8月2日(金)からの公開を前に、ゴア・ヴァービンスキー監督、プロデューサーのジェリー・ブラッカイマー、悪霊ハンターのトント役ジョニー・デップ、マスク姿の正義の味方ローン・レンジャー役のアーミー・ハマーが来日し、記者会見を開きました。会見場にはトントやローン・レンジャーのメイク・扮装をした記者やカメラマンが何人もいます。残念ながらここでは撮影ができず、お目にかけられません。(下のゲストの写真は記者会見に先立って別会場で行われたフォトコールで撮影したもの。撮影:景山)
5月に単身で初来日したばかりのアーミー・ハマーは「コンニチハ、ドモアリガトウ!アイラブジャパン!」とピースサインでにっこり。10回目の来日というジョニー・デップは「何度も日本に来ているのに、いつも時間がなくてゆっくりできない。いつかはしっかり時間をとりたい」と挨拶。上手には一緒に来日したご家族の姿も見えます。
ゴア・ヴァービンスキー監督、ジェリー・ブラッカイマー、ジョニー・デップは大ヒット作『パイレーツ・オブ・カリビアン』のトリオでもあります。そこに加えてアーミー・ハマーを起用した理由について司会者から質問。
ジェリー・ブラッカイマー:『ソーシャル・ネットワーク』の双子役を見事に演じたアーミー・ハマーを観て、たいへん感銘を受けました。ごらんのように彼はとてもハンサムで、ローン・レンジャーが象徴するものをみな持っています。
Q:いつも個性的なキャラクターを演じるジョニー・デップさん、新たなキャラクターのトントについて。
ジョニー:子供のころテレビで見ていましたが、ローン・レンジャーよりトントに興味がありました。なぜ彼が主人公でないのか?昔からアウトサイダーのキャラクターが好きなんです。組織からはみ出している人間に興味があります。 以、頭に鳥がのったネイティブを描いた絵画を観たことがありました。その鳥がまるで彼のスピリット・ガイドにみえました。それでトントの頭にのせることを思いつきました。みなさんもぜひやってみるといいですよ。
Q:(トントのメイクの質問者)ジョニー・デップさん、この格好はいかがですか?トントを演じてみての手ごたえを。
ジョニー:(扮装に)グレイト!自分自身は見られないので、ここにいて遠くから見るのは楽しいね。トントを演じることができたのは、この二人のジェントルマンのおかげです。二人は私と同じくらい頭がおかしいので、こういう面白いキャラクターをやらせてもらえるんです。ほんとにこの現場は突拍子もなく楽しくて、アーミーが「こんなに楽しいことやっててお金もらえるんだよね」と言ったほどです。
Q:(ローン・レンジャーの扮装の質問者)アーミーさんへの質問です。ローン・レンジャー役と、ジョニーさんと共演しての感想を。また、彼に何か教わったことがありましたら教えてください。
アーミー:あの衣裳を着て馬で駆けるのは最高に爽快な気分でした。隣にいるのはジョニーだったし。何から話そうかな。ジョニーからはたくさんの影響を受けました。(ジョニーが耳をふさぐ格好をして会場笑)彼はスタッフの名前とその仕事を全部覚え、現場の細かいところまでよく観察していました。その仕事が映画にどう影響するのか、完璧に把握しているんです。たとえば監督がカメラのレンズを変えると自分も立ち位置を変える。そうやって素晴らしい作品が作られると知りました。僕も現場に入ったらよく観察してそれを生かそうと思いました。
映画以外のことでも教わりました。太陽を直に見るな、自分の感覚に騙されるな、トイレではお尻を前から後ろへふけとか、いろいろ。
ジョニー:僕はそのときナマのうなぎを食べて、いろいろと瞑想にふけっていたんです。あ、オムツもしていました。
Q:ジョニーさん、とてもアクションが多くて逞しい肉体に驚きました。映画に向けて身体作りをしましたか?また貴方のようにカッコ良くなるためにはどうしたらいいでしょう?
