推薦者:Y 推薦の言葉私は基本的に目が奥まリすぎたり、おどおどした視線や暗めの顔の俳優が好きでないのだけれど、 リーアム・ニーソンに関しては例外。たぶんそれは、 私のお気にいり映画『ダークマン』(私にとってサム・ライミ風「オペラ座の怪人」なのだ) の主役があまりに彼にぴったりしていたせいかも。したがって、 『ダークマン』を観てからは、必然的に私の"気になるあの人"のひとりになった。 キネ旬にも書かれている通リ、この作品で彼は素顔がほとんど出ない。 包帯グルグル巻きの顔とか、特殊メイクをほどこした顔が大半。それでも、 包帯の隙間からもれる彼の視線には、怒りが込められていたし、長身( 『ダーティーハリー5』でかのクリント・イーストウッドと向かい合うシーンがあるけれど、 ニーソンの方が背が高い!っということは、190cmを軽く越えている!)ゆえ少々猫背の後姿には、 哀愁が漂っていた。もしかしたら、彼ってスゴイ俳優なのかも?!なんて思っていたら、 『シンドラーのリスト』の主役。もういうことありません。素晴らしかったですよ、 シンドラー役は。 次作は、ジョディ・フォスターからご指名を受けた作品とか。期待してます。 1953年北アイルランドの生まれ。三人の姉妹に挟まれた一人息子。 LIAM は William John を短くした名。ベルファストのクィーンズカレッジと ニューキャッスルの師範学校に入学するが、演劇の道に進むべく中退。 75年ベルファストのリリックシアターで初舞台を踏む。 2年後ダブリンのアビー・シアターの舞台に出演している時に、 ジョン・ブアマンの目にとまリ同監督の81年の作品『エクスカリバー』 で映画界にデビュー。その後ロンドンの舞台でも成功をおさめTVなどで活躍する一方、 『バウンティ』『ミッション』に出演。87年にはロサンゼルスに渡り、 英・米両国での俳優活動を開始する。 『容疑者』では殺人容疑をかけられる聾唖の帰還兵という難しい役柄を演じ、 ロックスターを夢見る少女たちを描いた青春もの『サティスファクション』にも出演。 二年間で七本の映画に出演した。 そして90年には堂々の主役『ダークマン』で名をあげる。 その後も『嵐の中で輝いて』『奇跡を呼ぶ男』など準主役で、 印象的な役柄をこなし、ウディ・アレンの『夫たち、妻たち』では、 ジュディ・デイビスとミア・ファローのふたりと恋に落ちるダンディな男を演じ、 続く『マンハッタン殺人ミステリー』にも出演している。 これだけの映画に出演する一方で、舞台での活動も続けており、 ブロード・ウエイでスマッシュ・ヒットとなったユージン・オニールの 「アンナ・クリスティ」はトニー賞にノミネートされた。 この舞台を観たスピルバーグが、ニーソンのカリスマ性やセックス・アピールを見込んで 彼をシンドラー役に抜擢したのは有名な話。 このシンドラー役は当初ハリソン・フォードが最有力候補だったとか。 この『シンドラーのリスト』で真撃な演劇活動が実り、 一躍世界中に名が広まったニーソンだけれど、私生活の華やかさ?でも有名らしい。 『エクスカリバー』で知り合ったヘレン・ミレンとは80年代半ばに四年ほどロンドンで同棲生活を送り、 『サティスファクション』で知り合った無名時代のジュリア・ロバーツとも ほんの少しの間同棲していたとのこと。 (このミレンとロバーツ、全然共通点がないみたいなんですけど? ニーソン氏の女性の好みが全くわからん) しかし、ロバーツが『マグノリアの花たち』で共演したディラン・マクダーモットの元に走り、 ニーソンはひどく傷ついたらしい。ほかにも彼と浮名を流した女性は、 シンニード・オコナー! バーバラ・ストライサンド!! ブルック・シールズ! ジェニファー・グレイ! など超有名アーチストぱかり!!! 極めつけは、前述の「アンナ・カレーニナ」で共演した女優ナターシャ・リチャードソンが 夫であるプロデューサー、ロバート・フォックス (イギリスの名優エドワード&ジェームズ・フォックスとは兄弟)の元を去り、 ニーソンに走ったという一件。ちなみにナターシャ・リチャードソンは、 日本では『ゴシック』『侍女の物語』 などで知られるイギリスの美人女優。 