チョン・ドヨンさん挨拶
少し前に覚えた日本語でご挨拶します。みなさん、コンニチハ。日本に来て、こんなに歓迎を受けるとは思っていませんでしたので、とても驚いています。多くの方たちに関心を持っていただき本当に感謝しております。
質疑応答
司会:『ユア・マイ・サンシャイン』が韓国で大ヒットを記録しましたが、この映画が韓国の方々に愛された理由、また、ヒロインのウナが受け入れられた理由は何でしょうか。
チョン・ドヨン:この映画で、ウナとソクチュンの二人が見せてくれる愛は、私たちが日常であまり接することのないたくさんの困難を克服し、運命の愛へと昇華したからだと思います。私も運命の愛を待ち焦がれていましたが、信じることができませんでした。けれどもこの映画を通して、運命的な愛を信じてただ待っていれば訪れるというのではなく、その愛を全うし責任を持ったとき、それが運命の愛になるのだと感じました。
ウナは多くの観客から愛されたキャラクターです。それはウナの外見が可愛いとか、おしゃれをしているからとかではなく、ソクチュンからたくさんの愛情を受けたことで、ウナが光り輝き、可愛く見えたからではないでしょうか。
日本語でも同じような言い回しがあると思いますが、韓国では「人は、愛し愛されると美しくなる」という言葉があります。男女問わず、互いに恋をし、良い関係を築くことができれば、輝かしく美しくなれるのだと思います。
質問:数々の作品で名演技をされているチョン・ドヨンさんですが、役または作品に対するアプローチはどのようにされているのでしょうか。特に今回『ユア・マイ・サンシャイン』の中では、どのように役作りをされましたか。
チョン・ドヨン:『ユア・マイ・サンシャイン』を含め、9本の映画に出演しましたが、それまでの8本の作品については全てシナリオを読んで決めました。作品を決める際に最も重要なのがシナリオです。シナリオがしっかりしていれば、いい演技ができ、すばらしいものになると思っています。
『ユア・マイ・サンシャイン』は、実話に基づいていますが、あまりにも衝撃的で、初めのうちは、このストーリーを自分の中で容易に受け入れることができませんでした。しかし監督から渡された3枚の写真——1枚は映画のモデルになった女性の写真、あとの2枚は痛みを負う前と負った後の男性の写真——その男性の変わりようを目の当たりにし、改めてこれは本当の話だったということで、この映画への出演を決めました。
出演を決めるまでとても迷い、時間がかかって大変でしたが、決まってしまえばそれほど難しい点はありませんでした。というのも監督は、ウナ役として私を念頭においてシナリオを書かれたからです。監督が「チョン・ドヨンらしいウナを見せてほしいので、とくに役作りをする必要はない」とおっしゃったので、非常に楽しくリラックスして撮影にのぞむことができました。
質問:劇中でウナは、ソクチュンから羨ましいくらいに愛されていましたが、なぜ愛されたのでしょうか。またチョン・ドヨンさんが考える、愛される女性像、条件のようなものはありますか。
チョン・ドヨン:それは、ウナが可愛かったからでしょう。線路脇の道で、スクーターに乗ったウナとすれ違った瞬間、ソクチュンが彼女のほうを振り返るシーンがあります。なぜこんな田舎にあんな可愛い子がいるのだろう、と思わせるような不思議な魅力を持っているのがウナという人物です。それで、ソクチュンは一目でウナに恋をしてしまったのだと思います。ただ一目惚れで終わるのではなく、彼はウナを愛し最後まで守ろうと決めました。それは、ソクチュン自身“これが愛なんだ、運命なんだ”と信じきったからだと思います。
劇中で、ソクチュンが泣きながら母親に「どうせ一度の人生なら、ぼくはウナと共に生きて、死にたい」というセリフがあるのですが、これを聞いてとても感動しました。そしてウナは本当に幸せなのだと思いました。ソクチュンが、それほどまでに運命の愛だと信じていたからこそ、最後まで守りきることができたのでしょう。
愛される女性の条件ですが ・ ・ ・(ちょっと困っているようです)それをもし知っていたら、私も何回も恋愛し、結婚もできていたと思います。しかし、どうすれば愛されるのかがよくわからないのです(笑)。
質問:初来日ということですが、たくさんの取材を受けられた感想をお聞かせください。また今回の来日にあたり楽しみにしていたことはありますか。
