今年も香港電影金像奬(香港のアカデミー賞)の時期が近づいてきました。2月11日(水)に香港で記者会見が開かれ、今年のノミネート作品が発表されました。ノミネート作品は以下の通り。
賞項目 | ノミネート |
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作品賞 |
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監督賞 |
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脚本賞 |
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主演男優賞 |
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主演女優賞 |
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助演男優賞 |
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助演女優賞 |
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新人賞 |
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撮影賞 |
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編集賞 |
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美術賞 |
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衣装賞 |
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アクション設計賞 |
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音響効果賞 |
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視覚効果賞 |
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映画音楽賞 |
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映画主題歌賞 |
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新人監督賞 |
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アジア映画賞 |
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やはり今年は『レッドクリフ Part.I』が強く、主演女優賞、新人監督賞、アジア映画賞以外のすべての部門にノミネートされています。それに続いて『畫皮』が12部門、ウィルソン・イップ監督の『葉問』も11部門ノミネート(助演男優賞には2人ノミネート)で大健闘です。しかし、注目すべきは『生きていく日々/天水圍的日與夜』でしょう。去年の東京国際映画祭やアジアフォーカス福岡国際映画祭でも上映されましたが、地味ながらもアン・ホイ監督の円熟を感じられる大変素晴らしい作品です。作品、監督、脚本、主演女優、助演女優、新人賞といった主要6部門にノミネートされています。
『畫皮』と『葉問』は日本未公開。『畫皮』は古装の怪奇ファンタジーで、美しい女性に化けた妖怪と武将とその妻の愛憎劇。ジョウ・シュン(周迅)、チェン・クン(陳坤)、ヴィッキー・チャオ(趙薇)の豪華キャストです。一方、『葉問』はブルース・リーの師匠でもある武術家・葉問(イップ・マン)の半生を描いた作品。葉問を演じるのはドニー・イェン(甄子丹)です。
主演男優賞の注目はルイス・クー(古天楽)とニック・チョン(張家輝)、そしてドニー・イェン(甄子丹)の初ノミネート。ルイス・クーとニック・チョンは、近年ジョニー・トー作品に立て続けに出演し、その一方でアクション、コメディ、ラブロマンスものと、なんでもござれでこなす俳優に成長し、その演技力が注目されてきました。2人ともこれまでに助演男優賞へのノミネートはありましたが、主演男優賞は初めて。本人もファンも嬉しいことでしょう。ドニー・イェンはベテランですが、演技者としてノミネートされるのは第12回『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地大乱』での助演男優賞以来となり、主演は初めてです。これら3人の初ノミネートに、トニー・レオン(梁朝偉)とサイモン・ヤム(任達華)がレースに加わります。サイモン・ヤムはこれまでに助演男優賞に4度、主演男優賞3度ノミネートされていますが、いずれも受賞できていません。今回、4度目の正直なるでしょうか? トニー・レオンはすでに5度も最優秀主演男優賞を受賞しているので、今回は遠慮してもらって(ファンの方には失礼ですが・・・)、初受賞者の喜ぶ顔が見たいものです。
映画音楽賞には何と日本人作曲家が3人もノミネートされています。岩代太郎さん、川井憲次さんはおなじみですが、藤原いくろうさんはご存じでしょうか? 初めはポップスの分野でお仕事をされていましたが、徐々にクラシックの分野にも活躍の場を広げて来られた方です。ピアニストとしてソロアルバムも出しています。映画音楽は『69』(李相日:監督) 『同じ月を見ている』(深作健太:監督)などを手がけ、これから日本公開の映画では『ヤッターマン』(三池崇史:監督)、『ニセ札』(木村祐一:監督)の音楽も担当されています。最近は香港の大作映画の陰に日本人音楽家ありといった風情があります。
授賞式は4月19日(日)に香港文化センターにて行われます。