5月8日 安田生命ホール
かなり早めに行ったのに(取材では2番目)地下から続く階段には試写会(舞台挨拶あり)を待つファンの列が。最前列は朝から並んだという方でした。当選するだけでも大変だったでしょうに、ご苦労様です。ファンって有難いですねぇ。記者会見場は、シャンデリアが豪華なホール「ホワイエ」。正面ゲスト席の左にはモニターがあり、2人が到着するまで予告編が流れています。 カメラマン席、記者席、壁際まで人でいっぱい。
司会の女性の紹介が1度空振りした後、ピンクのノースリーブワンピース(スパンコールが前にV字形にびっしりついているもの。背中はシースルー!)の常盤貴子さん、ベロア地の深い黒色のシャツ、シルバーの四角いバックルのベルト、黒い皮のパンツのアンディ・ラウの入場。前日の「笑っていいとも!」は白尽くめ、今日は黒尽くめ。精悍な感じがする。
一斉にカメラのフラッシュ。後でカメラセッションがある旨告げられ、 まず2人から一言ずつの挨拶。
アンディ: ミナサンコンニチハ、アンディ・ラウデス(日本語)。
常磐: みなさんこんにちは。今日は雨の中お集まり頂き、有難うございます。常盤貴子です。
司会: アンディさんにとって100本目というこの作品に、日本の女優の常盤貴子さんをお選びになった理由をお聞かせください。
アンディ: 私は前から常盤貴子さんは素晴らしい素質を持っている女優さんだと思っていました。常盤さんはずっと私のアイドルでした。出演されていた連続ドラマもよく見ていて、以前からずっと共演したかったのです。今回ちょうど自分の会社(天幕)が制作している作品ですのでオファーしたところ、快く受け入れていましただきました。また、映画の出来栄えにも非常に満足しております。
司会: ドラマはどんな作品をご覧になったのでしょうか?
アンディ: シリアスなもの、コミカルなのものいろんなドラマを見ました。どれも大好きですが、一番印象的だったのはやはり「理想の結婚」です。思わず笑えるような演技でした。
司会: 常盤さん、それを聞いて100本目のヒロインに選ばれた気持ちはいかがですか?
常磐: コメディで選ばれたとは・・・って感じなんですけれど(笑)。100本やってこられるっていうのはすごく大変なことですし、その100本目の記念すべき映画に私が出させていただけた、ということは本当に光栄に思っています。
司会: 貴子さんにとっては2本目の映画で、また香港の作品というのは、これはやはり意識されてのことなんでしょうか?
常磐: いえ、もともと映画をやってみたいっていう願望はずっとあって・・・で、 たまたま香港の映画が2本続いてしまったということなんですけど。今回の作品の 内容がすごく・・・今の自分に「やってみたい!と思える要素」がたくさんあったので受けさせていただきました。
司会: シスター役ということですが、非常に現代的な女性であり、シスターでもあるというところが、今の常盤さんに合っていたということでしょうか?
常磐: うーん。そのことよりも、「自分の人生においてやり残していることは何なんだろう? それをやったほうがいいのか、やらないほうがいいのか?」というのは、それは全ての人が悩むことだと思うんです。そこを今回のアンディさん演ずる阿虎(アフー)、タイガーという人が解いてくれてる、答えを出してくれている。
そして、その頑張ろうとしている人にはみんなが協力をしてくれるというか、サポートしてくれる、頑張れば報われるみたいな・・・。それがハッピーエンドかどうかは、その人の取り方しだいだと思うんですけど、人生において何が成功かっていうのを追及したところがすごく素敵な映画です。それがオファーを受けさせていただいた大きな理由ですね。
司会: お2人は普段どういった言葉でコミュニケーションをとられてるのですか?
アンディ: アイコンタクトです! (と、オーバーに常盤さんの目をジーッと見つめる。場内笑い)
質問: 常盤さんは4ヶ国語を使って演技をされたそうですけれども、ちょっと披露していただきたいんですが。広東語とタイ語を。
常磐: タイ語もですか? わぁー、えぇとそうですねぇ。「にーあらぃはいしょおまいかー?」というのは「何かご用ですか?」っていうタイ語なんですけど。あと広東語だと、私が一番苦労した台詞なんですけれども 「ろぉふーいんごいはいさむらむ、んいんごいはいにーとう。」
アンディ: パーフェクト!(OKサイン)
司会: 今のはどういう意味なんですか?
常磐: 日本語でもすごく難しいんです。「虎は森の中にいるべきでしょ、こんなところ(小さな孤児院)にいるべきじゃないよ」という。なんだか深い言葉なんですけれども。
司会: 日本語のほうが難しいようなセリフ。
常磐: 日本語でも噛んじゃいそうになるくらいな。
司会: セリフを覚えるのが一番大変だったのはどこの言葉でしょうか?
