さる9月16日(木)、東京国立近代美術館フィルムセンター小ホールにて、第5回東京フィルメックス開催について記者会見がありました。
コンペティション
2000年から始まった東京フィルメックスも5年目となりました。毎年、作家性重視で選ばれるコンペティション作品上映は、非常に力強く、若い才能に出会える良い機会となっています。またアジア各国から紹介されるこれらの作品には、普通観ることのあまり無い国の作品というのも結構あり、楽しみの一つでもあります。
今年はレバノン、イスラエル、インドからのコンペティション初参加があるそうで、ディレクターの林さん曰く、「最優秀を選ぶのに、相当苦労しそうな、どれも素晴らしい作品」。審査委員長を務めるのは、映画批評家・映像作家のドナルド・リッチーさん。欧米への日本映画の紹介に尽力してきた方で、アメリカ人ですが大変達者な日本語をお話になります。他には映画監督の羽田澄子さん、韓国の女優ムン・ソリさんなど5名が審査員を務めます。
特別招待作品
今年はかなりバラエティに富んだ最新作品がラインナップされています。オープニングには塩田明彦監督の『カナリア』が上映されます。この作品において、去年東京フィルメックスで行われた清水宏監督選集で上映された『港の日本娘』に主演されていて、上映の際には会場まで足を運ばれた井上雪子さんが68年ぶりに映画出演を果たされています。
審査員も務めている羽田澄子監督の最新作『山中常磐』の上映もあります。「山中常磐(やまなかときわ)」という絵巻物を主題としたドキュメンタリーです。
また香港映画ファンは必見の杜[王其]峰(ジョニー・トー)監督作品『柔道龍虎榜』が上映されます。7月に公開された作品で、古天楽(ルイス・クー)、郭富城(アーロン・クォック)などの人気スターが出演しています。
『明日が来なくても』は久しぶりに歌有り、踊り有りのインド映画です。監督はニキル・アドヴァーニ、主演はシャー・ルク・カーン。
そして最後にイスラエルのアモス・ギダイ監督の最新作『プロミス・ランド』。人身売買ネットワークの実態に正面から切り込む内容だそうです。
特集上映 内田吐夢監督選集 映画真剣勝負
去年の清水宏監督の特集に続き、今年は内田吐夢監督の特集上映が行われます。日本映画史上ベスト10に挙げられる『飢餓海峡』をはじめ、ニュー・プリント6本を含む全13作品が上映されます。しかもサイレント作品である『警察官』は、大友良英氏による伴奏付き上映が行われます。会場は東京国立近代美術館フィルムセンター大ホール(注:『警察官』伴奏付き上映は有楽町朝日ホール)ですので、縦4m横9.4mの大変大きなスクリーンでシネマスコープの作品を観られることになり、このような機会はまたと無いと思われます。
特集上映 ガイ・マディン 〜カナダ発 幻惑の映像魔術〜
カナダ大使館との協力で、現代における最も独創的な映画作家の一人として国際的に高く評価されているカナダのガイ・マディン監督の特集上映が行われ、3作品が上映されます。そのうち『ドラキュラ 乙女の日記より』は今年のクロージング上映作品となっています。
特集上映 ボーディ・ガーボル 〜ハンガリーの前衛的鬼才〜
70〜80年代にヨーロッパ映画界で革新的な活動をした鬼才、ハンガリーのボーディ・ガーボル監督を特集し、3作品が上映されます。この特集をするきっかけとなったのは、今回の上映作品の中にもある『ナルシスとプシュケ』に主演したウド・キアー氏が7,8年前に来日した際に、この映画のすごさを熱っぽく語っていたことから始まります。それを聞いたプログラム・ディレクターの市山さんがビデオを観たところ本当に凄い作品だったので、いつか日本でも上映したいと考えて今回ようやく実現したということです。監督自身は既に亡くなられていて、彼が残した3本の長編作品がすべて今回上映されます。これを逃すといつ観られるか分からないというものなので、是非ご覧下さい。上映に併せてウド・キアー氏も来日するかもしれないそうです。
第5回記念特別イベント シンポジウム「国際映画祭を語る」
テレビなどで放映される国際映画祭は、授賞式やレッドカーペットなどの表舞台ばかり。しかし映画のセールスの場としての国際映画祭の真の顔はあまり伝わってきません。今回はパネラーたちにより映画祭で感じたことや参加する意義などが語られます。
パネラーには北野武、是枝裕和、塚本晋也といった有名監督も含まれ、なかなか興味深い話が聞けるのではないかと思います。
チケット情報
前売りはチケットぴあにて11月3日より発売されます。詳しくは公式HPをご覧下さい。
公式サイト >> http://www.filmex.net/
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