榮倉:この映画は栃木では先行上映されていて、舞台挨拶もこれが5回目位なので、今日から公開なんだと思うと不思議な気持ちです。でも、たくさんの方に集まっていただいて本当に嬉しいです。
谷村:わたしも同じく宇都宮で舞台挨拶をしたので、東京は今日が初日というのに実感がないんですけど、色んな方に観ていただきたいなと思っています。
柄本:今日が初日なんですが、撮影してから結構すぐで・・・、なんか、こないだまで撮影していた感じです。たくさんの人に来ていただいて嬉しいです。
林:今日はこんなに集まっていただいてありがとうございます。ぼくは初めての映画出演だったんですけど、どうだったんでしょうか?(会場拍手) たくさんの人に観てもらえれば嬉しいです。よろしくお願いします。
監督:今日はありがとうございました。この映画は、自分の思い出を綺麗だなんて思っていない人の方が、何か大切なものを受けてもらえるんじゃないかと思って、大切に作りました。
ー 今回の役は優等生の役でしたが、演じていていかがでしたか?
榮倉:秋元加代子という役がクラスの中で一歩引いてみんなを見ているというか、みんなの楽しい輪の中に入らずに冷静に見ている役で、わたしも元々すぐにとけ込める感じではなくて、もっと明るい役だったら、わーって入って行けたんですけど、私自身がみんなとあんまり話せなかったのが残念だなぁと思いました。でも、楽しかったです。
ー 指揮をするシーンもありましたが、苦労したこととかありますか?
榮倉:指揮はスタッフの方が芳賀高校の生徒さんの演奏をDVDに撮ってくれて、資料としてもらっていたので、それを見て練習したんですけど、なかなか硬いねって言われてしまって残念だったんです。
ー 随分、練習されたんですか?
榮倉:そうですね、DVD観て合わせるだけなんですけど。それよりも、電車のシーンが大変でしたね。映画用に電車を止めたり、長い間停車してもらうことができなくて、決まった時間でタイミングをあわせてやらなくちゃいけなかったんですけど、わたしが駆け込んで入るシーンで、ちょうど入ろうとしたらバチャン!て閉まってしまって、わたしは「開けて〜!」って騒いでたんですけど、スタッフさんたちみんなビックリしてしまって、固まっていたということがありました。
ー 危なかったんじゃないですか? 閉まったら電車はもう出て行っちゃうわけですよね?
榮倉:そうなんですよ。でも、わたしがダンダンダンて扉を叩いていたら、駅員さんが開けてくれました。ほんとはだめなんですけどね。
ー 谷村さん、今回は喜んだと思ったら、どん底に落ちて、忙しくて大変でしたね。
谷村:はい、そうですね。最初は、まさかこんなに喜怒哀楽の激しい女の子の役だとは思わず、作品を作っていく間に、白田さんてこういう子なんだなとだんだんつかめてきた感じでした。でも、お芝居をするという感じではなくて、素の自分でいられる現場だったので、そのままスクリーンに映っている感じです。
ー こんなに明るい役をやるのは珍しいそうですが。
谷村:そうですね、確かに。わたしも色々な方に観ていただいて、「美月ちゃんて、こんな役できるんだね」って言っていただけて、嬉しかったです。怖い顔している自分が多かったので、みんななんだかソワソワして観ていた部分が有ったらしいんですが、今回はホッとして観られたと言ってくださる方が多かったです。
ー 楽しい現場のエピソードはありましたか?
谷村:特にこれがというものはないんですが、撮影そのものがとにかく毎日楽しかったです。
ー 柄本さん。どちらかというと大人しいイメージがあるのですが、今回はめい一杯明るい富蔵くんでしたね。演じてみてどうでしたか?
柄本:はい。とりあえず、セリフがすごく多いので覚えるのが大変でした。
ー でも、かなりもう映画にも出演されているし、セリフ覚えは得意なんじゃないですか?
柄本:得意?不得意? いやぁ、どうなんだろう。まあ、なんとか、その、覚えました。
ー 今回は野球部のエースでしたが、野球はどうでした?