常磐: やっぱり、広東語が一番。分量が多かったせいもあって一番大変でした。
質問: アンディさん、全アジアの女優の中から常盤さんを選んだということですけれども。 常盤さんの一番の魅力は、どういうところでしょうか?
アンディ: 私は今まで香港以外のところの映画、テレビドラマはあまり見ていなくて。香港以外といえば、日本のものばかり見ていました。その中でも、常盤さんの演技が一番印象的でした。ですから今回、韓国、台湾、香港ではなくて、日本の常盤さんに声をかけました。一番の魅力、何といっても笑顔ですね。それから非常に親しみやすいその人柄です。知り合う前からのお友達という感じでしたし、しかも会ってみて、常盤さんの一番の魅力は耳、彼女の耳も大好きです。 (常盤さんヒャーとうける。場内笑い)。
質問: 常盤さんはアンディさんのどんなところが魅力だと思いますか?
常磐: (笑いながら)こういうようなことを言うところです。もう、冗談ばっかり言ってて。スターさんなのにすごくなごませてくれるところが・・・。
質問: この物語は、とても切ないラブストーリーだということですが、常盤さんのプライベートなラブストーリーというのは?
常磐: 却下!(場内笑い)(きっぱりと一言返した常盤さんに、アンディは親指立てて「グッド!」ポーズ)
質問: アンディ・ラウさんにお伺いします。この映画で2人の女性を愛し、ご本人は今独身でいらっしゃいますが、もう大きなお子さんがいらっしゃる役。その3人に対する愛情表現を、どのように違える工夫をなさったんでしょうか?
アンディ: 幸いなことに今回はシナリオ、ストーリーともしっかりしていました。監督からも、いろいろなアドバイスをいただきました。
3人の女性に対する自分の気持ちなんですが・・ 1人は過去の、亡くなってもうこの世にいない女性、もう1人は新しく出会った女性です。その接し方に関しては、感情の移り変わりがしっかり台本に書かれていますので、助かりました。ですから、演じていてそんなに大変ではなかったです。
また、子供への気持ちなんですが・・ 私の姉と弟には、それぞれすでに子供があります。彼らや、まわりにたくさんいる友達や同級生らの子供との接し方を見て、役作りに生かし参考にしました。全体的に、非常にスムーズに演じるころができたと思います。
質問: ボクサーのトレーニングは具体的にどのくらい積まれたのか、また撮影の段階ではどういうところに苦労をなさったかをお願いします。
アンディ: 私は以前からアクション映画に多く出演していましたので、ずっと身体造りに励んできました。しかも80年代の末頃から、本格的にキックボクシングをやるようになりました。ただし、タイボクシングは今回私にとって初めての経験ですので、実際に撮影の半年前から少し練習をしました。そして3ヶ月前から訓練を始め、1ヶ月前にはもっと本格的に訓練を受けました。
質問: アンディ・ラウさんに伺います。今回は常盤さん、次回は反町隆史さんと、日本人スターとの共演が続きますが、その日本の大スターを上手に口説かれた口説き方と、あと日本のスターと共演なさることのメリットをお聞かせいただきたいんですが。
アンディ: 口説き方よりも、やはりシナリオがしっかりしていることが大切だと思います。出演する方にとっていい話であるシナリオでないといけませんし、またそれぞれの俳優に向いている役でなくては、とも思います。ですから、そういういい話であれば、出演料や口説き方よりも・・たぶん考えて下さると思います。何と言っても一番大切なのは「誠意」ですね。「誠意」を持って説明して接するというのが大切だと思います。
たとえば、常盤貴子さんの場合、私は一緒にミーティングに出たり、「心配事や不安があったら、いつでも私に相談して下さい、できるだけサポートします」と最初から説明しておきました。しっかりしたシナリオと監督、そして誠意を持ってというのが非常に大切だと思います。
司会: 貴子さん、実際に映画が始まる前に何度もミーティングがあったんですか?
常磐: はい。あのう・・そうですね。
司会: 香港の映画は当日に台詞が渡されて、せっかく覚えてもそれがもう全然使えない、ということがあるとお聞きしたんですけれども。この映画については?
