MOVIES VOL.2 このコーナーでは欧米系の作品を中心に、最近上映された映画を紹介します。 MIWA OKADA

［陪審員］(THE JUROR)

監督	ブライアン・ギブソン
出演	デミ・ムーア アレック・ボールドウイン

　非情なギャングのボスが裁判にかけられた。ギャングの手下は彼の無罪を勝ち取る為に、 陪審員を脅す。脅されるはめになった陪審員はシングルマザーで、 我が子の命と引き換えに被告の有罪を覆す陪審をさせられる。 警察に訴えるよう勧める友人の言葉にも耳を貸さず、 自分の力で我が子を守ろうとするデミ・ムーアの必死な姿はとっても切なかった。

［KYOKO］

監督	村上龍
出演	高岡早紀

　幼いころに両親を亡くした主人公はダンスが彼女の心の支えだった。 そのダンスを教えてくれたアメリカ兵を探しに彼の祖国アメリカヘ行く。 が彼はエイズにかかって余命幾許もない。
　マイノリティーやエイズなど主人公の接する人達は米国では しんどい生き方を選ばざるをえない人達だが、彼女のひたむきな姿は 言葉は通じなくても心で会話できる事をよく表現していた。

［白い嵐］(WHITE SQUALL)

監督	リドリー・スコット
出演	ジェフ・ブリッジス キャロライン・グッダール スコット・ウルフ

　航海訓練中に起きた「ホワイト・スコール」と呼ばれる気象現象に 訓練中の帆船が巻き込まれ、船は難破し生徒を死なせてしまう。 責任者である船長は的確な判断をしていたのか?
　航海中にイルカの群れに出会うシーンや、途中で訪れる異国の地など、 ほとんど気分はバケーション。しかし、驚異的な自然の力の前に人間はあまりにも無力で、 沈んでいく船の中で助けたいのに助けられなくて、生徒がだんだん溺れていくところは 涙をそそる。
　これはアメリカの海洋学校での実話。

［アンダーグラウンド］(UNDERGROUND)

監督	エミール・クストリッア
出演	ミキ・マノイロヴィッチ ラザル・リストフスキー ミリャナ・ヤコヴィチ

　1995年度のカンヌ国際映画祭でパルムドール賞を受賞した作品。
　冷戦の続く東ヨーロッパを舞台に、自分の国は絶対に勝つと信じて地下で 生活する人々と彼らを騙しつづける武器商人の悲しいブラックコメディー。
　もうこの国で次の時代を育てられない自分達の運命を明るく映し出しているが、 悲しい戦争のキズ跡は事実として皆の心に深く刻まれだだろう。
　監督は実際に祖国を失っている。

［上海ルージュ］(SHANGHAI TRIAD)

監督	チャン・イーモウ
出演	コン・リー リー・パオティン

　1930年代の上海を舞台に町のギャングのボスとその座を狙う彼の腹心の子分、 ギャングの愛人でありながらその子分とも関係をもってしまう愛人の 悲しいラブストーリー。
　ボスの店の人気歌手で美貌の持ち主の愛人の生活は華やかに見えるが、 不安定な身分で不安な気持ちの行き場はない。裏切れば殺されるのはわかっているのに、 彼の腹心の「自分が次のボスになる」という言葉に運命をかけてしまう。 いつも彼女の表情は暗いが、不思議な力強さを持った意志を感じた。

［ストレンジャー］(NEVER TALK TO STRANGERS)

監督	ピーター・ホール
出演	レベッカ・デモーネイ アントニオ・バンデラス

　殺人犯の精神鑑定をするヒロインに近づく謎の男。彼と付き合いだしてから 身辺で奇妙な事が連続して起こる。追い詰められてくヒロインに真実が迫る。 犯人は誰なのか?
　騙されました!!　最後の10分まで犯人が判らなかった。バンデラスの演技はちょっと ワンパターンになりつつあってがっかりさせられたけれど、相変わらずのセクシーさは 健在でファン必見の作品。

［アンカーウーマン］(ANCHOR WOMAN)

監督	ジョン・アブネット
出演	ロバート・レッドフォード ミッシェル・ファイファー

　キャリアウーマンの出世物語90年代風。報道放送の花形であるアンカーになりたくて、 頑張る時は頑張り、努力を惜しまない。けれど、肩肘はらずに助けの必要な時は必要とし、 良いアドバイザーと共に前進していくヒロインに力づけられる。 ライバルの女性アンカーが降板することを受け入れ、 後輩の彼女に快く椅子を譲って去っていくところは心打つものがあった。
　華やかな2人が演じると、脇の人達の演技がかすんでしまうのが物足りなかった。

