2004年6月24日(木)4時〜4時半
昨日の記者会見のときの女の子らしい雰囲気とまた違って、 この日のチー・インさんはちょっとワイルドな印象。 ぎっしり詰まったインタビューに疲れも見せず、こちらの問いに真剣に答えてくれました。
—— 昨日は初めて大きなスクリーンでごらんになったとのことですが、10年前のご自分 の姿をごらんになった感想は?
チ: 自分で何度もビデオで見ていましたが、ビデオで見ているときには自分の演技に細かく目がいっていました。昨日は大きな画面で音楽も迫力があったので、ストーリーに引き込まれました。5作品目の出演作で当時としては満足していました。あらためて見てみると、色々感じましたが、この後の10年間にもこのような役はなかったので、貴重な経験でした。
—— 久しぶりにごらんになって、思い出したエピソードは?
チ: 古い家に入って、ユウ・ヨンさんとたいまつを持ってあちこち廻ったら、二人ともすすだらけになってしまいました。あと、幻想の中で父に切られて階段を落ちるシーンでは、身につけていた血を吹き出させたのですが、まだ寒い時期で、冷たくて冷たくて震えてしまいました。生姜とお砂糖を煮出した飲物を出してくれて嬉しかったのを思い出しました。
—— この10年中国は大きく変化したと思います。10年前といえば、ロケに使ったような 洋館もまだたくさん残っていたと思います。あの洋館はどこの町のものだったのでしょう? 撮影にはセットも使ったのでしょうか?
チ: あの家は上海にある家で、あの一角は今でも古い雰囲気が残っています。開放前には軍隊のものだったのですが、開放後公共のものから民間に売り渡されました。ロケをしたのは、ちょうどその狭間で空家になっていた頃でした。今では、借りるのにかなり費用がかかるのではないかと思います。町並みもすべて本物でセットは使っていません。大きな木が茂っていて、歴史的な地区で、警察に警備を依頼して、人が入らないようにして撮影しました。
—— これまで出演作を4本観ましたが、それぞれ印象が違いました。『危情少女』では お化粧のせいか、ちょっと暗いイメージでしたね。
チ: 『青島アパートの夏』は、まだ若くてあまり芝居になっていませんでしたね。 『愛は波の彼方に』は香港映画ですが、香港映画に出るきっかけになった作品で、その後2本の香港映画に出演しました。『キープクール』は、オーディションでチャン・イーモウ(張芸謀)が選んでくれたのですが、私の普段のイメージがあの主人公のように飛んでいる感じで、役柄にあったのだと思います。どれも私の比較的初期の作品ですが、普段の性格に近いものもあるし、役作りをしなければならないものもあり ました。その中でも、『危情少女』の嵐嵐役は印象深いですね。
—— 出演作を選ぶ基準は?
チ: 台本をいただいたときの第一印象や、所属事務所のアドバイスや、監督さんの前作、投資効果があるかどうかなどを考慮しますが、何よりやっぱり第一印象ですね。
—— これまでに香港映画に3本出演されたとのことですが、中国の映画の現場との違いは?
チ: 基本的には映画作りに対する思いは変わらないと思いますが、香港の方が徹夜が多いですね。20〜30時間平気で撮りつづけますね。体力勝負で、休めるときにはちょっとでも寝るようにして頑張りました。今年の初めに香港で撮ったものは、広東語で全部やらなくてはならず、大変でした。舌も大きくなったような気がします。
—— 映画だけでなく、テレビ、モデル、歌…と、実に幅広く活躍されていますが、どの仕事が一番好きですか? 将来的にどの方面に力を入れたいですか?
チ: 色々やっていますが、最近は歌と映画にしぼっています。その二つが自分にとって広がりがあると感じています。18歳で演劇科を卒業したのですが、実は舞台には一度もたってないんです。
—— ご自分で歌や映画を作りたいという希望はありますか?
チ: 作詞作曲は、自分の思いで進められますので興味がありますね。映画は、大勢の人をまとめていく能力が求められますので、難しいですね。
—— これからどんな作品に出たいですか? 出てみたい監督さんや、共演したい俳優さんは?
チ: 有名無名にかかわらず、才能のある方と一緒に色々挑戦してみたいです。機会があれば、日本でも映画に出演してみたいですね。
—— 最後に、日本の観客にどんなところをみてほしいでしょう?
チ: 完成して9年も経ってしまったのが残念です。できればもっと早く観ていただきたかったですね。もっとも今観ても、もともと時代が古い設定で、いつ頃というのも曖昧にしていますので、新鮮さは落ちていないと思います。最初のカットから惹きこまれることと思います。
—— 私自身はホラーは苦手でどうしようと思ったのですが、音楽が怖いだけで、レトロな雰囲気がよかったです。これまで日本で公開された作品の中のチー・インさんとは、また違ったチー・インさんに多くの方が出会ってほしいですね。 今日はありがとうございました。多謝!
チ:唔該
広東語で多謝とお礼を言ったら、すぐに広東語で返してくれたチー・インさんでした。