とつぶやいたのを聞いて、はっとした。 第一次世界大戦の頃には、ユダヤ人もドイツ軍の列記とした一員だったのだと。 地球上から戦争がなくなるのはいつの日のことだろう・・・。(咲)

2005/フランス・ドイツ・イギリス合作/ドルビーS,SRD,DTS/1時間57分/カラー/シネマスコープ
提供・配給:角川ヘラルド・ピクチャーズ

公式 HP >> http://www.herald.co.jp/official/aria/

フランス映画祭2006 クロージング作品
3月19日(日)18:50〜 VIRGIN TOHO CINEMAS 六本木ヒルズ 
クリスチャン・カリオン監督、主演ギョーム・カネ、ダニエル・ブリュール等が来日予定

★2006年8月26日(土)より、下高井戸シネマにて上映
特別鑑賞券¥1500、ペア券¥2800
劇場窓口でお求めの方に限り“ノー・ボーダーの灯りをともそう!アロマ・キャンドル”のプレゼント(限定品)


『リトル・イタリーの恋』love’s brother

監督・脚本:ジャン・サルディ
撮影監督:アンドリュー・レスニー A.C.S
音楽:スティーヴン・ウォーべック
出演:ジョヴァンニ・レビシ(アンジェロ)、アダム・ガルシア(ジーノ)、アメリア・ワーナー(ロゼッタ)、シルヴィア・ドゥ・サンティス(コニー)、バリー・オットー(神父)ほか

カフェ・ラティーノで働く真面目だけれど内気なアンジェロに手紙が届く。 またもやお見合い相手に断られたのだ。 陽気でハンサムな弟ジーノは落ち込む兄を励まし、もう一度チャレンジさせる。 南イタリアの漁村の娘ロゼッタの写真に魅せられ、アンジェロは「花嫁になってください」と手紙を書く。 ジーノと二人の写真を切り取りながらアンジェロは心が揺らぎ、自分のでなくジーノの写真を封筒に入れてしまう。 ロゼッタは手紙を受け取り、同封された写真を見て一目で恋に落ちる。 承諾の手紙に大喜びの家族を見てアンジェロは引っ込みがつかなくなる。 一方、ジーノの写真に恋したロゼッタは毎日愛の日記をつづり、会える日を待ち望んでいた。

『シャイン』、『きみに読む物語』など、多くの脚本を手がけてきたジャン・サルディ初の監督作品。
イタリアから移民してきた両親のもと、オーストラリアのリトル・イタリー(イタリア人街)で育ち、エスプレッソマシンが届いたこともはっきりと覚えているとか。 自分でも思い入れのある脚本を書き上げてから、監督が決まったのだそうです。 カフェに集う人たちが離れても国を思っているのに、ほろりとします。 監督がかつて目にした光景なのでしょう。
ロゼッタが毎日ペンを走らせている日記帳は絵あり、コラージュありの手作りで、物語のシンボルのようにロマンチックでした。 いい人のアンジェロが、自信がないばかりに純真なロゼッタを傷つけてしまい、どちらも気の毒。 さてその先は劇場で。(白)


2004/オーストラリア/103分/カラー/ビスタサイズ/ドルビーSRD
配給:パンドラ、ハピネット・ピクチャーズ

http://www.pan-dora.co.jp/little-italy/

★東京での上映は終わりました。全国の詳しいスケジュールは公式HPをご覧下さい。


『タブロイド』原題:『CRONICAS』

監督・脚本:セバスチァン・コルデロ
製作:アルフォンソ・キュアロン
撮影:エンリケ・シャディアック
音楽:アントニオ・ピント 出演:ジョン・レグイザモ(マノロ・ボニーラ)、レオノール・ワトリング(マリサ)、ダミアン・アルカザール(ビニシオ)、アルフレッド・モリナほか

マイアミのタブロイド番組のレポーター、マノロは撮影クルーと一緒にエクアドルの村にやってきた。 子供ばかりを狙う連続殺人犯「モンスター」を追ってきたのだ。 被害者の葬儀を撮影した後、弟に取材を試みるがその少年は車の前に飛び出してはねられてしまう。 運転していたのは聖書販売員のビニシオだった。 少年を助け出すため、車を動かそうとしたビニシオを逃げると勘違いした村人達は、彼を捕まえて集団で暴行する。 火をつけられたビニシオを助け出すマノロ、その一部始終がスクープとして番組に流れる。 留置場にいるビニシオはマノロに「モンスターに関する情報を教えるから、ここから救い出して」と哀願する。

『天国の口、終りの楽園。』の鬼才アルフォンソ・キュアロンが発掘したセバスチャン・コルデロ監督による野心作。 スクープをものにしようと取引にのるTVレポーター。 誰からも評判の良い優しい販売員のビニシオが知っている秘密とは何か? レポーターたちに懐疑的な目を向ける警察は、真実を突き止められるのか? カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に選出されたというこの作品は、なかなかにスリリングな展開を見せ、 ラストもぞっとする。若き俊英監督は手腕を買われ、 3作目はハリソン・フォード主演『MANHUNT(マンハント)』(アメリカ映画)を監督することが決定した。(白)

2004年/メキシコ=エクアドル映画/スペイン語、英語/カラー/98分/SRD/ビスタ
配給:東北新社
http://www.tabloid-movie.jp/

◆東京での上映は終了しています。詳しい作品紹介は公式HPをご覧下さい。


『僕の恋、彼の秘密』(原題:17歳的天空)

監督:DJ チェン(陳映蓉)
脚本:ラディ・ユウ(傳睿邨)
撮影:チェン・フイション(陳惠生)
出演:トニー・ヤン(楊祐寧)、ダンカン・チョウ(周群達)、キング・チン(金勤)、ダダ・ジー(季宏全)、ジミー・ヤン(楊竣閔)、ジェイソン・チャン(張大[金庸])

ティエン(楊祐寧)は親友ユー(金勤)を頼って夏休み田舎から台北へ出てきた。出てきて早々にバーで出会ったバイ(周群達)に一目惚れ。しかしバイは噂の超プレイボーイ。ユー達はティエンが傷つくだけだと心配し、必死にやめるよう説得する。ところがティエンとバイは天のお導きか、互いを意識し始め急接近。ついに一夜を共にする。幸せな朝を迎えたティエンだが、バイは何故か苦悩の表情を浮かべ部屋から逃げ出してしまう、、、

これまでのゲイ・ムービーというと悲劇的なお話が殆どですが、これは超明るくポップな純愛ストーリー。少女漫画みたいで単純なんだけど、出演者が全て若手のイケメン揃いと来たもんだから、もう観ている間中、顔がニヤケて止まらない(笑)。 ぽわ〜んとした楊祐寧の笑顔に癒され、セクシーな魅力全開の周群達にドキドキし、金勤の可愛いオカマちゃんぶりに笑ってと、その魅力はバリエーション豊か。映像も美しくて、南国の明るい光と空気に満ち溢れた青春映画になってます。(梅)

2004年/台湾/35mm/カラー/ヴィスタ/ドルビーデジタル/93分
配給・宣伝:アートポート

公式 HP >> http://www.bokukare.jp/

★9月9日(土)より、新宿武蔵野館にて 再上映予定!!


「連連影展〜フェミニスト・アクティブドキュメンタリー・ビデオフェスタ(FAV)」

▽▲▽▲▽▲またまたファヴがやってくる!▽▲▽▲▽▲

連 連 影 展 Vol.3
〜フェミニスト・アクティブドキュメンタリー・ビデオフェスタ(FAV)

10月1日(日)@門前仲町天井ホール
★料金:1プログラム1,000円、3プログラム通し券2,500円
★場所:門仲天井ホール(http://www5f.biglobe.ne.jp/‾monten/annai.html)
→地下鉄東西線「門前仲町」駅 3番出口から徒歩3分
→都営地下鉄大江戸線「門前仲町」駅 6番出口から徒歩1分

《上映作品ラインアップ》
〜全3プログラム、すべて上映後トーク予定〜

■プログラムA [目線 めせん EYES] 13:00−15:00
『目線〜Women in Struggle』 監督:ブテナ・カナーン・コウリー
[パレスチナ/2004年/60分]
パレスチナ人レジスタンスとしてイスラエルの刑務所に入れられた4人の女性の証言ドキュメンタリー。この体験は彼女たちに多くの苦渋を与え、またその後の人生に も影響を及ぼす。一人の人間・女性として彼女たちの思うこととは…。
『キタコリア』(予定) 撮影: 北コリアツアー参加者
[日本/2006年/10分]
AJWRCのツアー目でみた、ピョンヤンー水害、テポドン、脱北者…。こんな「北朝鮮」報道が蔓延する2006年夏。余計な思い込みを持たずに到着した私たちを迎えてくれた、ガイドと通訳の女性たち。ユーモアと切実な思いを受け取った。
■プログラムB[身体 BODY からだ] 15:30−17:30
『壺』 監督:ディヤーナ・エル=ジェルーディ
[シリア/2005年/12分]
イスラム社会で生きる女性たちの切実な声は、わたしのと同じ。「女は家庭にいるべき」、「夫の妻で、子どもの母」、「一人の女として自分の人生を歩みたい」、 「仕事を辞めるべきじゃなかった」。表題の「壺」とは何を意味するのか。
『亀姉妹(タートル・シスターズ)』 制作:女性映像集団WOM・障害女性共感
[韓国/2002年/45分]
パク・ヨンヒ(42歳)、チョン・ヨンラン(36歳)、パク・スンチョン(31歳) の3人は、一緒に住み始めて5年になる障がいを持つ女性たち。自立したいという思い から共同生活を始めた彼女たちの日常がとにかく楽しそう!
■プログラムC [パレード ぱれーど PARADE] 18:00−20:00
『パレード
 〜La Parade (notre histoire)』
監督:リオネル・バイアー
[スイス/2001年/81分]
自然と町並みの美しい小さな町で「ゲイパレード」開催のため行動した人たち。 ところが地元各方面から、そして大都市ゲイコミュニティからも反パレード旋風が!  さあどう対峙するのか。監督自身も生のホモフォビア(同性愛嫌悪)に向き合うことに。こうして多くの人たちがパレードに「参加」していく…。主催者のレズビアン女性の理性と行動力に触発されて、観客の私たちもパレードに参加したくなる? はたしてパレードは成功するのか? 感動とともに、パレードって何!? パレードの成功って何!?と考えさせられる作品。(東京レズビアン&ゲイパレード2006の記録も併映予定)

主催:FAV 連連影展
協力:アジア女性資料センター(AJWRC)、ビデオ工房AKAME、 関西クイア映画祭、 ふぇみん(femin)、反差別国際運動(IMADR)、山形国際ドキュメンタリー映画祭 (YIDFF)、 ドーンセンター

★ニュース★
◎10月14日@東京ウィメンズプラザ/ホール(渋谷)で上映決定!
 第1回の連連影展で好評だった『グリーナムコモンの女たち』と初登場の『六ヶ所村通信』を上映します。
 18:00開場、18:15上映開始(上映2時間)

◎次回連連影展;2007年3月3日@横浜YWCA

☆世代も国籍も職種も様々な人々で実行委員会はわいわいやっています。 熱意はあふれていますが、ごたぶんにもれずお金はありません。 日頃から有形無形のご協力をいただいていますが、この映像祭開催のための 賛同カンパをお願いします!!
 郵便口座番号:00100-3-316369 口座名:連連影展

☆お問い合わせ・詳細は
 ホームページ www.renren-fav.org
 メール    fav@renren-fav.org
 ファックス  03-3401-8944



「第3回スペイン・ラテンアメリカ映画祭」

日本では紹介されることが少ないスペイン・ラテンアメリカの映画をいち早くご覧いただけるチャンスです!!
最新のスパニッシュムービー12本の上映、ティーチインなど予定。

		日程:2006年9月16日(土)〜2006年9月22日(金)
		会場:アミューズCQN シアター2    TEL 03−5468−5551
		   (渋谷区渋谷1-23-16 ココチビル7F)
		料金:当日券1700円/学生1600円
		    前売り券 一般1500円/学生1400円 
		    パスポート 一般11000円/学生9000円
	  
上映作品:『ドラマメックス』『7人のバージン』『色彩の中の人生』『マデイヌサ』 『ヤギの祝宴』『火に照らされて』『ボディーガード』『エルサ&フレド』 『ビニシウス・ヂ・モラエス』『聖家族』他2作品  ※全作品は近日中に決定します。

ゲスト:現在調整中
公式サイト:http://www.hispanicbeatfilmfestival.com/  ※近日中にオープン予定

関連イベント:スパニッシュ・ミュージック・ナイト
 http://www.duomusicexchange.com/
チケット発売:チケットぴあ、アミューズCQNにて発売(8/10発売予定)
主催者:ラテン・ビート アジア(代表:アルベルト・カレロ・ルゴ)


アジアフォーカス・福岡映画祭2006

1991年のスタート以来、今年で16回目を迎えるアジアフォーカス・福岡映画祭。 今年もアジア15か国地域から、よりすぐりの25作品が上映されます。 (協賛企画も含めると、15か国地域47作品)  アジアにちなんだ様々な催しに彩られるアジアマンスの福岡に、是非お出かけください。

期間: 2006年9月15日(金)〜24日(日)

上映作品
◆ キロメートル・ゼロ(2005年イラク・フランス/95分)
◆ おやすみなさい、兵士たち(2006年イラン/93分)
◆ 私はガンディーを殺していない(2005年インド/99分)
◆ 霧の中の記憶(2005年インド/120分)
◆ 母(2006年スリランカ/94分)
◆ 人形の家(2006年バングラデシュ/123分)
◆ GIE(2005年インドネシア/147分)
◆ 4:30(フォーサーティ)(2005年シンガポール・日本/93分)
◆ ドバイの恋(2005年フィリピン/110分)
◆ ビザさえあれば(2005年フィリピン/107分)
◆ 親友(2005年タイ/127分)
◆ パオの物語(2006年ベトナム/98分)
◆ 癒やされた地(2006年ベトナム・日本/110分)
◆ あなたがいない時(2006年モンゴル/95分)
◆ 胡同(フートン)の理髪師(2006年中国/105分)
◆ 無窮動(2005年中国/90分)
◆ 飛び魚を待ちながら(2005年台湾/94分)
◆ ドント・ルック・バック(2006年韓国・日本/126分)
◆ 私の生涯で最も美しい一週間(2005年韓国/131分)
◆ ミスター主婦クイズ王(2005年韓国/107分)
◆ ウェディング・キャンペーン(2005年韓国/121分)
◆ 蟻の兵隊(2005年日本/101分)
◆ エイン(2006年日本/45分)
◆ はい毎度!A Korean I met in Japan(1998年日本/40分)
◆ 絵の裏(2000年タイ/120分)【特別上映】

会場、上映作品内容、ゲスト情報など詳細はHPをご覧ください。
公式HP>> http://www.focus-on-asia.com

8月1日の記者会見では、本映画祭のディレクター佐藤忠男氏より、 上映作品について簡単な解説がありました。 一本一本、ほんとうに丹念に選ばれたご様子が伺えました。
会見後に試写で上映された「私はガンディーを殺していない」は認知症、 「胡同(フートン)の理髪師」は一人暮らしの老人と、 いずれも老人問題を考えさせられる作品でした。 「胡同の理髪師」は、北京の93歳の実在の床屋のおじいさんが、本人役を演じていて、 あっぱれでした。取り壊されていく古い町並みに、人生をしみじみと振り返る、 味わいのある作品です。(咲)



キロメートル・ゼロ


おやすみなさい、兵士たち

私はガンディーを殺していない

人形の家


GIE


ドバイの恋


胡同(フートン)の理髪師

ミスター主婦クイズ王


「シネマコリア2006」

毎年開催されて未公開韓国映画が上映されているシネマコリアが 今年も8月から全国各地で開催されます。

		  ○ 期間&会場
		   8/5(土)・ 6(日)    名古屋:愛知芸術文化センター 12階
		                         アートスペースA
		   8/12(土)・13(日)   大阪:第七藝術劇場
		   8/19(土)・20(日)   東京:イイノホール
		   8/21(月)           アップリンク・ファクトリー
		        ※ 協賛企画として8/21にニューシネマワークショップにて
		          来日監督による特別セミナーを開催
		   8/26(土)        福岡:福岡アジア美術館 あじびホール
		   8/27(日)        札幌:スガイシネプレックス札幌劇場
		   9/17(日)・18(月・祝) 北海道愛別:蔵ら(KURARA)多目的ホール
		  
		  ○ 上映作品
		   『まぶしい一日』(韓国/2006)
		   『けつわり』(日本/2006)
		   『ケンカの技術』(韓国/2006)
		   『愛してる、マルスンさん』(韓国/2005)
		   『拍手する時に去れ』(韓国/2005)
		   『もし、あなたなら2 五つの視線』(韓国/2006)
		   『ミスター主婦クイズ王』(韓国/2005)
		  
		    ※ 地域によって上映しない作品があります。
		
公式サイト: http://www.seochon.net/cinemakorea/


「ソビエト映画回顧展06」

開催期間:8月5日(土)から18日(金)
会場:三百人劇場
チケット:前売券発売中(「中国映画の全貌2006」と共通)
     前売1回券 1200円 5回券 5000円 10回券 9000円
     三百人劇場事務所および都内各プレイガイド、チケットぴあ(Pコード 476-214)にて発売中
     当日:一般1400円、小中高・学生・シニア1000円、当日5回券 6000円、当日10回券 10000円

     

三百人劇場公式 HP >> http://www.bekkoame.ne.jp/‾darts/



『映画の記憶』

出演 松田完一
聞き手 中原省五
撮影・編集 大西一光
音楽 今井一郎
企画 小川孝雄
製作 岡山映画祭2005

チラシより “松田完一さんはもの心つく頃から84歳の今日まで、敗戦後の一時期を除き、 一個の市民として映画を観続けてこられました。 生きることと映画を観ることが分かち難く結びつ いているかのごとくです。 インタビューは松田さんの来し方を振り返りながら、 どんな映画をどのようにご覧になったのかお聞きしたのですが、御高齢にもかかわらず、 映画について話すのはまったく疲れないと、毎回長時間、 淀みなくその当時の暮らしぶりも交え語ってくださいます。 松田さんの記憶に映画の何が写っているのでしょうか。 それは映画の本質(があるとして、それ)と、どう関わるのでしょうか。 これは、市井に生きる一個の人間のかけがえのない人生に思いをめぐらし、 それを彩った映画に固有の何かをつかみたいと願ったインタビューです。”

「映画の記憶」で語られた映画と映画人
 「チョコレートガール」 '32 松竹蒲田 監督 成瀬巳喜男
 「盤嶽の一生」 '33 日活 監督 山中貞雄
 「足軽出世譚」'34 千恵蔵プロ 監督 山中貞雄  岡山ロケ作品
 「磯の源太 抱寝の長脇差」 '32 寛寿郎プロ 監督 山中貞雄第一作
 「人情紙風船」 '37 PCL 監督 山中貞雄
 「浪華悲歌」 '36 第一映画 監督 溝口健二


会場 渋谷・UPLINK FACTORY  渋谷区宇田川町37-18トツネビル

8月5日 (土) 18.00 開場  18.30 開演
9月9日 (土) 13.00 開場  13.30 開演

08/05は上映後、松田完一さん(予定)、日本大学芸術学部教授・田島良一さん、 無声映画伴奏者・柳下美恵さんをゲストに、 「映画の記憶」聞き手・中原省五とのトークを予定。

09/09のトークゲストは、映画監督・篠崎誠さん、無声映画伴奏者・柳下美恵さんを予定。

 ■当日 1500円 (1ドリンク付き)
 ■電話・メール予約受け付け 1300円
  メール予約先: boken@mx1.tiki.ne.jp (名前、連絡先、枚数を連絡)
  電話予約先 : UPLINK 03-6821-6821
 ■シニアの方も1300円で御覧頂けます。

 HP http://ww1.tiki.ne.jp/‾boken/fes.html




「第2回 アジア海洋映画祭イン幕張」

とき:9月1日(金)〜3日(日)
ところ:シネプレックス幕張・幕張メッセ国際会議場・ガーデンウォーク幕張

http://www.amffm.net/index.htm

★アマチュア部門・短編ビデオの応募を受け付けています。
締め切りは7月28日消印有効!!

《コンペ作品》

◆『浮世光陰』原題:南方紀事之浮世光影 英題:The Strait Story
2005年 台湾
監督:黄玉珊 
出演:フレディ・リン、YUKI、張鈞?ィ

◆『ピーターパンの公式』原題:The Peter Pan Formula
2005年 韓国
監督:チョ・チャンホ
出演:オン・ジュワン、キムホジョン

◆『海と夕陽と彼女の涙 ストロベリーフィールズ』
2005年年 日本
監督・脚本:太田隆文
出演:佐津川愛美、谷村美月、芳賀優里亜、東亜優 

◆『バニュとビルー』原題:Banyu Biru
2005年 インドネシア
監督:テディ・スリアアトマジャ
出演:トラ・スディロ(インドネシア映画史上初のゲイ映画『アリサン!』に主演。 インドネシア映画祭最優秀主男優賞)、 ディアン・サストロワルドヨ(『囁く砂』(2001)、『ビューティフル・デイズ』などに主演)、 スラメット・ラハルジョ(国際交流基金と合作で『サザン・ウィンズ』を監督。)

◆『恋する魚』原題:Mahiha Ashegh Mishvand 英題:The Fish Fall In Love
2005年 イラン
監督・脚本:アリ・ラフィ 
出演:レザ・キアニアン(『風の絨毯』に出演)、ロヤ・ノナハリ(『クスノキの匂い、ジャスミンの香り』に出演。イラン映画祭2004で上映されました)

◆『DONSOL』原題:DONSOL
2006年・フィリピン・108分
監督: アドルフ・アレックス・ジュニア
出演: シド・ルセロ  エンジェル・アクノ


《特別上映作品》
◆『海に出る』
2004年・台湾 48分
監督:周以文
出演:張昆寅、沈麗華

◆『海岸巡視兵』
2005年・台湾 30分


「アルメニア・フィルム・セレクション」

開催日&会場:8月11日(金)、12日(土) アテネ・フランセ文化センター
       8月19日(土) アップリンク・ファクトリー

入場料:アテネ・フランセ文化センター、アップリンク・ファクトリー共通
    一般:前売1回券 800円  当日1回券 1000円
    アテネ・フランセ文化センターのみ
    前売回数券 2200円(3回分) 当日回数券 2800円(3回券)
    アテネ会員:当日券のみ 1回券 800円 回数券 1800円(3回券)

タイムテーブル
8月11日(金) アテネ・フランセ文化センター
 12:30 『マリアム』
 15:00 『神よ、あわれみたまえ』
 17:00 『ナベート』
 19:00 『カレンダー』
8月12日(土) アテネ・フランセ文化センター
 12:00 『カレンダー』
 13:40 『ざくろの色』
 15:30 『ドキュメンタリスト』 上映後、ゲストトーク
 18:00 『リターン・トゥ・ザ・プロミスト・ランド』
8月19日(土) アップリンク・ファクトリー
 11:00 『リターン・トゥ・ザ・プロミスト・ランド』
 13:00 『ドキュメンタリスト』
 14:30 『カレンダー』
 16:30 『マリアム』
 19:00 『神よ、あわれみたまえ』

『カレンダー』

『ドキュメンタリスト』

『ザクロ』

この催しは、映画美学校とコミュニティシネマ支援センター、 財団法人国際文化交流推進協会の主催する映画上映専門家養成講座 [シネマ・マネジメント・ワークショップ]の受講生の卒業テーマとして企画されたもの。 作品選定から運営まですべてが受講生の手で行われています。 今回上映される7本のうち、『ナーペト』『ざくろの色』を除く5本は、日本初公開。 これまであまり馴染のなかったアルメニア映画を観ることのできる貴重な機会です。

アルメニア人は、起源301年に世界で初めてキリスト教を国家の宗教とした人たちで、 その宗派は独自のアルメニア正教会。現在の国としてのアルメニア共和国は、 ソ連邦崩壊後、1991年に独立し成立したもので、黒海とカスピ海のちょうど間に位置しますが、 歴史的に度重なる異民族侵攻等によって、アルメニア人は各地に離散しています。 シャンソン歌手シャルル・アズナブールや、テニス選手アガシもルーツはアルメニアです。 アガシは両親がイランからの移民ですが、私の長年のアルメニア系イラン人の友人たちも、 今はほとんど国外に移民してしまいました。 イランには、北西部を中心にアルメニア教会が点在していて、 代々宗教と伝統文化を守り続け、日常会話もアルメニア語。実に誇り高い人たちです。

また、アルメニアというと、まず思い浮かぶのが、 アルメニア系カナダ人監督アトム・エゴヤンの『アララトの聖母』にも描かれている、 オスマントルコ帝国によるアルメニア人大虐殺。 現在のトルコ政府は、その事実を否定していますが、アルメニアの人たちにとっては、 忘れられない記憶です。 今の東トルコのアルメニア寄りの地域も元々はアルメニア人の多く住む地域でしたが、 アララト山と共に、今はトルコの領土となっています。

アルメニア映画は、1922年、 ソ連邦下のアルメニアが映画産業を国営化することを決議したことにより始まりました。 初の長編映画『ナムス』(1925年 ハモ・ベクーナザロフ監督) が海外で高い評価を受けたのを初め、 セルゲイ・パラージャノフ、フルンゼ・ドブラティアン等の監督を輩出しています。 今回、試写で拝見した『ナーペト』(1977年 ヘンリク・マリャン監督)は、 1920年代初頭に一族すべてを大虐殺で失った家長のナーペトがアララト谷の村にたどり着き、 やがて、やはり虐殺で家族を失った女性を娶り、心の平和を取り戻す話。 家族の数に合わせて土地を分配して貰えるのは有難いことと、 共産政権賛美の場面があるのはお愛敬としても、映画全体を通してアルメニア民族の誇りを感じさせてくれる力強い作品でした。 今回上映される新旧7本すべてが、アルメニアの歴史と文化を垣間見ることのできる貴重な作品で、ほんとに楽しみです。(咲)

