1996年、北京で『太陽の少年』監督の姜文(チアン・ウエン)にインタビューした時、 次作品であるこの作品の構想を熱っぽく語っていましたが(38号掲載 1996年9月発行)、 その作品がようやく公開されました。
『鬼が来た!』公開初日、主演の香川照之さんの舞台挨拶レポートを。
この作品を撮影したのは1998年のことで、もう4年もたっていますが、公開されてとてもうれしいと語っていました。
「セミは7年間地中深く暮らし、地上に出てくるように、この作品も4年前に撮影し、本日やっと公開にこぎつけました。セミは地上に出て1週間の命ですが、この作品はどのくらいの期間の上映になるか、ぜひ長く上映されてほしい」と、セミにたとえて話をされましたが、監督の姜文にこの映画の構想について聞いてからは6年もたっています。
撮影中の苦労話はシネマジャーナル54号の香川さんへのインタビューにも載っていますし、撮影中の日記をまとめた著書「中国魅録」にも詳しいですが、挨拶では「この作品の狂気が100とすれば、撮影現場の狂気は1000くらいすごいものでした。この時つけていた日記が本になりましたので、ぜひ読んでみてください」と、本人も舞台挨拶の中でPRしています。
監督からのメッセージもあり、「この作品は日中戦争の時代を背景にしているが、狂気というのはどんな事がらの中にもあります。その中でも戦争の狂気というのは最たるものです。2度とこのようなことが起こらないような世界を望みます」とメッセージを。
またユーモアのセンスがある姜文のこと。香川さんの出した本へは「きっと僕の悪口がいっぱい書いてあると思うけど、撮影ではよく耐えてくれました。ありがとうございます」の言葉とともに出版祝いをかたっていました。
シアター・イメージフォーラムHP >> http://www.imageforum.co.jp/theater/
新宿武蔵野館2・3・4 HP >> http://www.musashino-k.co.jp/eiga/sinemakarite.html
大阪西九条シネ・ヌーヴォ HP >> http://terra.zone.ne.jp/cinenouveau/
シネマスコーレ HP >> http://www.cinemaskhole.co.jp/
『鬼が来た!』公式 HP >> http://www.gaga.ne.jp/onigakita/
山崎 正之
上で宮崎さんの触れられている香川さんの本を紹介します。
主演の香川照之さんの書かれた 「中国魅録/「鬼が来た!」撮影日記」 (キネマ旬報社、本体2000円)は、その題名通り、この映画を撮影中 香川さんが毎日書かれた日記(1998年8月12日〜12月14日)を核にしていますが、最近になって新しく書かれたその何倍もの文章が追加され、なんとA5判8ポ2段組で260頁! とっても読み応えがあります。
キネマ旬報 ホームページ >>> http://www.kinejun.com/
読み応えと書いたのは量のこともですが、内容も充実。これでもか、これでもか といわんばかりにおかしな話が出てくるのです。それはもう、「撮影裏話」といったレベルをはるかに超えたトンデモない話ばかりなのです。撮影関係の話題は本で読んでいただくとして、それ以外の話題から拾ってみると:
中国の人が読んだら怒るんじゃないかな、と心配してしまうぐらい、いろいろ 書いてあります。 実は、この夏、初めて中国(北京)に旅行するんです。で、一緒にいく連れ合いが この本を読んで、行きたくなくなった!と言い出したほど!(でも行きます)
というわけで、映画に関心のない方でも面白いのですが、この本を読むと、きっと映画の方も観たくなるでしょう。 なにしろホントに狂っているのは撮影現場なのですから!! でも、映画はやはりなにも知らずに観る方がショックも大きいもの…… この本では、ずいぶん映画の内容について深く言及されていますので、ぜひ「鬼が来た!」をご覧になって、その後にこの本を読まれることをお薦めします。