女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。
[シネマジャーナル]
40号   pp. 19 -- 21
1996年度 読者&スタッフが選ぶベストテン

96劇場映画ベスト25
(外国映画20本・日本映画5本)

山本



 今回辺りから私も中華圏映画ベストを組もうかなーと考えたのですが、 いざ考え始めると公開数が少ないだけに却ってあれもこれも入れたくなるし、 考える程にベスト10でも5でもスワリが悪いので外国映画20本でくくり、 珍しく10本でもOKだった日本映画を5本に絞りました。



  • 私に近い6人の他人
     よく書けた、しゃれてて軽いミステリを読んでるみたい。心地よい刺激のある面白さ。

  • ストレンジ・デイズ
     弱っちいファインズがとても良く、脇役も言う事ない。

  • セブン
     この時期ブラピでこれだもの当たらないハズはない。タイトルロールが出色で 正にドツボなハマリ!

  • デスペラード
     指笛を鳴らし、ひゅーと掛け声をかけてしまうカッコ良さ!実は兄役も好き。

  • デッドマン
     死は恐れるものでもないものなのだなどと考えもしたし、死と共に生きる自然も 感じたし。小鹿と横たわるデップに涙滲んだ。

  • リトル・オデッサ
     静かなだけにぐっとくるものが。ティム・ロスがいいのは言う迄もない。

  • ブロークン・アロー
     いやぁー興奮!予定ブっちぎって2回続けて観てしまった。 スローモーション、ケレン味たっぷり。S・マシスの活躍も気持ちいい。

  • キャリントン
     屋敷の外から中に居る人々の幸せを見つめるキャリントンがあまりにも印象的。 肉体的に結ばれずとも、その人の魂と精神を愛し抜くと言う事の苦しくひたむきな 情熱にボロボロ涙してしまった。

  • ユリシーズの瞳
     こういう映画を観る度に、平和ボケの私は罪悪感さえ覚えてしまう。 私が何をしていようと何処で理不尽に人が死んでゆく。書けないけれど、 とてもいろいろ考えさせられた。

  • 天與地
     前に書いたけど、アンディの真面目な人格がうかがえる真摯な作品。 ラストはやっぱり辛いな。

  • ターゲット・ブルー
     リー・リンチェイのアクション何でも来い!!

  • 12モンキーズ
     B・ピットって作品選びが賢い!デミと抱き合ったら爆発するんじゃないか?! B・ウィリスのパツンパツンの裸体。M・ストウきれいで、そこはかとなく悲しい、 やっぱりいいなギリアム作品。音楽も○。

  • フロム・ダスク・ティル・ドーン
     首のイレズミもキいてジョージ・フルーニーが超カッコイイ! タランティーノもピッタシ。この映画好み!

  • 天使の涙
     金髪、チャイナドレスで殺し屋レオンを追っかけるぜ!と留守電に入れてしまった。

  • デッドマン・ウォーキング
     ショーン・ペンが素晴らしい。この映画を観た友人知人と飲み屋で議論。 皆真剣に意見を口にしていた。最近マイケル・ギルモアの「心臓を貫かれて」 (村上春樹訳)を読んで改めて思い出しているところ。

  • アンダーグラウンド
     間違いなく今年一番ド肝を抜かれた映画。音楽もスゴい。

  • チャイニーズ・オデッセイ1、2
     ドリフを見ていた純粋な!気持ちに戻ってどんなクダラないギャグにも笑い、 ナンダナンダ?!と思いつつラストで少し涙。星仔って男前だよな。

  • 烈火風雲〜ラストヒーロー・イン・チャイナ
     ニワトリになっても許す!リンチェイの豪快な酔拳を観られた至福と興奮を 思い出すだけで少々の辛い事は乗り切れる。

  • 楽園の瑕
     比類のない美しく切ない胸貫かれる一大映像に思う存分酔っ払った。 ロマンチストで暴君の王家衛に乾杯である。

  • 司祭
     ライナス・ローチは新鮮だった。家族のかたくなさに怒りさえ覚えるが、 宗教問題は大きく深すぎて、きっといつ迄も人の心に安らぎと軋轢を 引き起こすのだろう。