常磐: 前回学んだことでもあったので、それはもう文句は言わないと心に決めていました(笑)。それにしても何かないと不安だし、なるべく多くの広東語の練習をしておくのはいいことだと思うので、「まだ決まっていないのは解っているけど、一応なんでもいいから台本を下さい」と言って、その練習をとりあえずして。でも、まあ、ほとんど変わったんですけどね (場内笑)。
司会: 最後にメッセージを一言ずつお願いします。
常磐: この『ファイターズ・ブルース』は香港映画ならではで、ひとつのストーリーだけではなく、「ボクサーのサクセス・人生のサクセス・人としてのサクセス」というものを柱に、「ラブストーリー」がそこにも含まれていて、もうひとつ「親子関係のホロッとできる部分」もあります。多くの方に感動してもらえる映画だと思いますので、ぜひ見て下さい。
アンディ: 香港で製作された映画ですけれども、世界各地のいろんな方に楽しんでいただける作品だと思います。私たちスタッフが心を込めて作りましたので、ぜひ見ていただきたいと思います。また、この場をお借りして、常盤貴子さんに改めて感謝したいと思います。この作品が日本でもヒットしますよう、心から願っています。ありがとうございます。
フォトセッション(人垣で何も見えず)
5月8日 安田生命ホール
司会: 本日は完成披露試写と言うことで、主演のお二人をお招きしています。 主演の元ボクサー「タイガー」役のアンディ・ラウさんです!続いてタイガーを支え る日本女性「澪子」役の常盤貴子さんです!(会場大歓声)
記者会見と同じ服装のアンディ、常盤さん登場。アンディ、マイクを叩いて会場を指揮(?)。
会場「わーちゃい、ちーしーねい!わーちゃい、ちーしーねぃ!」
司会: 今、皆さん中国語で何とおっしゃっていたんですか?
通訳: 「応援しています」
司会: 貴子さん、おわかりになりました? 今の広東語。
常磐: 全く(笑)。
司会: ではお二人から一言ずつご挨拶をお願いします。
アンディ: ミナサン、コンニチハ。アンディ・ラウデス。(会場大歓声)スゴイー!(笑)
常磐: こんにちは、常盤貴子です。本日は来ていただいてありがとうございました。
司会: この映画はアンディさんにとって、100本目の作品になるとお聞きしました が、その100本目にこの『ファイターズ・ブルース』を選ばれたのはどういったところからなんでしょうか?
アンディ: 主人公のタイガーの信念、持っているスピリッツが、私アンディ・ラウと私の会社、天幕公司を物語っている、代表していると思います。目標を目指して諦めないと言うことですね。
司会: シスターの澪子さんを演じられるに当たって、こういう風にやろうと何か決め ていらしたことはあるんでしょうか?
常磐: 過去のいろんな事を背負って、人はよく環境を変えたりしてー、「してー」 だって(笑)、こういう場慣れないんです。(会場から声援)有難う、頑張ります! いろんなシチュエーションの中で生きていますが、環境を変えることによって、新しく人生をやり直すことが可能だということを、澪子はこの映画の中で演じているんで すけれども。
司会: ボクシングシーンでアンディさんが(打たれて)どんどんすごい顔になっていきますね。それを見つめているシーンがありますが、その時はどういうお気持ちだったんですか?
常磐: あのシーンはすごく長い時間のかかった、大変なシーンでした。それまで1ヶ月くらい一緒にやってきて最後のシーンでした。心配でしょうがなかったです。しかもあの場所は、昼間ライブでタイボクシングの放送をしているんです。それが終わるのが夜の11時頃、それからしか撮影ができません。夜の11時頃から翌日まで毎日8日間。体力的にも精神的にもものすごく心配でした。だから(澪子)そのものでした(笑)。
司会: アンディさん、このタイガーはかっこいいボクサー役で、大変な鍛錬をされたと思いますが、その鍛錬はご本人が役作りでされていたものなんでしょうか?
アンディ: この世界で仕事をしていますので、例えば常盤貴子さんも常に美しさを保つために頑張っていると思いますが、私もデビューして20年間たちましたが、やはり常に身体造りに励んでいます。今回の映画のために、3ヶ月くらい訓練を、そして本格的にタイボクシングの特訓を1ヶ月くらい受けました。
司会: ここで少し披露してもらうことは可能でしょうか?
(ファイティング・ポーズをとるアンディに会場沸き返る。照れて素に戻った感じのアンディ。)
司会: 常盤さん、今回も4ヶ国語、いえ噂によると5ヶ国国語ということですが。
常磐: さっきまで何回も取材があって、ずっと4ヶ国語だと思っていたんですが、さっき控え室で5ヶ国語だったという事にやっと気がついて。日本語、タイ語……
アンディ: ジャパニーズ、タイランド、イングリッシュ、チャイニーズ(カントニーズ?)、マンダリン。
常磐: 5ヶ国語だったんです。
アンディ: スゴイヤー(笑)。
司会: ちょっとだけ広東語を披露していただけますか?
常磐: では、いい言葉を。(会場から「アンディはかっこいい!って」と広東語が飛ぶ。)
司会: なんておっしゃったんですか?
