上映後は、ゲストを迎えてのトークショーです。
安田真奈監督
関口裕子さん(「キネマ旬報」編集長)
金原由佳さん(映画ライター)
中村佐恵美さん(女優「ヒマラヤ杉に降る雪」などアメリカで活動)
(司会は『オーライ』配給カーニバル・フィルムズの井田優加里さん)
安田監督の映画作りへの思いや、現役バリバリの映画人による最新映画事情、はたまたハリウッド女優中村さんの夢物語など中味の濃いトークが展開されました。
司会: では最初に、なぜ皆さんが映画業界に入られたのか自己紹介も兼ねて、一言づつお願いします。
安田: 映画業界に入っているわけではないのですが、会社員と映画作りをやっています。高校生の時に森田芳光監督の『家族ゲーム』を観て、受験と言う日常的な事を描いていながらも非常におもしろかったんですね。演出がおもしろいんだろうなと思って。映画って総合芸術なんだと思い、(映画作りを)始めた次第です。
関口: 私は「キネマ旬報」という映画雑誌の編集の仕事をしていて、映画業界に着地しているのですが、普通に試験を受けて会社に入りましたので、特に入ったきっかけというのはないんです。私も自主映画を作ったりしていましたので、今日は安田監督にプライベートな部分まで突っ込んで聞いてみたいと思っています。
金原: なぜ私が今日呼ばれたかというと、私も2年ほどOLをやっていたからだと思います。安田さんと同じ関西の出身で、OLをしながら毎日つらいなーと思っていた時に映画と出会って、東京に行ったら映画の仕事ができるかなーと思ってふらふら来て今に至るという感じです。安田さんの作品て、スタンダードな人生を歩んでいる人の目線というか、この業界スタンダードじゃない男性監督が非常に多いので、そこがすごく新鮮でした。
中村: 私は短大を卒業後、4年間OLをやっていたのですが、このままでいいのかなーって思ったんですね。このまま結婚してしまっていいの? とか。で、自分のやりたい事はなんだろうと思ったら、昔良く映画を観ていて『フェーム』や『フラッシュダンス』に刺激を受けたことを思い出し、アメリカに行って演劇の学校に行きたいと言う夢を見つけたんです。人生の中で1回ぐらい夢を追いかけて生きる時があってもいいんじゃないかと思いましてアメリカに行きました。すぐ帰ってくるつもりだったのですが、それが少しづつ仕事になりましたので、もう11年アメリカに住んでいます。今でもオーディションを受けて仕事をポツポツやって生活しています。
司会: ありがとうございます。先ほど関口さんの方から安田監督に質問があるということでしたのでどうぞ。
関口: まず、「映画を撮ろう」と思うに至ったまでの事と、この映画『オーライ』は関西テレビさんが出資されているのですが、どういう風にしてそういった道を切り拓いて来たのかをお伺いしてよろしいですか。
安田: 森田芳光監督作品に惹かれて高校時代も映画研究会に入ったのですが、自分の作品が撮れなかったので大学で入りなおして2回生の時からかれこれ20数本撮っています。撮り続けていて思うのは、仲間内だけで観て終わりではなくて、より多くの方に観て頂いてご批評も頂いて、それを糧に次回もっといいものをという、ささやかながらもこういう意思を持ってやってきました。そして作った映画をコンテストや映画祭に出しているうちに、スタッフも「しんどいけど安田とやっていればちゃんと世の中に出すかな」と思ってもらえるようになったと思います。そうするうちにいろいろ賞を頂いたりして関西テレビの植村プロデューサーと知り合いまして、「私会社員でこんなん撮ってますけど16mmで撮りたいので何とか1本撮らせてくれませんか」と申し上げたところ、インディーズ映画の枠があるということでそれにのっけて頂きました。なので枠のないところから切り拓いたという訳ではないのですが、今までやってきたことをアピールして企画書を書いて、お願いしたという次第です。
関口: インディーズ時代の作品で、ある男性が映画を撮っていて撮れなくなって女の子が代わりに撮るという話があったと思いますが、体験談などが入っているのでしょうか。
安田: 『Listen to CAMERA』ですか。男の子が亡くなって代わりに撮るというのですね。そういったことはなかったんですが…。映画が自分にとって何かと言われると「生活必需品です」と答えていて「ハンカチか?」とか言われるんですけど、そのぐらい生きる原動力になっているものなんです。
司会: 今監督から「生活必需品」という言葉が出ましたが、先ほど金原さんが監督の「スタンダードな魅力」についておっしゃっていましたので、そのあたりを金原さんお願いします。
金原: 過去の作品も観させていただいたんですが、安田さんの作品は悪人もアウトローも犯罪者もが出てこなくて、みんな普通に学校を出て社会人になってという枠の中で悩んでいるという、なかなか男の監督が取り上げないような小さな話で、それが非常におもしろいし安田作品の魅力だと思いますが、どうしていつもそういうテーマを選んでいるのでしょう? それと今日の映画もそうですが昔の友達を訪ねていったり、過去の作品にも同窓会とか過去の友達とか出てきますが、それは何故なんでしょう?
