『ラッキーナンバー7』 『スキトモ』 『不都合な真実』 『マイ・シネマトグラファー』 『それでもボクはやっていない』 『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』 『僕は妹に恋をする』 『マリー・アントワネット』 『エレクション』 『幸せのちから』 『幸福な食卓』 『輝く夜明けに向かって』 『フィレーネのキライなこと』 『あなたを忘れない』 『ユメ十夜』 『ルワンダの涙』 『夏物語』 『墨攻』 『ピンチクリフ・グランプリ』 『世界最速のインディアン』 『カンバセーションズ Conversation(s)』 『スターフィッシュホテル』 『長州ファイブ』 『華麗なる恋の舞台で』 『マジシャンズ』 『モーツァルトとクジラ』 『となり町戦争』 『チョムスキーとメディア 〜マニュファクチャリング・コンセント〜』 『エクステ』 『キャプテントキオ』 『孔雀 —我が家の風景—』 『さくらん』 『素敵な夜、ボクにください』 『叫 さけび』 『絶対の愛』 『ボッスン・アップ』 『ボビー』 「進化する日本映画〜Evolving Japanese Cinema」 「EARTH VISION 第15回 地球環境映像祭」 「アラブ映画祭2007」 「フランス映画祭2007」 『ニューヨークで暮らしています 彼女たちがここにいる理由』 「イタリア映画祭2007」 「韓国アートフィルム・ショーケース」 「日本クラシック、海外発信中!」 「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2007(第4回)」 『パフューム −ある人殺しの物語−』 『龍が如く 劇場版』 『ダウト』 『蒼き狼 地果て海尽きるまで』 『約束の旅路』 『サン・ジャックへの道』 『ナヴァラサ』 『棚の隅』 『渋谷区円山町』 『ポイント45』 『フランシスコの2人の息子』 『黒い眼のオペラ』 『素粒子』 『蟲師』 『ブラックブック』 『アルゼンチンババア』 『クロッシング・ザ・ブリッジ 〜サウンド・オブ・イスタンブール〜』 『ヘレンケラーを知っていますか』 『ホリデイ』 『情痴 アヴァンチュール』 『忍者』 『檸檬のころ』 「第2回難民映画祭」 「国際交流基金映画講座2007-1 ヤスミン・アハマドとマレーシア映画新潮」 『黄色い涙』 『ママの遺したラヴソング』 『プロジェクトBB』 『13/ザメッティ』 『オール・ザ・キングスメン』 『ふるさと—JAPAN』 『かちこみ! ドラゴン・タイガー・ゲート』 『ツォツィ』 『ザッツ・ザ・ウェイ・オブ・ザ・ワールド』 『輝ける女たち』 『恋しくて』 『明日、君がいない』 『アボン/小さい家』 『机のなかみ』 『フライ、ダディ』 『あしたの私のつくり方』 『イノセントワールド —天下無賊—』 『ストリングス〜愛と絆の旅路〜』 『バベル』 『恋愛睡眠のすすめ』 『ザ・ライド〜ハワイアン・ビーチ・ストーリー』 「日中国交正常化35周年記念 2007年中国映画祭」 「第3回アジア海洋映画祭イン幕張」 「アジアフォーカス・福岡国際映画祭2007」 「ビョン・ヨンジュ監督特集 [上映+トーク]」 「第3回甲賀映画祭」 「第20回東京国際映画祭」 『メイド 冥途』 『歌謡曲だよ、人生は』 『14歳』 『寂しい時は抱きしめて』 『しゃべれども しゃべれども』 『ひめゆり』 『GOAL!2』 『COMANDANTE コマンダンテ』 『ボラット』 『毛皮のエロス ダイアン・アーバス 幻想のポートレイト』 「第10回京都国際学生映画祭」 『つばさ』(澤登翠活弁リサイタル) 『映画は生きものの記録である 土本典昭の仕事』 『それでも生きる子供たちへ』 『恋する日曜日 私。恋した』 『Watch with me 〜卒業写真〜』 『選挙』 『プレステージ』 『雲南の少女 ルオマの初恋』 『図鑑に載ってない虫』 『ジェイムズ聖地(エルサレム)へ行く』 『イラクー狼の谷ー』 『リサイクル—死界—』 『エマニュエルの贈りもの』 「エロチック乱歩」 『吉祥天女』 『そして、デブノーの森へ』 『シュレック3』 『マルチェロ・マストロヤンニ 甘い追憶』 『石の微笑』 『ボルベール<帰郷>』 『Genius Party(ジーニアス・パーティ)』 『アドレナリン』 「こわい童謡」 『傷だらけの男たち』 『レッスン!』 『私たちの幸せな時間』 『ルネッサンス』 『童貞ペンギン』 「ヒロシマ、爆風ののちに」 『ゴースト・ハウス』 『幸せの絆』 「中国映画の全貌2007」 『インランド・エンパイア』 『モン族の少女 パオの物語』 『陸に上がった軍艦』 『天然コケッコー』 『夕凪の街 桜の国』 『ヒロシマナガサキ』 『リトル・チルドレン』 『フロストバイト』 『水になった村』 『トランスフォーマー』 『消えた天使』 『怪談』 『おやすみ、クマちゃん』 『トランシルヴァニア』 『ドッグ・バイト・ドッグ』 『呪怨 パンデミック』 『キャプテン』 『純愛』 『スプリング☆デイズ』 「シネマコリア2007」 『酔いどれ詩人になる前に』 『ベクシル ‐2077 日本鎖国‐』 『WHITE MEXICO』 『長江哀歌(ちょうこうエレジー)』 『阿波DANCE(アワダンス)』 『たとえ世界が終わっても』 『TAXi4』 「韓流シネマ・フェスティバル2007 ルネサンス」 『ショートバス』 『親父』 『ファイアー・ドッグ 消防犬デューイの大冒険』 『ウィッカーマン』 『チャーリーとパパの飛行機』 『オフサイド・ガールズ』 『PUNK'S NOT DEAD』 『ミリキタニの猫』 『ワルボロ』 「喜劇特急第8幕〜落語だいすき!」 『GROW −愚郎−』 「マザー・テレサ メモリアル『母なるひとの言葉』+『母なることの由来』」 『題名のない子守唄』 『ヴォイス・オブ・ヘドウィグ』 『ボーイ・ミーツ・プサン』 『アーサーとミニモイの不思議な国』 『夜の上海』 『めがね』 『サルバドールの朝』 『おやすみ、クマちゃん』 『Mayu-ココロの星-』 『ディテクティヴ』 『エディット・ピアフ 愛の讃歌』 『ローグ アサシン』 『私の胸の思い出』 『白い馬の季節』 『パンズ・ラビリンス』 『ナルコ』 『北極のナヌー』 『ふみ子の海』 『カンフー無敵』 『クワイエットルームにようこそ』 『ヘアスプレー』 『ヒートアイランド』 『アフロサムライ』 『ゾンビーノ』 『自虐の詩』 『この道は母へと続く』 『犯人に告ぐ』 『アレックス・ライダー』 『愛の言霊』 『ヴィットリオ広場のオーケストラ』 『北京の恋〜四郎探母〜』 『鳳凰 わが愛』 『ONCE ダブリンの街角で』 『ノートに眠った願いごと』 『僕のピアノコンチェルト』 『琉球カウボーイ、よろしくゴザイマス。』 『やじきた道中 てれすこ』 『ロンリーハート』 『いのちの食べかた』 『花蓮の夏』 『風の外側』 『カルラのリスト』 「第8回東京フィルメックス」 『フライボーイズ』 『君の涙 ドナウに流れ ハンガリー1956』 『ソウ4』 『肩ごしの恋人』 『ヒッチャー』 「伊勢真一監督作品 特集上映」 『サラエボの花』 『ダーウィン・アワード』 『おそいひと』 『マリッジリング』 『やわらかい手』 「韓国映画ショーケース2007」 『花の夢〜ある中国残留婦人〜』 『夜顔』 『眠れる美女』 『中国の植物学者の娘たち』 『Little DJ 小さな恋の物語』 『チャプター27』 『ペルセポリス』 『タクミくんシリーズ そして春風にささやいて』 『かぞくのひけつ』 『再会の街で』 『迷子の警察音楽隊』 『ルイスと未来泥棒』 『パルス』
2007年1月13日〜 |
●『ラッキーナンバー7』(原題:Lucky Number Slevin)
監督:ポール・マクギガン 仕事を首になり、ニューヨークの友人ニックを頼ってきたスレヴン。ところが、ついたとたんに強盗に襲われて鼻を折られるは、ニックの部屋の隣人リンジーには、シャワー上がりの素っ裸を見られるは、さらには裸のまま謎の男たちに連れ去られてしまう。どうやら留守にしているニックと勘違いされているらしい。ボスに借金の返済を迫られ、金がないなら敵対するラビの息子を暗殺しろと言われる。ようやく部屋に戻ると、また別の男たちに連れ去られ、今度はラビの元へ。彼からも借金を返せと言われる始末。どうやらとことんついていないらしい。しかし、ボスとラビの元には、怪しげな男の影があった。
この出演者たちを観れば、面白い映画を期待せずにはいられません。
2005年/アメリカ/35mm/カラー/シネマスコープ/ドルビーデジタル/111分/R-15 公式 HP >> http://www.lucky-movie.jp ★2007年1月13日(土)より、丸の内プラゼール、新宿ジョイシネマ他全国松竹・東急系公開 |
●『スキトモ』
監督:三原光尋(『村の写真集』) 蒼井智和(斎藤工)は、ボクシング部で活躍する大学三年生。 ボクシング部の練習や試合の場には、同じ大学の1年生で幼馴染みの斉藤ヨシキ(相葉弘樹)や、 中学3年生の妹.みさお(小松愛梨)が、いつも駆けつけている。 実はみさおは血のつながらないお兄ちゃんに恋をしていて、 何かとお兄ちゃんと仲のいいヨシキに嫉妬しているのだった。 一方、ヨシキも智和に恋心を抱いていた!!
同性愛と兄妹愛の三角関係... といっても、爽やかな青春物語。 製作:バンダイビジュアル/トライネットエンタテインメント/ビデオプランニング 宣伝:グアパ・グアポ 配給:ビデオプランニング 2007年1月13日(土)〜 渋谷シアターイメージフォーラムにてレイトショー 2007年2月3日(土)〜 大阪シネ・ヌーヴォにてレイトショー 2007年2月3日(土)〜 名古屋シネマ・スコーレにてレイトショー 公式HP>> http://sukitomo.com/ |
2007年1月20日〜 |
●『不都合な真実』An Inconvenient Truth 監督:デイビス・グッゲンハイム 元アメリカ副大統領のアル・ゴア氏は、学生時代から環境問題について関心を持ち、 議員になってからも長年取り組んできた。 2000年の大統領選でブッシュに敗北したが、以後は地球温暖化問題を伝える活動を開始する。 多くの問題を提起し、何をしなければならないか、何ができるのかを人々に訴えて回ることにしたのだ。 彼はスーツケースにパソコンとスライドをつめてアメリカだけではなく、 ヨーロッパ、アジアへもスライド講演に出かけ、その数はすでに1000回を越える。 その講演を聴いたジェフ・スコル(『シリアナ』、『スタンドアップ』製作)が、 映画化を提案、この作品が完成した。 アメリカのドキュメンタリー史上記録的なヒットとなっている。 地球が瀕している危機的状況が、たくさんのわかりやすいグラフや、 過去と現在を比較した写真などで知らされます。 「不都合な真実」を、ゴア氏はまじめに、ユーモラスな語り口で紹介しますが、 のんびりしてはいられないのだとひしひしと感じます。 配給:UIP http://www.futsugou.jp/ (すぐ予告編が始まり,音声が出ますのでご注意!) 2007年1月20日(土)より、TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー ★東京国際映画祭 特別招待作品として上映決定! 10/24(火) 於:TOHOシネマズ六本木ヒルズ |
●『マイ・シネマトグラファー』
製作・監督・ナレーション:マーク・S・ウェクスター =『アメリカン・グラフティ』を撮った男。伝説の撮影監督の真実が今、明らかになる= 『バージニア・ウルフなんかこわくない』(’66)、 『ウディ・ガスリー/わが心のふるさと』(’76) で2度オスカーを手にしたハリウッドの名カメラマン、ハスケル・ウェクスラー。 これは実子のフォト・ジャーナリスト、マーク・S・ウェクスターが 80歳を越えた父と向き合い、真の姿を見出そうとした記録である。 「今まで自分が撮影した作品を自分が監督していれば、もっといい作品になった」 と言うハスケル、カメラを向ける息子にもいちいち注文が飛んでくる。 今何をしているの?と説明を求める息子に、 ハスケルは「お前はドキュメンタリーを撮っているんだろ、淡々と映すうちに何かが起こる。 出来事は必然なんだ。気づけば幸運。気づかなきゃそれまで。 説明するなんて、観客に対する裏切りだよ」とびしびし。 かつて仕事をした俳優や監督にハスケルについてのコメントを、と思うと 「彼らの言葉で俺の人物伝なんか作るな」とくる。 “プロ中のプロ”と仕事仲間から賞賛される父を持った息子の心中やいかばかり。 同じく有名な父を持ってしまったジェーン・フォンダの言葉が温かい。(白) 2004/アメリカ/95分/カラー/ビスタ/35mm提供:レイドバックコーポレーション 配給:グラッシィ © 2004 WEXLER'S WORLD,INC. ALL RIGHTS RESERVED http://www.glassymovie.jp/mycinema/ 2007年1月20(土) 渋谷Q‐AXシネマにてモーニング&レイトショー |
●『それでもボクはやってない』
監督・脚本:周防正行 就職活動中の金子徹平(加瀬亮)は、会社面接に向かう満員電車で痴漢に間違えられ、 現行犯逮捕されてしまった。警察で無実を主張するが、担当刑事に自白を迫られ、 留置場に勾留されてしまう。勾留生活の中で、孤独感と焦燥感に苛まれる徹平。 さらに、検察庁での担当検事の取り調べで無実の主張が認められず、ついに徹平は起訴されてしまう。 刑事事件で起訴された場合、裁判での有罪率は99.9%と言われている。 徹平の無罪を信じる母や友人が見守る中、ついに裁判が始まった…。
大ヒット作『Shall We ダンス』の周防正行監督が11年ぶりに、
今までのコミカルな作風をがらりと変え、刑事裁判や痴漢冤罪事件の検証、
考察を3年間に渡り取材し、それを元に社会派映画『それでもボクはやってない』を完成させた。
http://www.soreboku.jp/ 2007年1月20日より 全国東宝系ロードショー |
●『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』(原題:Brothers of the Head) 共同監督:キース・フルトン&ルイス・ペペ(『ロスト・イン・ラ・マンチャ』) イギリス東海岸のレストレンジ岬で世間と隔絶されて育った結合双生児のトムとバリーは、18歳の時に父によって興行主ザック・ベダーウィックに売られた。彼らは楽器を教えられ、1975年にロックバンド”ザ・バンバン”を結成してデビュー。観客の好奇の目と、罵声の中、臆することなく身体をさらけ出し、シャウトする彼らはロックそのものであり、ブリティッシュ・ロックシーンに大きな衝撃を与えた。しかし、わずか10ヶ月で活動を中止。伝説となった彼らの軌跡を追うドキュメンタリー、のようなフィクション。 何も知らずに観ていたら、本当にこんなバンドがいて、そのドキュメンタリー作品だと思いこむところでした。これまで『ロスト・イン・ラ・マンチャ』などのドキュメンタリー作品を撮ってきた二人が、その経験を生かして、フィクションだけれどもまるでドキュメンタリーのようなリアルさを追求したユニークな作品を作り上げました。結合双生児を演じた新人のハリー&ルーク兄弟は一年もかけて、バンドの練習や結合双生児としての役作りをしたそうです。妖しく美しい二人が、孤独と恐怖にさいなまれ、ドラッグ漬けになって堕ちていく姿に、目が釘付けになりました。彼らが歌うオリジナルの楽曲も当時のパンクへとつながる雰囲気を持っていて、グッドです。(梅) 2006年/イギリス/カラー/93分/ビスタサイズ/ドルビーデジタル/日本語字幕:石田泰子 公式 HP >> http://www.brothers-head.com/ ★2007年1月20日(土)より、シネマライズほか全国順次ロードショー東京国際映画祭特別招待作品 オリジナル・サウンドトラック 2007年1月 ビクターエンタテインメントより発売 |
●『僕は妹に恋をする』
監督・脚本:安藤尋 頼と郁は双子の兄妹。幼い頃に「郁は僕のお嫁さんだよ」とシロツメクサの指 輪をプレゼントする程、仲が良かった二人。高校生になった今、頼は何故か郁 に冷たく振る舞い、郁は悩んでいる。頼の友人でもある矢野に交際を申し込ま れて、どうしようかと相談しても、頼の答えは「郁の好きにすれば」とつれな い。しかしある晩、頼は眠る郁の唇にキスしようとする。目を覚まして驚く郁 に、頼は堰を切ったように秘めた思いを打ち明ける。「ずっと好きだった…」 ©「僕妹」フィルムパートナーズ
大ヒットコミックの映画化。最近本当に多いです。原作の世界を忠実に実写化
する作品が多いですが、この作品は違います。コミックの方は、かなりエロ
ティックな場面がふんだんにあり、彼らの秘密が外の人間に知られそうになる
ハラハラ感があります。しかし、この映画はベースの部分だけ同じで、ストー
リーは独自のもの。頼と郁の内面的な葛藤が主になっています。それで122分
あるのは、ちょっと長いと感じてしまいました。 松本潤は『東京タワー』で人妻の寺島しのぶを誘惑する大学生を演じていました。この作品は妹への思いに悩む高校生で、かなり雰囲気が違います。でもこのお話、妹が兄を好きじゃなかったら性的虐待。高校生にもなった兄妹が同じ部屋、2段ベッドで寝てるってところから間違ってます! お母さんが台所で寝てでも別の部屋にするべき! と親心・・いや老婆心を起こしてしまいました。そんな硬いこと言わず少女漫画として楽しみましょう、なのですかねぇ。(白)
2006年/日本/122分/ビスタサイズ(1:1.85)/DTSステレオ/PG-12 公式 HP >> http://www.Bokuimo-themovie.com/ ★1月20日(土)より、恵比寿ガーデンシネマ、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
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●『マリー・アントワネット』
監督・脚本: ソフィア・コッポラ =恋をした、朝まで遊んだ、全世界に見つめられながら。= オーストリア皇女のアントワーヌは、母親である女帝マリアテレジアの命により、 フランス王太子へ嫁ぐことになった。まだ14歳。 フランス王家のしきたりに従い、国境で全てのものを脱ぎ捨て、 フランスの衣服に着替えなければならない。 愛犬とも泣く泣く別れ、オーストリア大使のメルシー伯爵だけを頼りに、 マリー・アントワネットとしてフランス王族の仲間入りをする。 将来のルイ16世となる夫のオーギュストもまだ15歳の少年、世継ぎを期待されているが、 ベッドを共にしてもまるで妻に関心がなかった。 マリーは孤独を紛らわすために、靴やドレス、お菓子にシャンパンの浪費、 夜毎のパーティにギャンブルへとのめりこんでゆく。
ソフィア・コッポラ監督は今までに語られた歴史上のマリー・アントワネットでなく、
14歳で王家に嫁ぎ、18歳で王妃となった1人の少女の内面と成長を描きたかったそうです。
提供・配給:東宝東和、東北新社 http://www.ma-movie.jp/ 2007年1月20日(土)〜日劇3ほかにて全国ロードショー! コサージュつき特別鑑賞券発売中。数に限りがあります。 ©2005 I Want Candy LLC. |
●『エレクション』(原題:黒社會) 監督:杜[王其]峰(ジョニー・トー) 香港の裏組織”和連勝会”は2年に一度、幹部たちによる選挙で会長を決めている。今回はロクとディーという全くタイプの違う二人が候補者だ。冷静沈着で年長者を敬うロクに対し、短気で派手好き、強引な手法で相手を引き込むディーは、なりふり構わぬ裏工作をしていた。結果は最も皆の信頼が厚い長老のタンの一言で、ロクが新会長と決まる。しかしディーは承伏せず、会長の証として引き継がれてきた”龍頭棍”をロクに渡さぬように、現会長のチョイガイを脅す。混乱を恐れたチョイガイは手下に”龍頭棍”を持って広州に逃げるよう命ずる。ロク、ディー双方の陣営による争奪戦が始まった・・・ 組織の中で唯一無二の権力を掴もうとする男たち。その剥き出しの欲望を、スピーディーでスリリング、そしてスタイリッシュに描き出した傑作。人間の強欲さに身震いし、息をのむ結末まで、片時も目が離せない。作品は2006年香港電影金像奬で最優秀作品、監督、脚本、主演男優賞(梁家輝)と主要4部門を受賞した。すでに香港などでは『エレクション2/黒社会2以和為貴』も公開されている。こちらは2年後、ロク(任達華)とジミー(古天楽)が対峙することになる。 マギー・シュー以外男ばかり、『ザ・ミッション』、
『PTU』を思い出す男たちの映画でした。
このところ警察側の役が続いていたサイモン・ヤムが、
人当たりの良い笑顔を見せながら非情な殺しもできるロクを演じています。
そういえばこの人、昔は異常な殺人鬼役もやっていたのを思い出しました。
やたらテンションの高いディー役のレオン・カーファイが目立ちますが、
二人甲乙つけがたい熱演。ジョニー・トー組と言えるお馴染みの面子を始め、
脇の俳優さんたちが多くて、だれがだれやら、ちょっとわかりにくいかもしれません。 2005年/香港/101分/カラー/シネマスコープ/ドルビーSRD http://www.eiga.com/official/election/ ★1月20日(土)より、テアトル新宿にて公開第7回東京フィルメックス 11/19(日) 13:00- 『エレクション』 11/20(月) 19:00- 『エレクション2』上映 |
2007年1月27日〜 |
●『幸せのちから』the PURSUIT of HAPPYNESS
監督:ガブリエレ・ムッチーノ『The Last Kiss』、『Remember Me My Love』 1980年代のシカゴ。 クリスは医療機器のセールスマンをしているが、なかなか売れず家賃は滞納、 息子クリストファーの保育所の払いも遅れている。 支え続けてくれた妻のリンダも、一日16,7時間もの労働ですっかり疲れてしまっていた。 ある日クリスは、真っ赤なスポーツカーから降りるスーツの男性に見惚れて声をかける。 「質問が二つ。貴方の仕事は?どうしたらこうなれますか?」と。 男性は株の仲買人だった。高卒でも養成コースを受けて採用されればよいと言う。 新しい夢を見つけた彼はさっそく申し込みに行き、リンダに報告の電話をするが、 「私、クリストファーを連れて出て行きます」が彼女の返事だった。 失意のクリスは息子だけは取り戻し、無給の養成コースに通い始めるがすぐに生活費は底をついてしまう。 全米メディアで取り上げられた実話が元になっています。 本当にホームレスから億万長者へと、夢のような話を実現させた男をウィル・スミス。 健在のクリス・ガードナー本人に多くの助言を得て演じた主人公が魅力的です。 愛らしい息子クリストファー役は、コネでなく、 オーディションで採用したウィル・スミスの実の息子。カエルの子はカエルですね。 ガブリエレ・ムッチーノ監督は英語圏の作品は初めてですが、 製作にも参加したウィル・スミスのたっての希望でメガホンをとりました。 国際映画祭で観たパトリック・タム監督の『父子』とはえらく違って、 才能に加えて努力を惜しまず、決してあきらめない主人公+愛情溢れる親子の物語です。(白) 2006/アメリカ/カラー/120分/配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント http://www.sonypictures.jp/movies/thepursuitofhappyness/index.html 2007年1月27日(土)より 日比谷スカラ座ほか全国ロードショー |
●『幸福な食卓』
監督:小松隆志
「父さんは、今日で父さんを辞めようと思う」・・・始業式の朝、家族が集まる食卓で、突然父さんが口にした一言。佐和子の中学校生活最後の1年はこうして始まった。
製作:「幸福な食卓」ASSOCIATES 配給:松竹 公式 HP >> http://ko-fuku.jp/pc/ ★2007年新春1月27日(土)全国ロードショー“幸福なくるみ”付前売鑑賞券 2006年10月28日発売開始! 一般 ¥1,300(税込) ※一枚につき、1個付いてきます(数に限りがございます) ※このくるみは食べられません
●『幸福な食卓』初日舞台挨拶
小松隆志監督: 今日公開の作品が16本もあります。 そんな中でこの映画に来てくださってありがとうございました。 撮っているときはいつもこれでいいのか、という思いがあります。 時間がたつと客観的に観られます。頑張った甲斐がありました。 北乃きい(中原佐和子): 家族で食卓を囲むことの大切さに気づきました。 勝地さんは事務所の先輩なんです。 初めてのキスシーンはとっても恥ずかしかったです。 勝地涼(大浦勉学): 明るいし前向きで、大浦勉学っていいやつだなと思いました。 平岡祐太(兄の直ちゃん): ぴんと来るものがあったら、 他の人にも勧めてください。最後の歌に凝縮されていると思います。 ©「幸福な食卓」ASSOCIATES さくら(小林ヨシコ): ヨシコは不器用でひたむきなところがあります。 いい奴だったねと思ってほしいです。 この映画で小さな幸せに気づくことができました。 大切な人を連れてまた観に来てください。 羽場裕一(父): 映画のお話があったときすぐに原作本を買いにいきました。 お父さんをやめてお母さんになるのかと最初思いました(笑)。 表に出る派手さのない役ですから、ただいること、を意識して演じました。 石田ゆり子(母): 直ちゃんのお母さんというのは、 ちょっときついものがありました(平岡祐太とは15歳違い)。 大浦くんが佐和子に言う「大丈夫、気づかないうちに守られてるから」 というセリフが好きです。 *登場したみなさんが「観終わった後、心があったかくなる映画です」 と口を揃えていましたが、ほんとにそんな映画です。 セリフが少ないのですが、とても印象に残りました。(白) |
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●『フィレーネのキライなこと』
監督:ロバート・ヤン・ウェストダイク フィレーネは「Sorry(ごめん)」という言葉を言うのはもちろん、聞くのも大嫌い。 その性格が災いしてか、恋はいつもあまり長続きしない。 でも、今回の相手マックスは俳優志望で超イケメンな上に、とっても優しい。 彼こそ運命の人と思っていた矢先、彼は相談もなしにニューヨークへ演劇の勉強に行ってしまう。 いつもならそれで終わりの恋も、今度ばかりはあきらめられない。 フィレーネは我慢できずに彼の後を追う。ところがそこで彼がやっていた舞台は、 「ロミオとジュリエット」がベースながら、ポルノと見まごうばかりの内容。 フィレーネの怒りが爆発する。
わがまま女の騒動記かと思ったら、全然違う!
フィレーネは確かにお上品ではありませんが、彼女の怒りは至極真っ当なもの。
初めはそのパワーには圧倒されますが、だんだん「マックスになんて謝る必要ないぞ〜!」
と観ているこちらの方が過激になってきました。でも恋は盲目なんだなぁ。
2003年/オランダ/35mm/カラー/ドルビーデジタル/94分/R-18 公式 HP >> http://www.phileine.jp/ ★1月27日(土)より シネセゾン渋谷にてレイトショー |
●『あなたを忘れない』原題:26 Years Diary
監督:花堂純次 2001年1月26日、JR新大久保駅のホームから酒に酔った男性が線路に転落した。 日本語学校留学生のイ・スヒョンさん(26歳)とカメラマンの関根史郎さん(47歳)が、 落ちた男性を助けようとして、線路に飛び降りたが間に合わず、 入ってきた電車にはねられ3人とも亡くなってしまった。 もう6年前の事故ですが、はっきりと記憶しています。 当時、三村順一プロデューサーは「なぜ韓国の青年が命がけで日本人を助けようとしたのか」 と疑問をいだき、イ・スヒョンさんの三回忌にご両親を訪ねたそうです。 そのときご両親は「普通の人間なら当たり前のことです」と答えたそうです。 この言葉が映画完成までの長い道のりを支えてくれたのだとか。 実話を元にフィクションを加えて、 スヒョンさんの魂を浮き彫りにするような作品が作られました。 なお、事故の後全国から寄せられたお見舞金をスヒョンさんのご両親が寄付されたのをきっかけに、 アジアからの留学生を援助する奨学金が設立されました。 今までに約250人の就学生を援助しています。(白)
2006/日本・韓国合作/2時間10分/ビスタサイズ/ドルビーデジタル/ ©2007映画「あなたを忘れない」プロジェクト/ワイズジャパン. |
●『ユメ十夜』
原作は夏目漱石の短編小説「夢十夜」。 「余が見た十の夢、その謎は百年後に明かされるであろう」 という文豪・漱石の100年前の挑戦を、 日本映画界の巨匠〜異彩の監督たち10人が独自の映像世界で解釈。 モノクロ、ダンス、アニメーションと様々な映像表現が豪華な顔ぶれで楽しめます。 女優陣の着物姿がいろっぽくてよろしいです。 東京国際映画祭には間に合わなかった十夜めでは、 松山ケンイチの珍しい色男ぶりと本上まなみの女優魂に瞠目。(白) ©「ユメ十夜」製作委員会
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●『ルワンダの涙』Shooting Dogs
監督:マイケル・ケイトン=ジョーンズ
2006年の初めに公開され大変話題となった『ホテル・ルワンダ』。この作品は
ルワンダで起きた大虐殺を日本人に知らしめる大きな機会となりました。
2005/イギリス・ドイツ/カラー/シネマスコープ/DTS/115分/ 公式 HP >> http://www.r-namida.jp/ |
●『夏物語』
監督:チョ・グンシク
TV局のスタッフが「会いたい人を探し出す」企画のため、
大学教授のユン・ソギョンを訪れる。
独身を貫き、60を越えた彼の忘れられない人とは・・・。
『品行ゼロ』でデビューを飾ったチョ・グンシク監督作品。
69年当時の韓国の世相を把握していたほうが、よく理解できると思います。
日本では高度成長期、学生運動も続いていたものの、
グループサウンズや歌声喫茶が流行っているような時代。
韓国の軍事政権下の事情など知らずにいました。こんなに深刻だったんですね・・・。
配給:エスピーオー http://www.excite.co.jp/cinema/natsu2007/ 1月27日(土)よりシネマート新宿、シネマート六本木ほか全国ロードショー |
2007年2月3日〜 |
●『墨攻(ぼっこう)』
監督・脚本・製作:張之亮(ジェイコブ・チャン)
今だからこそ描く必要があった『墨攻』 『墨攻』は、日本の漫画を原作にした中国の歴史大作で、中国の戦国時代紀元前370年頃を舞台にした作品です。紀元前5世紀、墨子という思想家が始めた「非攻」という、攻めずに守り抜き平和を目指すという思想は、墨子の思想に賛同する墨家という集団によって広まったが、始皇帝の中国統一で、戦国時代が終わると墨家は忽然と消えてしまったとされている。 戦乱の古代中国。小国の梁(リョウ)城は、大国趙(チョウ)の軍勢十万に攻められていた。趙軍を率いるのは名将軍巷淹中(こうえんちゅう)、梁の住民はわずか4000。今や落城の危機に瀕していた。梁王が降伏を決意した時、粗末な身なりの男、革離(かくり)が現われた。墨家(ぼっか)からただ一人救援のためにやってきた墨者だった。梁王から指揮権を得た革離は、梁城の民を守るため、重臣や王子の梁適(りょうてき)の反発を押さえ、孤軍奮闘、守りの戦いをすることになった。そして、自らの策を認めさせた。 墨者革離が陣頭指揮を執ることになったことを知った巷淹中は革離を訪ね、盤上の戦いを挑んだ。革離を手強い相手と認識し、実戦での再会を約して巷淹中は去って行った。十万の軍勢を相手に革離がめぐらす、あの手この手の作戦とはどのようなものなのか? 果たして城を守り通すことはできるのか?
