関口治美 ★秘密の花園 以上93年劇場で観た新作洋画134本よリセレクト。 ピデオ作品ベスト(原則としてビデオは観ないので、記念上映会、映画祭などでスクリーンで観たもので、 現在ビデオ発売されているものからセレクトしました)★ニュージーズ 宮崎暁美 ★見知らぬ人(サタジット・レイ/91/インド) 一九九三年に見た映画は八八本、前年より五〇本近くダウン。 見たい映画が少なかったからではなく、母や父が病気になり、 思うように時間が取れなかったため。見たい映画をたくさん観られなかった。 ベスト20は、見た順に並べて見ました。 去年は正月早々いきなり『ポリス・ストーリー3』を見て、ミシェル・キングのアクションにびっくり。 彼女はジヤッキー・チェンと互角に渡り合える世界一のアクション女優だと思った。 リー・リンチエと共演した『太極張三豊』もぜひ見てみたい。 近代美術館で上映された「孫瑜監督と上海映画の仲間たち」では 阮玲玉の作品『おもちゃ』『女神』『新女性』の他に、 黎莉莉(リー・リーリー、『ロアン・リンユィ玩玲玉』ではカリーナ・ラウが演じていた) が主演した『スポーツの女王』、それに石揮の『私の一生』など、 一九三〇年代の中国映画を観ることができた。 ほとんどが無声映画で中には寝てしまったものもあるけど、有意義な上映会だった。 それに一回、三八○円と安い! 關錦鵬(スタンリー・クワン)監督の『フルムーン・イン・ニューヨーク』 と『ロアン・リンユィ阮玲玉』は公開を楽しみにしていた作品だ。 『フルムーン・イン・ニューヨーク』 はニューヨークに生きる中国系(中国、台湾、香港出身)の女性たちの出会いと、ふれあい、 そして友情を描いた秀作だ。ニューヨークで元気良く生きる、 張曼玉(マギー・チャン)や張艾嘉(シルビア・チャン)も良かったけど、 『駱駝の祥子』『香魂女』 ではしっかりした姐御的女性を演じていた斯琴高娃(スーチン・ガオワ)が、 この作品では中国から結婚のためアメリカに来たばかりで、英語もわからない 自信のない女性を演じていたのが印象的だった。嚴浩(イム・ホー) 監督の『ホームカミング』にも主演しているらしいのでぜひ観てみたいと思う。 日本で公開される彼女の最新作は謝晋監督の 『犬と女と刑(シン)老人』で、 七月二三日から三百人劇場で公開される。 それに姜文(チアン・ウェン)の初監督作品にも彼女が出演しているので、 それも日本で公開されたらいいなあ。 現在スイスに住んで三つの中国圏をまたにかけて活躍している彼女に期待したい。 『ロアン・リンユィ阮玲玉』は本誌でも何度も扱われ、 とーくもしたけど、素晴らしい作品だったと思う。張曼玉はこの作品で、 ベルリン国際映画祭や香港電影金像賞で主演女優賞を受賞したし、 今までの作品のなかでも記念碑的なものになるんじゃないかな。 彼女が結婚して引退するという噂もあるけど、本当なら寂しい。 『マルコムX』は密かにファンであるデンゼル・ワシントンが主演していたので、 とても期待して観た。マルコムXが活躍していた頃、私は中学生で、 あの頃(1965年頃)人種差別の問題に目覚め、図書館でそういう関係の本を借りてきては読んでいた。 キング牧師はその悲暴力主義によって、私の尊敬する人の一人になっていたけど、 それに対立する暴力を肯定するような論陣をはっていたマルコムXに対しては嫌悪感を持っていた。 そのマルコムXの役をデンゼル・ワシントンがどのように演じるのか大変興味を持った。 結果はマルコムXに対するイメージが少し変わった。 でも、あの頃のニュースなどで見た限りでは、もっと強烈な暴力肯定論者という感じがしたけど、 この映画ではだいぶ善人に描かれている気がした。 『ザ・プレイヤー』は『ボブ・ロバーツ』とどっちにしようか迷ったけど こっちも含めた気持ちでベスト20に入れた。 『アナザー・ワールド』は東南アジアで唯一、植民地にならなかった国、タイの作品。 