4/23(土)~4/29(金) | 10:30~12:25 |
4/30(土)~5/6(金) | 14:45~16:40 |
5/7(土)~5/13(金) | 12:30~14:25 |
日本の男性の「家事参加率」は先進国でも最低レベルと言われています。家事の中でも多くの時間と労力を要する「料理作りに積極的に取り組む」という男性の数は決して多くないのが日本の現状なのは、女性にとっては全く残念な事態です。
本来生きることに直接つながり、五感を働かせて作り上げる 料理とは、創造性にあふれ、コミュニケーションツールとしても最高のもののはずですのに・・・。
このドキュメンタリー映画「厨房男子」では、「料理大好き」
「料理をすることで人間関係をステキに展開している」男性たちの姿を映し、「料理をすることはこんなに楽しい」「男性が料理をすると、人間関係はこんなによくなる」という、料理大好きな男性の実例を何人か映し出すことで、男性が厨房に入る事の大事さと、料理をすることの楽しさ、ワクワク感とを伝えていきたいと思っています。
『厨房男子』ブログ http://www.kitchen-boys.com/
1949年名古屋市緑区出身。愛知大学法経学部経済学科卒業後、講談社出版販売(株)入社。1978年頃からラジオ脚本・テレビ番組構成の執筆を始める。
1989年講談社退社 以後、放送作家、フリーライターとしての本格的な活動開始。
著書「わが家はビストロ」「名古屋とっておきの店」「女性が選んだ名古屋の100店」「よみがえれ城下町」ほか。シナリオ専門誌「シナリオ教室」で映画エッセイを20年以上連載、「シネマジャーナル」誌にも映画連載記事多数。
毎日新聞に「映画の玉手箱」を連載中。民放ラジオ番組構成・出演多数。
現在は東海ラジオ「チャイナ・なう」、CBCラジオ「つボイノリオの聞けば聞くほど」にレギュラー出演中。
イーブル名古屋 小牧市民大学こまきみらい塾 大府市ミューいしがせ、各区の生涯教育センターなどで、毎年映画講座を多数担当。
今回、初めてドキュメンタリー映画『厨房男子』作りに挑戦。
この映画作りの忙しい中、50本の映画を熱く綴った シネマエッセイ「恋恋電影」を刊行。 これは、月刊誌「シナリオ教室」に掲載した連載をまとめたもの。
「電影」というのは中国語で「映画」のこと。「映画に恋して」というような意味です。50作の映画について書き綴ったエッセイですが、どの作品も高野さん独自の視点と表現で紹介しています。多少過激に(笑)、時におしゃれに映画を語り、「映画は人生の力になってくれる!」そんな思いの詰まった本です。
編集部:『イラン式料理本』にインスパイアされて、この映画を撮ろうと思ったそうですが、映画を撮ろうと思ってから、この映画企画ができるまでの流れ、紆余曲折などを語ってください。
高野監督:1996年から「あいち国際女性映画祭」の司会の仕事を10年以上務め、多くの女性監督にインタビューし、お話をお聞きしているうち、「私もいつか映画が撮れたらいいなァ…」という夢が生まれました。
ドキュメンタリー映画が好きで、10数年前から山形国際ドキュメンタリー映画祭に通い、その記事や評論を多く書いているので、「ドキュメンタリー映画が撮りたい」と、気持ちが具体的に映画製作に向かって動き始めました。
2010年に『イラン式料理本』(2010/イラン/モハマド・シルワーニ)を観た時、「キッチンや料理をしている様子だけでも、その国の状況を伝えることができるんだ!」と、目を見張りました。もともと食べること、作ることが大好きで、グルメライターとして雑誌に記事を書き、何冊も本を出していますので、「男性が料理をする姿を撮ったらどうだろうか、そこにずっと関わっているフェミニズム運動を結びつけたら、面白いドキュメンタリー映画が出来るんでは…」と、アイデアが浮かびました。
