この本は、映画『風の絨毯』のプロデューサーである益田さんが、 どうやって1本の映画をつくりあげたかの顛末記である。 一人の主婦が、企業からお金を集めて映画、しかもイランと日本の合作を作ったなんて きっとものすごくヤリ手の女性なんだろうなーと思いながら読みはじめたのだが、 あれー、この人ってなんかのほほんとしてて本当に普通の主婦だったんだと思ってびっくり。 本の中の表現を借りると「かなり天然ボケ入ってる」人らしい。 でも普通じゃなかったのは、「絶対に映画を完成させる」という強い思いがあったこと。 1本の糸(少しの可能性や人の縁)があればそれをどんどん手繰り寄せ、 そしてその思いに動かされた人の協力があって、 ようやく『風の絨毯』が完成するまでを書いていて、夢中でイッキに読んでしまった。 特に最後の「裏エピローグ」がおもしろかった。 (全部読んでからこれを読むとプッと笑えてじわっと泣けます)
『風の絨毯』は、昨年の東京国際映画祭で観て、いい映画だなと思ったけれど、 良くわからなかったところもあった。 それがこの本を読んで、 「あーそうだったのか、イランではそうなんだ」とわかったところがあったので 再度映画を観たときにもっと楽しめると思う。
「右手にロマン、左手にソロバン!主婦の映画製作物語 私、映画のために1億5千万円集めました。」