初日を迎えて満席立ち見も出る大盛況の中、 出演者とスタッフが勢ぞろいしての舞台挨拶が行われました。
お一人ずつのコメントを紹介します。( )内は役名
橋本真也(獅子王 耕太) 愛のほかいろいろなテーマが入っています。 まず映画を観て、 たくさんの思いが込められているのをそれぞれが感じ取って戴きたいと思います。
ソニン(義妹 那美) 映画初出演でしたので緊張しました。 この映画は普通におきないことばかりで、 それをいかに自然に演じるかということに気をつけました。 愛するが故に橋本さんに噛み付くというシーンがあるんですが、 ワンカットで撮ったので一番集中力を使いました。(橋本:まだ傷跡が残ってます ソニン:え、嘘っ!)
瞬きができないくらい、 ポンポンポンといろんなことが起こるエンターテインメント性のある映画です。 みなさん楽しんでください。
佐野史郎(山路直人) (今回一番大事な役柄だったと司会に言われ) あ、そう?
プロデューサーという役なので、 日ごろ会うあの人この人を組み合わせて作ってみました。 がなりさん、テリーさんお二人から毒の強いところを戴きました。
この映画最初からあやしいんですよね(笑)。 ほんとに映画撮るのかな? 映画を撮るっていうメイキングを作りたいんじゃないかなと思っていました。 案の定、異常な数のメイキングが回っていて(笑)。そういうことはあったんですが、 まあ映画の世界も100年でフィルムからデジタルに変わり、 インターネットシネマもあったりと、今すごく大きな変わり目を迎えています。 立ち上がり方も当然いろいろあるんで、この映画も一つのあり方ということで、 最初の第一歩じゃないかなと思っております。
プロレス、マスコミ業界どちらも熟知した方々が作っているので、うそのない、多少誇張はあるかもしれないけど、いや現実のほうがもっとすごいことがありますかね。 その辺をじっくりご覧いただければと思います。
ラーメンズ 片桐仁(織田) 役が気に入ってますかって(笑)? 大丈夫かなと思ったときには映画終わっていました。佐野さんも言ってましたけど、 この映画ほんとにあやしいんですよ。(佐野:ねっ)僕は前の人がドタキャンして急に、3日前に決まったんですが、本読みのときにみなさんすごく慣れてて、僕のためにみなさんやり直してくれてるのかなと。(佐野:そんなことない)ないんですよね。そんな空気だったんですよ。徐々にあったまっていって「気に入ってます!」
粟田麗(獅子王 麻美) この作品では途中から人魚になってしまうという、普通ありえない役をやらせていただきました。最初人魚の役といわれたときに、ファンタジックでメルヘンチックな、貝の中に入っているようなのを想像していました。 監督にお会いしたとき人魚の絵を見せられたんです。それが目が点になってしまうくらいグロテスクで、この映画ホラーだったのかと思うくらい。これは覚悟しなきゃと思いました。観てる方、蕁麻疹とかおこさないように薬飲んでおいたほうがいいかもしれない(笑)。リアルな演技をしようと思ってお魚屋さんに行ってお魚を研究しました。この際「ぴちぴち」を極めようと(笑)。
初日は糊みたいなので貼り付ける特殊メイクに5,6時間もかかったんです。水槽に入ってる場面は特殊メイクをしたまま17時間くらいかかりました。トイレも行けないし、ご飯食べるときもすごく苦労して、運ばれるときはいつも担架なんですよ。それがいちばんきつかったですね。
ニコラス・ペタス(マーク・一条) おはようございます。 今回僕のセリフは全部英語でした。映画は初めてだったので色々自分をアピールしてみたかったんですけど、監督さんといろいろ打ち合わせしているうちに「英語で言ってみ」といわれ、それで決まってしまいました。橋本さんとお互いにいろいろ練習しました。
柳浩太郎(徹) オーディションのとき、プロレスの映画だよと言われてアクション系ということは知っていました。演技はあまりできなかったんですが、だんだん好きになりました。頑張りました。
(見所はと聞かれ)あのー、えー??(大事なことを)言っていいんですか?(司会 だめです)
谷垣健治アクション監督 「ワイヤーを“いかにもワイヤー”という感じでやってください」と言われたんです。僕らとしては、ばれないようにぎりぎりでやるので、どうしたらいいかと思ったんですが。高橋さん的には「そんなのはプロのやることじゃないと思ってるでしょ、でもお客さんが観たいことをやるのがプロだよ。間抜けにやってくれ」って。久保監督と話したら「好きなようにやったらいいんじゃない」。結局自分の好きなようにやりました。