公式 HP >> http://www.fiberbit.net/user/yoshida_m/



「下北シネマタイフーン」 都市を生きる

とき:7月1日(土)〜7月7日(金)
ところ:シネマアートン下北沢
入場料金:1200円 会員900円 3回券3000円

		<上映作品>
		 『あるべらえず うんべると -消え入ぬように-』
		 『アンダーグラウンド・オーケストラ』
		 『PEEP "TV" SHOW』
		 『僕は神戸生まれで、震災を知らない』
		 『Blessed —祝福—』
		 『ノガダ/土方』
		 『虚構の砦』
		 『円のカド』
		 『ホームシック』
		 『ドキュメント 路上』
		 『鉄西区』(第1部:工場/第2部:街/第3部:鉄路)
	  
スケジュールなど詳細はこちら
http://www.cultural-typhoon.org/cinema/


「ロシア・ソビエト映画祭」

ロシア文化フェスティバル2006 IN JAPAN
ロシア・ソビエト映画祭

1978年の「ソ連映画の史的展望」以来、28年ぶりとなる大規模なロシア・ソビエト映画の特集上映が行われます。1908年制作の白黒無声映画『ステンカ・ラージン』から新作『死という名の騎士』(2004)、『宇宙を夢見て』(2005)まで28本の一挙上映です。是非この機会にロシア・ソビエト映画に触れてみてはいかがでしょうか。

期間:7月4日(火)〜30日(日)
会場:東京国立近代美術館フィルムセンター 大ホール
料金:一般500円、高校・大学生・シニア300円。小・中学生100円
   『戦争と平和』のみ 一般1000円、高校・大学生・シニア600円、小・中学生200円
主催:東京国立近代美術館フィルムセンター、ロシア・ソビエト映画祭実行委員会

公式 HP >> http://www.momat.go.jp/FC/NFC_Calendar/2006-07/kaisetsu.html



第3回SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2006
期間:7月15日(土)〜23日(日)
場所:埼玉県川口市「SKIPシティ」
アクセス:会期中、JR川口駅東口キャスティ前臨時バス停より、SKIPシティまで直行の無料シャトルバスが運行されます。
→ http://www.skipcity-dcf.jp/japanese/access/index.html

今回で3回目となるSKIPシティ国際Dシネマ映画祭は、世界初のデジタルシネマの国際コンペティション映画祭。長編は、トルコ、スウェーデン、アルゼンチン、チェコ、オランダ、中国など世界各地から12作品、短編は国内から11作品が上映されます。「SKIPシティ」は、埼玉県とNHKが中心となって2003年2月に川口市にオープンさせた次世代映像産業の集積地。上映2会場には、4Kのデジタルシネマプロジェクターが設置されており、最高級の上映環境で観ることができます。各作品の監督・俳優などゲストも多数来場し、イベントも開催されます。詳細は公式HPでご確認ください。また、HPでは、全作品の予告編も観ることができます。

公式HP>> http://www.skipcity-dcf.jp/

シネマジャーナルHPを訪れた方に、この映画祭を記念して主催者側より、チケットプレゼントがあります。
先着で5組10人の方にお送りいたします。
応募先: cinemajournalhp@yahoo.co.jp
氏名、住所、シネマジャーナルHPの感想をご記入の上、ご応募ください。
チケットプレゼントは終了しました


「ドイツ映画祭2006」

7月16日(日)〜20日(木)
有楽町 朝日ホール
千代田区有楽町2−5−1 マリオン11F

「日本におけるドイツ年」の公式企画として始まった「ドイツ映画祭」が、 今年も引き続き開催されます。
★新作10本
★短篇4本
★ルビッチ再発見:エルンスト・ルビッチ監督の4作品の最新復元版をピアノ付きで上映

http://www.asahi.com/event/de06/


「中国映画祭 横浜プレミアム」

会期 :2006年7月16日(日)
会場 :横浜赤レンガ倉庫1号館3階映像ホール (総席数314席)
神奈川県横浜市中区新港1-1-1 / 電話045-211-1515
t;アクセス>
 JR・市営地下鉄「桜木町駅」より汽車道経由で徒歩15分
 JR・市営地下鉄「関内駅」より徒歩約15分
 みなとみらい線「馬車道駅」または「日本大通り駅」より徒歩約6分

≪上映作品≫ :
 ■『私に栄誉を!(原題:求求[イ尓]、表揚我)』(監督: ホアン・ジエンシン黄建新)
 ■『魯迅(原題: 魯迅)』(監督:ティン・インナン丁蔭楠)
    以上2作品

≪来日ゲスト≫
 胡兵(フービン)(中国映画俳優)
 ロイ・ウォン(中国映画俳優)
 田中 麗奈(日本映画女優))
 nano
 右手 愛美(ピチレモンモデル)
 東海林 のり子(司会)

≪チケット≫
【前売券】
  入場料+映画鑑賞料: 1,000円(税込/自由席/1チケットにつき1作品鑑賞のみ有効)
【当日券】
  入場料: 300円(税込/再入場不可)
  映画鑑賞料: 1000円(入場料別途/税込/自由席/1チケットにつき1作品鑑賞のみ有効)
【購入方法】
  前売券は下記プレイガイドにてお求め下さい。
   チケットぴあ 0570-02-9999 Pコード:476-251
   ローソンチケット 0570-084-003  Lコード:37573
  問い合わせ:日中映画祭実行委員会:03-5414-6014

公式 HP >> http://www.cj-ff.org/



『ライフ シネマティック 映画的人生(1)』

黒澤明文化振興財団が主催する《黒澤明記念ショートフィルム・コンペティション》 の第1回目のコンペが2004〜2005年にかけて作品を公募して開催されました。 作品の長さは「10分」、テーマは「人生」という条件のもとに新しい映画作家と新しい表現を求めるこのコンペには、日本国内から377タイトル、海外から101タイトル、合計478本の作品がエントリーされ、2005年9月のアワードで6作品が受賞しました。
映画『ライフ シネマティック 映画的人生?@』は、受賞6作品とノミネート作品2作品の計8タイトルをまとめた劇場公開バージョンのオムニバス映画です。

グランプリ受賞作品
『The Kitchen』 監督:ベン・フェリス(オーストラリア)
準グランプリ受賞作品
『Making Life Work』 監督:マキシミリアン・パロブスキィ(アメリカ)
立教大学奨励賞受賞作品
『凪』 監督:新井貴淑
奨励賞受賞作品
『火の次は歴史』 監督:イアン・オネル(トルコ)
『半ズボンのおじさん』 監督:長岡広太
『Dirty Work Blues』 監督:大北聡子
ノミネート作品
『Epitome』 監督:島田和明
『進め!』 監督:沖田修一

どの作品も、10分という短い時間の中に、それぞれの監督の「人生」への思いが凝縮された興味深い作品です。 繰り返される日常の中で起こる様々なできごとが、いかに人生を豊かにしているかに思いが至ったりしました。 そして、いかに自分が狭い世界にいるのかにも・・・。(咲)

2006年/日本/90分/DV/(C)財団法人黒澤明文化振興財団
配給・宣伝:ステップ・バイ・ステップ

◆6月24日(土)〜30日(金)
シアターN渋谷にて限定レイトショー(連日21:10〜)

★6月24(土) 【ティーチイン】 上映後
ゲスト:イアン・オネル(『火の次は歴史』監督)、長岡広太(『半ズボンのおじさん』監督)

公式HP>>  http://www.kurosawa-foundation.com/


「オキナワ映画クロニクル2006」

シネマアートン下北沢では、一昨年、昨年に引き続きまして、沖縄映画の特集上映を行います。
それぞれの監督の沖縄への思い、時代ごとに反映される沖縄がフィルムの中にはあります。 時代に翻弄されつつ、そこで生きてゆく人々、今もなお受け継がれてゆく信仰や文化、目に見えない沖縄が、映画を通して多面的にみることによってみえてくるかもしれません。 目に見える沖縄の風景、人それぞれが持つ沖縄の色。スクリーンで初めてみえてくるオキナワの色があります。
今回の特集では、計9作品を上映致します。
上映される機会の少ない貴重な作品の上映もあり、多くの方に足を運んで頂きたいと思っております。(プレスリリースより)

期間:6月10日(土)〜30日(金)

場所:シネマアートン下北沢

6月10日(土)〜16日(金)
14:30 『海南小記序説・アカマタの歌
 〜西表島・古見〜』
(1973/83分/監督:北村皆雄 )
16:10 『カメラになった男 写真家 中平卓馬』 (2003〜/89分/監督:小原真史)
 *2006年初公開
18:00 『ウンタマギルー』 (1989/120分/監督:高嶺剛 
 出演:小林薫、戸川純、青山知可子)
6月17日(土)〜23日(金)
13:20 『太陽の子 てだのふあ』 (1980/140分/監督:浦山桐郎 
 出演:原田晴美、河原崎長一郎 )
16:00 『東シナ海』 (1968/105分/監督:磯見忠彦 
 出演:田村正和、内田良平、加藤治子)
18:00 『GAMA 月桃の花』 (1996/監督:大澤豊 
 出演:朝霧舞、川平慈英、國村隼、沖田浩之)
6月24日(土)〜30日(金)
14:20 『ニライカナイからの手紙』 (2005/113分/監督:熊澤尚人 
 出演:蒼井優、平良進、南果歩)
16:30 『あじまぁのウタ』 (2002/88分/監督:青山真治 
 出演:上原知子、照屋林賢、りんけんバンド)
18:20 『生きない』 (1998/100分/監督:清水浩 
 出演:ダンカン、大河内奈々子、尾美としのり)

公式 HP >> http://www.cinekita.co.jp



The Japan Foundation Film Series Part.6「巨匠と時代劇」

The Japan Foundation Film Seriesと題された英語字幕付き日本映画上映会の第6弾は「巨匠と時代劇」です。増村保造、伊藤大輔、内田吐夢、今井正、黒澤明、市川崑といった、日本が世界に誇る映画監督の時代劇作品が英語字幕付きで上映されます。
是非この機会に、外国のお友達を誘ってご覧になって下さい。

期間:2006年6/23(金)〜6/25(日)
会場:赤坂・ドイツ文化センター
    東京都港区赤坂7−5−56 ドイツ文化会館内
    地下鉄半蔵門線・都営大江戸線「青山一丁目」駅A4出口より徒歩5分

主催:独立行政法人 国際交流基金
企画・運営協力:特定非営利活動法人東京フィルメックス実行委員会
協力:角川映画、東映、松竹

料金:当日600円(当日券のみ)
*各回入替制 *全作品英語字幕付き (講演は入場無料)

<お問合せ先>
・ 会期前のお問合せ:上映会事務局(東京フィルメックス内)
          Tel:03-3560-6394(11:00〜17:30 平日のみ)

<タイムテーブル>(6作品上映)   *入替制(開場は15分前)
6/23(金)
18:30 『華岡青洲の妻』(1966/99分/監督:増村保造)
The Wife of Seishu Hanaoka /1967 / 99mins. / MASUMURA Yasuzo
6/24(土)
13:30 『おぼろ駕籠』(1951/98分/監督:伊藤大輔)
The Inner Palace Conspiracy /1951 / 97mins. /ITO Daisuke
15:45 『血槍富士』(1955/94分/監督:内田吐夢)
A Bloody Spear at Mt. Fuji /1955 / 94mins. /UCHIDA Tomu
18:00 『武士道残酷物語』(1963/123分/監督:今井正)
Bushido: Samurai Saga /1963 / 123mins. / IMAI Tadashi
6/25(日)
13:30 『羅生門』(1950/88分/監督:黒澤明)
Rashomon /1950 / 88mins. / KUROSAWA Akira
15:15 講演:マクドナルド慶子氏 (映画研究者)
Lecture by Macdonald Keiko
18:00 『雪之丞変化』(1963/113分/監督:市川崑)
Revenge of a Kabuki Actor /1963/113mins./ ICHIKAWA Kon

公式 HP(include english site )>> http://www.jpf.go.jp/



「韓国女性監督映画の夕べ」

「食とシネマで韓国を知ろう」という企画の一環として、 以下の日程で韓国女性監督映画の無料上映会が三軒茶屋で行われます。 前日まで申し込み可ですのでぜひご参加ください。 最終日は韓国の女性監督も来日します。

6月15日(木)「子猫をお願い」
6月16日(金)「もし、あなたなら〜6つの視線」
6月17日(土)「韓国発 映画をつくる女たち」上映と上映作品監督(イム・スルレ)トーク

3日間とも19時〜21時
場所 三軒茶屋キャロットタワー4F
参加費無料
問い合わせ 03−5432−1543 (世田谷文化生活情報センター 生活工房

詳細 >> http://www.setagaya-ac.or.jp/ldc/modules/events/event_detail.php?num=0&id=25



「中国映画祭」

会期 :2006年6月16日(金)〜6月18日(日)(3日間)
会場 :草月ホール (総席数530席)
東京都港区赤坂7-2-21草月会館B1階 / 電話03-3408-9113
<アクセス>東京メトロ半蔵門線・銀座線『青山一丁目駅』4番出口より徒歩5分
東京メトロ銀座線・丸の内線 『赤坂見附駅』A出口より徒歩10分

≪上映作品≫ :
 ■『私に栄誉を!(原題:求求[イ尓]、表揚我)』(監督: ホアン・ジエンシン黄建新)
 ■『フートン胡同愛歌(原題:看車人的七月)』(監督: アン・ジャンジュン安戦軍)
 ■『静かなるマニ石(原題:静静的嘛[ロ尼]石)』(監督: ワンマツェダン万瑪才旦)
 ■『二人のバレエ(原題: 両個人的芭蕾)』(監督: チェン・リー陳力)
 ■『魯迅(原題: 魯迅)』(監督:ティン・インナン丁蔭楠)
    以上5作品

≪来日ゲスト≫
 黄建新(ホアン・ジエンシン)監督、陳好(チェン・ハオ)、王志文(ワン・ジーウェン)(『私に栄誉を!』)(予定)
 範偉(ファン・ウェイ )(『私に栄誉を!』、『フートン胡同愛歌』)
 万瑪才旦(ワンマツェタン)監督(『静かなるマニ石』)
 李[王路](リ・ルー)、韓宏飛(ハン・ホンフェイ)プロデューサー (『二人のバレエ』)
 金琛(ジン・チェン)監督(田中麗奈主演ドラマ『美顔(愛在左、情在右)』)
 劉建中(リュウ・ジエンジョン)(華夏局長)

≪イベント関連≫
 中華藝能(http://www.chugei.com)による京劇や民族音楽の上演を予定

≪チケット≫
 通常料金…1500円(1300円)
 オープニング作品(オープニング・セレモニー含む)…2000円(2000円)
  ※カッコ内は前売り料金
 販売方法 : チケットぴあ、ローソンチケット、イープラス ほか(5月19日より販売開始)

日中映画祭実行委員会:03-5414-6014

公式 HP >> http://www.cj-ff.org/



「華流シネマウィーク2006」

お待たせしました!血湧き、肉躍る華流シネマウィーク遂に開催!!
韓流シネマフェスティバルの熱気が冷めやらぬ中、韓流に負けず劣らず熱狂的なファ ンを生み出している華流作品の数々。レスリー・チャンやアンディ・ラウ、F4など新 旧の華流スターの出演作を一挙に公開するスペシャルイベントがシネマート六本木に て開催されます。

開催期間:6月3日〜7月14日
前売券:1,500円 当日券:1,800円 (当日券のみもあり)

《公開予定作品》

☆初公開作品

◆『ドラゴン・プロジェクト』 6/3〜6/23
 スティーブン・フォン監督・主演
 アンソニー・ウォン、ジリアン・チョン、ダニエル・ウー
 >> 作品紹介
◆『エンター・ザ・フェニックス』 6/3〜6/23
 スティーブン・フォン初監督・脚本
 ダニエル・ウー、カレン・モク、イーソン・チャン
◆『6AM』 6/3〜6/23
 エイドリアン・クワン監督
 Boy's(ケニー・クワン、スティーブン・チョン)、Twins
◆『剣客之恋』6/10〜6/16 当日券:1,500円
 ゴードン・チャン監督
 アンディ・ラウ、セシリア・チャン、アンソニー・ウォン
◆『天上の恋人』 6/10〜6/16 当日券:1,500円
 ジャン・チンミン監督
 リウ・イエ、ドン・ジエ、タオ・ホン

☆アンコール上映  当日券:1,300円

◆『マジック・キッチン』 6/17〜6/23
 リー・チーガイ監督
 ジェリー・イェン、サミー・チェン、アンディ・ラウ
◆『スカイ・オブ・ラブ』 6/24〜6/30
 タン・ファータオ監督
 ケン・チュウ、ジジ・リョン
◆『スター・ランナー』 7/1〜7/7
 ダニエル・リー監督
 ヴァネス・ウー、キム・ヒョンジュ、アンディ・オン

☆特別初上映作品  当日券:1,300円

◆『天上の剣〜Legend of Zu』 7/8〜7/14
 ツイ・ハーク監督
 チャン・ツィイー、イーキン・チェン、セシリア・チャン、ルイス・クー

☆レスリー生誕50周年記念上映作品  当日券:1,300円

◆『恋戦。OKINAWA Rendez-vous』 7/8〜7/14  ゴードン・チャン監督
 レスリー・チャン、フェイ・ウォン、レオン・カーファイ

公式 HP >> http://www.cinemart.co.jp/contents/hua_week/index.html






『ドラゴン・プロジェクト』&華流シネマウィーク2006

『ドラゴン・プロジェクト』
俳優、歌手であるスティーブン・フォン、監督2作目の作品。

 ニッキー(スティーブン・フォン)とナタリー(ジリアン・チョン)兄妹の父シウボウ(アンソニー・ウォン)は、整体医院を営んでいる。 そんな兄妹は、父からカンフーの特訓を幼い頃から受けていた。 そして、二人は、うだつの上がらない父が、口癖のように自慢していた「昔、情報機関で働いていた」という話を、ホラ話として聞いて育った。

 ある日、父親が何かの事件に巻き込まれ、誘拐されてしまった。 さあ大変、親父を助け出さなくてはと、日ごろは仲の悪い兄妹も、妹の彼氏ジエイソン(ダニエル・ウー)や、整体医院の客(ウー・マ)を巻き込んで、父親の救出作戦に乗り出す。 日頃のカンフーの特訓が役立つ時がきた。 でも、相手は手ごわくて、なかなか父親を救出できない。 はたして、二人は父親を救出することができるのか…。

 カンフー大好きというスティーブンの思いが詰まっている作品。 香港映画特有の笑いのツボとカンフーアクションのツボ、そして、配役が絶妙!  この映画のキーワードは、整体医院の客、ウー・マ。 それがわかった瞬間、大笑いすること請け合いです。 そして、兄を誘拐する悪役にはマイケル・ウォン。 その息子役の少年がまた、カンフーの使い手でうまい! 

 去年の東京国際映画祭で上映されたときは、チケットが取れず観ることができなかった私は、どうせ、俳優の趣味みたいな作品だろうと、ちょっとスティーブンのことをみくびっていたけど、どうしてどうして、けっこう香港映画の王道を行っている。 今後、期待の新人監督かも。製作総指揮にジャキー・チェン、アクション監督にユエン・ウーピンと、香港映画界の期待も背負っている。

 監督第一作目の『エンター・ザ・フェニックス』は観ていないけど、そんなツボを押さえた作品みたい。 「華流シネマウィーク2006」で公開されるので、こちらも楽しみ。


東京国際映画祭上映時の、スティーブンの写真

 華流シネマウィーク2006は、『ドラゴン・プロジェクト』『エンター・ザ・フェニックス』『6AM』の新世代スターによる作品が6/3〜6/23、6/10からは、レスリー・チャン、アンディ・ラウ、F4らの作品が1週間交代で続く。

宮崎




『水に棲む花』

監督:後藤憲治
撮影:田沢美夫
原作:篠原千絵(小学館刊)
出演:前田亜季(六花)、北川景子(立夏)、竹財輝之助(楪)、高杉瑞穂(出水)、永島敏行、浅利香津代、佐藤恒治、伊藤克信ほか

林間学校の帰り道、バスが転落。全員死亡かと思われたが、二階堂六花がただ一人生き残った。 六花は水中で自分に呼びかける誰かの声を聞いていた。 そして事故以来、自分の身体が水なしでいられなくなっているのに気づいていた。 水泳部に復帰した日、プールで不思議な少女に出会い恐ろしい思いをする。 従弟の楪(ゆずる)は、彼女の背中にできた花びらの形のアザが増えていくのを知り、六花を守るために一緒に暮らすことを提案する。


(c)2005篠原千絵/小学館・「水に棲む花」製作委員会

人気漫画家 篠原千絵原作の同名コミックの映画化。
主演は『バトル・ロワイヤル』、『最終兵器彼女』の前田亜季。北川景子は『間宮兄弟』にキャピキャピな妹役で出演していますが、こちらが先の作品。 あまりに雰囲気が違うので見違えました。
竹財輝之助は「仮面ライダー剣(ブレイド)」に、ジャーナリストを目指す白井役で出演。 ヒーローものはイケメン男優が多いですね。高杉瑞穂はTVドラマ、CMで活躍中。 若手俳優たちにベテランの永島敏行が加わり、原作にはない新聞記者役で、ストーリーテラーの役目を果たしています。 水神伝説を中心にしたファンタジーですが、もう少し盛り上がれば切なさがより出たのになぁ。 エンディング曲『ともだち』を歌う「toi teens!?」は高校生のゴスペル・グループ。(白)

2005/日本/カラー/84分/
配給・製作協力: BLUE PLANET 宣伝:フレスコ

5月27日(土)より、ユーロスペースにてレイトショー

http://actcine.com/mizunisumuhana/


『夢駆ける馬ドリーマー』

監督・脚本:ジョン・ゲイティンズ
撮影:フレッド・マーフィ
音楽:ジョン・デプニー
キャスト:カート・ラッセル(ベン・クレーン)、ダコタ・ファニング(ケール)、クリス・クリストファーソン(ポップ)、エリザベス・シュー(リリー)、ルイス・ガスマン(バロン)、フレディ・ロドリゲス(マノリン)、デイヴィット・モース(パーマー)、0オデット・フェール(サディール王子)ほか

ベンはかつて優秀な騎手だったが引退し、パーマーにトレーナーとして雇われている。 農場の経営も苦しいので、頼みの綱は今調教している牝馬ソーニャドールだ。 しかしレース直前、ベンは脚の異常に気づく。 休ませることをパーマーに提案するが聞き入れられず、出場したソーニャドールは転倒。 馬の生命ともいうべき脚を骨折してしまい、パーマーに殺すよう命じられる。 愛娘のケールが見つめていたので逡巡した挙句、自分のギャラと相殺で農場に引き取ることにした。 祖父ポップと仲が良く、かつてのベンのように馬好きのケールは大喜びでソーニャドールの世話をする。

脚本も書いたジョン・ゲイティンズ監督の言葉 「この映画は夢を描いている。父親を理想化する若い娘の夢、困難に陥った家族の夢、家族を一つに結ぶ、名馬にかける夢」。
“ソーニャドール”とはスペイン語で“夢見る者”の意味、英語だとドリーマーですね。この映画は、実際にあったマライアストームズという2歳の牝馬が骨折から奇跡的に立ち直った話をもとにしているそうです。 レースの模様をはさみながら、馬を通して家族が一つに結ばれていく様が感動を呼びます。
馬には精通していても、父や娘とうまく交流できないベン役のカート・ラッセル、少女ながら馬主になる役のダコタ・ファニングは、説得力ある演技です。 もう一人の主役の馬たちが美しく、レースの展開も競馬ファンならずともドキドキものです。 それにしても、伝統のクラシックレース、ブリーダーズ・カップというのは、出場権を得るのも大変、そのうえ登録や出走権料に12万ドルもかかるとはっ! 勝てば優勝賞金が400万ドル!! 思わず日本円に換算してしまいましたよ。(白)

2005/アメリカ/カラー/1時間46分/スコープサイズ/ドルビーデジタル/
ドリームワークス提供/配給:アスミック・エース

5月27日(土)より感動の全国ロードショー


『GOAL!』

監督:ダニー・キャノン
出演:クノ・ベッカー(サンティアゴ・ムネス)、スティーヴン・ディレイン(グレン・フォイ)、アンナ・フリエル(ロズ・ハーミソン)、アレッサンドロ・ニヴォラ(ガバン・ハリス)、マーセル・ユーレス(エリク・ドーンヘルム監督)、トニー・プラナ(父親)ほか

サッカーボールと共に育ったメキシコ生まれのサンティアゴ。子供のころ家族で不法入国してロスで働いていた。プロを夢見て地元で活躍する彼は、元選手でスカウトのグレンに才能を見出される。実直で頑固な父は息子の夢を理解せず、貯めていたお金で仕事用の車を買ってしまう。力を落としたサンティアゴだったが祖母の応援で英国に渡り、名門ニューカッスル・ユナイテッドのテストを受けることができた。看護士ロズの応援も得て、長く厳しい戦いの第一歩を踏み出すのだった。

