女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。
[シネマジャーナル]
40号   p. 60

張國榮日本演唱會



宮崎 暁美

 次々と来日公演が続くアジアのアーティストたち。今度はレスリーがやって来た。 香港でのコンサート情報で、かなりゲイイメージを強調した過激なコンサートと聞いていたのので、 とても期待していたのだけど、その割りにはおとなしかったかな、というのが印象。 香港でのコンサートはそのセクシーで際どい演出により、賛否両論あったそうだけど、 たくさんの人の支持で大成功に終わっている。

 日本のカバー曲全盛時代(80年代)の歌手である彼の歌は日本の歌のカバー曲も多く、 吉川晃司の「モニカ」のカバー曲「MONICA」や、山口百恵の「さよならの向こう側」 のカバー曲「風繼續吹」など、日本人にとっては馴染みの曲も歌い、 彼の曲を聞いたことがない人にも受け入れ易かったかもしれない。 二七曲ぐらい歌った中で約十曲が『さらばわが愛』や『君さえいれば』『欲望の翼』 『花の影』『白髪魔女傳』など、映画の主題歌や挿入歌だった。

 コンサート前に最新アルバム「紅」を聞いたときは、何回聞いてもメロディが入ってこなかったので、 コンサートではノレないんじゃないかって思っていた。 でも、コンサートではかつてのヒット曲や、復帰後のアルバムの曲とバランスよく入っていて楽しめた。 スパンコールをちりばめたいろいろな衣装もすごかったけど、何といっても見所はマリリンモンロー風レスリーと、 赤いハイヒール姿で踊るタンゴ。 詳しくは片岡さんのリポートを楽しみに。

 ゲストには『天使の涙』で去年の香港金像奨の助演女優賞を獲った、莫文蔚。 注目のアルバム「全身莫文蔚」からの曲「潮濕」を歌い、レスリーともデュエットで 「只怕不再過上」を歌った。意外に歌がうまい。でも私の個人的な思い入れでは、 香港のコンサートで「夜半歌聲」をレスリーとデュエットした、 辛暁(王其)(シン・シャオチー)の九五年の大ヒット曲「味道」を聞きたかったなあ。

 ラスト三曲は心憎い選曲。『男たちの挽歌』主題歌の「當年情」、 テレサ・テンが歌って大ヒットした「月亮代表我的心」、 これは在日中国人に向けたレスリーからのプレゼントだろう。 『フルブラッド』『いつの日かこの愛を』の主題歌でもある。 そして最後は『君さえいれば』の主題曲「追」。みんな一緒に歌っていた。

 今回のコンサートは香港同様、日本でもすごく良かったと思う人と、 引いてしまった人に分かれているみたい。見に行く予定のなかった友人に、 一日目を見た私が「良かったら見に行っておいた方がいいよ」 と声を掛けたら二日目に来たのだけれど、「私はこういうの、ちょっとダメだわ」 と言われてしまった。一緒に行った友人も引いてしまって「もう、 今度からレスリーの映画が来ても見に行く気がしなくなっちゃった」 なんて言い出す始末。まあ、人様々です。私は面白かったんだけどなあ。

東京国際フォーラムにて '97 1/25, 26

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