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女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
(1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。

『はちみつ色のユン』初日舞台挨拶

2012/12/22(Sat)


ポレポレ東中野でおこなわれた『はちみつ色のユン』の初日舞台挨拶に行ってきました。

この作品は、韓国からベルギーに国際養子で渡ったユン監督の自伝的作品で、ユン監督が描いたアニメーションと、実映像をドッキングさせた「アニメーション×ドキュメンタリー」の作品です。
孤児のユンは、ベルギーの家族と養子縁組をしてベルギーに渡りました。その家族にはすでに4人の実子がいて、兄弟姉妹や両親とも、わけ隔てなく育っていくのですが、思春期になり、自身のアイデンティティ、自分は何者なのかということに悩んでいきます。
そんな中でユンは絵を描くことに目覚め、画才を発揮するようになります。

作品の詳細はシネマジャーナルHP作品紹介をごらんください。
http://www.cinemajournal.net/review/index.html#jung

舞台挨拶でのユン監督の話

撮影:宮崎
ユン監督

コンニチワ(日本語)。
日本語があまりうまくないのでフランス語で話させてもらいます。
これからご覧いただくのは、『はちみつ色のユン』という漫画原作から考案された作品で、養子に関しての話です。私は韓国で生まれて、5歳の時にベルギーのある家族の養子になりました。この物語は文化的な交配とか、人種の異なる人々との交流とか、母性愛を描いたものです。
この物語は、私の自伝的な物語で、私の子供時代、思春期を対象としています。異なるアイデンティティ、複数のアイデンティティを受け入れていくまでの物語です。
今、私は日本にいますが、この物語の中で、日本というのが重要なファクターになっています。というのは自分のアイデンティティとか、私自身を構成していく過程を描いていまして、その中で日本とのかかわりというのが大変重要な要素になっています。
それではどうぞお楽しみください。ありがとうございます。


*********

韓国では朝鮮戦争後、たくさんの孤児が残り、ベトナム戦争後も米兵と韓国女性の間の混血児もたくさん生まれ、孤児院や施設に預けられたそうです。それらの子供たちが、国際養子縁組で海外に20万人も渡ったと、この作品で語られていてびっくりしました。
また、自分はどういう存在なんだろうと考える中で、日本の文化に傾倒し「日本人になりたい」という思いを描くようにもなったようです。そして日本的な絵をたくさん描いています。

エンディングで歌われる主題歌「Roots」は、ユン監督の娘リトルコメットが歌っています。彼女が13歳で作詞、作曲し、16歳の時に様々なパートを加えアレンジした曲です。彼女は現在17歳とのこと。 この歌がとても良かったので、詞の一部を記してみます。

あなたはどこから来たの?
なんて答える?
ふたつの文化
ふたりのお母さん
ふたつの国
ふたつあるあなたの魂
今あなたはもっと違う世界を見ようとしてる

中略

頭の中ですべてが混ざり合って
混乱しちゃうでしょ?
でも立ち止まっちゃだめ
あきらめちゃだめ
あなたなら 見つけられる
大夫丈
あとは進むだけよ 自分を信じて

ユン監督は1965年ソウル生まれ、1971年にベルギーに渡りました。そこで暮らすうちにフランス後を覚え、韓国語を忘れてしまったそうです。
舞台挨拶で監督が流暢なフランス語を話していて、思い出したことがあります。2009年の第22回東京国際映画祭でアジア映画賞を受賞した『冬の小鳥』(映画祭時は『旅人』というタイトル)のウニー・ルコント監督が、授賞式で話したときにフランス語だったのでびっくりした覚えがあります。私は作品を観ていなかったので、なぜ韓国人がフランス語?と思ったのです。
この作品も、韓国からフランスに養子として渡ったルコント監督の自伝的作品でしたが、ルコント監督も「韓国語を忘れてしまい話せないので、フランス語で話させてもらいます」と言っていたのが印象的でした。

撮影:宮崎 撮影:宮崎
ウニー・ルコント監督 2009.10.25
左:グリーンカーペット    右:最優秀アジア映画賞受賞

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(取材・写真:宮崎暁美)
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