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女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
(1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。

『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』
クリストファー・マッカリー監督&トム・クルーズ 来日記者会見

2015年8月7日(金) 全国ロードショー

シリーズ5作目となる『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』の公開が迫る中、伝説のスパイ、イーサン・ハントを演じたトム・クルーズとクリストファー・マッカリー監督が来日し、8月2日に記者会見が行われた。トム・クルーズ自ら挑んだ離陸する軍用機にしがみつくシーンの撮影裏話や映画に対する強い思いが語られた。なんと、トム・クルーズは21回目の来日という。

映画の詳細についてはシネマジャーナル作品紹介を参照ください。
http://cinemajournal-review.seesaa.net/article/423420329.html

『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』公式サイト
http://www.missionimpossiblejp.jp/
監督・脚本:クリストファー・マッカリー
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン

記者会見

*大きなチャレンジ

トム・クルーズ(トム):また日本に来ることができて大変うれしく思っています。日本という素晴らしい国に来られるのは私にとって名誉です。『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』は、なんと2週間前に仕上がったばかりです。このできあがったばかりの作品を日本の皆様に観ていただけるのは非常にエキサイトしています。セリフが最後の最後まで変わって、監督に文句を出しました。翻訳の戸田奈津子さんにも大変な思いをさせてしまいました。

クリストファー・マッカリー監督(監督):また日本に戻ってこられて本当にうれしく思います。日本は大好きな所で、非常に温かい歓迎を受けほんとうにうれしく思います。


トム・クルーズ、クリストファー・マッカリー監督

Q: 毎回さまざまなチャレンジで世界を驚かせているシリーズですが、今回の仕上がりはどんな風になっているのでしょうか。手ごたえなどお聞かせください。

監督:今作品は、私がトム・クルーズと一緒に仕事をした5本目の作品です。毎回が学びの体験なんです。前回学んだいろいろなことを、次の作品に注ぎ込むというプロセスをするのですが、今回、結果にに非常に満足しています。映画を観た人は、私がトムと一緒に学んできたいろんな知識や体験が満載だということがわかると思います。

トム:私も毎回映画に関わる時は生徒になった気持ちで、いつも何かを学んでいます。私はまず観客のことを考えます。私の知っている限りの技を発揮して、ストーリーテリングの面でも、フィルムメイキングの面でも、自分が学んできた事を全てを注ぎ込んで良質な映画を作ってお客様に届けられるように心がけています。ジャンルに関係なく、この気持ちはいつも変わりません。
ほんとにマッカリー監督は、ストーリーテリングの面でも、フィルムメイキングの面でも、いろいろなことをご存知で、とても多くのことを学びました。今回も学んでなかった技術を学びました。たとえば、エアバス(軍用機)の外にぶら下がるなんてことはしたことがありませんでしたが、今回、どうしたらいいかと、飛行機のぶら下がり方を学びました(笑)。車やバイクでのカーチェイスはしょっちゅうやっていますが、今回、呼吸を止めてダイビングするという水中アクションというものをやりました。
アクションシーンを支えてくれる素晴らしいスタッフたちから多くのことを学びながらこなしました。ただし、飛行機にぶら下がるのはみなさんにオススメしません(笑)。非常に特殊です。


トム・クルーズ

Q:アメリカでは7月31日に公開され、シリーズ史上、最高のスタートとなりました。そのことについてお聞きします。

トム:ほんとに素晴らしい結果だと思います。関係者も喜んでいます。あれだけ一生懸命働いたので、お客様が喜ぶということはとても嬉しく、私も満足です。

Q:映画を拝見させていただきました。飛行機にしがみつくシーン、水中でのスタントなど、観ているこちらがハラハラしましたが、トムさんにとって怖いものはあるのでしょうか?

*本作の目玉になるアクションシーンの一つ。スタントではなく、トム本人が軍用飛行機のドアの外に張り付き、飛行機の侵入に挑むという体当たりアクションシ。地上約1500メートル、時速400キロ以上で飛ぶ飛行機上で展開する。

トム:「怖くない」と自分に言い聞かせてやっているわけです。
エアバスのシーンは何カ月も準備をかけて撮影したシーンで、ちょっと詳しく説明します。映画製作において、私が念頭においているのは、お客様を喜ばせるストーリーとエンターテインメントについてです。エアバスにぶら下がるというのは監督のアイデアで、監督からこういうのはどうかと言われたんです。

監督:ジョークとして言っただけです(笑)

