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女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。

[追いかけてイーキン4days](2001/02)
(しつこく)追いかけてイーキン・ その1 その2 その3

(しつこく)追いかけてイーキン・その2
ドラマエキストラ出演&パーティーツアーレポート

May 20, 2002

女優さん達が入ってきたのはリハーサルが終わってからのことだったと思う。 満場の拍手の中、座席につき、応援グッズの手ほどきを受けていた。 大きな蛍光棒にはさすがに驚きを隠せなかったようだ。いよいよ本番スタートだ。 といっても、200分の1たる私が緊張するはずもないのだが……。

この撮影の中で、2番目に楽しかったこと(1番はイーキンが歌っていること)は、 撮影の合間のトークだったろう。司会進行はイーキンなものだから、とりとめなく どこへ進むかよくわからないトークが続く。通訳には一昨年、 香港映画祭で通訳を務めた辻村さんがついてくれる。辻村さんに何と言うのか確認した後、 「香港へようこそ」と日本ファン向けに挨拶。そして今何と言ったか、 香港ファンに解説する。台湾からのファンも来ており、北京語でも挨拶をしていた。 日本食の中では、天ぷらとおすしが好きで、南青山のお寿司屋さんがお薦めとのこと。 富士急ハイランドのお化け屋敷が本物の人間が化けているので怖いとか、 セガワールドの貞子のお化け屋敷(?)についても語っていた。それから、 EKINと書いてある棒状の風船を拍子木みたいにバンバン叩いている香港ファンたちには 「『九龍冰室(邦題:冷戦)』のシーンみたいだね」と言っていた (注1)。 途中からもっぱら食べ物屋の話になり、雲呑麺は中環のどこがおいしいとか、 デザートは西貢のフルムーンがいいとか、具体的な店名を挙げて答えていた。 トレンディなお粥ならハッピーバレー(アーロン・クォックもよく行く店らしい)、 伝統的なお粥なら九龍城がお薦めだそうだ。 ハッピーバレーにはよく行くのかとファンから聞かれ、 「パパラッチがいるから家で過ごすのが一番いいね」とも言っていた。 イーキンの得意料理は卵焼きらしい (自炊することに香港のファンから疑いの声があがっていたが)。 味噌汁も作るらしい。「水と味噌を入れればいいからね」とはイーキンの弁。 思い出すままに書くと、いつも言ってるけど、遊びに行くなら福岡が最高とのこと。 大阪では海の見える遊園地(どこなのだろうか……)が楽しかったと言っていた。 ファンからの質問もやや下火になったとき、 「あの、もうすぐ日本に帰るんですけど、おみやげは何がおすすめですか」 とよく通った声が飛んだ。質問者は室井滋である。 敏感に空気を読んで反応するところは、さすがである。 イーキンは香港ファンと相談しつつ「上海灘」の名を挙げていた。

カメラテストでイーキンの代わりにADさん(ちょっと「人魚伝説」の金城武ふう)が 舞台に立っていたときも、ファンがイーキン同様に声援を送っていたのも面白かった。 逆にADさんはやりづらそうだったが……。また、このドラマを演出している松原信吾 さんの情熱にも目をみはった。手持ちカメラの一歩先を床を這うように機敏に移動する。 髪には白いものがかなり混じっているが、動きだけ見ると本当に若い。松原さんは 『なんとなく、クリスタル』を撮った人で、ドラマだと 「ウルトラマンティガ」やおととしのテレビ東京・山田太一スペシャルの演出もしている。 ものづくりにかけるパワーは見習わなくてはと松原さんの姿も目に焼きつける。

最後のカットの撮影前にイーキンが「途中で歌が終わっちゃうかもしれないけど」 と前置きし、実際コーラスのところで演奏が終わってしまった。 それでもコーラスを続けて歌ったファンたちに「すごいねー」とイーキン。 「何かほかの歌は歌える?」と日本ファンにふったことから、イーキン自身が 「仮面ライダー」の歌を歌うことに。続いて台湾ファン向けに、北京語の歌を歌った。

この日の撮影はこれで終わり……だったのは私たちだけで、イーキンはまだ少し 外の撮影が残っているとのことだった。その準備ができるまで、 同じ場所で続いてパーティーの時間となった。ファンクラブの人の指示に従い、 まずは日本人ファンからイーキンにプレゼントを渡す。 ファンクラブの人が2ショット写真を撮影してくれているが、 この写真がもらえるのかどうかは不明。と、どよめきが。 韓国から来たファンのプレゼントがすごいのだ。 刺繍でイーキンの顔が写真のように精巧に刺してある(注2)。 作成に6ヶ月かかったと後で聞いた。凄い情熱、まさにファンの鑑である。

