女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。
[シネマジャーナル]
35号 (1996年1月)   pp.68--73
記事は、一部削除・更新してあります。(2002.01)

映画の周辺で

映画を楽しむための情報源
中国語圏やアジアの自主映画上映会やミニコミ誌を中心に

 三二号の「映画の周辺で」に、最近たくさん出現している香港映画関係のミニコミ誌のことや、 グループ紹介、アジアの音楽関係の本のことなどを書いたら、数人の読者の方から それらの連絡先とか購入方法などを教えてほしいという手紙をいただきました。 やはり東京と地方では情報収集格差があるようで、東京周辺以外の方からの問い合わせが 多かったのです。それでこのような企画を試みてみました。東京周辺だと CINECITY HONG KONG (TEL 03-5411-0838)や、 レンタルビデオ店アジア映画(TEL 03-3234-2202)、 アジア文庫(03-3259-7530)などに行くと、いろいろな ミニコミ誌が置いてあるし(シネマジャーナルも置かせていただいてます)、 最近ではタワーレコードやWAVE、HMVなどにも置いてあるところがあります。 定期的に出している、ミニコミ誌を中心にまとめてみました。

 ほんとに最近、いろいろな所でアジアの映画や音楽関係のミニコミ誌を見かけます。 既存の映画雑誌に載っているのは欧米系の情報ばかりで物足りなくなったアジア映画や 音楽の愛好者たちが自主的に情報を集めて、興味ある人と分かち合いたいということが 出発点なのかなと思います。その中でも香港映画関係のミニコミ誌のバラェティに 富んでいるのはピカ一です。また、パソコン通信を利用しての情報収集や情報の伝達の 速さには驚くものがあります。それに映画愛好者の団体やグループなども含めて 紹介したいと思います。紹介されないものもたくさんあると思いますがあしからず。



現代中国映画上映会

 私が中国映画を初めて観た八八年頃は中国映画祭はあったものの一般公開される 中国映画はまだほとんどなく、この頃は足繁く通わせていただきました。ここで観た 『青春祭』のおかげで、中国映画にのめり込んでいったのです。現在までに四〇本近い 中国映画をここで観ました。今ではもう、私にとっては何度も観た作品の上映が 多いのであまり通っていませんが、新しく中国映画に興味を持った人のためにも 前にやった映画の上映は必要だと思います。そして、 一般公開される中国映画が増えた今も、なかなか一般上映されないような作品も 上映されるので、とても貴重な存在です。

 まだ中国映画が日本で日の目をみていない一九七三年から始まり中国語を学ぶ学生や 中国映画に興味を持つ人たちのボランティアに支えられ、もう二二年も毎月のように 上映会を行なってきました。

 さて、この上映会の時にいつも会報が配られるのですが、これがとても充実して いるのです。上映される映画内容の解説は映画の概要のほか、時代背景や関連の出来事、 日本とのかかわりあいなど、とても広範囲にその映画のことを取りあげています。それに、 中国で話題の映画のこととか、撮影中の映画のことなど、最新の中国映画情報なども 載っていて、私も大変参考にさせていただきました。

 今でこそ、中国映画関係の本や、ビデオなどを置いてある店なども増えましたが、 ずっと以前から中国で出されている映画関係の本とか、日本では観ることが できなかったり、手に入らないビデオテープや映画音楽のテープ、自分たちで訳した 中国映画のシナリオなども上映会の時に販売されていて、私も映画音楽のテープとか 本を買ったりして、だいぷ利用させてもらいました。

▼連絡先 〒113-0033 東京都文京区本郷1-5-17 三洋ビル63 TEL 03-5689-3763



◆中国映画消息

 戦前中国に渡り、戦後も中国に残り、中国の映画製作所が再開されてからは 長春映画製作所や上海のアニメーションスタジオで延べ五年程働いた後、帰国した 森川和代さんが個人的に出している、今年で十一年目になる中国映画情報誌。 中国で出版されている映画雑誌から森川さんが選び、翻訳したものを載せています。 中国で映画と関わってきた森川さんが、中国映画のことを知ってほしいという願いを こめて、最初は映画業界の人たちあてに情報を提供する形で始めたのだそうです。

 中国で開催された映画祭の報告や撮影中の注目映画のこと、映画人の消息、 中国の映画賞の結果とか多岐に渡っています。なによりも日本ではなかなか得にくい 情報が載っているのが強みです。また森川さんはキネマ旬報社刊の〔中国・香港・台湾〕 中華電影人物.作品データブックの中で中華電影人名録にも執筆してます。

▼連絡先



◆電影風雲

 香港映画関係ミニコミ誌の老舗的存在。香港映画愛好者でこれを知らない人は モグリとも言えるくらい、よく知られたミニコミ誌。香港映画の解説と紹介、 一年間の動向や期待作品の紹介、ユニークな分析。それこそ、香港で公開された作品の 紹介から、日本の映画祭での上映作品まで、盛り沢山に載っています。資料も豊富だし、 香港映画ファンばかりでなくアジアの映画に興味を持つ人、必見のミニコミ誌です。

 年一回の発行で、最近の号は二〇〇ぺージにも及んでいます!