FIFA(国際サッカー連盟)初のオフィシャルサポート作品です。3部作のうちの第1部。イングランドのプレミア・リーグを舞台にボールに夢をかける若者の成長物語です。過酷な練習のようすや大興奮の試合もサポートを受けた作品ならでは。主演 のクノ・ベッカーはメキシコ生まれで、TVドラマで活躍。まだ映画出演は数本の新 鋭。よくぞ見つけたと思うほどこの役柄にはまっています。アラン・シアラー、デヴィッド・ベッカム、ラウール・ゴンザレス、ジネディーヌ・ジダンなどお馴染みの名選手もちらりと登場します。これからの展開が楽しみ。(白)

ワールドカップ・イヤーの今年はサッカー映画も注目です。本作の他にスペインの名門サッカーチーム、レアル・マドリッドのドキュメンタリー作品『レアル・ザ・ムービー』も公開されました。
『GOAL!』はフィクションですが、全世界の貧しい生活の中でプロサッカー選手に憧れる子供たちの夢を完全映像化してくれています。試合の映像はかなりの興奮もの。そして挫折と栄光、家族愛や友情などもきっちり織り込んで、家族で観て楽しめる作品になっていますよ。ワールドカップの試合を観てこの作品を観れば、小さい未来のサッカー選手たちのサッカー熱はヒートアップすること間違いないでしょう。(梅)

2005/米=英合作/1時間58分/スコープサイズ/SRD
配給:東芝エンタテインメント 宣伝:メディアボックス

公式 HP >> http://www.goalthemovie.jp

★FIFAワールドカップ直前!5月27日(土)より全国ロードショー


『ジャケット』 The Jacket

監督:ジョン・メイブリー
出演:エイドリアン・ブロディ(『戦場のピアニスト』『キング・コング』)、キーラ・ナイトレイ(『ラブ・アクチュアリー』『プライドと偏見』)、ジェニファー・ジェイソン・リー、クリス・クリストファーソン
製作:スティーヴン・ソダーバーグ ジョージ・クルーニー

1992年、湾岸戦争で頭に傷を負い記憶障害の後遺症を持つジャック(エイドリアン・ブロディ)は、一面銀世界の静かな並木道で、母親に手を引かれた少女と出会う。 ジャックの認識票に興味を示した少女に、彼は認識票をプレゼントする。 その雪道で殺人事件に巻き込まれたジャックは、精神病院に入れられ、白いジャケットを着せられ死体安置用の引き出しに閉じ込めるという実験的な治療を受けさせられる。 目を開けるとそこは15年後の2007年の世界。 そこで出会った女性(キーラ・ナイトレイ)から、自分が15年前に死んでいることを知らされる。その女性こそ、雪道で出会った少女だった…。

スティーヴン・ソダーバーグとジョージ・クルーニーの二人のプロデュースによる、独創的なサスペンス。 ジャケットを着て拘束されているはずの肉体が、タイムスリップし、未来の世界で自分の過去を知るという経験をする。 時空を超えて、自分の死期が迫っているのを知ったジャックの当惑した顔。 エイドリアン・ブロディの眉毛の角度は、いつも困ったモードなのだけど、4日後に 死ぬと知らされ、さらに困惑した表情に…。 はたして、歴史を変えられるのか?
 謎解きはさておき、空気がピンと張り詰めたような雪景色の美しさに魅了された。(咲)

アメリカ=ドイツ/2005/103分/シネマ・スコープ/カラー
配給:松竹  宣伝:LIBERO
★5月20日 東劇他全国ロードショー
公式HP>> http://www.jacket-movie.jp/

5月16日(火)TOKYO FMホール(半蔵門)にて開催された『ジャケット』公開記念イベントの模様をLIBERO様より提供いただきました。

“着ると運命が見えるジャケット”がキーワードであるこの映画の内容にちなんで、<運命を変えるジャケット>をテーマに、ファッション専門学校の学生によるデザインコンテストを実施した。 このイベントにはカジュアルでキュートなファッションで人気、またデザイナーとしても才能を発揮している、タレントのベッキーがゲスト審査員として登場! グランプリに輝いたとても個性的な“ジャケット”に身を包み観客を魅了した。
 イベントは、ファッション専門学校の生徒と満席の観客の期待に包まれた空気の中スタートし、13チームの自信作が次々と登場。 応募総数100作品から選ばれただけあって、ベッキーも驚嘆の出来のものばか り。
映画にあわせた「開放」「運命」などのテーマにも共感していた様子。
グランプリに選ばれた、ハードな中にキュートな要素も含まれた作品に着用して、大絶賛したベッキーだが、 「人生を変えられるようなジャケットだと思う。変えるならHAPPYに変えたいな」 「HAPPYになれるものが好き」とHAPPYを連発。
当日の私服も「この日に合わせてスタイリストさんに作ってもらった」というピンクのオリジナルジャケットであったように、とにかく「HAPPY」が自分のテーマ、と笑顔で語った。



『アンジェラ』  原題:ANGEL

監督・脚本:リュック・ベッソン(『グラン・ブルー』『ニキータ』『レオン』『フィフス・エレメント』『ジャンヌ・ダルク』)
撮影:ティエリー・アルボガスト(『ニキータ』『レオン』『フィフス・エレメント』『ジャンヌ・ダルク』)
美術:ジャック・ビュフノワール(『ラ・ブーム』『男と女』『インドシナ』『キス・オブ・ザ・ドラゴン』『ダニー・ザ・ドッグ』)
音楽:アンニャ・ガルバレク(ノルウェーの女性ヴォーカリスト)
出演:ジャメル・ドゥブース(『アメリ』『ミッション・クレオパトラ』)、リー・ラスムッセン(『ファム・ファタール』)

パリの町で出会う男と女の愛の物語———。

フランス本国では、公開初日まで、作品の内容・出演者・映像などが一切秘密にされ、 試写会も行わない徹底ぶり。 リュック・ベッソンが、10年間温めていた構想を2週間で書き上げた脚本には、 彼のパリをいとおしむ気持ちが満ち溢れている。 観終わったときの、摩訶不思議な幸せな気分… こんな映画、観たことがない!(咲)

ヒロインは身長180cm、GUCCIの専属モデル。リー・ラスムッセンの脚の長い こと!美しくて強い理想の女性像を果敢に演じています。モノクロ(カラーフィルム を使ったそうですが)の映像も美しく、パリの青い空やアンジェラの金髪が目に残っ ている(気がする)のが不思議〜。プレゼントを貰った気分になる作品です。(白)

久々にやってくれましたリュック・ベッソン監督。映像良し、物語良し、俳優良し、音楽良し! 音楽のアンニャ・ガルバレクに出会えたことも嬉しい。70年代から活躍した著名なノルウェー人ジャズ・ミュージシャン、ヤン・ガルバレクの娘だ。ヤンの大ファンだったわたしには、アンニャの独自の世界を持った美しい音楽も素晴らしい贈り物だった。観た後すぐに、もう一度大きなスクリーンで観たいと思った。(梅)

2005年/フランス/1時間30分/スコープサイズ/ドルビーデジタル
サウンドトラック:東芝EMI
ヨーロッパ・コープ提供 輸入元:ヨーロッパコープ ジャパン
配給:アスミック・エース
公式HP>> http://angel-a.jp/

★2006年5月 丸の内ピカデリー1ほか 松竹・東急系にて全国一斉“待望”のロードショー


『柔道龍虎房』

監督:杜[王其]峰(ジョニー・トー)
脚本:游乃海(ヤウ・ナイホイ)、葉天成(イップ・ティンシン)、歐健兒(アウ・キンイー)
撮影:鄭兆強(チェン・シウキョン)
音楽:金培達(ピーター・カム)
挿入歌:柔道龍虎榜(O.T. 姿三四郎) 歌:徐小鳳(ポーラ・チョイ)
キャスト:古天楽(ルイス・クー:シト・ポウ)、郭富城(アーロン・クォック:トニー)、梁家輝(レオン・カーファイ:アコン)、應采兒(チェリー・イン:シウモン)、蔡一智(カルバン・チョイ:チン)ほか

シト(ルイス・クー)はかつては偉大な柔道家だったが、今はアルコールとギャンブル漬けの日々。そんな彼の前にトニー(アーロン・クォック)という若者が現れ、試合を申し込む。同じ頃、かつてのライバルが現れ、行えなかった試合の決着を付けたいと言う。また、師匠は道場に戻り跡を継いで欲しいとやってくる。全てから逃げ回るシトだったが、師匠の死やトニーの情熱、周囲の支えによって人間として再生していく。

http://www.judo-ryukobo.com/

配給:デックスエンタテインメント&ステップバイステップ

5月13日(土)よりキネカ大森、銀座シネパトス(レイトのみ)にて公開
公開初日トークイベント キネカ大森にゲスト来場!
★ゲスト:瀧本誠(柔道家)×姿憲子さん(歌手)×岡崎裕武さん(スチール)×梶原和男さん(映画評論家)

特別記事ルイス・クー(古天樂)出演作続々登場!!もご覧下さい。



ニューヨークで暮らしています 彼女たちがここにいる 理由 ( わけ )

シネマジャーナルのスタッフ、泉悦子がドキュメント作品を自主制作しました。
上映会を行ないますので、ぜひ興味のある方は観に来てください。

1. 月日 2006年1月14日(土)
 場所 東京ウィメンズプラザ 視聴覚室

2. 月日 3月23日(木)
 時間 19:30〜上映(英字幕付き)  20:45〜ティーチイン  21:30終了
 場所 Ben’s Cafe (ニューヨーク式カフェ)
3. 月日 4月1日(土)
 時間 午後1:30開場 2:00〜関係者挨拶 2:15〜上映 3:45〜ティーチイン 4:30終了
 場所 ウィル愛知(愛知県女性総合センター)視聴覚ルーム
4. 月日 4月22日(土)上映会 ティーチイン (注:開催日が8日から変更になりました)
 場所 アートフォーラムあざみ野 レクチャールーム
5. 月日 5月13日(土)上映会 ティーチイン
 場所 ベルブ永山(多目的公民館)

問い合わせ 03-5991-3486 泉

好評のうちに終了!

DVD/VHSが出来上がりました!DVD、VHSともに2000円
上映会会場価格1800円
図書館など公共施設価格3000円
消費税、送料込みです。
Tel&Fax03-5991-3486  cinemajournal@mb.point.ne.jp  泉あて



『太陽に恋して』(原題:In July)

監督・脚本:ファティ・アキン
キャスト:モーリッツ・ブライブトロ(ダニエル)、クリスティアーネ・パウル(ユーリ)、イディル・ユネル(メレク)、ブランカ・カティク(ルナ)ほか

ダニエルはハンブルクで数学の教育実習生をしている。生徒達に授業は早仕舞いさせられる、いけてない若者だ。アクセサリーの露店でユーリに呼び止められ、「太陽を身につけた理想の女性が現れる」と幸運の指輪を買わされる。ユーリは前からダニエルに好意を持っていたのだ。夜のパーティに誘われたダニエルは、宿を探しているメレクに出会う。太陽のペンダントをつけていた彼女をダニエルは「理想の人」だと思い込む。ダニエルのために、太陽の絵がついた服を着て来たユーリは、傷心のため翌日街を 出ることにする。

アキン監督の長編2作目。『es(エス)』の主演モーリッツ・ブライブトロほか若手俳優を起用、ハンブルグからルーマニア、ブルガリアを経てイスタンブールまで旅するロードムービー。
すれ違う恋と、世間知らずだった不器用なダニエルがたくましくなっていくようすが ユーモアをもって描かれています。出てくる女性たちがみなたくましく魅力があり、 楽しい作品。アキン監督が国境警備隊員の役で登場して笑わせてくれます。(白)

2000/ドイツ/カラー/100分/35mm/アメリカンビスタ/ドルビーデジタル
配給:東京テアトル株式会社
宣伝:アルシネテラン

★4月29日(土)より、シアターN渋谷にて“イスタンブールへの旅立ち”レイトショー

公式 Blog >> http://ameblo.jp/injuly/



『愛より強く』(原題:HEAD ON)

監督・脚本:ファティ・アキン
音楽:ゼーリム・ゼスラー
キャスト:ビロル・ユーネル(ジャイト)、シベル・ケキリ(シベル)、カトリン・シュトリーベック(マレン)、メルテム・クンブル(セルマ)、グーヴェン・キラック(セレブ)ほか

40歳の元パンクロッカーのジャイトは愛妻に先立たれ、自殺未遂を起こして病院に収容される。そこで出会った若く美しいシベルは厳格な両親と兄から逃れるために結婚相手を探していた。生きる目的をなくしたジャイドは渋々承諾し、友達を伯父に仕立てて求婚に出向く。結婚した二人はアパートをシェアして暮らすが、自由を得たシベルは毎夜違う男と遊び歩く。いつしかシベルに魅せられていたジャイドは、彼女の相手の男と喧嘩になり悲劇が起こる。

アキン監督が同じトルコ系ドイツ人の俳優を起用した長編4作目。自らの体験をもと にドイツとトルコの文化衝突を、ハンブルク、イスタンブールを舞台に描き出してい ます。作品のところどころにトルコの伝統音楽を取り入れ、そこで歌われるメランコ リーな歌がストーリーテラーの役目を果たしています。主演の二人がとても個性的。 ユーネルは監督の友人ですが、シベルは街でスカウトしたとか。ベルリン金熊賞を受賞後、ポルノ女優をしていたことがわかって話題となりました。強い視線と美しさにジャイトならずともオジサンは惚れるにちがいありません。(白)

2004/ドイツ/カラー/121分/35mm/ビスタ/ドルビーデジタル
提供:エイベックス・エンターテインメント
配給:エレファント・ピクチャーズ
宣伝:アルシネテラン

★4月29日(土)より、シアターN渋谷にて“真実の愛”を問うロードショー

公式 HP >> http://www.elephant-picture.jp/aiyori/



『デュエリスト』

監督:イ・ミョンセ
脚本:イ・ミョンセ、イ・ヘギョン
原作:ハン・ハッキ「茶母」
撮影:ファン・ギソク
美術:イ・ヒョンジェ、ハ・グニョン
音楽:チョ・ソンウ
武術監督:チョン・ムンシク
キャスト:ハ・ジウォン(ナムスン)、カン・ドンウォン(悲しい目)、アン・ソンギ(アン刑事)、ソン・ヨンチャン(ソン長官)、ユン・ジュサン(ボンチュル)、従事官(ト・ヨング)ほか

朝鮮王朝の時代、国内に偽金が蔓延し、警察はその取り締まりに躍起になっていた。女刑事のナムスンは先輩のアン刑事とともに偽金作りの陰謀を探る中、美しい刺客に出逢い、その舞うがごとく華麗な剣さばきと「悲しい目」に心が釘付けになってしまう。しかし彼が偽金の陰謀に関わっているのは明らかだった。ナムスンは事件を追いつつも、いつしか「悲しい目」を追い求めていた・・・

原作はNHKで放送された「チュオクの剣」と同じで、ハ・ジウォンが演ずるのも同じキャラクターです。しかし映画では徹底的に映像美が追求され、娯楽大作というよりは剣舞をモチーフとしたアート作品のような面持ち。闘いのシーンもアクションというより舞踏。スローモーションを多用しすぎなのはいかがなものかと思いますが、とにかくお耽美。韓国映画らしからぬ雰囲気を持っています。
カン・ドンウォンはスチル写真で見るときと、スクリーンで観るときで、どうしてこんなに印象が違うんでしょう! 動いてこそ栄える人です。お稚児さんのような髪型がまたよく似合って、セリフは極端に少ないけれど囁くような声がまた良くて、やられたぁって感じです。(梅)

日本版は韓国のオリジナルと編集が違うそうですが、最初の市場のシーンから動きの早いこと。ストーリーを追う間もあらばこそ、って感じです。みなさんしっかりついていきましょう。大画面のアップにも耐える美形のドンウォンくんの姿にほれぼれします。舞踊の稽古をみっちりやったそうで、主人公2人の闘いぶりは舞いのようですし、歌舞伎か能かといった映像美です。雪のシーンは、まるで道行(梅川と忠兵衛?)を思わせるものでした。セリフの少ない2人を補うかのように、アン・ソンギが大活躍です。さすがベテラン!(白)

2005/韓国/カラー/スコープサイズ/SRD/104分 字幕翻訳:根本理恵
配給:コムストック

公式 HP >> http://www.duelist-movie.jp/

★4月22日(土)〜丸の内プラゼール他全国松竹・東急系にてロードショー
特別記事『デュエリスト』来日記者会見もご覧下さい。


『トム・ヤム・クン!』

監督・製作・脚本:プラッチャヤー・ピンゲーオ
キャスト:トニー・ジャー(カーム)、ペットターイ・ウォンカムラオ(マーク巡査)、チン・シン(マダム・ローズ)、ボンコット・コンマライ(プラ)、ジョニー・グエン(ジョニー)、ネイサン・ジョーンズ(TK)ほか

タイの小さな村。 カーム少年は王を守るムエタイ兵士《チャトゥラバート》の末裔として、 父と共に王に献上するための象を飼い、穏やかに暮らしていた。 オス象のポーヤイは伴侶を見つけ、子象のコーンが生まれる。 カームは弟のように面倒をみるが、密猟者に狙われる事件が起きた。 母象は子供を守ろうと銃の前に飛び出し、撃たれて死んでしまう。 カームと残された象たちとの絆はますます強くなった。
水かけ祭の日、カーム父子はポーヤイを献上するための審査会場に連れて行く。 しかしそこで密猟者に出会ったポーヤイは突如暴れ出し、 騒ぎの中ポーヤイとコーンは密猟組織にさらわれてしまった。 主催者が組織と組み、動物を密輸していたのだ。 カームは大切な象を救うため、《チャトゥラバート》の誇りを胸に、 単身後を追うのだった。

2003年の『マッハ!』で世界中のアクションファンの度肝を抜いたプラッチャヤー・ピンゲーオ監督と、トニー・ジャーが組んだ第2作。 前作で「仏像を返せ!」と叫んでいたジャー君は、今度は「象を返せ!」とオーストラリアまで飛んでいきます。 実生活でも象を飼っているという彼の象とのシーンは心和みます。 この象たちがまた、ちゃんと演技をして可愛い!
今度は関節技をびしばしときめる(象の動きを参考にしたとか)ジャーですが、敵もパワーアップ。 マダム・ローズ率いる格闘技軍団にたった一人立ち向かうバトルは一瞬も目が離せません。 レストランでの4分間の長回しシーンも必見。 しかし、毎回「前作をしのぐ!」のでは身が持たないでしょう。 NGシーンがありませんでしたが、みんな怪我しなかったんでしょうか。 おばさんファンは心配です。(白)

長回しで撮ったダンジョンのようなレストランでのファイトシーンは、凄いとしか言いようがありません。ストーリーはシンプルですが、悪役の設定や象が盗まれた背景などはなかなか面白いと思いました。(梅)

2005/タイ/カラー/110分/ビスタ/ドルビーデジタルSRD/
共同配給:クロックワークス、ギャガ・コミュニケーションズ
宣伝:ギャガ宣伝、クロックワークス、ドラゴンキッカー

★4月22日(土)より シネマミラノほか全国ロードショー!
特別鑑賞券を劇場窓口でお買い上げの方にアイロンプリントシールをプレゼント。

公式 HP >> http://www.tyg-movie.jp/



『ディバージェンス−運命の交差点−』原題:三岔口 英題:DIVERGENCE

製作総指揮:ダネール・ラム/チゥ・シューイン
監督:ベニー・チャン(『天若有情 アンディ・ラウの逃避行』『ジェネックス・コップ』『香港国際警察/NEW PORICE STORY』)
脚本:アイヴィ・ホー(『ラブソング』『ゴージャス』)
美術:ウィリアム・チャン(『欲望の翼』『ブエノスアイレス』『花様年華』『2046』)
主題歌:「三岔口」アーロン・クォック
出演:アーロン・クォック、イーキン・チェン、ダニエル・ウー、アンジェリカ・リー、ロー・ガーリョン、エリック・ツァン、ニン・チン、サム・リー

“ディバージェンス”とは、分岐、岐路の意味。シュン(アーロン・クォック)は、10年前に突然失踪した恋人フォン(アンジェリカ・リー)を今も捜し続ける孤独な刑事。実業家イウ(ロー・ガーリョン)のマネーロンダリング事件で、イウの敏腕弁護士トウ(イーキン・チェン)を知るが、トウの妻エイミー(アンジェリカ・リー二役)を見て驚く。それは何の前触れもなく彼の前から姿を消したフォンと瓜二つだったからだ。その時からシュンはエイミーを監視するようになる。果たしてエイミーは消えたフォンなのか…?
一方、大陸から一人の殺し屋コーク(ダニエル・ウー)が依頼を受けてやってくる。一見感情を持たないように見えるコークだが、何故か刑事シュンにだけは同情を見せ、やがて決して交じり合うようには見えなかった三人の男たちが複雑に絡み合い、意外な結末へと突き進んでいくのだった−。

監督はアクション映画に定評のあるベニー・チャン。高速道路や市場でのアーロンの息もつかせぬアクションは、観る者の想像を絶するであろう。
また本作品は台湾の金馬奨で主演男優賞、脚本賞、編集賞を受賞。香港電影金像奨にも3部門でノミネートされている。(中)

試写の始まる前にアーロンの歌う主題歌がずっと流れていて、もうそれだけで、香港を想って胸が熱くなった。さすが、アイヴィー・ホーらしく、主演の三人だけでなく、出演者の一人一人の人間像が丁寧に描かれている。香港の街を背景に描かれる色々な人生と、私の香港への想いが交錯する101分だった。(咲)

2005年/香港/101分/カラー/ビスタ
提供:タキ・コープレーション/双日
配給:エスピーオー

公式 HP >> http://www.divergence.jp/

★2006年4月22日より CINEMART六本木他全国ロードショー


『ダンサーの純情』 英語タイトル:Innocent Steps

監督:パク・ヨンフン(『純愛中毒』)
出演:ムン・グニョン(『マイ・リトル・ブライド』、TV「秋の童話」)、パク・コニョン

才能溢れるダンサーのヨンセ(パク・コンヒョン)は、ライバルのヒョンス(ユン・ チャン)の陰謀で足をへし折られ、パートナーの女性も横取りされ、屋根上の部屋でくさる日々。ある日、ダンス教室の先輩ジェームズ・マ(パク・ウォンサン)から、 彼の新しいパートナーに中国・延辺朝鮮族自治州から天才ダンサーのチャン・チェミ ンを招聘したので、空港に迎えに行けと言われる。渋々名前を書いたプラカードを持って迎えに行ったヨンセの前に現れたのは、チェミンではなく妹のチャン・チェリン(ムン・グニョン)。入国する為には偽装結婚が条件なのだが、婚約者のいる姉を思い、身代わりを買って出たのだった。ダンスの経験もないチェリンをヨンセは追い出すのだが、怪しげな店に勤めることになった彼女を救い出し、3ヶ月後のダンス大 会出場を目差して猛特訓を始める。血の滲むような努力の甲斐あって、めきめきと上達するチェリンに、宿敵ヒョンスが目を付け、またまたヨンセは足を傷つけられ、チェリンを奪われてしまう…。

「アズバイ(おじさん)」と延辺訛りで話しかける純粋無垢なチェリン役のムン・グニョンが、とにかく可愛くて、もうそれだけで、ほんわか幸せな気分。彼女は役作りのために、延辺に行って訛りを覚え、また、半年にわたって、1日10時間のダンスの 特訓も受けたという。彼女の天真爛漫な笑顔からは、そんな死に物狂いの努力をしたことなど、微塵も感じさせられない。ヨンセ役のパク・コンヒョンは、ミュージカル界の新星。ほんとはチェリンに惹かれはじめているのに、何も言えないでいる奥手で不器用な青年を好演している。
憎々しいライバルのヒョンス(ちょっと小春に似ている!)、ひょうきんな友人チョ ルチョン(演じているのは、コメディアン・ダンサーとして有名なキム・ギス)など脇役も光っている。また、偽装結婚捜査官の男と部下の女性の会話が絶品で笑わせられる。
さて、ヨンセとチェリンは、偽装結婚の証明の為に写真を撮ったり、出会いから結婚までの辻つま合わせのストーリーを考えたりしながら、段々お互いに好きになっていくのだけれど、二人ともなかなか思いを口にできない。チェリンが中国から大事に抱えてきた蛍のごとく「運命の愛を待ち続ける」のだそうで、あぁ〜、じれったい! (咲)

2005年/韓国/111分/カラー/ビスタサイズ/ドルビーSRD
配給:エスピーオー
宣伝:アニープラネット

公式 HP >> http://www.dancer-j.com/


2006年4月15日(土)よりCINEMART六本木、シネリーブル池袋 他にて全国ロードショー

CINEMART六本木オープニングイベント 「韓流シネマ・フェスティバル2006」にて特別上映
http://www.cinemart.co.jp/han-fes2006/index.html

ムン・グニョンとパク・コニョンの舞台挨拶つきプレミア上映が決定!