私の番が来た。 緊張しつつも「明日は私の誕生日なんですけど、何かメッセージを下さい」 と言ってみた。イーキンのお言葉は一言「生日快樂」。う〜ん、短いぞ!  が、「明日帰るの?」と聞いてきた。予期せぬ質問に慌てる私。というのも、 今までイーキンに質問なんてされた試しがなかったからだ。 これまで私の言うことに「わからない」(大体、次はいつ日本に来るか聞いている)、 「OK」(大体、また日本に来て下さいと言っている) くらいしか返さなかったイーキン。イーキンも日本ファンに慣れたのだろうか。 日本人と告げたとたん顔をこわばらせた数年前のイベントからすると隔世の感がある。 「そうです、明日……」と言ってるうちに空しく時間切れ。 壇上からさっさと降りた。

続いて香港ファンもプレゼントを渡し、 後はひたすら質問タイム。通訳は広東語が堪能な日本人ファンがつとめてくれた (どうやら辻村氏はスタッフとの打ち合わせに駆り出されてしまったらしい)。

ファン「日本のファンについてどう思うか?」
イーキン「……ウ〜ン、香港のファンが焼きもちをやくからなぁ……(と言いつつ) 日本のファンのほうが熱心だね」

日本ファンの「シェーをやってください」という要望にも気軽に応じてくれるイーキン。 2回もやってくれた。

イーキン・チェン  イーキン・チェン  イーキン・チェン

ファン「映画の中で気に入っている役は?」
イーキン「古惑仔と百分百感覚の最初のほう」

以前「ヤクザの役は嫌い」と言っていたのに、どんな心境の変化があったのだろうか?

ファン「自分と似ている役は?」
イーキン「自分ではそう思わなかったけど、『東京攻略』。ケリー・チャンにそう言われたよ」

また、ウインドーサーフィンの型を問われたものの、 「遊びで2回くらいやっただけなので、技術的なことはよくわからない」 と答えていた。 「次のアルバムは?」との問いには「今年中には出したい。 レコーディングはまだしていない」とのこと。 国語アルバムも台湾で起こった地震の影響で中断しているそうだ。 「ミュージカルはもうやらないのか」に対しては、「多分やらない」と答えていた。 ああ、残念……。 映画のほうは、5月、6月、8月に撮影の予定があるとのこと。 歌手活動に比べてこちらは順調のようだ。 ファンに「日本のライブではダンスがかっこよかったのですが、 ここで踊ってみせてください」と言われると 「ああいう刺激的なダンスは日本でしかできないよ」と、 「シェー」はやってもあくまで踊らないイーキンがおかしかった。 「イーキンが影響を受けたアーティストは?」 とイーキンの歌が好きだという日本のファンからの問いには、 「ダニー・チャン(陳百強)」との答え。共演したい俳優として、 香港人はチョウ・ユンファ、日本人は北野武、木村拓哉の名を挙げた。 イーキンが北野武の映画もしくはドラマを観ているとは、ちょっと意外だ。 『バトル・ロワイアル』あたりだろうか……。

と、このようにタイムリミットまで一問一答が続いていたが、撮影の準備が整ったため、 お開きの時間とあいなった。香港ファン30名も参加して外での撮影が行われるとのこと。 出待ち、または入り待ちシーンなのだろうか?出口に向かうファンたちに手を振るイーキン。 みんな後ろ髪ひかれる思いで会場を後にしただろう。進行役がイーキンのため、 まとまりはないパーティーだったが、ファンとのコミュニケーションを 十分すぎるほど図ってくれたイーキン。小さい会場のためか、 終始アットホームな雰囲気だったのもよかった。 撮影時間を含めて3時間も壇上に立ち続けてくれた彼のサービス精神に頭が下がる。

出口ではイーキンがイメージキャラクターをつとめる中国の運動靴のポストカードと謝礼が、 帰りのバスの中ではekinworldのマウスパッドと、抽選で数名にイーキンのサイン入り 『冷戦』ポスターが配られた。最後の最後までサービスたっぷりの今回のイベントだったなと、 今振り返ってみてあらためて思う。楽しいイベントもこれでおしまい。 後は疲れた身体をひきずって帰国。ようやく疲労が回復したのがGW明けという、 寄る年波をひしひしと感じた春でした。やっぱり追っかけには体力が必要だ!

ポストカード  マウスパッド 

注1:映画の中に、九龍カフェの前にチンピラたちが集まり、 店の前にある鉄柵を棒で叩いてイーキン演じるロンを威嚇するシーンがある。

注2:5月18日(土)付の日経プラス1で、ユンソナが「韓国では刺繍がブーム」 と語っていた。友達や好きな人にプレゼントするのだそうだ。

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(文・写真:まつした)
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