女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。
[シネマジャーナル]
14号 (1990.04)  p.26
『セックスと嘘とビデオテープ』記事一覧

彼等の悩みは、セックスだけなの?

『セックスと嘘とビデオテープ』を観て

R. 佐藤

映画を観ていると映画自体はあまり好きでなくとも、 でてくる人の誰かは好きということがあって、 高いお金払って損をしたなって気持ちはあまりないのだけれど… この映画は、思い入れの出来る人もでてこないし…どうってことのない内容でほんと、 お金返してよと私は言いたい。

娘は、あのインポ男がかわゆーいとかなんとか言っていたけど、 あんな男のどこがいいのよ。どこが魅力的なの、と私はいいたい。 (娘は俳優としての彼がいいといったのだろうけど…) 自分のセックス感覚を満足させるために、 女たちにセックス体験を語らせているところをビデオで撮って、 ひとりひっそり観るなんて変態としか思えない。彼の生活が描かれてないのも不満だ。 彼の仕事はいかがわしいビデオを売るのではないのかと誰かが言っていたけど、 それならそれで、メチャメチャにいかがわしい風に生きてればそれはそれで、 魅力的なのだがそうでもなさそうで、何で食べてんだかわからないけど ビデオを撮るだけのお金はあるらしい。 妹に亭主を寝取られた腹癒せで、 そんなビデオ収集男と寝ようとする主人公の奥さんも奥さんで… その結果なぜか収集男の“病気”が直ってしまうのも漫画的。 これは、不倫映画というより、セックスカウンセラー映画にすぎないのでは。 夫はそれなりに張り切って義妹と寝てるし、 妹もそれなりにバイタリティーがあって頼もしいとおもうんだけど… なーにもしない美しいお姉さまが、 暇にまかせて私のセックスはどうしてくれるのって言ったって、 そんなのどーぞ御勝手に、インポの男とでも、 どなたとでもさっさとしたらいいじゃないとしかいいようがない。

この映画は、こんな美しい妻がいるのに夫はなぜ、不倫するのというテーマではなく、 不能の男がよみがえるまでというのが主たるテーマなのでは。 そして、この映画を撮るという過程で監督の個人的な悩みも解決していったという 解説を信じるなら、ええ?私たちはそれにつき合わされただけなのかと、 余計あほらしくなってしまった。


これ以上私は書けません。

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