トム:(笑)話を聞いたとき、とても面白いんじゃないかと思いました。
エアバスのテストパイロットや技術者と何カ月もかけて相談し、撮影方法とかを決めていきました。飛行機の外にカメラをすえるなんてやったこともありませんし。
レンズは2サイズで撮影したんだけど、カメラを機体の外側に設置するには仕掛けを作るわけですが、重力がかかるし、高速の風も受けるわけですから、どのようにカメラを設置するのかが難しいわけです。私がぶら下がるシーンの下に地面が走っているのが見えるのを映し出すようなカメラのアングルを考える必要もありました。
ゴーグルをつけていないですが、250ノット(時速450キロ)出ている状態で目を開こうとするとどうなるか分かりますか? 塵などがぶつかってきます。
それを解決するために、眼球全部を覆うコンタクトレンズを開発したんです。そのコンタクトレンズをつければ、250ノットで走っても目を開けていられるし、ゴミなどが目に入ることも防げます。
もう1つは私が「背広を絶対に着たい」と言っていたこと。これはアルフレッド・ヒッチコック監督の『北北西に進路を取れ』へのオマージュです。でも撮影をしたロンドンはものすごく寒くて、しかも高度が上がると温度も下がるので、寒さは信じられないくらい。どんなに冬は寒いか。でも、背広にこだわった。
それから、ジェットエンジンからの排気ガスが飛んできます。私のすぐそばにあるわけですから、もろに吸うことになるんです。私はパイロットでもありますから排気ガスを吸うことは知っていましたが言いませんでした。問題はできるだけ小さくしておきたかったから。鳥が飛んでくるのも恐れていた問題でした。エンジンがかけられる前に、機体に体が縛り付けられました。さらには、その状態で演技をしなくてはいけない。
いろいろなことを相談をしてから、ロンドンに撮影前日の夜に到着しました。
撮影用のエアバスの機体の下から証明があたっていて。霧が出ていたこともあって、モンスターのように見えたのを覚えています(笑)。
いざ撮影が始まってエアバスが走り始めるとものすごく寒かった。もちろん飛行機に縛られているわけだから、離陸してしまうと、着陸しないともどせないわけです。
滑走路のシーンだけ先に撮影が終わって、機内でモニターを見ていた監督と話をしたのを覚えています。


トム・クルーズ

監督:いろいろ確認するために、機内から出てトムに話をしにいったのですが、トムは分厚いコンタクトレンズをしていたし、耳栓もしてたので、ほとんどコミュニーケーションがとれない状態でした。機外に出てトムの姿を見て、初めてトムがほんとうに過酷な状況にいることを気がつきました。私は服を何枚も着てブーツも履いていたけど、それでもとても寒かった。
トムは背広しか着ていなくて、どれだけ寒かったかわかりました。エンジンの後ろに立ってみてわかったのが、暑かったり寒かったりめまぐるしく変わるし、呼吸ができないということ。だから、早く機内に戻りたいと思いました(笑)。私が飛行機に戻る前、機体に縛り付けられているトムが大声で「僕がパニックになっているようにみえるのは演技だからね。カットしないで!」と伝えてきたんです。ですけど、撮影中はトムが本当にパニックになっているのか、それとも演技をしているだけなのか区別がつきませんでした(笑)。

トム:飛行機が離陸したら足が中ぶらりんになる演出を考えていたのですが、いざ撮影が始まり、飛行機が滑走路を走るシーンだけでも足を足場においておくのが大変でした。スピードが加速されると、「さすがにまずかったかな?」と思いましたよ(笑)。離陸のシーンは8回も撮ったけど、無事に撮影できてみなさんを楽しませるシーンができたわけです(拍手)。

Q:トムさんは21回目の来日ですが、日本の夏で好きなところはありますか?

トム:今回が一番暑いですね。でも、私は平気です。怖いものがないですから(笑) 。 私はもともと暑いのが好きなんです。全然気にしません。
引っ越しをたくさんしていろいろなところに住んでいたし、子どもの頃は、新聞配達のアルバイトをしてたこともありましたから、暑いのには慣れています。他にもいろんなアルバイトをしたしね。あと、東京は街が本当にきれいだし、人も素晴らしいです。


トム・クルーズ

Q:ほんとうに、不可能なことを可能にする方なんだなと改めて思っていますが、ファンとしては、これだけのことをやってのけた人が、次はどんなことをやってくれるんだろうと、早くも次に期待しているのですが、年齢的なことも含めて、不可能を可能にしたいミッションはまだ残っているんでしょうか?

