シネマジャーナル72号が出来上がり、昨日、皆でSさん宅に集まって発送作業。差し入れのお菓子や用意されたお鍋の材料に脇目を振りつつ、宅急便のお兄さんが来るまでに仕上げなくは・・・と、皆おおわらわ。定期購読の皆様にはメール便で発送しましたので、明日か明後日には届くことと思います。どうぞお楽しみに!
さて、出来上がった72号をよ〜く見てみたら、誤字脱字、字体の変なところ、クレジットが抜けているところ、こう書けばよかったというところが多々ありました。いつものことなのですが、最終チェックしているときに、どうして気がつかないのでしょ! と、呆れます。ちなみに、83ページ、定期購読料 3000円になっていますが、今は、2500円に値下げしています。皆様、どうぞよろしく〜!
思えば、こんなにミスが多かったのも、編集作業が佳境のときに暢気に香港に行っていたのが、やっぱり敗因でした。という次第で、香港の旅の報告を!
3年ぶりの香港、もう懐かしくて、3年分を一気に取り戻そうと、レスリーゆかりの地を訪ねてあちこち歩き回って、2日目の夕方には、もう帰ってもいい程満足してしまいました。一方で、ゆかりの地が変貌していてショックを受けたこともたくさんありました。でも、不思議なことに、3年前に訪れたときには、レスリーの不在を強く感じたのに、今回は、香港のどこを歩いていても、レスリーを感じることができたのです。彼がこよなく愛していた香港は、どんどん変わっていくけれど、やはり香港であり続けていると感じました。
大好きな『流星』のロケ地 上環点描
明仔と一緒に郵便物を投函した郵便受けもすっかり新しいものに変わっていました。 |
明仔の手を引いて歩いていたエスカレーター下 |
『流星』ラストの階段 ここは変わらない風景でした。 |
亞婆井前地に辿り着いた時にはもう真っ暗でした。 |
マカオでのもう一つの楽しみは、韓国ドラマ「宮〜ラブ・イン・パレス」最終回のロケをしたコロアン島のヴィレッジ。タイパ島には大型カジノのヴェネチアン・リゾートが出来たりしているのですが、コロアン島にはまだ高層ビルもなく、のどかな雰囲気でした。美味しい蛋撻(ダンタ:エッグタルト)も、もちろん食べてきました。
聖フランシスコ・ザビエル教会 |
図書館 |
コロアン島のヴィレッジのロータリー |
さて、香港に行っても、イスラーム好きの私は、まずは宿の近くの彌敦道(ネーザン・ロード)のモスクへ。そこで見つけてしまったのが、12月2日のイスラーム中学でのコーラン詠唱大会。優れものの「香港街道地方指南」で場所を調べて、「バスの旅を楽しみましょ!」と友人も引き連れて行って来ました。湾仔のフェリー乗り場近くのバス停から、780番に乗車。香港島の海沿いを行く東區走廊をぶっ飛ばして、柴灣へ。住宅街にある学校は政府の資金で運営されているのだとか。講堂では可愛い中学生の男の子が詠唱中。席は右に男性、左に女性と、ちゃんと分かれています。漢民族のムスリムの校長先生が案内してくださって、恐縮してしまいます。席を詰めてくれた女の子たちが、どうもイラン人っぽいと思って聞いてみたら、やっぱりそうでした。
イラン人の姉妹。左端はインドネシアの女の子。 |
コーラン詠唱中の男の子 |
ほんとに充実の香港だったのですが、実は、二日目にトラムの2階で風に当たりすぎたのか、風邪を引いてしまったのでした。日本人気質で、二階建てバスもトラムも、つい2階の一番前に座ってしまうのですねぇ。楽しみにしていた重慶マンションのインド料理も、香港の人たちも交えて大宴会をした上海素食(精進料理)も、風邪のせいで食欲がなくて、ほんとに残念でした。帰ってきたばかりなのに、また行きたい!と思う日々です。
古き香港を最後に・・・
キャットストリート |
毛さんいっぱい |
(咲)
11月20日、シネジャ創設者の一人、佐藤玲子さんが長年の夢を叶えて、ベトナム、インド、東欧、フランスを旅した日々を綴ったエッセイが発行されました。タイトルは、『ハノイを楽しむ』。 (詳細→連合出版HP http://homepage1.nifty.com/rengo/) 『望郷』でジャン・ギャバンが潜んでいたアルジェのカスバ、『昨日・今日・明日』でソフィア・ローレンが闊歩したナポリなどなど、映画で観た旧市街に憧れていたという佐藤さん。一つの町にじっくりと腰を落ち着けて、まるで暮らしているかのように、市場や裏通りをのんびり歩き回るという贅沢。離婚して3人のお子さんを育てあげ、こつこつと貯めた資金100万円で、これだけの満ち足りた旅をされたことに驚きます。こんな旅がしてみたい! この歳でも大丈夫!と元気が出ます。佐藤さんのこれまでの人生も滲み出て、ほんとに素敵なエッセイです。
17日(土)からは東京フィルメックス。イラン映画2本、イスラエル映画3本と私の地域(!!)の作品はもちろんのこと、連日通って楽しんでいます。合間にトークイベントも開催されて、気がつくとろくに食べるものも食べていない! それほどに充実した映画祭です。
ジョニー・トー監督の『Exiled 放・逐(原題)』は、返還直前のマカオを舞台に『ザ・ミッション 非情の掟』のメンバーが再結集。(でも、続編ではないですが。) 監督が「楽しんで作ったので、皆さんも楽しんで」とメッセージを寄せられた通り、遊び心満載。終わって、あちこちから「面白かったね〜!」「観れてよかったね〜!」と声が聞こえてきました。いや〜ほんとに面白かった!
そして、ジョニー・トー作品の脚本家ヤウ・ナイホイの監督デビュー作『アイ・イン・ザ・スカイ(原題)』。サイモン・ヤムが『Exiled 放・逐(原題)』の時の冷酷な親分姿と打って変わって、冴えない中年オヤジ姿で出てきて、あらまぁ〜と。(警察の監視員という役柄だからなのですが・・ お腹が妊娠云ヶ月という感じなのは本物じゃないと願いたい私!) 『アイ・イン・ザ・スカイ(原題)』も、これまた面白い作品でした。冒頭、レオン・カーファイがトラムに乗り込むところから、あぁ〜香港!と懐かしさがこみ上げてきます。 何を隠そう、今度の水曜日、3年ぶりに香港に行くのです。映画に出てきた上環や中環の懐かしい街角をさっそく確認してこようっと!と、嬉しくなった矢先に、一緒に出発する予定だった先輩が右手を骨折したとの連絡が・・・。翌日には他の友人たちが来るのですが、1泊は一人で香港を楽しむことになってしまいました。
さて、東京フィルメックスも、いよいよ明日25日(日)が最終日。さ〜て、どの作品が賞に輝くでしょう。もしかしたら、この日記が掲載される頃にはコンペの行方が決まっているかもしれません・・・
シネジャ72号の原稿も、これからが山場なのに、映画祭に香港への旅と遊んでばかり! 原稿書かなくちゃ・・・とあせりながら、ついつい日記を書いてしまった私です。
(咲)
★東京フィルメックスの模様をちょっぴり写真でご紹介
11月21日(水)トークイベント「イ・チャンドン監督を囲んで」@有楽町朝日ホール(スクエア)
「監督4作目にして、もう巨匠」と褒めたたえる林加奈子さんに、「林さんと私の巨匠の概念が違うようですね」と謙遜するイ・チャンドン監督。
11月21日(水)トークイベント「香港映画最前線」@有楽町朝日ホール(スクエア)に登壇したジェシー・チェン。「次はコメディーに出て稼いで車を買いたい。お父さん(ジャッキー・チェン)に買って貰うわけにはいかないですから」と、とっても天然!
11月21日(水)トークサロン @ MARUNOUCHI CAF?
「『それぞれのシネマ』談義」<ハナ・マフマルバフを迎えて>
19歳になって、少女の面影を残していた3年前から、ちょっぴり大人っぽくなったハナ・マフマルバフ監督。
お兄さんのメイサム・マフマルバフも一緒に登壇。
11月23日(金)監督第2作『ヘルプ・ミー・エロス』について語るリー・カンション。 ふっとした表情がレスリーに似ていて、彼にもこうして監督作品を語って欲しかったなぁと。
この土日は、中東ミニ博物館の同好会仲間9人で“鶴子さんツアー”。なかのZERO視聴覚ホールで開かれた7月17日の『心理学者 原口鶴子の青春』試写会が終わった後、飲みながら、「鶴子さんの生まれ故郷富岡に行ってみたいね」と日程まで決めていたもの。映画を観て何よりそそられたのは、正面の参道をいったん上ってから下り参道を降りたところに拝殿があるという珍しい構造の貫前(ぬきさき)神社。鶴子さんの生家のすぐそばにあった神社です。高崎から上信電鉄で向ったのですが、切符が今時珍しい硬券! これだけで一気に数十年昔に引き戻された気分になりました。
上州一ノ宮駅で降りて、お地蔵さんの隊列など眺めながら歩いていき、大通りで信号待ちしていた時、足元のブロックに引っかかって倒れそうになり、倒れまいと力を入れたら、逆に道路に飛び出す形になってしまいました。猛スピードで走ってきたトラックのクラクションにお仲間もびっくり。寸でのところで轢かれずにすみましたが、もしかしたらあの世行きでした。「朝テレビで見た星占いで、魚座は一番ラッキーと出ていたのに・・・」と言ったら、「あの状態で助かったのだからラッキーよ」と。
幸先は悪かったのですが、貫前神社に着く頃には雨も止んで、1400年の歴史を持つ由緒ある神社の広い境内を散策し、鶴子さんに思いを馳せました。失礼ながら、こんな田舎町から100年前によくぞニューヨークに留学したものだと思ったのですが、この後、タクシーで富岡製糸場に行き、その立派な煉瓦造りの建物を見て、ここにフランス人が指導に来ていたことなども思えば、さもありなんと思いました。泉監督が2006年8月に撮影に訪れた時にはひっそりしていたという富岡製糸場も、今年初め世界遺産暫定リストに登載されてからはぐっと見学者が増えたとのこと。ボランティアガイドの方が案内する数十人ずつのグループがいくつも出来ていました。私たちのガイドの方は、お父様が製糸場にお勤めだった方で、敷地内にある社宅で育ったので、まさに製糸場は自分の庭。様々な資料や写真を見せながら説明する合間に、肝試しに煙突に登ったことなど楽しそうに語ってくださいました。明治時代というと女工哀史で聞かされるような過酷な労働条件を思い浮かべるのですが、富岡製糸場は8時間労働で、余暇にお茶やお花も学べたそうです。フランス製のちょっとゆがみのある窓ガラスの明かりが頼りだったという糸を拠る作業・・・。明治は遠くなりにけり。
富岡をあとにして、谷川岳に程近い湯檜曽のもちや旅館へ。鶴子さんとは何の関係もないのですが、ちゃんと「つる子さんツアーご一行様」と歓迎してくださいました。心のこもった美味しいお料理の数々に皆大満足でした。素敵な旅のきっかけを作ってくださった鶴子さんと泉監督に感謝!