彼女の父親は、『蜜の味』や『長距離ランナーの孤独』 『ホテル・ニュー・ハンプシャー』などで知られる 60年代フリーシネマ運動にかかわったトニー・リチャードソン監督、 母親は、『ジュリア』や『裸足のイサドラ』などの映画や 積極的な政治活動で有名なバネッサ・レッドグレーブ。 とまあ、まことに男冥利につきる女性遍歴?をしているニーソン氏だけれど、 この資料を読んだ時には、有名女優がこぞって恋するほど彼って そんなにステキな人なのかなあ?と疑問をもったわけだけれど、 このコーナーを書くにあたって改めていろんな作品を観ていると、 なるほど、自立してていかにもしっかりした女性ほど思わずコロリといきそうな セックス・アピールをもっている人なんだなあと感心。 声質も落ち着いているし、背も非常に高く、マッチョでない程度に引き締まっているので (わりと裸になるシーンがある)制服、スーツ、白衣となんでも似合ってしまう。 それになんといっても知性的で、意外に眼鏡がよく似合う人。 まるで『夫たち、妻たち』の役柄そのもの。家庭的な温かさというのではないけれど、 なぜかホッと頼ってしまいたくなる包容力を漂わせた人。 [主なフィルモグラフィー]
◆『』内は邦題。『』外は原題。 ◆( )内は製作年度、製作国、監督名 ◆以上は主にキネマ旬報、電影双周刊、GQ march 1994を参考にしました。 [推薦者への質問]演技力はあると思う? 作品の寸評をどうぞ 1789年に、乗務員の反乱がもとでイギリス海軍の戦艦バウンティ号が、 南太平洋上で消えた事件を史実に忠実に扱った大作。 (謎の多い有名な事件なので、過去二回も映画化されている) 一つの戦艦に長期にわたり厳しい規則のもとに乗り合わせた乗務員と士官の人物関係、 心情がよく描かれていて反乱の動機までの経緯がきちんと描かれているので見応えは十分。 それに出演陣が超豪華。(今年のアカデミー賞主演男優候補5人の内三人が出てる!) 主役のブライ艦長にはアンソニー・ホプキンス、 反乱の首謀者になるクリスチャン一等航海士(副艦長)には、メル・ギブソン、 嫌味な副艦長にはダニエル・デイ・ルイス、この三人が卓を囲むシーンは、 思わずお〜っと声を上げてしまった。で、チョイ出だけれど、 ブライ艦長の審議にあたる上官には、ローレンス・オリビエ、 エドワード・フオックスといった具合。特に、メル・ギブソンが 『リーサル・ウエポン』のマッチョおじさんと思っている人は、 彼の演技者たる面が観れてお得かも。 どのお方もイギリス海軍のかっこいい制服が似合っていて (特にダニエル・デイ・ルイス)グッド。 『ミッション』 ご存じジェレミー・アイアンズ&ロバート・デニーロ主演感動作。 イエズス会神父が国家の利害の犠牲になり、信念に生き、死していく壮絶な物語ゆえ、 数々の賞を獲った作品だし、爆布落ちのシーンの撮影で事故死したスタントマンが いたとかいないとかのデマもとんだり、エンリオ・モリコーネの音楽が大変美しく、 わりと記憶に残っている作品だったけれど、ニーソン氏には気づきませんでした。 でも出てます。彼は、ジェレミー・アイアンズとともに地上の楽園(南米) で伝導活動に生き、殉教死するフィールディング神父役。 時代背景がなぜか『バウンティ』と同じ18世紀で実話が元になっているのもなぜか同じ。 こちらでは、僧衣姿がなかなかお似合い。 奴隷商人から改心して見習い神父になるデ・ニーロを支え励ます心優しい神父様。 彼が船上で敵の銃弾に倒れるシーンは、ちょっとあっさリしすぎてて疑問だったけれど、 なんといっても主役はデニーロとアイアンズだものしょうがないか 『明日があるなら』 シドニー・シェルダンのベストセラーのTVドラマ化した作品。 主演は、マドリン・スミスとトム・ベレンジャー。ビデオの一巻目は、 スミスの人生転落と見事な這い上がりで復讐を果たす展開で、 クサイくらいにドラマチック。(『バクダッド・カフェ』のCCHパウダーが、 刑務所でスミスと同房の女囚役で出てます) だから、ア〜ララっていう感じでついつい力を込めて観てしまったけれど、 それ以降は別に〜てな感じ。ともかく意地で最後まで観たけれど、 全然頭を使いたくない時にかる〜く観れるドラマです。 ニーソンは舞台がフランスに移った時にだけちょっとでてくる、 インターポールだかなんだかの刑事役。 はっきりいってよく覚えてません…ぐらいの役です。 