女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。

第12回 フランス映画祭横浜2004
〜華麗に軽やかに♪〜

第12回を迎え、すっかり夏到来前の横浜の風物詩となったフランス映画祭横浜が、 パシフィコ横浜をメイン会場に6月16日〜20日の5日間の日程で開催されました。 シネマジャーナル62号(8月中旬発行)で、 詳細を報告していますが、 Web版では本誌に載せ切れなかった写真を中心に映画祭の様子をお届けします。 (ちょっと、ボケた写真もあってすみません!)

  1. オープニングセレモニー
  2. ビバ!アルジェリア特集
  3. ワイルド・サイド
  4. その他作品
  5. クロージング
  6. 会場風景

◆オープニングセレモニー

エマニュエル・ベアールを団長とする約百名の代表団が来日、6月17日のオープニング・セレモニーでは、 監督・俳優が舞台に勢ぞろいして圧巻。

オープニング・セレモニー オープニング・セレモニー
柳楽優弥、是枝裕和

今年のカンヌ映画祭で最優秀男優賞を受賞した柳楽優弥君が是枝監督と共にゲストとして登場。 若きヒーローに会場がどよめきました。

エマニュエル・ベアール、柳楽優弥

カンヌで審査員を務めたベアールにキスされて戸惑う優弥君。

柳楽優弥君

挨拶を求められて、「え?僕が?」と戸惑いながら、立派にスピーチした優弥君。

中田宏市長 中田宏市長

受入側を代表して挨拶に立った中田宏横浜市長。
べアールの魅力にうっとりして、すっかり通訳の存在を忘れてしゃべり過ぎてしまい、 大いに照れる姿が素敵でした。

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◆『ビバ!アルジェリア』

2004年 監督:ナディール・モクネッシュ

ビバ!アルジェリア ポスター

アルジェリアでは、1991年以降テロが横行し、10年間で10万人の市民がテロのために命を落としたといわれる。 本作は、テロがようやくおさまりつつあるアルジェを舞台に描かれている。

パピシャ(ビュウナ)はかつてコパカバーナの売れっ子ダンサー。 今はテロを恐れ、娘グセムと市内のホテル住まい。 ある日グセムは同じホテルに住む高級売春婦フィフィ(ナディア・カシ)の部屋から客の拳銃を持ち出す…。

「生きるのが難しい国だ」という一方「フランス人に頭を下げるのはイヤよ」という言葉も飛び出す。 アルジェの町で生きる女性たちの今を垣間見ることのできる素敵な映画。
3人の女性とともに、アルジェの町自体が4人目の主役と監督が語るように、 海沿いにたたずむアルジェの町の風情が美しい。

◆舞台挨拶&サイン会

舞台挨拶 サイン会

◆大学特別講演会 「アルジェリアの現在」

6月18日(金)慶應義塾大学日吉キャンパス

監督から、アルジェリアの歴史が語られたあと、アルジェリアの国民的歌手ビュウナさんが、 味わいのある歌声を披露してくださった。

大学特別講演会 「アルジェリアの現在」 大学特別講演会 「アルジェリアの現在」

                    部屋いっぱいの人たちを背景に記念撮影

ビュウナ モクネッシュ監督

◆インタビュー

監督、ナディア・カシ、ビュウナの3人に映画のことやアルジェリアへの思いをたっぷりお聴きしました。 是非、本誌をごらんください。

ナディール・モクネッシュ監督
1965年パリ生れ。アルジェリアとフランス双方のパスポートを持つ。
フランスでバカロレアを取った後、渡米して映画を学ぶ。自ら役者として出演もしている。

ナディール・モクネッシュ ナディール・モクネッシュ

ナディア・カシ
ふわっと現れた高級売春婦フィフィ役の彼女は、とても華奢で、魅力溢れる女性。
1993年に国を出て拠点をパリに移す。

ナディア・カシ ナディア・カシ ナディア・カシ

ビュウナ
「今、和菓子を頂いてきたの。美味しいわね〜」と、お饅頭を見せるビュウナさん。
ざっくばらんでパワフル。美空ひばりのような貫禄。 テロの多かった時代もアルジェリアで活動し、 テロのおさまった1999年に初めてフランスに出て、今はフランスとアルジェリアを行き来して活躍している。

ビュウナ ビュウナ

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◆『ワイルドサイド』

2003年  監督:セバスチャン・リフシッツ

トランスセクシャルの街娼ステファニー、ロシアからの不法移民ミハエル、 マグレブ人(★注)の麻薬の売人ジャメル。社会から逸脱した若者3人がパリの一室で暮している。 病に倒れたステファニーの母親を、故郷の北フランスの貧しいが美しい町に連れ帰る3人。 そして母の死…。
★注:マグレブ人 モロッコ・アルジェリア・チュニジア等北アフリカの旧フランス植民地からの移民の総称

