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女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
(1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。
[第22回東京国際女性映画祭 映像が女性で輝くとき]

第22回東京国際女性映画祭
『今このままがいい』プ・ジヨン監督 Q&A

2009年10月17日

プ・ジヨン監督、撮影:宮崎暁美

プ・ジヨン監督

『今、このままがいい』

監督 プ・ジヨン
原題 지금, 이대로가 좋아요/英題 Sisters on the Road
出演 シン・ミナ、コン・ヒョジン、チュ・グィジョン、ムン・ジェウォン、キム・サンヒョン、ペ・ウンジン
韓国/2008年/90分/カラー/2.35:1/Dolby Digital/35mm・DV Cam
字幕翻訳 松岡葉子

仲の悪い異父姉妹の和解と、父親探しの物語。
故郷済州島を出てソウルで働く妹ミョンウンと、済州島で母の魚屋を継いだ姉ミョンジュ。母が亡くなり帰郷したミョンウンは、母の葬式が終わった後、幼い頃出ていってしまった父親を探す旅にミョンジュを無理やり連れ出す。生活環境、性格がことごとく違うふたりは喧嘩を繰り返し、ついには自動車事故まで起こしてしまった。しかし、旅を続ける中で、お互いの人格を認め合うようになってゆく。そして、父親は意外なところにいた。

上映情報 >> 真!韓国映画祭 in Tokyo
特別記事 >> 『今、このままがいい』シン・ミナさん来日報告

撮影:宮崎暁美
笑顔のプ・ジヨン監督

司会は、韓国の国際女性映画祭でも「イモ(女系家族での叔母さん)」と慕われている東京国際女性映画際ディレクターの大竹洋子さん

客席からも男女を問わずさまざまな観点の質問がありました。プ・ジヨン監督は素朴でかわいい雰囲気の方ですが、まだ小さいふたりのお嬢さんのお母さんでもあり、忙しい日々のスケジュールの中、実家のお母様にお子さんを預けて来日してくださいました。短編作品や、有名長編のスクリプターなどを経て、今作が長編作品の監督デビューです。

Q:新人監督の初長編作品であり、低予算で製作されたと伺っていますが、韓国ではスターであり、日本でもドラマや映画でおなじみである女優ふたりを、どのようにしてキャスティングすることができたのですか?

A:ふたりの大スターと作業できて嬉しいです。シン・ミナさんがはじめにシナリオを気に入ってくれて連絡をくれました。お会いしてみると、それまで持っていた若くかわいい女優さんというイメージではなく、成熟した大人の女性の感性が感じられ、綺麗な方だし、すぐ決定しました。
そのあと、プライベートでも親しくしているコン・ヒョジンさんに声をかけてくださって、ふたりの出演がスムーズに決まりました。韓国ではまだ女優を主人公とする映画が少なくて、ふたりもこれからチャレンジしなくてはならない次の演技イメージへの変化の方向を模索していらっしゃったところにこの作品でお互いに出会うことができ、良い縁に恵まれたと思っています。ふたりにとっても新たな挑戦だったと思います。

Q:シン・ミナさんはすごく協力的だったそうですね。

A:はい。ふたりとも少ないギャランティーで受けてくださったのに、さらに4分の3を制作費として寄付してくださいました!

撮影:宮崎暁美
プ・ジヨン監督と花束

Q:ストーリーのきっかけは?

A:自分の姉と初めて旅行をした経験がひどいものでした(笑)。本当に気が合わなくて大変でした。普段見られない姉の姿を見ることになり、旅行の後は、ひとりの違う人格を持った人間として意識するようになりました。それで、シナリオを書くとき、姉妹が何かを探しに行くというストーリーで、家族を探すという話にしようと思いました。

Q:プ・ジヨンさんは、この作品の舞台である済州島の出身ですね。

A:そうです。最初の作品は済州島を舞台にしたかったのです。父が早くに亡くなって、女性たちに助けられて育ちました。それで女性ばかりの家族で育ったという話にしました。


この映画はマイノリティーの方々に対して社会的に認知され、堂々と生きられるようになるとよいという応援のメッセージもこめられているのですが、ネタばれになるので、今回はここまでにします。「真!韓国映画祭」での上映が終わりましたら、Q&Aの文章を追加させてもらいます。



*女性同士が立場を超えて助けあっていて、とても気持ちのよい作品でした。日本よりも男性中心の社会のはずなのに、「韓国のお母さん」に象徴されるように、女性特有の母性や柔らかさを失なわず、社会へ働きかける存在感には圧倒されます。この作品はKOFIC(韓国映画振興委員会)からの援助を受けて製作されています。次の作品も家族についての物語を執筆中ということで、これからがとても楽しみな監督さんです。(祥)

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取材:滝沢祥 まとめ・写真:宮崎暁美
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