『容疑者』 シェールが官選弁護人を演じた、サスペンスもの。 彼女に弁護されるホームレスの容疑者がニーソンの役どころ。 髭・髪ボウボウのみすぼらしさに彼の暗い視線は、ホームレスの哀愁を引き立たせているし、 加えて聾唖という設定だけに、体全体で怒りを爆発させる彼の力演には、 グっとくるものが…。ベトナム帰還兵の虐げられた現状にも触れながら、 アメリカの法曹界の汚れた裏側も垣間見ることもできる、観て損はしない作品でしょう。 『死にゆく者への祈り』 ミッキー・ロークの作品の中で私が一番好きな作品。原作はジャック・ヒギンズ。 アイルランド・ロンドンを舞台にした静謐な味わいのある作品なので、オススメ。 ロークはIRAのメンバーで天才的スナイパー役で、ある事件の失敗を機に足抜けし、 かつての同志にも警察にも追われる身に…と、まさにロークのハマリ役。 近年俳優業以外で(つまりボクシング)ミソをつけてしまってイマイチの彼だけれど、 また俳優業に励んでほしいものです。 『情熱の代償』 どうも原題が違うんだけどこの作品、『THE GOOD MOTHER』のことだと思います。 以前、ダイアン・キートンの話題作として情報が入ってきた時には、 『THE GOOD MOTHER』のタイトルでこの映画とストーリーがほぽ同じだったようなのですが。 くわしく知っている方教えて下さい。 『ダーテイーハリー5』 ご存じクリント・イーストウッドのダーティーハリーシリーズ第5弾。 私はこのシリーズが好きなので、どの作品も何回も観ているのだけれど、 面白くなかった4弾を覆し、この5弾は面白かった。 ここでのニーソン氏は、「殺しと暴力のスリルで私の映画はあたる」とか 「みんな私の才能を妬んでる」などと暴言を吐く、 三流ホラー映画監督ピーター・スワン役。いかにも敵の多そうな、イヤな奴。 こんな陰気な人じゃ犯人にまちがわれてもしょうがないかと思うほどオドオドした視線の彼。 観客を惑わす力はかなリのもの。 『プランケット城への招待』 昨年『クライング・ゲーム』で話題をまいたニール・ジョーダンの作品だけれど、 この作品はイマイチ。監督の故郷アイルランドを舞台にしたお話なので期待したけど、 どうもスキっと笑えないコメディで…。 ニーソン氏も同郷の監督の作品だから出演したのかな? と思えるほど、つまらないゴースト役。意味もなく粗野で魅力薄。 『サティスファクション』 ロックスターを夢見る少女たちを描いた青春もの。 へ〜なんだ青春ものっとバカにしてはいけません。 青春ものというと男の子が主人公の作品が多いのだけれど、これは、 しっかり者のリーダー、ジャスティン・ベイトマン (『ファミリー・タイズ』でマイケル・J・フォックスの妹役で有名)を中心に 四人の女の子の音楽にかける情熱と絆をしっかり描いていて、結構ホロっとくる作品。 (よくみたら、女性監督だったんですね、この作品。) リーアム氏はもちろん脇だけど、彼女たちに仕事を与えるプロモーター役。 かつては有名作曲家だった彼が、今は酒浸リの日々。ベイトマンとの恋も芽生えるけれど、 彼女の将来をつみとってはいけないとベイトマンを突放す、全くもってイイ男。 ピアノを弾くシーンはどうも似合わなかったけれど、 引き立て役には十分過ぎるくらいの存在感はありました。 出演は他に、トリニ・アルヴァラード(『ステラ』でベット・ミドラーの娘を演じてた)、 ジュリア・ロバーツなど。ロバーツは、オツムも男にも弱いオバカさんな役。 この作品で、彼女と恋に落ちたリーアム氏っていったい…?。 『ひと夏の青春』 偶然テレビ埼玉で観た拾いものの一作。 舞台は、第一次大戦後のマンチェスター近くの工場の田舎町で、 美しい自然の中で成長していくティム少年が主人公。 町から来た活発な少女と彼との無邪気な交流や 突然の工場閉鎖で町全体が失業に陥り不穏になっていく町の人々を叙情的に描いていて、 じんわりと感動が広がっていく作品。 『ダークマン』 弁護士である恋人が受け持った事件に巻き込まれ研究所を爆発され、 人目にさらされないほどの火傷を追った科学者役。恋人を守るため、 一度は捨てた命を復讐にかける、陰のヒーローは、 もしかしてリーアム氏だからできた役かもしれない。 