宮崎 暁美(文&写真)
意外に好評で「続編はやらないの?」という要望もある、 三〇号・ 三一号の「香港ポップス/このカバー曲のもとうたは何」。 三一号に周華健がカバーした「花(すべての人の心に花を)」のことを載せた時、 この曲はいろいろな国でカバーされていると書きましたが、まさにこの曲をカバーしている アジアの歌い手が集まって開催されたのが、この「花コンサート」でした。 元歌は喜納昌吉とチャンプルーズの喜納昌吉が二〇才の時に作詞・作曲したもので、 オリジナルは1980年に発売されたセカンドアルバム『BLOOD LINE』 に収録されています。日本国内でも一五人くらいの人が歌っていて、『ひめゆりの塔』 では石嶺聡子さんが歌った「花」を主題歌として使っています。タイでも大ヒットして 何人もの人が歌っているし、香港出身で台湾で活躍していた周華健も北京語で歌い 中国語圏全域に広げました。アジアばかりでなくアメリカやアルゼンチンなどでもカバーされ、 世界中で「花」は歌われ、海外で歌われたこの曲のカバー集のアルバムも出ています。 コンサートではそれぞれ三曲から六曲くらい歌い、その人が持ち歌にした、 それぞれの国の言葉の「花」も歌いました。ですから五つの国の言葉で「花」 は歌われたのです。私にとっては日本語と北京語で歌われた「花」しか知らなかったので、 モンゴル語や韓国語、インドネシア語での「花」は初めて聞きました。それぞれの言葉の 持つ雰囲気やアレンジによって、同じ歌なのにずいぶん感じが違うなと思いました。 周華健は出すアルバムがことごとくヒットして、去年から香港でも大活躍でした。 香港の歌番組ではオーケストラバックのものしか見たことがなかったけれど、 ここではギター一本の弾き語りで歌ってくれました。ギターもとても巧かった! 三曲しか歌ってくれなかったけど、九四年の香港の音楽賞で創作歌賞をもらった 「昨晩已嫁給誰」もやってくれました。 今度はぜひ何人もの人がカバーしているという、タイ語の「花」が聞いてみたい。 周華健(エミール・チョウ) 世界の人に愛される『花』花コンサートにて羽原美紀 歌は世界の共通語というけれど、本当にこの夜は言語を越えて世界の人々が一つに なったようでした。コンサートの出演者の顔ぶれと私の印象を紹介します。 中国・内モンゴル生まれのウヨンタナの『花』〜『チェチェッグ|花〜長い歌』 で花コンサートは始まりました。ゆっくりとした穏やかなアレンジです。モンゴル語の 『故郷の歌』を声量のある彼女が歌うと、広々としたモンゴルの草原が頭に浮かびます。 胡弓と中国琴の演奏も優雅でした。 朴保&切狂言の韓国語の『花』〜『アリラン』は重いテーマを軽やかに歌った歌でした。 世界平和のための活動をしているそうで、平和へのおたけびとサックスがかっこよかったなぁ。 インドネシアのワルジーナは、すんごくインパクトあるオバサン。なのに南国らしい、 かわいい歌をいっぱい聞かせてくれました。通訳がなくてせっかくの話を聞けなかったのと、 生演奏でなかったのが残念…。 今年八月、語学研修で行っていた台湾で、運よく梅艶芳(アニタ・ムイ)のコンサートに 行けたんです。周華健がゲスト出演していて、彼が『花心』を歌ったとき、観客が み〜んな手で音頭を取って、一緒に歌っているのを見て、彼と彼の中国語版の『花』が、 中国語圏の人々に本当に好かれているのを感じました。 こんな思い出があるので、東京でまた『花心』を聴けて、めちゃめちゃ幸せです 彼は今回も観客に日本語で話しかけるなど、本当に いい人そうで、『花』を歌うのにふさわしい人だなぁと思いました。CDや台湾での コンサートとは違って、ギター一本の演奏を聞けたのも、すごく得しちゃったカンジです。 満を持して、トリの喜納昌吉&チャンプルーズが登場しました。 参加者全員で歌った『花』はもちろん素晴らしく、思わずちょっとこみあげそうに…。 しかし、ラストの『ハイサイおじさん』にはたまげましたよ。お客さんの「沖縄パワー」 はスゴイ! 立ってリズムにのる、なんてものじゃない! 体全身で踊る踊る! ステージに飛び乗ったって平気平気。「みんなで楽しいことをしている」という雰囲気が 本当によかったです。 世界の人と心を一つにして、お互いに理解しあうことなんて、実はそんなに難しい事では ないのかもしれないなと思いました。 |