小説家の酒見賢一氏が1994年「墨攻」を書き、それを基に森秀樹氏が漫画に。漫画版「墨攻」はアジア各国で翻訳され、この漫画を11年前に見た香港のジェイコブ・チャン監督が感動し、この作品をぜひ映画化したいと構想した。
2006年/中国・日本・香港・韓国 ★2007年2月3日(土)より、丸の内ピカデリー1他 全国松竹・東急系にて拡大ロードショー 公式 HP >> http://www.bokkou.jp/
特別記事『墨攻』公開記念特集もご覧下さい
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●『ピンチクリフ・グランプリ』(原題:The Pinchcliffe Grand Prix)
監督・編集・アニメーション:イヴォ・カプリノ
自転車修理工で発明家のレオドルは、ピンチクリフ村で、あひるとカササギのミックスのソランと、ハリネズミのルドビグの二人の相棒と穏やかに暮らしている。
1975年にノルウェーで作られた人形アニメ映画で、本国ノルウェーでは観客動員ナンバー1の記録を今でも保持している作品です。その動員数は当時の国内人口の2/3にあたるというから凄いです。実は、1978年に一度日本でも公開されたのですが、その時には残念ながらあまりヒットしませんでした。しかし、当時地方に住んでいて、この作品を観たくても観られなかった一人の映画好きの少年が、長じて映画配給会社の社員となり、「この作品が観たい!」という30年越しの夢を実現するにいたりました。
1977年モスクワ国際映画祭グランプリ(児童映画部門)、最優秀アニメ映画賞 ダブル受賞 公式 HP >> http://www.pinchcliffe.com ★2007年2月3日(土)より、シアターN渋谷ほか全国順次公開 |
●『世界最速のインディアン』The World's Fastest Indian 監督・脚本:ロジャー・ドナルドソン ニュージーランドの田舎町に住むバイク好きのバートは62歳。 これまでひたすら早く走ることに人生を捧げてきた。 年金で一人暮らしの彼の良き理解者は、隣家の少年トムと、ガールフレンドのフラン。 バートの愛車は40年以上も前の年代物のインディアン・スカウトだが、 自分で部品を作り日々改良を重ねている。 夢はアメリカのボンヌヴィル塩平原(ソルトフラッツ)で世界記録に挑戦することだ。 お金も若さもなく、おまけに心臓病を抱えるバートはやるなら今しかない、 と渡航を決心する。バイクと一緒に船に乗り込み、地球の裏側までの長い長い旅が始まった。 バート・マンローは実在の人物で(1899〜1978)、 ロジャー・ドナルドソン監督は1971年に彼に会ってドキュメンタリーを製作しています。 語りきれなかったと感じた監督はそれ以来、 映画化のチャンスを待ち続け30数年たってようやく実現させました。 劇中バートが語るいくつもの味わい深いことばは、監督がバート本人に会って感銘を受け、 観客に伝えたいバートの人生哲学です。 長い旅の途中で困難に遭いながらも少しもあきらめることなく、 誰にでも優しく明るい彼をアンソニー・ホプキンスが好演しています。 こんな人なら誰もが応援したくなります。変質者や神経質な役の多い彼ですが 「僕はすごくハッピーな人間だから、バートの人生哲学は僕の気性に合うんだ」 と語っています。(白) 試写室のロビーに撮影で使われたバイクが展示してありました。その手作り感満載のマシンを見たら、こんなので時速300kmも出したのかと、あらためてその凄さを感じました。お金もなければ、若さもない。全てを情熱で補って、夢に向かって邁進するバートは、究極のバイクヲタです。でも、60歳を過ぎても全然枯れてないその姿に、老若男女全ての人が胸を熱くするでしょう。(梅) 2005/ニュージーランド・アメリカ/カラー/127分/配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント http://www.sonypictures.jp/movies/theworldsfastestindian/index.html 2006年10月22日(日) 東京国際映画祭にて上映 2月3日(土)より テアトルタイムズスクエア、銀座テアトルシネマほかロードショー |
●『カンバセーションズ Conversation(s)』
監督:ハンス・カノーザ
=男はズルいロマンチスト、女は罪なリアリスト=
二人の主人公が、2分割されたスクリーンの右と左にずっと出ずっぱり。(回想シーンは若い俳優が演じている)ときどき段差ができたり、右から左へ中心線を越えてするりと抜けるシーンがあったりで、あら、と思う。向かい合っている二人の表情が同時に観られてなかなか面白かった。俳優は舞台にいるようにずっと演技し続けることになり、それもアップなので手は抜けない!という、演技力がものを言う作品。
2005/アメリカ/84分/カラー/シネスコサイズ/ドルビーSRD/字幕:古田由紀子 公式 HP >> http://conversations.cinemacafe.net/ ★2月3日(土)より、シネスイッチ銀座にて心ゆれるロードショー!特別鑑賞券を劇場窓口でお買い求めの方に限り、先着で「彼女のトラベル・ルームシューズ」プレゼント! |
●『スターフィッシュホテル』
監督・脚本:ジョン・ウイリアムス
有須はごく普通のサラリーマン。ある日を境に怪奇的な事件に巻き込まれていく。 ジョン・ウイリアムス監督の前作品『いちばん美しい夏』に主演した南美江に似た切れ長の目、 稟とした面立ちの女二人、対、爬虫類的な肌触りを感じさせる男三人…。 現実、夢、空想を行きつ戻りつする時間の迷路を、 この登場人物たちが異次元の国に誘ってくれます。 まさに、大人版「不思議の国のアリス」です。 間接照明の使い方、古い西洋と日本の美術、部屋の設え、それがうまくミックスされています。 日本在住のイギリス人監督の独自の目線が幻想的な世界に私たちを迷い込ませて困惑させてくれます。(美) 2005年/日本映画/カラー/ドルビーステレオ/アメリカンビスタ/98分配給:ファントム・フィルム 宣伝:アンカー・プロモーション http://www.starfishhotel.jp/ 2007年2月3日よりシネマート六本木、他全国ロードショー |
2007年2月10日〜 |
●『長州ファイブ』
監督・脚本:五十嵐匠 =幕末の世、日本の未来のために刀を捨てた、サムライがいた= 1853年黒船の来航により太平の夢が破られた日本は、外国の脅威に対峙せねばならなくなった。 10年後、尊皇攘夷の嵐が吹き荒れる中、長州藩の山尾庸三、伊藤俊輔、志道聞多らは 高杉晋作とともに品川に建設中のイギリス公使館に火を放っていた。 これが何になるのかと疑問を抱いた志士たちは、佐久間象山の開国論に心を動かされる。 長州藩主、毛利敬親は国禁を破る渡航を黙認し、聞多に仲間を集めよと申し渡す。 イギリスへの密航を企てた聞多は、ロシアに渡航経験のある山尾を誘い、山尾は野村弥吉を呼ぶ。 伊藤俊輔、遠藤謹助も加わった。「俺たちは生きたる機械となって日本に戻るんじゃ!」 と決意を新たに、ついに5人はロンドンまで命がけの旅に出る。 (c)長州ファイブ製作委員会
日本の近・現代史を駆け足でやった世代で、こんな史実があったことは知りませんでした。
面白かった!1863年、密航した当時の5人は20歳〜27歳。
最年少の弥吉がロシアで覚えた英語を話すだけで、後の4人は航海中に学んでいます。
武士の象徴であった髷を切り、刀も捨てて不退転の決意で臨んだ5人は、
ロンドンに上陸してその発展ぶりに目を見張ります。
それぞれの得意分野を苦労して学ぶうち、藩にこだわるのでなく、
国全体を思うようになっていきます。
五十嵐監督の前作『HAZAN』や『アダン』に主演した榎木孝明さんにインタビュー
(記事、67号に掲載)した時に、
「五十嵐監督から、次回作で毛利のお殿様の役をやってくださいって頼まれたんですよ。
ずぅ〜っとお茶たてているだけでいいですからって」と、おっしゃっていたのが、
この作品だったのか・・と納得。
家臣から彼らの禁を破る渡航希望を聞かされて、黙認した上に、
資金援助までする太っ腹なお殿様で、話を聞いている間、ずっとお茶をたてているという次第。
配給:リベロ http://www.chosyufive-movie.com/ 2月10日(土)より シネマート六本木、立川シネマシティ他にてロードショー
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●『華麗なる恋の舞台で』Being Julia
監督:イシュトヴァン・サボー 1938年のロンドン。 舞台女優ジュリアはすでに地位も名声も手にし、理解のある夫マイケルと息子も持ちながら、 倦怠の日々を送っていた。 それがある日、親子ほど年の違うアメリカの青年トムに言い寄られ、あっさりと恋におちてしまう。 ジュリアは再び輝く時間を取り戻し、舞台の出来も上々だった。 しかし、トムは若い女優に心が動いていた。 彼はそ知らぬ顔で、ジュリアの新しい舞台にぜひ使ってと頼み込む。 (C)2004 2024846 Ontario Inc.; Being Julia Productions Limited ; ISL Film kft, All rights Reserved 30年代ファッションとアネット・ベニングの笑顔が素敵です。 映画の中に舞台劇をたびたび登場させ、現実の世界との裏表を見せています。 亡くなったジュリアの恩師のジミーがここぞというときに現れ、ジュリアにいろいろ語るのです。 劇場に精霊のように存在しているらしいこのジミーのセリフがなかなか面白いです。 女優であるジュリアがそれを最大限に発揮してみせるラストが痛快。 「やったね!」と思わず拍手したくなりました。 聡明な息子ロジャー役トム・スターリッジがちょっと気になっています。 原作は文豪サマセット・モームの「劇場」だそうで、文学全集に入っているんでしょうね。 読んでみようかな。(白) 62回ゴールデン・グローブ賞「ミュージカル・コメディー部門」主演女優賞受賞作品2005年アカデミー賞主演女優賞 ノミネート 2004年/カナダ・アメリカ・ハンガリー・イギリス/104分/英語/アメリカン・ヴィスタ/ドルビーSRD 配給・宣伝:アルシネテラン http://www.alcine-terran.com/kareinaru/ 2月10日(土) Bunkamura ル・シネマ他にて拍手喝采ロードショー |
●『マジシャンズ』
監督・脚本:ソン・イルゴン 大晦日の夜、山荘のカフェ・マジシャンズでジェソンとミョンスがバンド時代の話に花を咲かせている。 ドラマーのジェソンとギターのジャウン、キーボード&ベースのミョソンはボーカルのハヨンとそれぞれ恋人同士だった。 3年前ジャウンが自殺したことでバンドは解散してしまったのだ。 2人にはわからないが、ジャウンもそばにやってきている。 ハウンが到着するまで、残された2人は現在と過去を行きつ戻りつ・・・。 そこへお坊さんが訪れる。
ポーランドで映画の勉強をしたというソン・イルゴン監督の不思議な余韻の残る作品。
95分ワンカット、全て夜に撮影されています。
5分の長回しでさえ大変と聞いていたので、観ていて緊張してしまいました。
ワンカットに耐えられる舞台出身の俳優をそろえ、丁寧なリハーサルをしたようです。
過去と現在の話の切り替えは、俳優が着替えることで現していますが、
よく観ていないと混乱するかもしれません。 配給:IMX 宣伝:ステップ・バイ・ステップ 1月20日(土)より 渋谷ライズXにてミラクルロードショー! http://www.magicians.jp/ |
●『モーツァルトとクジラ』
監督:ピーター・ネス 数字を見ると他のことが頭に入らなくなるドナルドは、タクシーの運転手として働くものの、 失敗ばかりして長続きしない。 一見普通の若者だが、彼はアスペルガー症候群という障害を抱え、 平穏な生活を営むことが出来ずにいた。 しかし彼は、同じ障害を持つ仲間たちの為に集会を開いて、 少しでも環境に適応する力を身につけようと努力している。 そこに、美容師のイザベルがメンバーに加わった。思ったことを素直に語り、 奔放に振る舞う彼女にたちまち魅了され、恋に落ちてしまう。 だが、ともに求め合いながらも傷つけ合ってしまう二人には、 平穏な生活はやはり遠い夢なのだろうか。 この作品は、友人に薦められて観た『レインマン』がきっかけで、 自らの障害に気付いたジェリー・ニューポートの実話を元にしています。 彼を演じるのは『ラッキーナンバー7』『ブラック・ダリア』で、現在日本に於いて、 一番ホットなハリウッド若手スター、ジョシュ・ハートネット。 ドナルドの愛情を全身全霊で受け止めるイザベルには、『メリンダとメリンダ』、 『サイレントヒル』のラダ・ミッチェル。 この映画はアスペルガー症候群の人達のストーリーですが、 イザベルが汚いドナルドの部屋を、綺麗に整理整頓したのに、 烈火のごとく彼に拒否されたり、またドナルドがデート前に鏡に向かい、 表情や言葉の練習をする…なんてことは、二つとも昔々私にも経験があります。 恋愛中のカップル、少し冷めてしまったカップル、冷え切ってしまったカップル (そんなカップルは二人で来ないか?)に、是非とも観ていただきたい。 不思議な力をもった作品です。 そう言えば、モーツァルトもクジラも不思議な力がありますね。(美) 2004年/アメリカ/カラー/ビスタサイズ/ドルビー/94分配給:アートポート http://www.mozart-kujira.jp/ 2007年2月10日(土)より シネスイッチ銀座にてロードショー 〓「モーツァルトとクジラ」NHK出版より1月下旬発売。 |
●『となり町戦争』
監督:渡辺謙作(『ラブドガン』) 「舞坂町はとなり町・森見町と戦争を始めます。開戦日5月7日。終戦予定日は8月31日。」 ある日届いた、となり町との戦争のお知らせ。 偵察業務に就かされた“僕”は、その業務遂行のために、 対森見町戦争推進室の“香西さん”と夫婦生活を始める。 戦時にもかかわらず、町は平穏を崩さない。 かろうじて戦争状態と分かるのは、日々のニュースで発表される戦死者の数だけ。 淡々とした日常生活のなかに侵食した戦争。 “僕”は、知らず知らずのうちに、その戦争の中心にいたのだ・・・。
2006/日本/ビスタ/カラー/ドルビーSR/1時間54分 |
2007年2月17日〜 |
●『チョムスキーとメディア 〜マニュファクチャリング・コンセント〜』原題:Manufacturing Consent: Noam Chomsky and the Media 監督:マーク・アクバー/ピーター・ウィントニック ノーム・チョムスキー: アメリカの言語学者、思想家、活動家。 マサチューセッツ工科大学教授。1928年フィラデルフィア近郊の生まれ。 両親は、ウクライナ、ベラルーシから移住してきたユダヤ人で共にヘブライ学校教師。 チョムスキーもヘブライ語の学校で学ぶが、そこで教えられたシオニスト運動は、 ユダヤとアラブの両民族の共生をうたうものだったという。 10歳の時、学校新聞にスペイン内戦での人民戦線敗北についての論説を初寄稿。 アメリカの外交政策やグローバル資本主義を堂々と批判することで知られるチョムスキー。 本作では、著名人によるチョムスキーへのインタヴューやテレビ討論の場面などを通じて チョムスキーの思想を描き出す。 相手がエキセントリックに扇動しても、いたって穏やかに受け答えるチョムスキーの姿から、 その発言は真実味を帯びて私たちに伝わってくる。 自由に発言できる民主主義社会に暮らしていると思っているアメリカや日本。 そこにある落とし穴・・・ 情報は溢れているけれど、何が真実かわからない。 聞かされている情報は、権力者にとって都合のいい切り口で語られているから要注意だと チョムスキーは語る。例えば、虐殺も身内がやった場合は隠蔽し、 敵がやれば大虐殺と報道する。 アメリカには一定の世界観を押しつけるシステムがあると言い切り、 そのため思想の幅が狭いという。 日本では1993年山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映されたが、 その後配給が決まらず、この度初めて劇場公開されることになった。 今になってこそ、チョムスキーが1990年代初頭に解き明かしたアメリカのメディアの仕組みが、 9・11事件やそれ以降のこの時代を生み出したのではないかと思い当たる。
1992年/カナダ/167分(95分+72分)/DVカム/カラー |
●『エクステ』
監督・原案:園子温
横浜港のコンテナの中から、膨大な量の髪の毛に埋もれた女性の遺体が発見された。臓器売買の被害者のようだが、不思議なことに死んでいるのに髪の毛が生えてきていた。遺体安置所の管理をしている山崎は究極の髪の毛フェチ。嬉々として彼女を自宅に持ち帰る。 ホラーなので、主に髪の毛を使ったおぞましい映像の数々があるのですが、色んなところに遊び心があって、観ていて楽しいです。栗山千秋の可憐さや、つぐみ演ずる姉の憎たらしさも良いのですが、何と言っても大杉漣!! 究極の髪の毛フェチで奇々怪々たる山崎役を、歴史に残る大怪演で見せてくれます。ホラーなのに大爆笑してしまいました。怖いのは苦手という方でも、これはきっと楽しめます。(梅) ところどころ目をつぶりながらも、「ぼくちん」の大杉漣のおかげで最後まで観ました。大杉さんサイコー! あの大量の、湧いてきて攻撃してくる髪の毛がしばらく忘れられません。プレスシートの表紙に1本髪の毛がついていて、思わずはらってしまいました。印刷だったんですけど(笑)。ああ、思うツボ。(白)
製作プロダクション:セントラルアーツ 公式 HP >> http://www.exte-movie.jp ★2月17日(土)より、池袋サンシャインシネマほか全国ロードショー |
●『キャプテントキオ』
監督・脚本:渡辺一志 20XX年、大地震により崩壊した東京は、日本政府に切り捨てられてしまった。 無法地帯となったこの町に、エネルギーのある若者達が集まり始めていた。 ライブがあるという噂を聞きつけ、地方から自転車で二人の高校生がやってくる。 ギターを担いだロック少年ニッタと、誘われてついてきた映画少年フルタ。 彼らは到着早々手錠をかけられ、トラックに放り込まれるというトンでもない目に逢ってしまう。 『19』(2001年)の監督・脚本・主演で注目をあびた渡辺一志監督・脚本作品。 荒廃した街に入り込んでしまった高校生二人が、いろいろな大人に出会ってもまれていきます。 親友だった二人の関係もしだいに微妙に変化。 監督が映画を撮り始めたのが15歳だったそうで、その年頃の子供たちに観てもらいたいと、 少年二人の設定にしたそうです。 本人も映画屋(ワンマンな監督)として出演。 お笑いのバナナマン、泉谷しげるに車だん吉、石立鉄夫のキャスティングでギャグ漫画を観ているようでした。 少年たちに受け、共感されそう。 初主演のウエンツ瑛士くん(1985年生まれ。あら、もう成人でした)は、 『ブレイブストーリー』の声優としてカンヌ映画祭に参加、 ファッション誌のスカウトがあったほどの美形ですが、 バラエティ番組の出演が多いですね。 GWには主演作『ゲゲゲの鬼太郎』も公開予定です。(白) 2007/日本/95分/ビスタ/ドルビーSR/配給:プレグレッシブ ピクチャーズ/ディーライツ 宣伝:スキップ http://www.captain-tokio.com/ 2月17日(土)より渋谷シネマGAGA!シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー |
●『孔雀 —我が家の風景—』
監督:クー・チャンウェイ(『紅いコーリャン』『さらば、わが愛/覇王別姫』撮影)
文革が終わった1977年。中国のとある田舎町。
元は金持ちのお屋敷だったと思われる家のテラスで、いくつもの家族が食卓を囲んでいる。
カオ家の3人の子供たち。大きな図体の長男ウェイクオは知的障害を持っていて、
母親は彼を不憫に思って、正月に飴を分けるときにも、
長女ウェイホンや次男ウェイチャンに、兄に多く分けるように言う。
兄は下の二人にとって、ちょっぴりお荷物だ。 『紅いコーリャン』『さらば、わが愛/覇王別姫』『太陽の少年』 『オータム・イン・ニューヨーク』など、数々の作品の撮影を手がけたクー・チャンウェイの初監督作品。 地方都市の風情ある町並みや、家族ひとりひとりの描写が素晴らしい。 娘や息子に、いい仕事につかせようと、一所懸命要人に付け届けをする両親。 子を思う親の気持ちがせつない。待っていても開いてくれない孔雀の羽のように、思うようにはいかないそれぞれの人生。やるせないけれど、なんともあじわいのある作品でした。(咲) ★NHKアジア・フィルム・フェスティバルで上映 11月1日 10:30〜 11月4日 20:30〜(上映前に監督舞台挨拶予定) ◆2007年2月17日(土)より Q−AXシネマ他 全国順次ロードショー 2006年/中国/136分/DOLBY SRD/ビスタサイズ 提供:レントラックジャパン、ナインテンタテインメント 配給:キネティック、アルゴ・ピクチャーズ 公式 HP >> http://www.eiga.com/official/kujaku/ |
2007年2月24日〜 |
●『さくらん』
監督:蜷川実花 吉原の遊郭・玉菊屋には今日も多くの男たちが集まってくる。 きよ葉は8歳でここに売られてきた。 気が強くて何度も足抜けをし、そのたびに折檻されても泣き声ひとつたてたことがない。 粧ひに「花魁になどなれぬ」と言われて、逆に奮起したきよ葉は、「手練手管」を学んでゆく。 粧ひは金持ちの旦那に身受けされ、羨望を一身に浴びながら吉原を出て行った。 粧ひにかんざしを贈られたきよ葉は、やがて1本立ちし「新造」から「花魁」へと登りつめてゆく。 主人公きよ葉・日暮には『下妻物語』の土屋アンナ、 先輩の花魁に菅野美穂、木村佳乃が肌もあらわな熱演。 女将に夏木マリ、楼主に石橋蓮司とベテラン勢。 きよ葉に入れあげるお客に成宮寛貴、椎名桔平。安藤政信はきよ葉を幼いころから見守る役。 フォトグラファー蜷川実花が、初の長編映画を監督しました。 独特のあふれんばかりの色彩が、画面をくまなく輝かせています。 舞台となる遊女の部屋、衣装、床の間の花(東信)まで今までにない色使いで、目を見張ります。 赤い色が際立つのはパワーの象徴なのかも。 喧嘩のシーンには「下妻のいちご」を思い出しました(大好き!笑)。 閉塞した遊郭の中で自分の意思を貫くきよ葉はすがすがしく、 子供のために泣くきよ葉にはお母さんになった土屋アンナさんがかぶりました。(白) 配給:アスミック・エースhttp://www.sakuran-themovie.com/
2007年2月24日(土)〜シネクイント、新宿ジョイシネマ、池袋シネリーブルにてロードショー |
●『素敵な夜、ボクにください』
監督:中原俊
イ・ジンイルは韓国のカーリング選手。試合の大事な場面でチームメイトの助言を無視、強引な逆転を狙ったものの大外れ、チームは負けてしまった。主力メンバーから降格となったジンイルは、気分転換に日本に留学中の後輩ファンソクを訪ねる。 韓国スターのキム・スンウが、二役で日本映画に初主演。スターのスヒョンとしての出番はほんの少しで、行きがかり上ど素人の女の子たちにコーチをするはめになる、カーリング選手のジンイル役が殆どです。思い込みが強くて行動的、少々わがままないずみ役に吹石一恵、いずみに引きずられてチームを組む3人の女性たち、真面目な裕子、気のいい聡子、クールな妹のひかり、それぞれいい味出しています。似たもの同士のジンイルといずみのすれ違いの恋模様と、カーリングのかけひきの面白さも盛り込んで、気軽に楽しめるラブコメディになっています。カーリングの映画には、実話を元にした『シムソンズ』があります。ルールなどについてはそっちが詳しいので、先に観ておくともっとよくわかりますよ。(白) 韓流にカーリングって、なんだかはやりものを無理にくっつけてない? なんて思いながら観に行ったのですが、これがなかなかどうして、楽しく可愛らしいラブコメディに仕上がっているのでした。お話の転がり方にあまり無理がなく、良い役者が揃って、アンサンブルが軽やか。楽しい気分になりたいときには、おすすめですよ。(梅) 配給:エスピーオー、プログレッシブ ピクチャーズ 公式 HP >> http://www.sutekinayoru.com/index.html ★ 1月20日(土)青森先行ロードショー!!★ 2月24日(土)シネマート新宿、シネマート六本木ほかにて全国ロードショー |
●『叫 さけび』
監督・脚本:黒沢清
刑事の吉岡は、先頃起きた女性殺害事件の犯人に自分の影を見て不安を募らせている。この世のものとは思えない赤い服を着た女の影も見るようになっていた。そんな彼に優しく接する恋人の春江。しかし二人の間に微妙な距離があるのは明らかだった。 古典的な幽霊話なのですが、葉月里緒奈扮する赤いドレスの幽霊はかなりパワーアップしています。従来の幽霊は自分に犯した罪の償いをさせるべく、犯人への恨みをはらさんとしますが、彼女は自分を無視し続けた世の中へ恨みを拡大させ、甲高い叫び声がどんよりと曇った東京の空をつんざきます。それにしても葉月里緒奈の幽霊は似合いすぎます。(梅)
2006年/日本/カラー/35mm/ヴィスタサイズ/DTS/104分 公式 HP >> http://www.sakebi.jp ★2月24日(土)より、シネセゾン渋谷・新宿武蔵野館他にて全国ロードショー |
●『絶対の愛』原題:Time
脚本・監督・製作・編集:キム・ギドク セヒ(パク・チヨン)は、ジウ(ハ・ジョンウ)と付き合い始めて2年。 いつもの喫茶店で、恋人ジウがウェイトレス(杉野希妃)に目線を向けただけで嫉妬してしまうほど、自信をなくしている。 このままでは、彼に飽きられてしまう! 思いつめたセヒは、部屋を引っ越し、携帯電話も変えて、整形外科医(キム・ソンミン)のもとを訪れる。 手術の壮絶な映像を見せられ、このままでも十分綺麗なのにと言われても、 顔を変えなければと決意は固い。 そして半年。セヒがいなくなって寂しい思いをしていたジウは、 スェヒという女性と親しくなる。 が、いざという場になると、忽然と消えた恋人への思いが募り、一歩踏み出せない。 そして、実はスェヒがセヒだと気がついた時、ジウは思いもかけない行動に出る...。 キム・ギドク監督の13作目。『春夏秋冬そして春』が静だとすると、 『絶対の愛』は動。感情が激しくうごめき、人間の本性を見せ付けられる思いがした。 人はいったい何に惹かれて相手を愛するようになるのだろう。 入り口は看板である顔かもしれない。 そうして愛し合うようになっても、繰り返される日常に慣れてしまうと、 いつしか飽きてしまい、変化も求めたくなる。 小さな幸せがずっと続けばそれでいいという思いの人もいるだろう。 でも、人生に永遠はない。お互いの気持ちを同じレベルで持ち続けることの難しさ! それにしても、恋焦がれる思いに縁遠くなった我! (咲) 2006年/韓国・日本/カラー/ドルビーSRD/アメリカンビスタ/1時間38分提供・配給:ハピネット 宣伝:ムヴィオラ ★『絶対の愛』公開記念! キム・ギドク レトロスペクティヴ 「スーパー・ギドク・マンダラ」 2月24日(土)〜3月16日(金) ユーロスペースにて 連日レイトショー9:10PM〜、他モーニングショーあり 日本未公開作品を含む、長編第2作からの全作品を一挙上映! ◇キム・ギドク監督が参加する来日記念パーティー 日時:2/24(土)7:00PM-9:00PM 会場:Prologue(ユーロスペース1F) 公式HP>> http://zettai-love.com/ |
●『ボッスン・ナップ』boss'n up
監督・脚本:プーク・ブラウン スーパー店員のコーデ(スヌープ・ドッグ)は、この境遇から抜け出して大金を掴むことを夢見ていた。 特技は女性の扱い。 スーパーのレジで客にチップを貰うなんて彼だけだ。 そこへ伝説のピンプ(売春斡旋業)のオレンジ・ジュース(ホーソン・ジェームズ)が現れ、 「弟子にするから超一流の女を捜して来い」と持ちかける。 シャルドネ(シャレー・アンダーソン)に出逢ったコーデは、彼女こそ運命の女だと直感! 二人で裏の世界で成り上がっていく。 ラップ・スターのスヌープ・ドッグが自らのアルバム「ブルー・カーペット・トリートメント」 の曲をたっぷり使って作った、男の夢物語な作品。 ピンプって早く言えばヒモですかね〜。 たくさんのいい女を抱えて、客をとらせて上がりを受け取るという、 長良川の鵜飼いを思い浮かべてしまいました(笑)。 ホーソン・ジェームズの濃さと、 ヒロインに抜擢されたシャレー・アンダーソンのいい女ぶりが見もの。(白)
2005年/アメリカ/90分/ドルビーSR/ビスタサイズ |
●『ボビー』原題:BOBBY
監督・脚本:エミリオ・エステヴェス 1968年6月5日のLAアンバサダーホテル。 ロバート・F・ケネディが大統領予備選挙に立候補して、 カリフォルニア州の選挙結果が出るこの日、ホテルにいた22人の男女の群像劇。 かつての老ホテルマン、ジョンとネルソンは引退した後も毎日やってきて、 チェスを楽しみ昔話をしている。 厨房ではケネディ上院議員を迎えるため、ダブルシフトが組まれた。 野球観戦に行くつもりだったホセは夜勤になってしまい、憤懣やるかたない。 不法労働者たちだから、と外出を禁じた厨房の責任者ティモンズを、 ポール支配人は「クビだ!」どなりつける。 支配人の妻ミリアムが働くホテルの美容室に、 今晩結婚するというティーンエイジャーのダイアンが訪れる。 落ち目で酒びたりになった歌手ヴァージニアは、ボビーの記者会見の前に歌う予定だが、 今日も夫ティムと口論している。 ボビーの若い側近は、選挙ボランティアの学生たちを送り出し、会場の準備におおわらわだ。 誰もが様々な想いを抱えるなか、ボビーはひとつの「希望の星」だった。
"ボビー"と呼ばれて人々に親しまれ、
アメリカ改革の期待を受けていたロバート・F・ケネディは、
このホテルのボールルームで勝利演説をした後、
群衆が多いため厨房を抜けようとしてある男の銃弾に倒れました。
その史実を軸に、血の通った人々のストーリーを結びつけ、
まさに『グランドホテル』形式の映画をエミリオ・エステヴェスが作り上げました。
映画の中で元ホテルマンを演じるアンソニー・ホプキンスとハリー・ベラフォンテが、
『グランドホテル』のセリフの話をするシーンがあるので、
思わずニヤッとしてしまいました。
監督のエステヴェス本人も、父親のマーティン・シーンも群像の1人として出演しています。
提供・配給:ムービーアイ オリジナル・サウンドトラック:ユニバーサル インターナショナル http://www.bobby-movie.net/ 2月24日(土)より、TOHOシネマズ六本木ヒルズ他全国ロードショー |
2007年2月2日〜4日 |
●国際交流基金主催 英語字幕付き日本映画上映会第7弾 「進化する日本映画〜Evolving Japanese Cinema」 国際交流基金(ジャパンファウンデーション)の主催で 日本映画の英語字幕付き上映会が開催されます。 第7弾の今回の上映会では、現代の最前線を担う監督たちの初期の秀作6作品が上映されます。 日本在住の外国の方々にとって日本映画の豊かさに触れる絶好のチャンスです。 お知り合いの外国の方々に是非ご紹介ください。
期間:2007年2/2(金)〜2/4(日)
料金:当日600円(当日券のみ) <タイムテーブル>
<お問合せ先> |
2007年3月9日〜 |
●「EARTH VISION 第15回 地球環境映像祭」 環境をテーマとしたさまざまな映像を通して地球環境について考えることを目的に、 日本を含むアジア、オセアニア・ポリネシアに広く作品を公募し、 コンペティション形式の上映会を行っています。 地球環境をテーマとした映像であれば、作品のジャンル、プロ・アマチュアを問わない点が、 この国際映像祭の大きな特長です。 事務局審査、事前審査で最終的に選ばれた入賞作品を上映します。 上映後には、監督からのあいさつや観客との質疑応答があります。
上映作品
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●「第3回国際交流基金 アラブ映画祭2007」
2005年に始まったアラブ映画祭も、今年で3回目を迎えました。
今年は、「アラブ新作パノラマ」で5本、
「エジプト映画回顧展」で12本の計17本の映画が上映される他、
ゲストを迎えてのシンポジウムが2回開かれます。
会期:2007年3月9日(金)〜18日(日)
主催:国際交流基金(ジャパンファウンデーション) ★スタッフ日記にアラブ映画祭のレポートを掲載しましたのでご覧下さい。 |
2007年3月15日〜20日 |
●「フランス映画祭2007」 今年はフランスの大女優カトリーヌ・ドヌーヴを来日代表団団長に迎え、東京・横浜・大阪で開催されます。 上映予定の18作品は全てジャパン・プレミア。詳細は公式HPに順次アップされますので、ぜひチェックしてください。
『輝ける女たち(仮題)』より © 2006 SBS FILMS EDELWEISS SRL FRANCE 2 CINEMA |
2007年4月28日〜 |
●『ニューヨークで暮らしています 彼女たちがここにいる理由』 ○上映会のお知らせ (入場無料)
○すでに終了した上映会
○2006年10月13日(金)東京ウィメンズプラザホール ○2007年1月28日(日)池田市民文化会館アゼリア小ホール ※共通参加費500円です。チケット制でない場合は当日受付清算です。 |
●「イタリア映画祭2007」 ・4月28日(土)〜5月5日(土) ・有楽町朝日ホール (マリオン11F) 《日本未公開の最新イタリア映画12本を一挙上映! 》
詳細は公式HPをご覧ください http://www.asahi.com/event/it07/index.html |
●「韓国アートフィルム・ショーケース」
韓国映画振興委員会(KOFIC) の全面協力で、韓国のアート系作品4本を特集上映します。
『キムチを売る女』(原題:芒種)
朝鮮族の女スンヒは、夫は殺人事件を起こして服役中。故郷の延平から遠く離れたこの町の鉄道脇の粗末な家に、一人息子のチャンホと二人移り住み、露天でキムチを売って生活している。 チャン・リュル監督は、朝鮮族(韓国系中国人)で、元々現代中国文学を代表する作家として有名でした。特に映画制作の勉強をしたわけではないのですが、初作品の短編『11歳』が、いきなりベネチア国際映画祭に招聘されています。この『キムチを売る女』は長編第2作になります。全く無駄のない、シンプルで美しい映像の中に、深い哀しみと怒りを撮る人です。賈樟柯やキム・ギドクに続く、映像作家として大いに期待されています。
2005年カンヌ国際映画祭批評家週間ACID賞
『不機嫌な男たち』 『許されざるもの』
テジョンは約2年の兵役を、もうすぐ模範的に終えようとしている。ある日、彼の班に中学の同級生だったスンヨンが配属されてくる。スンヨンは軍隊特有の不条理さになかなか馴染めない。テジョンはそんな彼を何かとかばってやるのだが、彼は妥協できずに周囲との摩擦が絶えず、テジョンは苛立ちを覚える。
無名の大学生が卒業作品として制作を始めた本作が、釜山国際映画祭で最多4冠受賞というサプライズを起こしたのは2005年のことでした。韓国の成人男性のほとんどが経験する兵役中の軍隊生活の実情を、鋭く切り取って映しだし、韓国の観客の大きな共感を得ました。主演のハ・ジョンウは大いに注目され、キム・ギドク監督の最新作『絶対の愛』の主演に抜擢されました。
2005年/韓国/カラー/ヴィスタ/ドルビーSRD/121分 『映画館の恋』
<第1部> 事前に一切情報を入れずに観ていたので、後半に入って急に話が切り替わって、先ほどまでのが劇中劇だったと気付くまでに、しばらくかかってしまいました(苦笑)。微妙な居心地の悪さを感じさせる人間関係を生々しく、でもさらっと描いていて、いかにもホン・サンス監督らし い作品だなぁと感じます。第2部の主人公の男を、『殺人の追憶』のキム・サンギョンが、ヒロインを『美しき野獣』のオム・ジウォン、 第1部の主人公の男を、『ラブストーリー』のイ・ギウが演じています。(梅)
2005年/韓国/カラー/ヴィスタ/ドルビーSRD/89分/原題:劇場前 公式 HP >> http://www.kaf-s.com/ |
●「日本クラシック、海外発信中!」
-- The Japan Foundation Film Series Part 8 --
●期間:2007年5/25(金)〜5/27(日)
公式 HP >> http://www.jpf.go.jp/ |
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●「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2007(第4回)」
期間:7月14日(土)〜22日(日)
オープニングを飾るのは、昨夏、SKIPシティ内にオープンセットを建設し、
昭和33年の広島のバラックの町並みを再現したことでも話題になった『夕凪の街 桜の国』。
メインは、国内外のデジタルで撮影・制作されたデジタルシネマ作品の長編・短
編コンペティション。 |
2007年3月3日〜 |
●『パフューム −ある人殺しの物語−』 原題:Perfume:The story of a murderer
監督・脚本:トム・ティクヴァ(『ラン・ローラ・ラン』) 18世紀、パリの魚市場。 産気づいた魚屋の女が魚の腸が散乱する中で赤ん坊を産み落とし放置する。 捕まえられ死刑になる母親。 残された子供は、ジャン=バティスト・グルヌイユと名付けられ孤児院で育つ。 親に見捨てられた彼に神が与えたのは、一切の体臭を持たない特異体質とあらゆるものを嗅ぎ分ける驚異的な臭覚。 大きくなり、なめし皮工場で働きはじめた彼は、町ですれ違った美女の体臭に惹きつけられる。 ある時、皮の納品先の香水屋で、今は落ち目の天才的香水調合師バルディーニ(ダスティン・ホフマン)に出会う。 美女の香りを抽出したい一心で、弟子入りするグルヌイユ。 やがて、ここでは、“生き物”の匂いを取り出す技術を学べないと悟った彼は、 より高度な技術を学びに香水職人の町グラースに旅立つ。 そしてグラースの町で続出する美女殺人事件。 彼の目指す香りは、世界に一つしかない天国の香り・・・。 映像で“におい”を伝えるのは難しいけれど、冒頭の魚市場の悪臭だけはしっかり伝わってきました。 数百名のエキストラを集めてのラストは圧巻でしたが、残念ながら私には天国の香りは薫ってきませんでした。 グルヌイユを演じたベン・ウィショーの、不可思議な存在感も凄かったけれど、 なんといってもダスティン・ホフマンの落ちぶれた香水調合師は、あっぱれ!(咲) 2006/ドイツ映画/147分/シネスコ/DTS、ドルビーデジタル/カラー提供・配給:ギャガ・コミュニケーションズ powered by:ヒューマックスシネマ ★2007年3月3日(土)より、サロンパスルーブル丸の内他全国松竹・東急系にてロードショー 公式HP>> http://perfume.gyao.jp/ |
●『龍が如く 劇場版』
監督:三池崇史 神室町の銀行に2人組の強盗が押し入った。しかしなぜか金庫はからっぽ。 やけになった強盗が空調機を壊してしまい、暑さにきれそうになったころ、 刑期を終えて出所した桐生一馬は遥(はるか)という少女と出逢った。 母を捜しているという遥を連れて神室町の馴染みの店を訪れる桐生だったが、 宿敵真島吾朗一派が彼を追っていた。 一方若いカップルの悟と唯は、手っ取り早く金を作ろうと強盗に精を出していた。 熱帯夜の町で巻き起こる事件が、やがて一つに収束していく。 PS(プレイステーション)2で大ヒットした同名ゲームの映画作品。 ちらしはゲーム版デザインのシルエットの中に、出演者の顔写真が入っています。 桐生一馬と真島の戦いをメインに、母親を探す子供、強盗に謎の韓国人、 ホストに武器屋と登場人物満載。 ゲームを知らない人には人間関係がいまいち判りにくいかも。 一馬と由実、錦山は同じ施設で育った親友。 10年前錦山の罪をかぶって刑務所に入った一馬だったが、 出てみると大きく変わっていたのは町ばかりではなかった。 緊迫感&スピード感溢れるアクションに、笑いもまぶして楽しませてくれます。 三池監督はこの作品世界をつかむために、さっそくゲームを買い求めてクリアしたとか。 敵を倒す爽快感はゲームのまま、桐生強し!真島のキレっぷり、テンションの高さに唖然呆然。 しかし「岸谷さん、似合う!」と芸の幅に感心。 細かい突込みはなしで、いや、突込みもまた良し。 劇場の画面でこのゲーム感覚エンタテイメント作品をお楽しみください。(白) 原作のゲーム感覚を踏襲した、突き抜けたありえなさ加減が楽しいです。北村一輝さんと真木蔵人さんの対決は、まさにボスキャラ登場のラスト・ラウンド。お二人とも凄い身体をしていらっしゃる。CGじゃないですよね?(梅) 2006/日本/カラー/120分/配給:東映 製作:SEGA http://www.ryu-movie.com/ 3月3日(土)より全国ロードショー! ©2007「龍が如く」フィルムパートナーズ |
●『蒼き狼 地果て海尽きるまで』
製作総指揮:角川春樹 800年前に、史上最大のモンゴル帝国を築いたチンギス・ハーンの半生を描いた歴史エンタテインメント。 全編モンゴルロケを敢行しただけあって、シネスコサイズのスクリーンには、緑の草原と青い空が広々と広がり、とても美しいです。そしてそこで繰り広げられる、騎馬軍団による戦いのシーンは雄壮で迫力があります。しかし、それに比べるとドラマの部分が全体を浅く広くなぞったようで、貧弱に感じてしまいます。これほど波瀾万丈の人生を送り、壮大な帝国の王になった人物なのに、凄味や貫禄が伝わってこない。戦の中で略奪の対象となり、「戦争が起こるといつも一番苦しむのは女たち」という台詞がありますが、これだけ戦闘シーンが多く、しかもあまり悲壮感はなくて勇猛果敢さが目立つと、とってつけたような言葉に聞こえてしまいました。 (梅)
2006年/日本・モンゴル/136分 公式 HP >> http://www.aoki-ookami.com/ ★3月3日(土)、丸の内ピカデリーほか 全国超拡大ロードショー |
2007年3月10日〜 |
●『約束の旅路』原題:Va, vis et deviens
監督:ラデュ・ミヘイレアニュ 1984年、飢餓に喘ぐアフリカで、ソロモンとシバの子孫であるエチオピアのユダヤ人を、 イスラエルとアメリカの援助でイスラエルに移民させる「モーゼ計画」が秘密裏に進められた。 エチオピアからスーダンの難民キャンプに歩いて辿り着いたユダヤ人を飛行機で輸送するという大プロジェクト。 スーダンの難民キャンプで、あるキリスト教徒の母親が我が子だけでも助けたいと、 9歳の息子にシュロモというユダヤ名を教え込み、 息子を亡くしたばかりのユダヤ女性に託してイスラエルに逃れさせる。 シュロモはフランス系ユダヤ家族に養子として迎え入れられる。 自分が孤児でもなく、キリスト教徒の黒人であることが発覚するのではないかと怯える日々。 やがてイスラエル社会にも溶け込み、白人系ユダヤの娘と恋にも落ち、 医師としての人生を歩み始めるが、難民キャンプで涙ながらに別れた母に思いが募る...
『行け、生きろ、生まれ変われ』のタイトルで、
第13回フランス映画祭横浜2005において上映された作品。
私が1991年にイスラエルを訪れた折に、
エルサレムの町で数多く見かけた漆黒の肌の人たちが、
エチオピアから来たユダヤ人だと聞かされて驚いたことを思い出し、
この作品には格別の興味を覚えて観にいきました。
少年から青年へと人生を歩んでいく姿や、産みの親、育ての親、
そしてわが子の母をなる妻という大勢の母親たちの姿が素晴らしく、
一般公開を待ち望んでいました。
フランス映画祭横浜の折りに、来日したラデュ・ミヘイレアニュ監督と、
シュロモの青年役を演じたシラク・M・サバハ君に1時間にわたりインタビューさせていただいたレポートを、
シネマジャーナル65号
(表紙も、まさにこの映画です!)に掲載しています。
朝方までファンと飲んでいた二人でしたが、しっかり語ってくれました。
2005年/フランス映画/140分/シネマスコープ/カラー/ドルビーデジタル 字幕:松岡葉子 字幕監修:臼杵陽 配給 カフェグルーヴ,ムヴィオラ ★岩波ホールにて2007年3月10日(土)より5月上旬まで公開 公式HP>> http://yakusoku.cinemacafe.net/ 岩波ホールHP作品紹介のページ>> http://www.iwanami-hall.com/contents/next/next.html
★シネマカフェにて、ブログ募金キャンペーンを実施中!
