推薦者:雀&Y 推薦の言葉(雀) 《亜州影帝》のチョウ・ユンファ、華仔の愛称の通り華やかなアンディ・ラウ、 すっかり演技派になったレスリー・チャン、etc. 香港男星数々あれど、 その中に地味ながら私が気になっている存在、それが、ウェイス・リーことレイ・チーホン。 主役はほとんど観てないけれど、この人が出ていると嬉しくなってしまう、 そんな人です。 (Y) この人を初めて観たのはもちろん『男たちの挽歌』。 私好みのハッキリした顔立ちの人だなあ、でもちょっと地味か…などと思いながら、 なんとなく気になってた人。で、『客途秋恨』を観たら彼が出てる! この人ってこんな演技派だったのか…と作品の感動とは違うところでちょっと感激。 と、しばらくして『阮玲玉』を観たらまた彼が出てる! 出番は少しだったけど、いい味出してるなぁなどと感心。 それならいっそ彼の作品を出来るだけ観ようと思って探したら、 彼が出演してる作品群ではほんの一部だけど、日本でビデオ化されてるのが11本。 予想外に多くて嬉しさあまって片っ端から観まくってしまった。 中にはう〜んイマイチかなっていう作品もあったけど、 彼も香港著名影星の名に恥じない、なんでもこい!の俳優だったんですねぇ。 恐れ入りました。 1959年生まれ。イギリス人を祖母に持つ。公務員を経て、 82年にTVBの俳優養成コースを修了。 その後TVCMに出演中ジョン・ウー監督にスカウトされ、『男たちの挽歌』 で鮮烈映画デビュー。この作品で演じた裏切者のシン役があまりに印象的だったため、 同一イメージの役柄のオファーが多かったらしい。主演作は88年の『城市特警』 (日本では未公開)など。89年にはツイ・ハークの会社と契約し、 『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー2』他で、芸域の広さを示した。 90年よりフリーになり、年間十本余りの映画に出演する多忙な俳優の一人。 93年はテレピ出演が多く同時に悪役からのイメージチェンジを図っているとのこと。 93年末に主演映画を撮る予定。 * [主なフィルモグラフィー]
【推薦者への質問】演技力はあると思う?(雀) もろろん!私が魅かれたのもここ。『男たちの挽歌』の悪役と『大丈夫日記』 のお人好しが同一人物とは思えないよ〜。 (Y) 当然。香港電影が元気なのは彼のように脇で光る (主役もあるけどなぜか複数一組の主役というパターンが彼にはハマっている) 人もいるからじゃないのかしら? 作品の寸評をどうぞ『男たちの挽歌』(雀) 初めはおとなしそうな素振りでホー(ティ・ロン)とマーク(ユンファ) にくっついていたのに、二人が落ちぶれた途端に裏街道を躯け上がっていく野心家。 涙無くしては観られないマークの最期の場面。 撃ったのはにっくきシン(チーホン)。これが映画初出演とは信じられない憎らしさだった。 なにしろ私は『大丈夫日記』を先に観ていたので、 チーホンの堂々とした悪役ぶりに驚いた。 (Y) 白のコートを翻し子分を従え堂々と歩く姿は、憎らしくも貫禄に満ちてステキだった。 足が不自由になったマークに「これは昼飯代だ」と道端に札びらを落として 去っていくシーンは、彼のノド元を締めたいくらい憎らしかったけど、 (それだけ堂に入っていてウマイんですね)義理人情なんかおかまいなしの 徹底した悪ぶりは、何度みても拍手を送りたい。 『ガンメン』(雀) レオン・力ーフェイが出ているというのでか?、最近になって発掘公開された。 チーホンは中国内線での隊長。戦友だったカーフェイに誘われ、 上海の悪を撲滅する警官に。無口な役で、あまり台詞はない。 