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女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。
Aug 13, 2001

『愛のエチュード』

 最近ちょうど『アンジェラの灰』を観たばかりで、どこかで見た人が出ていると 思っていたらエミリー・ワトソンだった。今回は独身の伯爵令嬢という設定で 華やかさを感じさせる役柄だったが、それ以上に全編を通して惹きつけられたのは、 ジョン・タトゥーロの秀逸な演技だった。

 チェスだけが人生のすべてで、またそれがゆえに純粋に生きる男ルージンを、 彼はルージン本人であるかのように完璧に魅惑的に演じていた。彼の演じるルージンは、 実に無垢そのものであり、その不器用ささえもわたしにとっては魅力的だった。 母性本能を刺激するようなタイプかも。もちろん映画のなかでもナターリアが ルージンの面倒をみているシーンが多くあるのだが、セックスシーンすら 他の映画と違った感じで妙に健全なエロチックさを感じた。 子供時代の追憶を巧みに導入しながら展開していくストーリー構成のため、 彼の心情に添いやすかったせいでもあるだろう。エミリー・ワトソンも そんなルージンにぴったりのパートナーを演じていた。 『アンジェラの灰』のような重い役柄もいいけどちょっと変わった令嬢役もぴったり。

 舞台となったコモ湖畔はもとより歴史のある場所で、そこにある建造物それ自体が ヨーロッパ映画を深みのあるものに仕上げているのは不思議なことだ。 これからもわれわれを楽しませてくれるよう、ヨーロッパ映画に期待したい。 またすっかりジョン・タトゥーロのファンになった私はこれから彼出演の映画を 観まくるつもりです。

『愛のエチュード』は、『アントニア』のマルレーン・ゴリス監督作品。 9月1日よりシネセゾン渋谷、銀座テアトルシネマで公開予定です。 ジョン・タトゥーロはこの作品のほか、コーエン兄弟の『オー、ブラザー!』 (シネセゾン渋谷、銀座テアトルシネマ他にて今秋公開予定)にも出てますよね。 もう公開は終了してしまいましたが、ティム・ロス主演『夢の旅路』にも出演しています。 (編集部)

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(文:緒方千恵)
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