安田: 友情っていうものはこれからも描きたいと思っているんですね。最初の質問ですが、アクションとかはもうハリウッドにおまかせしておこうと。私にとって出来るジャンルで得意なことって何だろうと考えた時に、社会的な大事件よりも個人の大事件だと思ったんです。同じ環境に置かれても自分の見方によって世の中っていい風に見えたりイヤな風に見えたりしますよね。ほんの少しのきっかけでそれが変わったりする。それは絶対ニュースにはならないけれど、個人にとっては人生を変える・考え方を変える大事件だと思うんです。そういうものを、商業ベースには決してのらないだろうけど、すくいあげて描く人が一人ぐらい居てもいいんじゃないかと。そしてそれを描こうと思ったらやっぱり私は会社員としての生活を大事にしないといけないなと言う事でシツコク続けているんです。次の質問についてはですね、映画を撮っているとむかーしの友人が気付いて訪ねてくれたりしまして、友情っていいな,忘れないっていいなと思いました。学校出て会社入って過ごしていると、昔友達とわかちあった感動を忘れたりとか将来の夢を忘れたりとかありますよね。忘れたからと言って生活に影響がある訳じゃないけど時々思い出して胸をかきたてられるような思いがしたり。そういう大事な事を忘れたくないというのに昔の友達とのつながりを忘れたくないというのが大きいです。
司会: 「忘れられない夢」とおっしゃっていましたが、監督はOLになってもずーっと夢を追い続けて映画を撮り続けている訳ですね。中村さんも夢を追ってハリウッドまで行かれた方ですが、本日映画をご覧になっていかがでしたか。
中村: 温かいものがすごく流れていると思いました。ハリウッド映画のように大衆受けする爆発とかカーチェイスとか見せ場を作ろうとするより、ご自分の中からフツフツとこみ上げるものがあってどうしてもそれを映像にしたい、そして皆さんとシェアしたいというお気持ちが流れているのがすごくわかります。アメリカでも小さな予算で作って大当たりする映画がありますが、お話を聞いてみるとどうしても作りたい、作らなくちゃいけないと言うクリエイター達の思いがあって、映像になった時に観た方達の心を打つという事がありますので、これからもどんどんいい作品を作っていただきたいと思いました。
ハリウッドは今でも男社会で、女優も40代になるとガタっと出来る役がなくなってしまうんですね。力のあるジョディ・フォスターやサンドラ・ブロックなどはご自分でプロダクションを設立して、もっと女性に出来る役はないか考えたり女性のライター(脚本家)を育てるとかしてらっしゃいます。監督にひとつ質問なのですが、映画を作るにあたって「女性である」と言う事で得をしたことや難しいこと、意識することなどはありますか。
安田: 女の子らしいのを撮ろうとはあんまり思っていないですが、やはり女性監督は少ないですから、取り上げられやすいのはお得だと言えますね。
関口: 最近は映画の現場であれ、ジャーナリスティックなところであれ女性が出てきましたので、かなり自由になってきたと思います。だからこそ、わざわざ女性監督とか女流何々とかいうのは辞めたいと私の中では思っています。私も女性編集長だからマスコミに取り上げられる事は多分にありますが、それはもうありがとうございますと受けとめて、自分が発信する側の時には特にそこを意識させないようにはしたいなと思っています。
安田監督はうまく企画書をお書きになって、周りの方のケアもきちんとしていらっしゃると思いますが、そういう方は男性にも女性にもいて、それが出来ない方も男性にも女性にもいますね。この間「キネマ旬報」に安田さんのことを載せた時に「OL」という言葉を見出しに使ったのは、読者の方にパっとわかってもらいやすいという事でそういうふうにしたのですが、本来そこに意味がある訳ではなく安田さんの作品作りに興味のポイントがいけばいいなと思った次第です。