 日時:2月3日(金)18:40開場/19:00開演
 場所:シネ・リーブル池袋
 登壇者:ムン・グニョン、パク・コニョン
 チケットは、チケットぴあでのみ販売。詳細は、HPをご覧ください。


『緑茶』

監督:チァン・ユアン
脚本:ジン・レンシュン、チァン・ユアン
撮影:クリストファー・ドイル
キャスト:ジャン・ウェン(チン・ミンリャン)、ヴィッキー・チャオ(ウー・ファン/ランラン)、ファン・リジュン(画家)、ワン・ハイジェンほか

大学院生のウー・ファンはたびたび見知らぬ男性とデートをする。 必ず緑茶を注文し、その相手との相性を占っていた。 今日会ったのはサングラス姿のチン・ミンリャン。 彼は店の中を見回してファンでなく、別の女性に声をかけていた。 なかなか打ち解けないファンだったが、逆にミンリャンはファンに興味を抱く。 同じ頃、ミンリャンはピアノの弾き語りをしている派手な女性ランランに出会う。 彼女は夜な夜な声をかけてきた男性と遊びまわる奔放な女性だった。 全く違う性格の二人だったが、ミンリャンには同一人物に思えてしかたがなかった。

次々と話題作を発表している中国第6世代のチァン・ユアン監督最新作。 『ウォ・アイ・ニー』では結婚した若い夫婦をリアルに描いていましたが、 これは都会の男女の愛の行方をまた別の雰囲気で描いています。 ジャン・ウェンは余裕の演技。ヴィッキー・チャオが二役を演じています。(白)

2002/中国/カラー/89分/ドルビーSR/アメリカンビスタ
配給:キネティック
宣伝:シナジー・コーポレーション

4月15日(土)より 東京都写真美術館ホールにて魅惑のロードショー

http://www.ryokucha-movie.com/



『クライング・フィスト』

監督:リュ・スンワン
脚本:リュ・スンワン、チョン・チョロン
撮影:チョ・ヨンギ
音楽:パン・ジュンソク
キャスト:チェ・ミンシク(テスク)、リュ・スンボム(サンファン)、イム・ウォニ(ウォンテ)、ナ・ニム(サンファンの祖母)、キ・ジュポン(サンファンの父)、ソ・ヘリン(テスク妻)、イ・ジュング(テスク息子)、チョン・ホジン(ソバ屋主人)、アン・ギルガン(刑務主任)、ビョン・ヒボン(コーチ)、キム・スヒョン(クォルロク)、オ・ダルス(ヨンデ)ほか

元オリンピック銀メダリストのテシクは、いまやしがないオヤジになりはてている。 引退後経営していた工場が火事にあい、違法建築だとたたかれ後輩に貸したお金も踏み倒される。 妻は夫に愛想を尽かし、一人息子を連れて家を出てしまった。 テシクは自分にできる唯一のもの、ボクシングを生かして街頭で「殴られ屋」を始める。
人生の目的もなく、非行を繰り返してきたサンファンは、20歳を前についに少年院に送られる。 院内でも暴力沙汰を起こし、教務主任にボクシング部を勧められる。 サンファンが面会を拒んできた父がある日事故に遭い、可愛がってくれていた祖母もまた病に倒れる。 新人王戦に出場しよう。サンファンは初めて本気になる。
そのころ、テシクも泥酔して寝込んだ路上で「新人王戦」の広告を見ていた。

この壮絶な人生を送る二人には実在のモデルがいます。 一人は新宿歌舞伎町で「殴られ屋」をしていた晴留屋明、 もう一人は「韓国のタイソン」と呼ばれるソ・チョル。 少年院のロケはモデルのソ・チョルがかつて生活したところで行われています。 短い時間内に厳しい監視のもと行われた撮影は緊迫感溢れるシーンを残しました。 誰もが認める演技派俳優チェ・ミンシクはこの脚本に惚れこみ、 クライマックスのボクシングシーンをリアルなものにしたいと申し出たそうです。 大きな流れだけを設定し、二人は実際に戦っているのです。 そのためのトレーニングをして臨んだというものの、ミンシクは肋骨にヒビが入り、 『アラハン』でアクションを見せたリュ・スンボムも試合の前には「怖くて震えた」とか。 渾身のシーンをお見逃しなく。
ボクシングを芯に「希望」を掴み取ろうとした二人の人間ドラマは、カンヌ映画祭国際批評家連盟賞を受賞しました。 リュ・スンボムは監督の実弟。 コメディもアクションもドラマもいけるこの若い俳優にミンシクも賞賛を惜しみません。 来日記者会見に行けなかったのがつくづく残念です。(白)

2005/韓国/カラー/120分/35mm/シネスコ/SRD
http://www.crying-fist.com/
2006年4月15日(土)より、渋谷アミューズCQN、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー。


『連理の枝』

脚本・監督:キム・ソンジュン
主題歌:シン・スンフン
出演:チェ・ジウ(「冬のソナタ」)、チョ・ハンソン(『オオカミの誘惑』)、チェ・ソングク、ソ・ヨンヒ、ソン・ヒョンジュ、ジン・ヒギョン

ヘウォン(チェ・ジウ)は雨の日のバス停でミンス(チョ・ハンソン)と出逢う。金持ちだが年下でプレイボーイのミンスに初めは警戒するが、ちょっと強引な誘いに楽しさを覚え、次第に仲良くなっていく。ミンスも明るく素直なヘウォンにこれまで付き合ってきた女性とは違うものを感じ、本気で好きになり始める。しかしヘウォンは不治の病に冒されていて、余命わずかと知りながら懸命に明るく生きていたのだった。ミンスを思って彼の愛を拒否するヘウォンだが、残された時間はわずかだと知っていても、互いを愛する気持ちはとめられない。

「連理の枝」とは「2本の樹の枝が、成長するにつれて寄り添い絡み合い、一本の樹のようになっていくさまを表したもので、心も体もひとつに溶け合うかのように強く結ばれた永遠の愛を象徴する」(プレスシートより)のだそうで、唐の詩人・白楽天の「長恨歌」の一節にある言葉「連理枝(つらなるきめえだ)」からきています。
前半はコメディータッチに快活に展開しますが、後半はこの言葉が表すとおり、二人が身も心も離れられなくなることが、深い悲しみへとつながります。しかしヘウォンの稀に見る強さが、涙だけに終わらせていません。チェ・ジウ、チョ・ハンソンのファンには、様々な彼らの表情が観られて楽しい作品ではないでしょうか。
ヘウォンの故郷という設定の牛島の景観はとても美しく、映画のために植えた2本の寄り添う樹が、今も残されているそうです。この島の新たな観光名所となるのでしょうか。(梅)

2006年/韓国

提供:ポニーキャニオン、東芝エンタテインメント、博報堂DYメディアパートナーズ、関西テレビ放送
配給:東芝エンタテインメント

公式 HP >> http://www.renri-no-eda.com/

★4月15日(土)より 日劇3ほか全国東宝洋画系にてロードショー


『GINGA ジンガ』原題:Ginga The soul of brasilian football

監督・脚本:ハンク・レヴィン、マルセロ・マシャード、トシャ・アルヴェス
音楽:EDSON X,BLACK GERO
出演:ロビーニョ、ファルカン、セルジオ、パウロ・セザール、ウェスクレイ、ロマリーニョ

★サッカーを愛する10人の日常と見事なプレイを、軽快な音楽にのせて楽しませてくれるオムニバス形式のドキュメンタリーです。さすがサッカーの国ブラジルです!空き地、道端、車の出入りする駐車場で子ども達が見事な足さばきで遊んでいる様子は足の裏に何か付いているのかしら?と思うほど自由自在。

さて「ジンガ」とはサッカーに必要な肉体や資質、貧しく苦労の多い人生を深刻に受け止めない等々のブラジル人が持つ国民的素質が本来の意味ですが、もう一つ、体の力を抜いて体を揺らす歩き方が「ジンガ」とも言われています。この揺らしもサッカーには大切な足さばきに通じるのだと言われています。出てくる10人の中には祖父の代からサッカー選手がたくさんいて、自分もプロを目指している少年、交通事故で片足になっても松葉杖でパラリンピックを目標にがんばっている人、アマゾンのジャングルで観光ガイドをしながら手作りのサッカー練習場を作る人、ボールをキックして空中にキープする技のパフォーマーを目指している女の子、既に世界屈指のサッカー選手になった人。
そこに出てくる10人ほとんどが「家族を楽にさせてあげたい!」と口をそろえて言う・・・。彼らはとても貧しいが、愛するものをたくさん持っている人々なのです。見終わった後は体が軽くなったような爽快感がありました。(井)


2005/ブラジル/カラー/78分43秒/ビスタサイズ/35mm

渋谷 Q-AXシネマにて 4/15より公開

http://www.ginga-cinema.jp/


『美しき運命の傷痕』

監督 ダニス・タノヴィッチ(『ノー・マンズ・ランド』)
原案 クシシュトフ・キェシロフスキ、クシシュトフ・ピェシェヴィチ
出演 エマニュエル・ベアール、カリン・ヴィアール、マリー・ジラン、キャロル・ブーケ、ジャック・ペラン、ジャック・ガンブラン、ジャン・ロシュフォール、ギョーム・カネ

父親を22年前に亡くした三姉妹、それぞれに問題を抱えて生きている。 長女ソフィは夫の浮気に悩み、次女セリーヌは男の人に臆病で恋人ができず、三女アンヌは大学の教授と不倫関係にある。 今は、言葉を話すことができない母親は施設に入っている。 次女セリーヌは時々母を見舞い、車いすの母親を散歩に連れ出すが、無表情な母親の姿は、この家族に何かがあったことを予想させる。
そして、普段ほとんど接点のない三姉妹の生活がそれぞれ描かれる。
セリーヌに近づいてきた男によって、謎が解かれてゆく。
22年前何があったのか。父親の死は家族にどのような影響を与えたのか…
三姉妹と母親の、愛と憎しみとトラウマをめぐる物語。

豪華キャストも魅力のこの作品、ぜひ映画館で観ることをお勧めします。(暁)

原題 L'ENFER   英題 HELL
2005年 35mm/シネマスコープ/102分/ドルビーデジタル
フランス/イタリア/ベルギー/日本合作
配給 ビターズ・エンド

4月8日(土)より Bunkamuraル・シネマ、銀座テアトルシネマ他 全国順次公開
http://www.utsukushiki.jp/

 本作で母親役を演じたキャロル・ブーケは、 3月15日(水)〜3月19日(日)に開催された「フランス映画祭2006」の団長として来日。 オープニング上映された『ハウス・ウォーミング! 〜Travaux』で、 不法滞在者のために闘う、ちょっといかれた弁護士を華麗に好演。 記者会見でも、団長としてフランス映画を大いにアピールしていた。(咲)
→詳細記事を、シネマジャーナル67号(4月末発行予定)に掲載



『立喰師列伝』

脚本・監督:押井守
出演者:吉祥寺怪人、兵藤まこ、石川光久、鈴木敏夫、樋口真嗣、川井憲次、寺田克也、河盛正治、品田冬樹、神山健治 ほか
声の出演:山寺宏一、兵藤まこ、榊原良子 ほか

あらゆる飲食店を戦慄させた伝説の仕業師たちがいた。彼らは話芸をもって店主を圧倒し無銭飲食を繰り返す。その技が芸術の域にまで達する者たち。人は彼らを「立喰師(たちぐいし)」と呼んだ。彼らの密やかな活躍の歴史を紐解きながら、日本の敗戦から60年の歴史を語る。

2006年/日本/104分/カラー/ビスタ/SRD
製作:立喰師列伝製作委員会(Production I.G/バンダイビジュアル/博報堂DYメディアパートナーズ/東北新社/日本テレビ放送網)
配給:東北新社 Production I.G

公式 HP >> http://www.tachiguishi.com/top.html

★4月8日(土) 渋谷シネクイントほかにて公開
特別記事『立喰師列伝』完成披露試写会舞台挨拶もご覧下さい。


『リバティーン』

監督:ローレンス・ダンモア
脚本:スティーブン・ジェフリーズ
撮影:アレクサンダー・メルマン
衣装:ディン・ヴァン・ストラーレン
音楽:マイケル・ナイマン
出演:ジョニー・デップ(ジョン・ウィルモット/ロチェスター伯爵)、サマンサ・モートン(エリザベス・バリー)、ジョン・マルコヴィッチ(チャールズ二世)、ロザムンド・パイク(エリザベス・ダンモア)、トム・ホランダー(ジョージ・エサリッジ)、ジョニー・ヴェガス(サックヴィル)、ケリー・ライリー(ジェーン)、ルパート・フレンド(ビリー・ダウンズ)ほか

17世紀のイギリス。 詩人のジョン・ウィルモットは、チャールズ二世により追放されていたが恩赦を得てロンドンに戻った。 また悪友たちとの酒と女の日々が始まる。 ジョンは久しぶりに入った芝居小屋で観客にブーイングを受ける女優エリザベス・バリーに出会う。 心引かれたジョンは演技指導を申し出、毎日熱心に稽古をつけるのだった。

ローレンス・ダンモア監督はアディダスのCMをはじめ、多くのCMやミュージック ・フィルムを製作して評価の高い人。これが映画監督デビュー作品だが、すでに数々の賞にノミネートされている。

冒頭、観客に向かってロチェスター伯爵(ジョニー・デップ)が語りかけます。 ウェービーな長髪+白のフリルのブラウス(これがまた似合う!)姿でこちらを見据えて、 「・・・どうか私を好きにならないでくれ」と言うのです。 シナリオの最初の3行を読んで出演を決めた、というのはこのシーンのことでしょうか。 伯爵家に生まれ、君主に愛されながらも破天荒に生き、それまでのツケを払うかのように、梅毒で壮絶な最後を迎えるのですが彼が演じると汚くない。 みんなで観て盛り上がれる類ではありませんが、ジョニーに酔える作品です。(白)

2005年/イギリス/110分/カラー/アメリカンビスタ/ドルビーデジタル

http://www.libertine.jp/

2006年4月8日(土)〜テアトルタイムズスクエアほかにてロードショー


『風のファイター』

監督:ヤン・ユノ(『リベラ・メ』)
出演:ヤン・ドングン(『受取人不明』)、平山あや、加藤雅也、チョン・テウ

戦時中チェ・ペダル(ヤン・ドングン)はパイロットになりたくて日本へ密航して空軍の飛行学校へ入るが、朝鮮人というだけで差別され屈辱を受ける毎日だった。怒りを爆発させて闘いを挑むも、武士の末裔で武術の名人である加藤大尉(加藤雅也)に完敗する。
終戦後、ドヤ街で仲間のパチンコ屋の商売を手伝うが、ここでもヤクザに目をつけられ屈辱を受ける日々。そんな時に子供の頃に武術を教わったボムスと再会する。改めてペダルは武術を学び始めるが、ボムスは日本のヤクザに殺されてしまう。「正義なき力は無能なり、力なき正義も無能なり」と悟ったペダルは人間の限界を越えるような山中修行を行い、超人的とも言える力を身につける。そして山を下りた彼は、日本全国の道場破りを始める。しかしその彼の前に立ちはだかるのは、あの加藤だった。

極真空手の創設者であり格闘家である大山倍達の若き日を描いている。原作は韓国の人気漫画「風のファイター」。日本でも同じ題材で漫画「空手バカ一代」が人気だった。これは70年代に千葉真一主演で映画化もされている。
主演のヤン・ドングンは『受取人不明』でアメリカ黒人兵と韓国女性との混血児を演じ、その独特の風貌と強い眼力とで強烈な印象を残した。今回も恐怖を押し殺しながら闘い続ける男を好演している。一撃必殺のファイトシーンも凄いが、女性に恋したときの恥ずかしそうな笑顔もいい。日本ロケを敢行し、日本人俳優も起用してかなりお金をかけて撮った割には、「へ?」と思うような日本描写も多くて、残念に感じた。(梅)

平山あや演じる芸者が、最初は、いいとこのお嬢様にしか見えない…など、突っ込みどころ満載。でも、池袋の闇市で、パチンコ台1台で日銭を稼ぐ姿など、韓国映画の描く日本の終戦直後の様子が興味深かった。そして、私が注目したのは、ペダルの友人チュンペ役のチョン・テウ。詰めの甘い、お調子者を上手く演じていて、さて、この子、何に出ていたのか・・と思ったら、『酔画仙』で主人公の10代を演じていたのでした。チェ・ミンシクに似てなくもない? 今後の作品を楽しみにしたい。(咲)

2004年/韓国/122分/カラー/ビスタ/ドルビーSRD
配給:エスピーオー
宣伝:グアパ・グアポ

公式 HP >> http://www.cinemart.co.jp/fighter/index.html

★東京での上映は終わりました。全国の詳しいスケジュールは公式HPをご覧下さい。


『マクダル パイナップルパン王子』

監督:トー・ユエン(袁建滔)
製作/原作(物語)/脚本:ブライアン・ツェー(謝立文)
原作(絵)/美術:アリス・マク(麥家碧)
音楽:スティーブ・ホー(何崇志)
主題曲「ロ甘ロ甘ロ甘(ガンガンガン)」:the pancakes
ボイス・キャスト:アンディ・ラウ(マクビン)、サンドラ・ン(ミセス・マク)、レイ・ウィンイン(マクダル)、アンソニー・ウォン(園長、ドクター他)、チェット・ラム、ジャン・ラム(ナレーション)ほか

春田花花幼稚園に通うマクダルはお勉強は得意じゃないけど、優しい子豚。 ママのミセス・マクはマクダルのひどい貧乏ゆすりが心配の種。 ある日今はいない夫マクビン、またの名を“パイナップルパン王子”の物語をマクダルに語り始めた。

2004年東京国際映画祭「アジアの風」で上映された作品。 香港の子豚のマクダルのアニメーションがようやく公開になります。 リアルな香港の街を背景にちょっとシュールでユーモラスなお話が展開していきます。 もともとは絵本『マクマグ成年人童話』が始まり。 老若男女にうけてTVアニメ化され、映画版の第1作はアヌシー国際アニメーション映画祭の長編部門でグランプリを獲得しました。 原作にはないパパを登場させた今回の作品は映画版第2作。 アニメとして初めて「香港電影評論学会大賞」でグランプリを受賞しています。 実写以上に香港の空気を感じさせて、香港の街が好きな方は必見。(白)

2004年/香港/カラー/ヴィスタサイズ/ドルビーSRD/広東語(日本語字幕)/78分
 
提供:ジャパンケーブルキャスト/日活/彩プロ/マジックアワー
配給・宣伝:マジックアワー
http://www.mcdull.jp/
★東京での上映は終わりました。全国の詳しいスケジュールは公式HPをご覧下さい。


『ステップ!ステップ!ステップ!』(Mad Hot Ballroom)

監督・製作:マリリン・アグレロ
製作・脚本:エイミー・スウェル
編集:サビン・クラエンビュエル
撮影:クラウディア・ラシュケ=ロビンソン
アソシエイツ・プロデューサー:W・ワイルダー・ナイト2世
音楽:スティーヴン・ルトヴァク&ジョセフ・ベイカー
出演:トライベッカの子供たち、ブルックリン・ベンソン・ハーストの子供たち、ワシントン・ハイツの子供たちほか

1994年、ニューヨークの公立小学校に情操教育の一環として社交ダンスのプログラムが導入された。現在、60以上の学校で、6000人の生徒達が10週間のコースで学び、最後にダンスコンテストが行われる。このドキュメンタリーは初めてダンスを覚えた子供たちが、互いに競い合いながら一つのトロフィーに向かって努力し、成長していくようすを捉えている。

ニューヨークという土地柄か、移民も多く人種もさまざま。10歳か11歳の彼らの会話は大人顔負け。一方まだまだ幼い子もいて思わず頬がゆるみっぱなしになる。メレンゲ、ルンバ、タンゴ、フォックストロット、スウィングというダンスをみっちり練習し、学校代表の生徒が決まる。さらに地区予選があり、本選で代表校が顔をそろえる。私など恥ずかしながらひとっつも踊れないが、彼らはパートナーと実に楽しそうに情感豊かに踊っている。指導する先生方も熱心で、ダンスが好きなのが全身から伝わってくる。そういう先生に出会えた子供たちは厳しい生活環境の中でも、手本となる大人と目標を見出していける。各地の映画祭で多くの賞を得たのが納得!の思わず胸が熱くなる作品。(白)

2005/アメリカ/カラー/ヴィスタサイズ/ドルビーSR/35mm/1時間46分/
配給:コムストック/宣伝:ミラクルヴォイス

公式 HP >> http://www.step3.jp/

★6月17日から23日まで、早稲田松竹にて上映

オリジナルサウンドトラック 3月24日 on sale!
VICP-63403/¥2,520(税込)
発売:ビクターエンタテインメント


『プリティ・ヘレン』(Raising Helen)

監督:ゲイリー・マーシャル
脚本:パトリック・J・クリフトン&ベス・リガッツィオ
撮影監督・チャールズ・ミンスキー,ASC
キャスト:ケイト・ハドソン(ヘレン)、ジョン・コーベット(ダン牧師)、ジョーン・キューザック(ジェニー)、ヘイデン・・パネッツィーア(オードリー)、スペンサー・ブレスリン(ヘンリー)、アビゲイル・ブレスリン(サラ)、ヘクター・エリゾンド(ミッキー・マーシー)、ヘレン・ミレン(ドミニク)ほか

ヘレンはニューヨークのモデルエージェンシーで働く敏腕マネージャー。 マンハッタンのアパートに住み、仕事に打ち込みつつ、気ままなシングルライフを満喫していた。 長姉リンジーの誕生日を祝いに久しぶりに姉妹が集まる。 次姉のジェニーは真面目な主婦で口うるさいが、末っ子のヘレンははなせる伯母さんとして子供達にも人気だった。 ある日リンジー夫婦が交通事故で亡くなり、15歳のオードリー、10歳のヘンリー、5歳のサラ3人の子供たちが残された。 リンジーの遺言書には「ヘレンを子供達の後見人に」とあり、ジェニーもヘレンも驚愕する。 姉の遺志を尊重し、慣れない子育てに奮闘するヘレンだったが、仕事と両立できなくなってしまう。

結婚も子育てもしたことがない25歳の妹に、なぜ姉は子供を託したのでしょう? しっかり主婦の妹もいるのに。これはだんだん明らかになっていきます。 3人の子育ては片手間にはできないわよ、と子供のある人はすぐ思うでしょう。 あまり深刻には描かれていなくて、ケイト・ハドソンのキュートな笑顔にいつのまにか「ま、いいか」という気分になってしまいます。 そこをぴりっと締めているのがジェニー役のジョーン・キューザックです。 『スクール・オブ・ロック』で実はミーハーな校長先生役でした。 姉がアン、弟のビル、ジョン、妹のスージー、みんな俳優のキューザック家。 ヘレンをサポートするダン牧師役は『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』のジョン・コーベット。 頼りがいのありそうなガテン系ハンサム。 ケイト・ハドソンもこのロマコメ路線でしばらくいくんでしょうか?(白)

この映画を観て思い出したのが、シャー・ルク・カーン主演の『明日が来なくても』 (2003年/インド)。2004年、東京フィルメックスで上映され、冒頭の「今やニューヨークの4人に1人はインド人」に、嘘〜と思ったものだが、ヘレンが子供達を連れて引っ越したアパートの隣室はインド人。姉のヘレンも、何かあれば隣のインド人夫 人に助っ人を頼みなさい・・と安心している。アパートの入口にも、インド人のおじいちゃんたちがいつも座っていて、インド人がふつ〜にいるニューヨークの街角。それもそのはず、ヘレンが引っ越したクイーンズには、リトル・インドと呼ばれるジャクソン・ハイツがあるのだ。
それにしても、自由を謳歌していたヘレンが、いきなり3人の子育てというのは、想像を絶する大仕事。人生には、例えば親の介護などで、生活パターンを変えざるを得ない転換期はつきもの。何があっても、くじけず、前向きに行かなくちゃと、ヘレンの笑顔に勇気づけられます。(咲)

★東京での上映は終わりました。全国の詳しいスケジュールは公式HPをご覧下さい。

2004/アメリカ/35mm/カラー/ビスタサイズ/ドルビーデジタルDTS/119分
配給:ギャガ・コミュニケーションズ、アニー・プラネッツ
宣伝:グアパ・グァポ



『美しき野獣』

監督:キム・ソンス
撮影:チェ・サンムク
音楽:川井憲次
出演:クォン・サンウ、ユ・ジテ、オム・ジウォン、ソン・ビョンホ

過激な行動が目立つが不器用で純粋な刑事チャン・ドヨン(クォン・サンウ)。冷静沈着、妥協を許さないエリート検事オ・ジヌ(ユ・ジテ)。ドヨンには病気の母と出所してきたばかりの義弟がいる。その義弟が何者かに殺され、彼は怒りに燃えて犯人を捜す。一方オ・ジヌは一度は逮捕したものの、自分を左遷に追い込み、軽い刑での服役で出所してきたユ・ガンジン(ソン・ビョンホ)の再逮捕に人生を賭けていた。
全く異なる道を歩んでいた2人は偶然にも同じ男を追っていた。そして決して悪を許さないという純粋さにおいて共通していた。2人は手を組み、ユ・ガンジンを追い詰める。しかしあと一歩と思われたところで、思わぬ落とし穴が待ち受けていた。

クォン・サンウがこれまでのイメージを払拭すべく、体当たりでこの役を演じていて、その気迫が伝わってくる。アクション・シーンもキレがある。ユ・ジテ演ずるオ・ジヌは、自分は法の番人であると自負しながら、彼もまた自らの欲望を追い求めているただの人間で、次第に追い詰められて冷静さを失っていってしまう。その過程を的確に表現していて素晴らしい。
悪役のソン・ビョンホも家庭で見せる父親・夫としての穏やかな顔と、社会的に見せている表の顔、そして裏切り者や敵に見せる裏の顔の変わりようが鮮やかで、巨悪としての存在感を見せていた。 役者陣が非常に頑張っていると感じるのに対して、脚本と監督の演出には若干の不満を感じてしまうのが残念。それはわたしがバディ・ムービーとしての娯楽性を期待して観たからかもしれない。これは力がものをいう現代社会への怒りと嘆きの映画だ。(梅)