(咲)
東京国際映画祭の疲れも取れないうちに、11月1日から第8回 NHKアジア・フィルム・フェスティバルが始まりました。(11月5日まで) 監督の登壇は、1日と2日に集中していて、土日は3日の『京義線』のみ。せっかくなら、大勢の人が参加できる土日にも監督のQ&Aがあるといいのになぁと思いました。5本の上映作品のうち、1日(木)にベトナムの『1735km』とイランの『予感』の2本を観にいってきました。
『1735km』は、ハノイからホーチミン行きの列車で出会った若い男女が、途中古都フエで取り残されてしまい、陸路でホーチミンを目指すうち淡い恋心が芽生える物語。フエやホイアンの古い町並みも楽しめるロードムーヴィーでした。ちょうど通路をはさんで隣に女優さんが一緒に観ていました。(でも、彼女の演技がちょっと芝居がかっていたのが気になったのでした。すみません・・・) 1735kmは、ハノイからホーチミンまでの鉄道の距離。映画の中でも、Q&Aに立った監督も、ホーチミンではなくサイゴンと言っていたのが印象的でした。先日、留学生弁論大会で知り合った女子学生たちも、サイゴンと呼ぶ方が多いと言っていました。
イランの『予感』は、これまで数多くのドキュメンタリーを手がけてきたモスタファ・R・キャリミ監督の初長編ドラマ。リッチなマンションに暮らす広告会社社長の夫と精神科医の妻。結婚当初に流産、その後子供に恵まれず、夫婦関係が冷え切っているところに、若い写真家の女性と夫が知り合い恋に落ちてしまいます。写真家の彼女の兄は心を病んでいて、夫は精神科医である妻を紹介します。もちろん妻とは言わなかったけれど、結局わかってしまって、男女4人それぞれの葛藤が始まります。先日東京国際映画祭で上映された『数日後』と同じく、イランの中産階級が描かれていて、しかも女性たちがキャリアウーマンなのが、今のイランを感じさせてくれて、こういう作品を大勢の人に見てもらえば、イランの印象も変るのにと思いました。
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観終わってから、映画好きのイラン人の友人たちと一緒に飲みに行って、「心理描写を表すのに音楽がちょっとオーバーだったね」などと映画談義をしたのですが、いざ店を出る時になって、なぁんと、同じお店にキャリミ監督とショジャヌーリさん(『風の絨毯』などのプロデューサー)が通訳のゴルパリアンさんと一緒にいらしてました。渋谷には、あんなにたくさんお店があるのに、びっくり! それも、よりによってアメリカンパブ! 終電を気にしながら、しばらく監督に色々とお話を伺いました。夫が気晴らしに車を飛ばしにいく沙漠の道は、撮影が終わるのを待つようにして舗装されてしまったと聞かされ、ちょっと残念な思いでした。そうはいっても、住んでいる人にとっては、時間短縮で便利になったのですね。よそ者のノスタルジーで勝手なことは言えないけれど、どこの地でも自然や伝統は大事にしてほしいなと思う次第。
(咲)
長いと思っていた映画祭も無事閉幕しました。土曜日は台風の上陸で、都内は風雨が強く六本木ヒルズの中央通路も閉鎖。イベントが中止になったりしましたが、夜半には止み、クロージングイベントのある日曜は台風一過の好天に恵まれました。各賞の受賞者は下をご参照ください。記憶が薄れないうちに記事にまとめなくては。
いくつもの協賛企画の中に東京国際女性映画祭があり、こちらもTIFFと同じ20回目を迎えました。シネジャは毎年取材に出かけていましたが、特に今年は創刊スタッフの泉悦子が監督した『心理学者 原口鶴子の青春 −100年前のコロンビア大留学生が伝えたかったこと−』が上映され、私たちにも記念の回となりました。記者会見で高野悦子さん大竹洋子さんはじめ、映画祭を支えてきた方々や各地から駆けつけた女性監督たちを見ながらなんだか胸が熱くなりました。
これまでの上映作品、監督の紹介をまとめた「映画に生きる女性たち−東京国際女性映画祭20回の記録−」という書籍も出版されました(パド・ウィメンズ・オフィス刊 1800円+税)。20年を振り返った座談会の章には興味深い話題がいっぱいです。ぜひご一読ください。
(白)
10月20日から始まった東京国際映画祭も、『迷子の警察音楽隊』 (→作品紹介)が東京サクラ グランプリを受賞して幕を閉じました。知り合いのライターの方と、「グランプリを取るといいね」と話していた作品で、嬉しい限り。地味だけど、とても暖かい気持ちになれる作品です。
思えば、今年の東京国際映画祭、私にとっては幸先のいいスタートでした。19日から秋田・角館近くのユースホステルの常連同窓会に出かけ、華やかなオープニングはのがしてしまったのですが、21日(日)の夕方、角館から大急ぎで帰ってきて六本木ヒルズに到着早々、イラクの『砂塵を越えて』のコルキ監督に遭遇! 1ヶ月前、福岡で東京での再会を約束したものの、いつお会いできるかなと思っていたのです。福岡からイラクに帰国されたのは、ちょうどラマダーン月。断食されたかどうか伺ったら、「妻は断食してたけど、僕は家で食べてたよ。クルディスタンはデモクラシーの国!」と。「それなのに、今日は朝ホテルで食べたきり、何も食べてない」とおっしゃいます。ペルシア語通訳のゴルパリアンさんがローマ映画祭からまだ帰ってなくて、一人でお店に入っても、ハラール(イスラームとして合法)かどうか、わからないという次第。さっそく居酒屋にご案内し、ししゃもとホッケにご満悦のコルキ監督でした。
今年は、中東の映画もたくさん上映されたので、初めてプレス申請させていただきました。プレス試写と一般上映、ティーチインに記者会見にインタビューと、(白)さん同様、タフな身体がもう一つ二つ欲しい1週間でした。中東優先にしたので、中国映画祭も香港映画祭もぐっと涙を飲みました。もっとも、どうしても香港からのゲストが気になって、香港映画祭オープニングのレッドカーペット取材にだけは飛んでいったのですが、立ち位置が悪くて写真は全滅! 協賛企画を1週間ずらすとか、映画ファンの為には、配慮が欲しいところ。
イスラエル『迷子の警察音楽隊』記者会見 エラン・コリリン監督(左)、主演サッソン・ガーベイ(右) *東京 サクラ グランプリ | 中国『思い出の西幹道(仮題)』ティーチイン 奥様である脚本のリー・ウェイさんに同意を求めるリー・チーシアン監督、左は主演のシェン・チア二ーさん *審査員特別賞 | ドイツ『ワルツ』公開記者会見 プロデューサーのジャンマリオ・フェレッティさん、マリーナ・ロッコさん、サルバトーレ・マイラ監督 *最優秀芸術貢献賞 |
イラク他『砂塵を越えて』シャウキャット・アミン・コルキ監督 |
イラン『数日後』ニキ・カリーミー監督 |
トルコ『時間と風』レハ・エルデム監督 |
イラン・日本『ハーフェズ ペルシャの詩』麻生久美子さんのベールを整えてあげるジャリリ監督 |
エジプト『ベストタイム』『カット&ペースト』ハーラ・ハリール監督 |
こんな状況でしたが、東京国際女性映画祭での我がシネジャの泉悦子監督の晴れ舞台には、もちろん駆けつけました。22日(月)2時半からの記者会見。ウィメンズプラザホールの壇上に、高野悦子さんを中心に、今回の上映作品の監督が勢ぞろい。かつては、欧米の女性監督の比率が高かった東京国際女性映画祭も、日本の女性監督の比率がぐっと増しました。映画祭ディレクター大竹洋子さんの隣に座った泉監督、「いつもは記者席にいたのに、こちら側に座らせていただき光栄」と緊張ぎみに語りつつ、しっかり『心理学者 原口鶴子の青春』をアピールしました。
そして、いよいよ10月24日(水)12時から『心理学者 原口鶴子の青春』の上映。 泉さんはガラガラだったらどうしよう・・と心配されていたのですが、前日、NHKの「いっと6けん」で富岡市上映会の様子が放映されて、その直後から問い合わせの電話が鳴り続け、当日会場でのチケット受け渡しすることになった方も多数。テレビの影響って凄い! (実家に電話したら、最近ボケ気味の母からも『原口鶴子の青春』が観たいと言われたのでした。)
満席の観客を前に舞台挨拶に立った泉さん。まずは、会場に駆けつけた鶴子さんのお孫さん3人の方を紹介されました。ぐっと“原口鶴子”が身近に迫ります。そして、鶴子さんの声を担当した五大路子さんが登壇し、舞台が華やぎます。「面識もなかった泉さんからの熱意溢れる依頼に、夫(大和田伸也)も説得して一緒に参加しました」との言葉に、皆、微笑ましい思いになったことと思います。
上映が終わってからの、ティーチインでも、泉さんの飽くなき取材の様子や、偶然の出会いがこの映画に繋がったことが披露され、司会の小藤田千栄子さんが「泉監督は押しも強いけど、運も強いですね」と言われ、客席からどっと笑いが起こります。和やかで、とても素敵な上映会でした。壇上で、いずれはニューヨークでもう一本撮ると宣言された泉監督。次のターゲットはどんな女性たちなのか、今から楽しみです。
(咲)
20日(土)より第20回東京国際映画祭(TIFF)が開幕しました。 華やかなレッドカーペットの模様は、テレビの芸能ニュースなどでご覧になったでしょうか。公式HP(http://www.tiff-jp.net/ja/)にも毎日動画や写真がアップされています。ぜひチェックしてみてください。
IDカードをいただいて、先週からコンペ作品の試写に通い、ずいぶん消化しましたが、メインの4部門(特別招待、コンペ、アジアの風、日本映画ある視点)だけで75本が上映されます。特別企画(映画が見た東京、ワールドシネマ)が59本。これに協賛企画まで入れると総本数300本以上となるそうです。ひゃ〜。
どの作品を押さえようか、とスケジュール表を何度見直したことやら。さらにティーチインや舞台挨拶、記者会見を外さずにと思うと身体がいくつあっても足りません。六本木ヒルズアリーナでもイベントがありますし、もう一つ二つ「疲れない」身体がほしいところです。
新作がいち早く見られたり、ここならではの作品やゲストに出会う楽しみもあります。お近くの会場へ足を運んでみてはいかがでしょうか?
