香港、日本、タイ、それぞれの国を舞台にしたオムニバスホラー映画『BLACK NIGHT<ブラックナイト>』の公開に合わせ、香港編主演のディラン・クォ(郭品超)さん、日本編主演の柏原崇さんが記者会見、完成披露試写会に出席しました。この映画は今年4月に行われた香港映画祭で上映されています。
ディランさんは「台湾の速水もこみち」との異名を取るモデル出身の俳優で29歳。柏原さんも同じく29歳で、2人は香港映画祭で初顔合わせをして以来、すっかり意気投合したようです。
柏原崇(以下K)、ディラン・クォ(以下D)
Q 映画について
K : 香港、日本、タイとそれぞれに怖さが違うと思います。一部CGがあるので、何もないところで驚いたりするのが難しかったです。それから打ち合わせたわけではないのに、3作品ともに水で怖さのイメージを出していたのには驚きましたね。香港映画祭では香港の観客と一緒に観たんですが、香港編のクライマックスで香港の観客は大笑いするんです。なぜかと聞いたら「あんなことはありえない」というんですよ。日本人が見たら怖いと思うんですけどねえ…怖さのツボが違うんだなと少しショックでした(笑)。
D : 僕の出演した香港編は若い人たちの恋愛を描いていて、付き合っているときはいろいろな約束をしてしまいがちだと思うんですが、できない約束はしない方がいい、自分の言葉に責任を持つというストーリーです。
Q お互いの印象は?
K : 見てのとおり「もこみち」だなと(笑)。初めて会った日に一緒に食事をしたんですけど、言葉のコミュニケーションが取れないのがすごく残念っていってくれて…それをこの目にジッと見つめながらいわれるとやられちゃって…あっホモじゃないですよ!(場内爆笑)
D : 僕も!(また場内爆笑) 僕は柏原さんのドラマが台湾でも放送されているのを昔から見ていました。かっこいい人だと思っていましたが、実際にお会いするとかっこいい上にやさしいし、本当にお会いできてうれしかったです。
Q この映画では「女性の怖さ」がテーマになっていると思いますが、実際に「女性って怖いな」と思われたことはありますか?
K : それは深い意味はあるんですか(笑)? 女性っていうのは男より繊細で図太くて強い…男は弱いなあと思うんですけど…
D : 答えには気をつけた方がいいですよ!
K : ねっ?いい男でしょう〜(笑)?
D : 僕は小さい頃から女性はいつも楽しくリラックスしていてほしいと思っているので、女性がそういう気持ちでいられるようにしてきました。だから女性が怖いと思ったことは一度もありません。
Q イマイチなもこみちさんがドリンクを飲むとイケメンのもこみちさんになるという日本のCMがあるのですが、ご存知ですか?
D : もこみちさんは台湾でも知られていて、僕の台湾のHPに彼の写真が貼られたこともあります。そのCMはおもしろいですね。もこみちさんが北海道牛乳を飲んだら僕になったというようなCMはいかがでしょうか?
前日18日に来日したディランさんは、この日に行われたワールドカップの日本対クロアチア戦をテレビで見たそうで、「日本が点を取れなくて残念でした。オシイ(日本語で)」。台湾で有名な日本のサッカー選手は中田英寿選手だそうです。柏原さんは所属しているフットサルのメンバーと一緒にスポーツバーで観戦。最近一番怖かったことは?の問いに「昨日のPK※」とおっしゃっていました。
※ゴールキーパーの川口選手がPKでボールを止めた
会場はディランさん、柏原さんに会いたい!というほとんどが女性ファンで埋め尽くされていました。
2人は記者会見から衣装替えして登場。「ディランです、よろしくお願いします」とディランさんの日本語での挨拶から始まり、場内は歓声に包まれました。
今回の会見、試写会がとても和やかな雰囲気だったのは、この2人のお互いを思いやる気持ちの表れだったと思います(だからホモ説が流れた?)。柏原さんは「僕のことはいいですから、(ディランさんを指し)ね、いい男でしょう?」「2人いたらどっちかがボケなきゃね」等、ディランさんをとても立てていました。ディランさんはプライベートのことを聞かれた柏原さんをかばい、「ダイジョウブデスカ?」(この時、本当に心配そうな顔)と絶妙なタイミングでフォロー。イマイチのもこみちのCMの受け答えといい、彼はとても機転のきく頭のいい人だと思いました。
公式ホームページ http://www.blacknight-movie.com/
香港、日本、タイのそれぞれの国を代表する監督が、自国を舞台に女性を主人公として描いたオムニバスホラー映画。 3話が全く異なるストーリーなので、各国の恐怖の捉え方の違いが楽しめます。
監督:パトリック・レオン 出演:アニー・リウ、ディラン・クォ、レース・ウォン
ミュージシャンになる夢に破れて台湾から香港に戻ってきたイーチェンは、恋人ジョーの態度がよそよそしいことに疑問を感じる。それが隣人ホウシーと関係があることに気づき、彼女の部屋を訪ねたことから思わぬ事実が…。
監督:秋山貴彦 出演:瀬戸朝香、柏原崇、田口トモロヲ
由紀は以前から“黄色い服を来た少年”の悪夢に悩まされていた。その少年が現実にも現れだし、恐怖を覚えた由紀は精神科に通い始めたが、彼女の過去が明らかになるにつれ、また悲劇が繰り返される。
監督:タニット・チッタヌクン 出演:ピッチャナー・サクサゴーン、カチョンサック・ラッタナニサイ
プランはいつも誰かに見られているような恐怖にかられている。ある日、見覚えのない女性からの手紙を受取り、その住所を尋ねてみると、差出人の女性プラウは昨晩亡くなっていた。
ここでは親しみをこめて、「ディラン」と呼ばせていただきます(笑)。
ディランは1977年6月8日台湾生まれの29歳。そして身長は187cm! 19歳からモデル活動を始め、ルイ・ヴィトン、アルマーニなどのショーモデルを経て、03年に『薔薇之恋』でドラマデビュー。04年には『アウトサイダー〜闘魚〜』(現在WOWOWにて放映中)で主役の不良少年を演じ注目を集める一方で、アルバム『我不像我』で歌手デビューも果たしています。05年には香港に招かれ、『雨音にきみを想う』で映画界にも進出します。現在は本木雅弘さんとの共演映画『夜、上海』の撮影中という、これから日本での活躍も期待されている台湾のニュースターです。
モデルの経歴が長いため、29歳にしては俳優としての活動はまだ多くないディラン。
でも『BLACK NIGHT』を見て、彼は写真や会見の時よりも演じているときが一番魅力的だと思いました。少しぎこちないところは否めませんが、それを覆す俳優としてのオーラが彼にはあると思います。目の表情に憂いがあるんですよね。「台湾の速水もこみち」という代名詞も付いてしまいましたが、それで日本で覚えてもらえるというのなら、彼にとってはプラスになるでしょう。
『BLACK NIGHT』では女性に優柔不断な刑事を演じましたが、日本で今年秋に公開予定の『雨音にきみを想う』では、女性に一途な男性を演じています。また違ったディランが楽しめそうですね!
記者会見場のホテルを出る時にちょうどディランと出くわしたのですが、待っていたファンと写真を撮る時にちょっとかがんであげる様子が、とってもほほえましかったです。
柏原さんと郭品超さんが初対面したという香港国際映画祭での『BLACK NIGHT』初上映前の舞台挨拶写真です。左からパトリック・レオン監督、劉心悠、郭品超、黄婉伶、???、瀬戸朝香、柏原崇(写真:梅木)