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女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。

若いパンチを浴びろ!!
第25回 ぴあフィルムフェスティバル

 前々から観たい観たいと思っていた、ぴあフィルムフェスティバルを観る機会に恵まれた。

 今年は25周年ということで作品上映後、監督やキャストを舞台に呼んで、ミニトークをするという初の試みもあった。

 若い新人監督たちの、さて、どんな感性が光るのやら、楽しみだった。

 私が観たのは−
あのコがいねぇ』 『はつこい』 『頭上家族チャビリアーノ』の3作品だった。


『あのコがいねぇ』は、バツグンなカメラセンスで田舎の少年たちの日常を描いたなんともまったりした映画だ。国立大学に通うダサい山ちゃんが好きになった女性は、地元の??1不良(キー坊)の彼女サンディ。

 幼なじみの清ちゃんやホシケン(監督自身が演じている)は、「やめろやめろ」と止めるが、一途な山ちゃんは走り出したら止まらない−。

 山ちゃんをボコボコに殴る??1ワル、キー坊演ずる山中直樹クンは本物のボクサーだそうだ。どおりで殴るシーンの迫力のあったことあったこと・・・。

 監督の次回作はこの山中クンを追ったドキュメンタリーだそうで、こちらも楽しみだ。ほろ苦い青春の一コマを切り取ったような映画だった。

『あのコがいねぇ』公式サイト >> http://www2.odn.ne.jp/anoko/


『はつこい』

 隣の家の奇妙な人々−といったカンジの映画。
主人公のブスで新聞配達員をしている少女を始め、彼女が好きな動物園の清掃員吉田さん。その吉田さんをいじめる母子家庭で育った同僚。新聞屋の店主、カラオケの男(ワタシ、コノ人爆笑!)、少女が昔いじめた同級生などなど・・とにかくヘン!な人満載なのだ。

 とくに圧巻だったのが、主人公の少女と同じ新聞店で働く機関銃のようにしゃべりまくる女の先輩。モテないのに、さも彼氏がいるようなしゃべりっぷりだし、ヒマなのに忙しいフリだし− 挙句の果てに吉田さんに主人公の悪口までも吹き込む、実は??魔性の女??≠ネのだ。でも憎めないんだよなー、このキャラ。(こんな人いません?友達に)

 このヘンな人達を思う存分楽しんで欲しい作品だ。

 ただ惜しむらくは、この作品は、男女1人ずつのW監督なのだが、女性の感性が少し足りなかった事。もし感性が男性に同化してしまっているなら残念だ。せっかく主人公が女の子なんだから、生の女性の声みたいなものが聞こえてきたら、もっと良かったのになあと思う。


『頭上家族チャビリアーノ』

 クレイアニメと実写で綴られた9分間の作品。中年のおやじの薄くなった頭に住むチャビリアーノ一家の日常を描いている。3人監督曰く、チャビリアーノをシリーズ化して、ぜひキャラクター商品にしていきたいので、関係者の方ご連絡くださいとのこと。果たしてブレイクなるか?チャビリアーノ!

私が観たのはこの3本だけだが、若い監督たちの熱い思いを感じた気がした。きれいにまとまらず、ツギハギだらけという気もしないことはないが、そこがまた若さのいい所、気持ちのいいパンチを浴びさせて頂きました。

 機会があったらぜひまた観てみたいフェスティバルです。

公式HPアドレス: http://www.pia.co.jp/pff/

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(文:中得 一美)
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