「映画を作ろう!」と、本格的に決めたのは2013年。山上千恵子監督のドキュメンタリー映画『潮風の村から~ある女性医師の軌跡~』をお手伝いして、「ドキュメンタリー映画は比較的低予算で作れ、最低監督とカメラマンがいれば何とか出来るのではないか」と思ったからです(実際やってみて、そんな単純なものではないと気づきましたが…)。
撮りたいテーマははっきりしているし、撮りたい対象も多い…と、製作への意欲は高まりアイデアも固まりましたが、東京と違い、名古屋には映画の経験のある女性のムービーカメラの方(女性と組みたかったので)が見当たらず、足踏み状態が続きました。映画祭のたび、何人かの女性監督に声をかけましたが、みなさんには「監督ならいいけど、カメラではね、それに名古屋に通うのは大変で…」とお断りされました。まあ、当然ですね。
2014年に『小さな町の小さな映画館』の上映会があり、そこでお目にかかった森田惠子監督に相談してみると、「自分は無理だけれど、今年、京都芸術造型大学の映画科を卒業する優秀な女子学生がいる。その人なら紹介できる」と言われました。
今までキャリアのある人ばかりに声をかけていたけれど、きっちり映画の勉強をしてきた若い人、という選択肢はアリかもしれないと思い、京都まで会いに行きました。それが撮影を担当した城間典子さんです。お話して真面目で誠実な人柄に好感を持ったのと、映画への熱意を感じて、お願いすると決めました。撮影時は住んでいる京都から名古屋まで通ってもらいました。若いセンスと映像の技術があるし、大柄でカメラを楽々扱えるし、彼女にお願いしてよかったと思っています。母娘コンビです。
城間さんに引き受けてもらったのが今年(2015年)の1月。撮りたい内容、出てもらう人は私の中ではもうすっかり決まっていたので、そこからは一瀉千里、3月には撮影開始、7月にクランクアップ、8~10月編集、11月に宣伝活動、12月19日劇場公開予定(名古屋名演小劇場)と、ゆっくり考えるヒマもないほど、驀進していく進行状況でした。
編集部:出演してもらう人を選んだいきさつは?
監督:映画のテーマを「楽しく料理をする男性たちのオムニバス」(裏テーマが男女の家事の共同分担)だったので、出演者はまず夫(高野裕夫)と長男(裕樹)と決めました。誰よりよく知っている人(アタリマエですね…笑)で、その料理も何百回も食べたことがあるからです。この二人を撮りたくてこの映画を考えたぐらいです。
それ以外の出演者も自然に決まりました。「よく知っていて、作った料理を食べたことのある男性の知人・友人」です。
友人の家の女子会でいつも見事な和食を作ってくれるパートナー、カレー自慢の友人、自宅で延々飲むのが好きな飲み友達…。みんな知り合いです。私の周りには「厨房男子」が多いのは幸せでした。
映画の専門家に企画書を見てもらって意見を聞いたら、「料理が出来る男ばかりじゃダメ。全然できない人や、カップラーメンばかり食べている人を入れなきゃ面白くない」と、言われました。
しかし、その言葉には違和感を持ちました。 テーマは「料理を一生懸命作り、周りの人に愛されている男性」。それを描きたくてこの映画を作るのだから、もし映画的に面白くなるとしても、そんな「非厨房男子」を描きたくありません! これを聞いたことで、逆に「料理をする男性を撮ることに徹しよう」という気持ちが固まりました。
編集部:8人と2組という、大変多い出演者になったわけですが、もう少し少なくするとかは考えなかったのですか?