骨董品屋で古い鏡を買ってきた女子大生が、この鏡を通じてタイムスリップする、 ファンタジー的作品なのだけれど、この女子大生がタイムスリップしていった時代で、 タイが植民地になりそうなのを防ぐという物語。 『月光の夏』『蒼い記憶』は太平洋戦争中のことを描いた作品。 『月光の夏』は特攻隊をテーマにしていたし、 『蒼い記憶』は満蒙開拓青少年義勇軍として十四才で満州に渡った少年を主人公にした アニメーション。作品としては物足りない所もあったげど、 自分の国がしてしまったことは語りついでいかなくてはならないと思う。 『サラフィナ』はブロードウェイで二年間というロングランを樹立したミュージカルを映画化したもの。 このミュージカルのドキュメンタリーを観にいった時、 せっかく内容は良いのに女子学生たちが超ミニスカートでパンチラシーンがたくさん出てくるは、 先生役の女優さんが授業中に生徒の前で頭の上まで足を上げるシーンはあるはで、 この演出家ムボンゲニ・ンゲマは、なんでこんな振り付けをするんだろうと腹が立った。 私の大好きなウーピー・ゴールドバーグやミリアム・マケバも出ているというので観にいったけど、 さすがに映画の方はそんなこともなく素晴らしい作品だった。 『ウィンズ』は私が行ったことのある、大好きな港町フリーマントル(オーストラリア) でロケをするというので、懐かしい景色が出てこないかなと思って観にいった作品。 でもフリーマントルではアメリカズカップの決勝地点で人々が熱狂しているシーンを撮った だけで景色は全然写らず、 インド洋に太陽が沈むとてもすてきな港町なのになあと、ちょっとがっかり。 でも最後のレースの所は手に汗握る展開でワクワクしながら観た。 ファンタでのアンディ・ラウ特集以来、彼にはまりっぱなしの私ですが、 なんといっても『天長地久』がいい。 この映画、東京近辺では三回しか上映されていないと思うけど、私は三回共、 観てしまった。張艾嘉と共演したいと語っているそうだけど、もうそろ チンピラ役やギャング役からは卒業して、 『過ぎゆく時の中で』みたいなちょっとほろ苦い、 大人の恋愛物にも挑戦して欲しいな。 『ラスト・ワルツ』を今頃観て、もっと前に観ておけばよかったと後悔している私。 さっそくサントラ盤を買ってしまった。 そして、私の去年のベストワンは『ウェディング・バンケット』。 とうとう中国語圏の映画にもこんな映画が出てきた。 K. 山本 ★ザ・プレイヤー(ロバート・アルトマン/米/92) ワースト★はるかノスタルジー ベスト女優★マリサ・パレデスで決まり! ベスト男優★アーマンド・アサンテ お懐かしや! やっぱりステキ 1993年観初めは『ロシュフォールの恋人たち』 観納めは『クリフハンガー』。 体調崩してたくさん映画を観逃した92年に較べれば、大満足とはいかないまでも 後悔の少ない年でした。失態は『オルランド』を見逃したこと。 "早めに行ける時に行っとけ"を怠るとこうなるという見本のような失敗でした。 今年は気をつけよう。 それとこれは去年あたりからひしひしと感じていることだけど、 運動不足で低下の一途を辿る体力のせいもあって、 フィルマラにはほとんど行けなくなったのは大きい! 前までは"フィルマラ徹夜後朝八時から仕事"もしょっちゅうだったけれど、 今はもう余程のラインナップでない限りそれはキツい。 去年は結局『ストレート・トゥ・ヘル』 『プリック・アップ』 『サンタ・サングレ』 『マタドール』の時一回しか行かれなかった。 レイトショー上映のみの公開も多くて(それも三日だけとか一週間とか) 『ポイズン』 『クローゼット・ランド』 『小さな旅人』なども見逃してしまった。残念。 しかし93年は収穫もたっぷリ! まずはやはり周潤發映画祭。欲をいえばもう一本アクションが欲しかったけれど、 『ハードボイルド』 『ゴールデンガイ』 『僕たちは天使じゃない』 『パラダイス・パラダイス』 『いつの日かこの愛を』 『過ぎゆく時の中で』の日替リ六本は、 BEYOND出演作を観られたことも含めてとてもよかった。 