4月8日よりの公開を前に、アカデミー賞主演女優賞に輝いたブリー・ラーソンさんと、息子役のジェイコブ・トレンブレイ君が来日し、記者会見が開かれました。
2016年3月22日(火)
会場:ザ・リッツ・カールトン東京、パークビュールーム
登壇者:ブリー・ラーソン(26)、ジェイコブ・トレンブレイ(9)
監督:レニー・アブラハムソン 『フランク』(14)
出演:ブリー・ラーソン、ジェイコブ・トレンブレイ、ジョアン・アレン、ショーン・ブリジャース、ウィリアム・H・メイシー、トム・マッカムス
小さな【部屋】で仲睦まじく暮らす、ママと5歳のジャック。朝、起きるとジャックは部屋にある物一つ一つに「おはよう」と声をかけて一日が始まる。夜、ジャックが衣装ダンスの中で隠れるように寝ていると、ニックという初老の男がやってくる。やがて、ママであるジョイが7年前にニックによってこの【部屋】に監禁され、ジャックを産んだことがわかってくる。
ある日、ママは意を決して【部屋】からの脱出を図る。無事、警察に保護され、両親と再会するが、7年の間に両親は離婚していた。そして、二人には社会の好奇の目という試練が待っていた・・・
2015 年 / アイルランド、カナダ / 英語 / 118分 / カラー / シネスコ / 5.1chディジタル
配給:ギャガ
公式サイト:http://gaga.ne.jp/ROOM/
★2016年4月8日(金) より、TOHOシネマズ 新宿、TOHOシネマズシャンテ他 全国順次ロードショー!
MCより、昨日、六本木ヒルズで舞台挨拶が行われ、お客様にサインをしたりして交流されたことや、ジェイソン君が昨日の朝、釣りに行き10匹位釣ったことをインスタグラムにアップしたことなどが報告されました。
満開の桜の木が用意された舞台に、いよいよ二人が登壇。
ブリー:オハヨウ ゴザイマス 今日は朝早くからいらしていただきありがとうございます。『ルーム』の話をできるのを楽しみにしています。
ジェイコブ:ここに来て皆さんと『ルーム』の話ができるのが楽しみでワクワクしています。僕とブリーでみなさんの質問にできるだけ答えます。
(甲高い声で一生懸命語るジェイコブ君。見た目は、少年なのに、語る内容は、とても大人!)
MC:あらためまして、アカデミー賞主演女優賞おめでとうございます。4部門ノミネート ほか、各地で評価されています。 世界中で評価されている一番の理由は何だと思いますか?
ブリー:今回の物語が今までも何度も語られてきた「人がいかに成長していくか」を描いていて、自分の小さな世界を大きな世界にして余すことなく自分の人生にしていくという、実際の人生の中でも起こることなので共感を得たのだと思います。もう一つは感動する愛が描かれているからだと思います。
MC: 昨日、プレミアで観た皆さんが、素晴らしかった、感動したと言っていましたが、ジェイコブ君は、初めて完成作を観た時、どう感じましたか?
ジェイコブ:映画を撮り終えてよかった。自分からすると、カメラが何を見ているかわからなくて、自分の目から見えているものしか見えません。いろんなテイクの中から監督がベストなものを選んで、編集して、音楽をつけて、一つにまとめて映画になっています。僕は自分の目でしか見てないので、いろんなアングルから見たものが映画になったものを観るのはクールなことでした。
― 二人だからこそ伝わる感動がありました。二人は早くから役者としてのキャリアをスタートされています。今回のような作品にどのような効果がありましたか?
ブリー:早くスタートしたのは自分の選択でした。演技への情熱があったからこそ小さい時から演技をしてきました。人の持つ様々なことを表現できるのを知っていました。ジェイコブ君に初めて会った時、クリエイティブな表現力があるのを感じました。彼自身の役者としての才能を皆でサポートし、役に成りきれるようにしました。でもそれは、周りが作り上げるのではなく、あくまで彼自身の力を発揮できるように仕向けるためでした。
ジェイコブ:早く役者を始めたことが助けになっているといえると思うのですが、僕はまだ8歳で3作目です。助けになったと思うのは、ハッピー、シリアス、ホラーなど、すごくいろんなジャンルの映画を経験していて、それがすべて今回のジャックに繋がっていると思います。
― 役作りで心掛けたことや、大変だったことは?