司会: 安田さんが映画を作るにあたって、OLという立場が役に立っていると、1番思われる事って何でしょう。
安田: やっぱり観客の立場に1番近いということでしょうね。共感して頂けるドラマを作りたいと思ったらその方と同じスタンスでいるのが1番てっとりばやいですから。日々ネタ拾いといいましょうか…。
あと、初めましてが恐くないですね。会社の仕事も地方の販売店に取材に行ったり、人と出会うことが多いので。
もちろん企画書や提案書を書く事がありますので、そういうのは映画作りを進めていくのにも役立っていますね。映画館に上映の営業に行くのも、どこそこでは観客の反応はこうでという安心していただくポイントを押さえて東京でもいかがでしょうかとなりますよね。熱意だけでは伝わらないと言うのはサラリーマン生活で鍛えられます。(笑)
司会: そのあたり、金原さんと中村さんもOLからの転身組みですが、生かされていますか。
中村: どうでしょう。役立っているかな…・。(笑)私コピー取りとか地味な仕事をしていまして、背伸びをすれば上からコツンとたたかれる、走りすぎるとコケるみたいなところがあって、自分で出来ることをいかに上手にアピールするかということを学んだでしょうか。アメリカにいて背が高くて胸も大きい人達と並んでしまうと、私なんてチンケなんですが、そこで自分は何が出来るか何が特別か見つめて伸ばしていくというのは、地道にコツコツと仕事をしていたところから生まれているのかもしれませんね。
金原: 私は今、人に劇場に行ってもらう様にする記事を書いたりしてますが、OLの時は映画評論家の人が大絶賛している映画を鵜呑みにして、例えば金曜日の夜に、今週はめいっぱい働いたからその大絶賛映画を観ようと友達を誘って行ったらものすごく暗い映画で、何で金曜日の夜にこんな映画に連れてきたのだと怒られたことがあって、映画誌では大絶賛でもOLの大絶賛とは違うという大きなギャップを味わう事が多かったんですね。なので今読んでいる人には「金曜日の夜には不向きなのよ」と匂わす事も書くようにしています。普通の人は自分の生活に応じて映画をチェックしているので、そこらへんを忘れないようにしています。でも君の文章には知性がないと言われたりすると、そういう感覚だけじゃいけないのかと思ったりして難しいところです。
司会: でもそこが金原さんの魅力ですよね。自分に正直で、女性のお客さんに優しいし、読者の皆さんはありがたい情報を得ているんじゃないでしょうか。
金原: 初心を忘れる時があって、ウィノナ・ライダーさんの某映画を紹介しなかったのですが大ヒットしまして編集者に「作品がおもしろくなくても女の子はウィノナの服を見に行くのに何で紹介しなかったんですか」と言われて、自分はもうOLの気持ちを忘れてるーと思った瞬間がありましたね。
司会: 観客の視点に近いと言うところでは、OLの経験は悪くないですね。人間って生きていて無駄になる経験って何ひとつないと思いますね。
話は変わりますが、せっかく中村さんがハリウッドからわざわざ東中野まで来て下さっているので、安田監督何かハリウッドのことについて質問はありませんか。
安田: ハリウッドというと雲の上の存在なんですが、女性が活躍されているポジションってありますか。例えば日本だと記録さんとかありますが。