公式 HP >> http://www.beautiful-beast.com/

2005年/韓国/125分
配給:東芝エンタテインメント
★6月3日から16日まで三軒茶屋シネマにて上映

特集記事 おもいっきりユ・ジテ贔屓なシネジャ的『美しき野獣』特集もご覧下さい



『クラッシュ』

監督・原案:ポール・ハギス
脚本・製作:ポール・ハギス、ボビー・モレスコ
撮影監督:マイケル・ミューロー
衣装:リンダ・バス
音楽:マーク・アイシャム
   “イン・ザ・ディープ”byバード・ヨーク
   “メイビー・トゥモロウ”byステレオフォニックス
キャスト:サンドラ・ブロック(ジーン)、ブレンダン・フレイザー(リック)、ドン・チードル(グラハム)、マット・ディロン(ライアン巡査)、ジェニファー・エスポジト(リア)、テレンス・ハワード(キャメロン)、サンディ・ニュートン(クリスティン)、クリス“リュダクリス”ブリッジス(アンソニー)、ラレンツ・テイト(ピーター)、ライアン・フィリップ(ハンセン巡査)、マイケル・ベニャ(ダニエル)、ショーン・トープ(ファハド)ほか

クリスマス間近のロサンゼルス、深夜。刑事のグラハムは、ガールフレンドの同僚リアと交通事故に巻き込まれた。 偶然事故現場の脇では若い黒人男性の死体が発見され、捜査の最中だった。

その前日・・・

  • ジーンとリックは若い黒人男性二人にカージャックに遭う。家の鍵を全て取り替えるため鍵屋に依頼するが、ヒスパニック系のダニエルにジーンは不安を抱く。
  • 車を盗んだアンソニーとピーターは慌てて逃げる途中、アジア系の老人をはねてしまう。
  • 下町では、ペルシャ人の雑貨店主ファハドが強盗から身を守るため、銃を手に入れようとしていた。
  • 白人警官のライアンは勤続17年のベテラン警官だが人種差別主義者で、若いハンセン巡査はそれを不快に思っていた。
ある一日、さまざまな人生が交錯する。

『ミリオンダラー・ベイビー』の製作・脚本にあたったポール・ハギスの初監督作。 自分が銃をつきつけられ、カージャックされた経験から生まれた作品なのだそうです。 のっけから差別的な言葉がぽんぽん行きかい、ちょっと驚きました。 ほかの作品がお行儀よくさけていたところを、リアルに脚本にしているのです。 たくさんの登場人物がいますが、誰もが主役とも言えます。 すこしずつどこかで重なり、ぶつかりあい、次のストーリーが紡ぎ出されていきます。 それぞれの人生模様を編みこんで、ちゃんと繋がるといううまい運びに感心。 一人の人間を多面的に見ながら、観客は自分の奥底も見つめることになります。 きれいごとばかりじゃないよね、とため息が出るけど、人間捨てたもんじゃない、とも思わせてくれました。(白)

2005年ドーヴィル映画祭グランプリ受賞
第9回ハリウッド・フィルム・フェスティバル、ブレイクスルー監督賞受賞

2005/アメリカ/カラー/スコープサイズ/SRD/1時間52分/

配給:ムービー・アイ
http://www.crash-movie.jp/

★6月10日から、パルコ調布
 6月17日から、下高井戸シネマ
 7月29日から、飯田橋ギンレイにて上映


『マイ・アーキテクト』 —ルイス・カーンを探して—  原題:MY ARCHITECT A Son's Journey

製作・監督・脚本・出演・ナレーション:ナサニエル・カーン
出演:フィリップ・ジョンソン、ヴィンセント・スカーリー、ルイス・カーン他

現代建築の巨匠ルイス・カーン(1901年〜1974年)。 その名はライト、コルビジェ、ミースと並び称されるが、その最期は、1974年、インドから帰国しニューヨーク・ペンシルヴェニア駅のトイレで心臓発作で倒れ、身元が判明するまで3日間要したという。 パスポートの住所が消されていたのだが、それは彼が本妻と2人の愛人を持ち、自分の居場所を特定したくなかったからではないだろうか。 愛人の息子だったナサニエル・カーンは当時11歳。 父の死を伝える新聞記事には「妻と愛娘を遺して死去」とあり、自分の名はなかった。 父の死から25年後、彼は父親探しの旅を映画として撮り始め、5年の歳月をかけて本作を完成させた。

ルイス・カーンはユダヤ人で、エルサレムの壊されたユダヤ教会再建計画にも死ぬまでかかわっていたが、自らユダヤであることを語ることはなかったという。 エルサレムの嘆きの壁を訪れたナサニエルは、自身もユダヤの血を感じながら、何度もキッパ(小さな帽子)を落す。
一方で、ルイス・カーンが晩年大きくかかわっていたのが、インド・アーメダバードのインド経営大学と、バングラデシュ国会議事堂(チラシの写真)。 イスラーム教徒が大半を占めるバングラデシュで、民主主義を広める場としての国会議事堂をルイス・カーンが設計したことは興味深い。 議事堂建設には、タージ・マハルと同じ23年の歳月がかかり、ルイス・カーンはその完成を見ていない。 1971年、バングラデシュ独立戦争の折には、古代遺跡と思われ爆弾を落とされなかったという。 イスラーム教徒の祈りが議事堂に響く中、ナサニエルは、父が自身の望んだ人生を歩んだことを確信する。 そしてナサニエル自身もまた、父親探しの映画を作りながら、自分の望む人生を歩んでいることを確信したのではないだろうか。(咲)

第76回アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門ノミネート
全米監督組合賞 最優秀ドキュメンタリー賞 受賞他

2003年/アメリカ/35mm/116分/ヴィスタ/カラー/Dolby SR
提供:レントラックジャパン、ギャガ・コミュニケーションズ
配給・レントラックジャパン

★2006年7月11日より、UPLINK Xにて上映
渋谷Q-AXシネマ(http://www.q-ax.com/):北山恒設計によるライフスタイル提案型の映画館

公式HP >> http://www.myarchitect.jp/


『白バラの祈り:ゾフィー・ショル、最期の日々』

監督:マルク・ローテムント
出演:ユリア・イェンチ(『ベルリン、僕らの革命』)他

第2次世界大戦時、ヒトラー政権に立ち向かい、"白バラ"と呼ばれた学生たちの反政府運動に参加した21歳の女性ゾフィー・ショルが逮捕されてから取り調べを受け、処刑されるまでの壮絶な6日間を描いている。当誌でも64号で紹介した実話に基づく作品である。今年のベルリン国際映画祭にて銀熊賞をW受賞(最優秀監督賞、最優秀女優賞)し、6月に朝日ホールにて行われたドイツ映画祭のオープニング作品として上映された本作品が来春に公開されることになった。公開に先立ち、11月中旬に主演のユリア・イェンチと、監督のマルク・ローテムントの来日も決定している。(石)

あの時代のピンと張り詰めた空気がひしひしと伝わり、胸が締め付けられる思い。ビリー・ホリディの歌を楽しそうにくちずさみ、恋人との結婚を夢みていた普通の女子学生のゾフィーが、あのモノを言えなかった時代に、果敢にも反戦への行動を起こしたことに感銘を受けた。自由にモノが言える社会にいても、何もせず、自分の楽しみだけを追及していることが恥ずかしい・・・(咲)

★シネマジャーナル本誌の本作関連記事
64号 女たちの映画評『ゾフィー・ショル』
65号 第55回ベルリン国際映画祭レポート『ゾフィー・ショル—最後の日々』
66号 『白バラの祈り — ゾフィー・ショル、最期の日々』来日記者会見レポート

第55回 ベルリン国際映画祭 銀熊賞(最優秀監督賞)受賞
             銀熊賞(最優秀女優賞)受賞
              全キリスト協会コンペ部門最優秀賞受賞

2005年/ドイツ製作/121分/Dolby SRD/アメリカン・ヴィスタ
お問い合わせ:キネティック(Tel: 03-5548-5681)

公式 HP >> http://www.shirobaranoinori.com/

★6月10日(土)から16日まで、下高井戸シネマにて上映

■ベルリン国際映画祭3冠受賞作品
『白バラの祈りゾフィー・ショル、最期の日々』公開記念
白バラ映画祭&ゾフィー・ショルと白バラ展 開催決定!

『白バラ映画祭』
日時:1月25日(水)〜1月27日(金)
場所:東京ドイツ文化センター 東京都港区赤坂7-5-56
   (地下鉄青山一丁目駅A4出口から赤坂郵便局方面へ徒歩5分)
   (03) 3584 3201
上映作品:『白バラの祈り』(マルク・ローテムント監督)
     『白バラは死なず』(ミヒャエル・ヘルホーファン監督)
     『最後の5日間』(パーシー・アドロン監督)
開映
1月25日(水) 16:00 白バラは死なず
19:00 最後の5日間
1月26日(木) 16:00 最後の5日間
19:00 白バラは死なず
1月27日(金) 16:00 白バラの祈り—ゾフィー・ショル、最期の日々
19:00 シンポジウム
<シンポジウムゲスト(予定)>
  フランツ・ミュラー(元白バラメンバー 81歳)
  マルク・ローテムント(『白バラの祈り』監督)


『白バラ映画祭』で、ドイツより関係者を招いたシンポジウムが開かれました。

『ゾフィー・ショルと白バラ展』
日時:2月3日(金)〜2月8日(水)
場所:有楽町朝日ギャラリー(有楽町マリオン11F)
   東京都千代田区有楽町2-5-1
   (地下鉄丸ノ内・日比谷・銀座線銀座駅A0出口
    又は 有楽町線・JR山手線有楽町駅銀座口すぐ)
   (03)32840131


『三年身籠る』

原作・脚本・監督:唯野未歩子
プロデューサー:日下部圭子
出演:中島知子(オセロ)、西島秀俊、木内みどり、奥田恵梨華、塩見三省、丹阿弥谷津子

冬子は妊娠9ヶ月目。しかし本人にも夫の徹にも親になる自覚はあまりない。徹の方は浮気していて、冬子も知っているがそのうち終わるものと思って黙っている。
子供は全く生まれる気配のないまま18ヶ月目。徹は愛人には振られるし、動けない冬子に代わってやらなくてはならない家事は馴れなくて大変だしで、「宇宙人の子供なんじゃないか?」と混乱気味。妹の恋人の紹介で大きな病院に入るが、冬子はマスコミによって見世物のようになってしまう。ここに到って徹は「夫の役目は妻と子供を守る事、のような気がする」とようやく父性に目覚める。
そして妊娠27ヶ月目。人里離れた山小屋で二人はひっそり暮らしている。この子は果たして無事に生まれるんだろうか?

シュールな演出からリアルな感情を感じ取れて、女優だった唯野さんの初監督作品にしては本当に随分とお上手なのに驚きました。男の情けなさと優しさ、女の愚かさと強さが柔らかな映像でありながら、毒をも含んで描かれます。
この作品を観るときは、絶対にお腹をすかせた状態で観ない方がいいです。とにかく美味しそうな数々の料理と食事のシーンに、私はお腹がギュルギュル鳴ってしまい、とーっても恥ずかしかったです(汗)。(梅)

★第18回東京国際映画祭 日本映画・ある視点部門 上映
2005年/日本/35mm/カラー/アメリカンビスタ/DTS STEREO/99分
配給・宣伝:ゼアリズエンタープライズ

ゼアリズエンタープライズ HP >> http://theres.co.jp/diary/index.html

公式サイト >> http://www.threeyeardelivery.com/

★東京での上映は終わりました。全国の詳しいスケジュールは公式HPをご覧下さい。


『ホテル・ルワンダ』(原題:HOTEL RWANDA)

監督・脚本・製作:テリー・ジョージ
脚本・共同制作総指揮:ケア・ピアソン
撮影:ロベール・フレース
出演:ドン・チードル(ポール・ルセサバギナ)、ソフィー・オコネドー(タチアナ)、ホアキン・フェニックス(ジャック)、ニック・ノルティ(オリバー大佐)、カーラ・シーモア(アーチャー)、デズモンド・デュペ、デヴィッド・オハラほか

ルワンダのキガリの高級ホテル、ミル・コリンに勤めているポール・ルセサバギナは、 不穏な国内情勢の中、有力者や軍と良好な関係を保つのに心を砕いていた。 なにかあったとき家族を守りたいという思いからだった。 ポールはフツ族、妻のタチアナはツチ族で、ルワンダではこの二つの民族が長く争いを続けていた。 ポールを信頼する義兄夫婦がある情報を持って訪ねてくる。 フツの民兵がツチ族を襲撃するというもので、 信じられないポールは「また明日話そう」と二人送り出すのだが、翌日それが本当であることを知る。

これは1994年のルワンダで実際に起こったことです。わずか10年前ですが、 民族間の紛争で100万人もの死者が出ていた事を記憶している人はどれだけいるのでしょうか? 私はその頃自分のことだけでいっぱいだったのを思い出し、 ルワンダのルの字も記憶にありませんでした。 この映画の中にホアキン・フェニックス演じるカメラマンが虐殺場面を撮影してきて、 部屋でそのVTRを見る場面があります。 「世界中の人がこの映像を見たらきっと助けてくれる」というポールに、カメラマンは答えます。 「いや。『怖いね』と言って人々はディナーを食べ続けるよ」と。ここでぎくっとしました。 まさに私もその一人であったに違いないからです。 外国から来た宿泊客が続々と出国して行っても、自分達の番はやってきません。 世界中から見捨てられたとわかったときの絶望感はどんなものだったか、と想像すると胸がつぶれそうです。 それでもホテルの中に避難してきた1200人の人々をポールは必死に世話をし、 機知を巡らせなんとか生き延びようとします。 俳優の好演とあいまって、その渦中に自分もいるような気分になりました。
この映画は各地で絶賛され、多くの賞を受けています。 日本で公開されるきっかけを作ったのが、インターネットのコミュニティからの発信で、 上映を求める署名運動に広がったのだそうです。 この作品が生まれ、観ることができたことと、関わった人たちに感謝したい作品でした。(白)

”『ホテル・ルワンダ』の日本公開を求める会”というものがあると知ったのは今年の8月の事でした。映画ファンが声を挙げることによって公開に結びつけることが出来たなら、それは一つ意義深いことだし、何よりこの映画を観たいと思って署名に参加しました。程なくして公開が決まったと知り、とても嬉しく思いました。その辺りの経緯は、こちらの『ホテル・ルワンダ』日本公開を応援する会のHPに詳しいです。ルワンダの歴史などについても詳しく掲載されているので是非ご覧下さい。
試写を観て、まず思ったことは「本当にこの映画を観ることができて良かった」でした。世界では現在も多くの悲しい出来事が起こっていますが、あまりに量も刺激も多過ぎるニュースに心が鈍感になり、映像の向こう側にある本当のことを想像もせず過ごすことが多いのではないかと思います。しかし今一度、この作品を観て、世界に対する無関心はより一層の悲劇を生むことを、是非再認識して欲しいです。そしてちょっと油断すると、私たちもまたこんな悲劇に巻き込まれない可能性がないとは言えないことも。(梅)

2001/南アフリカ=イギリス=イタリア/122分/ドルビーデジタル/シネマスコープ/
配給:メディア・スーツ、インターフィルム
協力:「ホテル・ルワンダ」日本公開を応援する会

7月1日から14日まで、パルコ調布キネマ
7月29日から8月4日まで、池袋新文芸座
8月19日から25日まで、早稲田松竹にて上映

http://www.hotelrwanda.jp/

ポール・ルセサバギナ氏来日シンポジウム

日時:平成18年1月6日(金)15:30〜20:00(開場15:00)
    『ホテル・ルワンダ』上映付
場所:有楽町朝日ホール
    (千代田区有楽町2-5-1 有楽町マリオン11F)
出演者:ポール・ルセサバギナ氏 ほか数名
使用言語:日本語/英語(通訳あり)
主催:NPO 法人ピースビルダーズ・カンパニー
   (株)メディア・スーツ、『ホテル・ルワンダ』日本公開を応援する会
後援:朝日新聞社


『カミュなんて知らない』Who's Camus Anyway?

監督:柳町光男
出演:柏原収史、吉川ひなの、前田愛、中泉英雄、黒木メイサ、田口トモロヲ、玉山鉄二、阿部進之介、鈴木淳評、伊崎充則、金井勇太、たかだゆうこ、柳家小三冶、本田博太郎

大学の授業「映像ワークショップ」の一環で映画『タイクツな殺人者』を製作することになった学生達。 クランクイン5日前に主演男優が降板し代役を探すところから物語は始まる。 女と金にだらしない監督の松川直樹(柏原収史)に代わって、進行を切り盛りする助監督・久田喜代子(前田愛)。 代役を引き受けた演劇サークルの池田哲哉(中泉英雄)は目の輝きが鋭い一風変わった青年。 ちょっと頼りなげな男子学生たちや、お金を貸した代償に監督松川の部屋に泊まりに行く女子学生。 かたや、指導教授で元映画監督の中條(本田博太郎)は、2年前に妻を亡くし虚ろな日々だが、美人女学生レイ(黒木メイサ)に惚れこみ、妻の命日にデートにこぎつける。
クランクインを目前にしたある日、監督の松川を妄信的に愛している恋人のユカリ(吉川ひなの)がリハ中に現れ、屋上の縁を歩いているのを見てあわてて駆け寄った松川は、自分が屋上から落ちてしまう。 命はとりとめたとの報に、『タイクツな殺人者』は、助監督・久田喜代子が監督をすることになり、予定通りクランクイン。 農家を舞台に、老婆殺人事件が再現される・・・。

『カミュなんて知らない』というタイトルから、カミュ=アルジェリアという図式が脳裏を走り、もしや私の興味のある彼の地が関係してくるのか・・・と思ったが、残念ながらそうではなかった。 カミュの小説「異邦人」の主人公が“太陽が眩しかったから殺した”という言葉と、本作の劇中劇である『タイクツな殺人者』の原案となった2000年に豊川市で起きた老婆刺殺事件の犯人である男子高校生が“人を殺したらどうなるか実験してみたかった”と証言したことがモチーフになっているのだ。 映画製作を進めていく中で、殺人者の心理を真剣に語り合う学生たち。 異常だから殺人を犯したのか、何気ない日常をおくっていた人物が殺人を犯したから異常者と扱われるのか・・・。 殺人とまではいかなくても、私たちもふとしたはずみで罪人となってしまうことを感じずにはいられなかった。

日本映画は実を言うとあまり観ないのだが、柳町監督の作品を2作品、中華圏絡みで偶然にも観たことがある。 『チャイナシャドー』(1990年)は、ただただジョン・ローンに見惚れたことしか覚えていないが、『旅するパオジャンフー』(1995年)は、歌や踊りの巡回興業をしながら薬を売る台湾独特の職業・跑江湖(パオジャンフー)を追ったドキュメンタリーで、強烈な印象がある。 ノンフィクションのはずなのに、フィクションのようにも思えた作品で、『カミュなんて知らない』のラストで殺人事件がフィクションなのに、現実ではないかと思わせるのと対峙する。 また、『カミュなんて知らない』は、登場人物の誰もが、実際に存在しそうなキャラクターで、そういう意味でリアリティがある。 様々な人間模様の中に、きっと自分の経験を見いだすことと思う。 学生時代を思い出して、今も昔も青春時代の悩みや思いは変わらないなぁとちょっとセンチメンタルな気持ちにもなった。(咲)

冒頭の6分半に渡る躍動的な長回しのシーンでいきなり映画の世界に引きずり込まれるような感覚を覚えた。それから大学のキャンパス内、特にサークル部屋辺りの若さが溢れる空気をとても生々しく感じて、懐かしい気持ちになった。そして最後の殺人シーンは必見! 怖かったぁ(^^;)
この作品、登場人物がかなり多いが、一人一人のキャラが立っていて全部印象に残っている。その中でも中泉英雄さんは特に鮮烈な印象を残して、今後の活躍に期待したくなった。(梅)

2005年/日本/35mm/カラー/ヴィスタサイズ(1:1.85)/ドルビー/115分
製作:「カミュなんて知らない」製作委員会  プロダクション群狼+ワコー+Bugsfilm
配給:ワコー/グアパ・グアポ

公式HP>> http://camusmovie.com/

2005年カンヌ国際映画祭・監督週間出品
2005年ニューヨーク映画祭出品


★東京国際映画祭 「日本映画・ある視点部門」で上映
10月22日 12:20 VTC六本木ヒルズ Screen5
10月24日 15:00 VTC六本木ヒルズ Screen4

◆東京での上映は終了しています。詳しい作品紹介は公式HPをご覧下さい。


『ロバと王女』デジタルニューマスター版

監督・脚本:ジャック・ドゥミ
撮影:ギラン・クロケ
衣裳:パース&ジット・マグリーニ
音楽:ミシェル・ルグラン
デジタル修復版監修:アニエス・ヴァルダ、マチュー・ドゥミ
原作:シャルル・ペロー「ロバの皮」
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ(お妃、姫2役)、ジャン・マレー(王)、ジャック・ペラン(隣国の王子)、デルフィーヌ・セイリグ(妖精)、ミシュリーヌ・プレール(隣国の王妃)ほか

青の国の王にはかけがえのない宝がありました。それは輝くように美しいお妃、お妃に瓜二つの姫、それに宝石を生むロバです。 しかし、お妃は重い病気になり「自分よりも美しい女性と再婚してください」と遺言を残して亡くなってしまいました。 王は何をする気力もなく悲しみにくれていましたが、大臣たちは王国の将来のためにと、あちこちから姫たちの肖像画を集めてきました。 何枚見ても亡くなったお妃より美しい女性などおりません。 最後の1枚の美しい姫の肖像に心奪われますが、それは自分の娘だったのです。 父王の求婚に困ったお姫様は名付け親の妖精に相談し、無理難題を出すことにしました・・・。

近親婚などトンでもありません、そりゃ性的虐待になってしまいまっせ、と今なら言うところです。 おとぎ話は面白いけれども、しっかり毒も含まれています。 お姫様は「ロバの皮」と呼ばれますが、 それがなぜかは映画を観てくださいね。 ジャック・ドゥミ監督の30余年前の作品が 、夫人のアニエス・ヴァルダの監修のもと美しく蘇りました。 『シェルブールの雨傘』(63年)、『ロシュフォールの恋人たち』(66年)についで、カトリーヌ・ドヌーヴが主演しています。 豪華絢爛な衣裳と美術、ロマンチックな音楽とともに繰り広げられる新しい味付けのファンタジーです。 こどもからおとなまで、少女の心のある人なら幾つになっても、お姫様と王子様のお話を楽しめますよね。(白)

1970→2004/フランス/1時間29分/カラー/1:1,66/ドルビーSR
提供・配給 セテラ・インターナショナル&ハピネット・ピクチャーズ

公式 HP >> http://www.cetera.co.jp/roba/

★6月24日、池袋新文芸座にてオールナイト上映


『デック 子どもたちは海を見る』

釜山国際映画祭 企画賞受賞作品
映画監督アリヤー・チュムサイは、ある日浜辺で歓声をあげる山岳民族の子供たちの姿に心を打たれた。やがて、貧困、麻薬、売春、差別・・・子供たちを取り巻く現実を知り、稲妻が落ちるような衝撃を受けた。
カメラマンのニセ・コンスリは、カメラを担いで一年間タイの山の学校で子供たちと暮らし、その姿を追い続けた。こうして二人のタイ人女性が、タイの山の学校を映しだした渾身のドキュメンタリー映画が誕生した。

★5月3日(祝)開場:13:00 開演:13:30 アートフォーラムあざみ野 レクチャールーム
入場料:当日1000円 前売り800円
お問い合わせ・前売予約:地球市民ACTかながわ/TPAK tel: 045-622-9661 email: port@tapk.org

公式 HP >> http://www.tpak.org/dek/home.htm



イタリア映画祭2006

会期:2006年5月2日(火)〜7日(日)
会場:有楽町朝日ホール
千代田区有楽町2−5−1 有楽町マリオン11階

今年は2004年以降に製作された日本未公開の12本が上映されます。
また、今年からの新たな試みとして、2002年以降に発表されたイタリアの短編映画の上映も予定。
http://www.asahi.com/event/it06/



『パパラッチ』(原題:PAPARAZZI)

監督:ポール・アバスカル
脚本:フォレスト・スミス
撮影:ダリン・オカダ、ASC
音楽:ブライアン・タイラー
キャスト:コール・ハウザー(ボー・ララミー)、ロビン・タニー(アビー)、デニス・ファリーナ(バートン刑事)、トム・サイズモア(レックス)、ダニエル・ボールドウィン(ウェンデル)ほか

ボー・ララミーは下積みを経て、アクション映画で一躍スターとなった。 念願の新居も手に入れ、愛妻アビー、息子ザックとの生活を満喫していたが、 脚光を浴び始めた代償のように執拗なパパラッチに悩まされる。 パパラッチ界の古株のレックスはポーの盗撮写真を始め、 挑発しての暴力沙汰と留まるところを知らないエスカレートぶり。 ある夜、パーティからの帰りのポーの車は、レックスとその仲間の車に囲まれる。

ダイアナ妃の事故死以来、「パパラッチ」のストーキングが注目されてきました。 有名税というにはあまりにひどい極悪パパラッチとハリウッド・スターの攻防を描いた作品。 フィルム・メーカーとしても手腕を発揮するメル・ギブソンがプロデュース、 監督はこれが初の劇場映画となるポール・アパスカル。 セリフに実話も織り交ぜたうえ、ハリウッドのきらびやかなシーンを見せ、 有名スターがカメオ出演もしています。 ストーリーはスピーディで、ハラハラさせ家族にまで被害が及んだときのボーの怒りは分かります。 が、「え、それでいいんか?」ということに・・・。 メル・ギブソンは「これは皮肉たっぷりな作品なんだと理解して」と言っています。念のため。(白)

2004/アメリカ/カラー/84分/ドルビーデジタル/シネマスコープ
配給・宣伝:日活

http://www.paparazzi-movie.jp/

4月8日(土)〜新宿トーアほか全国順次ロードショー



「監督 川島雄三 第2弾」〜松竹プログラム・ピクチュア時代〜

劇場:シネマアートン下北沢
期間:4月1日(土)〜4月28日(金)