映画『約束の旅路』ブログに書き込まれたエントリ1つに対して、 UNHCR(国連難民高等弁務官)駐日事務所アフリカキャンペーンに50円の寄付が行われます。 『約束の旅路』を通じて、あなたも難民問題について考えてみませんか? そして、行動してみませんか? 詳細はこちら → http://blog.cinemacafe.net/yakusoku/index.html |
●『サン・ジャックへの道』(原題:Saint Jacques...La Mecque)
監督・脚本:コリーヌ・セロー 仲の悪い3人兄弟の元に、亡くなった母親の遺産相続の条件が、北スペインにあるキリスト教の聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラ(サン・ジャック)まで一緒に歩いて巡礼することという知らせが届く。忙しいビジネスマンの兄、無神論者の教師の妹、アル中の弟。3人共、巡礼など行きたくはないが、遺産欲しさに巡礼ツアーに渋々参加する。そこに集まってきた老若男女9人。1500キロの道のりを歩いていくうちに起こる様々な出来事...。
2006年3月フランス映画祭で、『サンティアゴ...メッカ』のタイトルで上映された作品。イスラーム文化に興味のある私にとって、フランス映画祭のライナップの中で、真っ先に気になった作品。作品紹介には、サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼に縁あって一緒に出かけた9人・・とあったので、「キリスト教徒のメッカ(総本山)」という象徴的な意味のタイトルかと思って観始めたら、巡礼ツアーの集合場所にサイード(字幕では、サイッド)というアラブ名の青年が現れる。同行の従弟ラムジィはほんとのメッカに巡礼に行くと思い込んでいて、イスラーム教徒としての義務が果たせるのを嬉しそうにしている
。
フランス/2005/112分/35mm/ヴィスタ/ドルビーSRD&DTS/カラー 公式 HP >> http://www.saintjacques.jp/ ★3月10日(土)より、シネスイッチ銀座にて、旅立ちのロードショー! |
2007年3月17日〜 |
●『ナヴァラサ』原題:NAVARASA [Nine Emotions]
監督・原案・脚本・撮影・製作:サントーシュ・シヴァン(『マッリの種』)
13歳のシュエータが初潮を迎え、両親は華やかな成女式を催す。急に大人になったと言われても戸惑う彼女は、ある日仲良しの叔父のガウタムが女装しているところを見てしまった。「男に生まれたけれど、心は女」と打ち明けられたシュエータだが、どうしても叔父の気持を理解することができない。
クーヴァガムの祭は、インドの大叙事詩マハーバーラタにある(*) アラヴァンを信仰する人々が集まる大祭。 男性が女装し、彼の花嫁となって翌日は未亡人になります。 ガウタムはこの儀式を通じ、女性として生きることを決意しています。 この映画はサード・ジェンダーの人々に出会ったサントーシュ・シヴァン監督が、 彼ら一人一人の物語に心動かされて作られたもの。 あらすじとキャストのシュエータ、ボビー・ダーリンの二人を決めただけで祭に飛び込み、 フィルムを回し続けたのだとか。 この部分はドキュメンタリーが混在しています。 祭でガウタム役となるクシュブーやアーシャ・バーラティ会長に出会い、 ストーリーが固まっていったのだそうです。 ボビー・ダーリンが映画の中で語る彼女の生い立ちは本当のこと。 この作品でモナコ国際映画祭で助演男優賞を獲得、 絶縁していた父から和解の電話が入ったとの後日談があります。(白) *アラヴァンの物語は、 この映画の舞台である南インド、タミル・ナードゥ州につたわるバージョンにしか存在しない。
2005年/インド/1時間39分/ヨーロッパビスタ1:1.66/ドルビーSR 公式 HP >> http://www.sanmarusan.com/navarasa/index.html |
●『棚の隅』 画像:(C)2006『棚の隅』製作委員会
—あなたが心の隅に置き忘れたものはなんですか— 監督は、劇場映画第1作となる門井肇。 映画を作るときはぜひ、と大杉漣に頼んであったのだそうです。 出演作品300本以上の大杉氏ですが、初の主役でしょうか? 辛い過去のあるおもちゃやの店主をしみじみと演じています。 再婚した妻役の渡辺真起子が明るくたくましくていいです。 連城三紀彦作品といえば思い出すのが「恋文」ですが、 これも同じく男1人に女が二人。妻がしっかりしていましたっけ。(白) http://tananosumi.com/ |
●『渋谷区円山町』
監督:永田琴
(story 1)
道玄坂とBunkamuraの間に広がる円山町はラブホテル街として有名な
場所です。以前は子供が近づいてはいけない場所の匂いが強かったで
すが、最近は、ライブハウスやクラブやこの映画が上映される渋
谷QA-Xシネマなどが入るビルなども出来て、ちょっと足を踏み入れや
すくなりました。
2006年/日本映画/35mm/110分/ヴィスタサイズ/カラー/ステレオ 公式 HP >> http://www.maruyamacho-movie.com/ ★3月17日(土)、渋谷QA-Xシネマにて桜咲くロードショー |
●『ポイント45』
監督・脚本:ゲイリー・レノン ニューヨークのスラム街、ヘルズキッチンで拳銃や盗品を売るキャットとアルのカップル。キャットはここを出て、海辺に家を持つのが夢だ。ある日、内緒で新しい顧客と取引したキャットは、アルの逆鱗にふれて髪を切られ、したたかに殴られる。アルの友人のライリー、レズビアンのヴィックはキャットを心配し、助けようと警察に連絡する。ソーシャルワーカーのリズも、アルの暴力からキャットを保護しようとする。 長身のミラ・ジョヴォヴィッチが危険な女をカッコよく演じています。足が長〜〜い。足は短くておなかも出てますが、キャットが愛する男臭さむんむんのアルを演じるアンガス・マクファーデンは『SAW3』に出演していましたね。長髪なので見違えました。この危ない二人の母親(劇中の)が、娘、息子を語るシーンがありますが、この親にして・・・という感じで笑えます。強烈!(白)
2007/アメリカ/カラー/ビスタサイズ/SRD/1時間36分 公式 HP >> http://www.point45.jp/ ★3月17日(土)〜お台場シネマメディアージュほかにてロードショー |
●『フランシスコの2人の息子』 原題:Two sons of Francisco
監督: ブレノ・シウヴェイラ ブラジル、ゴイアス州シチオ・ノーヴォ村。小作農のフランシスコは無類の音楽好き。 愛する妻のエレーナとの間に次々と7人の子供をもうける。 胎教はラジオから流れる音楽。 サッカーボールさえ買ってやれないほど貧しいフランシスコだが、 子どもたちを一生人に使われる小作で終わらせたくない! 有り金をはたいてアコーディオンとギターを長男ミロズマルと次男エミヴァルに買い与える。 が、地代も払えなくなり、一家はゴイアニアの町への移住を余儀なくされる。 極貧の中、独学で楽器をマスターした2人は、ある日、 日銭を稼ごうとバスターミナルに出かけ、恐る恐る歌い始める。 やがて、2人の才能に目を付けたエージェントのミランダが彼らを演奏ツアーへと連れ出す。 ミロズマルとエミヴァルのデュオは各地で評判を呼ぶが、 ある日、デュオを解散しなくてはならない悲劇が起こる・・・
本作は、リリースしたアルバム総数が2200万枚以上という、
ブラジルで圧倒的な人気を誇る兄弟デュオ、
ゼゼ・ヂ・カマルゴ&ルシアーノのサクセスストーリーである。
頂点に上り詰めたのは、もちろん、その素晴らしい音楽センスによるものだが、
夢は叶うと信じた父の力も大きい。
100万枚売る自信があると、父フランシスコは、
お給料をすべて電話用コインに換えて同僚に配り、
ラジオにリクエストさせるというクレージーぶり。
映画のラストに、実際のコンサートの模様が映し出され、
熱狂的なファンの様子に彼らの人気の程を思い知らされる。
そして、本物の父フランシスコが、
アンジェロ・アントニオが演じたどころじゃないクレージーな人物だとわかって微笑ましかった。
2005年/ブラジル/124分/ビスタ/ドルビーデジタル/カラー |
2007年3月24日〜 |
●『素粒子』原題:Elementarteilchen
監督・脚色:オスカー・レーラー 異父兄弟のブルーノとミヒャエル。 母親は幼い二人をそれぞれの父方の祖母に預けてインドに行ってしまう。 異なる境遇で育つ兄弟。 兄ブルーノは、高校の国語教師という安定した職に就くが、 妻アンネでは自分の性的欲求を満たされず、悶々とした日々をおくっている。 一方、幼い頃から人類の進化に興味を持ち、生物学者となった弟ミヒャエルは、 女性に関心がなく、遺伝子研究に没頭している。 母が亡くなり、二人に転機が訪れる。 ミヒャエルは、祖母の墓石の移動に立ち会うために訪れた故郷で、 幼馴染のアナベルから恋心を打ち明けられ、初めて女性に目覚める。 一方、妻から離婚を言い渡されたブルーノは、参加者の男女比率1:2という広告に惹かれ、 ヒッピー集団のキャンプ場「変革の場」を訪れる。 そこでようやく自分の性的衝動を理解してくれる女性クリスティアーネと出会う...。 兄弟共に、愛を分かち合えるパートナーに出会うが、それぞれに試練が訪れる。 人生において、誰しもが大なり小なり経験するであろう決断を迫られる時。 生きていくということは、苦しみもあれば、楽しみもある。 そう思わなくちゃ、やってられない。 異父兄弟の母親ジェーンは、息子を連れて男と旅に出たり、あげく、 インドに行ってイスラームの神秘主義集団に入ってしまう。 なんとも自由奔放でいいなぁ〜 (咲) 母親の自由奔放さのおかげで、異性への自然なアプローチができなくなってしまった二人の息子が、その呪縛から解かれようと七転八倒する様を、乾いた笑いを込めて描いています。最近日本でも育児放棄や家庭崩壊の問題が顕著ですが、そんな中で育つ子供たちが未來に抱える苦しみの形のひとつに見えたりもしました。(梅)
2006年/ドイツ/カラー/1.85ヴィスタ/ドルビーSRD/113分 |
●『蟲師』
監督:大友克洋
—100年前の日本。そこには「蟲」が棲む豊かな世界が広がっていた— ©2006「蟲師」フイルムプロジェクト
原作は月刊アフタヌーンに連載されたコミック。
2006年の講談社漫画賞に輝き、単行本シリーズも7巻までに290万部出ています。
大友克洋監督が自ら原作者の漆原友紀さんを訪ねて映画化を熱望されたのだとか。 配給:東芝エンタテインメント 宣伝:P2 http://www.mushishi-movie.jp/ 2007年3月24日よりロードショー公開 ■映画『蟲師』展—大友克洋:幻想と神秘の世界
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●『ブラックブック』(原題:Black Book)
監督:ポール・バーホーベン
第二次世界大戦中、ナチス・ドイツ占領下のオランダで、ユダヤ人の歌手ラヘルは迫害を逃れるために、ドイツ軍から解放されたオランダ南部へと逃げようとする。しかし、何者かの裏切りにより、乗った船がドイツ軍に待ち伏せされ、両親も弟も財産も奪われ、彼女だけが辛うじて生き延びる。
ハリウッドで『氷の微笑』や『スターシップ・トゥルーパーズ』など、人間の性を少々グロテスクな手法で描いて人気の高かったポール・バーホーベンが、母国オランダに戻り、オランダの映画産業としては破格の規模で撮り上げたサスペンス・エンタテインメント大作です。ハラハラ、ドキドキの連続で、144分という長さを全く感じませんでした。
1956年 イスラエル。
聖地巡りツアーのバスが、とあるキブツ(イスラエル式社会主義に基づく共同生活施設)に着く。
バスから降りたロニーという女性がキブツの小学校を覗きこむ。
「写真はダメ」と語りかけてきた女教師の顔を見て、ロニーは思わぬ再会に驚く。
「生きていたのね。ユダヤ人だったの?」
次にシーンは、1944年9月のオランダへと遡る。
2006年/オランダ・ドイツ・イギリス・ベルギー/144分/スコープサイズ 公式 HP >> http://www.blackbook.jp/ ★2007年3月24日(土)より、テアトルタイムズスクエア、テアトル梅田ほかにて全国ロードショー |
●『アルゼンチンババア』
監督:長尾直樹 みつこの大好きだった母が亡くなった。その日以来、父は姿を消してしまう。 石を彫る生真面目な職人だった父は、母を大切にしていた。 きっと戻ってくる、と父の好きなビールを冷やして帰りを待っていたが、いつしか半年が過ぎた。 父の悟は、みつこ達が子供のころから「アルゼンチンババア」と呼んでいる風変わりなユリの家で、 一緒に暮らしていたのだ。みつこは父の奪還に向かうのだが・・・。 頑固で子供のような父親としっかりものの高校生の娘のストーリー。 一家の支えだった母を亡くして父は葬儀もせず、いなくなってしまいます。 娘がけなげなので、余計に「なんちゅう親!」と眼が三角になります。 そんなダメ父の悟を、「アルゼンチンババア」のユリはゆったりと包み込みます。 鈴木京香は男性ばかりでなく、心に穴の空いてしまった人を両手を広げて迎える不思議な女性を演じて、 リアルとファンタジーの境目にいる感じです。 居心地が良さそうなユリの家が気になって聞いてみましたら、 栃木県那須の町営牧場に敷地を借りて建設されたオープンセットだそうで、 撮影終了後撤去したのだとか。 タテタカコの歌う主題歌「ワスレナグサ」(アンデス民謡に詩をつけたもの)がまたいいなぁ。(白)
2006/日本/112分/アメリカンヴィスタ/ドルビーデジタル/ |
●『クロッシング・ザ・ブリッジ 〜サウンド・オブ・イスタンブール〜』
原題:CROSSING THE BRIDGE -sound of Istanbul- アレキサンダー・ハッケ(前衛的なドイツのバンド、アインシュテュルツェンデ・ノイバウテンのメンバー)は、 ファティ・アキン監督の前作『愛より強く』で音楽制作を担当し、 イスタンブルに滞在した折に、イスタンブルの音楽シーンの魅力に取り憑かれる。 東西の文化が交差するイスタンブルを再び訪れ、様々なジャンルのミュージッシャンを取材し、 自らも楽器を携え彼らとセッションを行う。
冒頭、ヨーロッパ大陸とアジア大陸を結ぶボスポラス大橋が映し出され、
一気に魅惑の街イスタンブルに引き込まれる。海峡から眺めるモスクの尖塔、
祈りを促すアザーン、街の喧噪・・・
トルコを旅する人にとって懐かしい風景が繰り広げられるが、そこで奏でられる音楽は、
実に多様だ。エレクトロニカ、ロック、ヒップホップ、民謡、大衆音楽・・・。
それぞれのミュージッシャンの語る言葉が、実に真実をついていて絶妙。
「東西が相容れないというのは権力者の偽善。ホワイトハウスの住人は、
ソ連が崩壊して敵がいなくなり、悪者をつくりあげたいから、文明の衝突だなんて言っている」
「路上で演奏するのはヨーロッパ風だから、警察が許してくれている」 等々。
注:映画の題名は、日本風に「イスタンブール」となっていますが、長母音の入らない 「イスタンブル」の方が、しっくりくるので、解説&感想部分は、 「イスタンブル」とさせていただきました。 ここに登場するミュージシャンたちのことを、わたしは全く知りませんでした。 その音楽を聴いた瞬間、自分の中にまたも素晴らしい音楽の地平が新たに広がったと、心から嬉しくなりました。わたしは昔からジャズが好きですが、どんぴしゃジャズではなく、その要素を多分に持ちながら違うタイプの音楽と融合したものが、 一番好きなタイプです。そんな人間には、トルコの地で独自な発展をしてきた音楽でありながら、オルハン・ゲジュバイやセゼン・アクスの歌の中にも、セリム・セスレルのクラリネットの音にも、シャシャベンドのストリート音楽にも、 ジャズに通じるものを感じるのです。卓越した技をもち、音に自分を同化させ、 その時に湧き上がる感情を表現できる彼らの音楽。このサントラは買いです。 (梅) 2005年 /トルコ・ドイツ / 92分/アメリカン・ヴィスタ/ドルビーSRD/カラー/ 英語 ・ ドイツ語 ・ トルコ語字幕・資料監修:サラーム海上 配給:アルシネテラン 協力:トルコ共和国大使館、トルコ航空、ドイツ文化センター、ビクターエンタテインメント ◆第13回大阪ヨーロッパ映画祭にて、11月23日オープニング上映 http://www.oeff.jp/program/intro_jp.php ★3月24日(土)より、シアターN渋谷にて、エキゾチックにロードショー 公式HP>> http://www.alcine-terran.com/crossingthebridge/ !!公開記念イベント開催!! |
●『ヘレンケラーを知っていますか』
監督:中山節夫
ー みんなちがって、みんないい。 ー
この北崎絹子さんには実在のモデルがいます。かつて日本のヘレンケラーと話題になりながら、母という介護者を失って以来、地域とのコミュニケーションがとれなくなり、悲惨な生活に陥ってしまった方です。地域にネットワークが生まれ、重度重複障害者団体ができたものの、彼女は慣れ親しんだ故郷に住むことを地域住民に拒まれ、今は行政に用意された山の一軒家に一人暮らしをしています。
2005年/日本/カラー/ヴィスタサイズ/105分 公式 HP >> http://www.helen.jp/ ★3月24日(土)より、銀座シネパトスより全国順次ロードショー |
2007年3月31日〜 |
●『情痴 アヴァンチュール』
監督:グザヴィエ・ジャノリ 恋人と同棲をし始めたジュリアンは、ある晩裸足でさまよう美しい女性ガブリエルに出会う。 翌日、再び彼女を見かけるが、別人のようにエレガントだった。 やがて彼は彼女が夢遊病であることを知る。 彼女との出会いが、彼を予期せぬアヴァンチュールへ導いていく…。 『スイミング・プール』で奔放な娘を演じたリュディヴィーヌ・サニエ。 ここでは、わけ有りの子持ち若妻、しかも夢遊病者を演じています。 私は、彼女の顔の右と左の表情の違いにハッとしました。 右側は戸惑いや不安を、左側は執着や確執を現している様に感じたのです。 ガブリエルはゆるぎない確かな愛を探し求めて、さ迷っている…。 その切なさが伝わってきます。誰もが人生において、 夢遊病者になりえることを暗示する、少し痛い映画です。 〓ラブラブニュース〓 配給:東芝エンタテインメント 宣伝:アステア http://www.jyochi.com/ 3月31日(土)より、シネマスクエアとうきゅう 他にて全国ロードショー |
●『忍者』
脚本・監督:邱褸濤(ハーマン・ヤウ) いかなるウイルスにも効果のあるワクチンを発明した博士が、甲賀忍者衆に襲われ殺された。彼らの背後には、そのワクチンで全世界を支配しようと企む男がいた。ワクチンの入った箱を奪ったものの、特殊な箱でどうやっても開けることが出来ない。一方、博士の死を知った伊賀忍者衆は、博士以外唯一その箱の開け方を知る男・コピーをブライアンの手から守り、ワクチンを取り戻そうと動き始める。
「香港で日本の忍者が大活躍って、またまた(笑)」なんて思っていたんですが、B級テイスト満載ながらもストーリーが予想以上にキチンとしていて、かなり楽しんで観ました。さすがハーマン・ヤウ監督(『八仙飯店之人肉饅頭』『欲望の街外伝 ロンリーウルフ』など作品多数)です。ちなみに今年の香港国際映画祭では彼の作品が特集されるそうです。
2004年/日本・香港・中国/35mm/カラー/ビスタ/ドルビーデジタル/95分/原題:終極忍者 公式 HP >> http://www.ninja-movie.jp/ ★3月31日(土)より、銀座シネパトスほか全国順次ロードショー |
●『檸檬のころ』 脚本・監督:岩田ユキ 秋元加代子は吹奏楽のリーダーを務め、成績も良く、東京の大学へ進学するつもりでいるが、特に将来の夢があるわけではない。野球部の練習を見つめる先には、エースの佐々木と西の姿がある。西の視線をつい避けてしまう彼女。同じ中学から進学してきて、心が通い合う時期もあったのに、いつの間にかすれ違ってしまった二人。佐々木が冗談交じりに言った「オレ、加世ちゃんのこと好きなんだ」の言葉にも、西は反応できない。 誰もが通ってきた「檸檬のころ」。失敗や恥ずかしいことだらけで、 もどりたいとは思わないけれど、懐かしさに胸の奥がうずき、苦笑いしながら思い出してしまう。そんな季節を、二人の普通の女の子を通して実に瑞々しく、愛情一杯に描いています。
2007年/日本/35mm/カラー/アメリカンビスタ(1:1.85)/DTS STEREO/115分 公式 HP >> http://www.lemon-no-koro.com/ ★3月31日(土)より、渋谷シネ・アミューズほかにて春休みロードショー |
●「第2回難民映画祭」Refugee Film Festival in Tokyo 2007 時代に翻弄され難民となってしまう人たち・・・ 世界の各地で絶えることなく起きている難民の問題に焦点を当てた映画30本を上映する「難民映画祭」が開かれます。
2007年7月18日(水)〜26日(木)
日本初上映作品となる『イラクのカケラを集めて』『乾いた大地に降る雨』『立ち上がれウガンダの子供たち』『愛車ダイアナ』『私の名はベルトルト・ブレヒト』『ヨーロッパへの道』『紙は余燼を包めない』をはじめ、かつてシネマジャ ーナル本誌で取り上げた『戦争のあとの美しい夕べ』(45号)、『TAIZO』(60号)、『フォッグ・オブ・ウォー』(63号) 、『約束の旅路』(65号)、『ルワンダの涙』(69号,70号)、『異国の肌』(68号)などの旧作が上映されます。 <上映作品> *印は仮訳
公式 HP >> http://www.refugeefilm.org/ |
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●「国際交流基金映画講座2007-1 ヤスミン・アハマドとマレーシア映画新潮」 国際交流基金(ジャパンファウンデーション)によるマレーシア映画上映会が開催されます。昨年の東京国際映画祭で話題をさらったマレーシア新潮流の作品群を再び観るチャンスです。ヤスミン・アハマド監督のオーキッド4部作に加え、本邦初公開の何宇恆(ホー・ユーハン)監督の『霧』、釜山、ロッテルダムの国際映画祭でグランプリを獲った陳翠梅(タン・チュイムイ)監督の『愛は一切に勝つ』など、全9作品が上映されます。昨年見逃した方も、ご覧になった方も、是非この機会をお見逃し無く。
上映作品リスト: 会場:アテネ・フランセ文化センター 詳しいスケジュールは下記の国際交流基金のページをご覧ください 国際交流基金 HP >> http://www.jpf.go.jp/j/culture_j/topics/movie/jfsls7.html |
2007年4月4日〜 |
●『黄色い涙』
監督:犬堂一心 1963年。日本は高度経済成長に湧き、誰もが今日よりも明日、明日よりも明後日は豊かになって、幸せな未來が来ると信じていた。その年の夏、東京・阿佐ヶ谷の4畳半アパートで、若者4人が共同生活をしていた。漫画家の栄介、画家の圭、作家の竜三、歌手の章一。とはいえ、みんな夢見る卵たちだ。プロとして金を稼げているのは、栄介だけ。彼とて自分の描きたい作品と出版社の求めるものが大きく違い、金は少なく悩みは尽きない。 1974年にNHK銀河テレビ小説で放送されたドラマ「黄色い涙」を、当時見て感動した犬堂一心監督が、ずっと抱えていた映画化したいという願いを、ようやく叶えたのがこの作品です。青春ドラマですが、ありがちな爽快感とか疾走感とは無縁で、その日暮らしの、冴えない、でも夢だけはでかい青年たちの、等身大のほろ苦い青春を描いています。アイドルグループ嵐のメンバー5人がそろっての主演ですが、そこにいるのは「これがアイドル?」と思ってしまうほど、地味で情けない男たちでなかなか良いです。(梅)
2007年/日本/128分/カラー/ヴィスタ/ドルビーSRD 公式 HP >> http://www.kiiroi-namida.com/ ★4月4日(水)、東京グローブ座 先行ロードショー4月恵比寿ガーデンシネマ、ワーナー・マイカル・シネマズみなとみらい、梅田ガーデンシネマ他にてロードショー |
2007年4月7日〜 |
●『ママの遺したラヴソング』A LOVE SONG FOR BOBBY LONG
監督・脚本:シェイニー・ゲイベル 原作:ロナルド・イヴァレット・キャップス 家を飛び出し学校へも行かず、怠惰な日々を送っていたパーシーの元へ母が亡くなったと知らせが届く。 フロリダから急いでニューオーリンズの生家へ戻ると、ボビー・ロングという男がいた。 彼は古くからの母の友人で元文学部教授。教え子のローソンと二人、 母と同居していた家から出ないと主張し、パーシーはしぶしぶ一緒に暮らすことになった。 なにかにつけ文学作品の一節を持ち出すボビーと、パーシーはそりがあわず衝突ばかりしているが、ローソンには次第にうちとけてゆく。
今やハリウッドの人気女優となり、出演作がひきもきらないスカーレット・ヨハンソンが、
シェイニー・ゲイベル監督と何年もミーティングをくりかえし、
実現を待ち望んだ作品だそうです。
セクシーな最近の役と違って、この作品では等身大の女の子をみずみずしく演じ、
ゴールデングローブ賞にノミネートされています。
2004/アメリカ/カラー/2時間/ヴィスタサイズ/ドルビーデジタル |
●『プロジェクトBB』
製作・脚本・監督:ベニー・チャン、ジャッキー・チェン(アクション監督) サンダル、フリーパス、大家の3人組は腕のいい泥棒チーム。 「盗みはしても非道はしない」をモットーに、今日も金庫荒らしに病院へやってきた。 まんまとせしめた現金を山分けするが、サンダルは賭博であっというまにすってしまい、 借金が増えるばかり。 フリーパスは金持ちの女をモノにしようと、プレゼント攻勢で浪費。 大家は子供を亡くして以来、精神的に不安定な妻を抱えて金の亡者になっていた。 不運が重なって追い詰められた3人は、大金に目がくらんで自戒を破り、 子供の誘拐を請け負ってしまうのだが・・・。 ジャッキー・チェンが香港風味満点の映画を製作。 『エレクション』でクールなマフィアを演じたルイス・クーと、 赤ちゃんにふりまわされる気のいい泥棒を演じています。 香港映画界御大のマイケル・ホイも、泥棒とはいえ憎めない役です。 久々にスクリーンに登場したユン・ピョウが太っていて(いつのまにやら50歳です!)、 見違えちゃいました。何より赤ちゃんが可愛くて顔がゆるんでしまいます。 すっかり保護者気分の泥棒コンビが命がけのアクションをする遊園地など、 ハラハラシーンもたっぷり。 ダニエル・ウーとニコラス・ツェーの二人が登場するシーンもお見逃しなく! 試写場内爆笑でした。(白)
2006/香港/カラー/2時間6分/スコープサイズ/ドルビーSR、DTS,SRD/ |
●『13/ザメッティ』 原題:13TZAMETI(グルジア語で13の意) 製作・監督・脚本:ゲラ・バブルアニ 出演:ギオルギ・バブルアニ、オーレリアン・ルコワン、パスカル・ボンガール、フィリップ・パッソン、オルガ・ルグラン グルジアから移民してきた22歳の青年セバスチャンは、屋根の修理に出向いた家で、家主の男が家人に、「近いうちに大金を稼ぐ誘いの手紙が届く」と話しているのを耳にする。男がヤク中で命を落とした時、セバスチャンは偶然にもその手紙を手にする。封筒にはパリ行き列車のチケットとホテルの予約済み領収書。何かにとり付かれたように列車に乗りパリのホテルに赴くセバスチャン。深夜、電話のベルが鳴り、次なる行き先の司令が出る。やがて暗い森の中の館に連れ込まれたセバスチャンは、13番の札を渡される。それは、命をもてあそぶ邪悪なゲームの始まりだった…。
13人の男たちが拳銃を手に輪になって合図を待つ。高らかにゲーム開始を告げる声。電球が光りを放った瞬間が引き金を引く時だ。異様な興奮が場を包む。バブルアニ監督は、なかなか資金が付かないため、この集団ロシアンルーレットのシーンを自腹で撮る。その強烈で奇抜なアイディアに、即座に出資者が決まったという。監督は、グルジアから17歳の時にフランスに移民。父親テルム・バブルアニはグルジアで実績を持つ映画監督。主人公セバスチャンを演じるギオルギ・バブルアニは、監督の実弟。監督自身も、セバスチャンの兄役として、出演している。
驚愕の作品でした。
提供:エイベックス・エンタテインメント 公式 HP >> http://www.13movie.jp/ ★2007年4月7日(土) シネセゾン渋谷にて 輪になってロードショー! |
●『オール・ザ・キングスメン』ALL THE KING'S MEN
監督・脚本:スティーヴン・ゼイリアン
—善は、悪からも生まれる。— 主演は監督が彼だけを望んだ、というショーン・ペン。 不正を糾弾していた実直な男が政界に入り、 公約を成し遂げるために次第に裏の顔を見せていきます。 変わっていくというより、もともとあった2面性が発揮できる場を得て、 顕著になったと言えそうです。 上流階級の出のジャックとの友情は次第にねじれていきます。 政界の裏側をたたみこむように見せる前半、後半はジャック周辺の話が多くなります。 『エイプリルの七面鳥』 (2003)で母親役だったパトリシア・クラークソンが ウィリーに深く関わる女性として登場。 アンソニー・ホプキンスとショーン・ペンのからむ場面が少々でちと残念。 銃を持った運転手と十字架がたびたび出てきて、先を予感させます。(白) *原作はピューリッツア賞に輝き、日本でも「すべて王の臣」として邦訳が出版されています。 1949年にすでに映画化(ロバート・ロッセン監督・脚本)され、アカデミー主演男優賞、助演女優賞受賞。
2006/アメリカ/カラー/128分/ビスタサイズ/SDDS、SRD、SR/ http://www.sonypictures.jp/movies/allthekingsmen/index.html |
●『ふるさと—JAPAN』英題:JAPAN, OUR HOMELAND(FURUSATO JAPAN)
監督・脚本:西澤昭男 昭和31年春。 東京・深川の木場の小学校に、音楽学校を卒業したばかりの坂本理恵子先生が赴任してきた。 時同じくして、神戸から歌うことの大好きな宮永志津が転校してくる。 明るくスポーツも勉強もできる志津は、一躍6年4組の人気者に。 学級委員長で建具屋の息子・アキラも、ほのかに彼女に憧れる。 坂本先生は年末に開かれる区の合唱大会での優勝をめざすことを提案し、 志津やアキラもメンバーに選ばれ、練習に励む日々。 そんなある日、ガキ大将のゴンの遊び仲間たちが文具店で万引きをして捕まってしまう。 アキラも残念ながら、その仲間だった。 泣く泣く合唱大会出場辞退を決めたころ、志津が海の事故で亡くなってしまう。 志津の合唱大会への思いを叶えたいと、アキラはなんとか合唱大会に出場したいと学校に嘆願する...。
敗戦から10年、ようやく敗戦の混乱から立ち直り、明るい兆しの見え始めた時代。
坂本先生は、特攻隊で亡くなった兄から
「教師になって童謡を子どもたちに伝えていってほしい」という遺言を受けていた。
美しい日本語でつづられる童謡、『花の街』『赤とんぼ』『故郷(ふるさと)』
『浜辺の歌』『月の沙漠』『荒城の月』...
私の世代にとっては懐かしい歌の数々も、今の子どもたちには、
もしかしたら馴染みがあまりないかもしれない。 空き地で遊ぶゴンやアキラたちが、転校してきた志津のことを話題にする場面で、 「神戸は関西弁でも大阪とは違うんだよ」という言葉があって、 神戸育ちの私はそうそう!と思わず相槌。 (大阪とは違う!と、こだわる神戸っ子。もっとも、 神戸でも地区によって言葉が違うのだが...) 合唱が盛んな学校で育ち、歌うのが下手な私には苦痛だったが、 今では歌のメロディーと共に、皆で一緒になって合唱に励んだことを懐かしく思い出す。 何十年も経って離れ離れになっても、とても仲が良くて、 今も意識不明で入院している友の見舞いに入れ替わり立ち代わり駆けつけるような同級生たち。 人との繋がりも大切にしたい・・・、そんなことも思わせてくれる映画で、 『荒城の月』を聴きながら、ぼろぼろ泣いてしまった。(咲) 第12回リヨン・アジア映画祭にて<アニメーション部門><子ども映画部門> の両部門でグランプリ受賞!
2006年/日本/1時間38分/カラー/ヨーロピアンビスタサイズ/ドルビーデジタル
★4月7日(土)〜 UCI豊洲他にて全国ロードショー!
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2007年4月14日〜 |
●『かちこみ! ドラゴン・タイガー・ゲート』原題:龍虎門 DRAGON TIGER GATE
監督:葉偉信(ウィルソン・イップ) ドラゴン(甄子丹)は、道場「龍虎門(ドラゴン・タイガー・ゲート)」 を創設した武術家フーフーの長男だが、幼い頃にワケあって秘密結社「江湖」のボス、 マーに拾われ、悪の世界で育つ。 一方、弟タイガー(謝霆鋒)は、「龍虎門」の師ウォン・ホンロンに育てられ、 武道のすべてを学ぶ。ある時、タイガーは「江湖」の一味に襲われるが、 絶体絶命と思われたところで、なぜか敵方は去っていく。 その場に残された翡翠のペンダントから、 「江湖」で異彩を放っていた技の持ち主が生き別れになった兄だと悟る。 そんなある日、「江湖」のボス、マーは、娘シャオリン(董潔)との平穏な暮らしを望んで、 巨大犯罪組織「羅刹門」との関係解消を表明する。 激怒した「羅刹門」のボスに虐殺されるマー。 ドラゴンは妹同然のシャオリンをタイガーに預けて、復讐のためにその場を去る。 タイガーもヌンチャクの名手ターボ(余文樂)と共に「羅刹門」に闘いを挑むが、 師ウォン・ホンロンを惨殺され、「龍虎門」の看板も奪われてしまう。 いよいよ全身全霊をかけた最後の闘いが始まる...。 香港で35年以上も愛読され続けている漫画「龍虎門」からエピソードを抽出して映画化。 CGを駆使した映像は、まさにコミックの世界だが、張叔平の映像美は健在。 ドニー・イェンのまっすぐ見据えた目線が、 長く垂れた前髪の陰から刺さるように飛んできます。 謝くんの綺麗なお顔は、前髪に隠れていてよく見えない...。 ショーンの緑がかった金髪は、彼のまじめなイメージにはちょっとあわないかな。 ショーンの顔もやっぱり前髪で半分隠れています。 そう、まさに人物もコミックから飛び出してきたよう! 久しぶりの謝くんたちの香港映画、もっとちゃんと顔を見たい!(咲) 2006年/香港/カラー/シネスコ/ドルビーSR ドルビーデジタル/94分配給:ギャガ・コミュニケーションズ powered by:ヒューマックスシネマ 提供:ギャガ・コミュニケーションズ x フジテレビジョン 公式HP>> http://kachikomi.gyao.jp/ ★4月14日(土)より、 シネマGAGAほか全国ロードショー |
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●『ツォツィ』TSOTSI
監督・脚本:ギャビン・フッド 南アフリカ、ヨハネスブルグのスラム街。過去を封印し、自分の本名さえ名乗らず「ツォツィ(不良)」とだけ呼ばれる少年がいた。彼の仲間は、切れやすく冷酷なブッチャー、とろいが気のいいアープ、先生になりそこねた頭の良いボストンだ。街を徘徊する4人の今日の獲物は恰幅の良い黒人紳士。ネクタイを買うのに袋ごとの現金を懐から出すのを見てしまったのだ。電車に乗り込んで紳士を取り囲み、ブッチャーがアイスピックで一突きする。4人は金を手に入れ、うまく逃げ出すが、ボストンはショックがおさまらない。酒に酔ってリーダーのツォツィをなじり、「名前はなんだ?親はいるのか!お前は捨て犬か!」と叫ぶ。怒りが吹き上げたツォツィはボストンを袋叩きにし、1人高級住宅地へ向かう。降りたばかりの女性の車を奪い、走り出すと、後ろの座席には赤ん坊が残されていた。 昨年のアカデミー賞で最優秀外国語映画賞を受賞した作品です。ギャヴィン・フッド監督は南ア生まれ、当地の大学を卒業した後、一時俳優として活動。アメリカUCLAで監督と脚本の勉強をして南アに戻り、映画制作をしています。プロデューサーに声をかけられたとき、この作品の映画化をずっと待っていた!と、原作のスピリットを生かし現代に置き換えた脚本を猛スピードで書き上げたそうです。絶望と怒りの中で無為に暮らすツォツィと対照的な、シングルマザーのミリアムが美しく、無垢な赤ん坊が南アフリカを変えていく希望の象徴のように思えました。南アでもっとも流行っているという音楽、クワイトが力強く全編を彩り、シンガーのZOLAも出演しています。アソル・フガードの原作は公開に合わせて発売されますので、そちらもご覧ください。(白)
2005/イギリス=南アフリカ共同制作/カラー/95分/シネマスコープ/SR,SRD 公式 HP >> http://www.tsotsi-movie.com/ ★4月14日(土)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー |
●『ザッツ・ザ・ウェイ・オブ・ザ・ワールド』(That's the way of the world)
監督・製作:シグ・ショア 敏腕音楽プロデューサーのコールマンは、新進気鋭のバンド、その名も「ザ・グループ」(EWF)を、これぞ次世代の音楽と自信を持ってレコーディングしていた。しかし、その最中に社長から呼び出され、白人グループ「ベイジス」のプロデュースを命ぜられる。ところがそれは人気絶頂のカーペンターズのまがいもののようなグループ。彼がこれまで築き上げてきた名声に傷をつけかねない代物で、彼は到底納得できない。それでも、社長に業界からの追放までちらつかされては、命令に従わざるを得なかった。コールマンはザ・グループのレコーディングを中断し、ベイジスに取りかかるが、ザ・グループのメンバーからは不審を買い、ベイジスのヴェロアからは言い寄られ、次第に追い詰められていく。 1975年の作品ですが、日本初公開となります。70年代の巨大産業化した音楽業界の裏側を描いた作品で、現代にも通じる痛烈な社会批判を含んでいます。加えて、コールマンのアーティストとしての戦いを描いた物語でもあるし、更にはこの映画のサントラ(邦題:暗黒への挑戦)が大ブレイクのきっかけとなったEWFの当時のライブ映像を観られる貴重な資料でもあります。EWFの音楽が好きだったわたしは、当時のライブシーンを観られただけでも興奮もの(ピ、ピアノが回ってる^o^;)。アメリカ公開当時はあまりヒットしなかったようですが、今観ると色んな側面から楽しめる作品です。コールマンを演じているのは、ハーヴェイ・カイテル。『タクシードライバー』を撮る前年で、これまた若くてかっこいいんですよ。(梅)
1975年/アメリカ/100分/カラー/字幕翻訳:落合寿和 公式 HP >> http://cinefil-imagica.com/world ★4月14日(土)よりシアターN渋谷にて、レイトショー決定!! |
●『輝ける女たち』原題:LE HEROS DE LA FAMILLE(英語題:Family Hero)
監督:ティエリー・クリファ ニースのキャバレー「青いオウム」のオーナー、ガブリエルが急死した。 彼と親子のように過ごしてきたマジシャンのニッキーは店を相続できるものと思っていたが、 遺言にはニッキーの子供たちに譲るとあった。ガブリエルの本意はどこにあるのか? 疎遠になっていた元妻のアリスとシモーヌ、 彼女たちとニッキーの子供ニノとマリアンヌも駆けつける。 豪華なスター共演、キャバレーで歌われる懐かしい歌、 たくみなストーリーテリングに最後までひきつけられ、楽しみました。 貫禄たっぷりのカトリーヌ・ドヌーヴはフランス映画祭に団長として来日しますね。 この作品がオープニング上映です。いち早く観たい方はどうぞ六本木へ。 歌姫役のエマニュエル・ベアールは、監督に「君の声で」と言われ、 きちんとレッスンを受けて歌っています。美人顔でないのに、とても美人だと思わせる人。 息子役のミヒャエル・コーエンは、フランス映画には希少な美男です。 公開作品がほかになくて残念。(白)
2006/フランス/35mm/カラー/シネスコサイズ/SRD |
●『恋しくて』
監督・脚本:中江裕司 石垣島は今日も太陽がまぶしい。高校生になった加那子は幼馴染の栄順に再会した。 父がいなくなった加那子がおばぁの家に引越して以来だ。 ひらめきだけで生きているようなにいにい(兄)セイリョウの一声「バンドやるどー!」で、 マコトは持ったこともないギター、栄順はボーカル、 加那子は恥ずかしがりの栄順を歌わせる役を担うことになった。 加那子の母は自分のバーでプロの歌手として歌っている。 加那子も歌が好きだったが、父が「奄美へ歌を探しに」行ったまま帰らなくなってからというもの、歌えなくなっていた。 栄順は加那子を気遣いながら、いつしか歌う楽しさに目覚めていく。 『ナビィの恋』、『ホテル・ハイビスカス』と沖縄から映画を発信している中江監督 4年ぶりの新作。 BEGINのエッセイにインスパイアされ、 オリジナルなストーリーを書き上げて作られた映画です。 『カナリア』で鮮烈な印象を残した石田法嗣が兄を好演。 ほかの4人の高校生は全て沖縄でオーディションして見つけた現役の高校生たち。 順撮り(シナリオの時間の経過通りに撮影すること)したことで、 彼らの成長がそのままドキュメンタリーのようにフィルムに残っています。 沖縄のことばは独特ですが、現地の高校生の彼らですからなぞったのではないホンモノ。 つきぬけて明るく元気な歌がいっぱい。文化祭のシーンの高校生たちの歌に驚きました。 まさに歌の島です。ビギニングが歌う「恋しくて」はBEGINの書き下ろし。(白)
配給:東京テアトル |
2007年4月21日〜 |
●『明日、君がいない』 原題:『2:37』
監督・脚本:ムラーリ・K・タルリ
—2時37分、そのとき孤独が世界を満たす—
ムラーリ・K・タルリ監督はこれが初監督作品。
自身が学生のときに友人が自殺して大きなショックを受け、
その半年後こんどは自分が自殺未遂。意識が遠のく中で恐怖にかられ、
もし助かったならもう2度とこんなことはしない、好きな映画を作ると思ったのだそうです。
翌朝目覚めて猛然と脚本を書き始め、36時間で第一稿が書きあがったのだとか。
それまでなんの経験もなかった19歳の彼をサポートしたのが、
撮影監督のニック・マシューズでした。
製作会社を作り、プロデュース、編集も助けています。
ほとんど映画初出演の俳優たちが演じていますが、まるでドキュメンタリーのように自然で演出された感じがしませんでした。
監督や俳優のこれからが楽しみです。
2006/オーストラリア/1:1.85/カラー/99分/ドルビーデジタル |
●『アボン/小さい家』
監督・脚本:今泉光司 2000年、フィリピンのバギオ市で乗り合いジープの運転手をしているラモットは日系3世。 山岳地帯から豊かな生活を求めて、都市部にやってきた。 高級住宅地で暮らすことを夢見るが、生活は楽ではない。 妻が外国へ出稼ぎにいくことになり、3人の子供たちと涙で別れてマニラへ行ったものの、 偽造パスポートが見つかり逮捕されてしまう。 渡航費用を借金して工面したラモットは返済に苦慮し、危ない仕事に手を出そうとする。 不法住居からも立ち退かされた一家は、両親を頼って田舎へ戻ることになった。 自然を敬い、つましく生活をする村の人々に囲まれて、子供たちはのびのびと暮らし始める。
バギオ市と北ルソン山岳地帯でのオールロケーション。このコルディリエラ地方には1900年頃、多くの日本人が労働者としてやってきて、急峻な山岳地帯の中での道路建設をしていたそうです。その後バギオには大きな日本人町が形成されるまでになりましたが、第2次世界大戦の折、日系民間人は日本軍に同行を強制され、戦後はフィリピン人からの憎悪の対象となり、苦難の道を歩まねばなりませんでした。日系人は人里離れた山の中へ移り、名前を隠してひっそりと暮らしたのだそうです。そんな史実を少しも知らずにいました。 日本・フィリピン/カラー/オリジナル16mm、35mm/新デジタル日本語字幕版/1時間51分 公式 HP >> http://www.ne.jp/asahi/small/home/ ★4月21日〜渋谷アップリンクXにて待望のロードショー |
●『机のなかみ』
監督:吉田恵輔(『なま夏』) フリーター馬場が家庭教師として教える事になったのは、女子高生の望。その可愛いさに馬場はメロメロで、同棲している彼女がいながら、何かとちょっかいだそうとする。望はそんな馬場の攻撃を軽くかわしながら、今の成績ではとても受かりそうにない志望大学目指して猛勉強。彼女が頑張るのには理由があった。そんな彼女の秘めた思いも知らず、馬場の妄想は広がるばかり。 前半は馬場の視点で、後半は望の視点で描かれて、馬場の勘違いし放題な半年間の実態が明かされるという構造になっています。なんだかちょっと痛くて、クスッと笑ってしまうお話です。態度は粗暴だけど乙女な心をもった馬場の彼女に親近感を覚えて、好きでした。(梅)
2006/日本/ヴィスタサイズ/カラー/104分 公式 HP >> http://www.tsukuenonakami.com/ ★4月21日(土)よりテアトル新宿にてレイトショー |
●『フライ、ダディ』
監督・脚本:チェ・ジョンテ 妻と娘を愛する平凡なサラリーマンのガピル。真面目に働いてマンションも買い、昇進も間近だ。そんな彼に、ふってわいたような悲劇が!愛娘のダミがカラオケ店で男子高校生に殴られ怪我をしたというのだ。相手は高校ボクシングのチャンピオンのカン・テウクだった。学校と実家に守られている彼は、型どおりの謝罪のことばのみ。ショックのあまり娘にあたって、「帰って!」と追い出されてしまう。カン・テウクに復讐しようと、刃物を持って高校にやってきたガピルはコ・スンソクの一撃で気絶する。スンソクとその友人達にわけを聞かれ、ガピルは喧嘩の強いスンソクに弟子入りを頼みこむ。 韓国公開は2006年8月、『王の男』は2005年12月。イ・ジュンギの目の強さが気に入ってキャスティングしてから『王の男』が始まり、イ・ジュンギが大ブレイクしてしまい、「父と娘」の物語を撮ったのに、話題がジュンギのほうへ行ってしまったと、監督の話がプレスにありました(笑)。原作者が脚本も担当した日本版(2005年)では、岡田准一(パク・スンシン)、 堤真一(鈴木一) の組み合わせでしたが、堤真一が(どうしてもカッコよくて)へなちょこサラリーマンには見えなかったんです。韓国版のイ・ムンシクは普通のお父さんが「ダディ」になっていくところが、よく出ていました。体重を15kgも増やしたうえ、今度は減らしたりと苦労しています。娘をひたすら思う気持に世の父親は共感するでしょう。イ・ジュンギは正面は中性的ですが、横顔は男性的。この先どんな顔を見せてくれるのか楽しみです。前作で身についた色っぽさが抜け切ってないとこがある、と監督談ですがそのへんも楽しみに観てください。軽快なダンスを見せるオ・セジュンにお〜っと思いましたが、彼はプロのダンサーでもありました。エンドロールでもたくさん踊ってくれてます。日本版よりどのエピソードも濃いなぁという印象でした。さすが東洋のイタリア(?)な韓国の映画です。(白)
2006/韓国/カラー/117分/ヴィスタ/ドルビー 公式 HP >> http://www.cinemart.co.jp/flydaddy/ ★4月21日(土)より シネマート新宿、シネマート六本木にてロードショー |
2007年4月28日〜 |
●『あしたの私のつくり方』
監督:市川準
大人になった少女たちに、見てほしい物語があります
『トニー滝谷』、『あおげば尊し』の市川準監督最新作。14歳の成海璃子、秋元康が手がけるアイドルプロジェクト「AKB48」の前田敦子15歳が、ホンモノとニセモノの自分の間で揺れ動く中学生を演じています。二人は離れてしまってから、携帯のメールのやりとりをするのですが、その内容が思わずくすっと笑ってしまう可愛さ、いや大人の付き合いにも通じるものかも。
2007/日本/カラー/アメリカンビスタ/ドルビーSR/97分 公式 HP >> http://watatsuku.goo.ne.jp/ ★4月28日(土)より、シネ・リーブル池袋、渋谷アミューズCQNほか全国順次ロードショー |
●『イノセントワールド —天下無賊—』
監督・脚本:フォン・シャオガン 息の合う泥棒コンビのワン・ポーとワン・リーは愛し合う恋人同士でもあったが、 リーは足を洗ってまともな暮らしをしたいと望んでいた。 草原を走る車の中で大喧嘩した挙句リーは車を降り、怒ったポーは走り去ってしまった。 1人歩き続けて倒れそうになったころ、自転車で通りかかった青年シャーケンに助けられる。 彼は出稼ぎで貯めた結婚資金6万元を持って故郷に帰ろうとしていた。 リーはポーに再会したが、人を疑うことを知らない純朴なシャーケンは、 駅で6万元のことを口にしてしまう。リーはシャーケンを守ろうと心に決めるが、 大金を狙っているのはポーだけではなかった。 中国で人気のフォン・シャオガン監督恒例のお正月映画。 2005年の公開時、2週間で8000万元を稼ぐ大ヒットとなりました。 壮大な風景に豪華な列車の中など、なかなか目にすることのできない舞台と、 人気・実力を兼ね備えた俳優陣。 アンディ・ラウとレネ・リウの泥棒コンビの愛情物語を縦糸に、 この2人とスリ合戦を見せるグォ・ヨウをボスにいただく窃盗団との攻防がからんできます。 無垢な青年に気づかれないよう、あの手この手のやりとりがスリリングで見ものです。(白)
2004/中国/カラー/シネマスコープ/ドルビーデジタル/1時間56分 |
●『ストリングス〜愛と絆の旅路〜』
(オリジナル・バージョン) へバロン王国の暴君カーロが己の所業を悔いて自殺した。遺書には平和を願って穢れを知らぬ息子のハルに王位を譲ると書かれていた。ところが王位を狙うカーロの弟・ニゾは遺書を破り捨て、その死を敵対する一族ゼリスの長、サーロによるものに見せかける。何も知らないハルは、心配する妹ジーナを城に残し、家臣のエリトと共に仇を捜す旅に出る。旅の途中でハルが見たものは、父王の死を知って喜ぶ民衆や、荒廃した土地など、想像だにしなかった国の惨状だった。
デンマーク生まれの、CGもVFXも使わず、作り込んだセットと、熟練の人形使いたちに命を吹き込まれた人形によって生み出された気品あるファンタジー映画です。 マリオネットの糸は普通見えないように工夫するものですが、 この作品はその糸がとても大事。文字どおり天から降りてくる命の糸です。 長い長い糸に繋がった彼らが大勢いたら、絡まるでしょうにと思ったら、 子供たちが遊んでいて「絡まっちゃった!」と言うシーンがあり、笑ってしまいました (お母さんが丁寧にほどく)。様々な素材でできたマリオネットたちがとても表情豊かです。 雨の中、水の中、火の中でまでも自在に動き回り、もうびっくりでした。 この作品のプレスにはちゃんと庵野監督(エヴァンゲリオンの)、脚本家が載っています。 翻訳したものを元に、日本語のセリフを作り上げ、声優を演出するってことなのでしょうか (他の作品はどうだったっけ)?普通の映画のキャストのような声優陣も豪華です。(白)
制作:ジェイ・ドリーム 公式 HP >> http://www.stringsweb.net/ ★4月28日(土)より、ホップ・ステップ・ジャンプ!ロードショーTOHOシネマズ六本木ヒルズ他にて |
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●『バベル』 原題: BABEL
製作・原案・監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ ブラッド・ピット、役所広司ほか、3大陸4カ国の夢のスーパーキャストたちが終結した、 2007年最大の話題作が、世界を揺るがす! メキシコ、モロッコ、そして東京。 出会うはずのはい人々が運命のいたずらによって絡み合ったとき、 3つの事件がひとつにつながる 言葉が通じない。心も伝わらない。想いはどこにも届かない。 かつて神の怒りに触れ、言語を分かたれた人間たち。 我々バベルの末裔は、永遠に分かり合う事ができないのか? 世界規模のスケールで人類の絶望と希望を描く衝撃のヒューマン・ドラマが、いよいよ日本上陸! 2007年、世界はまだ変えられる。 モロッコ、アトラス山脈。密かに猟銃を手に入れたベルベル人の父親が、 山羊を襲うジャッカルを撃つためにと、まだ少年の息子二人に猟銃を渡す。 競って試し撃ちをする二人。崖下を行くバスをめがけて弟の放った弾が、 アメリカ人観光客の女性(ケイト・ブランシェット)の腕に当たってしまう。 夫(ブラッド・ピット)は、瀕死の彼女を助けようと必死に叫ぶが、 アメリカ政府は、テロリストに襲撃されたとして厳戒態勢で臨み、 なかなかヘリコプターをよこそうとしない。 アメリカ人夫婦は、メキシコ国境に近いサンディエゴの留守宅に幼い子供たちをメキシコ人のベビーシッターに預けて旅に出てきていた。 夫婦が予定通りに旅から帰らないため、 ベビーシッターの老女はメキシコにいる息子の結婚式に出席するため、 子供たちを連れて国境を越える。 結婚式も無事終わり、 披露宴での酒がまだ抜けない甥(ガエル・ガルシア・ベルナル)の運転する車で、 サンディエゴに帰ろうとするが、国境で飲酒を咎められた上に、 白人の子供たちを連れていることを不審に思われ、 甥は国境を強行突破してしまう。 一方、遠く離れた東京では、聾唖の女子高校生(菊地凛子)が、 人並みに愛を得たいともがいている。 彼女の母親は自殺してしまい、父(役所広司)と二人暮らしだが、 仕事に忙しい父は娘をなかなかかまってやれない...。 ©2006 by Babel Productions, Inc. All Rights Reserved.