(白)
イスラーム暦第9月にあたるラマダーン月が明けました。断食をする月として、日本でもすっかり有名になりましたが、断食をするのは、夜明けから日没までの太陽が昇っている間。断食が終わって、日暮れとともに食べる食事のことをイフタールというのですが、先日、「日本トルコ婦人交流会 さくらーれ」(日本の桜と、トルコを代表する花チューリップlaleを組み合わせた名前)が企画したイフタール体験に申し込み、都内のトルコ人のお宅を訪ねてきました。断食しないまでも、しっかりお腹を空かせて伺ったら、絨毯の上に敷かれた布(ソフラ)の上には、サラダ、お肉や豆の煮込み、葡萄の葉の詰め物など、たくさんのご馳走! 食事風景を写真に撮らせてくださいとお願いしたら、二人のトルコ女性、「ちょっと待って!」と、しっかりスカーフを被られました。遠く離れた日本にいても、ちゃんと自分たちの習慣を守っている姿にちょっと心を打たれました。
実は、普段付き合いの多い日本在住のイランの方は、断食をする方も比較的少なくて、日本では、どの程度のイスラーム教徒の方が断食をしているのかと思っていたのです。(もっとも、イラン人とは対照的に、パキスタンの方たちはきっちり断食しています!) 先週の土曜日(6日)に、埼玉の世界女性平和連合主催の女子留学生日本語弁論大会が開催されたのですが、登壇した留学生7名のうち、中国のウィグル、バングラデシュ、タンザニアの3名の方が、懇親会の時に何も口にしていないことに気付きました。聞いてみたら、スピーチの前の昼食も食べてないと言います。こんな日は例外にして食べても良いのでは・・・と、つい思ってしまいますが、彼女たちにとっては、きちんと断食を守ることの方が大切なのですね。
思えば、アジアフォーカスで来日していたイラクのコルキ監督も、「最近はクルディスタンでも、皆、しっかり断食してるから、帰ったら断食しなくちゃ」とおっしゃっていました。さて、このコルキ監督の『砂塵を越えて』は、20日から始まる東京国際映画祭でも上映されます。再来日されるコルキ監督に、ちゃんと断食されたか聞くチャンスはあるかな・・・(咲)
(咲)
毎年楽しみにしているアジアフォーカス・福岡国際映画祭に、今年も行って来ました。ANAの特別企画で、九州どこから出入りしても、2泊3日 30,800円(復路延長可!)を見つけたので、映画祭の始まる前日に大分へ。若い頃、国東半島から大分へのバスで通りかかって、石畳の坂道に心惹かれた杵築(きつき)の町をゆっくり歩いてみたいという願いがやっと叶った次第。北台と南台の二つの高台にある武家屋敷、高台をはさむ谷町に並ぶ商店、そして、海に突き出したお城。坂道を何度も上がり下がりして、城下町の風情を楽しみました。かつての藩校の校門が、今の小学校の校門でもあるという贅沢。歩いていると、町の人たちが優しく挨拶してくださるのも心地よく、一昔前の日本がここにはまだ息づいていると感じました。「きつき城下町資料館」で町の歴史をじゅっくり学んだあと、お城と海を見晴らす「わかなの店」で、とり天(カボス酢)、団子汁などの郷土料理定食(1050円也)をいただきました。美味しかった〜!
杵築 勘定場の坂 |
坂道が風情のある杵築の町 |
現在小学校になっている杵築の藩校 |
築80年の別府駅前高等温泉 |
一日たっぷり杵築の町を歩いて、夕方、別府で途中下車して、築80年の洋館の「別府駅前高等温泉」でひと浴び。普通湯100円、高等湯300円。高等湯はタオルに石鹸、シャワー付きで、二階で休憩もできます。こんなに気軽に温泉が楽しめるなんて、幸せ!
別府の町を散策してみたら、ポスター満載の映画館に出会いました。いろんな映画を時間刻みで一日のうちに上映するのですね。
別府の映画館 |
大分駅前のホテルで一泊して、翌日は元会社の後輩の女の子(今や立派な母親です!)の案内で臼杵の石仏へ。彼女がチベット人の留学生の女の子を連れてきたのですが、チベットの彼女は、祖父母の世代がラサからインドに亡命し、インド北部の町で育ったといいます。私はそのインド北部のチベット難民の多い地域にも行ったことがあって、亡命してきたチベットの人たちが、逃げるときに大事に抱えてきた大量のお経を見て、感無量になったのを思い出しました。「ラサにも行ったことがある」と彼女に伝えたら、「私たちは行きたくてもいけません」と言われ、チベットの人たちの悲哀をずっしり感じました。
さて、14日夕方、映画祭オープニングにあわせて福岡入り。オープニング上映『トゥーヤの結婚』の後、ゲストを招いてのオープニングレセプションに出席させて頂きました。イランの『地の果てまでも』のアラブ監督にさっそく挨拶。イラクの『砂塵を越えて』のコルキ監督はクルド人ですが、2歳のときにサッダームに村を破壊され、両親と共にイランに逃げ、23年にわたりイランに住んでいたのでペルシア語がぺらぺら。通訳で、日本におけるイラン映画の母ともいえるショーレ・ゴルパリアンさんが、二人の監督のお世話をされていました。
20日まで、たっぷり映画祭を楽しみましたが、その報告はまた別途!
★ゲストと観客が気軽に接することができるアジアフォーカスの雰囲気を、ちょっぴり写真でご紹介しておきます!
ウズベキスタンのカマラ・カマロワ監督(左) |
コダックアワード授賞式会場でタイのゲストの方たち |
サインに応じるイラクのコルキ監督 |
観客と語るイランのアラブ監督 |
福岡滞在の最終日の午後、映画はお休みにして、柳川に行って来ました。西鉄の「太宰府・柳川観光きっぷ」は、往復乗車券、川くだりにお土産もついたお得な切符。(さらに、かんぽの宿のお風呂に入れる「湯ったり柳川きっぷ」もあります。)これなら人が集まらなくても確実に川くだりができるという次第。で、船着場まで案内されたのは、私一人。40分待たされましたが、結局、貸切状態で川くだり! 若い船頭さんに「柳川には30年ぶり」と言ったら、「生まれる前ですねぇ」と言われてしまいました。
『佐賀のがばいばあちゃん』に、懐かしい柳川も出てきて、柳川は福岡県なのになぁ〜と思ったことを言ったら、船頭さんも、「柳川が佐賀県だと思っている方が多いんですよ」と嘆いていました。たっぷり1時間、のどかな川くだりを楽しんで、旅気分満喫♪
柳川の川くだり |
柳川 御花 |
7時からの『風と砂の女』上映に間に合うように、福岡に戻り、インタビューと重なって後半しか観られなかった映画の前半を観て、空港へ。ほんとに充実のアジアフォーカスでした!
新旧が隣会う福岡の町 |
過去の映画祭で上映した作品を保管しアジアフォーカス・アーカイヴズのある福岡市総合図書館 |
(咲)
海洋映画祭も無事終わりました。3日間幕張へ通った甲斐あってコンペ作品、アマチュア短編作品、イベントも全部観られて充実した日々でした。映画祭は1回目からの参加ですが、年々観客が増えています。ここでなくては出会えない作品を観ることができました。またインタビューできた香港の郭子健監督の『野。良犬』がグランプリ。台湾の王プロデューサーの『練習曲』が準グランプリを受賞したのも嬉しかったです。ホテルのロビーでボランティア通訳さんをはさんでの録音でしたが、ロビーに流れる音楽と噴水の音を拾ってしまって、会話を聞き取るのに泣いています。なんとかまとめて72号でご紹介しますね。
今まで時間がなくて行けなかった海岸の近くまで歩いてみました。あまりに暑くて海まで行くのは挫折、近くの高層ホテルのレストランの窓から眺めました。綺麗でしょう?
(白)
前にシネジャのスタッフと「一度映画のエキストラをやって、体験記を書いてみたいね」と話したことがありました。
映画美学校の試写室に行くと、ホールの壁に告知があったりするのですが、そうそうは出会いません。ところが最近こんなHPを見つけてしまいました!
「東京エキストラNOTES」 http://yanaken.cocolog-nifty.com/extra/
YanaKenさんという方が運営しているHPで、「TVドラマや映画、プロモーションビデオの「エキストラ」をテーマに、首都圏でのエキストラ募集情報、本人(YanaKen)の体験談、実際にエキストラとして撮影に参加された方同士の交流・・・」などが紹介されています。
メルマガもありまして、さっそく申し込んでみましたら撮影日時、場所の変更のお知らせがすぐに届きました。
ご本人もエキストラにときどき参加していて「ロケ弁」や「記念にもらったグッズ」写真を掲載しています。読むとなかなか面白そうなのですが、待ち時間が長いようなのでそれが耐えられる人でないといけませんね。もちろん申し込みが必要で、指定された場所にちゃんと時間まで行けることが大事です。興味のある方はチェックしてみてください。
(白)
酷暑の日々でしたね。ちょっと一息ついて30度で涼しいと思うこのごろ。 温暖化に拍車をかけてしまう冷房を一人で使うことのないように、 「よそへ行こう」と思うものの外に出るのに一大決心が要りますねぇ。 映画館は涼しくて避暑にはもってこいです(笑)。 とはいえ、どうかみなさま夏バテにはご注意ください。
さてシネマジャーナル71号は、今週末には発送ができます。 もう少しお待ちくださいませ。
中に無声映画鑑賞会のレポを掲載していますが、 活動弁士と呼ばれる方々は現在10数人なのだそうです。 生の公演はとても面白いですよ!!毎月1回の鑑賞会のほか、 各地での催しもありますので、お近くであったときはぜひご覧ください。 近くにはこんなイベントもございます。
◆「活弁 IN 学士会座」
『ドクトル・マブゼ』監督:フリッツ・ラング(1922年/ドイツ/86分)
・8月24日(金)18時半より
・神保町駅そば 学士会館にて
・弁士:澤登 翠 音楽:新垣 隆(ピアノ)
◆第589回無声映画鑑賞会
[珍品・稀少時代劇特集!]
・8月30日(木)18時半開演
・門前仲町駅そば 門仲ホールにて
・弁士:澤登 翠、斉藤裕子
詳細はマツダ映画社HP http://www.matsudafilm.com
(白)
連日の暑さに夏バテしつつ、編集最終日を迎えました。 翌日から里帰りをする(梅)さん宅で、お茶の時間も惜しんでの追い込み。 なんとか揃えて、13日入稿です。お疲れ様でした〜。 71号は戦争に関わる映画の特集になりました。 そのほか会見取材やインタビューなど盛りだくさんですので、ぜひお楽しみに。 TVでもBSなどで戦争映画を数多く放映しています。 私が「心に残る戦争映画」として推した 『南の島に雪が降る』 も15日深夜にBS2で放送予定。DVDになくビデオ廃盤ですので、 この機会にぜひご覧になってください。
昨年東京国際映画祭で上映された香港映画 『ドッグ・バイト・ドッグ』 が11日から公開。 これに合わせて主演のサム・リーが来日しました。 映画祭の時のゲストはもう一人の主役のエディソン・チャンでしたね。 サムの宣伝来日は3年ぶりだったでしょうか。 シネジャでは1999年の46号で、 1997年の彼のデビュー作、 『メイド・イン・ホンコン』 を表紙に取り上げました。 その号を持って11日のインタビューへ。 「コンニチワ、ヨロシクオネガイシマス」と部屋に入るなり握手するサム。 か、かっこいい〜です!すっかり大人になりましたが、30過ぎには見えません。 若いです。20分間、表情豊かにしっかり受け答えしてくれた彼にさらに好感度アップ! 本誌に詳しい内容ときりりとした写真を掲載しています。 ここでは私の小さいデジカメでの写真と、(梅)さんの激写姿を。
*机にうつぶせになろうとしてるのは、ラストシーンを再現しているところ。
(白)
ほんとに、あっというまに8月ですね〜 明日はいよいよシネジャ71号の第1回編集日。 まだまだ原稿は山積み! 来週までに何とかすればいいさ〜なぁんて思っちゃいけないけれど、 ちょっと休憩。今週は、秋の映画祭の記者会見が2つ。 そして、7月下旬に日誌でご紹介したかったのに、 できなかったことも一緒にお届けします!