 香港映画の紹介がもちろんメインではあるけれど、中国、台湾、そして 日本公開作であれば、韓国や日本の作品までも、編集人の伊藤卓さんと 吉田真司さんが 興味を示した映画を載せています。日本でのアジア関係の作品上映がある映画祭の報告も 充実していて、九五年版は日本での映画祭の特集号で、日本でもこんなにたくさんの 映画祭で、香港映画をはじめとするアジアの映画が観られるようになったんだ、 と感慨深いものがありました。

 さらには編集発行人以外の人の投稿なども載せた「香港映画ファンは国境を越える」 という、香港以外の国や地域などで観た香港映画の報告があったり、「香港映画ファンは 聖地をめざす!」では、香港で観た映画の紹介や香港での体験記が載っていて、 とても面白い。この特集のおかげで、本場香港で映画を観るという人が増えたような 気がするし、香港芸能にはまって、年に何度も香港に映画や演唱會などを観に行くという リピーターたちの“流行”を作り出したのが、この企画だったのかもしれないなと 思います。

▼連絡先



◆CLUB香港仔

 香港の映画、音楽などに興味を持つ人たちの集まり。スタツフが香港まで行って、 スターにインタビューして直接話を聞いてきたものを会報に載せたり、ビデオにも 収めてきて、「CLUB香港仔決起集会」という、年二回開催されるイベントで上映して います。言葉では伝えきれない思わぬしぐさなどで、スターの意外なクセを見つけたり、 これがけっこう楽しめます。ビデオの撮影技術も少しづつUPしてきました。 このイベントでは日本公開予定映画の予告編を観たり、音楽の方ではなかなか日本では 観ることができないMTVなども上映されたりして、毎回日本各地から参加者がいます。 毎年、音楽と総合部門で人気投票があってこれも楽しみのひとつ。

▼連絡先



アジア映画通信

 九州発でアジア映画情報を出しているミニコミ誌。インド、シンガポール、香港など、 アジア各地の映画祭に出向き、その報告を中心に、東京国際映画祭や 山形ドキュメンタリー映画祭でのアジア映画上映の紹介なども載せています。

 福岡における民間の「福岡アジア映画祭」を主催する母体でもあります。東京でも 上映されないような貴重な作品も上映される映画祭で、アジア映画ファンなら一度は 行ってみたい映画祭です。九六年は一〇回目を迎え、七月五日〜一四日の予定です。 張元監督のレトロスペクティブで、MTV一〇本と新作『息子』の上映や、審査員には 許鞍華監督を呼ぶ予定にしているようです。

▼連絡先 〒810-0041 福岡市中央区大名2-4-31平子ビル4F アジア映画通信



アジアウェーブ

「アジアに親しもう、アジアを知ろう」を掲げた、アジアのイベント情報誌。 アジア各国からのニュースやトピックスを集めたぺージや、アジア関係の本の紹介、 イベント情報(映画、コンサート、舞踊、演劇、展覧会、スポーツ、集い、講演、講習会、 料理会)、新譜CD、アジア関連のグループの会員募集などを載せている月刊 ニュースレター。「隣人と肩を寄せ合おう」「アジアを考えよう」という趣旨のもとに、 東南アジア通信という定期刊行物を出しているアジア文化社が発行しています。

 楽しい情報あり、考えさせられる記事ありで、アジアが身近に感じられます。

▼連絡先 〒158-0083 東京都世田谷区奥沢7-15-13 アジア文化社



◆シネマ・アジア&スペース・アジア/ビデオ上映会

松岡 環

 「シネマ・アジア」は、もともとインド映画専門だった私が香港映画にも血迷った 八七・八年頃、非インド映画関連原稿を執筆する時の肩書きとしてでっち上げた名称です。 九五年九月、自宅にアジア関連イベント空間「スペース・アジア」をオープンしたのを 機会に、アジア映画のビデオ上映を楽しむ会として再出発させました。

 現在は毎月第二週の木・金・土にそれぞれ「ビデオが語るアジア・ポップス講座」 「アジア・ミュージカル映画の系譜」「インド映画最近のヒット集」というプログラムを やっています。(チラシ参照)。前二者のプログラムは香港から始めて、今後台湾、 東南アジアヘと移っていく予定。ビデオの版権問題があるため会員制とし、 初回に入会金一〇〇円を払って即入会、という形をとっています。一〇〇円の見返りは、 当方が以前出した印刷物で、あとはDMも会誌も一切なし。ビデオ上映とはいえ、 一〇〇インチスクリーンの映像は迫力満点。ぜひ、一度どうぞ。

二月の上映は、八(木)「香港勁歌金曲八八年度授賞式」、九(金)「楊家の女将軍」 (60/中国)、一〇(土)「ひととき」(91/インド)です。各回の会費は五〇〇円、 日本語字幕がないため解説書を配布しています。

 席が二〇しかありませんので、ご来場前に必ず予約を。

▼連絡先



以上、いろいろなグループを載せましたが、 間い合わせには必ず返信用切手を貼った封筒を入れるのをお忘れなく!

アジアの音楽関係のミニコミ誌や、定期物でないミニコミ誌などまだ紹介したいグループが ありますがこの辺で筆を置きます。

まとめ 宮崎





関連リンク:
我愛香港 のミニコミ紹介ページ: http://www5a.biglobe.ne.jp/‾yoshiji/page6.htm
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order@cinemajournal.net
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