柄本:野球は、ちょっと、練習はしたんですけどね。なんかエースじゃなかったって感じでしたね。うちの弟がちょっと野球をやっていて、この映画の予告編かなんかを観て、たしか投げるシーンがあるんですよ。それを観て「兄ちゃん、あれはひどいよ」って。「あれのどこがエースだよ」みたいなことを言われて、がっかりしたんですけどね。(撮影時は)ちょっと頑張って、いけたかな、なんて思ったんですよ。でも、できあがった映像を観て、自分でもびっくりしましたね。こんなにできてなかったかなって。はい、そんな感じです。
ー 林さんは、初めての映画の現場はどうでしたか?
林:やっぱり大変でしたね。ぼく、カメラ自体が大の苦手で、だから今もこういう状況(取材のカメラがびっしり並んで彼に向けられていました)が辛いんですけど。演技も初めてで全然わからないし、それもまた苦手なカメラの前でというので、二次災害っていうか(会場笑)。そういうやりにくい状況だったので大変だったんですけど、自分なりに頑張ったんで、それなりのものが少しは出たんじゃないかなと思いますけど。
ー 普段は平川地一丁目として、お兄様と一緒にご活躍されているんですけど、一人というので不安はありましたか?
林:仕事中は色々とかばってくれる人がいるのでいいのですが、休憩時間とかホテルとかは、一人でちょっと寂しかったです。
ー でも、皆さんとても仲が良かったようですが。
林:あ、そうですね。仲良くしてくれたんで。あ・・
ー 今、一瞬カメラを観て固まってたみたいなんですが、大丈夫ですか?
林:日本語、まちがってませんよね。
ー 大丈夫ですよ。今回、直次郎さんは主題歌も手がけられてますが、どんな思いで作られたのでしょうか?
林:ぼくは曲の方を担当したんですが、ロックなものをという依頼が来たので、ぼくなりのロックをイメージして作りました。
ー 岩田ユキ監督、初めての長編映画を撮られました。いかがでしたか?
監督:現場ではスタッフに対しても、役者さんに対しても、「じんわりしたこの感じ」とかを言葉にするのがとても難しかったし、それを敏感にキャッチしてくれる役者さんたちで、とても楽しかったです。
ー 今日はキャストの皆さんが揃っているので、それぞれに対する監督の思いをお話いただけますか?
監督:柄本君は、最初に会うまでは、これは只者ではないなと思っていたので、やたら怖いイメージがあって、「それ違うんじゃないっすかぁ」みたいなことを言われるんじゃないかと思って、構えすぎていたので、凄いいい子で良かったぁというのがありましたね。「あ、笑ってくれる」なんて、そんな小さな事が嬉しくて。片思いが実ったような思いでした。
榮倉さんも、最初とイメージが違うんです。いただいた写真やモデルの仕事が、あまりにも女の子ぽくて、ハートマーク一杯出ていそうなイメージがあったんですが、会ってみたら、その凛とした感じに安心して、彼女は加代子役が任せられると思いました。現場での態度も、みんなが文化祭できゃーきゃーいっているのを、遠くでじっと見ている静かなたたずまいが、とても印象的でした。
谷村さんは、劇中で「ありがとう!」っていうシーンで、「そのありがとうは演奏に対してだけじゃなく、夢中になれる気持ちや、恥ずかしさなんかも含めた全部をくれてありがとうなんだよ」という話をしたら、彼女が「じゃあ、この役に選んでくれてありがとう」って言ってくれたんです。監督って、ありがとうって言ってもらえない仕事なんですよ。初めて人にありがとうって言ってもらえたと思って、ちょっと泣いちゃいそうでした。
直次郎君も、やっぱりイメージ違うね。初めは、平川地一丁目で女の子にきゃーきゃー言われていて、男前で、さぞや天狗になっている奴なんじゃないかと思ってたんですけど、あまりのピュアさにビックリしたんです。リハーサルのときに、谷村さんの肩を演技で触ることもできなくて、「監督にやらされてるんだからいいんだよ」って言っても「でも、できない」って。妹を使って演技の練習をしてきたり、そういった素朴さが、演技は初めてだけど、いい存在感になっていると思ってます。
この後、林直次郎さんが主題歌「hikari〜檸檬のころ」をアコースティック・ギターを弾きながら歌ってくれました。映画ではロックな演奏ですが、今回はスローにアンプラグドで、これもまたいい感じでした。
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