4月1日(土)〜4月7日(金)
「還って来た男」 13:00  (1944) 佐野周二・田中絹代・笠智衆
「深夜の市長」 14:30 (1947) 安部徹・月形龍之介・三井秀男
「追跡者」 16:00 (1948) 佐野周二・磯野道子・殿山泰司
4月8日(土)〜4月14日(金)
「夢を召しませ」 13:00 (1950) 秋月恵美子・芦原千津子・曙ゆり
「適齢三人娘」 14:30 (1951) 若原雅夫・津島恵子・磯野道子
「とんかつ大将」 16:30 (1952) 佐野周二・津島恵子・角梨枝子
4月15日(土)〜4月21日(金)
「娘はかく抗議する」 13:00 (1952) 井川邦子・大木実・紙京子
「こんな私じゃなかったに」 15:00 (1952) 宮城千賀子・水原真知子・山村聰
「明日は月給日」 17:00 (1952) 高橋貞二・紙京子・磯野道子
4月22日(土)〜4月28日(金)
「花吹く風」 13:00 (1953) 紙京子・大木実・磯野道子
「新東京行進曲」 15:00 (1953) 高橋貞二・小林トシ子・三橋達也
「東京マダムと大阪夫人」 17:00 (1953) 三橋達也・月丘夢路・芦川いづみ

*当日券:
一般 1,200円/シニア 1,000円/2回券 2,000円/3回券 3,000円/会員 900円

シネマアートン下北沢 >> http://www.cinekita.co.jp/



『バイバイ、ママ』(原題:LOVERBOY)

監督:ケヴィン・ベーコン
脚本:ハンナ・シェイクスピア
原作:ヴィクトリア・リデル
音楽:マイケル・ベーコン
出演:キラ・セジウィック、ドミニク・スコット・ケイ、マット・ディロン、ケヴィン・ベーコン、サンドラ・ブロック、マリサ・トメイ、キャンベル・スコット

両親の残した遺産で何不自由なく暮らしているエミリー(セジウィック)が切望するものは自分の子供。夫はいらない。子供だけが欲しい彼女は、優秀そうな遺伝子を求めて一夜限りの関係を続け、とうとう妊娠に成功する。エミリーは息子のポールを全身全霊で愛する。しかしそれは彼女が放任主義の両親に育てられ、切望しても得られなかった愛情の代償でもあった。外界との交流を絶って独創性のある、自分だけを愛してくれる子に育てようとするエミリー。しかし6歳になったポールは次第に外の世界に興味を示し、彼女から離れて独り立ちしようとし始める。エミリーの完璧な世界が音を立てて崩れ始めた・・・

俳優として活躍してきたケヴィン・ベーコンの初監督作品。主演のキラ・セジウィックは奥さま、音楽のマイケル・ベーコンは兄、友人であるマット・ディロンの出演など、多くの後押しを受けての監督デビューだ。
サスペンスに富むプロットで、冒頭の車の中での親子の会話からちょっとドキドキさせられる。子役のドミニク・スコット・ケイの可愛いさと(睫毛が長い!)、キラ・セジウィックの神経質そうな美しさが、二人の関係の危うさを一層引き立てている。ここまで極端な例はないとしても、子離れできない親というのは世の中、結構いる。子供は親の所有物ではないことをこの映画で再確認しましょう。(梅)

2004年/アメリカ/35mm/ビスタサイズ/ドルビーデジタル/86分 /R-15
配給:アートポートxギャガ・コミュニケーションズ
宣伝:アンカー・プロモーション

公式 HP >> http://www.byebyemama.jp

★4月1日(土)より[シアター]イメージフォーラムにて公開


『サウンド・オブ・サンダー』 原題:SOUND OF THUNDER

監督・撮影:ピーター・ハイアムズ(『カプリコン・1』『2010年』)
出演:エドワード・バーンズ(『プライベイト・ライアン』)、キャサリン・マコーマック、ベン・キングズレー(『ガンジー』『砂と霧の家』『オリバー・ツイスト』)

西暦2055年。 シカゴの旅行代理店タイム・サファリ社主催の、6500万年前にタイムトラベルして恐竜狩りを楽しむツアーが人気を集めている。 過去のものを持ち帰らない、現代のものを置き忘れないことが鉄則のこのツアーで、客の一人が気付かぬうちに過去から“わずか1.3gの何か”を持ち帰ったのために、未来へつながる生態系進化を大きく変えてしまう。 タイム・ウェイブ(進化の波)が押し寄せ、巨大昆虫が大量発生したり、植物が異常繁殖して、大都会シカゴが熱帯ジャングルのようになっていく・・・。


原作は、SF小説の巨匠レイ・ブラッドベリの短編「いかずちの音」(1952年)。 それから、50年強。地球の生態系の変化は、恐ろしい勢いで進んでいるのではないだろうか。 生態系研究のためにタイムマシンTAMIを発明したソニア・ランド博士が、タイムトラベルという営利目的にタイムマシンが利用されていることに危惧を覚え、タイム・サファリ社に乗り込み警鐘を唱える場面がある。 まさに今の世界への警鐘と感じるのは私だけではないだろう。 50年後、百年後、人が人間らしく生活できる環境でありますように…。(咲)

★2006年3月25日より丸の内プラゼール他全国松竹・東急系拡大ロードショー

公式HP>>  http://www.sot-movie.jp/


『トゥー・フォー・ザ・マネー』原題: Two For The Money

監督:D・J・カルーソー
脚本/製作総指揮:ダン・ギルロイ
撮影:コンラッド・W・ホール
製作:ジェームズ・G・ロビンソン
キャスト:アル・パチーノ(ウォルター・エイブラムス),マシュー・マコノヒー(ブランドン・ラング/ジョン・アンソニー),レネ・ルッソ(トニー),アーマンド・アサンテ(ノヴィアン)ほか

ブランドン・ラングはアリゾナ州立大の花形フットボール選手だった。 将来を嘱望されていたが、試合で膝を怪我したためプロへの夢が絶たれてしまう。 諦めきれず、プロテストを受けながら電話情報サービスの仕事についていたが、 ある日スポーツ賭博の予想を請け負うと、選手の経験が生きてみごと的中。 以来大人気の情報屋となっていった。 大手の情報会社を経営するウォルターは、ブランドンを高く評価し、 ニューヨークの自分の会社に高額のギャラで招く。 ウォルターは「ジョン・アンソニー」という新しい名前をブランドンにつけ、 彼の才能をさらに磨くべく猛特訓を始める。

アメリカでは4つの州でスポーツ賭博を禁じています。 しかし、スポーツアドバイザーという情報屋は合法。 この作品は脚本のダン・ギルロイがゴルフ中キャディについた男性の実体験をもとに作ったとか。 勝敗と点差の予想を顧客に知らせ、当たれば10%の手数料、外れればゼロ。 ブランドンは80%以上という驚異的な的中率でウォルターの会社に利益をもたらします。 ギャンブル中毒だった過去を持つウォルターを演じるのは、名優アル・パチーノ。 だれもが共演を切望するという彼のカリスマ性がこの配役にもうまく作用しています。 マシュー・マコノヒーの父親は実際にプロのフットボール選手、 マシュー本人は野球選手だったそうで適役。 ギャンブルにはまる人間、その裏で儲けるしくみなども見せてラストまで面白く引っ張ります。

(白)

2004/アメリカ/122分/シネマスコープ/ユニバーサル映画
配給&宣伝:UIP映画
http://www.uipjapan.com/tftm/

3月18日(土)より銀座シネパトスほかにてロードショー


『ウォレスとグルミット』

監督・脚本:ニック・パーク、スティーヴ・ボックス
脚本:マーク・バートン、ボブ・ベイカー
製作:ニック・パーク、ピーター・ロード
音楽:ジュリアン・ノット
音楽プロデュース:ハンス・ジマー
ボイス・キャスト:ピーター・サリス(ウォレス)、ヴィクター(レイフ・ファインズ)、ヘレナ・ボナム・カーター(レディ・トッティントン)ピーター・ケイ(PCマッキントッシュ)、ニコラス・スミス(クレメント・ヘッジ)リズ・スミス(マルチ夫人)ほか

発明家のウォレスと愛犬グルミットは害獣駆除隊「アンチ・ペスト」として畑の安全を守っていた。 巨大野菜コンテストまであと数日。みんなが丹精こめた野菜を狙うウサギが出没! ウォレスの発明したウサギ吸引マシーンで見事解決した二人は、ヒーローとして翌日の朝刊を飾った。 コンテストの主催者のレディ・トッティントンの庭でも大量のウサギを捕獲するが、心優しいウォレスは殺すことができず自宅の地下室でこっそり飼っている。 しかしウサギは増える一方。ついに発明品の「ココロ・コントローラー」でウサギを野菜嫌いにしようと試みるが・・・。

ほのぼのタッチのクレイ・アニメーション。元はイギリスで製作されたアニメの人気シリーズ。 これまでビデオ・DVDは世界20カ国以上で翻訳、日本でも人気。 一コマずつ撮影する手作業のため、一人のアニメーターが1週間作業しても、たった5秒分。 撮影期間は18ヶ月に及んだそうです。 2000年にアードマン・アニメーションズとドリームワークスが製作した『チキンラン』が大ヒット。 これも面白かったですね。 今回はCGIも多く導入したようですが、手作りの良さももちろんたっぷり! 細部までこだわって作ったという、レディ・トッティントンの豪邸はミニチュア好きには必見です。 セリフが一言もなくてもとっても表情豊かで忠犬なグルミット、うちにもいるといいなぁ。(白)

http://www.wandg.jp/teaser/index.html

2006年3月18日(土) シネカノン有楽町、アミューズCQNほか 全国ロードショー


『ghost dance』

監督・脚本・編集:山口円
撮影監督:齊藤正広
音楽:あんべともかず
挿入曲:「ゴースト・ソング」SISAY
キャスト:零(川越満)、池田良(石田太郎)、勝又悠(大竹信也)、前橋聖丈(子役・大山雅樹)、古屋純一、竹田朱見、谷崎友亮、周防美佳、岡本裕輝、横山創、玉利祥子、増島綾子、竹中彩子ほか

満(みちる)の同級生、信也が突然の事故で亡くなってしまった。 大好きと伝える機会もなかった満は、失意の日々を送っていたが「ゴースト・ダンス」の呼びかけのチラシを見つける。 それはネイティブ・アメリカンの「死者に会うための儀式」のダンスだった。 主催の大学生石田の下に、親を亡くした子供、子を亡くした親、戦友に会いたい老人など、大切な人を亡くした人々が集まっていた。 満も信也との再会を夢見てダンスの練習に励むようになる。

山口円(まどか)監督は在学中から映画制作を行っていて、2004年第4作目『もうちょっとでとなり』で第6回インディーズムービー・フェスティバルTANPEN部門グランプリを獲得しています。 この作品もOLをしながら脚本を書き、映画に関わるさまざまなことを自分の手で切り開いてきました。 完成披露試写でお目にかかった山口監督は明るく率直で一生懸命な方でした。
映画は高校生役の零、勝又悠(ご自身監督でもあります)がみずみずしく印象的、池田良さん好感度高し、子役の前橋クンがとても可愛いです。(白)

http://www.ghostdance.jp/

2005年/日本/カラー/ステレオ/DV 16:9/117分

3月11日(土)〜3月24日(金) 連日15:30より

渋谷UPLINKにてロードショー!
地図 http://www.uplink.co.jp/info/map.html


山口監督

前橋聖丈くん

池田良さんと監督

零さん


『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』

監督:トミー・リー・ジョーンズ
脚本:ギジェルモ・モリアガ
撮影:クリス・メンゲス
美術:ジェフ・ニップ
音楽:マルコ・ベルトラミ
出演:トミー・リー・ジョーンズ(ピート・パーキンス)、バリー・ペッパー(マイク・ノートン)、ドワイト・ヨーカム(保安官)、ジャニュアリー・ジョーンズ(ルー・アン・ノートン)、メリッサ・レオ(レイチェル)、フリオ・セサール・セディージョ(メルキアデス・エストラーダ)ほか

メルキアデス・エストラーダはメキシコからテキサスに不法入国してカウボーイとして働いている。同僚のピートは年齢も国籍も越えた親友で、美しい故郷のこと、家族のことを話せる相手だった。ある日突然メルキアデスが銃弾を受けて死んでしまう。 事件を闇に葬ろうとする地元警察を不審に思ったピートは必死で犯人を探し、国境警備隊に赴任してきたばかりのマイク・ノートンにたどり着く。ピートはマイクを拉致し、無縁墓地に葬られたメルキアデスの遺体を掘り出させる。彼は「俺が死んだら故郷のヒメネスへ埋めてくれ」と言った親友との約束を守ろうとしていた。

トミー・リー・ジョーンズの初監督作品。カンヌ映画祭で主演男優賞、脚本賞を受賞しています。
テキサス出身の彼が、メキシコ出身の脚本家ギジェルモ・モリアガと、国境(ボーダー)の誤解と偏見をテーマに原案を練り上げ、この作品を完成させました。ピートは愚直なまでに約束を果たそうとし、ヒメネスを目指します。国境の厳しい自然の中に、様々な人々を配して人間の中の善と悪、生と死などのボーダーも掘り下げていま す。
粗野で酷薄な国境警備隊員のマイクを演じるのはバリー・ペッパー。『プライベート・ライアン』では、神に祈りながら引き金をひく若い狙撃兵でした。今回はほんとに嫌な奴なのですが、ピートと旅を続けるうちに少しずつ成長していくのに惹かれてこの役を受けたのだそうです。主役の二人のほかに印象的だったのは砂漠で一人暮らしている老人。ここでどっと泣けてしまいました。(白)

公式 HP >> http://3maisou.com/

★2006年3月11日(土)より、 恵比寿ガーデンシネマほか全国順次ロードショー
特別鑑賞券好評発売中 一般:¥1,500(税込)[当日:一般¥1,800の処]
ペア券:¥2,800(税込)[お二人劇場窓口のみ]
劇場窓口でお買い上げの方先着限定で”『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』オリジナルBicライター”プレゼント!


『コルシカン・ファイル』(原題:L'Enqute Corse)

監督:アラン・ベルベリアン
脚本・脚色:クリスチャン・クラヴィエ、ミッシェル・デルガド
出演:ジャン・レノ、クリスチャン・クラヴィエ、カテリーナ・ムリノ、デディエ・フラモン、アルバート・ドュレイ

パリで探偵をしているジャック・パーマー(クラヴィエ)の元に、公証人が依頼をしてきた。それはコルシカ島のアンジュ・レオーニ(ジャン・レノ)と言う男を探し出して、遺産相続の不動産登記証書を渡すというものだった。 一見単純な仕事に思えたが、コルシカ島に降り立ったジャックはまず島民のよそ者を嫌う態度や独特の文化に困惑する。さらに彼が探し求めるアンジュ・レオーニという男はコルシカ島民族主義グループのリーダーで、警察が血眼になって探してる人物だった。 何も知らずに居所を聞き回るジャックは、島民からも警察からも果てはレオーニ本人からも不審人物として追い回され、次から次へとハプニングに巻き込まれて行く。音を上げてパリに帰ろうとした時、彼の前に謎の美女が現れる。

原作はフランスの風刺漫画で、コルシカ人気質や文化を皮肉って人気となった作品。コルシカ人気質とは、よそ者を嫌い、皮肉屋で過激な一方で、一度友人になると情に厚く、約束を守り、何より家族を大切にする。 よそ者であるジャックが振り回される様子で、それらをシニカルな笑いをもって描いています。エンドロールではコルシカ島民に映画についてインタビューする映像が見られますが、そこで「コルシカを小バカにしてるんだけど、笑っちゃうんだよな」と語っている人がいる通り、ついつい笑ってしまいます。 初めは店に入れば「何もんだ」と言わんばかりの冷たい視線を一斉に浴び、誰に何を聞いてもろくに返事もしてもらえず、全くお手上げの状態。 ところが徐々に島民に受入れられるようになり、とうとうレオーニに出会った時、ジャックは抜き差しならぬ程コルシカにハマり、その後の人生を大きく変えることになるのです。小さいながらも複雑な地形と豊かな自然を持つこの島は、スルメのように噛む程に味が出て、病み付きになる魅力があるようです。
ジャン・レノが頑固だけど情に厚いレオーニ兄貴を実に格好良く演じています。謎の美女レア役のカテリーナ・ムリノも美しい! (梅)

2004年/フランス/35mm/カラー/シネスコ/ドルビーデジタル/92分
配給:ギャガ・コミュニケーションズ[ロゴ]xリベロ
宣伝:アンカー・プロモーション
★3月11日より銀座シネパトス他 全国順次ロードショー


『Touch the Sound』

監督・撮影:トーマス・リーデルシェイマー
製作:フィルムクアドラッド/スカイラインプロダクションズ
出演:エヴリン・グレニー(パーカッション)、フレッド・フリス(ギター)、オラシオ・エルナンデス(ドラム)、鬼太鼓座(和太鼓)

スコットランド出身のパーカッショニスト、エヴリン・グレニーは、ギタリストのフレッド・フリスと共に、新しいCDの録音でドイツのケルンにある廃墟となった大きな工場跡にやってくる。 二人にとって、周りにある様々な機械や手すりも楽器、そこから新たな音を紡ぎ出していく。 聴覚障害のあるエヴリンは、非常に音が聞こえにくい。 彼女は、体のあらゆる感覚を通して音を感じている。 ニューヨーク、日本、カリフォルニア、イングランド、スコットランド・・・と、日常に潜む“音”を体験する旅が続く。 街や空港や石庭や海岸でエヴリンがみつけた音、街にあふれる音のオーケストラをバックに、アーティストとの共演が始まる。 エヴリンの音楽世界が、美しいポートレートように描かれていく。

監督のリーデルシェイマーは、初めて彼女のマリンバのダイナミックな演奏を聴いた後、暖かな音の拡がり、豊かに情感が変化する演奏がずっと心に残っていて、その後2001年の夏、イギリスのチェルテンハムでのソロリサイタルを聴きに行き、彼女が演奏を始めて数分もたたないうちに、次の作品はエヴリンに関して、“音”の世界の映画を撮ろうと決めたという。

エヴリンは、小さい時から楽器に親しんでいたが、8歳の頃から聴覚を失い始め、12歳になる頃には殆ど聴覚を失ってしまう。 医者から「もう何もできない」と宣告された時、「今日までしていたことが、どうして明日からは何もできないの?」と疑問に思ったという。 父親もまた、医者に対して「好きなことを娘はやります」と言い放ったという。 その後、19歳で英国王立音楽大学を卒業。 欧米を中心にクラシックからアヴァンギャルドまで精力的な音楽創造活動を続け、1988年と2001年の2回、グラミ−賞クラシック部門で受賞。 作曲・演奏のほか、聴覚障害を持つ人への音楽教育や奨学金支援も行っている。 エヴリンは、人間の可能性の凄さを教えてくれる実に魅力的な人だ。(咲)

2004年/ドイツ/100分/ドルビーデジタル
協賛:インテル株式会社
協力:ホテルラフォーレ東京
後援:ブリティッシュ・カウンシル、ドイツ文化センター
配給:ソニーコミュニケーションネットワーク株式会社

★2006年3月11日(土)より ユーロスペースほか全国順次公開

公式HP>> http://www.touchthesound.jp/

エヴリン・グレニー
エヴリン・グレニー招聘記念「Touch the Sound展」
期間:1月22日(日)〜1月28日(土)
時間:10時〜18時
場所:御殿山ガーデン ホテルラフォーレ東京
〒140-0001 東京都品川区北品川4-7-36
TEL 03-5488-3911 FAX 03-5488-3910
http://laforethotels.com/tokyo/


『ウォーターズ』

監督:西村了
出演:小栗旬、松尾敏伸、須賀貴匡、桐島優介、平山広行、森本亮治、葛山信吾、真中瞳、成海璃子、原田芳雄
主題歌:「BoysGirls」倖田來未

ウォーターフロントの倉庫街に集まった、勘違いにキメたスーツ姿の7人の若者たち(小栗旬、松尾敏伸、須賀貴匡、桐島優介、平山広行、森本亮治、葛山信吾)。 ホストクラブ“DOGDAYS”の面接試験に受かって、それぞれの過去に決別し、新たな世界に挑もうと意気揚々と初出勤してきたのだが、なけなしの保証金を渡したはずの店長はいない。 店のオーナー(原田芳雄)も貸した金を踏み倒されたと途方に暮れている。後に引けない7人。 「場所はある! ここでホストクラブを始めよう!」と、素人ホストクラブ“DOGDAYS”を開店させる。 オーナーの孫娘チカ(成海璃子)に「私の7人のドアーフ(小人)」と呼ばれ、張り切る7人。 やがて、女性5人の仲間でブライダル会社を立ち上げ成功し、毎晩のようにホスト遊びを楽しむ美奈子(真中瞳)達一行が店にやってくる・・・。

女王様のように振る舞う美奈子たちにかしずくイケメン新米ホストたち。 偉ぶるオヤジたちに仕えて来た身には、小気味いい構図。  本物のホストクラブに行くのにはお金がかかるけど、映画館の入場料で素敵なホストに出会えます。 きっと、あなたにもご指名したいホストが見つかること請け合い!(咲)

製作・提供:ギャガ・コミュニケーションズ/エイベックス・テンタテインメント
配給:ギャガ・コミュニケーションズ Powered by ヒューマックスシネマ
2005年/日本/ビスタサイズ/ドルビーデジタル/107分

◆3月11日(土)より、シネマGAGA!他全国ロードショー

(株)ギャガ・コミュニケーションズが映画館ビジネス第一弾として、(株)ヒューマックスシネマとの業務提携により、現・渋谷ジョイシネマを“サムシング・サプライズ”をコンセプトに「シネマGAGA!」としてリニューアルオープン。 『ウォーターズ』はオープニング作品として上映されます。

★1月18日、完成披露試写会で、素敵なホストたちの舞台挨拶が行われました。 →  Web版特別記事

公式HP>> http://www.waters-movie.jp/


『エミリー・ローズ』The Exorcism of Emily Rose

監督:スコット・デリクソン
脚本:ポール・ハリス・ボードマン
撮影:トム・スターン
音楽:クリストファー・ヤング
出演:ローラ・リニー(エリン・ブルナー)、トム・ウィルキンソン(ムーア神父)、キャンベル・スコット(イーサン・トマス)、ジェニファー・カーペンター(エミリー・ローズ)ほか

大学生のエミリー・ローズは突然激しい痙攣と幻覚に襲われる。 病院で検査を受けるが良くなる兆しはなく、家に帰って静養することとなった。 凄まじい苦しみに信仰心の厚いエミリーと家族は、教区のムーア神父に悪魔祓いを依頼する。 悪魔は本当に存在しているのか? しかし悪魔祓いは失敗に終わり、エミリーは満身創痍の末死に至った。 ムーア神父は過失致死罪で起訴され、辣腕弁護士のエリン・ブルナーは彼の無罪を勝ち取るために調査を始めた。

ホラー苦手な私は「来る来る」と身構えて薄目で観ていたり、耳はふさがなかったので音に飛び上がったりしていました。 信仰のある検事が科学的に、そうでない弁護士が宗教的な立場で論じ合う法廷劇の展開にもドキドキ。 ホラー、法廷劇半々になったので楽しめた部分があるかわり、どちらかのファンには逆に物足りないところがあるかもしれません。 宗教のことになるとお手上げですが、実際にあった話を元にした、というのが怖いです。 ローラ・リニーはとても可愛らしかった『愛についてのキンゼイ・リポート』(キンゼイ夫人役)とは全く違う、野心家の弁護士をパワフルに演じています。 エミリー役の新人、CGなしというジェニファー・カーペンターの鬼気迫る演技に震えましょう。(白)

公式 HP >> http://www.sonypictures.jp/movies/theexorcismofemilyrose/

2005年/アメリカ/カラー/119分/
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
★2006年3月11日より、スカラ座ほか全国にて公開

『エミリー・ローズ』 スコット・デリクソン監督来日
1月18日(水)の記者会見に参加してきました。以下要約です。

『エクソシスト』は素晴らしい作品で、発表されて以来これを越えるものは出ていないと思います。 別のアプローチをしようと考えました。できるだけリアル感のあるものにしたかったのです。 娯楽性があり、なおかつスピリチュアルなもの、神について考えられる作品を目指しました。 脚本は超自然現象を信じる私と、全く信じないポール・ハリス・ボードマン(兼プロデューサー)の2人で書きました。 自分の考えを押し付けるのではなく、違う見解を平等に入れ、観客のみなさんに考えてほしいと思って作りました。 面白いのは、陪審員役の14人のエキストラに有罪か無罪かの判断を聞いてみたら、7:7と見事に分かれたこと。 彼らはそのシーンだけの出演でシナリオの全体を知らず、法廷シーンの検事と弁護士の話だけで判断したのです。 これで作品の狙いは成功したと思いました。

エミリー役のジェニファー・カーペンターの演技はすばらしく、テストをしたときに観ていて怖くなったほどでした。 エリン弁護士は実際のモデルと同じではなく、観客が感情移入でき、ストーリーを引っ張っていくために創造したキャラクターです。 私がたくさんの悪魔祓いの資料を読んで、午前3時が悪魔の活動時間と知ってから、毎晩同じ時間に目が覚めるようになった体験などを彼女のものとして入れてあります。

I love クロサワ! 大学で講義をしているくらい好きです。 ヨーロッパの文芸作品に負けない意義のあるテーマ、メッセージ性を持ち、娯楽作品としてもハリウッドに匹敵します。 もちろん作品は30本全て持っていて、何度も繰り返し観ています。 ソニーのスタジオにこの作品のアイデアを持ち込んだとき、 “『羅生門』meets『エクソシスト』”と説明しました。 クロサワは天候を意味のあるものとして作品の中に用いています。 エミリーが霧の中をさまよい、1本の木に向かっていくシーンは『蜘蛛巣城』から。 ほんとは家族が馬で探しにいく場面も入れたかったのですがカットになりました。

(写真・まとめ 白石)



『沈黙の脱獄』 原題: TODAY YOU DIE

監督・撮影監督:ドン・E・ファンルロイ
出演:スティーヴン・セガール(『沈黙の断崖』『沈黙の追撃』)、マリ・モロー、トレッチ、サラ・バクストン、ニック・マンキューゾ、ケヴィン・タイ

悪者から盗んだ貴金属や金を恵まれない人たちに分け与える、 心優しき大泥棒ハーラン(スティーヴン・セガール)も、 愛するジェイダ(マリ・モロー)との幸せな生活を夢見て、 泥棒家業から足を洗うことを決意する。 ハーランは、マックス(ケヴィン・タイ)が経営する警備会社から現金輸送車の運転の仕事を請け負う。 しかし、その初仕事で相棒のブルーノに現金2000万ドルを持ち逃げされ、 方や、ハーランは警察との銃撃戦の間に意識を失って警察に連行され、 ネバダの刑務所に入れられてしまう。 警察の取り調べで、2000万ドルの行方がわからず、雇い主のマックスも殺害されたことを聞かされる。 絶望的な沙漠のど真ん中の刑務所から、華麗な脱獄をはかったハーランは、 真犯人と2000万ドルの行方を追う・・・。

スティーヴン・セガールの沈黙シリーズ最新作。 ラスベガスとロサンジェルスで、18日間という短期間で撮影された本作は、 撮影期間同様、スピード感に溢れた作品。 刑務所からの脱獄シーンは、圧巻。さて、その方法とは?

