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女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
(1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。
『作戦 The Scam』

『作戦 The Scam』イ・ホジェ監督&パク・ヨンハ 来日記者会見報告

イ・ホジェ監督&パク・ヨンハ

2010年1月26日(火)
於 九段会館 真珠の間

パク・ヨンハが7年ぶりに映画出演した『作戦 The Scam』は、彼にとって映画初主演作。日本では、昨年11月、『韓流シネマフェスティバル2009 約束~YakuSok~』でお披露目の後、1月16日よりシネマート六本木・心斎橋他で全国順次公開されています。1月26日(火)九段会館大ホールで、イ・ホジェ監督とパク・ヨンハの舞台挨拶付きプレミア上映会が行われ、その合間に記者会見が開かれました。

『作戦』ポスター
『作戦』ポスター

*ストーリー*

これまでの惨めな人生と決別するため、株で一発逆転を狙ったカン・ヒョンスだが、その結果は惨敗。借金まみれの生活となってしまう。この悔しさを梃に独学で相場を学び続けたヒョンスは数年後、プロの個人投資家となっていた。
 ある日、ヒョンスは仕手株の一味を見つけ出し、一攫千金を手にする。しかし、運が悪いことに、ヒョンスが手を出した仕手株はヤクザあがりのファン・ジョングが仕掛けたものだった。ヒョンスは袋叩きにされるが、同時にその腕を買われ、国を揺るがすこととなる巨額の仕手戦に参加することになる。そこにはジョングを始め、エグゼクティブたちの資産を管理するユ・ソヨン、仕手株界のエース チョ・ミンヒョン、この作戦の発案者である大株主 パク・チャンジュと最高のメンバーが揃っていた。

『韓流シネマフェスティバル2009 約束~YakuSok~』HPより



*イ・ホジェ(監督/脚本)
1973年1月3日生まれ 37歳

アメリカArt Center College of Design (Pasadena Bachelor Degree of Fine Art Film Department)で映画演出を専攻し、在学中に第1回アシアナ国際短編映画祭やNewport Beach Film Festival(米)等、国内外の短編映画祭に出品して実力を認められた。 シナリオを完成させるまでの取材に2年を費やしたという『作戦 The Scam』は長編デビュー作。これまでの韓国映画には見られなかった斬新なスタイルが高く評価され、2009年11月に発表された韓国のアカデミー賞といわれる大鐘賞を受賞している。


パク・ヨンハ

*パク・ヨンハ(主人公ヒョンス役)
1977年8月12日生まれ 32歳

1994年にドラマデビュー。バラエティからシリアスドラマまでこなす演技派俳優で、この『作戦 The Scam』が映画初主演となる。本作では、韓流スターのイメージを捨て、髪型から服装まで冴えない男になりきった迫真の演技をみせている。
歌手としても活躍する彼は、本作でもエンディング曲「MONEY」を熱唱している。


***************


「冬のソナタ」のサンヒョク役の後、歌手としても日本ですっかりお馴染みになったパク・ヨンハ。一方、本作が長編初監督作品で初来日のイ・ホジェ監督。プレミア上映会での、この日2回目の舞台挨拶を終えて二人揃って登壇しました。とりわけ監督の嬉しそうな顔が印象的でした。

◎司会の田代親世さんより代表質問

◆50%はいつも着ている服で素の姿を心がけた

パク・ヨンハ
パク・ヨンハ

田代: ヨンハさん、久しぶりの映画出演の現場はいかがでしたか? また出演を決めたのは?

ヨンハ:(真面目な面持ちで)ドラマがメインだったので、映画の現場に慣れるまでちょっと時間がかかりました。本作を選んだのは、キャラクターが気に入ったからです。明るくてテンポが早くて面白くて、株は知らなかったのですが、シナリオをあっという間に読み終えました。

田代: 株で一発逆転を狙う人物ですが、どんな役作りを?

ヨンハ:前半のキャラクターが重要でした。監督と話して、自分でも悩みながら、普段の自分を反映しようと決めました。ですので、着ている服も、50%は自分が家で着ていたものです。芝居に見せないナチュラルな演技が難しかったです。後半は、これまでの演技経験が生かせるものでした。

イ・ホジェ監督とパク・ヨンハ
イ・ホジェ監督とパク・ヨンハ

田代: 監督に伺います。この作品を作ろうと思ったきっかけは?

監督:初監督作品で株を扱うと決めていたわけではなく、犯罪で一発逆転を狙うものにしたかったのです。証券会社に勤めている友達が、株価で一発逆転する話を教えてくれました。株を全く知らなかった人が巻き込まれるという流れは、自分が株を知らなかったという経験をそのまま取り入れました。

◆いたずらっ子ヨンハを演出

田代: パク・ヨンハのイメージが違って驚いた方もいると思います。監督は演出する上で意図されたことは?

監督:主人公は平凡なキャラなのですが、好奇心が強くて、悔しい人生を歩いている感じを出してもらいました。ヨンハは優しくて親切でジェントルなイメージですが、いたずら少年的な演技も出来るのではと思いました。これまで誰も見つけてなかった部分を見出したと思っています。ヨンハ自身、変化を求めていた時期でした。
(ヨンハ、監督の言葉を聞きながら、ちょっと笑ったり、頷いたり)

嬉しそうな監督と、いたずらっ子ヨンハ
嬉しそうな監督と、いたずらっ子ヨンハ

田代: ヨンハさんは監督と仕事していかがでしたか?