7月30日(月) シルクロード好きの元弁護士がウズベキスタンの留学生と東京駅銀の鈴で 11時に待ち合わせて遊びに行くというので、のこのこ出かけました。 ウズベキスタンには、チェルノブイリ原発事故の年に行ったので、 もう21年も前のこと。 留学生の美青年に、「もしかしてまだ生まれてなかった?」と聞いたら、現在22歳、 「かろうじて生まれてました」とのこと。 (いくら美青年でも対象外だわ〜 残念!) 大雨の中、サンシャインシティまで行き、お昼をご馳走になったところで、 ナンジャタウンに行くというので、これは付き合いきれない・・と、 これじゃ食い逃げだぁ〜と思いつつ、 出席を諦めていた第20回東京国際映画祭記者会見に駆けつけました。 実は、アジアの風部門のプログラミング・ディレクターが石坂建治さんに変わったと伺っていたので、 気になっていたのでした。 去年までのアジアの風は、せいぜいインドがちょっと入るだけで、 東アジア・東南アジアの作品がほとんど。アラブ映画祭などを手がけてきた石坂さんなら・・・ と期待した通り、今年は、中東・中央アジア・南アジアも含めて、 広い範囲から選定するとのこと。 ぐっと東京国際映画祭が楽しみになりました。
8月1日(水) 原稿が書けてな〜い!と、気になりつつ、横浜に花火見物。 今年は、赤や緑など、鮮やかで華やか。人生も、こんな風に明るくなるといいなぁ〜
8月2日(木)&3日(金) アジアフォーカス福岡映画祭記者会見&試写会。 こちらも、16年間ディレクターを務められた佐藤忠男氏が退かれ、 どんな切り口になるのかと興味津々。 今年の特集には、[I want to Dance! 泣くな、踊れ、アジアの女性たちよ!]や、 カナダ在住のインド女性監督[ディーパ・メータ特集 〜ディアスポラのアジア〜] [日本の民衆史]」など盛りだくさん。 「市役所にしては、ここまでやっていいのか〜というところまでやっていきたい」 と意欲満々の発表でした。
さて、さかのぼりますが、7月26日(木)イランから来日した ジャファル・パナーヒー監督をお迎えして、 東京外国語大学で『オフサイド・ガールズ』 の上映会が開かれました。 上映中に、ペルシア語専攻准教授佐々木あや乃さんの研究室で紅茶をいただきながら、 インタビューさせていただきました。
研究室に入って目を引いたのが、 男女が仲良く手をつないだペルセポリスのレリーフの写真と、 ナン(パン)やサンドイッチの大きなマグネット。
今のイランでは、自分の奥さんと手をつなぐのも人目を気にしてしまうけど、 元々イランの文化には、男女が離れていなくてはいけないという文化はなかったと、 写真を見ながらおっしゃる監督。
『オフサイド・ガールズ』では、 男装してサッカースタジアムに潜り込もうとした女の子たちが捕まって、 見張りの兵士に、「どうしていけないの?」と果敢に詰め寄りますが、 イランの女性達は、私の経験でもはっきりモノを言う人が多いので、 監督に「お宅で奥様やお嬢様の発言権は?」と伺ったら、 「発言の場を与えてあげてます」とおっしゃった後、 「娘には自分の権利まで取られてしまった! 娘のことは、周りにいる他の人に聞いてよ」と大笑い。 インタビューの模様は、本誌71号でご紹介します!
(咲)
もう8月に入りました。東京って梅雨あけしたの?と思ってたら、 今日ようやく関東甲信越地方の梅雨明け宣言が出たようです。 8月にずれ込むのは4年ぶりで、平年より12日も遅いのだとか。 また暑さとの戦いですが、できるだけエコ・ライフを心がけたいものです。
月末が期限のチケットや映画館のポイント消化で、しばらく忙しくしていました。 早めにしとかないといけないのは宿題と一緒です。 夏休みに入った3年生くんと一緒にアニメ3本ほか2本制覇(笑)。 ハリー・ポッターくんも仲間もすっかり大きくなっちゃって、 あと10年でこの子もこんなになるのか・・・と嬉しいような淋しいような。
試写は「韓流シネマ・フェスティバル2007 ルネサンス」から 『ミスター・ロビンの口説き方』 『甘く、殺伐とした恋人』 『女教師』 『角砂糖』 『卑劣な街』 の5本を観ました。 ラブコメ、動物ものドラマ、極道アクションと様々です。六本木オープニングゲストは 『卑劣な街』主演チョ・インソンと発表になっていますね。 あっというまにチケットが売り切れたそうで、すごい人気です。
アテネ・フランセでは、4日まで 「ヤスミン・マハマドとマレーシア映画新潮」上映中。 7日から25日は 「山形国際ドキュメンタリー映画祭2007前夜祭」です。 映画祭で見逃した皆様、ぜひお出かけください。
(白)
7月17日(火)夜 泉悦子監督長編ドキュメント第2作目 『心理学者 原口鶴子の青春 〜100年前のコロンビア大留学生が伝えかったこと〜』 の試写会もいよいよ3回目。 今回も場所は「なかのZERO視聴覚ホール」で、定員は100名。 14日の時点で気が付いたら定員を少し超えてしまったと、泉さんは大焦り。 その後お申し込み頂いた方も大勢いらしたのに、 今回も泣く泣くお断りすることになってしまいました。 ほんとうに申し訳ありませんでした。
そして、この日も、6月29日と同じく雨。 出足を心配しましたが、受付の用意が終わらない内から、続々と皆様駆けつけてくださいました。 予約なしでいらした方も多数。 ロビーにて6時半ぎりぎりまでお待ち頂き、キャンセルされた空席を確認して人数分お入りいただいたのですが、 ちょうど皆様席につくことができました。 日本女子大の現役学生グループや、HP・上毛新聞を見て群馬県からきたご夫婦、 女性グループなどで、お客様はさまざま。
上映終了後、満席のお客様を前に製作スタッフの紹介。 100年前を思わせるレトロなニューヨークを再現してくださったカメラの秋葉清功さん、 ドボルザークの曲を素敵にアレンジしてくださった音楽の金子文郎さん、 前作の撮影中、ニューヨークで知り合い、 本作で通訳および製作進行補佐をすることになった下田真奈美さんらが、挨拶をしました。 そして、本作に様々な形で関わってくださった方にも、客席からお言葉をいただきました。
まずは、ちょうどニューヨークからご帰国中のアーティストの作山?o治氏。 作山氏ご夫妻のお住まいは、偶然にも、鶴子さんが100年前に訪れたことのある部屋。 (縁って、凄いですよね!) 作山氏は、「写りがいいかどうか確かめに来ましたが、元が悪いからダメでした」 とジョークをまじえて挨拶。 つい先日、ニューヨークで長年の美術活動および教育貢献に対し、 NY日本総領事館より海外補習教員初の在外公館長表彰の栄誉に輝きました。
つぎに、東京学芸大学の男女共同参画推進本部にかかわる准教授の先生方から、 高く評価をいただきました。 泉さんの大学の大先輩で、鶴子さんの資料本の原作者を探し出してくださった 早稲田演劇博物館顧問であり歌舞伎研究者の林京平先生。 そして、最後に泉さんの前作品に登場し、今回もコロンビア大学と撮影交渉にあたってくださった、 ニューヨークの新進舞台演出家、河原その子さん。
3回目の試写会は、映画製作でお世話になった方たちに見守られて、 泉さんもぐっと落ち着いた感じで、暖かい雰囲気の内に無事終了しました。 雨の中、ご来場くださいました皆様、ほんとうにありがとうございました。 そして、ご参加いただけなかった皆様、10月の東京国際女性映画祭での上映には、 是非お越しいただければ幸いです。
試写会が終わってから、この日来てくれた友人たちと飲みながら、 鶴子さんの生家のそばにある貫前(ぬきさき)神社に行ってみたいねという話になりました。 1400年の歴史を持つ重要文化財であるこの神社、階段をいったん上がって、 また降りたところに神殿があるという変わった構造なのです。 同じく重要文化財で、世界遺産候補にあがっている富岡製糸場や、 富岡の町も歩いてみたくなり、晩秋に“鶴子さんツアー”を実行することに決定! もう一度映画を観て、色々確認しなくては・・・。楽しみがまたできました!
