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女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。

(2003.5.24掲載)

『チャンピオン』主演 ユ・オソン来日!

ユ・オソン

韓国に実在した伝説のボクサー、キム・ドゥックの人生を描いた作品『チャンピオン』。
7月の公開にさきがけ主演のユ・オソンが来日した。 合同取材に参加できたので、その模様をお届します。

オソン氏は前回取材時(『友へチング』)より少しやせていた。 あの時はちょうどこの『チャンピオン』の撮影をしていたので筋肉がついていたが 今はおちたのかもしれない。スラッとしていた。 濃紺に細いブルーのストライプが入ったスーツが良く似合っている。 前回よりも表情がやわらかくリラックスしている感じがしたのは、今回は奥様も一緒だから・・・?

ユ・オソン

Q 実在の人物、しかも韓国の英雄を演じるにあたってプレッシャーはありませんでしたか?

それほどプレッシャーにはなりませんでした。あまり事実や近代性は気にせず、 あくまでも一人の「人間」を演じようと努めました。 彼は逆境の中で成功をつかみたくてボクサーになりました。 ドキュメンタリーではないので、私の考えたキム・ドゥックを演じればいいと思いました。 他の方が演じればまた違ったキム・ドゥックになるだろうからそれも観てみたいですね。

Q 前作に引き続きクァク・キョンテク監督と組まれていますが?

いい意味で俳優を上手くコントロールできる監督です。 温かい心の持ち主で、監督と映画作りをすると、 その作業がすごく意味のあることだと感じることができます。 またいい作品を作っていただきたいと思っています。

ユ・オソン ユ・オソン

Q 厳しいトレーニングを受けたと聞きましたが、具体的にはどのようなトレーニングでしたか?

ボクシングはグローブをはめれば体ひとつでできるシンプルなスポーツなんですが、 トレーニングはやっぱり大変でした。1日に5時間を1週間に6日間続けました。 メニューは1時間づつ、 ランニング・なわとび(3分やって1分休むの繰り返し)・ミットを使った運動・アクションの練習・ ウェイトトレーニングとストレッチでした。 まあやることがそれしかなかったといえばなかったんだけど(笑)。

Q キム・ドゥックとの共通点は?あと今までの作品で自分と一番共通点があった役はどれでしょうか。

まず共通点だと思えるのは、自分に対して厳しいところと他人を気遣う気持ちをもっているところ。 一番の共通点は、二人とも田舎者だという点です(笑)。
今までの役で一番近いのは『スパイ リー・チョルジン』という作品のチョルジンですね。 他の映画ではタフな役が多いのですが、実生活で似てるとすればあのボーっとして抜けてるような チョルジンです(笑)。

Q 日本ではあまりキム・ドゥックさんのことが知られていないので、みどころを教えて下さい。

私は観客ほど冷静な批評家はいないと思っていまして、 こんな映画をつくったのでここを観て下さいよとかあまり強制するものどうかと思っています。 とにかくこの映画で伝えたかったのは、ボクシングが描かれている点と、 あくまでも一人の人間の物語だということ。それだけです。

Q マンシーニ選手との試合シーンで何かエピソードはありますか。

特にないかな(笑)。
エキストラ3000人の前で演技する状況で、自分は演技をしているけど キム・ドゥック選手は生きるために命をかけてここにいたんだと思うと、 彼の気持ちをきちんとたどっていけるか不安になり、韓国から取材がたくさん来てましたけど、 すべてシャットアウトしてスタンバイに努めました。

Q コミカルな役とシリアスな役とどちらが難しいですか。

私は(自分が演じる)映画のジャンルはまったく問わないたちです。「演技をする」 というのは非常に難しくておもしろいもので、 例えていうならひとつの正解があったとしたらそれをずーっと探している、 それが俳優の仕事だと思います。
私が出演したいのはヒューマニズムが描かれいるもの、温かい人間性が描かれているもの、 何か困難に立ち向かっていく人物が描かれているものであって、ジャンルは問いません。 決して全部が得意だと言ってるわけじゃないですよ(笑)。

Q 役になりきるタイプだと思いますが、ひきずりませんか。

「役になりきる」のと「役に集中する」というのは似ているけど違うと思います。 私は演技というのはなりきるのではなく、 あくまでも客観性をもたなくてはいけないと考えています。 自分なりにキャラクターを分析して、自分はこう理解して演じているんだと意識しています。 日常生活と演技は完全に分けていますので、現場を離れるとすぐもとの生活に戻れます。 すべてにおいて言えるのは、できるだけ自分を窮地に追い込むようにしています。 自分には今これしかないんだという状況をつくるようにしています。

ユ・オソン ユ・オソン

Q 最近の韓国映画のパワーをどうお考えですか。

確かに海外から見ると活気があるように見えるかもしれませんが、 内部にいますと個人的にはそのような印象はないんですね。 韓国映画界はあまりにも結果(興業成績)を求めすぎていて システムがきちんと成り立っていない気がしています。

Q 記憶に残っている日本映画はありますか。共演したい俳優は?

最近観て非常におもしろかったのは、息子と観た『千と千尋の神かくし』です。 ここ2、3年忙しくて韓国映画も観ていないんですが、幸い子供がいたおかげで一緒に観てとても楽しめました。
あと基本的に俳優というのは選ばれる立場なので、自分から誰と共演したいとは言えません。 ただ高倉健さんのようになりたいとは思っています。

おまけ

(ウォン・ビンが表紙の雑誌を手に取り) 彼とは故郷が一緒なんですよ。カンウォンド(江原道)です。 こっち(ウォン・ビン)はこんな都会的な顔してますけどね(笑)

ユ・オソン

『チャンピオン』

 7月公開予定 
 新宿武蔵野館にて
 配給:メディア・スーツ

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(取材・撮影・まとめ 水間かおり)
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