その後すぐに行った韓国で『東成西就』を観たことも忘れられない。 おっきな映画館で、『東邪西毒』だと思い込んで観たら (一緒に行った友達が看板を観て"これはどう見ても東邪西毒とは読めない"と言ったのだが、 『東成西就』誕生秘話をまだ知らなかった私は、 "これは草書だからそう読めないだけだ"と言い張った) これが言葉はわからなくても大笑いのコメディ。 『黒薔薇VS黒薔薇』に通づる様なレオン・力ーフェイのドッカン演技もあって大満足! 上映館を捜すのに場所を聞きに入ったアヤシい喫茶店で、 マギー・チャンそっくりの美しい女の人と手をつないじゃったのもうれしかった。 今も手の感触を覚えているくらい! なお、この"韓国で『東成西就』を観た"は、 会社に内緒の旅行であり、上司の一人がシネジャを読んでいることもあって 今まで公に出来なかったのですが、(勝間さんには話してた) もう時効だと思って明らかにした次第です。大ゲサだが…。 そしてクェンティン・タランティーノ監督との出会い! 『レザボア・ドッグス』にド肝を抜かれ、 『トゥルー・ロマンス』も最高! 『男たちの挽歌』を観た後、周潤發ルックで街をブラついていたというだけあって、 『トゥルー・ロマンス』には『男たちの挽歌2』 をビデオで見てるシーンが出てくる。 狄龍(ティ・ロン)が刀をかざすシーンなど思わず身を乗り出してしまった私。 タランティーノ監督、期待極大であリます。 あと、広島では的場シネマというふだんは、ゲイ特選館で『おこげ』と 『きらきらひかる』が二本立てで観られる!という特筆すべき事件が起こり、 その恩恵を受けてまいりました。二本ともある意味では理想で、おとぎ話だと思うし、 『おこげ』の小夜子の行動に腹立たしい思いをしたけど、 やっぱり魅れるものがあったし、二本それぞれに、とても好きな映画でした。 (私は輪入盤『おこげ』のサントラを買ってしまった) 私が観に行った時、席につくやいなや隣に友人男子が座って"来てくれてえかった" と震える声で言いました。前述の通りゲイの映画を普段やってるとこなので、 彼は私が来るまで、無言の品定めの視線にさらされてコワかったのだそうです。 女の人には比較的安全な映画館なんですけど。 去年はまた、ベスト3が私にとって抜きん出て素晴らしかった。 ただ『ロアン・リンユィ』が一週間上映で、回を重ねられなかったのが、口惜しかった。 最後に『フォーリング・ダウン』のマイケル・ダグラスにはすごく 感情移入してしまいました。私も余裕のない生活を送る一庶民。 いつプッツンきてもおかしかない。 さて、94、今年の観初めは『伴奏者』出足OK。 『月はどっちに出ている』も広島では今年です。 今楽しみなのは、阪本順治監督の『トカレフ』。 もちろん『さらばわが愛 覇王別姫』 『黒薔薇VS黒薔薇』ほか香港電影たち、 今年は徐克(ツイ・ハーク)か劉徳華(アンデイ・ラウ)電影祭をやってほしい! 体力は下降線かもしれないけど、いい映画は心を元気にしてくれる。 今年もやっぱリ映画大好き! 来年のベスト20の時、選ぶのに困るくらい たくさんの素敵な映画に出逢いたいと思います。 明日は早速『ピアノ・レッスン』へ行こう! 地畑寧子 劇場ベスト20★現金に体を張れ(・・番外で) ワースト★ラスト・アクション・ヒーロー ○昨年、映画がらみの催しもので感激したのは、渋谷のシードホールでやっていた 「クローネンバーグ映像美術装置展」。 特に『裸のランチ』のセットの大型設置は圧巻で、 何度も同じ場所をいったり来たりして感慨に耽ってしまった。 映画は総合芸術だということを身に染みて感じさせてくれた企画だった。 これから他の監督でもこのような催しものをしてほしいと思います。 ○『現金に体を張れ』(56年/米/スタンリー・キューブリック)は、 『ビバリーヒルズ・コップ2』での鮮やかな競馬場の売り上げ金強奪シーンの お手本映画だと聞いて、長年観たいと思い続けていた。 