監督:「撮りたい人」を選んで行ったらこの数になってしまったというのが実感です。映画の長さや、効果的な映像だけで考えれば、少なくするという方法もありましたが、「自分が興味を持ち、一旦お願いした人は全部登場していただく」というコンセプトは貫きたかった。
映画の出来を考えると散漫にならないよう、撮った人でも使わないという方法はあったかもしれないけど、縁あってお願いした以上、削りたくありませんでした。
観て、「なんだか多すぎてよくわからなかった」という感想があるかもしれない…と心配ではありますが、「様々な『厨房男子』を楽しんでくださいね」という気持ちです。
編集部:面白かったこと、発見、苦労したこと、失敗したことなど、撮影中のエピソードをお聞かせください
監督:基本は男性が料理を作るところを撮っていますが、どの時でも、料理ができると一番先に味見に飛んで行くのが監督の自分だと気づきました(笑)。「どんだけ食い意地が張ってるんだ!」と、スタッフみんなが笑っていたらしいです。出来た料理が早く食べたくて、「もう撮影いいね」と言ってたしなめられたことも。
何しろ初めての撮影経験なので、城間さんが撮っている大事なフレームに写り込んでいたり、もう撮影が終ったと思い、おしゃべりし始めてそのシーン台無しとか、ミスが一番多かったのが監督のワタクシメでした。ダメダメ監督のエピソードを書いたらキリがありません。撮影の度にシューンとしていました。周りの助けで出来上がったようなものです。
編集部:初めて映画監督をして思ったこと。気がついたこと。学んだことなどを。
監督:とにかく監督のやる仕事は多い! 大手映画会社の「スタッフ200人」みたいな映画ならそれぞれの役割の人がやってくれるのかもしれませんが、自主製作映画は何もかもが監督の仕事です。監督=オール雑用係です。
企画し、お金を集め、手伝ってくれる人、出演する人を決めてお願いし、日時、スケジュールを交渉、現場での撮影、食事を考え、宣伝素材のチラシを作り、ポスター、前売り券、パンフレットをデザイナーとともに製作し、撮り終った映画を編集、HP、FBの原稿を書き(人に頼んだときはそのチェックをし)、マスコミへの宣伝(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌にPR、出演)、また宣伝に使う予定で作った書籍(映画エッセイ「恋恋電影」)製作と、出来上がってからの発送もありました。そしてこれから前売り券の販売という重要なミッションがあります!
私は週に3本のラジオ番組を持っているので(企画、取材、構成、出演)これもサボれません。だってこれがなくなったら、収入がなくなってしまいますから。毎晩寝る前に明日やる仕事と連絡事項を書き出し、チェックしていましたが、それでも忘れていることが結構あって、毎日冷や汗三斗。
それだけ忙しいなら痩せたかって? 残念ながら、私はストレスがたまると美味しいものが食べたくなる、という因果な体質なので、忙しいほど太ってくるのです(泣)。編集部:編集作業はどんな様子ですか?(取材したのは9月。まだ編集中でした)
監督:現在進行中。真っただ中なので感想を述べている余裕がありません。映画が初めての私には編集作業というのは大変難しくて手にあまり、城間さんに加えて編集協力者(四宮鉄男さん、森田惠子さん)をお願いして、何とか仕上げる予定です。編集が映画製作の中で、一番難しい仕事だったんですね。
編集部:せっかく撮ったけど、捨てざるを得なかった画像もたくさんあると思います。それを活用し、また、違うバージョン、コンセプトで映像にするつもりはありませんか?
監督:あります。「石ヶ瀬会館」での「男性45人のコロッケ作り」は、20時間近くカメラを回し、素材が多いのですが、多分20分ぐらいしか使えません。このパートは、「定年後の男性は、家庭で、地域で、どうすればよりよい人生が送れるか」という日本中の男性問題への回答が含まれています。この部分を活用し、新しい映像も付けくわえて、もう一本作ってみたいです。ただ、多少とも『厨房男子』が当たり、資金回収ができたら…、という前提があります。出来るかなァ…
編集部:公開に向けて お客さまへのメッセージをお願いします。
監督:それぞれの立場で、『厨房男子』を楽しんでくださればいい…と思っています。20代から70代までのさまざまな立場の男性が、自分のため、家族のため、みんなのためにいろいろな料理を一生懸命作っています。その手際にみとれるもよし、料理の参考にするもよし、日本に入っている料理の多彩さと取るもよし。もしご覧になった男性が、「自分も料理をやってみようかな」と心が動いたら、こんな嬉しいことはありません。
「映画を作りたい」と考えてから、ほぼ20年目の夢の実現です。出来るだけ多くの皆さまに、この映画を観て頂けたら…、というのが「次の夢」です。