モロッコ、アメリカ・メキシコ、日本と、遠く離れて暮らす人々の姿が、
交差して映し出され、ことに東京での場面は唐突な感じがしてしまう。
が、やがて3つの地点での悲劇的な出来事が実は繋がっていることがわかる。
提供・配給:ギャガ・コミュニケーションズ ★4月28日(土)よりスカラ座ほか全国東宝洋画系にてロードショー
公式HP>> http://babel.gyao.jp/ |
●『恋愛睡眠のすすめ』 画像:(c) couramiaud - horse created by Lauri Faggioni
監督・脚本:ミシェル・ゴンドリー デザイナーのステファンはメキシコから母の住むパリに戻り、カレンダー会社に勤めることになった。期待と違う退屈な仕事にがっかりするステファン。ある日アパートの隣にステファニーが越してくる。次第にステファニーに恋心が募ってくるが、シャイな彼は告白することができない。夢の中ではどんなこともできるのに・・・。思い込みが激しいステファンは夢と現実の区別がつかなくなって、現実のステファニーにプロポーズしてしまう。
『エターナル・サンシャイン』でヒットを飛ばしたミシェル・ゴンドリー監督が、今度は自分がかつて住んでいたアパートを舞台に、夢と現実をさまよう青年のストーリーを映像化しました。ステファンは監督の分身であるようです。夢と現実を行き来するのがめまぐるしくて、そのうちステファンのように観ているほうもどっちなのか境界がわからなくなります。
2006/フランス、イタリア/カラー/105分/ヴィスタ/ドルビーデジタル 公式 HP >> http://renaisuimin.com/ ★4月28日(土)より、シネマライズほかにてロマンティックにロードショー |
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●『ザ・ライド〜ハワイアン・ビーチ・ストーリー』
監督・脚本:ネイザン・クロサワ サーフィンの若きワールドチャンピオン、デビッドは、メディアやファンに騒がれて、最近自信過剰気味だった。そんな中、ハワイのノースショアでの大会でワイプアウトし、波にもまれて意識を失う。気がついたとき、何と彼は1911年のワイキキ・ビーチにいた。彼を助けてくれたのは、ハワイアンのパオアだった。そのパオアこそ、伝説的サーファーであり、オリンピックで2度にわたり100m自由形金メダルを獲ったデューク・カナハモクだった。デビッドは100年後の世界から来たことを話すが、誰も信じるはずがなかった。ただ一人、美しいレファだけは彼を未来が読める人だと言ってくれる。手つかずの自然の中で、デュークたちとクラシックスタイルなサーフィンを学ぶ毎日。デュークは言う「ボードではなく、波に乗るんだ」と。デビッドは次第にハワイアンが持つ自然に対する畏敬の念を理解し、人として成長していく。
ワイキキ・ビーチというと、巨大な観光ホテルが建ち並ぶ一大リゾートですが、1911年当時ホテルは一軒しかなく、自然豊かな静かなビーチでした。主人公がタイムスリップしたことに気付かず、「あのホテルが建ち並ぶワイキキ・ビーチはどこだ?」とパニックになるのも無理ないほど、この100年あまりで変わったのです。それでもハワイアンの大自然に対する畏敬とそこから学ぶ謙虚さは、文化として受け継がれているようです。親しみやすく爽やかな物語の中に、監督のそんな故郷ハワイに対する溢れる愛情を感じます。2003年ハワイ国際映画祭での上映は大変な盛り上がりをみせ、見事観客賞を受賞したそうです。(梅)
2003年/アメリカ映画/91分/カラー/スタンダード |
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●「日中国交正常化35周年記念 2007年中国映画祭」
会 場 : 新宿バルト9 ◆上映作品
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●「第3回 アジア海洋映画祭イン幕張」
とき:9月14日(金)〜16日(日) コンペティション作品(8/24現在での情報)
公式 HP >> http://www.amffm.net/ |
2007年9月14日〜 |
●「アジアフォーカス・福岡国際映画祭2007」
会期:9月14日(金)〜24日(月・祝) 16年間ディレクターを務められた佐藤忠男氏が退かれ、 どんな切り口になるのかと興味津々でしたが、8月に行なわれた記者会見では、 「市役所にしては、ここまでやっていいのか〜という所までやっていきたい」 と意欲満々の発表でした。試写で観た作品も、テンポの速い作品が多くて、 一味違ったアジアフォーカスになりそうです。
16カ国・地域の32作品が上映されるほか、協賛企画や、シンポジウムなど、盛りだくさん!
是非、HPでチェックしてみてください。
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2007年10月12日〜 |
●「ビョン・ヨンジュ監督特集 [上映+トーク]」
山形国際ドキュメンタリー映画祭『アジア千波万波』の審査員として来日する監督を東京に迎え、まるごとビョン・ヨンジュ監督・作品の魅力に浸かる!
2007.10.12 (金) 〜 14 (日)
*チケットはすべて当日券のみです。 1回券=1500円 13(土)1日券=3900円 14(日)1日券=2600円
主催・山形国際ドキュメンタリー映画祭
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2007年10月14日, 19日, 20日, 21日 |
●「第3回甲賀映画祭」
滋賀県甲賀市で第3回甲賀映画祭が開催されます。
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●「第20回東京国際映画祭」
期間:2007年10月20日(土)〜10月28日(日)
前売券(一般発売)発売日 2007年10月6日(土)
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2007年5月5日〜 |
●『メイド 冥途』
監督・脚本:ケルヴィン・トン
太陰暦の7月を道教信者は「鬼月」と呼び、地獄の門が開いて霊が人間界に戻り、様々な悪さをすると信じている。そのため、この時期には様々なタブーがある。
ケルヴィン・トン監督は2006年の東京国際映画祭で『Love Story』が上映されていますが、劇場公開はこれが初めてです。
2005年/シンガポール/35mm/ヴィスタサイズ/ドルビーSR/90分/日本語 |
2007年5月12日〜 |
●『歌謡曲だよ、人生は』 昭和の歌謡曲12曲をモチーフに、12人の個性溢れる監督が自由闊達な映像世界を作り上げています。 「ダンシング・セブンティーン」歌:オックス 「僕は泣いちっち」歌:守屋浩 監督・脚本:磯村一路 「これが青春だ」歌:布施明 監督・脚本:七字幸久 「小指の想い出」歌:伊東ゆかり 監督・脚本:タナカ・T 「ラブユー東京」歌:黒沢明とロス・プリモス 監督・脚本:片岡英子 「女のみち」歌:宮史郎 監督・脚本:三原光尋 「ざんげの値打ちもない」歌:北原ミレイ 監督・脚本:水谷俊之 「いとしのマックス/マックス・ア・ゴーゴー」歌:荒木一郎 監督・脚本:蛭子能収 「乙女のワルツ」歌:伊東咲子 監督・脚本:宮島竜治 「逢いたくて逢いたくて」歌:園まり 監督・脚本:矢口史靖 「みんな夢の中」歌:高田恭子 監督・脚本:おさだたつや 「東京ラプソディ」歌:渥美二郎 監督・脚本:山口晃二
企画・製作:アルタミラ・ピクチャーズ 公式 HP >> http://www.kayomusic.jp/ ★5月12日(土)より、シネスイッチ銀座、シネマスクエアとうきゅう他にて、 歌って踊って、泣いて笑って、感激の”歌謡劇場”ロードショー特別記事『歌謡曲だよ、人生は』完成披露パーティーレポートもご覧下さい。 |
2007年5月19日〜 |
●『14歳』
監督:廣末哲万(ひろすえ・ひろまさ) 中学生の深津綾、飼育小屋に火をつけたのかと担任に聞かれている。 去っていく担任の背中に彫刻刀を刺してしまう綾。 それを目撃した同級生の杉野浩一は、たびたび理科室で紙を燃やしている彼女も見ていた。 精神科に通うようになった綾は、医師の影響で教職の道を選び、 今は中学校教師として勤めている。 受け持っている一原知恵の家庭訪問に来て、 同じクラスの雨宮大樹の家から出てきた浩一とばったり出会う。 浩一はバイトで大樹のピアノ指導を始めたところだった。 一原知恵は好きなバレエを受験勉強にさしつかえるからとやめさせられ、 うっぷんを林路子にぶつけていた。向かいの雨宮大樹がピアノを続けているのも面白くない。 PFF出身の監督、脚本の作品。2004年のPFFではこのコンビの作品『ある朝スウプは』 (高橋が監督・脚本、廣末が主演)が、グランプリ。 『さよなら さようなら』(廣末が監督・主演、高橋が脚本)準グランプリを獲得しています。 ゆれたり不安定で先の予測がつかない画面が、14歳の内面を現しているかのようです。 岩井俊二監督の『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)も14歳の中学生たちの映画でしたが、 彼らの抱える闇に気づくおとなは出てこなくて、とことん不幸せでした。 痛ましい事件が続いて14歳という年齢が注目されましたが、1年に10cmも15cmも大きくなり、 身体の成長に心がついていかない年頃です。親の方も仕事や身体の変わり目でもあり、 小学生のときのように子供に目を注いでいないかもしれません。 そんな両方の隙間が大小の事件になってしまうんでしょうか。 少なくともこの『14歳』には、かつての自分とそっくりな彼らと向き合う覚悟の大人たちが出てきます。 香川照之扮する、生徒と目が合わせられない教師もいますが、 それを詫びる姿に一歩進んだねと思えます。 ちいさなリアルを積み重ねたこの作品は痛いところもあるけれど、 希望につながる優しさも見せてくれました。(白)
PFFスカラシップ作品。2007年ロッテルダム国際映画祭最優秀アジア映画賞受賞 |
●『寂しい時は抱きしめて』(原題:Lie With Me)
監督:クレメント・ヴァーゴ ライラは肉体の愛しか知らない。両親の不仲で、愛情も結婚もなんなのか分からなくなっている。快楽を求めて街をさまよう中で、ある日デビッドと出会い、他の男とは違った感情を抱く。離れていても、一日中相手のことが頭から離れない。抱き合えば、これまで経験したことない満足感に満たされる。初めて知った身体だけではない、本当の恋。しかし、どんなに愛しても全てを共有することはできない。それは初めて知る苦しみでもあった。
過激な性描写に初めの方は少々面食らいましたが、デビッドと出会ってからは、女性が男性に抱く愛情と不信感の細かい揺れが丁寧に描かれていたり、次第に相手の身体だけでなく、恐る恐るだけれど、相手を取り巻くもの全てを受け入れていこうと成長する二人の姿に、ちょっとグッときました。若い人たちには、もっと切実に感じるかもしれません。原作者のタマラ・フェイス・バーガーと監督のクレメント・ヴァーゴは夫婦で、映画も二人の共同作業で作っています。 18禁なシーンはありましたが、ライラ役のローレン・リー・スミスが可愛くていや らしくなりません。デビッドが老父を優しく介護しているのに好感度アップ。この人 の横顔、トランプのジャックに似てませんか?(白)
2005年/カナダ/ヴィスタサイズ/SRD/93分/R-18 |
2007年5月26日〜 |
●『しゃべれども しゃべれども』 ちらし画像:© 2007『しゃべれども しゃべれども』製作委員会
監督:平山秀幸 今昔亭三つ葉は二つ目の落語家。普段も着物で暮らし、新作より古典落語が好き。 まだ自分の芸がつかめないのが悩みの種だ。 師匠の小三文が講師を務めるカルチャーセンターにお供で行き、 そこで話の途中で退席した若い女性が気になって呼び止める。 「本気でしゃべってない!」という十河五月。 三つ葉は自分の落語を聞きに来いと言い、本当にやってきた彼女を前に高座でとちってしまう。 祖母にお茶を教わっている郁子に、三つ葉は想いを伝えることができずにいるが、 郁子の甥の勝に落語を教えてほしいと頼まれる。 三つ葉の家には小学生の勝と無愛想な五月、毒舌家の元プロ野球選手までが落語を習いにやってくることになった。 舞台は東京下町。落語の稽古場面や寄席の内側、楽屋も垣間見られて楽しいです。 映画ではちょっと異色な落語が中心ですが、描かれていくのは何気ない日常とことばのやりとり。 大阪弁の森永悠希くんは、にこにこと可愛くて、よどみなく出るお喋りがそのまんま、 お笑いのようでした。 不器用な大人と違って、この子は弟子入りしなくてもOKてな感じです。 柳家三三(さんざ)師匠の指導のもと、国分太一くんの落語がだんだんうまくなっていきます。 うまくなったといっても、毎日「良かったり、悪かったり」なのが、生の落語なのだそうですが。 ふんわりと幸せな気分になる作品。(白)
2006/日本/カラー/1時間49分/ドルビーSR/ヴィスタサイズ 5月26日(土)より、シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館、シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー |
●『ひめゆり』
監督:柴田昌平 “忘れたいこと”を話してくれてありがとう
「ひめゆり」学徒隊は、第2次大戦末期、
沖縄での地上戦の折に看護要員として戦場に送られました。
3月から6月までの3ヶ月間で、15歳から19歳の少女達211人もの命が失われました。
戦後何本かの映画が作られましたが、これは劇映画ではありません。
実際に苛烈な戦場にいて、生き残った22人の証言を集めたドキュメンタリーです。
自分たちが生きて話せるうちに残しておきたい、という強い意志から生まれたものです。
1994年から13年に渡って撮り続けられ、撮影は今も続いています。
突然召集を受け戦場に放り込まれ、追い詰められて解散とは・・・ 耳を疑うようなことばかりでした。よく生き抜いてくださったと思います。 一人でも多くの方にこの声が届きますように。(白)
2006/カラー/130分/16mm/スタンダードサイズ/ *夏以降〜大阪・第七藝術劇場、広島・横川シネマにて劇場公開決定* |
●『GOAL!2』(原題:GOAL!II Living the Dream)
監督:ジャウム・コレット=セラ サンティことサンティアゴ・ムネスは、入団したニューカッスル・ユナイテッドvsリヴァプールの一戦いで決勝点を決め、一躍この街のヒーローとなった。婚約者のロズは結婚式の準備を着々と進めている。ロズの母親たちと会食中に、エージェントのグレンがやってきてサンティにビックニュースを伝えた。なんと、スペインの強豪レアル・マドリードから移籍の誘いがあったのだ。世界一のクラブチームの一員になれるのか?サンティはグレンとともに、詳しい話を聞くためアジアツアー中のレアルを東京に訪ねていった。 サッカー少年の夢を次々と叶えてくれるようなこの『GOAL!』3部作、第2章ができました。前作は子供のころからサッカーが好きで、逆境にあっても夢をあきらめなかったサンティが、憧れのヨーロッパへ渡りニューカッスル・ユナイテッドの正選手となって活躍するまで。第2弾は、2005年7月日本でクランクインしており、レアルチームが来日していたとき、同時にロケも行われていたのでした。当時のレアルの選手たちが大挙画面に登場します(なんだか懐かしい)。特にベッカムとGKのカシージャスは重要な場面が多いため、オフの時間に全面的に協力してくれたのだとか。サッカーの試合場面は前作以上に多いですが、サンティの人間関係や栄光を掴んだあとにやってくる試練などドラマ部分も描かれています。大きな画面で迫力の試合をご覧ください。(白)
2007/イギリス、スペイン、ドイツ合作/1時間54分/スコープサイズ/ドルビー 公式 HP >> http://www.goalthemovie.jp/ ★5月26日(土)より、全国ロードショー! |
●『COMANDANTE コマンダンテ』 監督:オリバー・ストーン 撮影:ロドリコ・プリエト 音楽:アルベルト・イグレシアス 出演:フィデル・カストロ、オリバー・ストーン 2002年2月、オリバー・ストーン監督は3日間にわたり、キューバ革命の父フィデル・カストロのドキュメンタリー撮影を敢行した。監督自らのインタビューは30時間に及んだ。カストロは途中いつでもやめられること、を条件としたが中止されることはなく、内容の変更削除もいっさい求められなかった。元々はスペインのTV番組用のプロジェクトだったが、映画化され2003年のサンダンス映画祭でプレミア上映された。アメリカでの上映は禁止となり、その理由は、映画の視点がアメリカ政府にとって「不快」で「批判的」だからというものだったと、オリバー・ストーン監督自身が認めている。 カストロの盟友チェ・ゲバラは美男子でした(いきなり卑近な話題ですみません)。早く亡くなりましたが今も人気で、日本でもTシャツの絵柄にもなっているのを見かけます(革命のシンボルですが歴史をちゃんと解っているんでしょうか)。カストロは数々の戦いを生き延びて、「コマンダンテ(司令官)!」と国民に尊敬され親しまれています。街や大学で人々に囲まれるシーンがあり、こんなに人気の指導者は日本にはいないなぁと羨ましく思えました。雄弁家としてもつとに有名な彼が、社会派オリバー・ストーン監督の鋭い質問を受け、ユーモアを交えて回答するようすに、ほ〜と見入りました。大国アメリカに屈せず、戦い続けてきた長身痩躯のコマンダンテは、現在病床にあります。(白)
2003/アメリカア・スペイン合作/英語・スペイン語/カラー/100分/ヴィスタ/ドルビーSRD アルシネテランHP >> http://www.alcine-terran.com/ ★5月26日(土)より、ユーロスペース他全国順次ロードショー |
●『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』 (原題:Borat: Cultural Learnings of America for Make Benefit Glorious Nation of Kazakhstan)
監督:ラリー・チャールズ
カザフスタン国営テレビのレポーター、ボラット・サカディエフ。
長身で、鼻の下に亀の子タワシのような髭をたくわえた彼の趣味は、ピンポン、日光浴、
女性トイレの盗撮。天敵は、ユダヤ人。そんなボラットが、太っちょのプロデューサー、
アザマートを伴って、ニューヨークへ。目的はカザフの発展のために、
偉大なるアメリカ文化をリポートすること。フットワーク軽く、
国連本部やロデオ大会などへと出かけていく。
まじめに受け答えするフェミニズム団体のおばさまたちや、
電車内の突撃インタビューに逃げ惑う人々。
ボラットは、ユダヤ系イギリス人コメディアンのサシャ・バロン・コーエンが、
自らが持つイギリスのTV番組「Da Ali G Show」の中で、
体験レポートコーナーのために作り出したキャラクター。
あくまで本物のレポーターを装って、アメリカロケを敢行。
それにしても、あまりな下ネタ。カザフ人の大半がイスラーム教徒であることを考えると、
体を露出したりすることは、あり得ないし、
カザフの人たちから文句は出ないのかと思ったら、
やはりいろいろと問題になったそうだが、アメリカはじめ世界各国での大ヒットに、
カザフスタンの名前を知らしめることになったと、歓迎する向きもあるそうだ。
2006年/アメリカ/1時間24分 |
●『毛皮のエロス ダイアン・アーバス 幻想のポートレイト』原題:FUR -AN IMAGINARY PORTRAIT OF DIANE ARBUS
監督:スティーヴン・シャインバーグ 1958年、ニューヨーク。 瀟洒なアパートにある写真スタジオで毛皮ショーの準備に追われるダイアン。 金持ちの顧客たちの相手はちょっと憂鬱だ。 ふと窓の外に目をやると、引越の車から、目だけ出る頭巾を被った男が降りてくる。 上の階に引っ越してきた不思議な男の強い眼光になぜか惹かれるダイアン。 ある日、水道管に大量の毛を見つけたダイアンは、 ついに階段を上って彼を訪ねていく...。
1923年3月14日ニューヨーク生まれ。
裕福なユダヤ家庭に育ったダイアン・アーバスは、14歳の時に出会った初恋の人、
アラン・アーバスと4年後に結婚。
ファッションフォトグラファーの夫アランの手ほどきを受けて、
彼女もファッション写真家として活躍する。
後に、夫とは袂を分かち、小人、巨人、シャム双生児、同性愛者、
ヌーディストといった「フリークス(変わった人々)」を被写体とするようになり、
その名を後世に残すことになる。 最初に、「これは伝記ではない」と断り書きがあるように、 本作は写真家ダイアン・アーバスの人生を描いたドキュメンタリーではない。 ダイアンの残した写真に触発されて、監督と脚本家のエリン・クレシダ・ウィルソンが、 フリークスに目を向けるようになっていったダイアンの心の動きをイメージして作り上げた物語である。
夫や娘たちを愛していた貞淑な妻だったダイアンが、
上の階に住む多毛症の男を訪ねていき、身も心もゆだねていく姿は、
あまりに大胆だが、彼女の残したフリークスの写真からは、
それもありかなと思わせられる。
(二コール・キッドマンの演じるダイアンからは、
身勝手さだけが感じられてしまったのだけど!)
2006/アメリカ/カラー/ビスタ/122分/R-18 公式 HP >> http://kegawa.gyao.jp/ |
●「第10回京都国際学生映画祭」
京都国際学生映画祭は今年で10年目を迎えます。国内外の学生映画・映像作品を観ることのできる数少ない映画祭です。未来の巨匠がここから現れるかもしれません。 開催日程:2007年11月23日(祝)〜30日(金) 公式 HP >> http://kisfvf.com/index.html |
2007年12月29日 |
●『つばさ』Wings −澤登翠活弁リサイタル−
監督:ウィリアム・A・ウェルマン
第1回アカデミー賞作品賞受賞の『つばさ』が、名調子の活弁つきで上映されます。
昭和3年度キネマ旬報ベストテン 洋画部門第5位 |
2007年6月2日〜 |
●『映画は生きものの記録である 土本典昭の仕事』
監督:藤原敏史 水俣の映画を17本も撮り続けてきた土本典昭監督が、 かの地を再訪することになり藤原敏史監督はカメラとともにその旅に同行します。 旧作のシーンと土本監督へのインタビューも織り込みます。 水俣の海や街、人々を万感の思いで見つめる土本監督。 かつて映画に登場した胎児性水俣病の男の子がすっかり大人になり、 若かったお母さんは、ご苦労だったろう年月の皺を刻んで年取っていました。 地球環境映像祭でグランプリだった『断罪の核心-元裁判長が語る水俣病事件』に登場した、 国に有罪判決を出した地裁の裁判長の涙を思い出しました。(白)
2006/DVCAM・16mm/カラー/94分/ ●[君は土本典昭を知っているか?その映画を見たことがあるか?]
※ タイムテーブルなどの詳細はお問い合わせください |
2007年6月9日〜 |
●『それでも生きる子供たちへ』All the Invisible Children
大人は誰も、昔は子供だった。でもそのことを忘れずにいる大人はほとんどいない。 7人の監督による子供の未来のための7つの物語。どれも心を揺さぶります。
提供/配給:ギャガ・コミュニケーションズ |
●『恋する日曜日 私。恋した』
監督:廣木隆一 高校3年生のなぎさに癌が見つかった。昨年母親が同じ病気で亡くなったばかり。 母と同じ病院、同じ主治医にかかることになったが、 入院前に「会いたい人がいる」と旅に出る。 なぎさが生まれ、3年前まで住んだ海辺の町には幼馴染の聡がいた。 病気のことは隠し、今は一人暮らしの聡の家に泊めてもらうことになった。 幼いころに戻ったように最後の夏を過ごすなぎさだったが、 聡が人妻の絵里子と不倫をしているのに気づいてしまう。 出演作が相次いでいる堀北真希が、余命3ヶ月の高校生を演じています。 しだいに要求される演技のハードルが高くなっているようですが、 きちんと応えていますねぇ。 『恋する日曜日』一作目についでメガホンを取った廣木監督の描写はいつも細やかです。 主人公が死んでしまうという作品は廣木監督も今までなかったとか。 映画は病気と闘う場面は出さず、17歳のなぎさの恋を中心にしています。 病気のことも恋心も聡に告げずにいる切なさに胸がいっぱいになり、 自転車で走るシーン、まどかを連れ歩くシーンも胸が痛みます。 長回しのラストシーンまでハンカチ出しておきましょう。 (白) 2007/日本/カラー/35mm/97分/ビスタサイズ/制作:BS-i 配給:エム・エフボックス 6月9日(土)新宿トーアほか全国で順次ロードショー http://w3.bs-i.co.jp/jbreak/koisuru/watakoi/index.html |
●『Watch with me 〜卒業写真〜』
監督:瀬木直貴 元報道カメラマンの上野和馬はがんで余命半年と宣告された。 故郷の福岡県久留米市で余生を過ごそうと、妻の由紀子を伴って戻ってくる。 同級生の孝平が勤務するホスピスに入院し、 卒業アルバムを見ながら旧友たちと思い出話に花を咲かせるが、 和馬には思い出せない少女がいた。 やはりがんで逝ってしまった父親の最後を思い出しながら観ました。 自分だったらこの世の残り時間がわかったとき、何がしたいかしら? そばで支える妻や友人たちの気持は想像できるけれど・・・。 納得いかなかったのは、和馬がひとみのことを覚えていなかったというところ。 奥さんの協力もあって、だんだん思い出していくけれど、 そんなに簡単に忘れてしまうもの?封印していたんでしょうか。 私も懐かしい「卒業写真」の歌を聴きながら、アルバムでも見ようかなっと。(白)
Watch with Me?「私とともに目を覚まして祈りなさい」(新約聖書・マタイによる 福音書)は、近代ホスピスの創設者、シシリー・ソンダース女史がこの言葉にホスピスの基本精神を託して、「死が近い人を見守る」という意味で使い始めたもの。人生の終末を迎えた人も、それを見守る人も、どちらも辛い。私は怖れるだけで、また覚悟ができていない。 テレビドラマでも共演中の津田寛治さんと羽田美智子さんは、息がとても合ってました。津田寛治さんて、映画の中では、気むずかしかったり、変わり者だったりする役が多いので、眉間にしわを寄せた顔が思い浮かぶのですが、先だってTV番組の「チューボーですよ」に出演されていたときの弾けっぷりと笑顔にはビックリ。とても魅力的でした。(梅)
2007/日本/カラー/
★舞台挨拶のお知らせ★ |
●『選挙』Campaign
監督・製作・撮影・録音・編集:想田和弘 2005年秋、川崎市宮前区の市議会議員補欠選挙。 ひょんなことから自民党公認候補として出馬することになった「山さん」こと山内和彦(40歳)。 東京で気ままに切手コイン商を営んでいた山さんは、政治とは無縁。 宮前区に地盤もない。民主党と議席が切迫する自民党は、 なんとしても勝たなければと必死。東大卒の肩書きで選ばれたと山さんは笑う。 地区の自民党総出で山さんを勝たせるための戦闘体制が組まれ、 参院選ともあいまって、川口順子、石原伸晃、荻原健司、橋本聖子、 さらには当時の小泉純一郎首相まで、応援演説に駆けつける。 ニューヨーク在住の監督は、別の題材を撮影するために日本へ行く準備をしていたところ、 東京大学入学当時のクラスメートである山さんが補欠選挙に立候補したことを知る。 撮影は2005年10月7日から23日の投票日までのわずか2週間。 監督は事前の準備もせず、撮影に臨んだが、編集には10ヶ月をかけた。 ナレーションもテロップも音楽も一切廃し、素の映像だけをつないだものだが、 それだけに生の面白さがある。「観察映画」だと監督は言う。
補欠選挙で当選しても、1年半後の次の選挙では、
それぞれの地区で決まった候補者を支援するから、
今回だけの応援だとあからさまに言われても、にこやかに笑って
「今回限り、山内和彦をよろしくお願いします」と、
自民党支援者たちに頭を下げる山さん。駅前で演説し、握手をしてまわる山さんは、
思わずケンタッキー・フライド・チキンのカーネル・サンダースさんとも握手してしまう。
にじみ出る山さんのお人柄に、う〜ん、この人は政治家に向いているのか・・・
と思いながらも、勝たせてあげたいと思ってしまう。
日本・アメリカ/120分/カラー/デジタル上映(16:9/ステレオ) |
●『プレステージ』(原題:THE PRESTIGE)
監督:クリストファー.ノーラン(『メメント』『バットマン ビギンズ』) 19世紀末ロンドン。華麗な奇術で人々を魅了する2人の天才マジシャン、ロバート・アンジャー(ヒュー・ジャックマン)とアルフレッド.ボーデン(クリスチャン・ベール)。一瞬のうちに遠くへ身を移す瞬間移動の術を競いながらも尊敬し合う二人。ある日、アンジャーの妻が、トリックでほどけるはずの縄がほどけず舞台の下で死んでしまう。縄を結んだボーデンに復讐を誓うアンジャー。しかし、そのアンジャーが舞台上で壮絶な死を遂げ、翌日アンジャー殺しの犯人として、ボーデンは逮捕されてしまう。刑務所の中で必死に冤罪だと訴えるボーデン・・・
一流のマジックは、3つのパートから成る。
配給 ギャガ・コミュニケーションズ Powered by ヒューマックスシネマ 公式 HP >> http://prestige.gyao.jp/ ★2007年6月9日よりスカラ座ほか全国東宝洋画系にて公開 |
2007年6月16日〜 |
●『雲南の少女 ルオマの初恋』
監督:章家瑞(チアン・チアルイ)
ルオマは雲南省紅河州に住む少数民族ハニ族の少女。おばあちゃんと二人暮らしで、毎日街に出て焼きトウモロコシを売っている。近所の写真館を経営しているのは、都会からやってきた写真家のアミン。でも全然稼げていないらしく、ルオマから買ったトウモロコシ代もなくて、代わりにヘッドホンステレオを彼女に渡す。それからはエンヤの「カリビアン・ブルー」が聞こえてきた。初めて聞く西洋の音楽をルオマはとても気に入る。 世界遺産にも登録された雲南の美しい棚田風景の中で織りなす、17歳の少女の初恋は、素朴で美しいながらも、少数民族の伝統的生活が否応なく変わりつつある中で、外の世界へ憧れる若い世代の現実も垣間見せていて、印象深いものになっています。ハニ族の農耕文化は日本のそれと共通するところが多くて、遠い地でありながら懐かしさすら感じます。グローバル化の波は避けがたいかもしれませんが、どうか彼女たちの輝く笑顔が失われないようにと祈るような気持ちになりました。(梅)
思えば、この作品が『ルオマは17歳』のタイトルで、アジアフォーカス・福岡映画祭で上映されたのが、2004年のこと。映画そのままの民族衣装姿で会場に登場したリー・ミンさんは大人気でした。記者会見でも、思わず皆、彼女に駆け寄って記念写真を撮っていました。(記者会見での記念写真は珍しい!)