(咲)
6月26日〜30日、70代の友人ご夫妻&83歳の実母と一緒に香港に行っておりました。 回帰10周年の前日に帰国でしたので、イベントのようすを見ることもなくちょっと残念です。 街のあちこちにある垂れ幕や、イベント用の準備は目にしました。 TVでも10周年記念の特番がいくつかあったようですが、ゆっくりホテルにいることがなかったので見ていません。
香港は喫煙者にたいへん厳しくなって、あちこちに禁煙の札やポスター。 罰金5000hk$に恐れをなして、スモーカーの老母は我慢しておりました(笑)。 しかし、長時間だと機嫌が悪くなってささいなことにイライラするのに参りました(汗)。
香港は雨季でしたので、一日中降ったり止んだりのお天気で傘が手放せません。 昼から夜まで行った初めての深セン(香港に一番近い中国の都市)ではピーカンのお天気で、 汗ふきふき民俗村&ミニチャイナを周遊。楽しみにしていたナイトファンタジーは、 たくさんのダンサーに馬や牛、山羊まで登場する豪華なショーでした。 時速80kmでマイクロバスが走ったのは、高層ビルが林立し素っ晴らしく整備された広い道路。 ガイドの青年の「深センの平均年齢は26歳」というのが頷ける若い街のようです。 香港のように街歩きはできなかったので、生活のようすがわかるのは唯一駅の構内のみ。 いつか普通のお店に行ってみたいものです。
今回のもう一つの目的は、友人の父上(終戦少し前に兵隊にとられ、そのまま帰らなかった) が留学&卒業した香港大学を訪ねること。80年も前のことですが、 何か足跡でもないかと友人夫妻は図書館や事務室など探し回りました。 戦争をはさんだせいか学籍簿などぬけている年もあり、 名前を発見することはできませんでした。 しかし創立当時の旧校舎が保存されていて、 若き日の父上が通われた校舎を前に友人は感激の面持ち。
この後恒例のピークトラムに乗り、新しくなった展望台から雲の晴れ間に下界を望みました。 蝋人形館も何体か増えていました。
そして「食の香港」、在住の友人たちのおかげ(多謝各位!) でたくさんの美味しいものを詰め込んできましたよ。
(白)
6月29日(金)夜 泉悦子監督長編ドキュメント第2作目 『心理学者 原口鶴子の青春 〜100年前のコロンビア大留学生が伝えかったこと〜』 の2回目の試写会を「なかのZERO視聴覚ホール」で開きました。 6月9日に完成披露試写会を開いたウィメンズプラザの大きなホールと違って、 ここは定員100名で、消防法上定員を超えてはいけないとのこと。 嬉しいことに予約が定員になり、 せっかくお申し込みいただいた方を泣く泣くお断りするという事態だったのですが、 折悪しく夕方から大雨に。出足を心配したのですが、皆様、足元の悪い中、 駆けつけてくださって、会場は満員に。 「原口鶴子 女性心理学者の先駆」の著者、 荻野いずみ様、各大学の心理学の先生方、また、 鶴子さんの母校である日本女子大学からは、元学長の宮本美紗子先生、 現学長の後藤祥子先生をはじめ同窓会である桜楓会の皆様が多数ご来場くださいました。 ほんとうにありがとうございました。
次回試写会は、同じホールで7月17日(火)に開きます。 まだご覧になっていない方、是非いらしていただければ幸いです。 (詳細はHPトップページをごらんください。)
7月1日(日) 10年前のこの日の朝、何をしていたかを、 鮮明に覚えている数少ない日。 そう! 私は香港にいたのでした。 香港島の中腹にあるYWCAの部屋から、総督邸の屋根の上の旗が赤に変ったのを見下ろして、 あ〜ほんとに返還されたのだなぁと実感。前日、朝から深夜まで動き回った疲れと、 滝のような大雨に、出かける気力もなく、 ベッドでごろごろして回帰記念の催し中継を見ていたのが、つい昨日のようです。
英国植民地としての最後の瞬間は、返還式典の生中継を見ることもなく、 九龍のプロムナードに詰め掛けた大勢の人並みの中で、 あっけなくその時を迎えたのですが、 「帽子の記章をきっちり12時にこっちに替えるんだ」と語ってくれた警官、 12時を過ぎて乗ったスターフェリーがすれ違った英国の軍艦の上に、 敬礼をしながら直立していた英国兵等々、歴史の1ページを感じたひとときでした。
あれから10年。レスリーがいなくなってしまった香港は、私にとって、 返還とは別の意味で大きく変わってしまいました。 レスリーが存命ならば、香港や中国の映画界でどんな活躍をしていただろうかと思うにつけ、 寂しさが募るばかり。この2年、香港には足を伸ばせないでいたのですが、 BBCの返還特集番組を見ながら、レスリーの愛した香港に無性に行ってみたくなりました。 あ〜いつ行けるかなぁ・・・
(咲)
9日(土) シネジャ創設者の一人、泉悦子さんの自主製作長編2作目 『心理学者 原口鶴子の青春 〜100年前のコロンビア大留学生が伝えたかったこと〜』 の完成披露試写会を、東京ウィメンズプラザホールで開きました。 会場には、鶴子さんのご親族、本作に助成してくださった芸術文化振興基金の方々、 取材にご協力くださった方々、鶴子さんの出身校である日本女子大学の方々、 心理学関係、映像関係、泉さんの中高の女子聖時代の同窓生や先輩、 シネジャの読者の皆様等々、ほんとに大勢の方が駆けつけてくださいました。 お忙しい中、足をお運びいただきまして、ほんとうにありがとうございました。
一つ残念だったのは、この日、会場にいらしてご挨拶をしてくださる予定だった、 鶴子さんの長女、早百合さんが5月初めに急逝され、ご来場が叶わなかったこと。 早百合さんは1歳半の時にお母様を亡くされ、 お母様である鶴子さんの記憶がほとんどないとのことで、 この作品のDVDをニューヨークでご覧になりとても喜ばれて、監督に電話を下さり、 完成披露試写会を楽しみにされていたそうです。 上映後、早百合さんのご主人が、ご家族を代表してご挨拶してくださったのですが、 感慨深いものがありました。
ところで、本作は、今年の10月、 第20回目を迎える東京国際女性映画祭での上映が決定しました。 東京国際女性映画祭ディレクターの大竹洋子さんからも、ご挨拶をいただきました。 カンヌ映画祭で河瀬直美監督がグランプリを受賞するなど、 日本の女性監督の活躍が目覚しい今日この頃。 東京国際女性映画祭でも、泉さんの本作を含め、 日本の女性監督作品がたくさん取り上げられることと楽しみです。
さて、完成披露試写会は、シネジャスタッフや熱心な読者の方など総動員で 無事終わりましたが、司会を担当した私、加齢のための老眼と物忘れで、 お恥ずかしい限りでした。泉さんの前作も本作もタイトルが長くて覚えきれず、 また、東京国際女性映画祭の正式名称も3度も間違えてしまい、 ほんとに失礼してしまいました。穴があったら入りたい・・・
(咲)
ペルシア語通訳・字幕翻訳などで活躍している本間梨江さんの結婚式二次会に出席してきました。 アジアフォーカス・福岡映画祭で、この3年、イランの映画人のアテンドをしてきた本間さん。 会場には、昨年までアジアフォーカス・福岡映画祭ディレクターを務められた佐藤忠男氏ご夫妻や、 アフガニスタン映画祭を主催しているNPO法人クロスアーツの副代表理事で映画監督・脚本家の井上春生氏などの姿も。 二次会を仕切ったのは、アフガニスタンのファルク・アーセフィさんたち。 イラン人の音楽家シャフサヴァリ氏によるダフ (大きなタンバリンのようなイランの民族楽器)の演奏で、 花嫁も裾の長い素敵なドレスでイランやアフガニスタンの人たちと一緒に踊って盛り上がりました。
新郎の転勤に伴い、6月中旬にはテヘランで新しい人生のスタートを切るお二人。 映画祭で梨江さんの笑顔が見られないのは淋しいけれど、数年後には、 さらにペルシア語をブラッシュアップして戻ってきてくださることと楽しみです。
許可をいただいたので、二次会の様子をお届けします!
(咲)
60周年を迎えたカンヌ映画祭。 レッドカーペットに、ちょんまげ姿で登場した北野武監督のおかげで、 隣にいたキアロスタミ監督の姿を何度も観ることができ、嬉しいオープニングでしたが、 27日の閉会式で、いよいよ注目の受賞結果発表。 審査員席には、マギー・チャンの笑顔。レスリーも存命なら、 いつかこの席に座ることがあったのかもと、ちょっとセンチな気持ちに。
主演女優賞を取ったチョン・ドヨンの笑顔の初々しいこと! 注目していた、トルコ系ドイツ人監督ファティ・アキンは、 『The Edge of Heaven』 で最優秀脚本賞を受賞。 『愛より強く』 や 『クロッシング・ザ・ブリッジ 〜サウンド オブ イスタンブール〜』 に続いて、日本で公開されるといいな。 そして、河瀬直美監督が『殯(もがり)の森』でグランプリ受賞。 (日本人として、一応喜びましょう!) 最後、パルムドールに輝いたのは、 ルーマニアのクリスチャン・ムングウ監督の 『4 Months, 3 Weeks and 2 Days』。 いや〜、カンヌが選ぶ作品は、社会問題を取り上げた渋いものが多いですね。 さて、もう一つ注目していた、イラン女性マルジャン・サトラピ監督の 『Persepolis』 は何も取れなかったのか・・と思ったら、実は、観ている途中、 30分程寝てしまったのですが、その間に、審査員賞を受賞していたのでした。 ビデオを録っていたのに、たまたまCMで一時停止にしていた時に寝てしまって、 あぁ〜なんてこった! 再放送を待たなければ...。 『Persepolis』は、 マルジャン・サトラピが経験したイランのイスラーム革命の時代を描いた漫画をアニメにしたもの。 漫画「ペルセポリス」は、まだ読んでいないのですが、 次に日本でも翻訳本の出た「刺繍」は、イラン女性の本音が炸裂した強烈な作品。 『Persepolis』も期待できます。 これも日本で公開されるといいな。
ところで、久しぶりのトルコ映画の日本一般公開となる 『イラク ー狼の谷ー』は、 イラクのクルディスタンにトルコの諜報部員が潜入して米軍と闘う話。 (詳細は、作品紹介をどうぞ!) 昨年トルコで大ヒットした当時は、 きっと対岸の火事という思いでアクション場面にも大喝采だったのではと思うのですが、 先週、首都アンカラで民間人を巻き込み、6人の死者を出す自爆テロ事件がおこってしまいましたね。 直後には、イスタンブルなどで同時テロを目論んでいた自爆テロ犯が拘束されたそう。 アタテュルクによる政教分離の建国の精神も揺らぎかけ、ますます混迷のトルコ。 これからどうなるのでしょう...
そして、イラン。 イスラーム革命以後国交断絶していたアメリカとの27年ぶりの討議 (対話ではないですねぇ!)の行方が気になりますが、 そんなきな臭い話とは裏腹の、 「Gateway to Paradise」という、 まさに天国のような風景を切り取ったイランの写真家サデグ・ミーリーの写真展に行ってきました。 スライドショーでは、花や鳥、さらには、キアロスタミの 『オリーブの林を抜けて』 に出てきたような伝統的家屋なども出てきて、イランの素晴らしい風景にため息。 この美しい光景が、戦場にならないことを祈るばかりです。
(咲)
サデグ・ミーリー写真展(今、都内3箇所で同時開催中!)
→ http://www.miricollection.com/news.htm
劇場通いに忙しかった先週、映画はお休みしてDVDのみ。 『美しい夏キリシマ 』は、黒木和雄監督の2004年の作品。 柄本佑くんがまだ幼い感じです。 『TOMORROW 明日』 『美しい夏キリシマ』 『父と暮せば』 は戦争レクイエム三部作としてDVD‐BOXが出ていますね。 声高に叫ぶのでなく、淡々とした画面に心がしんとします。
今フィルムセンターで、今村昌平監督とともに追悼特集も組まれています(6月10日まで)。
http://www.momat.go.jp/FC/fc.html
27日は「NEXT CLUB HONG KONG 哥哥的一天」のイベントで、 シネマジャーナルを販売させていただきました。 名前でおわかりのとおり、哥哥ことレスリー・チャンFANの集いです。 今年でもう10年になるそうです。 シネジャにレスリー記事が載るたびにお世話になっています。 この日はサプライズ!に、代表のMさんのお誕生祝いがありました。 もうじき出産というスタッフの方もいらして、みんながベビー誕生を楽しみにしていたり、 アットホームな会です。 毎月イベントがありますので、レスリーの話をしたい、聞きたいという方はぜひ。 詳しくはこちらです。
http://www.yubiccoclub.net/gogo/
(白)
大型連休もあっという間に終わったと思ったら、 それからもう2週間も経ってしまいました。 先日、『COMANDANTE コマンダンテ』 の試写を見に行ったら、カストロが、「人生、時間を無駄にしちゃいけない」 といったようなことを言っていて、うっ耳が痛い...
この金土日の3日間、日光に行ってきました。 主目的は、三猿。 埼玉の中東ミニ博物館には、世界各国の三猿や四猿がところ狭しと飾ってあるのですが、 今回はそこのお仲間と身近な日光の三猿を実際に見に行こうと出かけた次第。
日光東照宮の表門をくぐってすぐ左にある神厩舎は、きらびやかな東照宮の中で、 唯一素朴な木のぬくもりの感じられる建物。 起こりは、徳川家康公が関ヶ原の合戦に乗馬された馬が奉納された厩舎とのことですが、 現在のお馬様は、決められた時間しかそこにはいないそうです。 そして、猿が馬を病気から守るということから、猿の彫刻が彫られているのだとか。 猿の一生が8面にわたって描かれ 「人の生き方」 を表しています。 三猿はそのうちの一つなのですが、ウン十年前、 中学校の修学旅行で見たときの記憶は三猿だけ。 今回、じっくり他の猿も眺めてきました。
一部を写真でご紹介!
