10月28日より公開される『トンマッコルへようこそ』の試写会に監督と主演俳優の3人が来日し舞台挨拶を行いました。
イイノホールで行われた試写会への招待状は、本シネマジャーナルWEBでもプレゼント企画を行いましたが、当選された方々は楽しんでこられましたでしょうか?
パク監督とカン・ヘジョンさん、チョン・ジェヨンさんは来日舞台挨拶を経験済みですが、シン・ハギュンさんは初のお目見えでした。ファンの皆さんの期待と意気込みは相当のもので、観客席の最前列で横断幕や手作り応援団扇を用意してスタンバっていらっしゃいました。そしていよいよ監督たちの登場です。
チョン・ジェヨン カン・ヘジョン シン・ハギュン パク・クァンヒョン監督
(登場・着席順)
8月31日(木)、都内ホテルにおいて『トンマッコルへようこそ』記者会見が行われました。29日特別試写会の舞台挨拶と同じく、チョン・ジェヨンさん、カン・ヘジョンさん、シン・ハギュンさんそれにパク・クァンヒョン監督の4人が登場しました。報道陣は200名あまりいたでしょうか。仲良しだというジェヨンさん、ハギュンさん二人のやりとりが楽しく、間にはさまったカン・ヘジョンさんも大笑いでした。通訳をはさむと可笑しさがワンテンポ遅れてしまうのが、とても残念。
チョン:北の将校を演じましたチョン・ジェヨンです。この作品が日本で紹介されることになり心が高ぶっています。日本の皆様どうか楽しんで、暖かい気持でご覧になってください。
カン:こんにちは。カン・ヘジョンです。今日はたくさんの記者の方々が集まってくださり、そして関心を持っていただきほんとにありがたく思っております。多くの方に劇場に足を運んでいただけるよう、どうかみなさんのお力を貸してください。ありがとうございます。
シン:韓国の将校の役を演じましたシン・ハギュンです。韓国で受け入れられたように日本でも多くの方々に観ていただければ嬉しいです。
監督:こんにちは、監督をつとめましたパク・クァンヒョンと申します。実はこの映画の製作は非常に大変でして、なかなか映画各界に関心を得ることができませんでした。映画を作っている当初は、日本でまで紹介されるとは全く思ってもみませんでしたし、今夢のようで嬉しく思っています。この映画にこめた私たちの心を感じ取っていただければと思います。
Q:『トンマッコルにようこそ』の舞台版と映画との演技の違いを。またチャン・ジン監督からなにかアドバイスなどあったでしょうか?
チョン:舞台版には私とシン・ハギュンが出ていますが、私は将校ではなく舞台版だけにいる解説者兼ナレーションの役割でした。舞台では動くか、セリフを言うかしますが、映画ではセリフや動きがなくても、カメラにとらえられたとき何らかの感情が現れてきます。映画のほうが内面を強く打ち出すことができると思います。チャン・ジン監督には「どうかお願いだからいい演技を見せてくれ。原作の持ち味を損なわないようにしっかり頑張ってくれ」と言われました。
シン:先輩の意見とほぼ同じです。チャン・ジン監督とパク監督の出会いがいいシナジー効果を生み出したと思います。このような作品に参加できて、俳優として心から感謝しています。映画と舞台は表現方法が違うだけで本質的には全く同じだと思います。
司会:パク監督にはチャン・ジン監督から映画化するにあたって何かありましたか?
監督:映画化してみないかと言われて、1年6ヶ月かけてシナリオを書きました。チャン・ジン監督に見せると「面白くないな」と。なんて人だ!と思ったのですが、その後何度も話し合いを重ねてシナリオを練り直し、実際に撮影に入ってからはほぼ私に任せてくれました。初めて試写を観たときは、私たち二人ともとても幸福な気分になりました。二人がとてもいい具合に組み合わさったと思います。
Q:久石譲さんの音楽について
監督:シナリオを書いている間ずっと久石さんの音楽をかけていました。そうすることで多くの霊感や書き進める力を得たと思います。シナリオが完成したときには韓国の中で探そうと思いましたが、ぴったり来るものが見つかりませんでした。私は長編第一作ですが、久石さんは巨匠と言われる方です。恐らく無理かなと思いながらも思い切ってお願いしましたら、引き受けていただけました。作業を進める間お互いの気持もうまく交換しあえて息もあったと思います。久石さん自身も私たちの映画に参加したことを、とても楽しんでくださいました。
Q:カン・ヘジョンさんのキャスティングについて
監督:ヨイルの役の俳優を探しているときに、たまたまCMの撮影現場に行ったことがありました。カン・ヘジョンさんの撮影中でなく、休憩中の姿を見て「あ、いいんじゃないか」と思ったんです。そのときの彼女の行動がふつうの人と思えないような、ここではお話できないようなことも見られたので(笑)、この役にぴったりだとオファーをしました。すぐにOKはもらえず、3回くらい会っていろいろな話をしました。その中で子供のころ雨にうたれるのがとても好きだったとか、靴下で顔を拭いたとかという話を聞いて、映画の中に取り入れてみました。あらゆる力を注ぎ込んで彼女にお願いしましたら、私の気持をわかってくれたのか、あまりにも可哀想だと思ってくれたのか、ようやくOKしてもらえました(笑)。
カン:シナリオをいただいた時はすでに舞台公演は終わっていました。ビデオで観る方法もありましたが、やはり生の舞台とは違うので観るのはやめました。出来上がった映画を観ますと、監督がどんなふうに作りたいかと言っていたとおりのものでした。私から監督に「ヨイルは頭がおかしいのか、それともとても純粋なのか、どちらなんですか」と質問しましたら、3度目に会ったときにクールな顔で「純粋なんです」と言ってくれたので、出演を決めました。何回も会っているうちにギャラが上がるんじゃないかと思いまして(笑)、これは冗談です。
そのころ別の仕事もあったのですが、遅れてしまったりいろいろなことがあって、悩んでいるのがカメラに写ってしまっていたようです。監督からは「できるだけ今の考えを捨てて、頭の中を空っぽにしてくれ」と言われました。私もいつもの私が持っている前向きな考えでいようと思いました。ヨイルも前向きな考えを人に分けているような子です。努力しましたが、なかなか上手くできなかったかもしれません。申し訳ありません。
Q:大規模なセットを作るうえで大変だったことは?