ちょうどこの作品にインスパイアされた『レザボア・ドッグス』 が好評だった時期だけに、レイトショーとはいえ、 劇場公開してくれたシネマアルゴ新宿には感謝したい気分。 『レザボア・ドッグス』で未見の方は、ぜひご覧下さい。 それにしても今年になってピデオで観た『パブリック・アイ』は素晴らしかった。 読者の方に昨年薦められていたのに観に行かなかった自分に恥じ入るばかり。 ○でも昨年一番の事件?は、東京国際映画祭・ファンタステイック映画祭。 アンデイ・ラウの来日に湧く若い女性たちの熱狂に触れ、 すっかり中華電影オタクになってしまった。 私のように欧米映画を中心に観ていた者にとっては、中華電影特に香港映画には、 量産するパワー(だからハズレ映画もままある)に圧倒されるし、 内容もひたすらエンタテイメント性を追求した作品と芸術性の高い作品と盛リ沢山で、 観始めたら完全にハマることは必至。いわゆるスターも多く、彼ら(女優もです)の大半が、 コメディ演技からシリアスな演技まで連発するサービス精神に脱帽するばかリ。 俳優と歌手との兼業が大半だということも魅力。 また製作者や監督など製作スタッフで俳優兼業の人が多いというのも魅力。 また製作サイドも欧米映画をよく観て研究しているようで、 特にエンタテイメント映画には、欧米映画の有名シーンがうまく挿入されていることが たびたびあるので、元ネタを見つける楽しみもある。しかし、 日本の今の劇場公開状況からすれば、まだまだ欧米映画が主流で、 静かなブームになっているものの中華電影の公開はまだまだ。これからを期待! というわけで、昨年は劇場では約100本、ピデオで約250本ほどの映画を観たが、 どうも最近劇場にいく回数が減ってしまった。 ひとつは自分のなまけにあるけれど、映画好きからみても、今の日本の映画入場料は 高すぎるのも理由のひとつ。だからある程度セレクトをしなきゃならないし、 さほど映画ファンでもない人なら、"ビデオが発売されるまで待とう"ということになる。 特に不振続きの日本映画では、とても1700〜1800円払う気になれないというのが 一般的な意見。映画関係者は、業界試写や優待券で手早くタダで観れてしまうから、 一般観客のふところ事情に気づかないのだろうけど、 映画興業に一番貢献するのは一般の観客であることを忘れないで、 早々に改革をしてほしいです。 ビデオベスト30 (中華電影11、その他19)★二十日鼠と人間 Y. 勝間 ★ザ・プレイヤー(ロバート・アルトマン/米・92) ワースト▲迷子の大人たち ベスト女優★スーチン・カオワー /『フルムーン・イン・ニューヨーク』&『香魂女/湖に生きる』 男優★デンゼル・ワシントン /『マルコムX』 以上劇場・映画祭・試写会で観た44本より日付順 ワーストのみ、主観順 おまけのビデオ(及ぴTVノーカット版)ベスト10★美しき諍い女《ディベルティメント》 (ジャック・リヴェット/91) ビデオのワースト▲台風クラブ 以上37本より日付順 ◆去年は、映画館へ行く回数が一昨年より滅った。今年はもっと減るかもしれない。 その貴重な時間内に、いかに多くの良い作品に出会えるか、ハズレを避けるか。 選球眼を養うことが課題だ。 ◆『王様と私』はユル・ブリンナーが亡くなった時、TVで観て感銘を受け、 私が映画に興味を持つきっかけとなった大切な作品。今回劇場で初めて観ることができた。 スクリーンで"Shall we dance?"を観られて幸せ。 大広間いっぱいに踊り狂う(アンナを振り回す?)王様、 そしてアンナ役のデボラ・カーの優雅さに魅了された。 ◆『フルムーン・イン・ニューヨーク』は私の苦手なレイトショー公開だったが、 1日だけ昼間の公開があったので駆けつけた。 大陸(スーチン・カオワー)、台湾(シルビア・チャン)、香港(マギー・チャン) 出身の女性たちがNYで出会う話。3人がそれぞれ素晴らしいが、 特にスーチンがいいことは前号で述べた通り。 ◆スパイク・リーがマルコムXを映画化するというので、本を何冊か読み漁った。 