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女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。
Nov. 8, 2001

日活ロマンポルノ30周年記念企画パート3

続・私のおすすめロマンポルノ

今回は、ロマンポルノ後期の作品を紹介します。ロマンポルノは71年に始まり、88年で幕を閉じるので、後期というと80年代の半ばごろを示すものだと思います。おおまかな印象だと、前期の、どっしり、ジメジメした作風から、軽やかに、カラっとした演出になっていったように思います。

私が一番可笑しかったのは『宇能鴻一郎の 濡れて打つ』(84)。金子修介監督。誰もが分かる「エースをねらえ!」の引用、エロティシズムも軽く笑い飛ばす… 映画は時代を反映すると言いますが、そこには戯れる余裕が出来てきたかのようにも思えます。とにかく笑えるので、ビデオ屋さんでもう1本、という時などに気負わず借りてみて下さい。個人的には、女の子の部屋を俯瞰で撮って、隅で猫もゴロゴロしてるシーンが好きです。

次に、森田芳光監督の『ピンクカット 太く愛して深く愛して』(83)。ピンクのモヘア(?)を着た可愛い女子大生が営む床屋さん。そこにはミニスカートを穿いた若くて可愛い女の子しか働いていません。カット以外のサービスもする、というわけです。店内は可愛い内装なので、そこも眼の愉しみです。役者さんも個性的で、ポルノ界の「聖子ちゃん」寺島まゆみ、「百恵ちゃん」井上麻衣、そしてギョロギョロした眼でクセのある棒読みが楽しい伊藤克信が、愛らしい演技で物語を織り成してゆきます。ロマンポルノ後期になると、役者さんも「女優」という品格を漂わす重みは薄れ、おともだちの高校生、女子大生というような生活感を帯びていきます。私はこの映画の寺島まゆみがお気に入りなのですが、台詞もしぐさも格好も可愛いです。「がんばっちゃう」と言って、人差し指を立てたりします。長襦袢に燃える伊藤克信も笑えます。「フロントホックブラ」という当時の新商品(?)も出てきます。ラストシーンはなんだか分からずみんなでショーのごとく踊りだすのですが、その感覚は、同じ伊東克信主演の『キャバレー日記』(82)を思い出させます。根岸吉太郎監督で、これもコメディタッチなのですが、こちらはもうちょっとドラマと、哀しみがあるように思います。

軽さといえば、漫画が原作、美保純主演、上垣保朗監督の『ピンクのカーテン』(82)があります。兄と妹の近親相姦ものですが、ムチムチした肉体を持ちながらも、映画は小さなキッチンでささやかな料理を作る姿を表現しています。

最後に、『母娘監禁 牝<めす>』(87)。斎藤水丸監督、荒井晴彦脚本、前川麻子主演。これは先ほどまで述べていたような軽さはなく、ちょっと悲惨な話でもありますが、私がここ最近1番衝撃を受けた作品です。時代の象徴であるかのようなウォークマンで物語は幕を開けます。観たあと、前川麻子の存在がしばらく忘れられません。女優さんの魅力をいかに引き出すか、ロマンポルノはやっぱりそこに尽きると思います。

ロマンポルノなき今、ピンク映画が頑張っています。私からみると、映画に対してずっと真剣な人たちが、試行錯誤しながら新しい表現が生まれていっている場、実験的要素も貪欲に吸収する土壌のように思えます。一般映画館でもたまに上映されますのでその際は是非お出かけ下さい。

パート1「私のおすすめロマンポルノ」
パート2「私とロマンポルノ」
パート3「続・私のおすすめロマンポルノ」

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(文:フクモト)
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