久保直樹監督 撮影中に10kgもやせました。一番大変だったのは総合演出がテリー伊藤さんで、プロデューサーが高橋がなりさん、打ち合わせを3人そろってやらないで、なぜか別々に僕を呼ぶんです。伊藤2人のところを行ったり来たりして打ち合わせをして最終的にこの形にまとめたんですが、去年1年間「日本で一番不幸な監督」は自分じゃないかと思っていました。(笑)
高橋がなりエグゼクティブ・プロデューサー 僕の中で映画っていうものにコンプレックスがあって、今まで観てきたような日本映画を作りたいって気持ちがあったんです。しかし、テリーも久保も僕もバラエティ番組をやってきた人間です。この映画は目線を変えていただきまして、TVのバラエティ番組なんだって見て貰いたい。バラエティは一人一人のキャラを浮き上がらせるっていうのが一番の基本です。映画では、それがプラスなのかマイナスなのかわかりませんが。今並んでる出演者の方々、全部キャラが立っています。テレビ屋としては新しい映画が作れたんじゃないかと自負しております。その辺を中心に観ると喜んでいただけるんではないかと思います。
あと私は映画の世界に入るときに仁義を切らなかったもので、かなりいじめられるっていうか、当たり前なんですけども公開先が決まらなくて時間がたってしまいました。僕としてはミラノ座のほうで(笑)やりたかったんですけども、かえってこちらが良かったですね。
段取りが悪くてこういう形になってしまったことを、出演者の皆様と観客の皆様におわびさせていただきます。申し訳ございませんでした。捨てる神あれば拾う神ありで、12月25日から宇都宮のムービックスで2週間、お正月映画として上映です。応援してください。
このあと囲み取材があり、子役も参加しての撮影が行われました。
Q なかなか公開が決まらなかったことで不安がなかったか
橋本 僕が主演だったからこうなったんじゃないかと、 自分に対して不安でした。でもこれだけのキャストがでているし、 がなりさんの型破りのやり方が好きなんです。 ビデオ(スルー)にならず、こうして公開されて良かったです。
ソニン がなりさんだから、絶対公開されると信じていました。
粟田 ここまでみなさんと力を合わせて作ったので、 きちんと何かの形では出る、公開されると思っていました。
佐野 俳優の仕事は出演することで、僕はこれが70数本目になりますが、 1本もお蔵になったものはないんで不安はなかったです。
ペタス いや、全然。
高橋 劇場については他にも候補はあったんですが、 新宿でやりたいという思い入れがありました。
Q プロレスを題材にした映画に出演した感想は
橋本 これが新しいプロレスなのか、 自分が思ってるものと全然違ったので仕事をさせてもらって良かったです。
ソニン この映画に出るのは私個人が決めたんじゃなくて、 決まっていたんです。こうして参加してこれだけ話題になり、 現場もすごく楽しかったので良かった。
粟田 普通の芝居ではめぐりあえない役ができて嬉しかったです。
ペタス ラブストーリーを強く感じる、 その中にアクションもあるという映画。
柳 けっこうえぐいなぁと思いました。
谷垣 橋本真也をそのままやるのは面白くないんで、 違う感じでやってという話がありました。プロレスかどうかっていうより、 肉弾戦というか汗が感じられるようなのにしました。 そういう意味ではいいのができたと思います。
高橋 アイドルがワイヤーアクションをするのは絶対面白いはずだし、 橋本さんのプロレスの試合で見られないものを出したかった。 普通観られないもの、それが映画だと思っています。
音がうまく拾えず、全部の採録はできませんでした。すみません。
映画を初めて観たとき「うひゃー」と思いましたが、高橋プロデューサーの 「バラエティ番組」ということばで納得できました。 妙なパワーのある映画で、退屈とは無縁です。こういうの好きな人きっといますね。
全く違う方向を目指していた(らしい)テリーさんと高橋さんの間を 行ったりきたりしたという、久保監督に深く同情するものです。 ともあれ公開おめでとうございます。
シネジャ63号に谷垣健治アクション監督のインタビューが載ります。ぜひご覧ください。