それでも仲間四人組のお兄さん的存在で、いい味出してる。 妻子あるカーフェイに惚れて死んでいく娼婦(エリザベス・リー) を見つめる視線がとても優しかった。 (Y) 古装物でしかその姿を拝んでなかった鄭少秋(アダム・チェン)が洋装で、しかも悪役。 なかなかスゴ味があってよかった。お話はなんだか、『アンタッチャブル』 (レオン・カーフェイに妻と娘がいるところや血文字を書くシーンなど) に必殺仕事人を足したみたいな展開だったけど、 ショットガン持参の四人横並び姿がかっこよかったし、音楽もよくてとりあえずは満足。 チーホンはここではホント地味な役。(雀)さんのいう通りセリフ少なかったし。 でもアクション部分ではなかなかの活躍。彼が演じたエリザベス・リーに思いを 告げられないまま彼女を失ってしまういじらしい男はレオン・カーフェイ演ずる かっこいい男とは違ったところで、感動できるキャラクターだと思う。 『シティ・オブ・フユーリー』(Y) チーホンは三人一組(あとの二人はマイケル・ウォン〔王敏雄〕 フィリップ・チャン〔陳欣健〕)の主役。 ここでは『男たちの挽歌』でのシン役を逆手にとったような男の役で、 根っからの悪人であるいとこに義理を立てて命をかけてかばい通し、 裏切り者でもないのに裏切り者だと疑われる気の毒な男なのだ。 マイケル・ウォンの妻に横恋慕(といっても元は彼の恋人で、 彼女に未練タラタラというわけ)してることが発端で、ひどい仕打ちに合うわけだが、 さわやかで明るいマイケル・ウォンとは好対照に、 チーホンは胸にいつもなにか秘しているような暗〜い男。それでも、 ウォンとサッカーに興じる(学生時代選手だったウォンがうまいのは当然だが、 チーホンもかなりサッカーがうまい)時なんかは笑顔もみせる。 英語もきれいに話すみたいだし、彼ってわりと器用な人なのかもしれない。 『大丈夫日記』(雀) サリー・イップとジョイ・ウォンの二人の美女と重婚してしまったユンファの親友役。 バレないように嘘をつきまくるユンファにアゴで使われて、 偽装工作のためにヘトヘトになったり、恋人との仲も危うくなったり、可哀相なヤツ。 役名もそのままチーホンで、おまけに漢字も《子》と《雄》なので、 日本人の私にも名前を覚えやすかった。 (Y) いわずと知れたチョウ・ユンファの代表作で、香港映画の代表作でしょう、この作品。 とんでもない歌唱力で"植木等になっちゃう"チョウ・ユンファには、言葉もないけれど、 負けずにお人好しで大間抜けなチーホンもホント"ベリー・ナイシー"な男。 ユンファのお陰で寝不足になるわ、鼻先でアンモニアを嗅がされるわ、 ケーキに顔を突っ込まれるわでも、ほとんど怒らない。ケッサクなのは、 会社で居眠りしてるのがバレないように、瞼に絵に書いた目を付けているところ。 細かいシーンだけど、観おわった後何日かこのシーンを思い出し笑いしてしまった。 ついでに結末もおっとっとの爆笑大団円。 『客途秋恨』(雀) アン・ホイ監督の自伝的母娘もの。終戦直後に中国人と結婚して大陸に践った日本人の母・ 葵子(ル・シャオファン)と、母の孤独を理解できずに衝突していた娘(マギー・チャン)。 なんとチーホンは父親の役。マギーと五歳しか違わないのに! 本人も「大挑戦」 だったとお気にいり。葵子につたない日本語でプロポーズする場面もいいが、 「お母さんを責めるな。お母さんを孤独にしたのは私の責任なんだ」 と娘を叱る場面がとても良かった。 (Y) 小誌の20号の表紙を飾った、 女性にはグっとくる作品。チーホンの出番はさして多くないけれど、 妻をいたわる彼の優しい物腰には、思わずドキっとしてしまった。 