2005年/アメリカ/35mm/カラー/ヴィスタサイズ/ドルビーデジタル/91分
提供・配給:アートポート
協力:SEGA
宣伝:フレスコ

★3月4日より、銀座シネパトス他にて、全国順次ロードショー
公式サイト>> http://www.chinmoku.jp/



(c)2004 CJ Entertainment Inc. & Sidus Pictures Corporation.
『力道山』

監督・脚本:ソン・ヘソン
プロデューサー:チャ・スンジェ、河井信哉
撮影監督:キム・ヒョング
美術監督:稲垣尚夫
キャスト:ソル・ギョング(力道山)、中谷美紀(綾)、藤竜也(菅野武雄)、萩原聖人(吉町譲)、船木誠勝(井村昌彦)、橋本真也(東浪)、武藤敬司 (ハロルド坂田)、パク・チョルミン(キム・ミンギョル)ほか

1963年12月15日、戦後の日本の国民的ヒーローだった力道山永眠。
この映画は史実を元にフィクションを合わせて彼の語られなかった部分に光を当てている。 韓国からやってきて差別に耐えながら精進した力士時代、 関脇まで上りながら伝統の壁は厚く大関にはなれなかった。 相撲界に見切りをつけ、プロレスに転向してからの彼はTVの普及が追い風となり爆発的な人気を得た。 街頭テレビやよそのうちのお茶の間で見た興奮を覚えている人も多いことだろう。 プロレスをショウと思わずにみていた子供の私は、 あんなに強い人がなぜナイフで刺されただけで死んだのだろうと不思議だったが、 ヒーローの内側には強い怒りや悲しみがあり、 酒や薬の飲みすぎという弱い部分もあったのをこの映画で知った。
力道山役のソル・ギョングは20kgも体重を増やし、 迫真の試合シーンをスタントなしで演じている。 とつとつとした日本語も内側をさらせなかった力道山が現れているようでかえって良い。 綾役の中谷美紀は「私はあんなに耐えられません」と言っていたが、 大きな子供のような力道山を支える芯の強い女性を演じている。 きっちり作りこんだセットも一見の価値あり。(白)



*写真は2005年東京国際映画祭舞台挨拶より
花束を渡しているのは力道山実子の百田氏


配給:ソニー・ピクチャーズ エンターテインメント
2004年/韓国、日本/2時間29分/シネマスコープサイズ/ドルビー・デジタル

3月4日(土)より テアトル系、ワーナーマイカル、Tジョイ大泉ほか全国拡大ロードショー
http://www.sonypictures.jp/movies/rikidozan/site/


『SPL 狼よ静かに死ね』

監督:葉偉信(ウィルソン・イップ)
出演:甄子丹(ドニー・イエン)、洪金寶(サモ・ハン)、任達華(サイモン・ヤム)、呉京(ウー・ジン)

あらゆる犯罪の影の主役であるマフィアの首領ポー(洪金寶)。一度は彼を逮捕しながら、大切な証人を殺され証拠不十分で釈放せざるをえなかったチャン刑事(任達華)。3年後、引退を控えたチャンとその部下たちはポー逮捕に手段を選ばぬ行動に出る。チャンの後任として赴任してきたマー(甄子丹)は、その暴走を止められない。 父の日にポーは妻と我が子には深い愛情を見せる一方で、チャン刑事たちの暗殺指令を下す・・・

2005年東京フィルメックス映画祭コンペ部門正式出品作品で、アニエスベー観客賞を受賞した。日本では『デブゴン』でお馴染みのサモ・ハンが初の悪役を演じ、ドニー・イエンとのラスト・バトルでは未だ衰えのない、素晴らしいアクションを披露している。
父の日を舞台に、娘の電話に顔をほころばせる刑事が、法を無視した非情な手段を取る一方で、極悪非道なマフィアの中にも父親としての優しさを見せる。葉偉信監督らしい多面的な人物設定であり、緊張と弛緩の絶妙なコンビネーションを見せてくれる。そして甄子丹vs洪金寶に加えて甄子丹vs呉京のマーシャルアーツ対決も素晴らしい。アクション監督でもある甄子丹は、4月に発表される香港アカデミー賞の最優秀アクションデザイン賞にノミネートされた。また刑事役の1人である廖啓智(リュウ・カイチー)は、最優秀助演男優賞にノミネートされている。渋オヤジ度120%の会心作! ただし、ナイフを使った暗殺のシーンはちょっと痛い。(梅)

2005/香港/カラー/93分/ビスタサイズ/SRD
提供:メディア・スーツ、クロックワークス
配給:メディア・スーツ
宣伝:ライスタウンカンパニー

公式 HP >> http://www.spl-movie.com/

★3月4日(土)より、新宿オスカーほかぶて全国順次ロードショー
特別記事『SPL 狼よ静かに死ね』記者会見もご覧下さい。


『六ヶ所村ラプソディー』

監督:鎌仲ひとみ(『ヒバクシャー世界の終わりに』)

2004年、六ヶ所村に原発で使った燃料からプルトニウムを取り出す再処理工場が完成した。 この工場の風下には豊かな農業地帯が広がっている。 菊川さんは12年前からチューリップ祭りを開催し、再処理計画に反対し、 くらしに根ざした運動を実践している。 隣接した村々で農業を営む人々、特に有機や無農薬で安心、 安全な作物を作ってきた農家もまたこの計画を止めたいと活動している。 一方、六ヶ所村の漁村、泊では職を失った漁師の雇用問題が深刻だ。 村はすでに再処理を受け入れ、経済的にも雇用の面でも必要だという考えが行き渡っている。
2005年、イギリスの再処理工場で事故が起きた。取材で見えてきたのは事故の影響よりも、 44年間日常的に放出されてきた放射性物質の行方だった。 圧倒的な力と経済力に、普通の人々はどうやって立ち向かっていけばいいのだろうか。 その取り組みを、人々の営みをそしてそれぞれの選択を見つめてゆく。

津軽三味線の掻き立てるような調べが、六ヶ所村の人々の気持ちを代弁しているようで切ない。 鎌仲ひとみ監督自らが語るナレーションも、押し付けがましくないだけに、 原発の抱える問題を静かに考えさせてくれる。 六ヶ所村の四季折々の映像が息をのむように美しい。 目に見えない放射性物質が、いつの日かこの美しい風景を変えてしまうのだろうか・・・。 危険性をはらんだ原発に替わる画期的なエネルギー資源はないのだろうか・・・。(咲)

2006年/16mm/カラー/1時間59分

オフィシャルブログサイト>>    http://rokkasho.ameblo.jp

★3/3(金)・3/4(土)初公開上映会
3/3(金) 1回目 開場14:00/上映14:30/鎌仲監督トーク16:30
       2回目 開場18:00/鎌仲監督トーク18:30/上映19:00
3/4(土) 開場18:15/鎌仲監督トーク18:30/上映19:00

会場:
四谷区民ホール
東京都新宿区内藤町87番地 四谷区民センター9階 03-3354-6173
 (地下鉄丸の内線「新宿御苑前駅」より徒歩5分)
http://www.city.shinjuku.tokyo.jp/division/261300yotsuya/kuminhall/

入場料:
前売り券:¥1200
当日:一般¥1500、学生・シニア¥1200
※前売り券は、チケットぴあ店頭/セブインイレブン/サークルK・サンクス/ファミリーマート
  Pコード 475-681

主催・お問合せ:
グループ現代 
TEL:03-3341-2863  FAX:03-3341-2874
★3月21日(祝) EARTH VISION多摩で上映。


『スティーヴィー』原題:STEVIE

監督:スティーヴ・ジェイムス(『フープ・ドリームス』)

スティーヴ・ジェイムス監督は、大学在学中、問題を抱えた青少年の更正を助け る“ビッグ・ブラザー(兄役)” の制度により、スティーヴィーの兄役となる。当時スティーヴィーは11歳。扱いにくく、落着かない少年だった。監督はシカゴへの引越により兄役を終え、解放感を感じるが、問題児スティーヴィーと過ごした数年から逃げてはいけないという思いがあった。10年程が経ち、監督はスティーヴィーについての映画を撮る決意をし、彼を訪ねていく。すでに逮捕歴十数回、怒りを秘めた直情的な男になっていた。彼の承諾を得て、断続的に彼を追い始めるが、彼は親族の少女への性的虐待の罪で捕まり、監督は重犯罪者と向き合うことになる。
スティーヴィーは私生児で、母親は望まない子だった彼を虐待し、彼の父ではない別の男性と結婚したあと、その男性の母親にスティーヴィーを「この子はいらない」と引き渡してしまったという。
このスティーヴィーという“怪物”を生み出したのは、誰なのか? 監督は、怪物ではなく、一人の人間として彼を見て欲しいという。(でも、怪物に見えてしまった!)スティーヴィーの生活保護費を管理する妹、育ての親の義理の祖母、 罪を犯しても彼のそばを離れない婚約者など、彼を人間として接する人々に、少し安心させられるが、アメリカ社会の歪みをずっしりと感じさせてくれるドキュメンタリーである。(咲)


山形国際ドキュメンタリー映画祭2003最優秀賞
アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭大賞
サンダンス映画祭最優秀撮影賞

2002年/アメリカ/35mm/カラー/1:1.85/145分
配給:ムヴィオラ

公式 HP >> http://www.moviola.jp/stevie/

★2006年2月18日、ポレポレ東中野にてロードショー


『ミュンヘン』(MUNICH)

監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:トニー・クシュナー、エリック・ロス
参考図書:「標的(ターゲット)は11人—モサド暗殺チームの記録」
       ジョージ・ジョナス 新潮文庫刊
製作:キャスリーン・ケネディ、スティーヴン・スピルバーグ、バリー・メンデル、コリン・ウィルソン
撮影監督:ヤヌス・カミンスキー,ASC
プロダクション・デザイナー:リック・カーター
衣裳:ジョアンナ・ジョンストン
音楽:ジョン・ウィリアムズ
キャスト:エリック・バナ(アヴナー)、ダニエル・クレイグ(スティーヴ)、キアラン・ハインズ(カール)、マチュー・カソヴィッツ(ロバート)、ハンス・ジュシラー(ハンス)、ジェフリー・ラッシュ(エフライム)、フェイレット・ゾラー(ダフナ)、アヴナーの母(ギラ・アルマゴール)、モーリッツ・ブライヴトロイ(ルイ)、ミシェル・ロンズデール(パパ)ほか

1972年ミュンヘン・オリンピック開催中、パレスチナ・ゲリラ“ブラック・セプテンバー 黒い9月”により、イスラエルの選手団11人が殺害された。 怒りと悲しみの中、イスラエル政府が下した決断は「報復」だった。 機密情報機関“モサド”の一員のアヴナーは暗殺チームのリーダーに任命される。 極秘任務のため、身重の妻や母親にも真実を話せないまま、「正義」を行うためヨーロッパへ渡る。 上官エフライムはジュネーブに活動資金とスペシャリストの仲間4人を用意していた。 任務は首謀者と目されるパレスチナ人11人を探し出し、暗殺すること。 そして最初の標的はローマにいることがわかった。

史実を元にしているものの、暗殺者たちのことがすっかり明らかにされているわけではありません。 製作チームはキャラクターを創作し、より人間的な深みのあるものにしました。 それ故、最初は愛国心から命令を遂行しようとしたアヴナーの逡巡する心が身に迫って感じられます。 暗殺者ならもっと冷徹非情なのでは、と思ってしまうのですが、彼にもテロを実行する者たちの背後にも愛する者や国を思う気持ちがありました。 第一線の俳優達が複雑なキャラクターを演じ、サスペンスストーリーとしても見ごたえがあります。
日本で安穏と暮らしているから言えることですが、互いの唱える正義の名のもと、「今も」同じことを繰り返しているのではないかと思えます。 イスラエル側の人間中心に描かれた映画ですが、一人の人間の痛みをクローズアップし、何を感じたか、自分ならどうするか?と宿題を出された感じがしました。 試写では長い上映時間、身じろぎもせず観入ってしまいました。 当事者・国の人たちはこの映画をいったいどんな思いで観たのでしょう。(白)

エリック・バナ舞台挨拶
上映前、「サプライズゲスト!」と主演のエリック・バナが登壇しました。 『トロイ』以来、2度目の来日です。
写真なしですみません。黒の上着、水色のシャツ、ノーネクタイ、ジーパン。 クリーム色の長いマフラーをしています。背が高くて、女性の通訳さんと頭ひとつ違いました。

こんばんは、上映にお越しいただいてありがとうございました。日本は2度目で す。早く戻って来たいと思っていました。日本には一番知的なジャーナリストの方々 がいますから。ミュンヘン事件の当時はまだ4歳でしたから(’72ですから今は37、 8歳)記憶にはありません。僕は撮影が終わっても半年くらい役を引きずるほうで す。10月に終わりましたので今も50%はアヴナーです。大丈夫、襲ったりしません (笑)。アヴナーは私の一部で、大好きなキャラクターです。 スピルバーグ監督は天才的なフィルムメーカーと聞いていました。まさにその通りで した。監督としてだけでなく、人間として素晴らしい人です。エネルギッシュで俳優 の良いところを引き出し、いろんなインスピレーションを与えてくれました」 (メモより)

2005/アメリカ/ドリームワークスピクチャーズ ユニヴァーサルピクチャーズ提供
カラー/スコープサイズ/2時間44分/ドルビーデジタル/字幕:松浦美奈

配給:アスミック・エース

http://munich.jp/

2月4日より丸の内プラゼールほかにて公開


『小さな恋のステップ』(原題:someone special)

監督・脚本:チャン・ジン
撮影:パク・セムン
音楽:パク・クンテ
出演:チョン・ジェヨン(トン・チソン)、イ・ナヨン(ハン・イヨン)、パク・ソヌ(泥棒)、イム・ハリョン(部長刑事)、チョン・ギュス(老医師)チャン・ヨンナムほか

学生時代は豪腕投手として活躍したトン・チソンだったが、今はプロでも2軍の外野手。 おまけに、彼女から突然別れを切り出されるわ、医者には余命3ヶ月と宣告を受けるわで、どん底状態。 行きつけのバーで泥酔し、気がつくとホテルのベッドの中。 運んできたのは女性バーテンダーのハン・イヨンだった。 生きる意欲を失ったチソンの前に、なぜか何度も現れるイヨン。 チソンには全く記憶がないが、実は彼女とは昔からの知り合い。 イヨンの家はたった39歩のところにあり、10年間密かにチソンを想い続けていたのだった。

男らしい硬派な役柄の多かったチョン・ジェヨンが、悲劇に見舞われ自暴自棄になるプロ野球選手チソンを演じています。 ぼーっとしているのは希望をなくしたせいか、元々なのか。 何度も会っているイヨンの名前を尋ねることもしないのに、近所を荒らした泥棒には説教したりしています。 そして、マイペースなイヨンがとっても可愛いです。 一途に想い続けた彼へのアプローチも変わっているし、ちょっと世間とずれている二人や出来事に笑えます。
イヨンの部屋の壁にはいろいろ落書きがあったのですが、なんと書いてあったのか気になります(誰か読めたら教えて)。 イ・ナヨンはこの作品で2004年青龍賞主演女優賞を獲得しました。 チャン・ジン監督の笑いのセンスが光る作品。(白)

2004/韓国/107分/カラー/シネマスコープ/ドルビーデジタル
http://www.koinostep.com/

★東京での上映は終わりました。全国の詳しいスケジュールは公式HPをご覧下さい。
前売り券発売中 ¥1500
劇場窓口でお買い求めの方にはチョン・ジェヨン&イ・ナヨンのポートレート3点セットプレゼント


『僕が9歳だったころ』

監督:ユン・イノ
脚本:イ・マニ
原作:ウィ・ギチョル「9歳の人生」河出書房新社
撮影:チョン・ジョミョン
美術:シン・ジョミ
音楽:ノ・ヨンシム
出演:キム・ソク(ヨミン)、イ・セヨン(ウリム)、チョン・シギョン(ヨミンの母)、チ・デハン(ヨミンの父)、キム・ミョンジェ(ギジョン)、ナ・アヒョン(グムボク)、パク・ヘンリ(ツバメ)、アン・ネサン(担任)ほか

1970年代の韓国、慶尚道の山村。
3年生のヨミンのクラスに、ソウルから可愛い女の子が転校してきた。 名前はチャン・ウリム、着ているものも話しかたも村の子とは大違い。 一目ぼれしたヨミンだが、男たるものそう甘い顔はできない。 前からヨミンが好きなグムボクは、なにかにつけウリムと張り合い、突っかかってしまう。 そんな女心も知らず、ウリムをかばうヨミンにグムボクの涙は止まらない。 アメリカ育ちだというウリムには、なにか秘密がありそうだ。

ヨミンの家庭は貧しいけれど、「世界一のお父さんとお母さん」がいます。 お母さんは片目を悪くしていて、ヨミンはサングラスをプレゼントしようと内緒でアルバイトをしてお駄賃をためているところ。 親孝行な上に男気もあって、なかなかかっこいい9歳です。 TVドラマの「宮廷女官 チャングムの誓い」で、イ・ヨンエの子供時代を演じたイ・セヨンが、可愛くて生意気な都会の子を演じています。 イ・ソクとイ・セヨンの二人は子役からのベテランですが、普通の小学生から選ばれたという他の子供たちも生き生きとしたセリフとともに印象的です。
子供たちのほかに、様々な大人たちが時代の雰囲気をまとって散りばめられています。 やたら体罰をする担任は『マラソン』の気弱なお父さん役だったアン・ネサン。 叩かれても叩かれても前に戻って「気をつけ」をする子供たちがいじらしいです。 目上の者は「絶対」だったのですね。
出会いと別れを繰り返して、9歳だった頃がはるか遠くになってしまった私にも、最後の子供の時代を思い出させてくれました。(白)

2004/韓国/カラー/105分/ヴィスタサイズ/ドルビーSRD/
配給:コムストック/ツイン

http://www.boku9.com/

★5月13日より、三軒茶屋中央劇場にて上映


『沈黙の追撃』

原題:Submerged
監督・脚本: アンソニー・ヒコックス
出演:スティーヴン・セガール、ヴィニー・ジョーンズ、ゲイリー・ダニエルズ、ウィリアム・ホープ

南米ウルグアイ、アメリカ大使館。 3人のシークレットサービスが大使を銃殺し、直後に自害する。 CIA本部は、事件の黒幕アドリアン・レイダー追跡のため、米陸軍特殊部隊を派遣するが、レイダーのテロ組織により壊滅状態になり、一部は人体実験で洗脳され、殺人マシーンと化してしまう。 事態打開のため、政府は服役中の元海軍エリート、コーディー(スティーヴン・セガール)を召還。 狙撃・爆破・情報収集などの戦争エキスパート7人とともにウルグアイに乗り込むコーディー。 陸・海・空を舞台に激しいバトルが繰り広げられる…。

本作はイギリス・ブルガリアとの共同制作で、後半のロケ地はブルガリア。 それをちゃっかり南米ウルグアイに見せている。(一瞬キリル文字が目に入った記憶が…) スティーヴン・セガールは、17才の時、初来日し合気道有段者となり、後に再来日し日本人と結婚し、道場を構えていたこともある日本通。 ゲイリー・ダニエルズは『シティーハンター』でジャッキー・チェンと共演したり、『GEDO外 道』で中条きよしや松田聖子と共演するなどアジアと縁がある。 ヴィニー・ジョーンズも『SURVIVESTYLE5+』(関口現監督)で浅野忠信と共演している。

さて、本作では、大企業を嫌う大統領が選任され、組織にとって都合の悪い新任大統領を消すために、大統領の婚約者を洗脳するといった場面もある。 科学的に人を洗脳して殺人を実行させるのだが、世の戦争を企てる権力者たちは、自ら手を下さず、なんらかの方法で最前線に送り込む兵士を作り上げている点では同じではないか。 マーシャル・アーツ炸裂のアクション映画の底流に、反戦や悪の根源を絶ちたい思いも感じられた。(咲)

2004年/アメリカ/96分/35mm/カラー/ヴィスタサイズ/ドルビーデジタル
提供:アートポート
配給:アートポートXギャガ・コミュニケーションズ
宣伝:フレスコ

★東京での上映は終わりました。全国の詳しいスケジュールは公式HPをご覧下さい。

公式HP>> http://www.chinmoku.jp/


『B型の彼氏』

監督・脚本:チェ・ソグォン
キャスト:イ・ドンゴン(ヨンビン)、ハン・ジヘ(ハミ)、シン・イ(チェヨン)、ペク・イルソプ(ヨンビン父)ほか

運命の出会いを信じるハミは純粋なA型の女の子。 同居している従妹のチェヨンは結婚相談所に勤務、ハミに「絶対にB型男はダメ、A型女とは最悪の組み合わせ!」と言う。 ところが一目ぼれしたかっこいいヨンビンはB型男だった! チェヨンの大反対にも関わらず、積極的なヨンビンにハミはすっかり心奪われてしまう。 しかし、次第に自己チューになっていくマイペースな彼に、ハミは疲れきりついに別れる決心をす る。

血液型占いが一世を風靡したのはいつだったでしょう。 今もブームとはいえなくても、なんとなく「慎重派のA型、マイペースなB型、ミステリアスなAB型、おおらかなO型」とかよく聞きますね。 これが長編映画第1作のチェ・ソグォン監督自身はB型男だそうで、主演、助演の3人はみなA型。 イ・ドンゴンは04年のTVドラマ「パリの恋人」、「ランラン18歳」、「ガラスの華」に続けて主演。 大ブレイクしました。人気モデルだったハン・ジヘも「ランラン18歳」で共演。 この映画で二人揃って韓国のアカデミー賞といわれる第42回(05年)大鐘賞の新人男優賞にノミネートされました。 強烈な従妹を演じたシン・イは助演女優賞にノミネート。明るいラブコメ作品です。(白)

2005/韓国/98分/ビスタサイズ/カラー/ドルビーSRD/

http://www.herald.co.jp/official/b_kare/

★東京での上映は終わりました。全国の詳しいスケジュールは公式HPをご覧下さい。


『RIZE<ライズ>』

監督:デヴィッド・ラシャベル
出演:トミー・ザ・クラウン、タイト・アイズ、リル・シー、ミス・プリッシー、ドラゴン

ロサンジェルス、サウスセントラル地区。1992年に起きたロス暴動の震源地でもあるこの地は、暴力と銃声がはびこる町。希望の光の見えない町で、トミー・ザ・クラウンは、ピエロ(クラウン)の格好をして子供達の誕生日会などで踊り、人気を得る。その後、彼は若者たちにダンスを教え始め、“クラウン・ダンス”は、たちまち若者たちの心を捉え、やがて、彼の元でダンスを学んだ若者の中から、“クランプ”という新しいダンスを作り上げるグループも出てくる。クラウンVSクランプのダンス ・バトルは、それこそ命をかけたダンス対決。この町から這い上がるには、ダンスしかない! ほとばしる汗、輝く黒い肌・・・。

冒頭、「この映画の中のダンスは早回しではありません」のメッセージ。手足を凄い速さで振り回して踊る様は、人間技ではなく、まさに早回ししているとしか思えない迫力。本作は、世界的ファッション・フォトグラファーであるデヴィッド・ラシャベ ルの初監督作品。トミーたちのダンスに魅せられたラシャベルが、抑圧された環境の中から生まれたダンスに焦点を当てたものだ。ダンス・バトルがクラウングループの勝利に終わる一方で、トミーの自宅が荒らされたり、子供たちが腹いせに銃で撃たれて殺されたりという現実も映し出す。アメリカの暗部ともいえる姿を見せられ、イラクに民主化を押し付けている場合か・・・と思ってしまった。すさんだ町で暮らす若者たちに、無心に踊れる日は来るのだろうか。監督は『RIZE』(這い上がる)というタイトルに、さらに高いところを目指してほしいという希望を込めたという。監督の思いがこの町の人たちに届くことを願う。(咲)