中村: そうですね。記録など緻密な仕事は女性が多いですね。今はプロデューサーやキャスティングディレクターなど、作品やキャストを選ぶ仕事は女性の感覚が優れているというか重宝されています。たいてい女性かゲイの男性ですね。だんだん男女の色がなくなってきている面はありますが、もう少し女性が書いた作品が出て来るとおもしろいと思うのですが、大衆受けするとなると男性が書いた爆発物とかになってしまうので残念です。
でも、女性のプロデューサーが増えている事と、大金を稼ぐ女優、ジュリア・ロバーツなどが増えているのでそういった方がどんどん自分のプロダクションを作って女性の映画人を育ててくれれば、もっと力を発揮できる環境になると思います。
安田: ハリウッドの女性監督さんというと、『ビッグ』や『プリティリーグ』などハートウォーミングな映画を撮られたペニー・マーシャルさんがいますが、その方に続くような監督さんが出て来ていらっしゃるのでしょうか。それと、中村さんがハリウッドに進出された成功談を聞かせていただきたいのですが。
中村: ポツポツと小さな映画を作っていらっしゃる方はいるのですが、今ちょっとお名前が思い出せない…・。
私の事はですね、最初は「アクティングクラスに入りたい」というだけだったのですが、クラスメートが「エージェントと契約した」とか「CMに出る」とか聞いているうちに自分もやりたくなって、目の前にひとつひとつハードルを置いて飛び越えていったという感じでした。その時は英語も下手でお金もなかったのですが、それをやっている時は無我夢中で、周りの目も全然気にならなくて「生きてるなー」と感じました。すごく強い自分がいたんですね。(場内うなずく方多し)
司会: いいお話を聞かせていただきましたねー。先ほどハリウッドの女性監督のお話が出ましたが、世界中の映画を観ていらっしゃる関口さん、金原さんにそのへんをもう少しお伺いしたいのですが。そして、その中で安田さんがどういう位置にいるかもお聞きしてみたいです。
金原: 今年の上半期は特に女性監督の作品が多かったのです。その事自体珍しいのですが、女性監督によるセックスの映画が多かったのが特徴だと思います。『ポエトリー・セックス』のサマンサ・ラング監督だったり、『ロマンスX』のカトリーヌ・ブレイヤ監督だったり。この映画なんて全部リアルセックスで、監督は「私は『愛のコリーダ』を超えようと思って作った。男なんて種馬にすぎない」という非常に前衛的な監督です。そういう監督をピックアップするプロデューサーも増えてきて、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を撮ったラース・フォン・トリアーは来年・再来年あたりから女性監督が撮る女性ポルノ映画をプロデュースする計画があるようなんですね。
ここBOX東中野でも、つい最近女性監督達によるポルノ映画週間をやっていて私も通ったんですが、今までなかなか描けなかった事を描こうとしているおもしろい時だと思うんですね。ただそれが興行的に結びついているかというと男性客がびびって、ほとんど来なかったと聞きました。男性は女性監督が描くセックスは恐くて観られないのか、幻想を壊されるのがいやなのか、何かあるみたいですね。また私達マスコミも「女性監督が描くセックス」と大々的に書いてしまうので、観る人に何か大きな色を与えてしまっているかもしれない。まっサラな気持ちで見せてあげる土壌がまだ全然出来ていないかもしれないですね。ここらへんを私は興味深く見ています。ただ安田さんがそういう世界を描かれるかどうか…・。私はそれはまた非常に興味がありますが。大変身というか大変貌して。そういう作品を観れることになったら非常におもしろいと思います。
司会: 関口さんのコメントに移る前に、安田さん、セクシーな映画にご興味は?