『大丈夫日記』でもそうだけど、彼はヤクザ風の扮装より サラリーマン姿の方が似合ってる。 『ワイルド・ブリット』(雀) ジョン・ウー的『ディア・ハンター』。私は雨の降る土曜日に 七、八人しかお客のいない映画館で観ました。チーホンは『男たちの挽歌』のシン路線。 金のために親友二人(トニー・レオン&ジャッキー・チュン)を裏切る役。 ベトナムの極限状態で、人間の醜さを見せつける。その意味ではシンよりも怖い役柄。 (Y) 香港ノワール&アクションものの中では、ジョン・ウーの作品が好みなので、 この作品もお気にいりの一つ。ここでもチーホンは三人組の主役の一人。 オープニングのトニー・レオンの上手いダンスや三人が自転車で埠頭?を競走するシーンなんかは、 中盤から後半のハードなシーンと対照的できれい。沈着なレオン (戦争で焼きだされた群衆の中に彼が溶け込むシーンが忘れられない)、 純ゆえに貧乏クジを引くチュン(レオンの結婚資金を危ない橋を渡ってまで用意してあげる 〔そういえば『いますぐ抱きしめたい』でも同じようなシーンがあったなあ〕 ところなどは、彼らしさが活きる役柄だと思う)とは違って、チーホンは初めから 「貧乏はイヤだ」を連発する、金の亡者。仲間よりも金。 海中に落ちたお金を拾いまくる浅ましい姿は、寒気がするほどだった。 『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー2』(Y) レスリー・チャン、ジョイ・ウォン、ジャッキー・チュン、 ウー・マ、ミシェル・リーの豪華メンバーの作品だけど、チーホンも出てます。 彼の役どころは、ジョイ&ミシェル美人姉妹の父親である汚名を着せられた大臣を護送する、ウー隊長。 背中に劔を沢山背負って、バッサバッサと妖怪を斬るなんともりりしいお姿は、 誠にアッパレ。それに正義を貫く誠意ある人物だったし、脇役ながら印象的。 口髭もなかなか似合ってたけど、額の生え際が少々後退してて気になってしまった。 古装姿のチーホンもよいよい。 『スパイゲーム』(Y) これ香港と日本の合作なんですよね。だから、日本人と香港人が均等割で出てる。 前半は事件の発端になる日本が舞台で話がまどろこしいんだけど、 舞台が香港に移ると一気に面白くなる。主役は泉本教子とケニー・ビーなんだけど、 ビデオのジャケットをみるとまるで時任三郎とジョイ・ウォンが主役みたい。 このふたり出てるには出てるけど、おまけの役です。 『ケネディタウン・ストーリー』(Y) なぜかこの映画ビデオ店になかなかない。やっとの思いで見つけました、 やはり日本で名の知れた俳優が出てないとダメなのかな。でも、 苦労のかいあっていい作品でよかった。 『阮玲玉』(雀) 実在の映画プロデユーサー、黎民偉。出番は少ないが、愛妻家 (妻の役はセシリア・イップ)という雰囲気でなかなか印象に残った。 『ミスティ』(Y) 一見レオン・カーフェイの作品のようだけど、その実イギリスが舞台の グロリア・イップの青春ものなんです、この作品。チーホンは、 グロリアの血の繋がらない父親役で、悪。 そして彼の忠臣がレオン・力ーフェイというわけ。 チーホンはいつかグロリアを自分の女にしようと思ってるイヤラシイ義父役なんだけど、 彼にはオジサンくさいいやらしさがないみたいで(ホントはいいことなんだけど)、 この面ではイマイチ。かっこよさで押し通すレオン・カーフェイとは相反して、 キザなんだけどぶざまなチーホンの役まわりはちょっと気の毒。 彼の情婦を演っているキャリー・ウーはよかったんだけど、 ピンとこなかったなあこの作品。 オマケ
|