ジョニー:ナマのうなぎを食べたり、身体作りは頑張りました。大きな動物と戦ったり、重労働があったり、何でもできなくちゃいけなかったので。「カッコよく(クール)いるためにはカッコ悪く(アンクール)でいろ」ってことかな。僕は27年間こんなホームレスのような格好をしてきて、今もそうです。いろんなことを言われてきました。でもそういうニュースやメディアのいうことは、なるべくみんな無視しています。要するに「アンクールでいて、外野のいうことは無視しろ」。
ジョニーと仕事をしてきての感想を求められて、ブラッカイマー氏、ヴァービンスキー監督とも異口同音に「素晴らしい俳優、同時に大事な友人である彼と仕事をしてきたことは誇りであり、光栄に思っている」「常に新しいものを持ち込むクリエイティブな俳優。映画作りというパーティに、いつも楽しんで参加している」と讃えました。
ヴァービンスキー監督から「今回はアーミーとのバディムービーです。この二人のケミストリー(化学反応=相性、結束力の意味)については初期の段階からずいぶん話し合いました。二人はテイクの合間もつねに一緒にいて、絆が深まっていくのを観るのはとても楽しかったです」とコメントがあり、次にお気に入りのシーンについて質問がありました。
アーミー:映画を観ると、このときは40度を超えて暑かったなぁとか、撮影の間のいろんな思い出が走馬灯のように浮かんできます。その中から一つ選ぶのはとても難しいです。
ジョニー:アーミーと同じく僕もお気に入りを一つ選ぶことは難しいけれど、嫌いなのは選べます。「すごいスピードで走っている馬から落ちたシーン」、めったにできることではない経験なので、それはそれなりに良かったんだけど。監督が言ったように、この映画は二人の人間関係が最も重要でした。アーミーと僕はたくさん話しましたし、とっても楽しい時間を過ごしました。笑い出して止まらなくなったこともありました。
Q:悪霊のように怖くて苦手だったけれど、今克服しているものはありますか?
ジョニー:長い間「道化(ピエロ)」が怖かったんです。今は自分が「道化」になったので、もういいんですが。
Q:「道化」に大切なことは何ですか?
ジョニー:映画を作るのはサーカスのリングに入っているようなものです。楽しさが出てこないといけない。最大限の注意を払いながら到達するのは、矛盾していますが注意を払う必要のない境地です。開放的で、何でも試すことができる、バカなこともできる。そうやって試行錯誤すれば作品ごとにもっと面白くすることができます。あるシーンを壊したり、直したり。必要なのは信じる心と楽しむことです。
Q:「キモサベ(頼りになる相棒)」ということばについて。
ジョニー:トントが使うとき、最初は悪意はないけれど正直に「ドンくさい兄弟」というような意味合い。それが二人が親密になっていくと、同じ言葉でも良い意味、愛情表現に変わっていきます。
最後はブラッカイマー氏のハリウッド殿堂入りにお祝いのコメントと、ビッグ・スターたちとの仕事についての質問。
ブラッカイマー:これまで一緒に仕事をしてきたジョニーやトムたちがセレモニーに並んでくれてとても嬉しかった。 私は映画が円滑に作られていくよう調整するのが仕事。俳優たちが与えられたキャラをどう解釈し、どう表現していくかは監督の仕事。ゴアは素晴らしい監督で、才能ある俳優たちからたくさん新しいものを引き出してくれました。
40分ほどの会見でした(ところどころ録音が聞き取れない箇所がありました。間違っていたらすみません。ほかのサイトも参考にさせていただきました)。限られた時間の中、ユーモアたっぷりの応答に、たびたび会場が沸きました。 もっと質問したそうな記者も多かったようですが、会見はここまで。
夕方のジャパンプレミア前のレッドカーペットと、六本木ヒルズアリーナでのイベント(撮影:宮崎)にも多くのファンや取材陣が集まりました(公式発表:2000人)。ジャパンプレミア上映会場の舞台挨拶では4人が揃って「コンバンハ!」と日本語で挨拶。アーミーが一度やってみたかったという「ウェーブ」を観客と成功させ、和やかにイベントは全て終了しました。
(会見取材・まとめ:白石)
作品紹介はこちら >> http://www.cinemajournal.net/review/index.html#lone_ranger