［エースにおまかせ］(ACE VENTURA : WHEN NATURE CALLS)

監督	スティーブ・オーデカーク
出演	ジム・キャリー

　「エースベンチュラ」の続編。彼は世界でただ一人の動物レスキュー。 幻の白いコウモリを探して奮闘する。でも彼の唯一の苦手は「コウモリ」だった。
　ジム・キャリーはハンサムの部類に入る人だと思うのだが、コメディ路線まっしぐらで、 これでもかというくらい体や顔を動かす。ちょっとやりすぎで気持ち悪いシーンも 幾つかあったがなかなか味のある出来だ。

［カウチインニューヨーク］(A COUCH IN NEW YORK)

監督	シャンタル・アケルマン
出演	ウイリアム・ハート ジュリエット・ビノッシュ

　自由奔放に生きるパリジェンヌと高名なNY在住の精神科医が6週間だけ アパートの交換をした。それぞれの生活が入れ代わり珍事件が起きる。
　生き生きと今を生きるベアトリスに接するうちに、偏屈なヘンリーは本当の自分を 取り戻す。素直になれば生き方が見えてくる。明日から頑張る気持ちにさせてくれる。
　最近英字新聞でアトランタのエグゼクティブの家がオリンピック期間中貸し出しに でてたけど…。運命変えてみようかな?

［ユージャルサスペクツ］(USUAL SUSPECTS)

監督	ブライアン・シンガー
出演	スティーブン・ボールドウィン ガブリエル・バーン

　すねに傷ある5人の男がある事件の容疑者に挙げられる。5人を狙う謎の男 「カイザー・ソゼ」は誰なのか?事件の真意は何か?
　ソゼの使いの怪しげで、どうみても生っ粋の白人「コバヤシ」。 5人それぞれが疑わしいが、推理の基本に戻れば犯人がわかる。 つまり、一番怪しくない人が怪しい。
　アカデミー賞を受賞した人がいることも頭に入れて推理してみて!!

［フロム ダスク ティル ドーン］(FROM DUSK TILL DAWN)

監督	ロバート・ロドリゲス
出演	ジョージ・ルーニー クエンティン・タランティーノ ジュリエット・ルイス ハーヴェイ・カイテル

　凶悪な犯罪者セス兄弟は、逃亡する為に善良な元牧師一家を人質にしてメキシコ国境へ行く。 手引きするメキシコ人と待ち合わせた館はヴァンパイアの巣窟だった。
　ヴァンパイア屋敷での壮絶な戦いはSFXが駆使されていて驚く映像が沢山あった。 いつも危ない役のジュリエット・ルイスは、ハーベイ・カイテルと共に キレてて主役のセス兄弟を圧倒していた。

［いつか晴れた日に］(SENSE AND SENSIBILITY)

監督	アン・リー
出演	エマ・トンプソン ケイト・ウインスレット アラン・リックマン

　19世紀初頭のイギリス貴族の恋愛・結婚事情を描いた作品。 夢をみるより現実を静かに受け入れる長女と情熱的な出会いに憧れる妹。 それぞれ相手は違うけれど、信じて待つ姿勢は運命を変えて幸せを手に入れることになる。
　英国人の上品な感性や美しい田園風景が感動的だった。 なかでもアラン・リックマンの演じたブランドン大佐の行動や言葉は、 思いやりや、やさしさをしみじみと感じさせてくれた。

［イルポスティーノ］(IL POSTINO)

監督	マイケル・ラドフォード
出演	フイリップ・ノワレ マッシモ・トロイージ

　チリの有名な詩人(実際にノーベル賞を受賞している)と、国を追われた彼が滞在した ナポリでの郵便配達人マリオの心暖まる交流の物語。
　好きな彼女の気を惹きたい為に詩人に詩の作り方を教わる主人公。 その甲斐あってめでたく結婚する。
　2人の恋愛物語というより、裏にある歴史背景の革命や政治活動を含んでいて、 祖国を追われた詩人の自叙伝的な話しがもっとよくわかるとよかったと思う。

［ゲット・ショーティー］(GET SHORTY)

監督	バリー・ソネンフェルド
出演	ジョン・トラボルタ レネ・ルッソ ジーン・ハックマン ダニー・デビート

　借金の取り立て屋でB級映画マニアのチリ・パーマーが、ひょんなことから ハリウッドで映画制作に参加することになった。追われるものと追うもの、 映画を作りたい人々、資金を調達する人をどんどん巻き込みながら話しは進んでいく。
　映画好きのチリが映画を作るまでの過程で、だんだんいっぱしの映画業界の人間に なりきっていくところがおもしろかった。好きこそものの…というけど本当だ。 業界裏話しとしてみるとおもしろいと思う。