北京青年映画撮影所・雲南良黎影視文化伝播公司 公式 HP >> http://www.ruoma.jp/ ★6月16日(土)より、東京都写真美術館ホールにてロードショー(他全国順次公開)★バックナンバー63号の公開画像のところで、2004年福岡でのリー・ミンさんの初々しい民族衣装姿が見られます! 本誌70号に監督、主演女優の舞台挨拶記事が掲載されています。 |
2007年6月23日〜 |
●『図鑑に載ってない虫』
監督・脚本:三木聡 フリーライターの俺は「月刊 黒い本」の編集長から「臨死体験をして来い」という命令を受けてしまった。 「死にモドキ」という虫を探せばそれができるらしい。 相棒のエンドーを呼び出して、ヒントを持っているらしいカメラマンの真島のアパートへ向かう。 真島の残したメモを手がかりに、虫さがしを続けるが出会うのは、 ヘンなヤクザやSM嬢たち。果たして締め切りに間に合うのだろうかっ?? 『イン・ザ・プール』、『亀は意外と速く泳ぐ』、『ダメジン』 と脱力系作品を送り出してきた三木聡。 今回は伊勢谷友介が2の線から大きく外れたキャラで、松尾スズキといいコンビです。 岩松了、ふせえりら常連に負けず、 あら!と思うキャストたちが意外な役で次々と登場します。 キャスティングたいへんだったでしょうねぇ。 あいかわらず小ネタ満載で、あははと笑わせてもらいました。(白)
2007/日本/カラー/103分/35mm/アメリカンビスタ/DTSステレオ |
●『ジェイムズ聖地(エルサレム)へ行く』原題:James'Journey To Jerusalem
監督:ラアナン・アレクサンドロヴィッチ 南アフリカの小さな村の純粋で敬虔なクリスチャンの青年ジェイムズは、 村人たちの期待を一心に集めて、 次期牧師候補として聖地エルサレムへの巡礼の旅に送り出される。 心躍らせたどり着いたイスラエルの空港で、 不法移民と決め付けられ留置所に入れられてしまうジェイムズ。 ほどなく、留置所にやってきた手配師の男に助け出されるが、 払った保釈金分働けと命令される。 これも神様の試練とまじめに働くジェイムズは、手配師の父親に気に入られる。 チップに渡されたお金を、「金持ちが天国に行くのは駱駝が針の穴を通るより難しい」と、 最初は受け取らなかったジェイムズだが、 「フライヤー(ヘブライ語で“人に利用される人”)になるな」と言われ続けるうちに、 人を利用して金儲けする方法を身につけてしまう。 はたしてジェイムズは聖地エルサレムに行くことができるのか? 純情なジェイムズが毒されていく姿や、古い一軒家に住む父親を立ち退かせて、 その土地に大きなビルを建てようと目論む息子など、 拝金主義の社会がユーモアと皮肉たっぷりに描かれていて、大いに笑わせられた。 目的地の聖地は、すぐそばにあるのに、なかなか辿り着けない。 努力すれば夢はつかめるものなのにという例えだろうか。 土地を巡る親子の対立など、この映画はイスラエルを舞台にしているが、 とても普遍的なメッセージを感じさせてくれるものだった。 聖歌隊の歌をバックにした冒頭とラストの寓話的な描き方が、 現代の御伽噺という雰囲気。考えさせられる楽しい映画!(咲)
2003年/イスラエル/87分/ カラー/ 35mm/ ビデオ上映(日本国内) |
●『イラクー狼の谷ー』
監督:セルダル・アカル 2003年7月4日、イラク北部のクルド自治区で、トルコ特殊部隊の秘密本部が同盟国であるはずのアメリカの軍部隊に突然踏み込まれ、11人の兵士たちは頭にフードをかぶらされて連行された上、長時間の抑留を余儀なくされた。誇り高いトルコ将校のスレイマンはこの屈辱に耐えかねて、遺書を親友であり、元トルコ秘密諜報員であるポラットに残して自殺した。ポラットと二人の仲間は友の遺志を継ぎ、アメリカの部隊を指揮したサム・マーシャルへ同様の屈辱を与えるためイラクへと向かう。
これはイラクを舞台にしていますが、あくまでもトルコの娯楽映画であるということは了解しておいた方がいいでしょう。元々この諜報員ポラットは、マフィアへの潜入捜査で活躍する人気テレビシリーズのキャラクターです。彼とアメリカの指揮官サムとの戦いを追いながら、イラクでの実際の事件や噂を織り交ぜてアメリカの非道を強烈に描き、イスラーム社会では大受け、欧米では物議を醸しました。現カリフォルニア州知事がかつて主演していたイスラームの人たちを殺戮する映画は問題にならないのにねぇ。
トルコから潜入してきたポラットと手を組み、アメリカの指揮官サムに立ち向かうのが、
アラブ族の女性レイラ。彼女は結婚式を襲われ、新婚の夫を失ったことから、
闘争心に燃えるのですが、
結婚式への誤爆という事件もアフガニスタンやイラクなどで実際にあった話。
民族服姿の美しいレイラは、ポラットと英語で流暢に会話する聡明な女性。
家族や同族のアラブ人とは、もちろんアラビア語で会話しています。
ポラットは仲間とはトルコ語で会話。
そして、ポラットがトルコから一緒に潜入した中にクルド人がいて、
イラク北部のクルディスタンのクルド人とは彼を介して意思疎通。
英語以外の言語の時には、日本語字幕に、< >が付いているのですが、
トルコ語、クルド語、アラビア語の区別は残念ながら無くて、
せっかく英語とそれ以外の言語を区別したのに惜しい! 2006年/トルコ/122分/DOLBY SRD/ビスタサイズ/原題:Kurtlar Vadisi : IRAK (Valley of the Wolves Iraq ) 公式 HP >> http://www.at-e.co.jp/ookami/ ★2007年6月23日(土)より、銀座シネパトスにて公開 |
●『リサイクル—死界—』原題:鬼域
監督・脚本・製作・編集:オキサイド・パン、ダニー・パン ディンインは新進女流作家チョイチュンとして成功を収めていた。 恋愛小説が映画化されることになり、記者会見の席上で次の作品について質問を受ける。 「鬼域」という題が決まったばかりの小説が霊的体験をテーマにしていること、 そのため霊に遭遇して恐怖を体験してみたいと答えてしまう。 しかし執筆が思うように進まず、 書いては消しを繰り返すうちにディンインの周りで奇妙な現象が起こり始める。 長い髪の毛、人の気配、無言電話・・・思えばみな、 ディンインが書いては捨てた言葉と合致していた。 そして青ざめた老婆とその孫らしい女の子とエレベーターに乗り合わせ、 彼女たちがあるはずのない地階へと沈んでいくのを見てしまう。 走り出したディンインが足を踏み入れたのは廃墟のような建物の並ぶ世界だった。
双子の兄弟監督、パン・ブラザースが『The EYE』シリーズのアンジェリカ・リーを主演に
製作したホラー。ディンインが虚構か現実かと疑う、
マンション内の事件は目新しいものではありませんが、
彼女が迷いこむ死界の造形がゲームの中の世界みたいで面白いです。
バンコク郊外に建てられた巨大なセットだそうですよ。
最初の建物群は「クーロンズ・ゲート」だなぁとか、
これは必須アイテムだとか思いながら見ていました。
2005/香港・タイ/カラー/1時間48分/シネマスコープ/SRD・SR |
●『エマニュエルの贈りもの』(原題:Emmanuel's Gift)
製作/監督:リサ・ラックス、ナンシー・スターン 1977年、西アフリカ・ガーナで右足に障害をもって生まれたエマニュエル。父親には見捨てられたが、母親の大きな愛情に包まれて育った彼は、ハンディキャップを克服し、米国の支援団体に働きかけて得た自転車でガーナ全土を片足義足で制覇。またトライアスロンにも兆戦するなど、義足のアスリートとして活躍するだけでなく、障害者が自立して暮らしていくために日々社会に働きかけている。
本作は、エマニュエルに感銘を受けたリサ・ラックスとナンシー・スターンが、2年以上の歳月をかけて、ガーナからアメリカへと彼の活動を追って記録した400時間にも及ぶ映像をドキュメンタリー映画としてまとめたもの。
アメリカ/2005年/80分/カラー/ビスタサイズ/ドルビーデジタル 公式 HP >> http://www.emmanuelsgift.jp/ ★6月23日(土)渋谷シネマGAGA!他全国順次ロードショー |
2007年6月30日〜 |
●「エロチック乱歩」
『屋根裏の散歩者』
監督:三原光尋 脚本:伊土紀州 撮影:芦澤明子(J.S.C.) 音楽:遠藤浩二 美術:中川理仁 VE:宇津野裕行 出演:嘉門洋子、窪塚俊介、村木仁、永瀬ひかり、清水萌々子、遊井亮子、木下ほうが、でんでん 2006/日本/カラー/DV/ステレオ/87分
『人間椅子』
監督:佐藤圭作 脚本:佐藤圭作・武井彩 撮影:大内勇 音楽:柳田しゆ 美術:松本知恵 VE:宇津野裕行 出演:宮路真緒、小沢真珠、鈴木薫、鈴木拓也、茅野雅生、水戸ひねき、石川謙、辻修、板尾創路 2006/日本/カラー/DV/ステレオ/76分
制作:円谷エンターテイメント 江戸川乱歩の有名小説を土台に、新しい脚色をほどこした作品です。 大正14年の作品を現代に置き換えているので、 どこがどう変わっているのか原作を読みたくなりました。 『村の写真集』の三原監督がこういう作品も撮るのと意外。 『人間椅子』の不思議なシチュエーション、小沢真珠のこわれっぷりもみどころ。 『屋根裏の散歩者』は女性カメラマンのようです。珍しいなぁ。(白) 6月30日(土)より、シアターN渋谷、銀座シネパトス他にて、2作週代わりでロードショー |
●『吉祥天女』
監督・脚本:及川中 昭和45年春の金沢。能楽好きの元気な高校生、 麻井由似子のクラスに転校生が入ってきた。 長い黒髪の美少女、叶小夜子に誰もがひきつけられる。 叶家はこのあたりの土地の殆どを所有する旧家で、小夜子はその孫娘だった。 新興の遠野建設は、その土地を手に入れるため一人息子の遠野暁と小夜子の縁組を画策していた。 小夜子の同級生の遠野涼もその一族だったが、涼だけは小夜子に近づくことをしなかった。
吉田秋生の同名漫画が原作。20年以上も前の作品だったとは、時の流れは速い!! 配給:CKエンタテイメント http://www.kisshohtennyo.jp/ 6月、渋谷Q−AXシネマほか全国ロードショー |
●『そして、デブノーの森へ』 監督・脚本:ロベルト・アンドゥ
ベストセラー作家セルジュ・ノヴァク。彼は決して人前に現れず、その素性は全くの謎に包まれており、そのことが世間の興味を一層そそっていた。 初めはただファム・ファタールに翻弄される中年男の悲哀の話かと思ったのですが、サスペンスの要素が強く、次々と予想を裏切る展開で最後まで目が離せず、非常に楽しめました。 上流階級が舞台なので、シャネル、フェンディといったメゾンから提供されたアナ・ムグラリスのファッションも素敵ですし、フランスのパリ、南イタリアのカプリ島、スイスのジュネーブなどのロケ地の風景も美しい。 『あるいは裏切りという名の犬』『隠された記憶』に続き、ダニエル・オートゥイユの卓越した演技を楽しむことができます。(梅) 冒頭、キッパを被った老人がヘブライ文字を書いている姿。 次に、初老の男性二人、「僕たちユダヤ人には見えないよね」との会話。 ユダヤであることがこの物語にどう関わってくるのかと、 一気にこの映画に惹かれてしまいました。 そして、ダニエル・オートゥイユ演じる主人公が船上で出会う謎めいた美女は、 祖父の母語がイディッシュで、 ダニエルは自分と同じ言葉を解する彼女にぐっと引き込まれていきます。 それほどユダヤに詳しいわけではないので、 この物語の背景にあるものが深くは理解できなかったのですが、それを抜きにしても、 複雑に絡む二人の過去を紐解いていく面白さにぞくぞく。 お墓参りの時に、お墓の上に石を置く風習なども興味深いものでした。 そして何より、主役二人の大人の魅力に惹かれました。(咲)
第57回カンヌ国際映画祭正式出品 公式 HP >> http://www.at-e.co.jp/soshite/ ★2007年6月30日(土)より、シアターイメージフォーラムにて公開 |
●『シュレック3』SHREK THE THIRD
監督・脚本:クリス・ミラー
おとぎの国のバトル・ロイヤル!次の王様は誰だ?! 緑色の心優しい怪物シュレックの物語、第3弾。 原作は子供向けの短編なのだそうですが、2001年に第1作、 2004年に第2作が発表され大ヒット。1,2のアンドリュー・アダムソン監督は、 今回製作総指揮に回り、クリス・ミラーの初監督作品となりました。 ミラー監督は1、2でストーリーに参加、声の出演もしているそうです。 このシリーズは、回を重ねるごとにシュレックが成長して行き、 この3作目ではとうとう父親になります。最初一人ぼっちだったのが仲間ができ、 恋人に出会って結婚し、家族が増えていきます。 この普通のストーリーが、おとぎの国で展開され、 よく知ったおとぎ話のキャラクターのパロディが満載。声優陣も豪華で、 日本語吹き替え版も濱ちゃんや藤原紀香が続投しています。(白)
2007/アメリカ/ドリームワークス作品/ビスタサイズ/DTS,SRD,SDDS/1時間33分 |
●『マルチェロ・マストロヤンニ 甘い追憶』UNA VITA DOLCE
監督:マリオ・カナーレ,アンナローザ・モッリ かつてマストロヤンニを撮った監督、共演した俳優たち、そして娘たちがもっとも愛 されたイタリアのスター、マルチェロ・マストロヤンニを語るもの。電話魔だったと いう彼のエピソードや休憩時のようすなど、過去の映像と新しいインタビューで綴り ます。イタリア映画の黄金期を観てみませんか。(白)
2006/イタリア/カラー/102分/ 公式 HP >> http://marcello.jp/ イタリア映画祭でひとあし早く上映されます。 5月3日(木・祝)18:40 |
●『石の微笑』原題:The Bridesmaid
監督:クロード・シャブロル
フィリップは、建築会社の営業職。
母親クリスティーヌ、2人の妹ソフィー、パトリシアと郊外の家に住んでいる。
父親は亡くなって、母が美容師を続けてきた。ソフィーはもうすぐ結婚、
下のパトリシアは奔放で問題の多い子で頭が痛い。
フィリップはロマンチストで、庭にあるフローラという石像を大切にしていたが、
母がボーイフレンドにプレゼントすると言い出しても反対することができない。
ミステリー映画の旗手クロード・シャブロルが、女流作家のルース・レンデル作品を映画化。 誰にも優しく繊細なフィリップをブノワ・マジメル、 ミステリアスなセンタをジョニー・アリディ(似てます!)とナタリー・バイの娘であるローラ・スメット。 優しい男の子が、アブナイ女の子に絡めとられ愛してしまうストーリー。 ベテランのシャブロル監督は、不安材料をぽつりぽつりと配し、 忘れたころに浮かび上がらせます。フィリップがセンタに惹きつけられていくのは、 女ばかりの家庭で育ち、父親がわりもしなければならなかった反動かなぁ。 イカレていると思いながら、気持を止めることができません。純情です。 ローラ・スメットのセンタは、無邪気に見えてぞくっと怖いです。(白)
2004/フランス・ドイツ/カラー/107分/ヨーロピアン・ヴィスタ/DTS Digital |
●『ボルベール<帰郷>』 (原題:VOLVER)
監督・脚本:ペドロ・アルモドバル
ライムンダ(ペネロペ・クルス)は、気性は激しいが明るくたくましい女性。ある日、15歳になる娘パウラ(ヨアンナ・コバ)が、「ほんとの父親じゃないから」と迫ってきた父を刺し殺してしまう。たまたまその日、売りに出された隣のレストランの鍵を預かったライムンダは、夫の死体をレストランの冷凍庫に隠す。そんな夜、故郷ラマンチャに住む大好きな伯母(チュス・ランプレアヴェ)が亡くなる。ライムンダは、葬儀への列席を美容師の姉ソーレ(ロラ・ドゥエニャス)と隣人の末期癌の女性アグスティナ(ブランカ・ポルティージョ)に任せる。
冒頭、お墓を掃除する大勢の女性たちの姿。この地方では、生きているうちに自分のお墓を掃除する風習があるのだそうだ。自分の死を受け入れ、死者との対話を絶えず忘れない人たち… アルモドバル監督は、自らの故郷ラマンチャ地方の村の人たちが、死と死者に対して自然に立ち向かう姿に賛辞を込めて、この映画を作ったという。 スペイン/2006年/カラー/シネスコープ/ドルビーSR,ドルビーデジタル/120分 公式 HP >> http://volver.gyao.jp/ ★2007年6月30日よりTOHOシネマズ六本木ほか全国にて公開 |
2007年7月7日〜 |
●『Genius Party(ジーニアス・パーティ)』
1 GENIUS PARTY 福島敦子 『鉄コン筋クリート』を送り出したSTUDIO4℃が制作した、 14人(and more)の映像作家による新感覚の「パーティ・アニメ」。 第1弾は7人の作家による特色ある7作品。 3の『デスティック・フォー』は、『鉄コン筋クリート』の美術監督をつとめた木村真二。
2006/日本/カラー/104分/ |
●『アドレナリン』(原題:CRANK)
監督・脚本:マーク・ネヴェルダイン、ブライアン・テイラー フリーランスのスナイパー、シェブが昏睡からさめると宿敵ヴェローナからのメッセージが残されていた。「毒を注射した。お前の命は後1時間」!驚愕したシェブは 馴染みの医者に連絡する。ようやく捕まえた彼の答えは「動き続けてアドレナリンを出し続ければ、毒の作用を遅らせることができる」だった。アドレナリンを出すため にシェブはあらゆることを試し続ける。暴走する彼は、1時間以内にリッキーから解毒剤を手に入れることができるのかっ?? むちゃくちゃな展開でおバカな映画ですが、面白い! 冷静沈着な役柄が続いていたステイサムが、アドレナリンを出し続けるためにノンストップアクションを繰り広げます。真面目な顔してやることがコメディになっています。人の悲劇は見るほうには喜劇って映画ですね。中国製の合成毒ということでしたが、中国マフィアのつてをたどって、解毒剤を探すという方向には行きません。ひたすら走ってまた走り、中華街であられもない姿を見せ(とても言えません)、あげくヘリコプターから宙吊り ・・・。身体を張ったアクションを見せるジェイソン・ステイサム1972年生まれ。イギリスでは飛び込みの選手で世界12位のダイバーであったそうです。(白)
公式 HP >>
http://www.adrenaline-movie.com/
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●「こわい童謡」 ●『こわい童謡<表の章>』
監督・脚本:福谷修 東京郊外のお嬢様名門校、聖蘭女学院。転校生彩音は、奇妙な幻聴に悩まされていた。そんな時、寮のルームメイト奈々香が、校舎屋上から飛び降り自殺する。 彼女の死の直前、「かごめかごめ」を呻きながら歌っていた。さらに合唱部長未紀が、トイレで首を吊ったまま「通りゃんせ」と囁いていたのを彩音が見つけ、衝撃で気を失ってしまう。 この女学院には過去にも、失踪や自殺が相次いでいたとか…。 ●『こわい童謡<裏の章>』 出演:安めぐみ、松尾敏伸、石坂ちなみ、多部未華子、津田寛治他 <表の章>から五年たった聖蘭女学院は廃校になった。しかし近隣から、夜中に童謡の歌声が聞こえるという証言が出た。 それを取材するため、TVクルーが訪れる。五年前の事件をなぞるように、次々と異変がクルーを襲う。 今、女子高生の間では怖〜いホラーを、女の子どうしでキャーキャー言いながら観るのが、真夏の恒例行事だそうです。何故だか、異性ではダメらしいですよ。観た後、友情の絆が深まるんですって…。なんかわかる気がします。 (美)
2007/日本/カラー/デジタル/表の章74分・裏の章79分 公式 HP >> http://www.douyou-movie.jp/ ★ 公開:<表の章> 7月7日、<裏の章> 7月28日、テアトル新宿ほか全国順次ロードショー |
●『傷だらけの男たち』原題:傷城
監督:アンドリュー・ラウ、アラン・マック
2003年クリスマスの香港、飲めない酒を無理に流し込んでいる若い刑事ポン。
上司で親友のヘイたちと凶悪犯を追っていた。
ようやく犯人を逮捕してポンが帰宅すると、恋人がベッドで自殺していた。
しかも彼女のおなかには子供がいたのだった・・・。
『インファナル・アフェア』製作チームが放つ最新作。
2003年といえば香港はSARSによってまさに「傷だらけの都市」と化していました。
原題はそこから来ているのでしょうか。
トニー・レオンと金城武が『恋する惑星』以来初の本格共演を果たしています。
心に深い傷を負った二人の男のストーリーですが、それぞれ今までになかった役柄です。
あまり書くとネタばれしてしまいますね。スー・チーがとてもキュート、
金城くんの泣き顔も印象的でした。
『インファナル・アフェア』同様、表面上の立場は違うけれど、心の深い部分で繋がっている二人の男がたどる道程を描いています。しかし今回は、梁朝偉(トニー・レオン)と金城武に舒淇(スー・チー)と徐静蕾(シュー・ジンレイ) という異なるタイプの二人の美女が絡み、『インファナルー』よりも、甘さと切なさが一層引き立てられている感じです。香港の街の風景も印象的で、観ればまた香港に行きたくなることうけ合いです。(梅) (若干ネタバレ 注意!)
2006/香港/1時間51分/35mm/カラー/シネマスコープ/ドルビーSRD/ 特別記事 『傷だらけの男たち』来日イベントレポート も是非ご覧下さい。 |
2007年7月14日〜 |
●『レッスン!』 原題:Take the Lead
監督:リズ・フリードランダー
ニューヨークのスラム街で社交ダンス教室を経営するピエール・デュレイン
(アントニオ・バンデラス)。
ある日、高校の校長先生(アルフレ・ウッダード)の車をめちゃくちゃに破壊して逃げ去る高校生ロック(ロブ・ブラウン)を見かける。
ピエールは校長を訪ね、問題児たちに社交ダンスを教えたいと申し出る。
あの子たちの更正など無理なことと思いながら、校長はピエールを特別講師として迎え入れる。 本作のモデルとなったのは、 ニューヨークのスラム街の小学校で社交ダンスを教えている実在の教師ピエール・デュレン氏。 映画化にあたり、物語に広がりを持たせるために、 子供たちの年齢を小学校から高校に変えたという。 ティーンエイジャーの抱える様々な問題をも描くという点では、 それは良いアイディアだったかもしれないけれど、 小さな子供たちが社交ダンスを踊るおしゃまな姿を観てみたかった! 設定を高校生にしてしまったために、 あまりにお決まりの物語になってしまっているような気がする次第。 何はともあれ、アントニオ・バンデラスは素敵でした!(咲)
提供:ギャガ・コミュニケーションズ×松竹 |
●『私たちの幸せな時間』
監督:ソン・へソン ユンスは子供のころ母に捨てられ、目の見えない弟と物乞いをして暮らしていた。 ヤクザの使い走りから足を洗おうとして、 最後の仕事についていき殺人事件にまきこまれてしまう。 3人を殺害したとして死刑が確定し、全てに絶望したユンスは早く死ぬことばかり望んでいた。 元歌手のユジョンは裕福な家庭に育ちながら、心に深い傷を抱え3度も自殺未遂を起こしていた。 修道女の叔母の誘いで刑務所に行き、死刑囚に面会する。 弟が好きな歌手だったから、とユジョンに面会を希望していたのはユンスだった。 (c) 2006 Bear entertainment co., ltd. (c) Prime entertainment co.ltd. All rights reserved 『ラブレター 〜パイランより〜』『力道山』のソン・へソン監督の最新作。 作家のコン・ジヨンの同名小説が原作です。 カン・ドンウォンが死刑囚を演じることで話題になりました。 死刑囚の男と自殺未遂を繰り返す女が、毎週木曜日の10時から1時まで刑務所で会い、 次第にお互いの傷を理解していきます。 面会を重ねるたびに、二人の気持が次第に通じ合っていくところがとてもよく出ていました。 見守るイ主任役のカン・シニルもいいです。 慶尚南道出身のカン・ドンウォンが方言で話しているようですが、 違いがわからなくて残念。 試写でそんなに泣くことになると思わず、ティッシュもハンカチもバッグに入れたまま。 音を立てないように取り出すのに苦労しました。用意しておきましょう。(白)
久しぶりに納得のいく韓国映画を観ました。韓国映画お決まりの、泣け泣け光線たっぷりの音楽は無し!
2006/韓国/カラー/120分/ |
●『ルネッサンス』(原題:PARIS 2054 RENAISSANCE)
監督:クリスチャン・ヴォルクマン 2054年、パリ。医療関連のコングロマリット、アヴァロン社の女性研究者イローナが誘拐された。アヴァロン社のCEOダレンバックは警察に捜査を依頼。レパラス警部が捜査にあたる。レパラスはイローナが最後に会っていた姉のビスレーンの線から洗い始める。しかし、彼の捜査の後をつけ回る怪しい影があった。レパラスは捜査を進めるにつれ、誘拐事件の背後にうごめく恐ろしい計画を知っていく。 凝りにこった3Dアニメーションを敢えてハイコントラストな白黒映像にし、これまで見たことのない独自の映像世界を見せています。『ブレードランナー』や『攻殻機動隊』といった数多くのSF映画の秀作を観て育ったヨーロッパの若いクリエーターたちが出した、ひとつの素敵な返信です。サスペンス・アクションの王道をいく展開ながら、スピーディーで、背景に生命科学研究の発展がもたらす危険性を描いていて、興味深いものがあります。新ボンド役のダニエル・クレイグが主人公の声をやっているのも話題。近未来のパリの造形も面白いですが、ガラスの立体交差する歩道は、スカートをはく女性にとってはありえないな(笑)。(梅)
フランス・イギリス・ルクセンブルク合作(英語)/2006年/シネマスコープ/ドルビーSRD/106分 公式 HP >> http://www.renaissance-movie.net/ ★7月14日(土)、シネセゾン渋谷、吉祥寺バウスシアター、ユナイテッド・シネマ豊洲ほかにて、全国ロードショー |
●『童貞ペンギン』FARCE OF THE PENGUINS
監督・脚本・製作:ボブ・サゲット 毎年3月、数百羽の皇帝ペンギンの一団が花嫁を求めて、70マイルの旅をします。童貞ペンギンのカールは、まだ見ぬ伴侶を夢見て、親友のジミーと歩いています。そして純情なメリッサ、いけいけなヴィッキーたち♀ペンギンの群れも、そわそわと彼らを待っています。ホンモノの愛と幸せは手に入るのでしょうか?
大ヒットした『皇帝ペンギン』と同じく、実写版のペンギン物語。
写真はこんなペンギンたちですよという「イメージ」。
こんな格好をしてるわけではございません。念のため。
サミュエル・L・ジャクソンのナレーションも初めッから下ネタ満載。映像が似ていても、ナレーションとセリフが変わるととんでもなくおかしくなり、まるでコントを見ているようでした。ペンギンたちは、そんなセリフがついているとは知らずに、ひたすら本能のままに異性をめざします。一列に並んでのよちよち歩きも可愛いです。しかしなぜ毎年毎年子供を育てた後、遠く離れて暮らすのでしょう?謎です。
2006/アメリカ/SRD・SR/80分 公式 HP >> http://www.movie-eye.com/lineup/2006/08/farce_of_penguins.html ★7月14日(土)よりシアターN渋谷ほか全国にて公開 |
2007年7月17日〜8月31日 |
●「ヒロシマ、爆風ののちに」
2007年7月17日(火) -8月31日(金) 2005年8月、運命の2日、1945年8月6日と9日のちょうど60年後、 フランスで放送された『ヒロシマ、爆風ののちに』 と題された合計17時間にわたるラジオのドキュメタリー番組。 この番組を取材先である日本でも是非識ってもらいたいという思いから、 東京日仏学院で放送すると共に、写真展、映画上映、 シンポジウムなど「ピカドン」を巡る様々な分野に渡る一連の催しが行われます。
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2007年7月21日〜 |
●『ゴースト・ハウス』The Messengers
監督:オキサイド・パン、ダニー・パン ノースダコタの古い家に引っ越してきたジェスとその家族。 ジェスはシカゴで問題を起こし、3歳の弟は話すことができなくなり、 母親との関係も悪くなっていた。失業していた父親は、 そんな家族と生活の建て直しをしたいと田舎の家を買い取ったのだった。 一家が入居してまもなく、「家の買い手が現れて、上乗せした金額を払うと言っている」 と銀行員が訪れる。ひまわり畑の成功に賭けていた父親は独断で拒否する。 一方ジェスと幼い弟だけが家の中にいるものに気づいていた。 ジェスは不安を父母に訴えるが聞いてもらえない。 ひまわり畑にはカラスの大群が押し寄せ、 流れ者のジョンが追い払ったのをきっかけに雇われることになった。
サム・ライミが製作し、全米初登場1位という快挙をおさめたこの作品は、
オキサイド&ダニー・パン兄弟のハリウッド進出長編第1作。
『the EYE』がヒットし、リメイク権の争奪戦が話題となりました。
『レイン』リメイク版はニコラス・ケイジが製作・主演、その脚本・監督もするそうです。
人気です。
主演は『パニック・ルーム』でジョディ・フォスターの娘を演じていた、
クリステン・スチュワート。家族に信じてもらえないハイティーンを演じています。
この辺の事情もうすこし詳しいと良かったのになぁ。 脚本はパン兄弟ではないので、とってもアメリカっぽいお話ですし、ちょっと荒いです。でも、映像にはパン兄弟らしさがあります。舞台となる家がある場所の風景が、とても美しくて、どこだろうと思ったのですが、どうやらカナダでの撮影らしいです。(梅) 2007/アメリカ/カラー/90分/ビスタサイズ/ドルビーSRD、SDDS/配給:東宝東和 http://www.ghosthousemovie.jp/ 7月21日(土)より有楽町スバル座ほか全国ロードショー |
●『幸せの絆』(原題:暖春) 脚本・監督:ウーラン・ターナ(烏蘭塔娜) 80年代末、とある村にゆき倒れになっていた小さな女の子が運び込まれる。村は貧しく、どこの家も少女を引き取ろうとはしない。しかし一人のおじいさんが不憫に思って家に連れ帰る。目覚めた少女・小花(シャオファ)はひどく怯えた様子で、「家に送り返さないで、ここに置いて」と懇願するのだった。聞けば両親も祖母も相次いで亡くなり、親戚の家にあずけられるもろくに食べさせてもらえず、暴力を振るわれていたらしい。おじいさんは小花の村の村長と相談の末、引き取ることにする。優しいおじいさんとの生活は小花にとっては夢のようだが、おじいさんの息子とその嫁はただでさえ生活が苦しいのにと面白くない。何かと小花に辛く当たるのだが、小花は受け入れてもらえる日を夢見て、一生懸命に尽くすのだった。 内モンゴル出身の女性監督の初監督作品で低予算映画ながら口コミで大ヒットしたというこの作品は、中国メディアには”大催涙弾”映画と称され、多くの映画館で”感動しなかった観客、泣けなかった観客には、入場料を払い戻します”というキャッチフレーズで上映した結果、払い戻しを請求した観客は一人もいなかったそうです。確かにひたすら健気に尽くす少女に涙を搾り取られるような感じです。何だか小林綾子さんが演じた「おしん」を思い出しました。映画では貧しくて生きるのに必死で殺伐とした村人たちの心を、おじいさんの優しさと少女の健気さが変えていきます。現在は拝金主義で殺伐とした中国の人々の心を、この映画は潤してくれたのかもしれません。(梅)
2003年/中国/89分/35mm/カラー/ドルビーSR/日本語字幕:加藤正純 ウーラン・ターナ監督 (2006年あいち国際女性映画祭にて、宮崎暁美撮影) |
●「中国映画の全貌2007」 香港返還10周年、日中国交正常化35周年の今年、毎年恒例の「中国映画の全貌」が場所を新宿K's cinemaに移して開催されます。 開催期間:7月21日(土)〜9月7日(金) 新宿K's cinema HP >> http://www.ks-cinema.com/ |
●『インランド・エンパイア』 監督・脚本:デビッド・リンチ
ニッキーはハリウッドの女優で、街の実力者を夫に持ち、豪邸に暮らしている。ある日、奇妙な訪問者から不気味な予言を聞き、困惑するが、その後キングスリー監督の新作『暗い明日の空の上で』に主演することが決まり喜ぶのだった。
「うーん、わからない…だってリンチだもんっ」と半ば開き直ってしまう『インランド・エンパイア』。 リンチ作品というと『デューン/砂の惑星』と『ストレイト・ストーリー』くらいしか体験していない私には、これはかなり強烈なインパクトを残しました。ついついストーリーを追おうとしてしまう(また追いたくなるような思わせぶりがいっぱいあるんだ)のですが、最後にいたって「この映画はそういう楽しみ方をすべきじゃないな」と気づいた次第。まずは悪魔的魅力を持つ映像と音楽に浴するのが一番。後でそこに隠されているかも知れない意味をあれこれ考えて楽しむ。そしてどうしてもわからなくて、気になって悔しいなら、また観に行けばいいのです。リンチの思うつぼです。(梅) 何も知らないでデビッド・リンチの初洗礼を受けた私は、 もう、めくるめく世界にクラクラ。交錯する現実と非現実...。 アイロンをかけるウサギ人間には、もう、たまげました。 そして、強い印象を残したのが、たどたどしい英語で一生懸命語る東洋系のホームレスの女の子。 どこかで見たような...と思ったら、裕木奈江さん! 長まわしで一言もカットなしで登場だそうです。 かと思えば、ナオミ・ワッツは、声だけの出演という、なんとも贅沢なキャスティング。 いやもう、リンチ世界に降参です。(咲)
2006年ベネチア映画祭 栄誉金獅子賞 受賞 公式 HP >> http://www.inlandempire.jp/index_yang.html
アニエスベー presents INLAND EMPIRE写真展 |
2007年7月28日〜 |
●『モン族の少女 パオの物語』
監督・脚本:ゴー・クアン・ハーイ
ベトナム北部の山岳地域に住む少数民族モン族の家父長制が色濃く残る旧家に生まれたパオ。
子供を生むことができなかった母キアの代わりに、
子供を生むための女性シムが連れてこられ、パオが生まれた。
生みの親シムと育ての親キア、二人の母と17歳のパオをめぐる3人の女性の数奇な運命を描いた作品。
2006年/ベトナム /97分/カラー/ドルビーSRD-EX/ヴィスタ(1:1.85)/35mm
★シアターイメージフォーラムにて7月28日ロードショー公開!
>> Web版特別記事 |
●『陸に上がった軍艦』
監督:山本保博 1944年春。召集令状を受け、32歳で広島呉海兵団に、 二等水兵として入隊した新藤兼人は、同年6月に、宝塚海軍航空隊に配属、 翌年上等水兵で敗戦を迎えた。この映画は当時の様子を、新藤兼人自らが克明に語り、 また彼の実体験をリアルに再現しているドキュメンタリー・ドラマです。 (C) ピクチャーズネットワーク
7月6日に名古屋同朋大学において、山本保博監督を迎え《映画人「新藤兼人」を語る》
が開催されました。お話の中心はやはりもうすぐ公開の『陸(おか)に上がった軍艦』です。
同期の100人の中で、生き残ったのは6人だけ…、皆、 戦争で個人の生活を根こそぎ破壊されたのだ。 何としても、戦争は二度としてはならない。その強いメッセージが伝わってくる。(美)
2007/日本/95分/カラー/ドルビーSR/アメリカンヴィスタサイズ |
●『天然コケッコー』
監督:山下敦弘 右田そよは中学2年生。山と田んぼと畑に囲まれた全校生徒6人の分校に通っている。 みんなが知り合いのこの村で、子供たちは家族のように仲が良い。小学生は3人。 まだ一人でトイレに行けない1年生のさっちゃんに、元気な2年生のカッちゃん、 そよの弟の浩太郎は6年生。床屋の娘の伊吹と、漫画好きの篤子が中学1年生。 ここへ転校生の大沢広海が入ってきた。そよの初めての同級生は、 東京から来た「イケメンさん」だった。 そよの父親は、広海と親しくなることを厳しく禁じ、そよは不思議でならない。 ©2007「天然コケッコー」製作委員会 くらもちふさこの漫画を読んだプロデューサー氏が映画化を切望し、 10数年たってようやく実現したものだそうです。 原作と作者の大ファンだという脚本家渡辺あやが、セリフを大切に生かし、 『リンダ リンダ リンダ』の山下敦弘監督がユートピアのような田舎の日常を丁寧に見せてくれます。 天真爛漫な子供たちの一年が、原作と同じ村の中で再現されています。 「もうすぐ消えてなくなるかもしれんと思やあ、 ささいなことが急に輝いて見えてきてしまう」というそよのセリフに、 「そうそう、そうなんだよね」と頷いてしまいました。 小さな宝物をそっと渡された気分になった作品です。(白)
2007/日本/2時間1分/カラー/ヴィスタ/ドルビーデジタル |
●『夕凪の街 桜の国』
監督:佐々部清
〜 夕凪の街 〜
原作は平成16年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞や第9回手塚治虫文化賞新生賞などを受賞し、各メディアでも絶賛されたマンガです。映画を観た後に早速買い求め読みました。103ページの短い作品ですが、原爆の恐ろしさの本質を、静かな語りで鮮やかに見せていて、非常に深い感銘を受けました。
2007年/日本/35mm/カラー/ビスタ/ドルビーデジタル/118分 公式 HP >> http://www.yunagi-sakura.jp/ ★7月28日(土)より、全国ロードショー |
●『ヒロシマナガサキ』(原題:WHITE LIGHT/BLACK RAIN: The Destrucion of Hiroshima and Nagasaki)
監督:スティーヴン・オカザキ
スティーヴン・オカザキ監督は1991年に『待ちわびる日々(Days of Waiting)』でアカデミー賞短編ドキュメンタリー部門でオスカーを受賞しているドキュメンタリー映画作家です。監督は1981年に初めて広島を訪れ、1982年に『生存者たち(Suvivors)』という作品を発表しています。それ以来、被爆者たちの取材を続け、2005年に制作した『マッシュルーム・クラブ(The Mushroom Club)』はアカデミー賞にノミネートされました。そして、25年にわたる取材の集大成として今年制作されたのがこの『ヒロシマナガサキ』です。
転勤族だったころ、長崎に3年住みました。
子供たちが通ったのは爆心地から近い山里小学校です。
かつてたくさんの死傷者が運び込まれたところ。
地元ですから原爆や戦争についての平和教育は熱心で、
8月6日、9日に何があったか誰もが知っていました。
このフィルムの冒頭の若い人たちには答えられません。
それにひゃーと驚きました。
時間が確実に風化させているのですね。
唯一の被爆国の日本がこれでは、他の国での認知の程は想像に難くありません。
マスコミ試写になかなか伺えないでいたら、本作に興味を寄せていた戦争体験者の母が、聖路加国際病院理事長、日野原重明氏の講演付きの試写に当たったので、一緒に行ってきました。「『ヒロシマナガサキ』をとおして、いのちと平和を語る」と題し、95歳にもなる日野原氏が30分間立ったまま、「この映画を数多くの人に観てもらって、“いつか来た道を再びもどらないように”立ち上がって欲しい」と熱く語る姿に感銘を受けました。 ★2007年7月28日(土)より岩波ホールにてロードショー 他全国順次公開 |
●『リトル・チルドレン』LITTLE CHILDREN
監督:トッド・フィールド サラ・ピアースはボストンの郊外に引っ越してきたばかり。 夫のリチャードが仕事で成功して家を買ったのだ。 3歳になる娘と「公園デビュー」を試みるが、 女子高生のようなお喋りばかりしている近所の主婦達の仲間には入れずにいた。 ぎこちないつきあいをするうち、 彼女たちが「プロム・キング」と呼んでいるハンサムな主夫ブラッドと知り合う。 サラのちょっとしたいたずら心が二人を急接近させ、 ブラッドの妻キャシーの疑うところとなってしまった。
中流家庭の主婦サラのブラッドへの思いを中心に、
刑期を終えて町に戻ってきた性犯罪者ロニーとその母親、
ロニーにいやがらせをする元警官などのエピソードをからませてストーリーが進んでいきます。
他の母親たちと距離を置いて初めはクールで知的な雰囲気だったのに、
ブラッドに恋するやただの女の子になってしまうサラをケイト・ウィンスレット、
やり手の美人妻に頭のあがらないブラッドをパトリック・ウィルソンが好演。
その行状が痛すぎて苦笑させられます。
2006/アメリカ/カラー/137分/ドルビーデジタル/SDDS |
●『フロストバイト』 原題:frostbite
監督:アンダシュ・バンケ
第2次世界大戦中のウクライナ。本隊からはぐれた北欧義勇兵たちが森の中の小屋に逃げ込む。その小屋から小さな棺桶を故国に持ち帰る兵士。 太陽の光に弱いヴァンパイア。太陽がほとんど顔を見せないこの季節は、ヴァンパイアにとって敵なしの天国。次から次と今どきの若い子たちがヴァンパイアになっていく光景には、もう笑うしかない! 最初の戦時下の緊張した雰囲気とのギャップに戸惑うばかり。スウェーデンの若手監督の奇抜な発想に、怖さよりもユーモアを感じた次第。(咲)
提供:アミューズソフトエンタテインメント 公式 HP >> http://www.blood-movie.jp/frostbite/ ★7月28日、東京・シアターN渋谷にてレイトショー |
2007年8月4日〜 |
●『水になった村』
監督 大西暢夫
岐阜県の徳山村にダ厶ができると知ったのは30年くらい前。 MIYA 『水になった村』公式HP http://web.mac.com/polepoletimes/ 増山たづ子さんの写真集 「故郷 〜私の徳山村写真日記〜」も、下記のアドレスで見ることができます。 http://wwwsoc.nii.ac.jp/jdf/Dambinran/binran/TPage/TP1130Masuyama.html |
●『トランスフォーマー』
監督:マイケル・ベイ
1897年南極、一人の探検家がクレバスに落ち、とてつもないものを発見した。 「トランスフォーマー」は1980年代に当時のタカラが発売したおもちゃ、 変身ロボットのシリーズの総称だそうです。 アメリカでアニメにもなって(今カートゥン・ネットワークでも放映中)大ヒット、 製作総指揮のスティーブン・スピルバーグも大ファンなのだとか。 実写版のこの作品は世界最大の自動車メーカーGM社、 そしてアメリカ軍の全面協力を得て作られています。 メカの懲りようが尋常ではありません。みんな子供心を忘れない大人なのねぇ。 アメリカでは7月3日に公開されるや、『スパイダーマン』1,2を破り、 全米の記録を塗り替えています。車、ロボット、飛行機などのメカ&戦闘好き男子は必見!(白)
2007/アメリカ/2時間24分/シネマスコープ/パラマウント映画+ドリームワークス映画提供 |
●『消えた天使』The Flock
監督:アンドリュー・ラウ 公共安全局の管理官エロル・バベッジは引退を間近に控えている。 18年もの間、性犯罪者を追い続け、バベッジは心身ともに消耗していた。 最後の仕事は後任の女性管理官アリスン・ラウリーのトレーニング。 アリスンは、規則破りをするバベッジに呆れるが、少女が行方不明になり、 バベッジと事件を負うことになる。 バベッジは自分の追っていた性犯罪者たち(Flock)のしわざと言い切り、 かすかな手がかりをもとに少女を探し始めた。
アンドリュー・ラウ監督、ハリウッド進出第1弾。
2007/アメリカ/カラー/シネスコ/105分/R-15 |
●『怪談』
監督:中田秀夫
『リング』の中田秀夫監督が五年ぶりに、
三遊亭円朝の傑作「真景累ケ淵(しんけいかさねがふち)」を題材に、
深い因縁に裏打ちされた男女の愛憎を描いた怪談。 とにかく色彩の上品さに目が奪われました。 また、案内役の一龍斎貞水の渋く深みのある声が、 これから起こる奇縁の不思議を感じさせてくれます。 脚本も、現在の日本語アクセントは、ちらりとも出てこない。 特に主演二人の言葉使いは江戸情緒たっぷりです。怖い場面も多々ありますが、 音楽が恐怖感を煽りたてていないので、怖いのダメ!という方にも、 これはお薦めできる「怪談」です。(美)
怖い話はちょっと...と思いながら試写に出かけ、予備知識なしに見始めたら、
キャストに大好きな榎木孝明さんの名前が...。しかも、冒頭に登場!