リフシッツ監督と主演のステファニー・ミッシュリニを囲むラウンドセッションに参加させていただいた。 フランス映画というと、人生を愛に生きる人たちを描いたものというイメージが強く、 その背景に見えるのは、いかにもの白人社会。監督は、そんなイメージを覆したかったという。 詳細は本誌をごらんください。

セバスチャン・リフシッツ監督

セバスチャン・リフシッツ

ステファニー・ミッシュリニ
監督と「彼」が出会ったことが、この映画をより、リアルなものにしている。

ステファニー・ミッシュリニ ステファニー・ミッシュリニ

サイン会&FMヨコハマ サテライトでのインタビュー風景

サイン会 インタビュー風景 サイン会                 FMヨコハマ サテライトでのインタビュー風景

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◆その他作品

◆『父と息子たち』

2002年  監督:ミシェル・ブージュナ(『レ・ミゼラブル』出演)

『父と息子たち』ポスター

ミシェル・ブージュナ監督とパスカル・エルベ
終始笑いの絶えない舞台挨拶とQ&Aだった。

ミシェル・ブージュナ、パスカル・エルベ ミシェル・ブージュナ、パスカル・エルベ ミシェル・ブージュナ、パスカル・エルベ

     マイクの前に立つ監督の後ろに一列に並んだ一同      監督は、舞台裏でも笑いが絶えない

◆『ワーク・ハード、プレイ・ハード』

監督:ジャン=マルク・ムトゥ

リストラの対象者選定を命じられた青年(ジェレミー・レニエ)の苦悩と恋を描いた作品。
Q&Aで私自身のリストラ経験を元に質問したら、終了後ムトゥ監督から逆インタビューを受けてしまった。

ジェレミー・レニエ ジェレミー・レニエ、ジャン=マルク・ムトゥ

◆『マリアージュ!』

2003年 監督:ヴァレリー・ギニャボデ (写真:右)

ヴァレリー・ギニャボデ

◆『クレールの刺繍』

2003年  監督:エレオノール・フォーシェ

エレオノール・フォーシェ エレオノール・フォーシェ

監督                Q&A

エレオノール・フォーシェ

◆『 ぼくセザール 10歳半 1m39cm』

2002年  監督:リシャール・ベリ

リシャール・ベリ リシャール・ベリ
ジュール・シュトリュク、ジョゼフィーヌ・ベリ

可愛らしい出演者ジュール・シュトリュク(左)とジョゼフィーヌ・ベリ(監督の実の娘)

◆『スターは俺だ!』

2003年  監督:ヤン・モワクス

 ブノワ・ポールヴールド

Q&Aでは、飛び入りでシャンソン歌手の方が一曲       達磨にサインをする ブノワ・ポールヴールド

◆『あなたを待つ人生』

2003年 監督:ティエリー・クリファ

2人の女性の間を迷って行き来する主人公に、Q&Aの開口一番「観ていて腹が立ちました」の声。

パトリック・ブリュエル ティエリー・クリファ パトリック・ブリュエル

パトリック・ブリュエルは、自分だったらこんなことはないかも・・・と弁明。  監督のスピーチ中、舞台に座って、くつろぐゲストたち

『あなたを待つ人生』

◆『世界でいちばん不運で幸せな私』

2002年 監督:ヤン・サミュエル

これまた、笑いの絶えないQ&Aでした!

ヤン・サミュエル ヤン・サミュエル
ヤン・サミュエル ヤン・サミュエル
ヤン・サミュエル

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◆クロージング

超満員の会場に再びベアールが登場し、5日間の映画祭を振り返るセレモニーの開始。 『クレールの刺繍』の女性監督エレオノール・フォーシェが締めくくりの挨拶に立った。

エレオノール・フォーシェ、エマニュエル・ベアール

今回初めて設けられた観客賞の発表。プレゼンターは別所哲也さん。 ベアールも彼もお互い照れながらの発表となった。

別所哲也、エマニュエル・ベアール 別所哲也、エマニュエル・ベアール
別所哲也、エマニュエル・ベアール

観客賞受賞作はリシャール・ベリ監督の『ぼくセザール10歳半1m39cm』。
セザール役のジュール・シトリックと相手役で監督の娘でもあるジョゼフィーヌ・ベリのあどけないカップルが優勝カップをしげしげと眺める姿が微笑ましかった。

観客賞受賞 観客賞受賞
観客賞受賞 ジュール・シュトリュク、ジョゼフィーヌ・ベリ、リシャール・ベリ
観客賞受賞
エマニュエル・ベアール エマニュエル・ベアール
エマニュエル・ベアール

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◆フランス映画祭横浜 会場風景

フランス映画祭横浜 会場風景 フランス映画祭横浜 会場風景
フランス映画祭横浜 会場風景 フランス映画祭横浜 会場風景

公式サイト:http://www.unifrance.jp/yokohama/index.php

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(文:景山、写真:景山・石井)
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