可愛かったのが、おみくじの三猿です。 入場料1300円の東照宮ですが、この可愛いおみくじは、100円! たくさん買ってお土産にしたいくらいでしたが、 凶が出たりしたら困りますものね。ちなみに私は大吉。 これから急速にいいことが起こるそうで、当たるといいなぁ。
新緑の鮮やかな、いろは坂を上がって、奥日光、湯の湖畔の宿に着いたら、 なんと桜が満開。もう桜前線は北海道まで行ってしまったと思っていたのに、 ここはそれほど寒いのですね。今度こそ、今年の桜の見納めです。
夕食はなぜかズワイガニと格闘。皆、つい無口になってしまいます。 食べ終わって、やっと話に花が咲きました。 硫黄泉で体の芯まで温まって、ほんとにいい湯でした。
翌日は、足尾の町へ。戦後間もない頃に行ったことのある方がいて、 今どうなっているか見に行きたいと行ってみたのですが、 かつて1万人もの人が働いていた足尾銅山も、昭和48年に廃山になり今や廃墟。 朽ち果てた工場跡に、ここに大勢の人の人生があったことを思い、 まるで映画の一シーンを見ているようでした。 栄枯盛衰、何が起こるかわからない人生、 一日一日を大切に生きて生きたいと思ったひとときでした。
(咲)
ジャッキー・チュン(張學友)がワールドツアーで来日します。 6月17日に東京国際フォーラムで一日だけ開催されますが、何年ぶりでしょう。 ジャッキーファンの友人(上海公演を見てきた)からチケットやチラシを受け取りました。 40代半ばとなった彼ですが相変わらず、 舞台いっぱい使ってのパフォーマンスで楽しませてくれるようです。 この10年余り香港芸能を見てきましたが、 良きパパとして認知されているジャッキー・チュンも、 寝る間もないほど活躍中のアンディ・ラウもいい年の取り方してるねぇ、 というところで一致。
コンサート公式HPはこちら。
http://www.jackycheungworldtour.com/
スタッフ日記をお休みしている間、 試写で観た作品は順次作品紹介に掲載していただいています。 本日は『俺は、君のためにこそ死にに行く』をTOEIで、 夜は一般試写で『主人公は僕だった』を観ました。 戦争関連作品が続きますが、これも戦後60年を過ぎ、 当時を知る人がだんだん少なくなるため風化させまいという思いの現われでしょう。 「辛くても忘れてはいけないもの」はきちんと伝えて、 同じことを繰り返さない戒めにしなくてはと思います。 『主人公は僕だった』は、 毎日判で押したような規則正しい毎日を送っていた主人公にある日、 不思議な声が聞こえ、自分がある作家の小説の主人公だとわかるというもの。 原題が「Stranger Than Fiction」小説より奇なり・・・ですかね。 アンケートに「もし自分の人生が書き換えられるなら、どうしたいか」 という項目がありました。ちょっと真剣に考えちゃいましたよ。 みなさんはどうしたいですか?
(白)
香港から帰ってきた(梅)さんが徹夜で仕上げた金像奨の原稿を受け取って、シネジャ70号を先週木曜日に入稿。 昨日、泉さんの自宅に無事納品されたとの連絡がありました。ほっ!
今日、泉さんのところでの発送作業に参加するつもりが、こともあろうに体調を崩してしまいました。 シネジャの編集は終わったものの、私がもう一つ抱ええている、 日本イラン文化交流協会の会報の編集が後回しになっていて、 早く終わらせなくては...と気があせっていて、 それがプレッシャーになってしまったのかも。
その日本イラン文化交流協会主催で、21日(土)にイラン・イスラム共和国大使館の 素敵なホールをお借りして会合を開きました。 モーセン・タライ大使も公務でお忙しい中、駆けつけてくださって、 「諸外国のイランに対する否定的な宣伝の大波の中にあって、 今日はイランを愛する皆さんに勇気付けられて語ることができます」と、 ほんとに嬉しそうにお話をしてくださいました。 詩を交えてのお話は、さすが、詩の国イランの大使です。 このところのイランを取り巻く国際政治の情勢は、ほんとに悪化するばかり。 その中にあって、このGWには、680人強の日本人に観光ビザを発給したとのこと。 実際にイランを旅した人たちから、口コミで、イランの治安が良くて、 何より人々が優しいことを周りの人に伝えて貰えるといいなぁ〜と思う次第です。
そんな異文化理解を広める実践をしているのが、 前にもここで紹介した、さいたま市浦和区にある中東ミニ博物館 (正式名称:アジア・アフリカ国際理解資料センター 略称:AAセンター)。 館長の大野正雄氏は、テヘラン(イラン)を皮切りに、アンカラ(トルコ)、 イスラマバード(パキスタン)の日本人学校の校長を歴任。 定年退職後、自宅を改造して博物館を開いたのですが、昨年15周年を迎えました。 その15年を振り返る写真展が開かれていたので、月曜日に行ってきました。 開館の頃から通っていた私には、懐かしい写真がいっぱい。 近隣の小中学生が訪れて、課外学習も行われ、遠い国を身近に感じる場ともなっています。 自分の育った環境とは違う様々な文化が世界にあることを、小さい時から知ることは、 世界平和にも繋がることだと思ったひとときでした。
(咲)
昨日15日はシネジャ70号の最終編集日。 手作業での編集については、先週(白)さんが披露していましたが、昨日も、 シネジャ創始者の一人佐藤さんのお宅で、時々お菓子をほおばりながら最後の仕上げ。 終わってから、久しぶりに顔を合わせるスタッフの人たちと、 佐藤さんの手料理をいただきながらおしゃべり。 Kさんは、暗闇でパソコンを踏んでしまったり、 ガラス戸が見えなくて突入してしまって大怪我をしたりの災難も、 面白可笑しく話して、皆をいつも笑わせてくれる名人。 昨日も、お母さんに「今日はシネジャの編集に行ってくるね」と留守電を残したら、 お母さんから「茶の間ジャーナルの編集、頑張ってね〜」と電話があったというので、 皆で大笑い。ちゃぶ台囲んでの編集作業は、まさに“茶の間ジャーナル”です。 このKさんのお母さん、娘に韓国ドラマの録画を頼まれたものの、ビデオが操作できず、 一所懸命見て、記憶した内容を報告しているうちに、チャン・ドンゴンの熱烈ファンになり、 初孫の慎吾ちゃんを、シンゴンと呼んでいるそうで、 Kさんのユーモアのセンスはお母さん譲りと納得!
さて、70号で「レスリー、あなたを忘れない −それぞれの4月1日−」 の特集を組んだことは、4月第一週の日記でも書きましたが、 4月1日に香港に行っていたEさんやTさんから続々と報告が届きました。 読み始めたとたん、涙で画面が見えなくなりました。 ファンが集まっての追悼の会、花いっぱいのマンダリンホテル... 皆の心にいつまでもレスリーが生きていることをひしひしと感じます。 Tさんからは、1998年4月に、『上海グランド』と アルバム「GIFT」のプロモーションでレスリーが来日したときの思い出も届きました。 70号は、香港に金像奨の取材に行っている(梅)さんの原稿を待って入稿。 発送は、もう一人のシネジャ創始者、泉悦子さんの新作 『心理学者 原口鶴子の青春 〜100年前のコロンビア大留学生が伝えかったこと〜』 を観ながら、4月末に行う予定です。皆様、お楽しみに!
(咲)
5日には『アボン 小さい家』の今泉光司監督、 主演のフィリピン俳優ジョエル・トレさんの舞台挨拶とインタビューがありました。 挨拶はWeb版特別記事に、インタビューは本誌70号に掲載予定です。 お楽しみに。 自主上映会を全国75箇所でやってこられたそうですが、私存じませんでした。 「僕たちはしゃかりきになって宣伝したつもりなんですけど、 なかなか伝わらないんですよね」と今泉監督。 発信してくれる人の方向と、受信するほうのアンテナがうまく合わないとキャッチできません。 それでも、遅くなっても出会わないよりまし、と思うことにします。 しみじみほろりとして、生きる根っこのところを考えさせられた映画でした。
昨日8日はシネジャ70号編集日。 みんなで書いた記事を持ち寄ってページ割りをし、校正や写真の確認などの手作業です。 パソコン環境がいろいろですが、手書き原稿やワープロの時代から見れば格段に進歩しました。 しかし、機械の能力をフルに使えるようになるのはいつのことやら・・・。 私は肩こり腰痛がひどくならないように気をつけなくっちゃ。 病気自慢してる場合ではありません。 ひさびさに出かけた演劇は座長さんのお誕生日公演。 同じ誕生日の座員さん(14歳になった女の子)は、ケーキを前にして涙こぼしていました。 親元離れて劇団に入って、せまるものがあったのね。 うんうん。別の劇団の可愛い男の子(12歳になる)ももうすぐお誕生日公演! あっ、試写の時間とぶつかっている〜。
(白)
ほんとに、あっという間に桜が満開になりましたね〜 そして迎えた“あの日”、4月1日です。 「エイプリル・フールじゃないのよ」と友人から一報が入ったときのことを、 切なく思い出します。はらはらと散り急ぐ桜のようにレスリーが逝ってしまって、早や4年。 ファンサイトを通じて知り合い、レスリーの一挙一動に共に笑い、走り、 そして泣いたお仲間と、静かなホテルの一室で香港飲茶をいただきながら、彼を偲びました。 今は、読書にいそしむ者、親の介護に明け暮れている者、 イタリアのサッカーチームに熱をあげる者、はたまた韓流に走る者と、 皆それぞれの毎日を過ごしているのですが、顔を揃えるとあっという間にあの頃に戻って、 レスリーのことを語り合えて、懐かしいひとときでした。 香港での追悼の会に一人行っているお仲間に私たちの思いを託した次第です。 満開の桜のトンネルを見上げながら、落ちてくる花びらの一片に、 僕を忘れないで...とレスリーがつぶやいているようにも感じました。 次号シネマジャーナル70号では、 「レスリー、あなたを忘れない −それぞれの4月1日−」の特集を組みます。 来年の春の号では、読者の皆さんの声も掲載できればと思っています ので、どうぞよろしくお願いします。 (気が早いけど、絶対、レスリーを忘れないぞという決意でもあります!) あ、それより、週末に迫った編集日に向けて、自分の原稿を仕上げなければ... レスリーを偲んで、桜を追いかけすぎました。汗
(咲)
桜が満開になりました。先週はまだつぼみが多かったのに、 まさに「3日見ぬまの桜かな」です。この上の句は「世の中は」です。 調べました(笑)。移り変わりが激しいことの意味でしょうかね。
先週、京橋のフィルムセンターで、黒澤明監督の 『天国と地獄』(1961)を鑑賞しました。 満席!!