20年近く本誌に原稿を寄せてくれている名古屋の高野史枝さんから、『厨房男子』という映画を作りたいと聞いたのは、去年の「あいち国際女性映画祭」に行った時。『イラン式料理本』にインスパイアされた高野さんは、自分の夫、息子、友人、友人の夫などが料理する男性版を作り、「料理をすることの楽しさ、ワクワク感」を伝えたいと語っていた。
それもそのはず音響効果マンだった高野さんの夫、裕夫さんは結婚まで全く料理をしたことがなかったけど、子供二人が生まれた後、共働きのため「強制」され(笑)料理を始めたのだけど、すばらしいフランス料理をこなすようになり、リタイア後、フランス料理のケータリングを始めている。私は高野さんと知り合った20数年前、裕夫さんが作ったフランス料理を食べさせてもらったけど、その時のおいしさがいまだに忘れられない。息子さんは料理ばかりかケーキまでこなすようになり、今や、妻のお弁当も作っているという。
この企画、とても面白そうなので私はスチールなら撮れると手を上げた。そうこうしているうちに撮影は進んでいて、4月には7人くらい撮影が済んでいた。それで、5月と7月の撮影で、スチールを担当させてもらいました。私の初めての映画スチール体験を。
5月25日、岐阜鈴蘭高原にあるゴルフ場に単身赴任しているK氏の、「山菜料理」を撮影するというので参加させてもらった。
K氏が勤めるゴルフ場からは木曽御嶽山や乗鞍岳が見え、白山まで見渡せる眺めのいいところだった。ゴルフ場での仕事風景を撮り、自宅に戻って、自宅の庭でワラビ、イタドリ、こしあぶらなどの山菜を採取。その山菜をてんぷらに。その手際のよさと、できた山菜のてんぷらの衣が薄いのにびっくり。なかなかこのようにはいきません。私など、どうも衣をうまくつけることができません。
ムービー撮影の合間にスチールを撮り、映画の撮影光景も撮りました。手際よく料理も撮影も進み、けっこう早く撮影は終了。その晩泊まった宿は山菜づくしの料理で大満足。
前日は曇空だったけど、次の日は快晴。カッコーの声で目を覚ます。カラマツ林に差し込む朝の日差しがまぶしい。朝早く映像班はKさんの朝食作りを撮影に。私は前日、うまく撮れなかった山菜(ワラビやイタドリ)の写真を撮る。その後、K氏のゴルフ場での仕事と、周りの風景の映像&写真を撮り、このロケの撮影終了。
7月17日~19日、愛知県大府市の石ヶ瀬会館(愛称 ミューいしがせ)で行われる45人の男性によるコロッケ作りの撮影現場に。
これは、この石ヶ瀬会館(大府市の男女共同参画拠点、シルバー人材センター、地域のふれあい施設)で毎年行われている「夏祭り」に、ミューいしがせで活動している「男楽会」「メンズカレッジ」という二つの料理教室参加者の皆さんが、「2500個のコロッケを作るところを撮る」という、この『厨房男子』最大の山場を撮影するというもの。
「メンズカレッジ」料理教室の卒業生が自主的に運営しているのが「男楽会」、両方合わせると50人近い人が参加している。この方たちが、毎年夏祭りにコロッケを作っていて、もう10年になるとか。しかもコロッケに使うジャガイモや玉ねぎも畑で作っているという。
7月17日は準備と予行練習で、玉ねぎをみじん切りにするところとか、ふかしたジャガイモをつぶすところ、コロッケの成形やパン粉付け、揚げるところまで、一連の作業を30人近い男性陣が作るところを撮影。ほとんどの人が60歳以上だと思うけど、これだけの数の男の人が料理をするところを見るのは初めての経験。壮観だった!
それにしても、皆さん見事な包丁さばき。材料を洗うのから、コロッケを揚げるまで流れ作業で手馴れたもの。驚きました。それに皆さん和気藹々と作業をしているのが印象的。それに、田端美知子館長や事務の方も助っ人に。長い間の絆を感じました。できあがったコロッケはとてもおいしく、この日は昼食に出たのと合わせて4つも食べてしまった(笑)。
翌18日は台風が接近し、結局、夏祭りは中止。19日、夏祭り本番。この日も30人近い人が参加。会場は外の駐車場。この日はコロッケのパン粉付けまでが会館の調理室。揚げるのは設置されたテント。夕方近くになると、大きなお鍋に油を入れコロッケを揚げ始める。
たくさんのテントや盆踊りのやぐらも立てられ、5時半すぎにものすごい数の人たちがやってきた。小中学生が多く、たくさんの人が浴衣を着ていて、この夏祭りが地域で楽しみにされているのがわかる。
メンズカレッジのコロッケは、次から次へとお客がやってきて、最初は揚げるのが間に合っていたのに間に合わなくなり、コロッケを待つ人の列ができた。皆さん、このコロッケを楽しみにしているのがわかる。8時に夏祭りは終了。朝からほとんど立ち通しなのに、皆さん元気。片付けが終わったのは9時半。お疲れ様でした。
詳しくは下記スタッフ日記にアップされています。