雪の降る夜、借金の督促に訪れた按摩師の皆川宗悦を斬り殺してしまう武士、
深見新左衛門というのが、榎木さんの役どころ。
愛憎劇の主人公、豊志賀と新吉の因縁は、この出来事にあるのでした。
美と恐怖、愛と憎しみの、この映画『怪談』は世界50ケ国で、配給が決定。 |
●『おやすみ、クマちゃん』
監督:ルツィアン・デビンスキ、マリアン・キェルバチャク、ヤドゥガ・クドゥジッカ、ダリウス・ザヴィルスキ、エウゲニウシュ・イグナチュク
音楽:ピョートル・ヘルテル 『おやすみ、クマちゃん』は1957年から50年に渡り、ポーランドをはじめヨーロッパ諸国で愛されている、幼児向けアニメです。ポーランド国営放送と国営人形アニム・スタジオ<オ・マ・フォル>が共同制作した104本の人形アニメーションは、ポーランドを代表する挿絵作家、ズビグニエフ・ルィフリツキ(1922〜1989)が絵を担当しています。おもちゃ屋の棚に並んでいたこぐまのぬいぐるみが表へ出て、いろんな仲間と友だちになり、愉快な体験をします。今回の劇場公開は、シリーズの中から厳選した10話を、春夏編と秋冬編に分けて上映されます。
これを観た方は、きっと無垢な幼児期にタイムスリップできますよ。 おみみが目印のクマちゃんは、クマではありません。ぬいぐるみのクマなんです。だから「木になんて登れないよ、ぼくぬいぐるみだもん」なんて言ったりします。あまりの可愛らしさに観ている間中、目尻が下がりっぱなし。子供たちに対する教育的なものも、さりげなく入っていていいんです。小さな子供だけでなく、大人が観ても楽しめて癒されますよ。(梅)
カラー/ポーランド/80分(途中休憩あり) 公式 HP >> http://www.oyasumi-kumachan.com/ ★8月4日(土)より恵比寿ガーデンプレイス内 東京都写真美術館にて |
2007年8月11日〜 |
●『トランシルヴァニア』TranSylvania
監督・脚本・音楽:トニー・ガトリフ(『ラッチョ・ドローム』『ガッジョ・ディーロ』『愛より強い旅』) 人けのないトランシルヴァニアの静かな村に、フランスからやってきた二人の女性、 ジンガリナとマリー。 ジンガリナは結婚目前に姿をくらましてしまったロマ族の音楽家ミランを探しにやってきたのだった。 占い師の女は、「男もあなたを想って泣いている」と言うが、 祭礼の夜に再会したミランは「愛してなんかいない」とジンガリナを突き放す。 身ごもっていることも言えずに、ロマ族の衣装に身を包み、親友マリーとも別れ、 一人で荒涼としたトランシルヴァニアを彷徨うジンガリナ。 やがて、彼女はチャンガロという得体にしれない男と出会う。 チャンガロは、 村人たちから古い貴金属や骨董品を買い取っては売りさばいて金を手にしている。 いつしか行動を共にする二人。 やがてジンガリナは雪深い道を走っているとき、車の中で産気づく...。 自らのルーツの一つである流浪の民ロマ(ジプシー)をテーマに映画を撮り続けているトニー・ガトリフ。 愛を求めて世界の果てを彷徨う女を描いた、監督初の女性が主人公の映画である。 ロマの魂が乗り移ったようなジンガリナを演じたアーシア・アルジェントは、 曾祖母の一人がロマだという。自らも映画監督として活躍するアーシアの存在感は凄い。 ジンガリナと共にトランシルヴァニアを彷徨う男チャンガロを演じたのは、 トルコ系ドイツ人監督ファティ・アキンの『愛より強く』で独特の雰囲気をはなっていたトルコ人俳優ビロル・ユーネル。 そして、この映画の何よりの魅力は、トランシルヴァニアの人たち。 年輪を感じさせる老人たちがなんとも味わい深い。 ルーマニア東部のこの地は、ルーマニア、ハンガリー、ロシアの文化が交じり合い、 ロマ族、ハンガリー人、ルーマニア人、ドイツ人などが共存して暮らすところ。 この地の様々な音楽にインスピレーションを受けて トニー・ガトリフとデルフィーヌ・マントゥレが作り出したサウンドは、 力強い中に哀調を感じさせてくれて心に響く。悪魔祓いや祭礼の呪術的世界も魅力。(咲)
2006年/フランス/35mm/カラー/シネマスコープ/ドルビーSRD/102分
★8月11日(土)より、情熱のロードショー!!! 渋谷・シアターイメージフォーラム |
●『ドッグ・バイト・ドッグ』(原題:狗咬狗) 監督:ソイ・チェン 脚本:セット・カムイェン、マット・チョウ 撮影:フォン・ユン・マン 美術:シルバー・チャン 編集:アンジー・ラム キャスト:エディソン・チャン、サム・リー、チョン・シウファイ、ペイ・ペイ、ラ ム・シュー 香港の高級レストランで殺人事件が発生した。殺されたのは、弁護士のリー婦人。 容疑者のパン(エディソン・チャン)を、プロの殺し屋と推測したベテラン刑事リン (ラム・シュー)とワイ刑事(サム・リー)は、容疑者を追い詰めるが、パンは人質を殺し、説得に当たったリン刑事も刺殺する。怒りを覚えたワイは、パンに銃を向けるが、パンは無抵抗で取り押さえられ、パトカーで連行。しかし、一瞬の隙に、片手 を手錠から外し逃亡する。ワイの執拗な捜査が進むにつれ、パンの生い立ちが次第にわかってくる…。 これは観ていて息つく暇がない! 一瞬一瞬が、えっ? これは現実にあること? いやいや、まさか! の連続です。
夏の暑さを乗り切るには、この一本は見逃せない! 公式 HP >> http://www.dogbitedog.jp/ ★8月11日(土)より 新宿武蔵野館ほか全国ロードショー |
●『呪怨 パンデミック』(原題:The Grudge 2)
監督:清水崇 東京のインターナショナルスクールに転入したばかりのアリソンは、友達になりたくて、クラスメートのヴァネッサとみゆきにつれられるまま、最近火事のあった都内の有名な幽霊屋敷にやってくる。二人の悪ふざけで、押し入れに閉じこめられたとき、アリソンは恐ろしいものを見てしまう。その日以来、彼女たちに異様な蔭がつきまとう。 カリフォルニアのオーブリーの元に、東京にいる姉のカレンが入院したと連絡が入る。東京の病院へと駆けつけるが、カレンはある家への放火の容疑で警察の監視下にあった。カレンを助けた香港の記者イーソンは、カレンが火を放った家でかつて起きた無理心中事件と、その後頻発する謎の連続死を調べていた。イーソンはオーブリーにそのことを告げるが、そのとき二人の目の前でカレンは謎の転落死を遂げる。 シカゴに住む少年ジェイクは、家に父の再婚相手が引っ越してきて、多少複雑な気持ちを抱えていた。時を同じくして、ジェイクの隣家の娘が帰ってきたようだが、それ以来、隣からは異様な物音が聞こえ、アパート全体の空気がよどんでいく。 2002年『呪怨』、2003年『呪怨2』、2004年『THE JUON/呪怨』と続いてきた呪怨ワールドが、更に国際的スケールをもって展開されます。伽椰子と俊雄の怨念の増大はもはや誰にも止められず、パンデミック(感染爆発)へと突き進みます。わたしはホラーを観てもなかなか怖いと思わないのですが、何気ない日常生活の中に異形のものが唐突に現れる瞬間が一番ゾォッとします。この作品にはそういう瞬間がいくつかあって、久しぶりに怖っ!と思いました。香港からエディソン・チャンがとっても良い役で参加しています。怖くてもファンは必見。(梅)
2006年/アメリカ/カラー/35mm/ヴィスタサイズ/ドルビーSR・SRD・DTS・SDDS/92分 公式 HP >> http://ju-on.jp/index_pc.html ★8月11日より、池袋シネマサンシャイン、新宿トーア、TOHOシネマズ六本木ヒルズほかにて先行ロードショー! 18日より全国ロードショー!! |
2007年8月18日〜 |
●『キャプテン』
監督・脚本:室賀厚 墨谷二中に転校してきた谷口タカオは、内気で野球好きな3年生。 野球部に入部申込みに行くと、キャプテンが受験準備のために退部したばかりだった。 谷口のユニフォームが中学野球の名門、青葉中の野球部のものだったことから、 お調子者の2年生の丸井にキャプテンに担ぎ出されてしまう。 実は谷口が在籍していたのはたった3ヶ月。 青葉では補欠の補欠でタマ拾いしかしたことがなかったのだ。 しかし、まぐれで場外ホームランを打ち、谷口は誤解を解くまもないまま、 陽南中との練習試合が決定してしまった。 この試合で、守備も打撃もボロボロなのがナインにわかってしまう。 谷口はキャプテンを降りようとするが、父に励まされ、 サブを相手に毎晩猛特訓を始める。
恒例の甲子園の野球に沸き返っている今日この頃ですが、
野球少年&野球好きならこの「キャプテン」を一度ならず読んだはず。
1972年月刊少年ジャンプに掲載され、後にコミック化されています。
私も当時大好きで、この後日談になる「プレイボール」まで揃えて持っていました。
実写版と漫画は違うものですが、
キャラクターの雰囲気を伝える子たちがそれぞれ集められたなぁと思います。
試写室でも懐かしい〜という声がいっぱいでした。
2007/日本/カラー/98分/シネマスコープ/DTSステレオ |
●『純 愛』*日中共同映画
製作総指揮・脚本・主演 小林桂子 1945年夏、中国。 戦争が終わり、開拓団の集会所で愛と俊介の結婚披露宴が行われていた時、銃声が轟く。 逃げ惑った二人は村人、山麓(シャンロン)に助けられる。 山麓の年老いた母親は、日本軍に夫を殺されたショックから口がきけないが、 優しく二人を受け入れる。 数日後、日本への帰国を夢見て 近くを通る鉄道に飛び乗ろうとするが、 そこには国民党の軍人。とっさに愛の手を離して逃す俊介。 そして聞こえてきた銃の音。 山麓のところに戻った愛は、俊介の子を宿していることに気づく。 「父親になる」と愛に告げる山麓。そして三年後、死んだと思っていた俊介が訪ねてくる。が、愛が親子三人幸せに暮らし ている姿を見て、俊介は静かに立ち去る。 *きっかけは中国残留婦人から聞いた実話 *主題歌「INORI」誕生秘話
製作:K' project 1 日中共同映画「純愛」製作実行委員会・ Keis' company |
●『スプリング☆デイズ』
監督・脚本:越坂康史 千春は全寮制の女子高一年生。 映画製作を夢見る彼女は、夢に一歩近づこうと放送研究部に入るが、 下っ端の仕事は雑用ばかり。 ある日、放送室の片隅に眠るUHF発信機を見つけた千春は、同室の智恵美に、 オールナイトの海賊放送を実行しようと持ちかける。 実行日は試験の終わった夜。 同級生達には大いに受けた放送も先生たちにばれてしまい、 1週間のトイレ掃除を言い渡される。 そんなことにもめげず、長井秀和演じる担任の先生から、 ビデオカメラを奪うように借りて、千春たちは映画製作に挑戦する。
千春たちが劇中で製作する映画『学校の怪人』の主演は、
今年の「週刊ヤングジャンプ」制服コレクションでグランプリに輝いた川原真琴。
相手役は、『爆竜戦隊アバレンジャー』の加々美正史。
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●《シネマコリア2007》
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●『酔いどれ詩人になる前に』FACTOTUM
監督:ベント・ハーメル
チナスキーは自称作家で詩人。
あふれ出てくる言葉を書き付けては、ポストに投函する。
『クラッシュ』で存在感を見せつけたマット・ディロンがオールド・パンクと呼ばれた作家、
チャールズ・ブコウスキー(役名はチナスキー)を演じています。
この人、身体が四角くがっちりしていて労働者風になりました。
もっと細かった『ランブルフィッシュ』『アウトサイダー』あたりから観ていますが、
いい感じに年取っています。ニコラス・ケイジと同い年です。
2005/アメリカ、ノルウェー合作/94分/カラー/アメリカンビスタ/ドルビーデジタル |
●『ベクシル ‐2077 日本鎖国‐』
監督:曽利文彦
21世紀初頭、人類に延命効果をもたらしたバイオ・テクノロジーやロボット産業が、急速に発展を遂げたことで、日本は市場を独占し、世界を大きくリードしていた。しかし、様々な危険性を指摘されるようになると、国連はこれらの技術を厳格に規制する事を求めた。だが日本政府は反旗を翻し、2067年、完全鎖国をスタートさせた。
完成度の非常に高い3Dライブアニメです。監督は『ピンポン』の曽利文彦。監督は「今のテクノロジーの進歩は、知らず知らずのうちに、人間を孤立化に向かわせている。この恐れを日本鎖国という設定で、警鐘を鳴したかった」と語っています。
2007/日本/カラー/アニメーション/109分 公式 HP >> http://www.vexille.jp/ ★8月18日(土)より全国ロードショー |
●『WHITE MEXICO』
監督・脚本・原案:井上春生
東京湾近くのバス停で、青森行きの長距離バスを待っている男がいた。その足元には札束のつまった紙袋。
映像と音楽の新たなカタチを創造する"cinemusica"シリーズの第3弾。前2作も井上春生監督作。 娘を亡くした主人公が、どさくさまぎれに手に入れた大金を、娘が憧れて会いに行こうとしていた元神父のプロレスラーの主宰するメキシコの慈善プロレス団体に寄付するという突拍子もない発想は、NPO法人クロスアーツの副代表理事を務める井上監督ならでは。監督は、この秋にアフガニスタンとの合作劇映画の製作総指揮をされるとのことで、先日、ペルシア語通訳の本間梨江さんの結婚式二次会でお会いしたのでした。スタッフ日記2007年6月第1週に、花嫁花婿と一緒に写っている写真を掲載しています!(咲)
2007/日本/カラー/70分
公式 HP >>
http://www.white-mexico.jp/
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●『長江哀歌(ちょうこうエレジー)』(原題:三峡好人 英題:STILL LIFE)
監督・脚本: ジャ・ジャンクー(賈樟柯)
三峡ダムの建設で沈む運命にある奉節(フォンジェ)の町。山西省からやってきた炭鉱夫ハン・サンミンは、船を降りるなりマジックショーに連れ込まれ、金を巻き上げられそうになる。マンゴー柄のタバコのパッケージの裏に書かれた住所を頼りに、16年前に別れた妻子を探しに行くが、すでにそこは水に沈んでいた。安宿に腰を落ち着け、妻の兄の居場所を聞き込み訪ねていくが、サンミンの差し出す酒を義兄は受け取らない。
烟(タバコ)、酒、茶、糖(アメ)をキーワードとして、解体工事の音が響く古都奉節を舞台に人々の人生が語られる。2000年以上の歴史を持つ町が、わずか2年間で取り壊されることに、中国の今の状況が集約されていると感じた監督。急速な変化の中で、現実に立ち向かい精一杯生きている人々に感銘を受けて、本作を撮ったという。
壊れかけた町の中で、壊れかけた関係を修復しようと模索する二組の男女。一方は古い関係を断ち切って新たな人生を歩き始め、もう一方は細々と続いてきた縁を諦めることなく繋ぎとめようとする。前者には未來に向けた力強さを感じ、後者には過去を捨て去らない頑固さに愛しさを覚える。監督は消えゆく街に対する相反する感情を、二人の人物に重ねているようんだ。
●2006年ベネチア国際映画祭金獅子賞グランプリ 公式 HP >> http://www.bitters.co.jp ★8月18日(土)より、シャンテシネほか全国順次ロードショー! |
●『阿波DANCE (アワダンス)』 画像:(c)2007「阿波DANCE」Film Partners
監督:長江俊和 プロデュース:森谷雄、西前俊典
阿波踊り「伝統芸能」 × ヒップホップ「若者文化」=“阿波DANCE” 出演作の続く榮倉奈々と勝地涼ら若手俳優が主演。 カーリングに挑戦する女の子たちを描いた『シムソンズ』 のクリエイターチームが送り出すさわやか青春ドラマです。 東京からやってきたクールな女の子と、地元の熱い男の子が初めは反発しあいながらも、 すこしずつ理解していくという王道のストーリー。 母と娘、父と息子の関わりや、ちょっとしたロマンスや男の友情も加味されて、 じんわりさせられました。お爺ちゃんやお父さんのなんでもないセリフにもぐっときます。 大盛り上がりの阿波踊りのシーンは圧巻です。 民謡と三味線が得意な榮倉奈々がヒップホップに、 歌や踊りは苦手な勝地涼が阿波踊りに燃える男に挑戦しています。 勝地涼はこういうまっすぐな熱い男の子役似合いますねぇ。 振り付けはKABA.ちゃん。(白)
2007/日本/カラー/111分/配給: CKエンタテインメント |
2007年8月25日〜 |
●『たとえ世界が終わっても』Cycle soul apartment
監督・脚本:野口照夫
真奈美は会社の同僚や上司に「このごろ痩せたね」と声をかけられた。
実は亡くなった母親と同じ病気なことがわかり、余命数年と宣告されていたのだ。
インターネットで自殺サイトを見つけ、
参加しようと待ち合わせ場所の小さな駅に降り立った。
同行するのは若い男性と女性が一人ずつ。
サイトの管理人の妙田は「お久し振り」と真奈美を迎える。 『演じ屋』『駄目ナリ!』の野口監督の初長編作品。 芦名星(あしなせい)はモデルやTV出演を経て、カナダ、フランス、 日本の合作映画『シルク』のヒロインに抜擢。今後の活躍が期待される。 妙田が真奈美と引き合わせる長田には演劇ユニットTEAM NACSの安田顕。 長田の両親役に平泉成、白川和子が配されてドラマを引き締めます。 活躍著しい大森南朋が物語のキーマンである妙田を演じて、一ファンの私は嬉しかったです。 彼の上着の背中の模様が気になっていたのですが、観ていくうちに「あ、なるほど」と。 これは狙ったんですよね(>衣装さん)。 邦題より英語題が内容に合ってわかりやすい気がします。(白)
2007/カラー/HD/98分 |
●『TAXi4』
監督:ジェラール・クラヴジック
人気のシリーズ4作目。ダニエルとエミリアンの二人は今日も快調!?
超VIPサッカー選手のジブリル・シセを乗せ、純白のタクシー、
プジョー407を駆ってサッカースタジアムを目指す。
試合開始に遅れるわけには行かない。
エンジン全開最大最速の312.8km/h、見事ピッチに滑り込んだ! コンビは共に父親になっていました。それぞれの可愛い息子は、 ちゃんと似た子供を選んだそうです。もう一人?の主役、 車もパワーアップして「プジョー406」から「プジョー407」へ。 見た目もカッコよくあれこれ仕様も増えていて、車好きにはたまらないでしょう。 元スーパーモデルのエマ・シェーベルイ=ヴィークルンドの活躍ぶりはクール。 彼女以外ここの警察官みんなヘンですけど、 ベルナール・ファルシー扮する署長のぶっ飛びぶりには目が点。 フランスのコメディ好きはぜひ。(白)
2007/フランス/カラー/91分/スコープサイズ/ドルビーデジタル/ |
●「韓流シネマ・フェスティバル2007 ルネサンス」 作品主義宣言!新たなる“韓流映画の魅力”を伝える“ルネサンス”全21作品上映決定!
期間:2007年8月25日より 公式 HP >> http://www.cinemart.co.jp/han-fes2007/ ●上映作品:21本
◆シネマート六本木 シネマート六本木公式 HP >> http://www.cinemart.co.jp/theater/roppongi/
◆シネマート心斎橋 |
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●『ショートバス』
監督・脚本:ジョン・キャメロン・ミッチェル カップル・カウンセラーのソフィアは、いろいろなカップルの相談に応じていたが、 実は自分にも悩みがあった。ジェイムズはセルフビデオを撮っているハンサムなゲイ。 ジェイミーとカップルだが、ジェイミーの愛が強くて重い。 二人の関係を少し拡げようとソフィアの元を訪れた。 二人の参加している「ショートバス」というサロンにソフィアも行ってみると、 そこには本当のセックスと愛を求める人々が集っていた。 『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』のジョン・キャメロン・ミッチェル監督 5年ぶりの新作。いきなりぼかしの入ったシーンが続いて、 おばさんでもひゃーと固まりました。 でも、愛し愛され生きることに真剣なのねぇと思える優しさがありました。 映画の作り方がちょっと変わっていて、俳優達がみなオーディションテープを送り、 ワークショップに集められたのは最終選考に残った40人。全員がテープを見て、 自分が好きな相手に点数をつけてカップルを決めたのだそうです。 ワークショップの中から脚本を生み出していき、 即興演技を繰り返してシーンが積み重なっていったとか。だからリアルなんですね。 みんな濃いキャラですが、ジャスティン・ボンドが一番印象的。 ニューヨークの街並みのアニメーションと全編を彩る音楽がすごく好きです。(白)
2006/アメリカ/カラー/ヴィスタ/101分/R-18 |
●『親父』
監督:千葉真一・井出良英(共同監督) チンピラにいいように使われ、ボクサーを志しながらも荒れた生活を送る伸吾、夫の暴力に耐えかね実家に戻ってくる洋子、そんな2人の子供を心配しながらも温かい目で見守り続ける母・敏子の貧しい3人の生活。洋子を取り戻すため、ヤクザの夫・靖史がやってきて暴力を振るった時、17年前の火事で命を落としたはずの父・竜道が帰ってきた。今までの不在を詫びるかのごとく、様々な問題を解決していく竜道。そんな父の姿に、バラバラだった家族の絆が徐々に築かれていき、伸吾、洋子も新しい生活を始める決心をしていくのだが…。 先ほど引退を表明した千葉真一の千葉真一による千葉真一のための映画…といっても過言ではないでしょう。無口で頼りになる昭和の親父を演じられる役者が、千葉さんの他に今の日本の映画界にはいるのでしょうか? 68歳(撮影時は67歳)とは思えないキレのあるアクションは健在。私事ですが、ティーンエイジャーの頃にJACのファンだったので、何十回と千葉さんに(一方的に)お逢いしたことがありますが、本当にお変わりのない姿にご本人の努力を垣間見た気がしました。斉藤慶太さんの屈折した行き場のない怒り、北川弘美さんのダメ男を愛してしまった悲しみ、田中好子さんの子供たちを心配するだけで何もできない自分のふがいなさ、それぞれに感情移入ができると思います。そしてその感情を払拭する親父の存在感。男は黙って背中で語る…参りました。(ひ)
2006年/日本/ステレオ/カラー/108分 |
2007年9月1日〜 |
●『ファイアー・ドッグ 消防犬デューイの大冒険』
監督:トッド・ホランド ハリウッドの超人気セレブスター犬が、撮影中のアクシデントでただの迷い犬となってしまう。 見知らぬ街で火事に巻き込まれ、助けられた先は閉鎖目前の落ちぶれ消防署。 無理矢理世話を言いつけられた、ちょっと反抗的な消防隊長の息子シェーン。 彼に抜群の運動能力を発見され、 消防署のマスコット犬〈デューイ〉として救助活動にも大活躍! みんなの心をひとつにしていくが、消防署の管轄では不審火が続く。 実はその街にはある陰謀が隠されていたのだった…。 (c) 2007 Regency Entertainment (c) 2007 TWENTIETH CENTURY FOX 子供も大人も暖かい気持ちで映画館を後に出来るファミリー映画。 犬と暮らしたことのある人なら、 演じるアイリッシュ・テリアのつぶらな瞳に頬が緩んでしまうこと間違いなし。(了)
2006/アメリカ/カラー/1時間51分/シネマスコープ/ |
●『ウィッカーマン』The Wicker Man
監督・脚本:ニール・ラビュート カリフォルニア州の白バイ警官エドワード・メイラスは、母親と幼い娘が乗る車を停車させた。 娘が窓から落とした人形を渡そうとしたのだが、大型トラックがその車に激突! 炎に包まれる少女を助け出せないまま、メイラスは爆風で気を失う。 この事故で精神的ダメージを負った彼は、家に閉じこもり仕事に復帰できずにいた。 そこへ失踪したまま、なんの連絡もなかった婚約者ウィローからの手紙が届く。 彼女は生まれ故郷のサマーズアイルに戻っており、 「メイラスとの間にできた娘のローワンが行方不明になっているので助けてほしい」 と書かれていた。 サマーズアイル島でようやく会えたかつての婚約者は何かに怯えていて、 島の人々は頑なにローワンの存在を否定するばかりだった。 1973年の同名のカルト映画が元だそうです。 厳格なクリスチャン対異端の人々という図式だった前作を、現代風にアレンジしています。 ニコラス・ケイジ自身がこの前作を気に入って製作にあたっています。 物語の冒頭の、自動車事故で死んだはずの母娘の遺体が見つからない、 というあたりからこれはミステリーか、ホラーかしらとちょっとびくびく。 ニコラス・ケイジ、昔はゴキブリを食べるような役もやっていますので、何が出るやら。 メイラスと一緒に不安に陥りながらまだ見ぬ娘を探しましょう。 題名の「ウィッカーマン」はラスト近くまで姿を現しません。(白) http://www.wickerman.jp/ |
●『チャーリーとパパの飛行機』L'avion
監督:セドリック・カーン チャーリーがパパからもらったクリスマスプレゼントは真っ白な飛行機。 自転車がほしかったチャーリーはがっかり。 パイロットのパパは忙しい仕事の合間に作ったので、 喜んでもらえずにやっぱりがっかりしている。 「自転車は買ってあげるよ」とメモを残してパパは出張に出かけたのに、 そのまま帰ってくることはなかった。事故で突然亡くなってしまったのだ。 ママは寝込んでしまい、チャーリーはパパの最後のプレゼントの飛行機を抱いて眠った。 ところが朝になると、飛行機はパパが置いたタンスの上に戻っていた。 チャーリーが話しかけると、飛行機は光を点滅させ、飛んでみせてくれるのだった。 ママは信じてくれず、飛行機はパパの同僚のグザビエ氏に持って行かれてしまう。 (C) 2005 FIDÉLITÉ FILMS – AKKORD FILM PRODUKTION – FRANCE 3 CINEMA – PATHE DISTRIBUTION/WISEPOLICY 大好きなパパが残したプレゼントは不思議な飛行機でした。 青い空を飛ぶ真っ白な飛行機が美しいです。 もっといろいろ描かれたり、部品がくっついたりしていません。 子供が抱いたり、つかまったりしても痛くないすべすべした本当にシンプルなフォルムです。 思いがけない冒険をとおして、小さなチャーリーはたくましくなりました。 パパがいなくなったらチャーリーがママを、 ママはチャーリーを守らなくてはと互いの絆が強くなります。 普遍的なストーリーにファンタジーの味付けで、親子で楽しめる作品です。(白)
2005/フランス/100分/シネマスコープ/ドルビーSRD・DTS/ |
●『オフサイド・ガールズ』原題:OFFSIDE
監督:ジャファル・パナヒ バーレーンとイランのワールドカップ出場を決定する大事な試合を前に、 競技場へ向かうバスはすでに興奮状態。その中で一人座っている男装した女の子。 大枚はたいてチケットを買ったものの、競技場には男性しか入れず、 ゲートで見つかって逮捕されてしまう。 フェンスで囲まれた場所に次々と男装した女の子たちが連れてこられる。 競技場にいながら、高い壁に隔てられ試合を観られない。 なんとかようすを知ろうと口々に中を見せてほしいと訴えるが、 監視の兵士には相手にされない。 トイレを我慢していた一人が兵士に伴われて男子用のトイレに行くが、これまた一騒動。 彼女たちはこれからどうなるのだろう。 イランではサッカーが国民的人気。 しかし競技場へ女性が入って男性と一緒に観戦することはできない規則があります。 それでもサッカーが大好きで、家のTVで見るのでなく 競技場で観戦したい女の子たちは実際にいるわけです。 男装してもぐりこもうとして逮捕されてしまった5人の女の子が奮闘する様が とてもユーモラスに描かれています。 体制を批判しているとして国内では上映されていません。 「なぜ女が入ってはいけないのか」と聞く彼女たちに兵士も明確には答えられません。 監督が来日してお話しが聞けそうなので楽しみです。(白)
2005年の日本・イラン戦の時に、日本女性が特別に入場を許されたのは画期的なこととして、
日本でも話題になったことを覚えている方も多いと思います。
第56回ベルリン国際映画祭銀熊賞 |
●『PUNK'S NOT DEAD』
監督:スーザン・ダイナー
監督のスーザン・ダイナーは、自身がパンク・ロックファンで、80年代初期から活躍したカメラマン。生涯を通じてパンク・ムーブメントを追い続けてきた。撮りためてきた貴重な写真と、その撮影を通して築き上げてきたパンクスたちとの信頼関係により、この映画を100%DIYで作り上げた。 イギリスでパンクが生まれた頃は、最下層の労働者階級の若者たちが、失業と貧困が蔓延する社会に対する怒りをぶちまける、強烈にメッセージ性を持った音楽だった。そのファッションも音楽性も極めて攻撃的で、大人たちが顔をしかめるのに十分な異端の存在だった。それが今や、最新ファッションにパンクの要素は欠かせず、メイン・ストリームのチャートにパンクバンドが名を連ねるものの、その音楽には批判精神といったものは皆無と言った具合に、社会とパンクの関係は大きく変わっている。パンクは死んでしまったのか? いやいや、今なお世界中にパンク・ロッカーを自負するミュージシャンたちは老いも若きもたくさんいるんだと、この映画を観ればわかる。
2007年/アメリカ/97分/ビスタサイズ/ドルビーデジタル5.1ch 公式 HP >> http://www.kingrecords.co.jp/pnd/ ★9月1日(土)より、シアターN渋谷にてロードショー 他、全国順次公開 |
2007年9月8日〜 |
●『ミリキタニの猫』
製作・監督 :リンダ・ハッテンドーフ ニューヨーク、ソーホーの路上で絵を描いて売っているホームレスの老人がいる。 彼はジミー・ミリキタニ、80歳。 カリフォルニアで生まれ、母の故郷広島で教育を受ける。 画家を志していたが第2次世界大戦中、日系人強制収容所へ送られた。 全てを取り上げたアメリカ政府に怒り、彼は戦後も社会保障の一切を拒否していた。 若い映像作家のリンダ・ハッテンドーフはジミーの絵を買ったのが縁で、ときおりビデオ撮影をしていた。 2001年9月11日、世界貿易センターが瓦解し、騒然としたニューヨークの路上で咳き込みながら絵を描いていたジミーにリンダは声をかける。 「家へいらっしゃい」と。
これは、怒りを抱きながら誇り高く生きてきた日系アメリカ人、ジミー・ミリキタニと、
たまたま出逢ったリンダ・ハッテンドーフとの数年間の記録です。
二人の同居生活は微笑ましく、
帰りの遅いリンダに説教しているジミーは父親のように見えます。
昨年の東京国際映画祭「日本映画・ある視点部門」で最優秀作品賞を得たほか、 各地の映画祭での受賞多数。
2006年/カラー/74分/ |
●『ワルボロ』
監督:隅田靖 1980年代の立川。 ピストル型のこのショボイ街から出ようと真面目に勉強一筋だったコーちゃん。 ある日ヤッコの挑発にぶちきれてしまった。それがなんとも快感! 突如不良に目覚めたコーちゃんは髪はオールバックに、学ランはもちろん変形。 憧れの山田の視線が冷たいのがちょっと気になるが、 喧嘩けんかで明け暮れる充実した毎日が続いた。 (C)2007「ワルボロ」製作委員会 ゲッツ板谷原作の自伝的青春小説「ワルボロ」が原作。愛すべきバカな男の子たちの話で、 私は怒りまくるおかんに共感しました。親は心配ですよ。 今の男の子たちはこんなにじゃれあったりせず、もっとさめている気がしますね。 松田翔太を中心にちょっとトウのたった高校生もいますが、 チャン・ドンゴンの『チング』ほどではありません。 優等生役の新垣結衣にもうすこし活躍の場がほしかったな。 元気でやんちゃな翔太くんは可愛かったです。(白)
2007/日本/カラー/PG-12 |
●「喜劇特急第8幕〜落語だいすき!」 シネマアートン下北沢で落語をテーマとした喜劇映画12本の特集上映が行われます。
劇場:シネマアートン下北沢
イベント:落語実演
シネマアートン下北沢 HP>> http://www.cinekita.co.jp/ |
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●『GROW −愚郎−』
監督:榊英雄 学校では滑川らにいじめられ、家では父親の暴力に悩む敦は、相談する友達もいない孤独な高校生。ある日、偶然に入り込んだ廃墟で自殺を試みるが、突然現れた長ランを着た伝説の不良三人組に助けられる。どう見ても高校生には見えない強面の三人だが、敦は男気あふれる彼らの助言に従って、徐々に男らしくなっていく。ある日、滑川らに追いかけられている敦の足の速さに気づいた体育教師の石橋は、敦を陸上部に入部させる。走ることに喜びを見出した敦は、今まで見て見ぬ振りをしていた家庭での問題にも立ち向かい、自分に自信をつけ始める。そんな矢先、敦は陸上の大会を目前にして、妹をかばい足を負傷してしまう。その上、滑川から三人組の正体を聞かされ動揺するが、「男になれ」と教えてくれた三人組の恩に報いるためにも走る決心をする。
笑いと泣きが絶妙にブレンドされた、青春映画の傑作ではないでしょうか!! 不良三人組を通して、この映画が長編初監督作となる、俳優の榊英雄監督の熱い想いが伝わってきました。笑いながら涙が出て、もうどうしようもなかったです。試写会場では終映後に拍手が起こっていました。そして榊監督が出口で挨拶してくださったのですが、号泣して顔がボロボロだったため、そのまま通り過ぎてしまい本当に申し訳なかったです・・・
2007年/日本/ステレオ/カラー/114分 公式 HP >> http://www.grow510.com/ ★9月8日(土)よりQ-AXシネマにてレイトショー |
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2007年9月15日〜 |
●マザー・テレサ メモリアル『母なるひとの言葉』+『母なることの由来』 〜没後10周年記念・ドキュメンタリー2部作〜 貧しい人々に献身的な愛を注ぎ、マザー・テレサの名で世界中の人から敬愛された修道女 アグネス・ゴンジャ・ボヤジュ。 1997年9月5日にその生涯を閉じ、今年没後10周年となるのを記念して、 彼女の人となりを描いた2本のドキュメンタリーが上映される。 ●『マザー・テレサ:母なることの由来』原題:MOTHER TERESA
製作・監督: アン・ペトリ、ジャネット・ペトリ 1988年に日本公開されたドキュメンタリー『マザー・テレサ:母なることの由来』のデジタル復刻版。 コルカタ(カルカッタ)、レバノン、ニューヨークなど、 マザー・テレサの精力的な活動を5年間、10ヶ国に渡り追った記録と共に、 ごく平凡な家庭に生まれた彼女の生い立ちから“偉大なる聖女”と呼ばれ 世界中の尊敬を集めるまでの経過を、克明に描いてゆく。 あらゆる困難を乗り越え、世界中に愛を届けた一人の女性の記録。 1986年/アメリカ/カラー/DVD上映/83分 (c)1986 Petrie Productions,Inc. All rights reserved. ●『マザー・テレサ:母なるひとの言葉』原題:MOTHER TERESA: THE LEGACY
製作・監督: アン・ペトリ、ジャネット・ペトリ
1997年9月5日、マザー・テレサは天に召さる。享年87歳。
9月13日に異例の国葬が行われ、コルカタの道路を埋め尽くす人々が見守る中、マザーのご遺体は、
ガンディーやネルーをも運んだ砲架車で静々と葬儀会場へと導かれる。
スコピエ(現マケドニア)でアルバニア人の娘として生を受けたマザー・テレサ。
葬儀には、アルバニア大統領など世界各国から要人が駆けつけた。 (c)2004 Petrie Productions,Inc. All rights reserved. 10年前の9月13日、BBCが中継する国葬の様子をじっと眺めていたのを思い出す。 何より驚いたのは、砲架車の上にむき出しになったマザーのお顔。 彼女を見送るために駆け寄ってくる民衆のために、その姿をあらわにしていたのではないかと思ったものだ。 マザーが亡くなれた2年後、コルカタでマザーの残した病院の一つを訪れたことがある。 質素で、まさに清貧のイメージの中に、暖かさの篭る空間だった。 寄付などほとんどしたことのない私が、思わず寄付をしてしまったものだ。 そんな力をマザーはお持ちなのだと思う。(咲) 2004年/アメリカ/カラー/DVD上映/55分
★東京都写真美術館ホールにて、9月15日(土)より上映 ★特別記事>> <没後十周年記念・ドキュメンタリー2部作> マザー・テレサ メモリアル 没後十周年・記念上映会 座談会報告 |
●『題名のない子守唄』原題:La Sconosciuta
監督・脚本:ジュゼッペ・トルナトーレ
ここは、東欧と接する北イタリアのトリエステ。
『ニュー・シネマ・パラダイス』のイタリアの名匠ジュゼッペ・トルナトーレ監督が、
『マレーナ』以来6年ぶりに愛と謎に包まれたミステリーを製作しました。
2006/イタリア/スコープサイズ/ドルビーSRD/121分 |
2007年9月22日〜 |
●『ヴォイス・オブ・ヘドウィグ』
監督・撮影・編集:キャサリン・リントン
2001年、世界に「ヘドウィグ」ブームを生み出し、
今年八月公開「ショートバス」で再び監督として注目を集めているジョン・キャメロン・ミッチェルと、
音楽プロデューサー、クリス・スルサレンコ、そして多数のミュージシャンが一堂に会し、
ニューヨークのLGBTQ(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クィア)
の青少年の高校「ハーヴェイ・ミルク・ハイスクール」の理念
「“違い”というものは尊ばれるものであり、
あらゆる生徒に安全な教育と“ホーム”と呼べる場所があるべきだ」に賛同し、
立ち上がった。
久しぶりに興奮しました!
まず一つ目の!
二つ目の!
