日本でも映画『ピンポン』などでおなじみの香港俳優サム・リーが、『ドッグ・バイト・ドッグ』の初日舞台挨拶のために来日した。日本語が少しだけ話せる彼は、質問にも日本語を交えながら応えるなど、サービス精神旺盛ぶりを発揮し、満場のファンを喜ばせた。
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※カタカナ表示は、サムが日本語でいった言葉。
Q:まずは一言ご挨拶をお願いします。
A:オハヨウゴジャイマス。オヒサシブリデス。アノ〜ハラヘッタ。ゴハンイキマショウ。サンキュー。
※ 場内からは笑いと喝采の拍手。
Q:来日は何回目ぐらいですか?
A:オボエテナイヨ。前回に来たのは3年前です。
Q:日本はいかがですか?
A:アツイネ、スゴイアツイネ。
Q:ライ役の印象をお聞かせください。
A:最初に脚本を読んだ時は、自分は当然殺し屋の役をやると思っていたのですが、監督と相談した時に「君が殺し屋を演じても観客は当たり前と見てしまうから、今回は刑事を演じてほしい。」といわれました。殺し屋を演じたかったのはセリフがほとんどなく、表情芝居とボディランゲージで演技をしなければいけないので、かなり難しい役だと思ったからです。でも実際に演じてみると、実は内面芝居の多い刑事の方が大変でした。
Q:実際に役作りをする上で工夫なさったことはありますか?
A:脚本をもらってからは、今までの映画ではないぐらいに何度も読み返したり、役作りをいろいろと考えました。また撮影現場では監督と、どういう感じの刑事にすればいいのかということも話し合いました。今までの映画でも真面目にやりましたが、今回は特に真面目にやった、苦労した映画です。あと、撮影の時は眠れませんでした。毎日朝5時に撮影が始まって、終わった後は夜中の3時ぐらいまで脚本を読み返して、少し寝ようかとウトウトッとしたところで電話が鳴って、「はい、現場に行きます」という連絡が入るんです。だからほとんど寝ていない状態でフラフラだったんですね。でも実は、監督は寝ていない状態の芝居がほしかったそうなので、ちょうどよかったみたいです。
Q:今回はエディソン・チャンさんと共演でしたが、共演は何回目ぐらいになるのでしょうか?
A:サンカイ(3回)
Q:今回の作品での共演はいかがでしたか?
A:今までの共演作はわりとライトな感じの作品だったので、撮影の合間に冗談を言い合ったり、撮影が終わってからも一緒にご飯を食べに行ったり飲みに行ったりしました。でも今回はシリアスな映画なので、撮影が終わるとエディソンは自分のテンションを維持するためにさっさと自分の車に戻るし、僕も次の芝居をどういう風に演じるかということを考えたかったので、ほとんど会話がなかった状態でした。でも今回の共演でエディソンがかなり成熟して大人になって、芝居もかなり上手くなったと思いました。
Q:この映画で是非ここを観てほしいとか、サムさんのお気に入りのシーンを教えてください。
A:一番気に入っているのはゴミ捨て場のシーンです。バンコクから車で2時間もかかる郊外で、サッカー場が3つ入るぐらいの大きなところで撮影をしました。ゴミがワインのように10年もの、5年もの、新しいゴミとかいろいろあったんですが(クサイネ〜)、景色がゴミなのに撮った感じがすごくきれいに見えるのが不思議でした。それから映画の始まりの部分で、ゴミ捨て場で子供たちが犬と一緒に物を拾って食べているというシーンがありますが、あれは実際にそういうことがあるんです。その子供たちの表情とかをよく観ていただきたいと思います。
Q:最後にメッセージをお願いします。
A:エ〜、ミナサンハ、アイタカッタヨ。オツカレサマデス。
『ドッグ・バイト・ドッグ』
新宿武蔵野館にて公開中、順次全国ロードショー
監督:ソイ・チェン
出演:エディソン・チャン、サム・リー
2006年/香港/35mm/カラー/ビスタ/ドルビーデジタル/108分/R-15
配給・宣伝:アートポート
©2006 Art Port Inc.,ALL RIGHTS RESERVED
<取材後記>
22歳で『メイド・イン・ホンコン』でデビューしたサムも、もう31歳。すっかり大人になった…と思いきや、親しみやすい笑顔は相変わらずでやっぱりちょっと三枚目で、なんだか安心しました(笑)。
最後の写真撮影では映画のパネルを自ら持ち、いろいろとポーズを変えてサービス。右記写真は、両足を柵にかけてムービーカメラに向かって手を振っています。
『ドッグ・バイト・ドッグ』では、常に苦悩しているライ役を好演し、彼の俳優としての可能性を益々感じさせる作品です。今後は主役も脇役もできる、香港映画になくてはならない存在になっていく人でしょう。これからのサム・リーに期待大です。