監督:舞台版のトンマッコルはとても小さな村でした。チャン・ジン監督は、可愛い小さな村を探してロケを、と思っていたようです。しかし、私の頭に浮かんだのは、みんなが見たこともないような神秘的な空間であってほしいということでした。そこから葛藤が始まったわけです。そういうセットを作るにはかなりの製作費がかかります。私たちの映画はさほどの予算がありませんでしたので、大きな製作費を集めるのに苦労をしました。絶対に必要だと思いましたので、最後までそれに固執して作り上げました。結果的には私自身も、映画をご覧になったみなさんも満足するものになったと思います。
Q:俳優のみなさん、撮影時のエピソードを
チョン:私が先に話すと、この二人が「私も言おうと思ってた」と言うので、意表をついて順番を変えましょう(場内爆笑)。
司会:ではシン・ハギュンさんから(笑)
シン:こういうジェヨンさんみたいな人と1本撮るのがどんなに大変か、わかっていただけるでしょうか(笑)。冗談ですけど。映画を撮っている間はとても気持の良い旅行に行っているような感じでした。なかなか行けない自然の中で、四季の映画を撮れました。夜空を見上げると流れ星がいっぱい見えます。素敵な贈りものとなりました。多くの人がこの映画を好きになってくれると嬉しいです。
カン:この映画で体験した全てが私にとってはエピソードです。いい監督さん、ここにいらっしゃる立派な先輩たち、村人を演じた舞台の俳優さんたちと共演できたのは何よりの収穫でした。この映画を通して得られたのは人との縁だと思います。
チョン:今思うと寒いのに苦労したかな、それ以外はありません。監督は私たちの2倍も3倍も苦労したでしょう。ラストは冬の設定だったのに、撮影場所に雪がなくなってしまって雪のあるところを探し回ったりしました。草原でそりすべりをした場面がありますが、初めは緑だったのが後で撮るときには黄色になってしまって、スプレーで緑色に変えたりしました(笑)。調教したイノシシは野性味が足りなかったり、初めの1頭は出演拒否をしたので、2頭めを探したり。私たちは夜になるとキャンプファイヤーをしたりして楽しんでいました。
Q:ラストシーンは違ったものにはできなかったでしょうか?
蝶々が何度もでてきますが、これにはどんな思いがこめられているのでしょうか?
監督:戦争というものは、ほんとうに大切なもの愛すべきものを一挙に奪ってしまうのだ、というメッセージを私はこの映画で発したいと思ったのです。このラストにすることで、トンマッコルがいっそう美しく純粋なものとしてみなさんに観ていただけるのではないかと思います。二つめの質問の蝶々ですが、私が意味を語ると一つのイメージが固まり、みなさんが観るときにそれに囚われてしまいますので秘密にしておいたほうがいいでしょう。韓国のインターネットのサイトを見ますと、私がどこかで言及したのがみつかるかもしれません。
Q:チョン・ジェヨンさんとシン・ハギュンさんは普段から仲が良いそうですね。ここでお互いの演技を褒めあっていただけますか(笑)?
シン:私がジェヨン先輩のことをどうしてどうこう言えるでしょう(笑)。私たちは学校時代からの先輩後輩ですし、舞台や映画でも一緒に仕事をさせていただいています。頼りにしていて影響をうけている方です。ここで私がチョン・ジェヨンさんの演技について評価することはできません。普段から大好きな方です。
司会:どういうところが大好きなんですか?
シン:僕の好きなタイプというわけではなく(笑)、あくまでも人間的に、また俳優として好きです。個人的に特別な感情があるわけではありません(笑)。
チョン:私たちが結婚するときはぜひおいでください(会場爆笑)。親しければ親しいほど、その本人を褒めたりしません。人前で夫が妻のことを褒めるようなもので、ちょっとおかしいというか照れくさいというところがあります。大学のときから友人あるいは兄弟のよう過ごしてきました。よく話したりお酒もたくさん飲んでいます。10数年こうなので、たしかに気が合うということでしょう。彼が僕のことを尊敬しているだとか、影響を受けているだとか言ってるのはこれはあくまでも「仮面」をかぶっていると思っていただけるといいです。誤解されるかも知れないので、決してみなさん信じないでください。日本にいる間に彼の仮面を外して帰りたいと思います(笑)。
司会:ありがとうございます。シン・ハギュンさんよろしいですか?
シン:なんと言われようとも、私は先輩が大好きです(場内爆笑)。