口コミでひろがったドキュメンタリー映画がいま中高年の心を捉えている。116分の作品だが、あきない。べたべた泣くところも、押し付けがましいところもなく、観たあと実にさわやか! 若い女性もいたいた。おーい、日本中のみんな、織姫みたいにがんばろう!
Q この作品にはステキな女性たち!がでてきますが、彼女達との出会いはどのように?
まず、リーダーの大河内さんとは立川周辺に住む外国人のためのボランティア活動で知り合いまし た。その後、取材申し込みをしてから泳ぐ仲間を紹介されたのです。
Q 水着姿とか、とても自然に撮影されていますが、どのように信頼関係をつくっていったのですか。
カメラでチームを追いかけたいと申し込み、1週間後にOKをもらった時点で当然水着姿になるのも受け入れられたのだと思います。
私の撮影スタンスは、取材以外一切私的お付き合いしない方針なので、みなさんから飲み会や食事会などのお誘いがあっても断っていました。財政的にも現地では同じホテルということも考えられましたが、かなり離れた場所からレンタカーで通って取材を続けました。
信頼関係は、その姿をみて気持ちが本物なんだとおもわれて、できたようです。
Q 長年、TVの幼児番組などの演出をされていたそうですが、彼女達のチャレンジを自分でつくろうと思った動機は?
会社勤めをしていたときは会社の意向、スポンサーがついているときはスポンサー意向、委託演出のときはプロダクションの意向・・と好き勝手にはできないものですよね。一度でいいから自分で自分の思ったように作ってみたかったのです。その気持ちと素材への私の興味の針がうまく重なった、ということでしょうか。
Q 自主製作で一番、大変だったのは?
資金が潤沢ではないので、最小限にいろいろ抑えることでした。泳ぐ本番はイギリスですし、それもいつ泳ぐかわかりませんから、もともと撮影クルーを頼んだら莫大な金額になる、などなど。
Q カメラもご自分で回されたのですか?どのようなカメラで撮影されましたか?
最初から最後まで自分で回しました。絶対2つのカメラが必要なとき、ドーバー本番のときは船に、以前一緒に働いていた関大輔さん(4年前のぴあフィルムフェスティバルのグランプリ映画『あるべらえず・うんべると-消え入ぬように-』の監督)にボランティアで参加してもらいました。カメラは過去の映像はソニーのPDX10、ドーバー本番絡みのカメラは家庭用ソニーHDCAMカメラです。
Q チラシをみると、字が大きく、ゴタゴタ書いてなくて、思わず見たくなるようなセンスを感じますが、これもご自分で?
はい。レイアウトは私のアイデアで、作業はボランティアのアニメーターにお願いしました。
Q 9月10日からいよいよアップリンクで公開されますが、どのような人たちに見ていただきたいですか。
中高年に特化せず、男女を問わず、幅広い年齢層の人に観てもらいたいと思っています。でも、中高年が多くなるのでしょうね。
Q 今後の上映展開について
全国に持っていって観てもらいたいです。
来年は東日本大震災の被災者のかたに観てもらいたい。(無料です)
Q これからの作品予定は?
今はこの作品でてんやわんや状態です。もちろん次回作も考えていますが、資金をどうするかとか、自主でやるなら、本当に自分の気持ちが揺さぶられないと・・というところでしょうか。
Q 最後に、アピールしたいことがありましたらどうぞ!
ドーバー海峡を泳ぐのは人生そのもののような気がしました。一かき一かき前進しなければ対岸(人の死)には行き着けません。そのために自分をたかめ、努力し、他者からの信頼と協力得る。そして自然に身をまかせる。編集をしながらそんなことを考えていました。
家族やヘルパーさんたちの協力なくしてこの作品を完成させることはできませんでした。
(取材 出海)