この人物について知ることができて、スパイク・リーに感謝している。 マルコムXの著作を読まないでいて、キング牧師に対して 彼を暴力的だと非難する人が多いことにはがっかりした。 彼は決して暴力を扇動してはいない。白人たちの暴力に対して、 自衛のために暴力を用いるのはやむをえないとしているだけだ。 彼の父親をはじめ多くの黒人を殺してきた白人たちが、 まず非難されなければならないのに。 ◆93年の日本映画の発見は、三船敏郎と市川雷蔵であった。ミフネはすでに 『七人の侍』で観ていたが、『羅生門』『用心棒』『椿三十郎』は私にとって 『七人の侍』より面白かった。戦後まもなくこんなワイルドな魅力を放つ男優が 日本にもいたとは! ◆ベスト20に漏れてしまった作品は、『秋菊の物語』『オルランド』 『狂った果実』『そして人生は続く』。 『オルランド』は観ている間はだまくらされているような感じがしたが、 日がたつにつれ印象が良くなっていった不思議な作品。 ◆ここで一言お断り。実質的な93年の私のベストワン『ロァン・リンユイ/阮玲玉』 は92年に観て、その年のベスト20に挙げているので、この誌面には出しませんでした。 すでに『王様と私』の項でお気づきの方もいると思いますが、基準が 《その年初めてスクリーンで観た作品》ということなので。 ◆『許されざる者』はさすがオスカー受賞作。各人物にさまざまな形で 善と悪が混在する、あるいは悪が年月を経て薄れていく様を見事に描いていた。 『パーフェクト・ワールド』も同様のテーマを描こうとしているが、 私が冷静に観られないせいか、ケビン・コスナーの起用は成功ではなかったと思う。 観客動員で大幅に劣るかもしれないが、例えばティム・ロビンスのように 善悪どちらでも転べるような風貌の役者を使うべきなのでは? ◆『友だちのうちはどこ?』のババク君のやさしさには、柄にもなく瞳うるうる状態! 本当に友達のノートを彼の鞄に入れてしまったという監督は罪作り。 ◆子役といえば、『パーフェクト・ワールド』のT・J・ロウサー君も素晴らしかった。 不満や疑問や迷いや哀しみを浮かべた表情の数々。この子にだけは満点をあげたい。 ◆『美しき諍い女』は《ディベルティメント》(2時間版)しかビデオ屋になくて、 4時間版はいまだに観ていない。 ◆『ゆりかごを揺らす手』は、公開時も意外なヒットだったが、本当に 大穴的な面白さだった。今頃になって初めて観た『激突!』もそうだが、 逆恨みというのは本当に恐ろしい。 ◆そして『レザボア・ドッグス』。ロードショーは躊躇してしまったが、 もし劇場で観ていれぱ『ロァン・リンユイ』と並ぶ私のベストワンになっていたことだろう。 仁義のハーヴェイ・カイテル、セクシーなティム・ロス、 サドのマイケル・マドセン(助演男優賞もの)、 一度見たら忘れられないスティーブ・ブシェーミ、 そしてミョーにオヤジっぽいクリス・ペン。 女が通行人(でもなかなか重要な役割)だけというのがすごい。かっこいい。 『グリフターズ/詐欺師たち』以来のハードボイルドの傑作。 ◆最後に恒例の劇場公開作見逃しベスト10。『スニーカーズ』 『天使にラブソングを』(この両作品、ビデオになってもいつも貸出中でいまだに観られず) 『クローゼット・ランド』『愛を弾く女』『逃亡者』 『ダンス・ウィズ・ウルプズ4時間完全版』(ケビン・コスナーに の私ともあろう者が!) 『教祖誕生』『オリヴィエ・オリヴィエ』『ライジング・サン』 『月はどっちに出ている』。 ◆『ライジング・サン』は、本当のことを言うと、予告編を観ただけで いやになっちゃった。千数百円出す気になれなかった。 すべての日本人が黒い服装で無表情。原作の大幅な改悪。 脚本を離れてしまったマイクル・クライトンのような一部の知識人は別として、 アメリカの映画人や一般人(あるいは経済人)の意識の反映がこの作品の おかしな日本の描写なのだと思う。日本の知識があの程度とは。 それでも私はビデオになったら借りて大笑いするつもりでいる。 |