ブリー:今回演じたママというキャラクターのたくさんの側面は、自分の人生経験の中ではない部分がたくさんありましたので、役作りに今回は8か月かけました。実際に置かれたあの状況が、肉体や精神にどう影響があるのか?をきちんと準備しました。特に注意したのは親であること、虐待されていること、監禁からのサバイバーであることという複雑な状況ですから、真実に迫るものでないといけないと思い、サバイバーの方や親である方にもお話を伺いました。
ジェイコブ:一番大変だったのは。撮影当時8歳だったのに、5歳にならないといけなかったこと。3歳若くならなければいけないのが大変でした。もっとアクティブでなければいけないし、彼はすごくハッピーな男の子なので。
― ジェイコブさんが、インスタグラムに写真をあげているバックにに星野源さんの音楽を使っていますが、どうやって選んだのですか?
ジェイコブ:あの曲を選んだのは、実はママ。日本に行くので、日本のCDをいくつか聴いて、星野源さんの曲が結構好きだなと思って選んで、来る時の飛行機の中でもずっと聴いていました。そして、インスタグラムにアップしました。
― ブリーさんに。日本に来る時に楽しみにしていたことは?
ブリー:元々長いこと日本に来るのが夢でした。心の中で桜の時期に来れるといいなと思っていたので、開花にあわせたかのように来ることができて、ほんとにマジカルなことです。日本食をいただいたり、ショッピングしたり、すべてのことを大切にしたいと思います。
― 生の桜はいかがですか?
ブリー:綺麗だなと、先ほどから観ていました。今朝、出演したところでも桜の入った花を用意してくださっていました。桜をテーマにした飲み物なども全部チェックしています。
― アカデミー賞受賞の瞬間の思いと、オスカー像は今、どこにあるのでしょうか?
ブリー:名前が呼び上げられた瞬間は、ほんとにシュールな体験でした、頭の中が真っ白になってしまって、舞台への階段をあがったことも、どんなスピーチをしたのかも覚えていません。でも、そのことに感謝しています。準備したスピーチでなく、その場で心から助けてくださった皆さまに感謝の気持ちを述べることができたのでよかったと思います。
あの瞬間を覚えていないので、あの瞬間を録画で見てみたいと思っています。あの翌朝、『キングコング』撮影のためベトナムに行って、今回もベトナムから日本に来ましたので、ずっとオスカーさんには会っていません。家に帰ったらオスカーさんが待ってくれています。
― ジェイコブさんは、授賞式で『スター・ウォーズ』の人たちに会って、どう楽しみましたか?
ジェイコブ:オスカーの会場に行ったのは、X―BOXで遊ぶよりずっと楽しかったです。ゲームは座って集中しないといけないけど、オスカーでは座って人が受賞するのを観ているのが楽しかったのです。特にブリーが受賞した瞬間はぼくのお気に入りです。
― 最後の場面、監禁場所を再訪しますが、その時の思いは?
ジェイコブ:あれはすごくいいアイディアだったと思います。あのシーンで多くの人が泣いたし、僕のママも泣いてました。泣くシーンだから泣いたわけじゃなくて、監督の演出もスマートというか賢かったと思います。原作もそうなっていました。受賞に値するシーンだと思いました。
ブリー:『ルーム』という映画が特別なのは、劇場に足を運ぶ時には、自分の人生とはかけ離れた奇妙な状況が描かれていてオブザーバー的に観るのだと思っていくけど、でも、違う。観ているうちに、自分たちの人生に近いものがある。人が成長していくこと、子どもであること、親であること、何かを乗り越えて次に進むというのはどういうことか。まるでサイクルのような描かれ方がしています。映画で、最初、部屋の中にある様々なものに、「ハロー」と言って始まり、最後には、「バイバイ」と言っています。それは、新しいものに出会っていくスタートでもあると思います。
会見が終って、桜の花のそばでフォトセッション。にこやかに笑顔を振りまく二人でした。
試写で『ルーム』を拝見したのが、ちょうどブリー・ラーソンさんがアカデミー賞で主演女優賞を受賞した直後のことでした。極限状態の中で産んだ子に愛情を持って接する女性を静かに演じていました。脱出してからの日々の、表向きは淡々としながら、複雑な思いを抱えているであろう姿を体現していて見事でした。
でも、何よりジャックを演じた男の子がとにかく可愛くて、しかも演技と思えない演技に圧倒されました。二人揃って来日記者会見が開かれるとの案内をいただき、朝早いのもなんのその、ジャックを演じたジェイソン君を見てみたいと駆けつけました。
【部屋】にいる間、髪の毛を長く伸ばして、まるで女の子のようだったジェイソン君。短髪の彼は確かに小さな男の子なのですが、話し始めると甲高い声なのに、これがもう、成熟した紳士のよう! ブリーさんを自分が守らなければと言わんばかりの雰囲気に圧倒されました。今後、どんな役者になるのか楽しみです。