2005年/アメリカ/87分/カラー/ビスタサイズ/ドルビーSR・デジタル
配給:ギャガGシネマ
提供:ギャガ・コミュニケーションズ
宣伝:ギャガ宣伝[春]グループ

公式 HP >> http://www.rize-movie.jp/

★1/28(土)より、シネマライズほか全国順次ロードショー

★ Web版特別記事「『RIZE<ライズ>』公開記念ダンスバトルに、オバさんも熱くなった!」


『オリバー・ツイスト』

監督:ロマン・ポランスキー
脚本:ロナルド・ハーウッド
撮影監督:パヴェル・エデルマン
プロダクション・デザイナー:アラン・スタルスキ
音楽:レイチェル・ポートマン
出演:ベン・キングスレー(フェイギン)、バーニー・クラーク(オリバー)、ジェイミー・フォアマン(ビル・サイクス)、ハリー・イーデン(ドジャー)、リアン・ロウ(ナンシー)、ルイス・チェイス(チャーリー)ほか

産業革命のため、貧富の差が広がっていた19世紀の英国が舞台。 養育院で育ったオリバーは9歳になり、救貧院に戻されてきた。 粗末な食事に空腹に耐えかねた子供達は「お粥のおかわり」を要求する者をくじ引きで決め、 オリバーが運悪く当たってしまう。 おずおずとおかわりを求めた彼は、憤慨した委員たちから追放され、 葬儀屋へ売られて理不尽ないじめにあう。 オリバーはこっそり奉公先を抜け出し、ロンドンへ続く道をひたすら歩いて行く。 7日間かかってようやくロンドンへたどり着き、 街角で倒れこんでいたオリバーに手を差し伸べてきたのは、ドジャーという少年スリ。 オリバーは元締めのフェイギンに引き合わされ、少年達の仲間入りをすることになった。

曇り空の下、くすんだロンドンの街並みのオープンセットが素っ晴らしいです。 映画村として残っていたらぜひ行きたいもの (チェコで撮ったそうです。もうないでしょうね)。 オリバーを演じるバーニー・クラークはこれが初主演。 綺麗な瞳に憂いのある面ざしで、これからひっぱりだこになりそうな予感。 ドジャー役のリー・イーデンはリバー・フェニックスの少年のころそっくり! 先が楽しみな美少年達です。 フェイギン役のベン・キングスレーは元の顔が思い出せないほどのメイクで熱演。 フェイギンは子供を手先にして稼いでいる悪党ですが、 冷酷なビル・サイクスと違ってどこかみじめで憎みきれません。
原作は英国の文豪、ディケンズが25歳ごろ(!!!)に書いたもので、 何度か映像化されています。原作やほかの作品と見比べてみるのも面白そう。 東京国際映画祭特別招待作品。(白)

2005/フランス・イギリス・チェコ映画/2時間9分/スコープサイズ/SDDS,DTS,SRD/

配給:東芝エンタテインメント 東宝東和
OST:ソニー・クラシカル

http://www.olivertwist.jp/

★東京での上映は終わりました。全国の詳しいスケジュールは公式HPをご覧下さい。


『博士の愛した数式』

監督・脚本:小泉堯史(『雨あがる』、『阿弥陀堂だより』)
原作:小川洋子「博士の愛した数式」新潮社刊
寺尾 聰(博士)、深津絵里(家政婦)、齋藤隆成(ルート)、吉岡秀隆(後のルート)、浅丘ルリ子(未亡人)ほか

私が初めて博士に出会った日、一番に尋ねられたのは名前ではなく靴のサイズだった。
「24です」
「ほお、実に潔い数字だ。4の階乗だ」
博士は事故に遭って以来、記憶が壊れてしまっていた。
「ぼくの記憶は80分しか持たない」博士の上着の袖口にはそんなメモが留められていた。

2004年「第一回本屋大賞」のベストセラーを映画化したもの。 天才数学者の博士と、そこへ家政婦として通う若いシングルマザー、そしてその10歳の息子。 息子は博士に愛され、平たい頭の形から「ルート」と呼ばれています。 3人の交流が静かにやさしく描かれています。 記憶がこぼれ落ちてゆく博士を原作の設定(宇野重吉氏をイメージしました)よりは若い寺尾聰が演じています。 誠実な温かみのある声とセリフ回しにいいものを受け継いだなぁと思います。 こういう先生に教わっていたら、数学好きになっていたかもしれないわ。 深津絵里が明るく爽やかなシングルマザー役。 ちぐはぐな博士に誠心誠意向き合っている素敵な家政婦さんです。 現実でもこういう人がいなくっちゃね。 未亡人だけが全く異質な感じがして「浅丘ルリ子の舞台」を観ているようでした。 毎回違う着物が渋くてよかったですが。 小泉監督の前作が好きだった私は今回も気持ち良く泣けました。 「世にも美しい数学入門」なんて本まで買ってしまいました。 いち早く観たい方は東京国際映画祭(10・28六本木)へどうぞ。(白)

2005/日本/カラー/117分/配給:アスミック・エース エンタテインメント

★東京での上映は終了しました。詳しい上映スケジュールは公式HPをご覧下さい。
「日韓友情年2005」<日本映画:多様な展開>オープニング作品に決定!

http://hakase-movie.com/

小泉監督: 原作を読んですぐ映画化したいと思いました。 シナリオにするのは大変ですが楽しい作業でした。

小川洋子:水面にゼロのように輪が広がり、3人を包む場面が好き。

寺尾聰:小泉監督との仕事はライフワークです。数学は苦手なので、理工科の息子にいろいろ教わりました。


深津絵里:言葉にして伝えるのがすごく難しい映画です。心が揺れたら大切な人に伝えてください。

吉岡秀隆:身にしみてくる優しさがあり、映画っていいなと思える大好きな作品です。


「フランス映画祭2006」

3月15日(水)〜3月19日(日)
シネマメディアージュ(お台場)、VIRGIN TOHO CINEMAS 六本木ヒルズ、TOHOシネマズ 高槻
チケットは2月24日(金)より発売

公式 HP >> http://www.unifrance.jp/festival/index_pc2.php?langue=JAPANESE



「巨匠が描いた花街の女たち」

ハリウッドで制作された『SAYURI』が話題になった今、花柳界に生きる女たちを日本映画の巨匠たちが描いた作品をあらためて鑑賞する絶好の機会です。全作品、英語字幕付きですので、是非とも外国出身のお友達も誘ってご覧になって下さい。

期間:2006年3/17(金)〜3/19(日)
会場:赤坂・国際交流基金フォーラム
東京都港区赤坂2−17−22 赤坂ツインタワー1F
東京メトロ銀座線・南北線「溜池山王」駅12番出口より1分

主催:独立行政法人 国際交流基金
企画・運営協力:特定非営利活動法人東京フィルメックス実行委員会
協力:角川映画、東映、日活

料金:当日600円(当日券のみ)
  *各回入替制 *全作品英語字幕付き (講演は入場無料)

<お問合せ先>
・ 会期前のお問合せ:上映会事務局(東京フィルメックス内)
          Tel:03-3560-6394(11:00〜17:30 平日のみ)
・ 会期中のお問合せ:国際交流基金フォーラム
          Tel:03-5562-4096(開催期間中のみ)

<タイムテーブル>(6作品上映)   *入替制(開場は15分前)
3/17(金)
19:00 「妖刀物語 花の吉原百人斬り」(109分/1960/監督:内田吐夢)
Yoshiwara the Pleasure Quarters / 1960 / UCHIDA Tomu / 109mins.
3/18(土)
13:30 「女は二度生まれる」(99分/1961/監督:川島雄三)
  Women Are Born Twice / 1961 / KAWASHIMA Yuzo / 99mins.
15:15 講演「日本映画に見る花街の女たち」(英語通訳付き)※入場無料
  常石史子氏(東京国立近代美術館フィルムセンター 研究員)
18:00 「四畳半襖の裏張り」(72分/1973/監督:神代辰巳)
  The World of Geisha / 1973 / KUMASHIRO Tatsumi / 72mins.
3/19(日)
13:30 「噂の女」(84分/1954/監督:溝口健二)
  The Woman of the Rumor / 1954 / MIZOGUCHI Kenji / 84mins.
15:30 「偽れる盛装」(103分/1951/監督:吉村公三郎)
  Under Silk Garments / 1951 / YOSHIMURA Kozaburo / 84mins.
18:00 「日本橋」(111分/1956/監督:市川崑)
 Nihonbashi / 1956 / ICHIKAWA Kon / 111mins.

公式 HP >> http://www.jpf.go.jp/



第2回アラブ映画祭

会期::2006年3月3日(金)〜11日(土)
会場::赤坂・国際交流基金フォーラム

○アラブ映画新作パノラマ
『夢』 2005年/イラク=英=蘭 監督:ムハンマド・アル=ダラージ
『イラク、わが故郷 亡命者サマーワへ還る』 2005年/イラク=豪 監督:ハッディ・マフード
『長い旅』 2004年/モロッコ=仏 監督:イスマエル・フェルーキ
『天井の下で』 2005年/シリア 監督:ニダル・アル・ディブス
『夢と現実の日々』 2005年/シリア 監督:ワーハ・アル=ラーヒブ  *2005年アジアフォーカス福岡映画祭上映作品 シネマジャーナル66号に紹介記事
『Waiting』 2005年/パレスチナ=仏 監督:ラシード・マシャラーウィ
『消えゆく者たちの年代記』 1996年/パレスチナ=仏 監督:エリア・スレイマン

○アラブ映画祭2005アンコール
『D.I.』 2002年/仏=パレスチナ 監督:エリア・スレイマン
『露出不足』 2005年/イラク=独 監督:ウダイ・ラシード
『忘却のバグダッド』 2002年/イラク=スイス=独 監督:サミール  *アラブ映画祭2005 シネマジャーナル65号に報告記事

>> http://www.jpf.go.jp/j/culture_j/topics/movie/arab2006.html

★バックナンバー販売
アラブ映画祭期間中(3/3-3/11) 、会場の国際交流基金フォーラムで、 シネマジャーナル65号 (アラブ映画祭2005レポート掲載) および シネマジャーナル66号 (今回上映の『夢と現実の日々』紹介記事掲載) を販売致します。ぜひ、お買い求めください。


『WARU』

監督:三池崇史
製作・原作・脚本:真樹日佐夫
劇画:影丸穣也
出演:哀川翔、真樹日佐夫、袴田吉彦、萩原流行、吉野公佳、岡田真澄、石橋凌、松坂慶子

氷室洋二(哀川)は「地平同」(地平に真の平和と繁栄をもたらすための同志の会)を主催する更級十朗(真樹)の右腕として働いている。「地平同」は極東マフィアの隠し金を吐き出させていた。そのためマフィアは更級と氷室の暗殺指令を下す。
更級は結婚したばかりの妻とその子供を連れて出た旅先で襲撃され、命を落とす。氷室は弔い合戦を警戒する警察の目をかいくぐり、敵を追い詰める。そして湖上での闘いの末、更級を殺した暗殺者を討つが、自らも湖底に沈み消息を絶ってしまう。警察も氷室は死んだものと思う。
しかし・・・

真樹日佐夫の作家生活45周年を記念し、同氏原作の人気劇画「ワル 最終章」を映画化。監督はあらゆるジャンルの作品を手がけ、すべてに自分の色を出しながらキッチリとやってのける天才映画職人・三池崇史。 男の夢とロマンを追求した、こういった劇画的なヒーローを演じさせたら哀川翔はピカ一。ビシッと決めてくれます。こういう作品では女性はどうしてもお飾りになりますが、それでも男にとっての夢の女に松坂慶子は実体を持たせます。(梅)

2006/日本/ビスタ/ステレオ
製作・配給:真樹プロダクション

★2月25日(土)より、銀座シネパトスにてロードショー


『イラクニ接近ス』

監督:谷澤壮一郎(宇都宮大学4回生)

イラク戦争から1年後の2004年春、当時20歳の谷澤監督は、イランから陸路イラクに 入国した。3回目のイラク入り。滞在中、イラク南部で暴動が起きたり、西部ファ ルージャ近郊で米軍の大規模軍事作戦が行われたり、治安は悪くなるばかり。日本人 3名が人質になった時期でもある。銃声が恒常的に聞こえてくる中で、イラクの人た ちは、いつもと変わらぬ暮らしを営んでいる。バグダッドの街角で大学生を中心に 行ったインタビューや、市場、食べ物屋、遊園地等々、ニュースではなかなか伝わっ てこないイラクの日常を、感じるままに撮った映像を、62分に凝縮した作品。

2月5日、渋谷で開かれた「バグダッド・カフェ」の催し(スタッフ日記2月第一週参 照)で、本編のうち、15分程が上映された。大学生やタクシードライバー等へのイ ンタビューは英語で行われたため、答える方も、精一杯の英語で答えているのだが、 なんと、字幕は関西弁! 谷澤監督は、宇都宮大学なのに、あえて「4回生」と語る ように、関西出身。滋賀県大津市から京都の高校に通っていたとのことだが、イラク 人と接していて、京都人気質を感じたのだそうだ。地道な編集作業に、多少でも遊び を・・という思いもあって、京都人の関西弁を字幕に採用。戦渦で生きるイラクの人 たちの気持ちが、不思議としっくり伝わってくる。(咲)

2005年/62分/カラー

★2月20日(月)より、渋谷UPLINKにて公開

UPLINK 『イラクニ接近ス』紹介ページ >> http://www.uplink.co.jp/x/log/001024.php
谷澤壮一郎HP>> http://www.faiznet.info/index2.htm



『プルーフ・オブ・マイ・ライフ』(原題:Proof)

監督:ジョン・マッデン(『恋におちたシェイクスピア』)
脚本:デイヴィッド・オーバーン(戯曲「プルーフ」)
出演:グウィネス・パルトロウ(『恋におちたシェイクスピア』)、アンソニー・ホプキンス『羊たちの沈黙』、ジェイク・ギレンホール(『デイ・アフター・トゥモ ロー』)、ホープ・デイヴィス(『アバウト・シュミット』『アメリカン・スプレンダー』)

父(アンソニー・ホプキンス)が亡くなって1週間。キャサリン(グウィネス・パル トロウ)は父が早めにくれたプレゼントのシャンパンを一人で飲みながら26歳の誕生日を迎えていた。シカゴ大学で教鞭をとっていた天才的数学者の父に感化され、自らも数学者の道を歩もうとしていたが、大学もやめて看病に明け暮れた日々。ぽっかりと穴が空いた彼女の前に、父の教え子ハル(ジェイク・ギレンホール)が現れ、書斎に残された研究資料を調べさせて欲しいという。かたや、家のローンだけは払い続けていた姉のクレア(ホープ・デイヴィス)が、父が亡くなってはじめてニューヨークからやってくる。家を処分してシカゴを引き払い、ニューヨークにいらっしゃいと言う姉。戸惑うキャサリンだが、そんなある日、ハルは研究ノートに書かれていた画期的な数学の証明が、実はキャサリンのものだと気付く・・・。

複雑な数式の証明が父のものだったのか、彼女のものだったかという謎解きを軸にしていますが、そんな難しいことはともかく、この作品は、肉親を亡くした時の脱力感、寂しさ、そしてそこからようやく立ち上がる姿を描いていて、人間誰しもが越えなければいけない普遍的なテーマの物語です。キャサリンには、ハルという優しい男性が愛を告白し、めでたしめでたしだけれど、私にはそんな風に立ち直らせてくれる人が現れるかなぁ・・・(咲)

2005年/アメリカ/103分/シネスコ/ドルビー・デジタル/カラー
提供・配給:ギャガ・コミュニケーションズ
宣伝:ギャガ宣伝[秋]xアルシネテラン
協力:エイベックス・エンタテイメンメント

公式 HP >> http://c.gyao.jp/movie/proofofmylife/

★2006年1月14日(土)より、みゆき座ほか全国東宝洋画系ロードショー


『僕と未来とブエノスアイレス』(原題:EL ABRAZO PARTIDO、英題:LOST EMBRACE)

監督:ダニエル・ブルマン(『モーターサイクル・ダイアリーズ』共同制作)
出演:ダニエル・エンドレール(『ウィスキー』)、アドリアーナ・アイゼンベルグ、ホルヘ・デリーア

ブエノスアイレス、オンセ地区のガレリア(アーケードつき商店街)。ここは、イタリ ア、リトアニア、ポーランド、韓国・・・等々、移民の人々が生きる町。ポーランド系ユダヤ人の血を引く青年アリエルは、母の営むランジェリーショップを手伝いながら、祖父母の故郷ポーランドに移民して「ヨーロッパ人」になることを夢見ている。 父は彼が生まれて、割礼の儀式に立ち会った後、イスラエルの為に戦いに行くと国を出たまま、もう30年も帰ってこないが、月々母のところへの電話と仕送りは欠かさない。
ガラクタ雑貨商を営む兄ジョセフが商売敵と揉め、路上での荷物運び競争で決着をつける日、人垣の中に佇む片腕のない男をみて、アリエルは直感で父と知る。走り出すアリエル。突然帰ってきた父と、どう対峙するのか。そして、ヨーロッパ人になる夢は・・・?

監督は、20歳の時に発表したドキュメンタリーでユネスコの名誉賞を受賞。自らの出時であるポーランド系ユダヤ人を扱った長編4作目の本作でベルリン国際映画祭銀熊賞に輝いた時は、わずか30歳。『モーターサイクル・ダイアリーズ』に共同プロデューサーとして参加するなど、アルゼンチン期待の星である。

本作には、男の子の割礼、ユダヤの民族舞踊を楽しむ母親、安息日を忘れたラビ(聖職者)の話等々、随所にユダヤにまつわる描写が出てきます。離婚の日付を尋ねられたラビが、ユダヤの暦で答える場面では、今も連綿と暦が生きているのだと驚かされます。世界中に離散したユダヤ人ですが、ある統計によればアルゼンチンには25万人のユダヤ人がいて、それは世界で7番目の規模だとか。本作は、アルゼンチンのユダヤコミュニティーを垣間見ることができる貴重な作品ですが、父と息子、母と息子、 そしてまわりの人たちとの様々な関係を描いていて、普遍的な人間模様を考えさせてくれます。登場するそれぞれの人物が魅力的ですが、ポーランドでは歌手をしていたというおばあちゃんは、ことに素敵。迫害を思い出したくないために歌うことを封印していた彼女が、ある日突然楽しそうに歌い出します。彼女の歌と共に流れるエンドロールは、ちゃんと最後までみてくださいね〜(咲)

アリエルは30歳らしいけれど、なんだかふわふわと毎日を暮らしています。 祖父母の出身地ポーランドのパスポートを申請して、ヨーロッパに移住する目論見はあっても、 実はろくにポーランドのことも知らないし、なにをするという確固たる目的もありません。 アリエルのおばあちゃんはいろいろドラマがありそうだけれど、詳しくは描かれません。 歌う場面があってとても声が若々しいです。どういう人なんでしょう? アリエル役のダニエル・エンドレールはウルグアイ生まれの若手スター。目と口元が印象的です。 『ウィスキー』にホテルで出会う新婚さん役でカメオ出演していました。(白)

第54回ベルリン国際映画祭銀熊賞ダブル受賞
★審査員特別大賞★最優秀男優賞

2003年/アルゼンチン、フランス、イタリア、スペイン合作/カラー/ビスタ/ドルビーSRD/100分
配給:ハピネット・ピクチャーズ、アニープラネット
宣伝協力:ムヴィオラ
後援:アルゼンチン共和国大使館

公式 HP >> http://www.annieplanet.co.jp/buenos/index.html

★東京での上映は終了しています。詳しい上映スケジュールは公式HPをご覧下さい。


『ギミー・ヘブン』

監督:松浦徹
脚本:坂元裕二
音楽:nido/阿部潤
出演:江口洋介、安藤政信、宮崎あおい、小島聖、鳥肌実、石田ゆり子、松田龍平

とある豪邸で起こった殺人事件。現場に駆けつけた柴田警部(石田)が見たものは、死体の側に広がるワインのシミ。それは偶然とも意図的とも見える模様だった。被害者には養女の麻里(宮崎)がいるが、これまでも彼女が養子としていった先では受け入れ家族が謎の多い死をとげていた。
新介(江口)は貴史(安藤)とヤクザの紺野(鳥肌)の下でインターネットの盗撮サイトを運営している。ある日、私生活を公開している女性契約者が失踪する。部屋のベッドには血糊の奇妙な模様が残されていた。新介はそれがアンダーグラウンドのネット世界でピカソと呼ばれる伝説の男のマーキングだと気づく。 そのマークは殺人事件現場に残されたものと一致しており、実は新介にとっては特別な意味を有していた。
盗撮カメラの一つに女性が倒れている映像が映っている。新介たちが現場に行ってみると、それは麻里だった。麻里を連れ帰り、3人の共同生活が始まるが、何故かピカソが敵意を持って彼らの生活に介入してくる。

「共感覚」それは五感のうち、一つの感覚に付随して、別の感覚が引き起こされること。例えば“甲高い声を聞くと赤く光るシミを見る”など。「共感覚」を持つ人は25000人に一人の割合で存在するらしいが、他人にその現象を説明しても理解されず、「共感覚者」の多くは深い孤独感と疎外感を感じている。しかも共感覚者でも同じ感性の持ち主に出会うのは奇跡に等しいと言う。
主人公の新介はこの共感覚の持ち主で、自分が見ている世界を誰とも共有出来ないことにずっと疎外感を感じて生きてきたところ、事件を通して自分と同じような人間がいることに気がつき、危険を顧みずに追い求めてしまいます。でも共感覚いかんに関わらず、自分と他者が同じものを見ても同じようには見ていないと感じたり、孤独を感じて生きるのは誰でもあること。何故に共感覚? と思う節もありますが、それはクライマックスの美しいシーンのためと言えましょう。魅力的な役者陣の中で、とりわけ強烈な印象を残すのは鳥肌実。彼の右翼パフォーマンスは好きではありませんが、役者としての彼はいいです。(梅)

2004年/日本/121分/35mm/カラー/1:1.85

製作:アートポート、松竹、ユーロスペース、関西テレビ放送
配給:アートポート、ユーロスペース

公式 HP >> http://www.gimmy-heaven.com/

★1月14日(土)より、ユーロスペースにてロードショー
特別記事『ギミー・ヘブン』舞台挨拶レポートもご覧下さい。


「第14回 EARTH VISION 地球環境映像祭」

3月9日(木)〜3月11日(土)
四谷区民ホール
○1日1,000円 
○3日間通し協力費(カタログ付き)一般2,000円/学生1,500円 
○中学生以下無料
○事前予約不要

*昨年の国際映画祭アジアの風部門で上映された『無米楽−米を育て、生きる』も上映

公式 HP >> http://www.earth-vision.jp/top-j.htm



「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2006」

2月23日(木)〜2月27日(月)
ゆうばり文化スポーツセンター、夕張市民会館ほか
チケット販売 2006年1月19日(木)〜2月22日(水)

公式 HP >> http://yubarifanta.com/



「第16回にいがた国際映画祭」

2月18日(土)〜2月26日(日)
シネ・ウインド、新潟市民プラザほか

公式 HP >> http://www.info-niigata.or.jp/%7Eeigasai/japan/index.htm




「初笑いだよ!お正月映画大集合!」

シネマアートン下北沢からのおしらせです。

日本映画の黄金時代、ニッポンのお正月を笑いで彩った喜劇映画がありました。
エノケン、森繁、フランキー!伴淳、九ちゃん、クレージー! 映画を生きた最高の喜劇人たちに出会える、まさに喜劇映画史をめぐる旅。 みなさま、お乗り遅れのないようご注意くださ〜い!

劇場:シネマアートン下北沢
期間:1月21日(土)〜2月17日(金)

● 1/21(土)〜1/27(金)
「初笑い底抜け旅日記」(’55) 監督:青柳信雄
出演:榎本健一、柳家金語楼
「白浪五人男 天下の大泥棒」(’60) 監督:佐伯幸三
出演:森繁久彌
「縞の背広の親分衆」(’61) 監督:川島雄三
出演:森繁久彌、フランキー堺
●1/28(土)〜2/3(金)
「アワモリ君 西へ行く」(’61) 監督:古沢憲吾
出演:坂本九、ジェリー藤尾
「喜劇・団地親分」(’62) 監督:市村泰一
出演:伴淳三郎、森繁久彌
「ちんじゃらじゃら物語」(’62) 監督:堀内真直
出演:伴淳三郎、千秋実
● 2/4(土)〜2/10(金)
「社長漫遊記」(’63) 監督:杉江敏男
出演:森繁久彌、小林桂樹、加東大介
「花のお江戸の無責任」(’64) 監督:山本嘉次郎
出演:植木等、谷啓、ハナ肇
「九ちゃんのでっかい夢」(’67) 監督:山田洋次
出演:坂本九、倍賞千恵子
● 2/11(土)〜2/17(金)
「日本一の男の中の男」(’67) 監督:古沢憲吾
出演:植木等、浅丘ルリ子、谷啓
「ハナ肇の一発大冒険」(’68) 監督:山田洋次
出演:ハナ肇、倍賞千恵子
「喜劇・大安旅行」(’68) 監督:瀬川昌治
出演:フランキー堺、伴淳三郎

料金 一般・学生:1200円/シニア:1000円/会員:900円/2回券:2000円/3回券:3000円

スケジュールなどの詳細は、こちら: http://www.cinekita.co.jp/
本誌「シネマジャーナル」及びバックナンバーの問い合わせ:
order@cinemajournal.net
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