三船敏郎が靴メーカーの重役で、子供が誘拐されてしまいます。 大騒ぎになるのですが、お抱え運転手の息子が間違って連れ去られたことがわかり、 3千万円の身代金を払う払わないで悩みます。 自社株を手に入れるたため、家を抵当に金策をしたばかりでした。
犯人役の山崎努(当時新人)はじめ、知った俳優さんがたくさん出てきますが、 この半分以上はもう鬼籍に入ってしまったなぁとしみじみしました。 ヘロイン中毒者役の中に菅井きんさんがいましたが、あまり変わりません。
数十年前に観ましたが、背景などは忘れてしまって 「身代金を走行中のこだまから落とす」というところだけを記憶していました。 横浜にまだスラム街があったり、警察の捜査ものんびりしていたり、 40年前はあんなだったかと驚きました。 映画も白黒で「一部だけカラー」なのは、それがとても重要だからです。 気になる方はぜひ観てくださいね。 公開後、吉展ちゃん事件始め誘拐事件が頻発し、刑法が厳しく変わったそうですから、 映画の影響って大きいものです。
(白)
3月22日(木)〜24日(土)の3日間、アテネ・フランセ文化センターで 「イスラエル映画祭2007」が開催されました。 長編4本、短編4本が上映されたのですが、観にいけたのは、 『クロース・トゥ・ホーム』1本だけ。 この作品は、昨年、東京フィルメックスのコンペティション部門で上映されたのですが、 イラン映画の監督インタビューと重なってしまって観られず、 女性監督二人のティーチインだけ聴いたのでした。 友人たちから聞かされた評判がとてもよくて、残念に思っていたら、 思いのほか早く観ることができました。 男女共に徴兵制の敷かれているイスラエルで、 女性監督二人は自分たちの徴兵経験を元に物語を構成。 テロに怯えるエルサレムの町で、警備に当たる新任の若い女性兵士二人を軸に、 兵役につきながら、恋もすれば、おしゃれもするイスラエルの女性たちを描いた秀作。 十数年前にイスラエルを旅したとき、各地で女性兵士を見かけたのを思い出しました。 あの国では、もうずいぶん長い間、あの緊張状態が日常なのですね。
そして、24日の夜には、レバノンのアーティスト、ラビア・ムルエによる 『これがぜんぶエイプリルフールだったなら、とナンシーは』という演劇を観にいきました。 1975年のレバノン内戦に始まり、去年のイスラエル侵攻までの、 レバノンにおける様々な出来事を、 3人の男性と1人の女性がソファに座ったまま語り続けるという、一風変わった趣向の舞台劇。 キリスト教とイスラーム教の様々な宗派の人が混在して暮らすレバノンの様相を、 4人が、時代を追って、それぞれの宗派の人物となって一人称で語っていきます。 かつては中東のパリといわれたベイルートも、1975年以来、 ほとんど落ち着くことがなかったことを思い知らされました。 この風変わりなタイトルは、ナンシーというアメリカの記者が、パレスチナの現場に行って、 あまりの惨状に、これが4月1日の嘘だったらいいのに・・・ という思いで書いた記事に由来するのだそうです。 ほんとに、地球上の争いごとがすべて嘘だったらいいのにと思います。
そして、国連でイランへの追加制裁決議案が採択されようとする中、 イランでは、西暦の3月21日午前3時37分26秒(テヘラン時間)に、 イラン暦の新しい年 1386年を迎えました。 イランの人たちは、どんな思いでお正月を迎えたのだろうと心が痛みます。25日には、 高円寺のイラン料理店「ボルボル」さんで、 ささやかなお正月の会食をさせていただきました。 来年は、憂うことなく、踊って新年をお祝いできることを祈るばかりです。
(咲)
先週に引き続き連日アラブ映画祭に通い、金曜日にエジプト映画を3本観て、 私にとってのアラブ映画祭は終わり! どの映画も見応えがあって充実の1週間でした。 15日(木)からフランス映画祭も始まったけれど、 アラブ映画祭を優先して今回はオープニングの取材も個別インタビューも諦めました。 ちょっと残念に思っていたのですが、金曜の夜に、 国際交流基金の講座があって赤坂アークヒルズに行き、 帰りにフランス映画祭の事務局の置かれていた全日空ホテルに立ち寄ったら、 なんとラッキーなことに、フランス映画祭の団長として来日したカトリーヌ・ドヌーヴが お出かけするところに偶然居合わせることができました。 今回フランス映画際で上映された『輝ける女たち』『ストーン・カウンシル』 (いずれも2007年日本一般公開予定)では、 どちらもちょっと嫌な女を貫禄たっぷりに演じていたのですが、生のご本人は、 エレガントでチャーミング。 さすがフランスの誇る大女優ですね。
さて、金曜日に国際交流基金の異文化理解講座で聴いた話をご紹介。 「中東・西アジア都市周遊―今を生きる歴史都市」シリーズで、 この日はイスタンブルの町を、水路という面から見たお話。 講師は東京外国語大学非常勤研究員の山下王世さん。 東ローマ帝国の首都だったコンスタンチノープルを征服したオスマン帝国では、 スルタンたちが、代々競うように水路を整備したとのこと。 世を治めるのに、水の権利を持つということが大事であることは言うまでもありませんが、 ちょっと感動したのは、第10代スレイマン大帝の書き残した言葉。 「すべての街区に水を行き渡らせたい。お年寄り、未亡人、小さな子どもたちが、 どこにいても水差しやコップを満たせるように!」 イスタンブルの町のそこかしこに、チェシメ(蛇口があって自由に水を汲める) やセビル(人が常駐していてコップで水を供給してくれる)という公共給水施設があって、 今でも機能しているところもあるのです。 人に優しい政治とは・・・と、ふっと思った次第です。
(咲)
17日は久々に2年生くんと一緒に 『ドラえもん のび太の新魔界大冒険 7人の魔法使い』を観て、 ついでに3月末までの“ぐるっとパス”を使わねばと、上野へ行ってきました。 美術館入り口にある「考える人」はさすがに知っていましたが、 モネやゴーギャンは記憶に残るのでしょうか。 科学博物館には「愛・地球博」で評判だったという「シアター360」があります。 直径12,8m(地球の約100万分の1)のドームの中に橋がかかっており、 60人ずつ入って360度全方位に映し出される映像と音が8分間楽しめます。 あんまり近くを観てると酔いそうですが、空へ海へ、 そして地球の内部まで自分が飛んでいるような感覚です。これは面白かったです! 「恐竜の世界」の映像もあるそうなのでまた行かなくっちゃ。
(白)
3月8日(木) 新宿のパークタワーホールに、ウズベキスタンのロシア語劇団“イルホム劇場”の公演「コーランに倣いて」を観にいきました。ロシアの文豪プーシキンがイスラームの聖典コーランに触発されて書いた同名の長編詩を元にしたもの。アラビア語、ロシア語、ウズベク語が飛び交う舞台で、演じる人たちの風貌も、ヨーロッパ系、アジア系、中東系と様々。まさに中央アジアが東西文明の交差点であることを感じさせてくれました。伝統楽器をベースにしたライブ演奏も素晴らしく、目の前で生身の人間が演じる迫力は、映画とはまた違った魅力ですね。
3月9日(金)から、楽しみにしていた「アラブ映画祭2007」が始まりました。金・土・日と3日間通って、7本の映画を観て、二つのシンポジウムにも参加してきました。何よりも期待していたのは、本邦初上映のイエメンとサウジアラビアの映画。いずれも映画新興国で初長編映画。イエメンの『古きサナアの新しき日』では、石造りの建物が美しい首都サナアの旧市街を舞台に、結婚をめぐって、因習の中から飛び立とうとする女性と、方や、結局一族の名誉のために飛び立てない男を描いているのですが、娯楽的にも楽しめる作品でした。私が10年前にサナアを観光旅行で訪れたときには、女性はすっぽりベールを被って顔を全く見せていませんでしたが、映画では、目だけ出した被り方をしていました。目でも出さないと、まったく誰が誰だかで話がわからなくなるからなのか、少しは進歩したのか・・・。女性の後ろ姿を撮ろうとしただけで、子どもたちが“彼女たちの名誉を守るために”制止しに飛び出してきたことを思うと、映画に出演した女性たちは、どういう人たちなのか・・と気になりました。家の中の撮影部分では、肌もあらわに出していたので、伝統の中に生きる女性そのものが演じていないことは確かなのですが、監督が来日されてなかったので、お聞きできず残念。
サウジアラビアの『沈黙の影』でも、女性がベールも被らず肌を見せていて、しかも女性の運転が禁止されているはずの国なのに、沙漠を女性が運転して走る姿があり、不思議に思ったら、サウジアラビアでは撮影できず、シリアで撮影したとのこと。近未来、政財界要人や知識人を24時間体制で監視し、最先端技術を駆使して洗脳する研究所から、彼らを救い出すのは、アラブの族長。テーマはアラブの正義を語っているようにも思えるのに、アメリカのテレビドラマを彷彿させる雰囲気の映画でした。
アルジェリアの『インターネットの扉』は、移民先のフランスから戻ってきた兄弟が主人公。弟がチャットで知り合ったフランス人女性が訪ねてきますが、実は彼女の父親はアルジェリア人。生き別れになった父親の様子を探りにきたという次第。父親役を演じたアハセイン・ビンゼラーリさんが来日。フランス語で教育を受けた彼は、アルジェリアが独立した時、一言のアラビア語も話せなかったそうです。長年フランス領だったアルジェリアの人たちのアイデンティティやフランスへの微妙な思いを考えさせてくれる一作でした。
チュニジアの『バーブ・アジーズ』は、実はバーバー・アジーズ(アジーズおじいちゃん)が正しいのですが、おじいさんと孫娘が“何か”を求めて沙漠を旅する物語。チュニジア人である前に映画人と語るナーセル・へミール監督は、映画も場所や人種にこだわらず、多くの場面をイランで撮影しています。ペルシア語やアラビア語が飛び交い、イスラーム圏のさまざまな音楽が幻想的な世界に導いてくれました。世界で13億人いるイスラーム教徒のイメージが、ほんの一握りのテロリストのために怖いものになってしまっていることを嘆き、本来のイスラームの姿を描きたかったとのこと。そんなへミール監督ですが、シンポジウムでは、アルジェリアのビンゼラーリさんと同様、フランス語で発言。サウジアラビアが女性に運転させないなど権利を奪っていることなどから、原理主義の映像への脅威をも感じると述べると、サウジアラビアのムヘイセン監督は、「女性に運転を禁じているのは大衆の意思。大衆の意思を尊重する国に生まれてよかった」と応酬。また、エジプト映画の影響を尋ねられ、「エジプト映画は自分の中では1980年代で終わっいる」ときっぱり発言するヘミール監督に対し、「エジプト映画の影響はやはり大きい」とムヘイセン監督。司会の石坂氏が冒頭に「アラブは一枚岩ではない」と発言されたことを裏付ける展開となりました。
映画大国エジプトの映画は、この3日間で観た『喜劇万事快調』『渓谷の争い』『ヤコービエン・ビルディング』をとっても、あきらかに他のアラブ諸国の映画とトーンが違うのを感じます。
アラブ映画祭は、18日(日)まで、まだまだ続きます。NHKアラビア語講座でお馴染みのアルモーメン・アブドーラさんが、オープニングレセプションで、「映画を通してアラブを知ってもらいたい。感動したことによって、もっと知りたくなる、疑問に思ったことを知りたくなる。理解するかどうかは別にして、お互い知り合うことがまず大事」と語っていたのが印象的でした。是非皆さんもアラブへの扉を開いていただければ嬉しいです。
(咲)