ヨンハ:監督とは撮影していた時も、終ってからもいい関係です。兄貴のような存在で、親しい監督が出来たと自慢できるのが嬉しいです。(監督、嬉しそうに水を飲み、ヨンハの顔を見ながら照れ笑い) 現場の雰囲気ですが、皆がいたずらをしかけるので 監督は辛かったと思います。私たちが笑いをこらえられなくて、監督が「笑いはここまでにして演技を!」と言うことが多かったです。監督にたくさんいたずらをしたのが思い出です。
(笑って答えるヨンハの言葉に、監督は真面目な顔だけど、ちょっと嬉しそう!)

監督:(思わずマイクを取って、早口で語ります。)こういう風に言われると、まるで私が現場でいじめられっ子のようですね。初めての監督で緊張していましたが、ベテランの俳優が現場の雰囲気をリードしてくれて、新人監督の私も無難に撮影を終えることができました。

◎会場から質疑応答

◆とことんリアルにこだわって地面に埋めてもらった!

― 映画面白かったです。カッコいいイメージでなく、駄目な感じがヨンハさんの別の面が出ていました。地面に埋められるシーンでは情けなく写っていましたが、情けない男性を演じていかがでしたか?

ヨンハ:埋められそうになったシーンは2回撮影しました。1回目は監督の配慮で埋められるまではいかないで楽に撮影を終えました。2回目は私の要請で思い切り切実に情けない感じを出したいと。自分は適当にやろうということはしない主義ですので、よりリアルにと思いました。でも、映像を見てみたら、もっともっと深く埋められるべきだったと思いました。

田代:監督、ハードな場面にしようと言われて、いかがでしたか?

監督:私はこれ位でOKと思っていたのに、一緒にモニタリングしているうちに、ヨンハから物足りないと言われました。監督としては肉体的に辛い撮り方は、こちらからはお願いできない。ヨンハから言ってくれて嬉しかった。そういうところが今のヨンハを作っているのではと思います。(ヨンハ、くすっと笑っている)

◆真面目に“いたずら”を語るヨンハ 自分で苦笑

― どんないたずらをしたのか具体的に教えてください。監督も、面白いエピソードがあればよろしくお願いします。

監督: レストランで注文する場面で、大吟醸の発音がしにくくて、NG連発でした。(ヨンハ爆笑)8回9回撮り直しました。共演俳優が皆親しくなって欲しいと思っていたのですが、親しくなりすぎて・・・

ヨンハ:(監督を見ながら)いたずらをさっきも舞台挨拶の時に仕掛けてきたばかりです。監督が大鐘賞の新人監督賞を受賞されたので、お祝いで1曲歌ってくださいとお願いしたら、いきなり言われたので、監督がおろおろしてしまって・・・ 面白い話のはずなのですが、通訳を介するとすぐに笑って貰えないから、やめておけばよかった!

パク・ヨンハ
パク・ヨンハ

◆大金を手にしたら・・・ 島の王様になるヨンハ 入りを気にせず映画を作る監督

― 何かに当って大金が手に入ったら、何がしたいですか?

ヨンハ:(ちょっと考えて、わーぉ!と笑って)一生働かなくていい位のお金が入ったら、島を丸ごと一つ買いたいと思います。私の王国を作って王様になります。(笑)

監督:くじに当たったら夢のプランがあるかと思いますが、私は、大金を持っていることを知られたくないので、今までの生活を続けます。観客がどれくらい入ったかを気にせず映画を作り続けていきます。(ヨンハ、聞きながら爆笑)

ヨンハ:面白く話すのか、真面目に話すのか、どちらかにしてください!(と、つっこむ。) 

― ヨンハさんは新しい姿を見せたとおっしゃっていましたが、まだ見せてない、これから見せたい部分は?

ヨンハ:監督はまた戸惑いを見せてますね。(ヨンハ、水のボトルを手にしながら語る)
日本でもアメリカでも俳優なら皆同じことを考えると思います。それは、ヨンハでない誰かに変身すること。様々な作品を通じて変身した姿を見せたいです。俳優として安定したイメージでなく、色々な姿を見せることに挑戦したいですね。ほんとに変身できているかどうかは、皆さんから評価を得るものです。

監督:ヨンハは演技の幅が広い俳優。その中で新しい部分を見つけて活用するのが監督。いたずらっぽい姿を記者会見でもみていただけたことと思います。

ヨンハ:コメディーをやれということですね!

監督:撮影中も終わってからも感じているのですが、日本のお笑いでつっこみとボケがいますが、ヨンハはつっこみのキャラですね。

ヨンハ:カムサムニダァ (と笑うヨンハでした。)


**★***★**


質疑応答が終って、まずは監督とヨンハの二人でフォトセッション。続いて、ヨンハ一人での撮影が終わると、ヨンハが監督をもう一度ステージに呼び込んで、丁寧に挨拶。監督を敬う様子がとても微笑ましかったです。ヨンハは、ちょっとふっくらした感じでしたが、人づてに聞いた話では、「役作り」だそうです。次はどんな姿を見せてくれるのか楽しみです。


(左)パク・ヨンハひとりのショット
(右)一人のショットが終って、もう一度監督をステージに呼び込んだヨンハ

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『作戦 The Scam』
■シネマート六本木ほかにて絶賛上映中
『作戦 The Scam』 『作戦 The Scam』
© 2008 BIDANGIL PICTURES, SHOWBOX/MEDIAPLEX ALL RIGHTS RESERVED
公式サイト: http://scam-movie.com/

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(取材:景山咲子)
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