通訳: 「アンディ・ラウかっこいい!と言えばいい」(会場笑) (アンディ「かっこいい?悪い?」と常盤さんへ。「かっこいい」と広東語のやりとり)
常磐: 「やっふぁんがんわん、やっふぁんさううっ(一分耕耘、一分収穫)。」 (会場:おおー!) 「楽あれば苦あり」っていう意味なんですけれども。(これは記者会見で話していた「頑張れば報われる」という言葉が近いようです)
司会: すごいですね。アンディさんは映画の中で日本語をしゃべるシーンはなかったんですか?
アンディ: それはなかったです。
司会: 何か習った言葉はありませんか?
アンディ: (何かぼそぼそと言い)スイマセン、ジカンガナイ。(と自分の腕を指差す。 が、時計はしていない!?) ソロソロ……(会場笑)
司会: ほんとに時間が限られておりまして…。 この映画を楽しみにして下さっている皆さんに一言ずつお願いします。
常磐: 今回、『タイガース・ブルース』あ、間違えちゃったタイトル(笑)! (会場から「がんばってー!」の声援)すごい香港チックですよね、会場(笑)。 『ファイターズ・ブルース』の「澪子」を通じて、1人の人間、常盤貴子として、 この「阿虎」と出会えたことがすごく幸せだったので、 見て下さる方にもそれが伝わると思います。楽しんで下さい。
それから、私、今までアンディさんにちゃんと100本目の映画おめでとうっていうことを言ってなかったので、この場をお借りして皆さんで一緒に言うっていうのはどうかしらと思って。(会場拍手) アンディさん、100本目の映画、本当におめでとうございます!(会場もいっせいに)
アンディ: アリガトウゴザイマス。
司会: アンディさんも一言。
アンディ: ミナサン、『ファイターズ・ブルース』オミノ、ガシ、ナク。(会場沸く)
フォト・セッション(2人手をつないだりしながら、カメラマンへ満遍なく笑顔を向ける)
製作中のニュースから、アンディがどんどん痩せているらしい、ボクシングの特訓してるらしいと聞き、心配になってしまった。母心じゃのう(笑)。
100本出演記念+天幕公司(アンディの映画会社)の作品でもあり、製作宣伝ともに力が入り、香港でも大成功であった由、胸をなでおろす。VCDは入手したものの、日本語字幕つきで見るのを楽しみに待っていた。
さて試写会。すでに取り返しようのない恋人、彼女の忘れ形見の娘、新しい出会い、過去の清算に賭ける若くはない自分との闘い・・・と盛りだくさんである。おおよその筋は知っていても泣ける、泣ける。親子ものにはとても弱いのである。鼻水すすり、涙を拭きと忙しい。見れば、前に座っている男性もメガネを上げて涙をぬぐっている。「父と娘」がツボよね。
アンディは身体を絞りすぎて、少し戻したそうな。贅肉ひとつなく、ひきしまってかっこいい! しかし、私の苦手な髭つき。唇から顎への縦ヒゲがねぇ・・・。ともかく、眼光するどく試合へ向けてトレーニングする顔、娘やシスター澪子へ向けるとまどいつつも優しい表情。あらー、アンディってうまくなったわ。ここ数年の肩の力が抜けた感じのアンディは「お気に入り」なのであります。上映前なので詳しくは書かないが、いくつか飲み込めないところはあったにせよ、これはお勧め映画です。ボクシングシーンは迫力満点、実際傷の残る怪我までしている。ああ、痛そうと半分目をつぶりながら見て、よく頑張ったね! と言ってあげたくなった。
出口に向かいつつ、小耳にはさんだ会話。
女性「アンディ・ラウってそんなに若くないですよね。すごい鍛えてますよね。」
男性「う、うーん」(アンディより少々上か? 鍛えてはなさそう)
そうなのよ。今年秋には40歳です。でも肌もスタイルも綺麗でしょ。
間近で見てもこんな男性は2人といまい、と思う端正さであります。お父さん、お母さんに感謝しつつ、アンディの努力を称えるものであります。いやいや、顔とスタイルだけでなくって、仕事の虫かと思われる超人的な働きっぷりは 賞賛に値する。賞と無縁と思われたのが、昨年からの受賞ラッシュ。結果はちゃんとついてくるのね(涙)。
澪子役の常盤貴子さんは5ヶ国語を駆使して大活躍。レスリー・チャンとの『星月童話』より硬さがとれて(そういう役だけれど)ずっといい。会見での彼女はとても綺麗で明るく、気さくな感じだった。
思いもかけなかった全国展開でのロードショー。嬉しいことにオール1000円の記念価格。ワーナーマイカルさん、配給会社さんありがとう。
アンディファン、香港ファン、常盤ファンはもちろん、そうでない方もぜひぜひお出かけください。