2月末は観劇に通うのに忙しくしていました。前にご紹介した里見劇団は遠く(尾張 温泉)なので、浅草と十条で公演が続いた「劇団花吹雪」応援中。若手が頑張っていて華やかでとっても楽しい♪ 今月は横浜にて公演ですが、まだ行けません。浅草も気になりつつ、フランス映画祭の試写に通っております。今年はミステリー&ファンタジーっぽいものが多い感じ。アニメーションもありました。
それから『モーツァルトとクジラ』鑑賞。ジョシュ・ハートネットとラダ・ミッチェルが「アスペルガー症候群」のカップル役。この「高機能自閉症(知的遅れのない自閉症)」とは、説明を読むほどに天才と呼ばれる人ってそうなんじゃ?と思えます。 実際のモデルとなったご夫妻の同名の本も出版されています。
http://www.nhk-book.co.jp/recommend/mozart/
(白)
2月後半は、19日から始まったフランス映画祭の試写に通いました。私のフランス映画への興味は、イスラームやユダヤ絡みの観点から。一昨年は、『行け、生きろ、生まれ変われ』(『約束の旅路』の題で3月10日より一般公開)、『リトル・エルサレム』、昨年は、『サンティアゴ...メッカ』(『サンジャックへの道』の題で3月10日より一般公開)、『エギュイユ・ルージュ』等数本、そういう意味で興味深い作品があったのですが、今回は残念ながら大きく引っかかってくる作品はありませんでした。それでも、オープニングの『輝ける女たち』では、亡命ユダヤ人がアルジェリアから亡命してきた少年を我が子のようにして一緒に暮らしてきたという背景があったり、『待つ女』では、隣人の女性がジャミラというアラブ人女性だったりと、フランス社会の持つ多様性を感じさせてくれました。
また、『フランドル』では、ヒロインの恋人が中東と思われる戦地に赴くのですが、9・11以降の「テロとの闘い」という言葉のもとに正当化される大国の政策への批判ともいえる監督の思いを感じました。
フランス映画祭は、3月15日から始まりますが、今回の団長は、カトリーヌ・ドヌーブ! 『輝ける女たち』『ストーン・カウンシル』の2作品で、堂々たる姿を見せてくれています。生の彼女を観たい方は、15日のオープニングや二つの映画上映の後に行われるトークやサイン会に是非お出かけください。
2月最後の日曜日、実家近くの百草園に梅を愛でに行ってきました。実は、百草園の丘から確かめたい風景がありました。先日試写で観た大杉漣主演の『棚の隅』で、冒頭に斜張橋が出てきて、おっ!これは、多摩川にかかる近所の橋ではないか・・と。見知った風景が出てくるのは、なんだか楽しいですね〜 大杉漣演じる主人公の経営するおもちゃ屋さんがある商店街は、まったく多摩川から離れた場所なのですが、さも、川の近くにあると思わせるところは、映画ならでは。
そして、土曜日の悪天候から一転して、春の陽気になったこの日曜日、多磨霊園にお墓参りに行ってきました。我が一族のお墓参りの後、多磨霊園の一角にある外人墓地に眠るトルコ語の先生のお墓参り。49歳の若さでリンパ癌で逝ってしまった彼女の人生は、留学先のトルコで青年実業家と恋に落ち結婚、幸せの絶頂期旦那様が若くして急逝・・・と、波乱に満ちたものでしたが、彼女のお父様の人生はさらに波乱に飛んだもの。今は中国領となっているカシュガルの町の豪商だったお父様は、ソ連がカシュガルの町に侵攻してきた時、出張先で家族が皆殺しにされたと聞かされ、フンジュラブ峠を越えて今のパキスタン経由日本に亡命し、日本人女性と再婚。実は、この皆殺しにあったと思っていたお父様の家族のうち、奥様と長女が十数年前にまだカシュガルでご存命だということが、私の知人のウィグル女性経由で判明。腹違いのお姉さまに父の遺品を届けに行きたいと言っていた矢先に、私のトルコ語の先生は急逝されたのでした。事実は小説より奇なり・・・、世の中には、人の数だけドラマがあって、映画の題材は山ほどありますね。
(咲)
5日(月) 久しぶりに行われたイラン大使館での映画上映会の作品は、 『エジプトの太陽(Khorshid-e Mesr)』というアニメーション。 コーランの第十二章「エジプトのヨセフ」をベースにした物語なのですが、 そもそもは、旧約聖書の「創世記」の歴史的説話に基づいたもの。 ヨセフがさまざまな苦難に耐えつつ信念を持って生き、神様に優しく見守られながら、 ついには最後の勝利を得るという物語。 コーランの中でも文学的に最高傑作と言われているものですが、 イランではこうして子供たちはアニメでこの物語に自然に親しんでいくのだなと思いました。
9日(金)には、同じくイラン大使館で革命記念日(2月11日)のレセプション。 毎年、スカーフで頭を被うかどうか悩むのですが、 日本人女性スタッフの方(彼女たちは、もちろんしっかり髪の毛を隠しています)から、 「しなくていいですよ」と言われ、用意していたスカーフは鞄にしまって中に入りました。 日本在住のイラン人の友人の女性たちは、 普段会うときにはスカーフをしていない方の方が多いのですが、 大使館ではさすがに皆さんスカーフをしています。 中には、ハーフの方でスカーフをしていない方も。 お互いに、「スカーフをしていても、していなくても、どうも居心地が悪いね」 という話題になりました。 イランで友人の家を訪ねた時に、彼女が自宅の部屋の中でもスカーフをしていたので、 なぜ?と聞いたら、「今日は家族以外の男性がいらしているから」とのこと。 敬意を払ってのことなのです。 スカーフを被るという行為が決して強制ではないことを感じた瞬間でした。 それを思い出すと、 大使館ではスカーフをしていた方が居心地がいい理由がなんとなくわかったような気がします。
12日(日) 実家から程近い府中市郷土の森へ。 広大な敷地内には、梅林があって、早咲きの梅が楽しめました。 府中市内から移築復元された古い建物も点在していて、 旧甲州街道・府中新宿の商家島田家にはお雛様が飾られていました。 せせらぎのそばには水車小屋。
せせらぎ |
水車小屋 |
立派なお社に鎮座する お雛様にびっくり! |
枝垂れ梅 |
父いわく、昭和10年頃、多摩地区にハイキングに来た時には、普通に点在していたものだとか。 木造の旧府中町役場庁舎も小学校も、昭和50年代まで実際に使われていたもの。 木造の建物にはぬくもりを感じます。 急速に近代化してしまった日本・・・瓦屋根の美しい町並みが残っているところは、 ほんとにわずかになってしまいましたね。 それを思うと、古い映画で伝統的な日本の町並みを偲ぶことができるのは、 貴重なことですね。
(咲)
新しい年を迎えて、スタッフ日記をちょっとさぼっているうちに、 気がついたら、もう1月も終わり! ほんとに遅ればせながら、 どうぞ今年もよろしくお願いします。(遅すぎる・・・) 1月の映画絡みのできごとの中から、ちょっとご報告!
1月16日(火) 午後、『墨攻』のプロモーションで来日した張之亮(ジェイコブ・チャン)監督に インタビュー(★注)させていただいた興奮も冷めやらぬまま、 4時から渋谷109前で『墨攻』プレミアイベントが開かれるというので、行ってみました。 10分前に到着すると、特設ステージのまわりはおろか、道路の向こう側にも、人がびっしり。 狭い場所なので、もう取材は無理と言われていたのですが、限りなく近くで見たい!と、 ステージ脇になんとか場所を確保。 (かつて香港でよく街頭イベントに行ったノウハウが生かされたとご満悦!) 私のまわりには、香港人やフィリピン人のファンたちがいて、 飛び交う広東語やタガログ語に、ちょっと香港気分♪ 一行は渋滞に巻き込まれ、10分遅れでようやくイベント開始! MCの襟川クロさんの発声とともに、特設ステージ三方に張られた幕が落とされて、 アンディ・ラウ、アン・ソンギ、ファン・ビンビン、ジェイコブ・チャン監督の4人の姿が現れ した。 私の位置からは、横顔しか見えないのですが、香港人のファンの女の子が、 「華仔!」「劉徳華〜!」と叫ぶたびに、アンディがこっちに顔を向けてくれます。 アンディとがっちり肩を組んでいた監督も一緒にこっちに思い切りの笑顔を見せてくれました。 監督、長年の夢が叶った大作を披露できるのが、ほんとに嬉しそうでした。 日本でも大勢の人が観にいってくれるといいなぁ〜
★注: 監督インタビュー記事は、プレミア報告と共に、近日Web版特別記事にアップします。
1月23日(火)夜。 3月10日より岩波ホールで公開される『約束の旅路』 のチャリティ上映会が東京FMホールで開かれました。 難民援助のチャリティを含む3000円会費の上映会は、 平成プロジェクト代表の益田祐美子さんの発案で開かれたもの。 (共催:国際ソロプチミスト東京ー麹町/東京FM 協賛:シネマカフェ) 来日したラデュ・ミヘイレアニュ監督に、 『約束の旅路』を表紙にしたシネマジャーナル65号 を直接お渡ししたくて、舞台挨拶前の監督に会いに行ってきました。 控え室に伺ったら、もぬけの殻。 監督は、会場の様子が気になって徘徊していたのでした。 第13回フランス映画祭横浜2005の折の夜通しパーティでファンの人たちと楽しそうに語らっていた姿を思い出し、 「相変わらず楽しく飲んでいらっしゃいますか?」と伺ったら、 「クレイジーな僕が飲んだら大変なことになるから、お酒は飲まないよ」と言われました。 おぉ〜!お酒がなくても、あれだけ楽しくはしゃげるとは!
クレイジーと自称される監督ですが、7時からの舞台挨拶では、いたってまじめに語られました。 「この映画は、世界中のお母さんに捧げました。 私たちの生きている地球はまだまだ子供。 地球の文明が大人になるには、お母さんや女性の役割が大きいと思います」と、 女性の力を大いに称えてくださいました。 舞台挨拶が終わって、上映が始まる頃、会場の一番後ろには、 じっと観客たちを見つめて立っている監督の姿がありました。 この映画も、ほんとに大勢の方に観てもらいたい一作です。 監督と主演のシラク君にインタビューさせていただいた記事を掲載している シネマジャーナル65号も、 是非お読みいただけると嬉しいです
(咲)
第2週から試写も始まりました。1本は満員札止め。ああ・・・。 ここもひとつだけ離れていてよそに回れません。この週は4本。第3週は3本。 そしてなぜか来日ラッシュで、記者会見や舞台挨拶予定が目白押し。 芸能ニュースも賑わっています。 『墨攻』を(暁)さんにまかせて、 私は『夏物語』記者会見 (web版特別記事に掲載しました)と、 『ルワンダの涙』インタビューを(梅)さんと。 虐殺事件の当時(1994年)少女だった方と、 そのご主人で虐殺のメモリアルセンターを作られた方にお目にかかりました。 安穏と暮らしている私たちができることと言えば、 お話を伺って多くの方にお知らせすることでしょう。 生き残った者の勤めのように、辛いできごとを話してくださる姿に心うたれました。 インタビュー記事は本誌春号に掲載します。
(白)
みなさま おめでとうございます。今年もシネジャをよろしくお願いいたします。 3が日のうちに映画より早く観劇に行き、いつも映画館で会う友達と劇場で会いました(笑)。 生の舞台の面白さは格別なんですよ・・・ってここは映画のHPでした。 エンタメ繋がりということでご容赦。
今年一番最初の映画は『大奥』。 TV放映のときには一度も観なかったので、前知識なし。 西島秀俊さんは、そこはかとない色気があるさっぱり系。 どろどろ愛憎劇の中で爽やかでした。 お城の中にはやたら人が多くて、奇奇怪怪なしきたりといい、昨年観た 『マリー・アントワネット』と通じるものがありました。 アンティーク着物の展示を見た後に行ったせいか、 お女中たちの着物がいやにぴかぴかした感じがしました。
(白)