人間の戦闘能力を何倍にも高めるが、死に至るほどの副作用を生じる禁断の薬イエロードラゴン。 その抗体を唯一持つ少女をめぐって、中国を舞台に繰り広げられるサスペンス・アクション。 製作・脚本・主演は倉田保昭、アクション監督にフィリップ・コク。 ショウ・ブラザース映画好きなら身を乗り出さずにはいられないツウな組み合わせに、 ゲスト出演がチャーリー・チャンときた。 この倉田コネクションの濃さにまずはニヤリとさせられる。 そして日本刀をカッとかまえる倉田サンのかっこよさ、パワフルな蹴りの美しさ。 もうそれだけでもファン的には十分オーケーである。
客観的に映画全体としてみれば突っ込みどころがかなりあることは否めないが、 「正しいB級ムービー」として、深く考えずに楽しもうではないか。 全編にみなぎる異様に高いテンションと、 オール中国ロケによるちょっとほこりっぽいのどかな風景が、 妙にマッチしてある意味バランスがとれているし、 万里の長城の後ろに故宮があるようなカット割りなども大胆で面白い。音楽もなかなかよかった。
そして倉田サンだけが見所をさらっていくわけではない。若手俳優(宮本真希、照英)が、 体を張ったアクションにいずれも本気で取り組んでいると思われ好感度大。特に、 元ヅカガールとは思えないほど野蛮なヒロインを好演した宮本真希は 日本版猟奇的な彼女といった感じ。演技もしっかりしているし、 痩せてもおらず太ってもいないしなやかなボディラインが、 ハードなアクションに説得力を与えている。化粧が濃すぎるのはちょっともったいないが。 彼女を見出し、起用した人(倉田サンでしょうか?)は目が高い。
『黄龍/イエロードラゴン』は4月5日(土)より銀座シネパトスでロードショー公開されます。
倉田保昭オフィシャルサイト: http://www.fan.hi-ho.ne.jp/kurata/index.html