スピード感あふれるアクションや特殊メイクの秀逸さはもちろんだけれど、 下手な恋愛劇よリも愛情の奥深さを堪能できる作品だと思うのだけれど。 『疑惑に抱かれて』 舞台は50年代のイギリス。離婚工作を生業とする落ちぶれ探偵、トニー・アーロンが ニーソン氏の役どころ。リスキーな仕事ゆえ巻き込まれる殺人事件の容疑者になり、 死刑執行ギリギリまでいくが…。後半の二転三転のどんでん返しに、 思わず手に汗握るサスペンス。まだ観ていない人のために結論はいわないけれど、 ラストの苦々しい彼の表情は実に意味深。寒々しいイギリスの風景にこ汚い探偵事務所。 人生の裏街道を歩く男は、やっぱりニーソン氏にピッタリ。 『嵐の中で輝いて』 原題を直訳したこの邦題ってなんとなく陳腐。っと内容もとりあえずは面白いんだけど、 主題の第二次大戦中にスパイとしてナチ側に潜入するアメリカ女性の活躍はどこへやら、 主役のメラニー・グリフィスと彼女の上司マイケル・ダグラスの あま〜いあま〜い恋愛劇がいつの間にかメインになっちゃって、わけがわからない作品。 『奇跡を呼ぶ男』 主役はあくまでも、口八丁手八丁のスティーブ・マーチン。 彼が演じるインチキ伝道士のパフォーマンスのスゴサにとにかく舌を巻く。 (よくアメリカ映画にこの手のインチキくさいテレビ伝道士が出てくるんだけど、 あんなのを信じる人ってほんとにいるのかしら? でもあの話術にコロッといくのが人情ってものなのかな?) そのマーチン一行(豪華なバスで全国を巡業する総勢二十人ほどの伝道集団)が、 立ち寄るとある田舎町の保安官がリーアム氏の役。巧妙な話術とパフォーマンスで、 町の人々がなけなしの金を巻き上げられていくのを、 見るに見兼ねて阻止しようとする孤高の正義漢。 マーチンの腕利きのパートナー、デボラ・ウィンガーが、 嘘で固めたようなマーチンから離れて、正直なリーアム氏に惹かれていくのも納得。 めずらしく恋愛下手な朴訥な男を演じている彼もなぜか新鮮。 彼がウィンガーと一緒にアゲハチョウと戯れるシーンは、縛麗だし、 ほのぼのとしていてグッド。作品自体も人生泣き笑いのコメディで、オススメ。 『ルビー・カイロ』 ご存じ、あの角川の映画。まあ全うなサスペンスものだけど、 特に目新しいものもなかったような…。まあ主演のアンディ・マクダエルと 世界旅行もどきができるのはお得ってとこかな。リーアム氏は、 旅先の彼女と出会う魅力的なラム博士役。「世界の飢餓を救う会」 を主宰している一見好人物に見える男なのだけれど、なんとなく怪しげな雰囲気も。 でもラストをみるとなあ〜んだヤッパリいい人だったのね。惑わせてくれます全く。 『夫たち、妻たち』 リーアム氏を初めて観たとき、この人案外ウディ・アレン印の映画に 似合うかもしれないと思っていたら、やっぱり出演してたんですね。ここでの彼は、 初めにジュディ・デイビス、次にミア・ファローと恋愛関係になる、知的でセクシーな役。 別に演じることもないんじゃないかと思うほどイメージそのまま。 女二人男一人の三角関係で悩むなんて、ほんとお得な男性。 まあ私だって、ウディ・アレンとリーアム・ニーソンを並べられたら、 リーアムさんを選んでしまうわな。それにしても、 この作品でのミア・ファロー演じる女性を評して最初の夫が 「彼女はカマトトぶって、何でも手に入れる女だ」って言ってたのには笑ってしまった。 こういう女性いますよねわリと。それからふと思ったんだけど、 アメリカでは男性が女性にコーヒーメーカーをプレゼントするのって 女性を軽くみるってことなのかしら? つまリ専業主婦になれって強要してるような意味に とられるのかな?『花嫁のパパ』ではこれが素で花嫁になる娘がひどく怒って ケンカしてたシーンがあったんだけど…。 『シンドラーのリスト』 いうことありません! 素晴らしいです! ニーソン氏の代表作!! アカデミー賞主演男優賞は、残念だったけど、 強豪がぞろぞろいたからしょうがないでしょう。 今年に入って長時間の映画にもかかわらず、言葉が出ないほど圧倒された映画は、 『さらばわが愛 覇王別姫』とこの作品。 はやくも94年のベスト20の内2作品が決まってしまいました。 好きな作品は? 最後に言いたいことは?
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