トム:たくさんあります(笑)。実はもう次のをかなり練っています。どんな話がいいかとか、どういうことをみせようかとか考えています。ま、それは次のお楽しみにしてください。

監督:私はあまり変なジョークを言わないように気をつけます(笑)


*映画への思い

Q:このシリーズも5作目で20年に渡って続いていて、さらに次回作の構想もあるということで、シリーズがこれだけ長い間続いている理由や思いなどについて教えてください。

トム:私が初めてプロデュースしたのが『ミッション:インポッシブル』です。『タップス』という映画で初めて役をもらえたけど、そのころは若くてまだまだ新人で、演劇学校や映画学校も行ってなかったので、スタジオで映画の現場であらゆることを毎日勉強しました。そこでプロデューサーの仕事についても学びました。
プロデュースについては、自分にやれる自信がつくまで待っていた。パラマウントに行った時に、機が熟したと思いプロデューサーに挑戦してみました。「ミッション:インポッシブル」は、もともとテレビシリーズで、とても好きだった作品。
テレビシリーズを映画化するのかと言われましたけど、映画化することで、またいろいろ挑戦することができました。いろいろな国に行き、いろいろな国の人々を知り、異文化を知ることができました。映画のために外国を旅して、いろいろなことを吸収するというチャンスも与えてくれました。
大作だし、大きなチャレンジも与えてもらいいろいろな経験をさせてもらいました。サスペンス、アクション、コメディを含めた映画を作って、人々に大きな娯楽を与えるという経験ができました。
クリスとやるのは2回目ですが、ストーリーを作り、構成を考え、アクションやコメディやサスペンスを入れて、映画全体をまとめていくことを楽しみました。映画を作る上ではスタッフとの共同作業もすごく楽しいことの1つ。映画作りのあらゆることに関わることが好きです。シリーズがこんなに続いているのは名誉あること。映画作りは、素晴らしい体験や特権を与えてくれます。その結果、こうやって日本に来ることもできますし。


トム・クルーズ、クリストファー・マッカリー監督

監督:今作は、私個人としては願いがかなった作品なんです。5作通して観ると、イーサン・ハントは空を飛ぶこともできるし、岩を登ることもできるし、透明になることもできる。彼は超人的なことをやっていますが、でもイーサンは超人ではありません。彼は技術に支えられて可能にしているんですね。
前作で一緒に仕事をしている時に、トムと話をさせていただきました。だから、イーサンがやらなくてはいけない不可能な状況を作り出すのが大事です。これが脚本を書く上で大変難しいことです。トムと二人で書き出すときにはクリアな計画を持つんですが、『ミッション・インポッシブル』は違うよ、こっちに行くんだとなるわけです。ですからスタートした地点から常に変化していくんです。だから、我々も撮影中にどこに向かっていくのかわからなくなってしまうこともあります。でも、いいところは我々も観客と同じように驚くのです。

Q:今後『ミッション:インポッシブル』で、日本を舞台にすることはお考えですか?

トム:楽しそうですね。とても良いアイデアです。もしかしたらやるかも。
でも、我々は撮影では交通をたくさん遮断するからね。映画の撮影では、ロケーションを選ぶのがとても大変です。国や町、コミュニティから許可を得る必要があるから。日本で撮影するなら、いくつの道路を封鎖できるか、いくつのビルからジャンプできるのかなどいろんなことをクリアしなければいけませんね。許可さえ出れば。

監督:もし日本で撮影するなら、夏を避けて春か秋にしたいところです(笑)

Q:53歳になられたとのことですが、こんなに長い間、映画界のトップスターであり続けるためにトムさんが気を付けていること、日本で言うところの心技体を教えてください。

トム:私は4歳の時に初めて映画を撮りたい、世界中を旅したいという夢を持っていました。それからずっと人生、映画に対する情熱を持ち続けています。夢がかなったことにとても感謝し、その気持ちを忘れることはありません。映画を愛していますし、スタッフへの感謝もすごくあります。だから撮影に遅刻したことは1回もないです。映画を作るのはものすごいプレッシャーがあります。でもプレッシャーというのは、私にとって特権のようなもの。プレッシャーを背負って自分を極限まで使って答えたい。人を楽しませることができることはありがたいことです。


トム・クルーズ、クリストファー・マッカリー監督
トム・クルーズ、クリストファー・マッカリー監督


トム・クルーズの記者会見に初めて行ったけど、とてもいい人だった。
途中、マイクの調子が悪くなって、技術の人?がいろいろ調節したのだけど、その人へも、ちゃんと感謝の言葉をかけていた。
ファンとのセッションも、いつも時間をかけているけど、やはり、映画への思い、スタッフへの思い、観てくれる人への感謝を忘れずにいる姿勢が、長年スターでいることなんだなと感じた。(暁)

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(取材:宮崎 暁美)
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