チョン・ドヨン:公式的には今回が初めてといえます。日本に来る前は、これほど多くの方に関心を持っていただけるとは思っていませんでした。むしろ不安がありました。ただ、時間はたくさんあるだろうから、そのあいだに東京見物でもして、休みながら仕事をしようかなというくらいの気持ちでいました。昨日から取材が始まり、とても感動しています。外国から来たということ、ましてや日本で大人気のペ・ヨンジュンさんやイ・ビョンホンさんと共演した経験もあるので、ある程度の関心は持っていただけるだろうと思いましたが、これほどまでに多いとは思っていませんでした。取材を受け、疲労感を感じることもあるのですが、皆さんが私や映画に対して関心を示してくださるだけでなく、それについてよく勉強し、取材を行う姿勢に本当に頭が下がる思いでした。昨日もたくさんの取材を受け、宿泊先のホテルに戻った時には、身体は疲れていましたがとても温かい気持ちになりました。
以前、写真撮影のために大阪へ短期間ですが行ったことがあります。その時は雨が降っていて、時間も少なくいろいろ見て歩けるような状況ではありませんでした。
一昨日東京へ到着し街を少し歩きましたが、人の多さと活気にとても驚きました。いままで行った外国の中で、いちばん異国だなと感じました。非常に興味深い街です。
日本の温泉がとてもいいと聞いているので、機会があれば温泉に入って美味しいものでも食べてゆっくり休んでみたいなと思います。
質問:チョン・ドヨンさんは、これまで演技的にも興業面においても、すばらしいフィルモグラフィーを築かれていますが、韓国だけでなくハリウッドを含めて、女優が年を重ねるごとにいい作品に出続けるというのは非常に難しいと思います。今後、チョン・ドヨンさんご自身は、どのような映画に出演し、女優としてどのような活動をしていきたいとお考えですか。
チョン・ドヨン:一時は日本でもそうだったかもしれませんが、韓国では女優が映画のなかで生きていくということが難しい時期があったと思っています。女性が主人公のストーリーというは、果たして観客たちにとって興味深いのだろうか、やはり男性中心のテーマを設定して、見せ場を作っていくほうが面白いのでは、そのような傾向の時期が実際にあったと思います。男性主流のほうが、ストーリー主流の作品よりも面白いと思ったし、観客たちの趣向もそうであったと思います。
私自身も送られてくる山ほどのシナリオの中から作品を選び、出演しているのではと思っている方もいるかと思いますが、いつもそうではなくて、2、3のシナリオしか自分の目の前に無かったということもありました。そうなると落ち込みますし、そんな状態が続くのであれば、“すばらしい男性と出会い、結婚して、子どもを生んで、生きていくこと”が幸せなのではないかと考えたこともありました。しかし、そのような考えも仕事をしていく中で変わりつつあります。
男性を中心にした映画が主流の時期もあるけれども、そこである程度テーマが出尽くしたときに、ストーリーを重視する映画に対する趣向というのも出てくるし、また、コメディに対する趣向が出てくるというふうな形で、いろいろな流れがあると思います。私はそうした流れの中で、自然に自分が必要とされる映画に出演していきたいと思っています。女優という仕事は、私にとってはいまだけの仕事ではなく、自分の生涯をかけての仕事だと思っています。焦らず、長いスパンでこの仕事をとらえて、一所懸命一つ一つの仕事をこなしていくことが多くの人たちに関心を持っていただけるわけですから、自分が頑張れる限り一所懸命やっていこうと、長い期間でゆとりを持っていこうと思っています。
今後、どういう女優になりたいかということですが、いままでもそうでしたが、とりたてて仕事のなかでこういうふうになりたいと目標を立てたことはありませんでした。敢えて言えば“信頼していただける演技者になりたい”というふうに思っています。いままでのように一所懸命仕事に臨んで、慎重に作品選びをすれば、多くの方に関心を持たれる存在になれると思うし、いままでと同じチョン・ドヨンでいることができると思います。
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