公開前に、再度ハン・ソッキュ氏が来日して記者会見を行った。 会見の前には、3人目のお子さんが産まれたことも話に飛び出した。5/15に男のお子さんが誕生したそうで、これで二女一男のパパになったということだ。ちなみに男の子が欲しくて3人も産んだわけではなく、結婚当初から子供は3人欲しいと奥様と話していたそう。名前はまだ決めてなくて、今は「イイコちゃん」と呼んでいるとのこと。
Q: (なんと質問者は韓国好きで有名なジャズシンガーの綾戸智絵さん)銃を撃つシーンのとき、本当は撃ちたくないけど撃たなくてはいけない・・・という思いをこちらもひしひしと感じますが、どんなところに気をつけていますか?
今までにも銃を撃つシーンというのはたくさんあり射撃訓練を受けていますが、何より大事なのは緊張感を失わない事です。緊張感を高めて、その気持ちを失わないようにしています。
Q: 北朝鮮の人間を演じるにあたって困難なことはありましたか?
私の演技によって、観客が北朝鮮の人をどう見るかが関わってきますので心配していましたが、今回1980年代を生きた一個人としてとらえ、一人の人間を演じるんだという気持ちで演技にのぞみました。大変だったのは、スパイというのは日常生活で演技をしている部分がありますので「演技をしている演技」をしなければいけないことです。役になりきれないと観客は物足りないし、なりきりすぎるとオーバーアクションになってしまいますので、そのバランスをとるのにまるで綱渡りのような気分でした。
Q: 「いい人」というイメージがありますが、一度大きく裏切ってみたいと思いませんか。また、(プレスシートに書かれていた)「無意識の演技」について、具体的に教えて下さい。
確かにそういうイメージはずっとついてまわると思います。でも私は常に違う自分を見せたいと思って様々なジャンルの映画に出演してきましたが、まだまだイメージから抜け出せていないのかなと思います。これからも様々な作品の中で違った姿をお見せできればと思います。
それから2番目の質問ですがどうお答えしたらいいか考えていますが・・・、例えば今話しているこの場でも無意識のうちにポーズを取っていると思いますが、そういう無意識のポーズが演技に入ってきた時にいい演技ができたなと思います。
Q: 映画に出演される際に、いつもテーマを整理するそうですが、今回はどのように整理されましたか。
私はいつもひとつの作品にのぞむ時に、必ずその作品のテーマを要約してひとつの文章に書き起こします。それを自分のテーマとして、自分の目標として定め見失わないようにしています。今回のテーマは「南北の分断体制のために犠牲になった人」です。私の演じたイム・ビョンホだけでなく、この映画に登場するすべての人が犠牲者だといえます。日本の方がどのように受け入れてくださるか不安ですが、このテーマを少しでも考えていただければ、それはとても大きな意味をもつと思います。
Q: 2003年の今も、イム・ビョンホのような人は存在すると思いますか。もしいたとしたら現在の韓国を見ても北朝鮮に忠誠を誓えると思いますか。演じてみてどうでしょう。
世の中にはいろんな人がいていろんな価値観があると思います。今もスパイ活動をしている人がいるかもしれません。その人たちの心境をはかり知ることはできませんが、もし私だったらなぜこんな状況に置かれているのか、自分の信念は間違っていないのか、そういうことを一度は悩むのではないかと思います。
Q: SMAPのくさなぎ君は、俳優ハン・ソッキュさんを尊敬しているので有名です。日本においてもそのように思われることについていかがですか。
本当に嬉しく、喜んでおります。私は以前から日本の高倉健さんを尊敬しています。高倉健さんを見ていると「することよりもしないことの方がつらい」ということを教えて下さっているような気がします。演技の面でも人生においても。
Q: 3年ぶりの映画ですが、今回の映画を作る中で映画を作る喜びを感じられた瞬間がありましたら教えて下さい。
個人的には、演技をしている最中は喜びよりも困難が先にたちます。その困難をやり遂げた時に喜びを感じます。撮影中は自分で自分を苦しめながら演技をしていることが多いですが、私はなりたかった俳優という職業について自分の考えを演技で表現して、皆さんと共有できるということが私の一番の大きな喜びです。