安田: うーーー、あのう、ちょっと控えさせていただきます。(笑)
関口: 今のような話を喫茶店で金原さんとしていた時に「男はね、種馬でね」と大きな声でしゃべっていたら周りの男性の手がパタっと止まっていましたね。(笑)アメリカや日本ではまだ女性監督というのを意識的に宣伝にも使うし前面に押し出しやすい傾向がありますが、フランスの監督とかは女性だろうが男性であろうが関係ないというスタンスで、「女性であって大変な事がありますか」といった質問をすると「何でいまさら、わざわざそんな事を聞くのか」という感じですね。まあ今はそういう質問をする人も減ってきていますが。作るものは性別に関係なくその監督のパーソナリティーを出していけばいいと言う事です。
安田さんをすごいなと思うところは、観客が観てどう思うかをきちんと考えている所だと思います。前に、アンケートをすごく大事に読んでいると聞いて、それは今の日本の男女問わず若い監督に真似してほしいというか大事にしてほしいと思います。やっぱり観客の顔を見ないで作っている映画って多いと感じますので。
司会: 今のお話を聞いて、安田さんいかがですか。
安田: 映画を作って、世の中に出して、反響を聞いて次の糧にするというサイクルを大事にしながらきたつもりですが、それは今の販売促進の仕事にもリンクすることなんですね。映画を作ると言うのは、人々を巻き込んで迷惑をかけながらやるお祭りみたいなものなので、それをやるからには次にもっといい物が作れる事を目指すのが監督として大事な事だと思っていて、そうしないとスタッフも俳優もつきあってくれないですし、お客さんにちゃんと届くものを作りたいと思っています。まだ出来ていないので、これからの目標です。
司会: お客さんの事を考えた映画作りというのは、ハリウッドの映画作りとスピリッツとしては非常に似ていると思うのですが、大作ではないけれどもこういうちょっとした心のキビを捉えた映画が世界に進出するチャンスってないでしょうか。
中村: 人間のパーソナルな部分っていうんですか、こっそりしまっておきたかったり思い出して泣いたりするような事って深くなればなるほどユニバーサルというか誰でも感じる、誰でも背負っている傷だったりするので、そういう感情は多くの人と共有できると思います。そういう語りかけるような映画を作っていただければ、例えばアメリカで受けなくても、アジアやヨーロッパなどで共感を受ける方はいっぱいいらっしゃると思いますので頑張っていただきたいと思います。
司会: それでは時間も押し迫ってきましたので、皆さん一言づつお願いします。今日ここにいらっしゃっている方は映画業界に興味のある方だと思うので、何かアドバイスや励ましなどあればと思います。
安田: ビデオ機器などの発達によって誰でもが映画監督になれる時代が来たと思うんです。昔だったら会社員しながら映画撮るなんて考えられなかったけれど、今はそういうのもアリな時代になったので、これから映画を撮ってみたいと思っている方は、まずは自分の身近なものを撮ってみる・そしていろんな方に観てもらう・コンテストなどに出すなど外に向かって活動してみたらいいんじゃないでしょうか。それがやりやすい時が来たと思います。
関口: 作るほうも映画業界に入る事も今はチャンスが増えていると思います。ハードルが低くなったと言う事でななく仕事のジャンルが増えていますので。とにかくやりたいと思っているならその希望を捨てずに最後までやるというのが、やりたい事にたどり着ける近道なのかなと思います。
金原: 皆さん見ておわかりだと思うのですが、私妊娠しているんです。8年前は取材で女が現場に来たとなるとみんなピリピリしていたのに、今は妊婦でもOKな時代です。(笑)現場から電話がかかってきて「妊婦対応OKです」と言われて今月も4つぐらい行っています。男の監督さんも「おお、大きいねー」と余裕で言えるぐらい、現場の意識や状況が変わってきています。デジタル機器の発達で誰でも情報が発信できるので、これからますますおもしろくなってくるんじゃないでしょうか。志のある方は頑張って下さい。
中村: 華やかな舞台しか紹介されないハリウッドですが、裏方さんもすごく熱心に誇りを持って仕事をしています。長時間に及ぶこともありますが、自分の好きなことをやっているので苦労しているというのが顔に出ていないんですね。やはり自分が1番好きな事は何だろうと問い掛けて、それを追いかけていって頂きたいと思います。
司会: ありがとうございました。
シネマジャーナル51号に 安田真奈監督のインタビュー記事が掲載されています。