三つ目の! キャサリン・リントン監督は、世界的なミュージシャン達が、 何回もの撮り直しに、いやな顔一つせず協力してくれたことを、 心から感謝していると謙虚に語っておられました。(美) ゲイやレズビアンの高校生たちが、実にのびのびと自分らしく生きている姿に感動しました。 自分を見つけて、自分の夢に向かって突き進む...、これは、誰にとっても大事なこと。 なんだかとても元気になる映画でした。(咲)
2006年/アメリカ/カラー/16.9/101分 |
●『ボーイ・ミーツ・プサン』
監督:武正晴(たけまさはる) 韓国・釜山港に着いたフェリーからビデオカメラ片手に降り立ったクリハラ。 西も東もわからず、看板さえ読めないこの街で、 たった一人で観光用プロモーション撮影をしなくちゃいけない。 上司のイガラシが教えたくれたのは「アンニョンハセヨ=こんにちは」 「ケンチャナヨ=大丈夫」「サランヘヨ=愛してます」の3語だけ。 これだけ覚えればやっていける、と丸暗記させられたものの実は意味を知らないのだった。 迎えに来ているはずの通訳とは会えずじまい。 とりあえず街に出てカメラを回していて、気になる女性を見つけるが 「勝手に撮らないで!」と怒鳴って去っていく。 翌日も翌々日も通訳には会えないのに、この女性とは遭遇。 彼女はヨーコと名乗った。 釜山国際映画祭で賑わう街が舞台。 これが初の監督作品となった武監督自身が、 以前釜山映画祭を訪ねたときのエピソードが元になっているそうです。 柄本佑くん扮する青年クリハラが泊まる簡易旅館?のおばちゃんが元気で とてもいい味を出しています。 川村亜紀さん演じる通訳さんの設定はあんまりです。そんなアホな! これで、クリハラには特別な日々になるわけなんですが。 光石研さん二役でおかしいです。 個人的に注目中の江口のりこさんがビキニ姿を披露していました。 スレンダーガールです。クリハラが撮影のためにうろうろする観光地や、 ヨーコと歩く繁華街、映画祭の雰囲気など旅行気分も味わえます。 ちょっと甘酸っぱい「Boy Meets Girl@釜山」ストーリー。(白)
2006/日本/カラー/80分/ |
●『アーサーとミニモイの不思議な国』
ARTHUR AND THE MINIMOYS (ARTHUR ET LES MINIMOYS)
監督:リュック・ベッソン アーサーは冒険を夢見る10歳の少年。 留守がちの両親と離れてお婆ちゃんと二人暮らしだ。 アーサーの楽しみは、屋根裏で冒険家のお爺ちゃんが残したものを見ること。 お爺ちゃんは4年前に出かけたまま帰ってこない。 ある日その中から「ミニモイ」に関する書物と宝の地図を発見した。 お婆ちゃんは借金取りに脅されて寝込んでしまった。 明日までに帰さないとこの家が取り上げられてしまう。 アーサーは家族の危機を救うため、ミニモイと宝を探す冒険に旅立つことにした。 (c)2006 EUROPACORP - AVALANCHE PRODUCTIONS - APIPOULAI PROD リュック・ベッソン監督が構想7年をかけて完成した作品。 実写版とCGを駆使したアニメーションが組み合わさっています。 最近観なかったミア・ファロウは、ピンクの花柄の似合う可愛いお婆ちゃん役。 フレディ・ハイモアは『チョコレート工場の秘密』のころより大きくなっていましたが、 すぐに2mmのミニモイに変わってしまいます(笑)。 アーサーがミニモイの世界に行くときに現れる長身のアフリカの人々がとても綺麗でした。 ミニモイの人々の造形は、ゲームの世界の妖精のようですがファッションはなかなかに今風。 実写、アニメどちらも自然が美しく描かれていて、ボイス・キャストも魅力的です。 吹き替え版には神木隆之介、三浦友和、Gackt、タカアンドトシらが登場。(白)
2006/フランス/ヨーロッパ・コープ提供・製作/カラー/1時間44分/スコープサイズ 完成披露試写会(6月12日)のリュック・ベッソン監督と、神木隆之介くん 9月22日(土)より、丸の内プラゼールほか松竹・東急系にて全国拡大ロードショー |
●『夜の上海』
監督:チャン・イーバイ(張一白) トップへアアメイクアーチストの水島、カリスマと呼ばれ仕事はひきもきらず、 今日は音楽祭のために上海にやってきた。 公私ともにパートナーの美帆との関係はすでにときめきのないものに変わり、 仕事を終えて街を一人歩きする。見知らぬ通りで方向を失った水島は、 突然後ろからタクシーに追突され、気を失ってしまう。 青くなって揺すぶっていたのは、タクシー運転手のリンシー。 弟に留学資金をせびられ、片想いの彼には告白できず滅入っていたところだった。 水島が無事なことがわかると、リンシーは商売になると踏んでタクシーに乗せる。 無一文の水島は親切からかと思って喜ぶが、二人の会話は全く通じなかった。 『アバウト・ラブ』のチャン・イーバイ監督が、元木雅弘、ヴィッキー・チャオを主演に、 日本、香港、台湾の俳優たちを助演に迎えロマンチックな“旅恋ストーリー”を作り上げました。 カメラに向かうポーズも決まっている元アイドルのモックンも、 いまや実力派でもう不惑の年頃。 ひとまわりほど違うヴィッキーと並んでも若くて相変わらずハンサムです。 上海の美しい夜景をバックにかみ合わない会話を続ける二人と、 いなくなった水島を探す人々が点在。 一人濃い雰囲気を醸し出している竹中直人と、 妙な日本語通訳のサム・リーがひょうひょうとしていておかしいです。 ディラン・クォが自動車修理工の役で、婚礼衣装店でのシーンがありますが、 遠目に見えるだけなのに、これがすっごく綺麗。さすがモデル!(白)
2007/日本・中国/カラー/110分/ヴィスタ/SRD |
●『めがね』
監督・脚本:荻上直子 春浅いどこか南の小さな町。「来た」と空を見上げる二人。 いそいそと小屋を組み立てていると、 バッグひとつを持った女がやってきて深々とお辞儀をする。 同じ飛行機からもう一人女が降りた。 大きな旅行カバンをひきずって予約した宿をさがしているのはタエコ。 たどり着いたのは表札が隠れている「ハマダ」。 あんまりお客が来たら困るからこのくらいがいいんです、と言う主人はユージ。 愛犬の名はコージ。迷わずに来たタエコは、「ここにいる才能ありますよ」と言われる。 サクラをはじめ今まで会ったことのないユニークな人々に、「無理」と宿替えをするが、 そこは「もっと無理!」なところだった。 サクラの自転車で戻ってきたタエコは前より空気になじんでいく。 (c)めがね商会 都会から集まってきたらしい二人の男に、三人の女が主な登場人物です。 背景など詳しくは語られず、人々はただただ自由に「たそがれ」ています。 何もしないことをする、とは旅行社のキャッチコピーだったでしょうか? 前作『かもめ食堂』で、ヘルシンキのおにぎり屋さんに集まる人々を描いた荻上監督は、 舞台を南国に移し、小林聡美を今度は旅人にしました。 おいしそうな食事が今回も出てきますが、 作る手元がアップになったり料理の音が入ったりしないので前ほど、 涎が出ることはありませんでした。今回一番おいしそうだったのは、 加瀬亮くんの食べっぷりが気持良かった海老と氷あずき! 前作よりさらにまったり、ゆったりした時間の流れるこの作品は、 ストーリーがあるようなないような。さてこの映画を楽しむ才能がありやなしや?(白)
2007/日本/カラー/106分/アメリカンビスタ/ |
●『サルバドールの朝』SALVADOR
監督:マヌエル・ウエルガ サルバドール・プッチ・アンティック(1948年−1974年)は、スペイン、カタルーニャ地方の中流家庭に生まれた。 1939年からのフランコ独裁政権が続く中、無政府主義者の組織MILの同志となり、 労働者解放のために活動する。資金援助のためたびたび繰り返された銀行襲撃の運転手として重用される。 先に捕まった仲間の自白から、待ち伏せを受け銃撃戦の末一人の警察官が死亡する。 サルバドールも重傷を負ったが命はとり止め、警察官殺害犯人として軍事委員会に裁かれる。 警察官はサルバドール以外からの銃弾も受けていたが、検死結果や医者の証言は取り上げられなかった。 拘留中に起こった別の組織の爆弾テロにより、ときの首相が暗殺され、その報復に死刑を求刑される。 被告側の証人も認められず、死刑は確定してしまう。 実際にあったこの事件が、ほんの30年ほど前のことだというのが信じられない思いです。 スペインで知らない人はいないという若き政治犯、サルバドールが死刑に処せられるまでが、 彼を応援する人々の動きと交互に描かれています。 見るだに肌が粟立ちそうな死刑のための道具、執行人をカメラは画面いっぱいに写します。 暴力を振るい、証拠を隠匿しながら彼の死を願った警官たちは、寝覚めが悪くないのでしょうか。 「恥じることはしていない」と最後まであきらめず生きたいと願った彼と、 応援する家族たちにちょっと心温まり、その分この青年を死なせてしまった時代に涙が出ました。 正当な裁判であったならば、と残念。 命を絶たれてしまったサルバドールの家族は今も係争中だそうです。(白)
2006/スペイン製作/135分/カラー/ドルビーSRD /シネマスコープ/ |
●『おやすみ、クマちゃん』
監督:ルツィアン・デビンスキ、マリアン・キェルバチャク、ヤドゥガ・クドゥジッカ、ダリウス・ザヴィルスキ、エウゲニウシュ・イグナチュク
音楽:ピョートル・ヘルテル 『おやすみ、クマちゃん』は1957年から50年に渡り、ポーランドをはじめヨーロッパ諸国で愛されている、幼児向けアニメです。ポーランド国営放送と国営人形アニム・スタジオ<オ・マ・フォル>が共同制作した104本の人形アニメーションは、ポーランドを代表する挿絵作家、ズビグニエフ・ルィフリツキ(1922〜1989)が絵を担当しています。おもちゃ屋の棚に並んでいたこぐまのぬいぐるみが表へ出て、いろんな仲間と友だちになり、愉快な体験をします。今回の劇場公開は、シリーズの中から厳選した10話を、春夏編と秋冬編に分けて上映されます。
これを観た方は、きっと無垢な幼児期にタイムスリップできますよ。 おみみが目印のクマちゃんは、クマではありません。ぬいぐるみのクマなんです。だから「木になんて登れないよ、ぼくぬいぐるみだもん」なんて言ったりします。あまりの可愛らしさに観ている間中、目尻が下がりっぱなし。子供たちに対する教育的なものも、さりげなく入っていていいんです。小さな子供だけでなく、大人が観ても楽しめて癒されますよ。(梅) 8月4日(土)より、東京都写真美術館ホールほか全国にて上映中でしたが、吹き替え版だけでなく「どうしてもオリジナル音声でも見たい!」というお客様からのたくさんの要望に答えるかたちで、ポーランド語・日本語字幕版の上映が決定しました。
カラー/ポーランド/79分/全10話(途中休憩なし) 公式 HP >> http://www.oyasumi-kumachan.com/ ★9月22日(土)よりシネマート六本木にてロードショー夜1回上映(詳しい上映時間・料金等は劇場にお問い合わせください) 同時上映:「こぐまのウシャテク」(カラー9分)
*** リピーター割引のお知らせ*** |
2007年9月29日〜 |
●『Mayu-ココロの星-』
監督・脚本:松浦雅子
=だいじょうぶ きっと私は がんばれる= (c)2007「Mayu ココロの星」製作委員会
原作の大原まゆさんは札幌在住で、2003年に乳がんの告知を受けました。
自らの闘病を綴った原作を目にした水野プロデューサーは、
すぐに出版元と交渉して映画化権を獲得。
大原さんとも映画化にあたって話し合いを重ねたそうです。
2007/日本/カラー/123分/ |
●『ディテクティヴ』UNTIL DEATH
監督:サイモン・フェローズ ニューオリンズの背徳と暴力の街、フレンチクォーター。 かつては正義感の強い麻薬捜査官だったアンソニーは、ドラッグに溺れ、 妻ヴァレリーとの仲もうまくいかず、ダーティな刑事になりさがっていた。 アンソニーが執拗に追うのは同僚だったキャラハン、 今やドラッグマフィアとして頭角を現していた。 キャラハンとの取引に潜入捜査官を送り込み、逮捕するかとみえたとき 狡猾なキャラハンは逃亡、銃撃戦で部下は殉職してしまった。 アンソニーはますます署内で白眼視されていった。 今までのマッチョなジャン=クロード・ヴァン・ダムではありません。 こけた頬に暗い眼差しの彼に「ダーティ・ハリー」を思い出しました。 細身の身体を革ジャンに包み、居場所がなく街をさまよっては娼婦を脅すアンソニー。 自分はドラッグに溺れながら、定年間際の同僚を密告したりもします。 落ちてゆくさまと苦悩の中から再生していくストーリーがよくできていて、 引き込まれました。 ヴァン・ダムだけでなく敵役のスティーヴン・レイはじめ脇役も良く、 思わず「面白かったですね」と、一緒に試写を観た方と言い合ってしまいました。(白)
2006/アメリカ/カラー/35mm/シネスコ/ドルビーデジタル/106分 |
●『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』原題:LA VIE EN ROSE
監督・脚本・脚色:オリヴィエ・ダアン
愛に生きた世界の歌姫 涙と喝采の物語 (c) 2007 LEGENDE-TF1 INTERNATIONAL-TF1 FILMS PRODUCTION OKKO PRODUCTION s.r.o.-SONGBIRD PICTURES LIMITED エディット・ピアフの顔は浮かばなくとも、代表曲「愛の讃歌」や 「バラ色の人生」は耳に残っているでしょう。 貧困の中で天賦の才能を花開かせ、豊かな感性で詩を書きドラマを歌い上げた歌手です。 そのピアフの10代から47歳で息を引き取る瞬間までを、渾身で演じているのは マリオン・コティヤール。『TAXi』シリーズ、『ロング・エンゲージメント』、 『プロヴァンスの贈りもの』に出演しています。 今までの役の片鱗も見せず、発声や息遣いまで研究し、ピアフになりきった彼女に拍手。 この作品を観て日本の歌姫、美空ひばりを思い出しました。 同じように歌を愛し、人を愛し病に倒れたひばりさん。漢字では「雲雀」ですねぇ。 「愛の讃歌」もカバーしています。(白)
2007/仏・チェコ・英合作/カラー/シネマスコープ/ドルビーデジタル、dts/140分/翻訳:古田由紀子 |
2007年10月6日〜 |
●『ローグ アサシン』ROGUE ASSASSIN
監督:フィリップ・G・アトウェル サンフランシスコでは様々な人種による抗争が続いていた。 FBI捜査官の ジャック・クロフォードとトム・ウィンは、 抗争の裏で暗躍している伝説の殺し屋「ローグ」を追っていた。 埠頭でジャックが撃たれたが、トムはローグと思しき男を追い詰め銃弾は顔に命中する。 男は夜の海に落ちたまま死体は上がらなかった。 数日後、何者かにトムの一家が惨殺されてしまう。 ジャックはローグがいつも現場に残すチタンの薬莢を発見、 親友を殺したローグへの復讐を心に誓う。 そして3年後、クラブにいたヤクザたちが黒尽くめの男に殺される。 駆けつけたジャックは、そこにトムの家に残されていたものと同じ薬莢を見つける。 ローグは戻ってきた。
ジェット・リーとジェイソン・ステイサムは2001年の『ザ・ワン』以来の共演。
その後順調にハリウッドでの地位を築いてきましたね。全部は観ていませんが、
今までになかった役じゃないでしょうか。
FBIのジャッ クが復讐に燃えて殺し屋を追っていくのが芯のストーリーですが、
チャイニーズ・マフィアとジャパニーズ・ヤクザの、血で血を洗うが如き抗争がからんでいるので、
人が死ぬ死ぬ・・・。それもひどく痛そう。熱い戦いに水をさすのが、
日本語と日本語で書かれた看板や幕。日本語がわからなければ、ただの音であり記号なわけで、
何の問題もないのでしょうが、日本人が観るとそっちへ意識が行ってしまいます。
2007/アメリカ/カラー/1時間43分/スコープサイズ/ドルビーデジタル/ |
●『私の胸の思い出』原題:天性一對
監督:ロー・ウィンチョウ
なんで、私なの?神様お願い、私の胸を取らないで・・・。 (C)Media Asia Films (BVI) ltd
—香港からピンクリボンを応援する、切なくも心温まる映画が届きました—
2006/香港/カラー/98分/ビスタ/ドルビーSRD/
★「ピンクリボン」は、乳がんの早期発見・診断・治療の大切さを伝えるシンボルマークです。
1980年代のアメリカで発足し、日本では2000年代になって知られるようになりました。
アメリカでは女性の8人に1人、日本では20人に1人が乳がんになると言われています。
2006年に乳がんで亡くなった女性は1万1千人を越え、年々増えています。
女性の壮年層(30〜64歳)のがん死亡原因の第1位となっています。
10月は乳がん月間です。東京、神戸、仙台でピンクリボンフェスティバルが行われるなど、
各地で運動が展開されます。
★『私の胸の思い出』公開記念プレゼントを先着順で3名様に!!! |
●『白い馬の季節』原題:季風中的馬
監督・脚本:ニン・ツァイ 内モンゴルの草原は長く続く旱ばつのため砂漠化していた。 牧草も枯れ果てて、ウルゲンの家に残った数少ない羊たちも毎日のように餓死していった。 1人息子のフフーの学費を捻出するため、妻のインジドマはただ一頭残った白馬のサーラルを売るほかない、 と夫に訴える。ウルゲンにとって、愛馬を手放して街に移るのは遊牧民の誇りを捨てるようなもの。 最後の望みとかつての牧草地まで行くと、そこは保護区に指定されていた。 鉄条網を破ろうとしたウルゲンは、漢族の男たちに袋叩きにあい、警察に連行されてしまう。 罰金を支払うため、ついに愛馬サーラルを手放す日がやってくる。
この作品が監督デビュー作のニンツァイと、公私にわたるパートナーのナーレンホアは
『天上草原』(02年/マイ・リースー監督)で夫婦役を演じています。
男っぽい風貌のニンツァイ監督は、自身も内モンゴルの遊牧民の出身、
この作品には監督の積年の思いがつまっているのでしょう。
2005年ハワイ国際映画祭NETPAC賞受賞 |
●『パンズ・ラビリンス』
監督・脚本:ギレルモ・デル・トロ 1944年スペイン。フランコ軍事政権下の自由なき暗黒の時代。オフェリアの父は内戦で亡くなり、母は独裁者フランコに心酔するビダル大尉と再婚する。母のおなかの子を男と決めつけるビダルは、戦地へ母子を呼び寄せるが、母は長旅がたたって衰弱していくばかり。オフェリアは冷酷さが垣間見えるビダルを好きになれず、孤独と不安にかられるが心から頼れる人もいない。森をさまよって足を踏み入れてしまった ラビリンス(迷宮)で、パン(山羊の姿をした牧神)に出会う。驚くオフェリアにパンは「あなたは魔法の国のプリンセスに違いない。それを証明するには三つの試練を克服しなければならない」と告げるのだった。 暗い画面に展開される、現実と幻想を行きつ戻りつするストーリーは、観ているほうもオフェリアと同じ不安な気持に引きずり込みます。義父のビダルの残忍さを見せるシーン(半分目つぶってました)や、対抗するゲリラ組織との攻防の組み入れ方も巧みです。ラビリンスやパンの造形が素晴らしく、アカデミー賞で美術賞を受けています。おすすめのダークファンタジー。 幼い少女にはあまりに暗く厳しい現実世界。それから逃れるための儚い夢だったのか、はたまた輝かしい栄光の玉座にたどり着いたのか。観る人によって、あるいは観たときによって、それぞれ解釈が違うであろうラストシーンが非常に印象深く、味わいのあるファンタジー作品です。でも、小さい子には相当怖いかも。(梅) 2006/スペイン・メキシコ/カラー/119分/ヴィスタ/SRD/PG-12 公式 HP >> http://www.panslabyrinth.jp/ ★ 10月6日(土)より、恵比寿ガーデンシネマほかロードショー |
●『ナルコ』NARCO
監督・脚本:トリスタン・オリエ、ジル・ルルーシュ ギュスは子供のころから「ナルコレプシー」という病気を抱えている。 ストレスに会うと、いつでもどこでも眠りに落ちてしまうのだ。 でもハイスクールのプリンセスと憧れたパムと結婚し、40年のローンを組んで郊外に家も持った。 夫婦にパムの連れ子のケヴィン、ギュスの父親の4人での幸せな暮らしができるはずだったのだが。 病気のおかげで仕事はどれも長続きせず、妻の収入に頼る有様。 昏睡状態のときに見る夢の中では、いつだってヒーローなのに・・・。 昔から絵を描くことが得意だったギュスは、夢のストーリーをコミックにすることを思いつく。 我慢の限界にきたパムのすすめでセラピーに参加した彼は、 自分の夢の話が喜ばれたことでちょっと自信を取り戻す。 洗濯室の片隅で、ギュスは夢中でコミックを描き始めるのだった。 周りに濃〜いキャラを配して笑わせながら、 夢と現実のドラマをテンポ良くナレーションでつないでいく手腕は、長編第1作の監督とは思えません。 コミックという目標を見つけたギュスにはまだ悲劇が襲いかかり、 これをどうやって〆るのかぜひ劇場でご覧ください。 音楽も軽快♪ ジャン=クロード・ヴァン・ダムが本人役で、 ジル・ルルーシュ監督も俳優として登場。(白)
2004/フランス/35mm/カラー/シネスコ/ドルビーデジタル/105分 |
●『北極のナヌー』
監督・カメラ:アダム・ラヴェッチ、サラ・ロバートソン 北極の氷が地球温暖化の影響で、今までにないスピードで減少しています。 後30年後にはこの広大な氷の大陸がなくなってしまうと言われています。 そんな中で白くまのナヌーは生まれました。 6ヶ月間暮らした雪穴から離れ、母親と弟と一緒に餌を求めて移動する暮らしが始まります。 溶けてゆく氷の上での狩りは難しく、猛烈なブリザードにも襲われます。 厳しい自然の中、早くひとり立ちをしなければならなかったナヌーと、 彼女が出会っていく北極の生きものたちを丹念に追った作品です。 構想から10年間に及ぶ撮影、危険と隣り合わせで撮った貴重なシーンは必見です。 800時間分ものフィルムの編集に20ヶ月かかったそうです。 ほかにいくつもの物語ができそうですね。 ナレーション脚本に『不都合な真実』のアル・ゴア元アメリカ合衆国副大統領の娘クリスティンが参加しています。 この映画を観た後、もう一度ゴア氏の言葉を思い出し、 すぐ自分ができることを始めてみてはいかがでしょうか? あ、ずっと続けていました?(白)
2007/アメリカ/カラー/84分/ドルビー/アメリカンビスタ |
2007年10月13日〜 |
●『ふみ子の海』
監督:近藤明男 昭和のはじめ、貧しさゆえに、その瞳から光を奪われた少女ふみ子。眼が見えなくても読める文字、点字の存在を知り盲学校への進学を希望するが、女に学問は不要という風潮の強い時代である。病身の母の苦悩を知りふみ子はあんまへの道を選んだ。つらく厳しい修行の日々。しかし、いつも母と行った海のキラメキを胸に、希望を忘れず前向きに生き、ヘレン・ケラーの自伝と運命的に出会う。
この作品は、新潟県の高田盲学校で教鞭をとり、生涯を視聴覚障害者に捧げた粟津キヨさんの少女時代を描いた実話。粟津さんはあんまの修行ののち、盲学校へ入り、東京女子大学を卒業した。
2006年/日本/105分 公式 HP >> http://www.fumikonoumi.com/ ★10月13日(土)より、シネスイッチ銀座にてロードショー |
●『カンフー無敵』
監督:イップ・ウィンキン 1940年代の上海、富と名声を求める人々が集まる街。光の影にある闇の中では、マフィアの抗争が繰り広げられていた。故郷の家も母もなくした若者リク(ヴァネス・ウー)は、まだ見ぬ父を捜し求めて、この街に足を踏み入れる。超人的な力を持つという父親は、きっとこの街にいるに違いない。リクも同じ力を受け継いでいたが、まだコントロールすることができなかった。賭博場で同郷だというファッ(ラム・ジーチョン)と仲良くなるが、ファッが偽札を使ったせいでマフィアに追われるはめになってしまった。大立ち回りを演じた食堂でリクは気を失い、親切に介抱される。食堂へ弁償するためリクは人力車をひき、クラブの歌姫ロンイー(エマ・ウォン)に出会う。
台湾の人気アイドルグループ“F4”のメンバー、ヴァネス・ウーが2003年の『スター・ランナー』に続き、またまた本格カンフー映画挑みました。武術指導出身(日本公開作は『少林キョンシー』2004)のイップ監督の厳しい注文に応え、アクションをたっぷり見せています。すずしげな容貌ですが、この映画では文字通り「熱い」です。
2006年/香港/カラー/103分 |
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2007年10月20日〜 |
●『クワイエットルームにようこそ』
監督・脚本・原作:松尾スズキ 佐倉明日香28歳、職業フリーライター。目がさめると白い部屋のベッドに寝ていた。5点拘束されて身動きがとれず、なぜここにいるのかも思い出せない。ナースの江口がやってきて「アルコールと睡眠薬の過剰摂取で昏睡状態になり、丸二日間目覚めなかった」と告げる。ここは精神病院の女子閉鎖病棟、この部屋は「クワイエットルーム」と呼ばれていると、若い拒食症患者のミキに教わった。なぜ自分が?と納得できない明日香だが、主治医と保護者である明日香の同棲相手、鉄雄の同意がないと退院はできない。さまざまな事情を抱えた患者たちとのめくるめく14日間が始まった。 内田有紀は9年ぶりの映画復帰ですが、濃〜いキャラ揃いの中でも埋もれません。恋人役の宮藤官九郎も、情けないながらとことん優しい男を、歯を汚しながら(笑)演じています。妻夫木聡、大竹しのぶは振り切っちゃっていますし、ナースのりょうさん、拒食症役の蒼井優ちゃん、「大人計画」の面々など、出てくるキャラ1人ひとりに物語がありそうで、サイドストーリーを見てみたい気がします。病院の中で生きているあの人この人も、今、病院じゃない「シャバ」にいる人とそんなに変わらないよねと思えます。底まで行っちゃって沈んでいる人もなんだか元気になれそうな映画でした。塚本晋也監督、庵野秀明監督は俳優として、『オズの魔法使い』もそこかしこに登場します。(白)
2007/日本/カラー/ |
●『ヘアスプレー』原題:HAIRSPRAY
監督:アダム・シャンクマン(『ウェディング・プランナー』『ウォーク・トゥー・リメンバー』) トレーシー(ニッキー・ブロンスキー)は、テレビの人気ダンス番組「コーニー・コリンズ・ショー」が大好きな女子高生。 今日もヘアスプレーでばっちり髪を固めて、歌いながら学校へ。 夢は、いつしか自分もテレビに出演して、憧れの同級生リンク(ザック・エフロン)と一緒に踊ること。 太っててチビだなんてことは気にしない。 授業のときも夢うつつで、居残りを命じられてしまう。 でも、その居残りの教室で、トレーシーは、独特のステップを踏む黒人たちと出会って心躍らせる。 ある日、番組レギュラーのオーディションがあることを知ったトレーシー。 巨漢の母親(ジョン・トラヴォルタ!!)には反対されるも、 父親(クリストファー・ウォーケン)に「夢を追ってビッグになれ」と励まされて、 学校をさぼってオーディションに...。 舞台は、1960年代初頭のボルチモア。黒人たちが人種分離政策に反対して、 公民権運動に立ち上がっていた頃のこと。「コーニー・コリンズ・ショー」では、 1ヶ月に一度、黒人デーがあるのだが、白人至上主義者のプロデューサーのベルマ (ミシェル・ファイファー)は、黒人デーなど廃止してしまえと豪語する。 一方、リンクは、黒人デーは廃止して、白人黒人一緒に番組を盛り上げようと主張する。 トレーシーも、親しくなった黒人の友人たちと共に人種差別反対デモに参加してしまう勇敢さ。 TM & (C) MVII New Line Productions,Inc.All Rights Reserved. 本作のオリジナルは、ジョン・ウォーターズ監督の『ヘアスプレー』(1988年)。 その後、2002年にブロードウェイでミュージカル化され、 「ヘアスプレー現象」と呼ばれるほどの大ブームに。 シャンクマン監督は、オリジナル映画のコメディの要素とミュージカルの楽しさを盛り込んで、 本作を完成させたという。 なんといっても見物はトラヴォルタの巨漢ママ。もう、笑わずにはいられません。 でも、ニッキー・ブロンスキー演じる太っちょのトレーシーも忘れられないキュートさ。 トレーシーが憧れるリンクも、60年代の雰囲気たっぷりでクール。 楽しさいっぱいのエンタテイメント・ムービーながら、 人種差別問題もしっかり考えさせてくれる一作。(咲)
≪『ヘアスプレー』ジャパンプレミア 舞台挨拶≫
配給:ギャガ・コミュニケーションズ |
●『ヒートアイランド』
監督:片山修 アキ、カオル、ナオ、ジュン、タケシ、サトルの6人からなる”ギルティ”は、渋谷でファイトパーティを主催している。ドラッグや窃盗には手を出さない約束を破って、タケシとサトルが、いかにも怪しげなボストンバッグをかっぱらってきた。そして中を見るとものすごい大金が入っていた。リーダーのアキはやばいことになったと直感する。アキの心配通り、その金はプロの強盗団が関西ヤクザの経営するカジノから奪った金だった。強盗団も関西ヤクザも、ファイトパーティの上がりを狙う地元のヤクザや、南米マフィアまでがその金を血眼になって探していて、気がつけば争奪戦のど真ん中に立たされていた。このままじゃ、殺される… アキたちはイチかバチかの作戦に出る。 一見お馬鹿なように見えて、実は切れ者で度胸も満点なアキ。濃い面々の大人たちが欲望丸出しで襲いかかるのを、するりするりとかいくぐり、これはなかなかワクワクするものがあります。そのアキの前に立ちはだかるのがプロの強盗である柿沢。二人の出会いが、また新たな物語を生み出していきそうです。
2007年/日本映画/カラー/ヴィスタ/ドルビーSR/106分/PG12 公式 HP >> http://heatisland.jp/ ★10月20日(土)、シネセゾン渋谷ほかにて全国ロードショー |
2007年10月27日〜 |
●『アフロサムライ』
監督:木?ア文智
一番、それは神となるハチマキ。 二番、それは神に近づくハチマキ。
2006年/日米共同制作/カラー/ビスタサイズ/ステレオ/116分 公式 HP >> http://www.afrosamurai.jp/ |
●『ゾンビーノ』 原題:Fide
監督・脚本:アンドリュー・カリー とある時代、地球が放射能の雲で覆われ、世界中の死体が甦ってゾンビとなって人間を襲い始め、世界は恐怖に包まれた。この危機を救ったのは、安全保障会社ゾムコン社の開発した特殊な首輪。この首輪さえつけておけば、ゾンビは人間に従順になるのだ。かくしてゾンビは、家事労働など何でもやってくれる便利なペットとして一家に一匹(一人)の時代を迎える。のどかな田舎町ウィラード。少年ティミーの家は、近所で唯一ゾンビを飼っていない家だったが、隣にゾムコン社の有力者が引っ越してきて、ゾンビを見せびらかされたママは、パパの反対を押し切って、ついにゾンビを買ってくる。ティミーをいじめる悪ガキどもをゾンビがやっつけてくれたのを機に、ティミーはゾンビにファイドと名付けて、仲良しになる。そんなある日、ファイドが近所の口うるさいおばあさんを食べてしまう...。 ゾンビというと怖いホラーを連想していましたが、これはなんともユーモラスで、一見のどかな物語。首輪をしていれば従順なゾンビも、それが外れると暴れだすし、ウィラードの町は、金網に囲まれていて、その外には恐ろしいゾンビが金網を破ろうとして取り巻いているのです。 権力を振りかざすことの虚しさ...そんなことを感じた一作でした。それと、家族の絆の大切さ! 一昔前のアメリカのホームドラマを観ているようでもありました。(咲)
2006年/カナダ/35mm/カラー/シネマスコープ/ドルビーSRD/93分 |
●『自虐の詩』
監督:堤幸彦 不運と貧乏を絵に描いたような幸江と元ヤクザで無口な乱暴者のイサオは、大阪のアパートで一緒に暮らしている。気に入らないことがあるとすぐにちゃぶ台をひっくり返し、酒乱で警察のお世話になることも日常茶飯事のイサオ。だが幸江は、隣に住む小春に別れるよう薦められても、パート先のあさひ屋マスターにプロポーズされても、イサオへの想いが揺るぐことはなかった。そんな中、幸江は妊娠するが、転落事故で意識不明の重体となる。生死をさまよう幸江の脳裏には、貧しかった少女時代、荒んだ生活を送っていた頃のイサオとの出逢いが走馬灯のように浮かび上がる。果たして幸江は目を覚ますのか? 幸江とイサオに明るい未来はあるのか?
私の好きなミュージシャンが言った「幸せかどうかなんて、自分にしか決められないだろ?」という言葉を、この映画を観て思い出しました。傍目には不幸せにしか見えなくても本人がよければそれでいい。人にはそれぞれ様々な想い出があり、それを糧に生きている人もいる。そんな不幸なんだけれどちょっと笑っちゃう幸江の人生を、中谷美紀さんが好演しています。彼女の最初のセリフが「おかあちゃん」という問いかけなんですが、まずこの一言で完全にヤラレました。うまい!うまいんです!鳥肌が立ちました。
2007年/日本/1時間55分/ドルビーデジタル/ヴィスタサイズ 公式 HP >> http://www.jigyaku.com/index.html ★ 2007年10月27日(土)より 全国ロードショー |
●『この道は母へと続く』ITALIANETZ
監督:アンドレイ・クラフチューク
「ほんとうのママに会いたい──」
実話を元にした「母親を探す男の子」の物語です。
「母をたずねて3千里」が浮かびますが、マルコと違ってこのワーニャは、
母親の顔や名前さえ知らないのです。
年長の子供たちに習って字を覚えたワーニャは、
驚くべき行動力で母親を探す旅に出てゆきます。
彼自身の努力と周りの人々の助けで、しだいに母親に近づいていくワーニャが
無事にたどり着いて、と祈るような気持になります。
2005年ベルリン国際映画祭少年映画部門グランプリ |
●『犯人に告ぐ』
監督:瀧本智行
2000年12月31日の新宿。6歳の少年が誘拐され、犯人は母親に現金を持って立っているよう要求した。警視庁の指導のもと、神奈川県警の巻島も現場に張り込んでいたが、約束の時間に犯人は現れず、横浜を次の取引場所に指定したメモが見つかる。県警の曽根刑事部長は、メンツのため警視庁に手を引かせろと巻島に命令し、県警単独の捜査となった。新年のカウントダウンでごったがえす中、巻島は不審者を見つけるが手違いから逃げられてしまう。翌日警察を嘲笑する犯人のメッセージが届き、少年の遺体が発見される。事件の責任を取って巻島は地方転勤となり、6年が過ぎた。
2004年のベストセラーだった同名のミステリーを映画化したものです。『樹の海』で注目された瀧本監督の2作目。初めての刑事役という豊川悦司が、6年前と現在の巻島を演じわけ、おおっと思うほど存在感あり。石橋凌、小澤征悦が絶対上司や同僚になってほしくない嫌な奴を、逆になくてはならない真情あふれる部下を、笹野高史が好演しています。
2007/日本/カラー/117分/ヴィスタ/ドルビーSRD/ |
●『アレックス・ライダー』STORM BREAKER
監督:ジェフリー・サックス 高校生のアレックスは出張がちの叔父イアンと同居している。地味な銀行員だと教えられていたイアンは、実は別の顔を持っていた。帰宅する前に彼の運転する車は空から狙われる。アレックスもついに少年諜報員として任務を果たすことになった。幼いときから射撃、空手、ボクシングなどを仕込まれ、数ヶ国語を話すこともみなそのための準備だったことがわかる。さて初のミッションは・・・。 (C) MMVI Film & Entertainment VIP Medienfonds 4 GmbH & Co. KG 主人公アレックス・ライダーを演じるのは、金髪でハンサムなアレックス・ペティファー。父は俳優、母はモデルという17歳。原作はシリーズものとして人気だそうなので、今後も活躍していきそうです。プレスを全く読まずに本編を観ていたら、アレックスが縄を使うアクション場面がありました。あれあれと見入って、後で確かめるとドニー・イェンがアクション指導でした。なぁーるほどと納得!悪役のミッキー・ロークの老け様に驚き。苦労したんでしょうか。Mr.グリン役のアンディ・サーキスは『ロード・オブ・ザ・リング』のスメアゴル(ゴラム)だった俳優さんです。(白)
2006/ドイツ、アメリカ、イギリス/アメリカンヴィスタ/SRD/93分/ |
●『愛の言霊』
監督:金田敬 高校の同級生だった大谷晋也と立花都は卒業後同じ大学に進学し、今は一緒に暮らす恋人同士。幸せな日々を送っていたが、ある日、高校の同級生・水沢雪子が二人の前に現れる。立花との仲を疑っていた大谷にとっては面白くない再会だったが、大谷の心配をよそに立花は再会を喜び、水沢は二人との距離を縮めようとする。大谷のイライラは募るばかり・・・
原作は人気のBL(ボーイズラブ)コミック。親友のようであり、兄弟のようでもあるけれど、男女と同じように嫉妬や不安にさいなまれて喧嘩してしまう、二人の微妙な心模様を描いたさわやかな青春映画になりました。わたしは、ときどきくすぐったいような気分になって、直視できないこともありましたが、BL好き、イケメン好きにはよだれものかも。(梅)
2007/日本/72分/カラー/ヴィスタサイズ 公式 HP >> http://aikoto.com/ ★10月27日(土)より渋谷Q-AXシネマにてレイトショー特別記事『愛の言霊』完成披露試写会舞台挨拶レポートもご覧ください。 |
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2007年11月3日〜 |
●『ヴィットリオ広場のオーケストラ』原題:L'orchestra di Piazza Vittorio
監督・脚本:アゴスティーノ・フェッレンテ
15カ国30人が、映画館「チネマ・アポロ」と街を救うため、民族楽器を武器に立ち上がった...!
映画『終着駅』の舞台となったテルミニ駅にほど近いヴィットリオ広場。十数年前にテルミニ駅近くの広場で観光バスの到着を小一時間待たされたことがある。噂に聞いていたジプシーの子どもたちが同じツアーのご老人たちめがけて寄ってきたのを思い出す。
2006年/イタリア/90分/35mm/カラー/1.85ヴィスタ/DolbySRD |
●『北京の恋−四郎探母−』原題:秋雨
監督:孫鉄(スン・ティエ) 京劇を学びに北京にやってきた日本人の少女橋本梔子(しこ)は京劇役者の青年にホー・ミンに淡い恋心を抱くが・・・。
美しい京劇の調べに乗ってつむぎ出すほろ苦く切ないラブストーリー
2004/中国/ヴィスタサイズ/ドルビーSR/98分/ 公式 HP >> http://pekingnokoi.jp/ |
●『鳳凰 わが愛』
監督:ジヌ・チェヌ 1920年代の中国。リュウ・ランは恋人を助けるため、ささいな諍いから相手を傷つけ、15年の刑を受けて投獄されてしまった。その間に恋人は同じ男に辱めを受け自殺したのを知る。生きる望みがなくなり、反抗的なリュウ・ランは、懲罰の場で女囚のホンと出会う。彼女は夫の暴力に耐えかね、毒殺したあと夫の子を身ごもったことがわかり、自殺を企てたのだった。人生に絶望していた二人は、しだいに心を近づけていく。脱獄したり為政者が変わったりで、牢獄での生活は30年にもなった。 (C)2007「鳳凰」製作委員会
実話を元に映画化したもの。激動の時代と厳しい自然を背景に、苦難の中で愛を貫いた二人を描いています。中国で鳳凰は蛇と鶏から生まれるといわれています。リュウ・ランとホンの干支がそうだったことから「鳳凰」は二人の愛の象徴となっています。挿入歌「鳳求凰」の通り、お互いをかけがえのない相手として求め合った壮大なラブ・ストーリー。
2007/日本・中国合作/カラー/2時間1分/ドルビーSRD/ |
●『ONCE ダブリンの街角で』原題:ONCE
監督・脚本:ジョン・カーニー ダブリンの街角。穴のあいたギターを抱えて、去った恋人を歌う男がいる。花売りの女が立ち止まり、質問をあびせかける。適当にあしらうと、今度は掃除機をひきずってやって来た。女はチェコからの移民で、休み時間に楽器店でピアノを弾かせてもらっている。音楽という共通点で二人は親しくなり、いつしか一緒に演奏するようになった。 主演のグレン・ハンサードはアイルランドで有名なミュージシャン。ロックグループ、ザ・フレイムスの創立メンバーで、ギターとボーカルを担当。当時、ジョン・カーニー監督はベーシストだったとか。17歳のマルケタもチェコのシンガーソングライターで、映画は初めての出演だそうですが、無理なく自然体で演じています。多くの曲が歌われ、無口な二人の心情を代弁するかのようです。メンバーを集めてスタジオでレコーディングするようすなど、まるでドキュメンタリーを観ているようでした。小さいけれどぽっと火がともるような暖かい映画です。(白)
★2007年サンダンス映画祭 ワールドシネマ部門観客賞 |
●『ノートに眠った願いごと』
監督:キム・デスン 検事のヒョヌは、婚約者のミンジュを1995年のデパートの崩落事故で亡くしていた。その日二人で出かける約束だったのを、仕事の都合でミンジュ1人先に行かせたのだった。待ち合わせた地下のコーヒーショップでミンジュは事故に遭い、ヒョヌはずっと自分を責め続けてきた。10年後、仕事で苦境に立たされた彼のところへ、ミンジュの父親が遺品のノートを届けにくる。そこには新婚旅行の計画が細かく記されていた。ヒョヌはノートを手に、そこに書かれたとおりの日程で旅に出るが、行く先々でセジンという女性に出会う。
ミンジュはTVプロデューサーで取材のためあちこちを訪れています。ヒョヌと再訪したいと思った韓国の景勝地が次々と登場し、居ながらに旅をしている気分になります。ユ・ジテは、久々に切ないロマンスものに戻ってきました。きりりとしてしっかりもののキム・ジスもチャーミング(ずばり『チャーミング・ガール』にも主演していましたね)。お父さんもっと早くノート渡してあげてよ、と思ってしまいましたが、ま、それは映画の進行上しょうがないか。
2006年/韓国/カラー/1時間48分/スコープサイズ 公式 HP >> http://www.sonypictures.jp/movies/tracesoflove/ ★11月3日(祝)よりシネマート新宿など全国ロードショー特別記事『ノートに眠った願いごと』ユ・ジテ初日舞台挨拶 もご覧ください。 |
●『僕のピアノコンチェルト』vitus
監督:フレディ・M・ムーラー(『山の焚火』) 学業ばかりかピアノの才能も天才的なヴィトス少年は、飛び級して高校、大学に入学した。 母親は自慢の一人息子をピアニストにするため手間ひま惜しまない。 ヴィトスは周囲の期待を一身に受けながらも、普通の少年でいたいと思っている。 ヴィトスが唯一自由でいられるのは、大好きなおじいさんと一緒に過ごす時間だけ。 おじいさんは子供のころパイロットになりたかった夢を今も捨てずにいる。 (C)Vitusfilm 2006 主人公ヴィトスを演じるのは、当時スイスのコンセルヴァトワールに在学中だった 実際の天才ピアノ少年テオ・ゲオルギュー。彼の精神的ささえとなる祖父を、 『ヒトラー最後の12日間』の名演が思い出されるブルーノ・ガンツが演じています。 この二人のやりとりが祖父と孫というより、いたずら仲間という感じでほほえましいです。 天才でいるのが重荷になってきたヴィトス少年がどうしたか、 お子様もいっしょにご覧ください。親の立場ならちょっと胸を痛めて反省し、 子供なら拍手喝さいの展開です。(白) 映画の公開に先立ち、テオ・ゲオルギューが来日し、8月30日紀尾井ホールにて、 日本デビュー公演を果たしました。撮影当時より20cmも身長が伸びた彼は タキシード姿でフレディ・ムーラー監督とともに登壇し、満場の観客にあいさつ。 すぐにピアノソロが始まり、ショパンの「舟歌 嬰ヘ長調」、 スカルラッティの「ソナタ ホ短調」、そして難曲と言われるリストの 「パガニーニ大練習曲集第3番 ラ・カンパネッラ」が次々と演奏されました。 東京ニューシティ管弦楽団とともにベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第3番ハ短調」も披露。 アンコールにもこたえて初の来日コンサートは スタンディングオベーションで讃えられました。
♪テオ・ゲオルギュー プロフィール♪
1992年8月12日チューリッヒ生まれ。9歳からピアノをはじめ、 15歳からプロとしてヨーロッパ各地で演奏を行っています。 2004年サンマリノ国際ピアノコンクール優勝、同年ドイツ、 ワイマールで行われたフランツ・リストコンクールでも優勝。 現在はロンドンの名門音楽学校パーセル・スクールに在学中。
第1回ローマ国際映画祭観客賞受賞 |
2007年11月10日〜 |
●『琉球カウボーイ、よろしくゴザイマス。』 純沖縄県産映画が誕生しました。沖縄のCMディレクター3人による短編3本。ナビゲーターは芸歴62年、沖縄喜劇の女王・仲田幸子!
