April 29, 2002
「来た見た勝った」……この怒濤の2週間を振り返ると、自然とシーザーの言葉が思い浮かぶ。 何に勝ったかというと、葛藤および体力の限界に、なのだけれど。
話はひと月半ほど前、ファンクラブから1通のお知らせが郵送されたことに遡る。イーキンがテレビ東京のスペシャルドラマ「香港明星迷」に出演、その香港ロケに参加しませんか?という誘いであった。ツアー金額、2泊3日で約9万円也。香港までわざわざイベントのために行くのはなぁ…… とふだんパスする私も、この企画には大いに心ひかれた。イーキンが日本のドラマに出るというのも驚きだったが、ベタなタイトル及びその内容にも興味津々。撮影現場も覗いてみたい。そして何よりファンとして揺れ動かされたのが、香港ロケの内容がイーキンのミニコンサートであったことなのだ。CDはさっぱり出ないし、出る予定も今のところないみたいだし、イーキンの歌が聴きたい! 「日本ライブの夢よ、もう一度」の心境である。そろそろ生イーキンエナジー (注1)も切れかかっていることだし、行きたい行きたい行きたい……とスケジュールを見てため息。私は現在、編集の仕事についているのだが、ちょうど中旬から下旬にさしかかる1週間は、ひと月の中でもっとも忙しい時期なのだ。土曜出勤は当たり前。しかもこのツアーに参加するなら、月曜日も休まねばならない。小心者の私は悩んだ。「行くべきか、行かざるべきか」、気分はハムレットばりに深刻である。結局、「ふだんよく働いているから休んでよい」と上司の許可がおりたのだが、私がツアーに参加するがために進行スケジュールが後ろ倒しになってしまったのは申し訳ないことだった。「そこまでして行く意味があるのだろうか?」とまたしても自問。でも意味があるかないかは、行ってみなければわからないのだ!
会社からのGOサインも出て、「藤木直人を“とりあえずイーキン”として心慰める日々ともお別れね」 (注2)と浮かれ気分で仕事をし……といきたいところだったが、4月15日からの1週間というもの、連日会社を出るのが夜11時すぎ。体力の衰え激しい私にとっては明らかなオーバーワーク。週末出勤もできないとあっては、何としても仕事を片付けて旅立たねばならぬ。出発日前日の19日も家に着いたのは12時前。それから荷づくり。これが意外に手間取り、4月20日の早朝、睡眠1時間半で成田へ向かったのであった。「とりあえず身体だけ行っておけ」という心持ちで……。
航空会社はキャセイパシフィック。というわけで、機内で香港の新聞が読めたが、F4やらイーソンやら明日の金像獎の話やらで、イーキンの伊の字もない。と思ったら、他の新聞に「香港明星迷」記者会見の記事が載っていた。太陽報の報道によると、主演の薬師丸ひろこ、室井滋、山本未来が来港、「薬師丸ひろこは35歳(注3)のイーキンを見てカワイイと誉めた」とある。予想通り、イーキンは中年女性(記事ママ)に好かれる香港スター役なのだそうだ。山本未来も中年の範疇に入ってしまうのだろうか? う〜ん、自分の年齢とひき比べるとあまりに痛い表現だ。ま、それを言うならイーキンも中年になってしまうのだけれど。また、イーキンのマネージメントをしているサンサン女史があまりにも「童顔すぎる」ため、ドラマでは別の人が演じるということも載っていた。 確かに彼女は見る度に若返っている気がする。
注1…… 生イーキンを拝むことにより生まれる、 世間一般の物憂いことに対抗できる免疫体。 CD、映画、写真などでも代用できるが、やはりホンモノの持つ威力にはかなわない。
注2……たまに似ている写真があり、ドキリとする。
注3……イーキンは1967年10月4日生まれなので、正確にはまだ34歳。
(その2に続く)