  • 東京フィスト
     マイティブロウな気分。キいた。塚本監督のトークショーがあって、 ヒルコのパンフにサインをもらった。監督は気さくで話も凄く面白かった。

  • おかえり
     出掛ける夫に毎朝窓から手を振っていたとしても、夫が振り返らなくなる朝が いつかきっとくる。そんな事を考えた。この映画のような夫はなかなか居ないだろうと 思うだけに、何とも言えない救いを感じた。

  • 男たちのかいた絵
     豊川悦司さんの二役演技に思わず息も乱れた私。今の日本の俳優さんで彼程 コーフンさせてくれる人はいない。余談だが前に豊川さんがステキ極まりない 文章を書いていらした「クリーン・シェーヴン」が広島でも漸く観られるのが 嬉しい。

  • 眠る男
     不謹慎かもしれないけれど、安聖基=男が気持ち良さそうに眠ってるんですよ。 悪い意味でなく、本当に安らかに眠りたくなるような静かな映画でした。

  • キッズ・リターン
     心ある映画。今年ピカ一に私を人間に引き戻してくれた映画。 ラストのセリフは私の心の映画史に残る!役者皆いい。やっぱりたけしが好き!

96劇場で観た、のべ147本より日付順

[男優賞]
 *許志安 アンディ・マオフゥ・ホイ(『スワロウテイル』)
  カッコ良くて動きが抜群にキレイ。私もマオフゥが一人欲しい!

[女優賞]
 *全ての莫文蔚(カレン・モク)に!


 96年は日本映画も楽しめた年でした。キネ旬ベストで10本ないと受け付けて もらえん!と悩む事もなし。『渚のシンドバッド』『トキワ荘の青春』 『GONIN2』『スワロウテイル』に、勿論『SHALL WE ダンス?』 も捨て難かった。ここにあげた5本は私なりの正に厳選ベストなのです。

 その他面白かったビデオは、シネジャの紹介文を読んでずっと見たかった 『少年黄飛鴻之鐵猴子〜アイアンモンキー』。甄子丹はホント凄いです! 共演も干榮光・任世官と、味方にも敵にも不足なし。女優さんもキレイだったし、 私の苦手な子役も何故か香港映画だと少々生意気でもOKです。

 我慢し切れずにとうとう見てしまった『方世玉』もムチャクチャコーフン! 『ハイリスク』では張學友の勇姿にゲラゲラ大笑い! 全く大スターなのにあれをやっちゃうなんてホント好感です。 この3本は是非スクリーンで観たい!お世話になりっ放しのサロンシネマで又 “香港電影フィルマラ”をやってくれそうなので楽しみです。

 ちなみに1月にあった香電フィルマラは“魅惑的双星/張國榮&袁詠儀特集” と銘打って『金枝玉葉』『金玉満堂』『0061』『新不了情〜つきせぬ想い』 の4本が上映され、レスリー効果か補助椅子が出る盛況でした。 香電フィルマラで補助椅子なんて状況は今迄に一度もなかったので、増えている… と確信する半面、いつもこんなだとヤだなと思ってしまうワガママで複雑な 私でした。あぁしかし良いフィルマラだった。

 TVドラマでハマったのが私もやっぱり「ER」でした。大病院の「CH」も 見たけど、緊急のスピード感・スリリングな飛びかうセリフ、それぞれの 事情相まう「ER」が断然面白い。「CH」はシブめの出演者の中のP・バーグ (彼絶対『フライトナイト』でL・サランドンの手下のゾンビを演ってた!) がいいけど、「ER」はイイのだらけ! M・アイアンサイド登場には 拍手してしまった。4月からの放送を心待ちにしています。

 今年の目標は&希望は、甄子丹・李連杰ものを出来るだけたくさん観る事! 劇場が無理ならビデオでも。

 最後に、長年の夢叶い返還の今年漸く香港へ行かれる事になりました。 3泊4日じゃ物足りない気分だけど、しっかり楽しんでくる所存です。

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