http://www.ryukyucowboy.com/ (C)2007RYUKYUCOWBOYFILMS 10月27日沖縄桜坂劇場公開 11月10日(土)テアトル新宿ほか順次全国公開予定 |
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●『やじきた道中 てれすこ』
監督:平山秀幸 太平の世、大阪で「てれすこ」という不思議な生き物が見つかり、万病に効くという話題でもちきりだった。お江戸では人の良いしんこ細工屋の弥次郎兵衛が、惚れた花魁のお喜乃の注文の品を届けに遊郭へ出向いていた。幼馴染の喜多八は歌舞伎役者になっていたが舞台で大失敗、もう生きてはいられないと廓の庭で首をくくる寸前だった。足元の灯篭が倒れてほんとに死にそうになったとき、弥次郎兵衛に助けられる。二人はお喜乃の親孝行を応援しようと、足抜けを手伝って江戸を脱出することになった。 なんとも豪華、賑やかな配役陣です。主役の三人以外は、ほんの少しずつの出番でもったいない気がしました。かなりトウのたった「やじきた道中」ですが、そこは芸達者な二人、腰の痛みも川の冷たさも(ロケは11月下旬だったそうです!)ものともせず笑わせ、しんみりさせてくれました。タイトルにある「てれすこ」はじめ、「お茶汲み」、「たぬさい」など落語のネタがいくつも入っています。平山監督の前作は『しゃべれどもしゃべれども』でしたね。劇中で、柄本明さんの歌舞伎の場面、幇間役のラサール石井さんが踊りの場面などお楽しみもあります。(白)
2007/35?o/カラー/ヴィスタ/ドルビーデジタル/108分) |
●『ロンリーハート』LONELY HEARTS
監督・脚本:トッド・ロビンソン
1951年3月8日、ニューヨークのシンシン刑務所で死刑が執行されようとしていた。凶悪犯の最期を見届ける関係者の中に、彼を逮捕したエルマー・C・ロビンソン刑事がいた。
これは実際におこったアメリカ犯罪史上最も凶悪な事件を元にしています。ロビンソン監督の祖父にあたるのが、トラボルタが演じたエルマー・C・ロビンソン刑事。今までも犯人2人を主人公に、2度映画化されたそうですが、監督は刑事の側面も入れてそれまでとは違った切り口となっています。 2006/アメリカ/カラー/107分/35mm/シネマスコープ/SRD/15R 公式 HP >> http://www.sonypictures.jp/movies/lonelyhearts/index.html ★11月10日(土)より新宿武蔵野館ほか全国ロードショー |
●『いのちの食べかた』OUR DAILY BREAD 監督・撮影:ニコラウス・ゲイハルター 編集:ヴォルフガング・ヴィダーホーファー 脚本:ヴォルフガング・ヴィダーホーファー、ニコラウス・ゲイハルター 録音・整音:ステファン・ホルツァー、アンドレアス・ハンザほか リサーチャー:デイヴィッド・バーネットほか
私たちが日々口にしている食べ物が、どこから来てどうやって店頭に並べられるか知っていますか?米、野菜やせいぜい魚は見当がつきます。では肉はどうでしょう?食肉市場というものがありますが、その中を映像としてみることはありません。 ナレーションもなく、淡々と繰り広げられる肉の解体プロセスや、トマトの収穫作業。思わず、第6回東京フィルメックスで上映されたアミール・ナデリ監督の『サウンド・バリア』を思い出してしまいました。やはりナレーションも台詞もないままに時が過ぎていき、監督は観るものの忍耐力を試したいのかと思ったものでした。けれども、『いのちの食べかた』には、いつしか映像に引き込まれていき、観終わってみると、ずっしりと食べ物の有難さを感じていました。何よりも現場で働いている人たちが凄い! いや、働くって、こんなにも大変なんだと驚嘆しました。(咲) 2005/オーストリア・ドイツ/カラー/92分/35mm/ヴィスタ/SRD ★11月10日(土)より、渋谷シアター・イメージフォーラムほか、全国順次ロードショー! |
●『花蓮の夏』(原題:盛夏光年 ETERNAL SUMMER) 監督:陳正道(レスト・チェン) 太陽のように明るい少年・ショウヘン(張孝全)と、月のように静かに彼を見守る少年・ジェンシン(張睿家)。親友だった二人の前に、彗星のように突然現れた少女・ホイジャ(楊淇)。彼女の存在が、安定していた二人の関係を大きく変える。自らの秘めた思いに気づき思い悩むジェンシン。恋人と親友の二人を失いたくないショウヘン。全てを知って見守るホイジャ。互いを思いやる三人の行き着く先は・・・
2006年の東京国際映画祭で上映され好評を博した『永遠の夏』が、邦題を『花蓮の夏』と新たにし公開されます。男二人と女一人の複雑な三角関係を題材に、全てが不安定に揺れ動いている、若者の成長過程を描いた作品です。愛情と友情の間で揺れ動く繊細な心を、ブライアンとジョセフが見事に体現して見せています。二人はこの作品で台湾金馬奬の新人賞にノミネートされ、ブライアンが最優秀新人男優賞を受賞しました。今年の7月に開催された第16回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭ではクロージング作品として上映され、主演の二人もゲストとして来日を果たしました。その時のインタビュー記事が本誌71号に掲載されていますので、是非ご覧ください。(梅) 上 インタビュー時のブライアンとジョセフ 下 2006年東京国際映画祭の時のレスト・チェン監督とブライアン 2006年/台湾/カラー/シネマスコープ/ドルビーSRD/95分 公式 HP >> http://www.karen-natsu.com/ ★11月10日(土)より、ユーロスペースほか全国にてロードショー |
●『風の外側』
原作・脚本・監督:奥田瑛二 岩田真理子はオペラ歌手を夢見る高校生。登校途中にチンピラにからまれて、通学鞄を海に落としてしまった。拾い上げてくれたのは兄貴分と思われる男。鞄は戻ったが大事な楽譜がなくなってしまい、ちょうどストーカーに悩んでいた真理子は「お詫びのかわりにボディガードをやって」と持ちかける。男はあっけにとられるが、以後律儀に校門の前で真理子を待つようになった。本名を名乗らない男に真理子は好きな名前をつけ、二人は少しずつ親密になっていく。 名前を明かそうとしない在日朝鮮人3世のチョ・ソンムンを演じるのは、モデル出身でCMや演劇で活躍中の佐々木崇雄。この作品が映画初主演。同じく初主演の安藤サクラは奥田瑛二・安藤和津の次女。母、姉とともに「桃山さくら」名義で奥田監督の前作『長い散歩』にも参加しています。主演の若い二人に夏木マリ、北村一樹、かたせ梨乃、石田卓也らが加わった豪華キャスト。海峡の町、下関でのオールロケの美しい映像をご覧ください。(白) 前作『長い散歩』では愛をテーマにした奥田監督の次なるテーマは夢です。かなりストレートに夢への憧れと恋を描いていて、すれたおばさんはちょっと気恥ずかしいような気持ちになりました。山と海に囲まれた下関の街がきれいで、行ってみたくなります。(梅)
2007年/日本/35mm/アメリカンビスタ(1:1.85)/カラー/dtsステレオ/123分 奥寺瑛二ブログ >> http://www.eijidokudan.jp/ ★11/10(土)より、下関スカラ座シアターゼロほか撮影地の山口県(山口県4館と北九州1館)で、全国に先駆けて公開。12/22(土)より、東京ロードショー。新宿K'sCINEMAにて。 |
●『カルラのリスト』 CARLA'S LIST
監督:マルセル・シュプバッハ
「戦争犯罪人は一国家の法体系を超え、国際正義の名の下に起訴されるべきである」
◆国際刑事裁判所 2007年10月1日 日本正式加入を機に、本作緊急公開決定
配給:アップリンク 公式 HP >> http://www.uplink.co.jp/carla/ ★2007年11月10日〜 東京都写真美術館ホール 12月1日 アップリンクXにて公開 |
2007年11月17日〜 |
●「第8回東京フィルメックス/TOKYO FILMeX 2007」
期間:2007年11月17日(土)〜11月25日(日)
映画祭ディレクター林加奈子さんと、プログラム・ディレクター市山尚三氏が、各々400本近くの作品を観た中から、よりすぐりの37本が上映されます。
【東京フィルメックス・コンペティション】 (10作品)
【特別招待作品】(11作品)
【特集上映 山本薩夫 ザッツ <社会派> エンタテインメント】
【リッティク・ゴトク監督特集 〜インドの伝説的巨匠〜】
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●『フライボーイズ』 原題:Flyboys
監督:トニー・ビル
1916年、ヨーロッパでは第一次世界大戦が激化の一途をたどっていた。当時、まだ中立を守って参戦していなかったアメリカから、自らの意志でフランス空軍に入隊し、ドイツ軍と戦った若者たちがいた。農場を差し押さえられたローリングス(ジェームズ・ブランコ)、権力者の父に勇気を示そうとする臆病者のロウリー(タイラー・ラビン)、黒人を差別しないフランスへの忠誠を誓う元ボクサーのスキナー(アブダル・サリス)等、志願した理由はさまざまだ。アメリカ人を受け入れる飛行中隊“ラファイエット戦闘機隊”の司令官セノール大佐(ジャン・レノ)は、志願兵たちがフランス語もろくに出来ないことに呆れながらも、暖かく彼らを迎える。一方、飛行士が戦場で3〜6週間しか生きられないことを知る先輩飛行士のキャシディ(マーティン・ヘンダーソン)は、新米たちに冷たく接する。 ラファイエット戦闘機隊には、265人のアメリカ義勇兵が所属したという。本作では、実在の人物にヒントを得て、ローリングスの物語を核に数名の人生を描いている。圧巻は約70億円をかけて描いた空中での戦闘シーン。アメリカのライト兄弟が有人初飛行に成功したのは、1903年 12月。発明されたばかりの飛行機が、第一次世界大戦で、さっそく兵器として利用された次第だが、当時は飛行しながらお互いの顔が見える戦闘であったことを、この映画は思い知らせてくれた。 派手な空中戦に憧れて、スヌーピーがゴーグル付き飛行帽・赤いマフラー姿で犬小屋にまたがる物語もあるほどだが、思えば、撃墜王・フライングエースとして貰った勲章は、裏返せば人を殺した証。そして、戦闘に巻き込まれて犠牲になる庶民...。実写さながらの迫力ある映像を観ながら、戦闘の形は変わっても、今なお各地で繰り返される戦争の悲劇に思いが至った。(咲) 人類が初めて経験する世界大戦で、無差別大量殺戮が行われる中、かろうじて騎士道精神が残っていたのが、戦闘航空機の戦いでした。大空への憧れと、自由を守るためにという宣伝文句に共感して志願兵となった若者たちは、過酷な戦争の現実を知って、あらためて戦う意味を考えはじめます。しかし、映画のメインは若者たちの恋や友情、そして飛行機マニアには嬉しい、当時の複葉機の勇姿です。(梅)
提供・配給:プレシディオ |
●『君の涙 ドナウに流れ ハンガリー1956』( 原題:Children of Glory )
監督:クリスティナ・ゴダ
“ドナウの真珠”と称されるハンガリーの首都ブダペスト。1956年、失われた革命とオリンピックの栄光があった。
ハンガリー動乱と呼ばれた、1956年の民衆蜂起。ソ連の影響下、独裁的な共産政権に対して、自由を求めて立ち上がった動きは、民衆から見れば革命であった。だが、ソ連軍によって弾圧されてしまい、ハンガリーの人々がやっと自由を手に入れ たのは1989年のこと。民主化されて間もない90年代半ばにプラハやブダペストを訪れたことがある。地下鉄のエスカレーターなどにソ連の面影を感じつつ、かつて民衆が集まった広場に立ち、人々の自由への思いに心を馳せたのを思い出す。 本作は、『ランボー』『トータルリコール』などハリウッドで数々の大作を手がけてきた名プロデューサーであるアンドリュー・G・ヴァイナが、母国ハンガリーへの思いを込めて企画した作品。ヴァイナは、1956年12月6日、偶然にもメルボ ルン・オリンピックの金メダルを争う水球の試合の日に、12歳にして国を出たという。オリンピック史上に残る水球チームの物語に、革命に身を投じた学生たちのことを重ね合わせ、カルチとヴィキの恋物語に仕立てて、1956年のハンガリーで起 こった出来事を劇的に見せてくれる。弾圧覚悟で立ち上がった人々の勇気に心が震えた。(咲) *あいち国際女性映画祭2007にて、『チルドレン・オブ・グローリー』のタイトルで上映。観客賞受賞。 公式 HP >> http://www.hungary1956-movie.com/ ★11/17(土)シネカノン有楽町2丁目(新館)ほか全国順次ロードショー |
●『ソウ4』SAW IV
監督:ダーレン・リン・バウズマン
ジグソウ死す。 大ヒットシリーズ第4弾。これまで未見の方は、まずおさらいして登場人物を把握してから鑑賞を。以前の謎に結びついた展開を見せます。ただのミステリー、ホラー、スプラッターとは一味違ったこのシリーズ。苦手なジャンルなのですが気になるので、眼をつぶりながら(!)こわごわ観て来ました。ほんとによくこんなストーリーを考えつくものです。ゲームの謎を解く鍵はいつもジグソウの言葉の中にありますが、あまりにも特異なシチュエーションに放り込まれ、時間に追われてその鍵を見失ってしまうのです。監督は2、3から続いてのダーレン・リン・バウズマン。3と90%同じスタッフで作られたこの4は、小さな役(SWATチーム、看護士たち)も同じ俳優が演じているそうです。アメリカでは初登場1位でのスタート!日本ではどうでしょうか。(白)
2007/アメリカ/カラー/ヴィスタサイズ/1時間33分/ドルビーデジタル 公式 HP >> http://saw4.jp/ ★2007年11月17日(土)〜TOHOシネマズ六本木ヒルズほか、全国ロードショー |
2007年11月下旬〜 |
●『肩ごしの恋人』
監督:イ・オンヒ 有名カメラマンの助手として実力を認められつつあるジョンワンは、妻のあるハンサムな男性と「恋愛は恋愛」と割り切って、楽しんでいる。幼馴染のヒスとは男の好みからなにもかも違うが、だからこそ本音で言い合える親友だ。ヒスは大恋愛の経験がありながら、お金はあるけどダサくて地味な男性と結婚した。ヒスに言わせれば「保険」のようなもの。ところが、ヒスが夫が浮気をしているのを知ってジョンワンの部屋に転がり込んでくる。クールに別れるつもりだったジョンワンだったのに、そのころから恋人の妻が気になってきた。
『アメノナカノ青空』でデビューしたイ・オンヒ監督が、唯川恵のベストセラー小説をコミカルで切ないラブ・ストーリーに仕上げました。
2007/日本・韓国合作/カラー/1時間41分/ |
●『ヒッチャー』
監督:デイヴ・メイヤーズ 大学の春休み、恋人同士のジムとグレースは、ニューメキシコの湖までドライブに出かける。土砂降りになった夜半、よそ見をした一瞬、ロングコート姿の男をはねたかと肝を冷やす。男はこちらに近づいてきたが、見知らぬ男を乗せるのをためらい、雨の中においてきてしまった。気にかかったまま立ち寄ったガソリンスタンドで、その男に再会。先ほどの負い目から断ることができず、モーテルまで乗せることになった。男はジョン・ライダーと名乗ったが車の中で豹変、二人にナイフを突きつける。必死に抗い、走る車からつき落として逃げおおせたと思えたが・・・。
1986年、ルトガー・ハウアー主演でヒットした同名作品(このほどDVD発売されました)のリメイク。オリジナルも十分怖かったようですが、この作品でも何度も飛び上がるようなシーンがありました。心臓の弱い方、ご注意。
2007/アメリカ/カラー/84分/スコープサイズ/SRD |
●「伊勢真一監督作品 特集上映」
『ありがとう ー「奈緒ちゃん」自立への25年 ー』
監督・脚本・演出・編集:伊勢真一 てんかんと知的障害を合わせ持つ奈緒ちゃん。監督は、姪である奈緒ちゃんの姿を8歳の時から追い続けてきた。長くは生きられないかも知れないという家族の心配を跳ね飛ばし、奈緒ちゃんは、今、32歳。お嫁にやりたいというお母さんの願いはまだ叶わないけれど、自立して、障害者のグループホーム「みなみ風3」で暮らし始める ことになった。弟の記一さんも別のグループホームの担当職員として障害者の親代わりの日々。家はお父さんとお母さんの二人きりになり、お母さんは「ぽっかり穴が空いたようで寂しいわ」と嘆くが、お父さんは、「新婚時代に返ったみたいでいいじゃないか」とくったくがない。 「奈緒ちゃんより先に死ねない」とお母さんはつぶやく。健常児でも子育ては大変だと思うのに、障害児を育てるのは並大抵のことでないと思う。でも、この一家は、奈緒ちゃんを中心にして、がっちり気持ちが結ばれていて、今どき珍しい位の家族愛に満ち溢れている。伊勢真一監督がプロデューサーを務める山本起也監督の『ツヒノスミカ』同様、家族の何気ない会話が光る作品である。(咲) 伊勢監督の姪御さんである西村奈緒ちゃんは、てんかんと知的障害があり、生まれたときにはそれほど長くは生きられないだろうと言われました。監督は家族のアルバムのつもりで、奈緒ちゃんが8歳の時から一家を撮り始めますが、奈緒ちゃんを中心として深い絆で繋がれる家族に惹かれて、長きにわたり撮り続け、とうとう1995年にドキュメンタリー映画『奈緒ちゃん』を発表しました。その後、2002年には『ぴぐれっと』を発表。そして今回、25年に渡る奈緒ちゃんの自立への記録としてこの『ありがとう』を制作したのです。 奈緒ちゃんは32歳になりました。彼女のお母さんたちが立ち上げた、障害者の自立を助ける地域作業所「ぴぐれっと」は、さらに一歩進んでグループホームを開設し、彼女も家を出てグループホームで仲間と助け合いながら暮らすことを望みます。しかし、いざとなると奈緒ちゃん自身よりも、お父さん、お母さんの方が彼女が家からいなくなることに耐えられないのです。そのあたりの様子を見たときに思い出したことがあります。 奈緒ちゃんのお父さんも、行かせたくないと言い、さらに定年を迎えることもあって、これからどうすればいいかと大いに悩んでいます。お母さんも奈緒ちゃんと福祉に没頭してきたこれまでの生き方に、ちょっと不安を感じて揺れています。一方、弟の記一くんは今や「ぴぐれっと」運営の中心メンバーとして信頼されており、姉のグループホームでの生活に不安を感じながらも、頑張って欲しいと冷静に願っています。 年月が経てば、子供は親の元から旅立ち、どこの家族も形を変えていかざるを得ません。しかし西村家には、奈緒ちゃんという明るく素敵な心の接着剤があり、絆が断ち切れることはないようです。それは、とても幸せなことですよね。映画が映す彼らの様子は、思ったことを言い合い(亡くなった犬のぷーちゃんのお墓についての激論が面白い!)、一緒に考えることを止めません。それは絆を保つために、どこの家族にも必要なことだよなぁと、改めて思いました。(梅) 2006年/日本/16mm/カラー/105分/レーザーキネコ、レーザーサラウンド
シネマ ジャック&ベティ HP >>
http://www.jackandbetty.net/
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2007年12月1日〜 |
●『サラエボの花』原題:Grbavica 英語タイトル:Grbavica The Land of My Dreams
監督・脚本:ヤスミラ・ジュバニッチ
ボスニア・ヘルツェゴヴィナの首都サラエボ。エスマは12歳の娘サラと二人暮し。大学時代には医師を目指していたエスマだったが、紛争で挫折。政府からのわずかな生活補助金と裁縫の仕事だけでは生活が苦しく、子供がいることを隠してナイトクラブでウェイトレスとして働き始める。「女を武器にチップを稼ぐのよ」と助言する女の言葉には耳もかさず、ひたすら男を避けるように働くエスマ。 かつて、ユーゴスラビアは、「7つの国境、6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字により構成される1つの国」と言われる、チトー大統領の絶大なカリスマ性によってバランスが取れていた多民族国家だった。1980年にチトーが後継者を指名せずに死去した後、次第に民族主義が台頭。1989年の東欧民主化の動きとあいまって、1991年ついに紛争勃発。スロベニア、マケドニア、クロアチアと次々に独立していき、ボスニア・ヘルツェゴヴィナも92年に独立したが、内戦はその後も続き、1995年11月にようやく終結。
1989年春に、旧ユーゴスラビアを旅したことがある。ドゥブロヴニクからアドリア海沿いに北上して国境を越え、イタリアのトリエステからヴェネツィアまで行くというツアー。イスラーム圏に興味のある私としては、ユーゴスラビアに行くのならば、まずはサラエボと思っていたけれど、またいつでも行けると思って、GWにぴったりはまり込んだその魅力的なツアーに参加したのだった。絵のように美しい町をいくつも訪ね、まさか、その数年後にそこが戦場になるとは思いもよらなかった。 民族浄化の名のもとに、セルビア人がモスレム人女性に無理矢理子供を生ませているというニュースには、耳を覆いたくなったものだが、当事者にとっては一生背負って生きていかなければならない現実。父親不在の子供にとっては、自分の父親がどんな人物だったのか、もちろん知りたいだろう。民族浄化の事件はいずれ子供の耳にも入るだろうけれど、例え口が裂けても、母親は真実を天国まで持っていくべきじゃないかと思う。エスマは、生まれてきた子を見て、世の中にこれほど美しいものがあるのか・・と思ったというが、いくらお腹を痛めて産んだ子でも、忌まわしい記憶は一生つきまとうだろう。サラは事実を知って、父親に似ていると言われた髪の毛を剃ることによって、母への愛を示すけれど、子供にとっても真実を知ってしまったことは一生心の負担になるのではないか。などと、子供を産んだことのない私にはとやかく言う資格はないかもしれない。母性とは、そんなことも乗り越えるものなのだろうと想像するしかない。 重いテーマだが、ルナ・ミヨヴィッチ演じるサラの、ちょっとボーイッシュで魅力に溢れる姿に、すがすがしい気持ちになれた。心を分かち、許しあうことで、平穏な人生がおくれることと思う。(咲)
2006年/ボスニア・ヘルツェゴヴィナ,オーストリア,ドイツ,クロアチア/1時間35分/ビスタサイズ/カラー/ドルビーSR/PG−12 |
●『ダーウィン・アワード』THE DARWIN AWARDS
監督・脚本:フィン・タイラー サンフランシスコ殺人課のマイケルは優秀なプロファイラーだが、血を見ると失神してしまうという弱点があった。連続殺人犯を追い詰めながらも、このために取り逃がし首になってしまった。暇にまかせて、インターネットの「ダーウィン賞」を見ているうちに、この受賞者が毎年保険会社に損失を与えていることに気がつく。さっそく保険会社にプロファイリングの能力を売り込みに行き、それを証明できれば採用してもらえることになった。女性捜査員のシリと二人、ダーウィン賞にまつわる案件の調査の旅に出た。 「ダーウィン賞」はアメリカのインターネットサイトに現存しています。「最も馬鹿げた死に方をして、劣悪な遺伝子を絶つことにより、人類に貢献した人に与えられる」賞なんだそうです。『恋に落ちたシェークスピア』のジョセフ・ファインズが抱腹絶倒なプロファイラーを演じて、こういう役も似合うのねと感心。ウィノナ・ライダーはお久しぶり。顔を思い出そうとすると、活躍著しいキーラ・ナイトレイの顔が浮かんでいたこのごろ、これで大丈夫。「どうやって保険金を払わないようにするか」の講釈が聞けます。彼女の紹介で出演可能となったというロックバンド「メタリカ」のステージも劇中で見られます。(白) 結果的に死んじゃっているので気が引けるんだけど、やっぱり爆笑せずにはいられません。馬鹿すぎると笑いつつ、なんだか人間が愛おしいものに思えてきます。ジョセフ・ファインズ扮するマイケルは、ダーウィン賞ウォッチを趣味にしているうちに、自分も彼らの行動パターンに近づいていき、信じられないような失敗を連打して、笑わせてくれます。でもやっぱりイギリス演劇界の貴公子。ラブシーンでは人が変わったような色気が出てたぞ。
2006年/アメリカ/カラー/95分/ビスタサイズ/ドルビーデジタル |
●『おそいひと』
監督:柴田剛
住田は重度の脳性麻痺を持つ身体障害者である。電動車椅子で移動し、トーキングエイドという音声を出す機械で人とコミュニケーションを取る。介護者のサポートを受けながら一人暮らしをし、バンドマンのタケとはしょっちゅうビールを飲んで、何となく平穏な日々を送っていた。 重度身体障害者が犯罪者へと変貌するショッキングな内容が賛否両論を生み、TOKYO Filmex2004で上映されて以来、なかなか一般公開へと結びつかなかった作品が、海外の映画祭などでの評価を得て、ようやく公開されます。ノイジーで過激な音楽と、主演の住田雅清さんの圧倒的な存在感と、モノクロームの映像が三位一体となって、こちらに襲いかかってくるような強烈さ。あまりのかっこよさに、久々にしびれました。彼の絶望的な孤独と苦しみが、トーキングエイドの機械的な音声で発せられる数少ない言葉で、暗闇の中にギラリと光るナイフのように現れ、ドキッとさせられます。見事なハードボイルド作品です。障害者と犯罪を結びつけたことに嫌悪感を感じるなら、是非この作品を観て、自分の感情の奥底にあるものをしっかりと見つめることをお勧めします。住田雅清さんは、阪神障害者解放センターの事務局長やNPO法人の副代表などを勤めるとともに、バンドを組んでライブ活動もしているそうです。(梅)
2004年/35mm/モノクロ/83分 公式 HP >> http://osoihito.jp/ ★ 12月1日(土)より、ポレポレ東中野にてレイトショー(その後、全国順次公開予定) |
2007年12月8日〜 |
●『マリッジリング』
監督:七里圭
森谷千波は平凡な25歳のOL。学生時代からの友人詩織は年下の彼と婚約、絵里は不倫で熱愛中。千波にも圭介という彼氏がいるけれど、このごろ仕事が忙しいとすれちがい気味なのが不満だ。 渡辺淳一原作の不倫モノですが、意外にドロドロせず「禁断の愛」というより、心にすきまのできた二人がちょっと寄り道しました、な感じです。上司とOLの恋愛というのが、いまや劇的なドラマでなく、よくあることになってしまったからでしょうか?小橋めぐみは強烈な印象はないですが、時代ものも似合いそうな品があります。七里圭監督は『眠り姫』を観て芸術家肌の方かと思っていましたが、長い助監督時代もあったそうでこういう作品も手堅く撮られるんですね。(白)
2007/日本/カラー/35mm/ビスタサイズ/99分/R-15 |
●『やわらかい手』(原題:Irina palm)
監督:サム・ガルバルスキ ロンドン郊外の小さな町。未亡人のマギーは、難病を抱えた孫オリーの治療費のため、住み慣れた家さえも手放していた。しかし、オリーの病気は悪化し、オーストラリアに渡っての特別な手術を進められる。それにかかる莫大な費用はとても息子夫婦やマギーには工面できそうもない。万策つきたとき、「接客係募集・高給」の貼り紙が目についた。そこはセックスショップで、個室の仕事場の壁には穴があいている。壁一枚を隔てて男を絶頂に導くという、箱入り主婦が想像もしなかった「接客業」だった。面接したオーナーはあまりにも純朴なマギーに呆れるが、高給の条件を提示する。恥ずかしさに店を飛び出すものの、他にすべはなく、ベテランの接客係の指導を受けることになった。
多くのCMを手がけた監督の無駄のない演出、人気小説家・劇作家の書いた脚本、面白くないわけがありません。あけすけな台詞もユーモアに満ちていて、何度も笑ってしまいました。セックスショップの個室が舞台の映画は初めてですが、作中のオーナーの台詞によれば「東京にあった店を真似た」のだそうです。こんなところがあるんでしょうか??極上の「やわらかい手」の持ち主だったマギーは、ベテランをしのぐ売れっ子となります。
2006/イギリス、フランス、ベルギー、ドイツ、ルクセンブルク合作/カラー/103分/ドルビーSR/SRD 公式 HP >> http://www.irina-palm.jp/ ★2007年12月8日(土)より、Bunkamura ル・シネマにて、愛と刺激のロードショー! |
●「韓国映画ショーケース2007」
期日:2007.12.8(土)- 14(金)
上映作品:9本
イベント:12月9日(日)開演15:00
チケット:チケットぴあにて前売り券発売中
スケジュールなど詳細はHPにてご確認ください。 |
●『花の夢〜ある中国残留婦人〜』
監督・脚本:東志津 中国残留婦人というのは国が終戦当時13才以上であれば、自らの意志で中国に残ったと見なしている女性たちを表します。そのため、帰国政策によって帰国した中国残留孤児と違って、帰国のための支援もなく、生活補助もありません。映画は、その一人である栗原貞子さんの口から語られる、苦難に満ちた過去と、慎ましく穏やかな現在とを対比させ、もう二度と戦争だけはやってはいけないという彼女の思いを強く静かに伝えます。
7月にポレポレ東中野で上映されましたが、再び今度は横浜で上映されます。本誌71号に東志津監督のインタビューを掲載しています。 2007年/カラー/97分
シネマ ジャック&ベティ HP >>
http://www.jackandbetty.net/
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2007年12月15日〜 |
●『夜顔』Belle Toujours
監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ アンリ・ユッソンはパリのコンサートで、友人だった外科医の妻セヴリーヌを見かける。思わず声をかけるが彼女は足早に去っていってしまった。38年前、美しかったセヴリーヌは夫に言えない秘密を持っていた。知っていたのはそのきっかけを作ったアンリ。彼はもういちどセヴリーヌと出会い、逃げ出そうとする彼女に「ある真実を打ち明けたい」という口実で、ディナーの約束をとりつけた。 ©filbox films d'ici onoma
ルイス・ブニュエル監督の『昼顔』(1967年)は、カトリーヌ・ドヌーヴ主演。夫を愛する若妻が昼の間だけ娼婦となる、という当時話題となった映画でした。未見でしたので、DVDで鑑賞。この『夜顔』は、オリヴェイラ監督(1908年生まれ)がルイス・ブニュエル監督と脚本家へオマージュを捧げた作品です。
2006/ポルトガル・フランス/カラー/70分/35mm/ |
●『眠れる美女』House of the Sleeping Beauties
監督・脚本:ヴァディム・グロウナ 実業家のエドモンドは15年前に妻子を自動車事故でなくしていた。以来人生に希望も見出せず、孤独に過ごしていた。彼を見かねた友人が、ベルリンの街にひっそりとある秘密の館を紹介する。老齢の顧客のみを迎えるのは、謎めいた上品なマダム。いくつかの注意と簡単な説明をうけ、奥まった部屋に案内される。ベッドには一糸まとわぬ美しい娘が横たわっていた。薬で眠らされていて、お客のいる間目覚めることはないという。エドモンドは、瑞々しい肉体に寄り添い陶酔の一夜を過ごした。 (C)2005 Atossa Film All Rights Reserved 川端康成「眠れる美女」が原作。舞台をドイツに移して、ベテランのヴァディム・グロウナが監督・脚本・主演。訪れるたびに違う眠れる美女が待っていて、それも慣れていたり、そうでなかったり、一人でなく二人だったり。エドモンドがすっかり溺れて欲が出てしまうのも無理はありません。どういう娘たちなのか、マダムは何者なのか?ミステリー色も加わった話題作。(白)
2005年/ドイツ/カラー/103分/ 配給:ツイン、ワコー |
●『中国の植物学者の娘たち』原題:LES FILLES DU BOTANISTE(植物園)
監督・脚本:ダイ・シージエ(『中国の小さなお針子』)
中国人の父とロシア人の母の間に生まれたリー・ミンは、1976年の唐山大地震で両親を亡くし孤児院で育てられた。ある日、ミンは昆林の湖に浮かぶ植物園に住む植物学者チェン教授のもとに実習生として赴く。到着するなり、時間を守らないと厳しく叱る教授。娘アンは10歳の時に母を亡くし、封建的な父親と二人暮らし。同年代のミンを暖かく迎え入れ、いつしか二人の間には淡い恋心が芽生える。 禁断の愛をテーマにした本作は、中国での撮影許可を得られず、中国にほど近いベトナム北部で撮影された。ひたすら耽美を追及した映像に、幻想的な音楽や鳥の声が重なる世界は、トラン・アン・ユン監督の『青いパパイヤの香り』や『夏至』を彷彿させる。中国人とフランス人のハーフのミレーヌ・ジャンパノイはエキゾチックな魅力。『かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート』で悪女ぶりを発揮していた(というが覚えていない・・)リー・シャオランは、しっとりとした東洋の魅力。封建的な父親やデリカシーのない兄を見ていると、男を拒否して美女どうし惹かれあう気持ちもわからなくはないが、私には遠い世界。それにしても、同性愛が罪になるという世界も凄いが、父親が二人の関係を世間に暴露するなんて信じられない! (咲)
2006年モントリオール世界映画祭 最優秀芸術貢献賞(撮影監督ギイ・デュフォー)・観客賞(ダイ・シージエ)受賞 |
●『Little DJ 小さな恋の物語』
監督:永田琴 ラジオがまだまだ輝いていた1970年代。元気いっぱいの野球少年の太郎は12歳。野球のラジオ中継の真似が得意で、深夜放送をこっそり聴く毎日だった。病気知らずの太郎が学校で倒れ、診断は白血病。海辺の病院に入院することになってしまった。痛くて退屈な入院生活に参っていたある日、レコードがいっぱいの部屋にたどりついた。そこは大先生の院内放送を流すスタジオだった。大先生はマイクに向かう太郎を見て、特別治療と称し太郎のDJで音楽番組を作ることを思いつく。院内放送は人気で、太郎は交通事故で入院していた海乃たまきと仲良くなる。 (C)Little DJ film partners
ベテラン子役だった神木隆之介くんも14歳。少年から青年に変わっていく境目の年頃です。細身ではかなげですが、病床でDJに挑戦し、好きになった女の子に思いを伝えようとする男の子をしっかりと演じています。太郎より一つ年上の明るい美少女たまきを、ほんとは年下の福田麻由子。病院の患者に松重豊、光石研・・・それぞれのエピソードにしんみりしました。荒れる太郎を諭すイケメンくんは新人の賀来賢人。要チェック。
2007/日本/カラー/128分/ビスタサイズ/ドルビーSRD/ |
●『チャプター27』
監督・脚本:J・P・シェーファー
1980年12月8日 ジョン・レノンはなぜ殺されたのか? 犯人は何者なのか?
自らもジョン・レノンと、「ライ麦畑でつかまえて」のファンであるJ・P・シェーファー監督は、服役中の本人に200時間のインタビューを行って脚本を書き上げました。同じファンであるチャップマンがなぜ殺害に至ったのか、その疑問がスタートだったそうです。
2007/カナダ/1時間25分/ヴィスタサイズ/ドルビー/ |
2007年12月22日〜 |
●『ペルセポリス』原題:PERSEPOLIS
原作・監督・脚本: マルジャン・サトラピ 1978年、イラン。9歳のマルジはブルース・リーが大好きな元気な女の子。フランス系の学校に通い、両親や大好きなおばあちゃんに囲まれて幸せに暮らしていた。王政打倒の声が高まり、ついに翌年シャー(王)は国を去る。正義と自由に浮かれる人々。やがて、学校は男女別になり、ヘジャーブ(イスラームの教えに沿った服装)を義務付けられる。そして、イラクが攻撃してくる。革命後2年で国民の日常生活は180度変わってしまう。そんな中、「PUNK IS NOT BAD(パンクも悪くない)」と書いた上着を着て平気で町を歩くマルジ。心配した両親は、1983年、マルジをウィーンに留学させる。革命と戦争を経験した自分に興味を持つ人たちに「イラン人だし、それが誇りよ」と堂々と振舞うマルジ。いくつかの恋に破れ、ズタズタになった彼女はついに国に帰る決意をする。何も聞かず、暖かく迎えてくれる両親。大通りの多くが殉教者の名前に変わってしまった故国で、大学の美術学部に入学。青春を謳歌しはじめるが、恋人と車に乗っているところを革命防衛隊に咎められ、それならばと学生結婚。そして離婚。マルジはフランスに旅立つことを決意する。祖母と一緒に祖父の墓を訪れ、「誇れる人間になる」と誓うマルジ・・・ ブラジャーの中に潜ませたジャスミンの花の香りが素敵なおばあちゃん。「恨みや復讐ほど憎いものはない」「自分が何者なのかを見失わないで」「誰にでも選択肢はある」「公明正大に」と、おばあちゃんがマルジに語る言葉は人生の指針。
現在、パリを拠点に活動するイラン女性マルジャン・サトラピ。自伝的物語をグラフィックノベルで描いた「ペルセポリス」は世界16カ国で翻訳される。日本でも、2005年にバジリコより「ペルセポリス1・2」が刊行され、イラン愛好者の間で一躍話題になった。モノクロの独特の絵が目を引き付ける。
ペルセポリスは、紀元前550年〜330年、広大な領土を誇ったアケメネス朝の都。「ペルシアの都市」という意味の名前をこの都に付けたのは、この都を焼き払ったアレキサンダー大王。
私が初めてイランを訪れたのは1978年春。帰国直後に日本の新聞に「反体制集会に軍が発砲」と数行の記事が載ったが、まさか翌年王政が崩壊するなどとは思いもよらなかった。が、旅人ならずとも、イランの人たち自身にとっても、気がついたら世の中が変わっていたというのが実感だとよく聞かされる。『ペルセポリス』には、その様子が如実に描かれている。当時を経験した人たちにとっては追体験になるし、若い世代にとっては、当時を知る良い教科書となる。
2007年/フランス/1時間35分/B&W(一部カラー)/1.85/DOLBY SRD |
●『タクミくんシリーズ そして春風にささやいて』
監督:横山一洋 全寮制の男子高校、祠堂学院2年のタクミは、ギイこと崎義一とルームメイトになった。学校一の成績、ルックスも抜群のギイはアイドル的存在で、ギイに憧れる高林はタクミをねたんでいる。バスケット部キャプテンの野崎はタクミにしつこく迫ってくるが、他人に触れられるのが苦手なタクミは逃げ回っている。ギイはタクミのそんなようすを見てやさしくかばってくれるのだった。
原作はボーイズラブ小説のタクミくんシリーズ、最初の巻がこの「そして春風にささやいて」です。15年前に出版されて累計400万部のヒットシリーズなのだそうです。愛されキャラのタクミにはD-BOYSの柳下大、ギイにはドラマ「花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜」の加藤慶祐。ほかに『WATER』『スキトモ』『愛の言霊』とシネジャでも紹介した作品に出ているイケメンくんたちが、まとめて出演。寮の部屋のベッドや机が二つ並んでいたりして(普通は両端よね)環境的にまずいんじゃないでしょうか?しかしみんな若くて綺麗で目の保養〜(私はオヤジか?)。
2007/日本/カラー/75分/ヴィスタサイズ/ |
●『かぞくのひけつ』
監督:小林聖太郎
なんで男と女は一緒になろうとすんねやろ?
小林監督はこの作品が初の監督作品。第47回日本映画監督協会新人賞に輝きました。大阪出身の俳優で固めた、普段着の大阪人を描いた人情喜劇です。撮影中男前ぶりを発揮したという秋野暢子は、大阪のおかんファッションも着こなして愛するがゆえの焼餅をやいてみせ、桂雀々は「男のさが」ゆえに女と見るとほっとけない、困ったおとんをまるで素のように演じます。怪しい薬屋のあやしい歌が流れる中、男たちはピンチをくぐり抜けられるのか、女たちは男を取り戻せるのかっ?
2006/日本/DVカラー/ステレオ/83分/ |
●『再会の街で』Reign Over Me
監督:マイク・バインダー
話すことで、癒されていく傷がある。 ©2007 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved. 10代からスタンダップ・コメディアンとしてスタートしたアダム・サンドラーは、脚本やプロデューサーもこなし、近年はヒット作を連発しています。この作品ではくしゃくしゃの髪(髪型は重要だわ!)、だぶだぶの衣服でいつもとは全く違う表情を見せます。演技派のドン・チードル、サフロン・バロウズ、ジェイダ・ピンケット=スミス(ウィル・スミス夫人)らも、この繊細な物語を彩ります。チャーリーがスクーター(原付キックボード?)で縦横に走り回る姿を追うカメラワーク、彼の心情を現すように全編に流れる音楽も素敵です。9.11は私にもショックなできごとでした。心の傷が完全に癒えることはないでしょうが、こういう映画がアメリカでできるほど時間がたったのですね。(白)
2007/アメリカ/カラー/124分/35mm |
●『迷子の警察音楽隊』原題:Bikur Hatizmoret 英題:The Band’s Visit
監督・脚本:エラン・コリリン
1990年代初頭、中東和平に明るい兆しが見えていた頃の、ある一夜の物語。
冒頭のタイトルやキャスト紹介から仲良くヘブライ語とアラビア語が並ぶのが嬉しい。ユダヤ人とアラブ人、古くからの宿敵のように語られることが多いけれど、これほどまでに関係が悪化したのは近年のこと。言語的にも親戚関係にあるし、イスラ
エル建国までは多少のいざこざはあったとしても共存して暮らしてきたはずだ。ディナが、「かつて金曜日の夜にエジプト映画が上映されていて、皆、オマー・シャリフやファテン・ハママに憧れてたわ」と語る場面があって、イスラエル建国後にも、そんな時代があったのだと興味深かった。
2007年/イスラエル=フランス合作/87分/ドルビーSRD/1:1.85/35mm/カラー 公式 HP >> http://www.maigo-band.jp/ ★12月22日(土)より シネカノン有楽町2丁目ほか 全国順次ロードショー |
●『ルイスと未来泥棒』MEET THE ROBINSONS
監督:スティーブン・アンダーソン
本当に発明したかったのは《家族》かもしれない・・・ 世界初の長編アニメ『白雪姫』から70年。ディズニーから初めての未来の物語が誕生しました。ユニークでファンタジックな未来都市が目の前に広がります。この画面を見た子供たちの顔が想像できます。原作は人気の絵本作家ウィリアム・ジョイスの「ロビンソン一家のゆかいな一日」です。短いストーリーの舞台を未来にし、「ほんとうの家族」を探すルイスの物語を加えました。自身も養子に迎えられた経験があるという、スティーブン・アンダーソン監督の切実な思いもこめられています。冬休みご家族でぜひごらんください。(白)
2007/アメリカ/カラー/ドルビーSRD/ビスタサイズ/1時間42分 |
●『パルス』(原題:PULSE)
監督:ジム・ソンゼロ
不安げな様子で図書館にやってきた大学生のジョシュは、そこである人物と会う予定だった。しかし、彼を得体の知れない影が襲う。 黒沢清監督の『回路』(2001年)のリメイクですが、ネットを通じて人間の想像を超えた存在が蔓延し人間の生存を脅かすという基本部分以外は、まったく別もの。アメリカらしい学園ホラー映画になってます。つっこみどころ満載(笑)。(梅)
2006年/アメリカ/35mm/カラー/シネスコ/ドルビーデジタル/86分 公式 HP >> http://www.pulse-movie.jp/ ★12月22日(土)よりシアターN渋谷ほか全国感染ロードショー |