監督 霍建起(フオ・ジエンチー)
出演 陶紅(タオ・ホン)
2000年 102分
中国映画祭2002(9・18--22 有楽町朝日ホール)の合間をぬって行なわれた数社合同の監督インタビューの模様をお届けします。
ー この映画を撮るきっかけは?
改革開放政策の変化の中で生きる女性を撮りたいと思いました。
ー 1作ごとにスタイルが変わっていますが?
重複を避けたいので、新しいものをどんどん撮っていきたいというのが、主な理由です。
ー ロケ地に重慶を選んだのは?
主な理由はビジュアル的な効果を狙ってのことです。霧の町で盆地で、川もあり、現代的なビルと古い町のミックスした感じが映像にしたときに生きてくると思いました。
ー 美しい映像でびっくりしたのですが、光の使い方等は意識したのでしょうか?
この映画は夜の町がほとんどでしたので、人工の光も使いました。暗い中に浮かび上がってくるような効果を狙いました。レストランのシーンは、大道具の方でセットを組んだのですが、顔だけを明るくして、バックを暗くするという工夫をこらしました。
ー 商業的な映画よりも、芸術的な映画を追求していらっしゃいますが・・・
撮るからには、自分の好きなものを撮りたいと思っています。
ー 映画の入りはどうだったのでしょう?
上海国際映画祭のあとで、地域を限って公開しました。反応は良かったです。
ー ヤンは人生的に苦労していますが、どのように描きたかったのですか?
今は一人っ子政策ですが、以前は一家に数人の兄弟がいて、必ずヤンのようなタイプの女性もいたと思います。代表的な女性像の一人だと思っています。
ー 主演の陶紅についてお聞かせください。
彼女はテレビを中心に活躍していました。4〜5ヶ月の準備期間の間、話し合いをしながら映画に臨みました。役作りに専念してくれて、演技に満足しています。彼女にとってもステップアップになったと思います。
ー 圧倒的な風景の中からドラマが生まれていますが・・・
ストーリーが固まってから、風景を選びます。ストーリーに合う風景が見つかるまで、探します。
ー 奥様のスー・ウーさんと二人三脚で映画を作られていますが、家ではどのように話されているのでしょうか?
家でも話しています。夫婦でやっていると、討論じゃなくて喧嘩になってしまうこともあります。映画は監督のものだけど、“本”は自分のものと言っています。
ー 中国の映画事情ですが、この数年の変化についてお聞かせください。
今の若い人たちにとって、映画を勉強する方法は以前とちがって、DVDなどもでてきて、たくさんありますので、社会の変化とともに表現方法は変わっていくと思います。
ー 第5でも第6世代でもない作風を感じますが、監督自身はどうのように考えていますか?
第5 第6といっても、ひとくくりに出来ません。自分は美術を専攻しましたから、第5世代の卒業だけれど、映画は第6世代の時代に撮り始めました。自分としては、あまり気にしていません。
ー ラブシーンが結構大胆でしたが・・
今回始めてラブシーン撮りましたが、内容的に彼女が幸せな気持ちから奈落の底に落とされるという状況で必要なシーンでした。
ー 『山の郵便配達』の監督として日本で有名なので、この映画が公開されたら、大成長したと日本の観客に見られると思います。
ー ヤンのような女性があのように男性を受け入れたのが意外でしたが、あの男性の気持ちに感情移入されましたか?
社長は一つのイメージです。映画の中で男性が悪くて女性が良いという図式を描いているわけではありません。
ー 影響を受けた外国の監督は?
謝晋監督、日本の70年代の映画、黒澤や小津、イタリア、フランスの作品も好きです。
ー 今後どのような作品を撮りたいですか?
歴史的なものも環境が整えば撮りたいです。外国には超大作で進出、国内向けには娯楽、学生運動を扱ったものなど、この道という風に自分をしばらないで、作品中心に手掛けていきたいです。
(本誌 57号にも掲載 )
『ションヤンの酒家』監督・主演女優インタビュー(2003年11月)