周潤發や劉徳華、周星馳、梁朝偉など数々のスターを輩出してきたTVB藝員訓練班。 いったいどうしてこう高打率でスターが生まれるのかと思っている影迷の方も 多いでしょう。そこで、休暇で日本に遊びに来ていた同校を卒業したばかりの 陳展鵬(ベニー・チャン) さんを訪ねてその辺のところを探ってみました。 ——はじめに藝員訓練班に入ったきっかけを教えてください。 ベニー 中学F5終了時(日本だと高卒時)に友人四〜五人で受験して二人受かったうちのひとりです。 父親の影響で小さい頃から歌うのが好きだったんです。学校主催の歌のコンクールに 二回出て、一回目が二位、二回目が優勝でした。その時審査員だった演藝学院の先生に 見いだされて、藝訓班を受験することを薦められました。 ——そういうコンクールみたいのは結構あるんですか? その優勝した時はどんな歌を歌ったの? ベニー 学校単位や地区単位で しょっちゅうあります。優勝したのは一六才の時で、歌ったのは劉徳華の 「這一生是給一個」です。 ——藝訓班ではどんなことをするの? 期間はどれくらい? ベニー 在校期問は二年間で、 初めの六ヵ月間、月〜金は九時〜五時まで発声練習、姿勢、歌唱法、ダンス、 演技の実技、台本読み、監督の指示をどのようにこなすかなど、演技にかかわる基礎勉強。 土曜は半日カンフーの授業。その六ヵ月が終わると役をキャスティングされて、 実際にTV番組のエキストラなどもやります。 ——どんな形の契約なんですか? 給料制? ベニー 基本給というのは 決まっていて、それ以外に出演作品があるたびにその出演料が加算されます。 毎日TVBに行っているわけではなく、仕事がある時は電話やポケベルで呼ばれます。 仕事がある時は昼も夜もなく忙しいけど、仕事がない時は暇です。 ——ご両親は藝訓班に入学することに賛成でしたか? ベニー はじめは反対されました。 でもせっかく受かったんだからと説得して、今何をやっているとか、連絡を密にする事、 帰宅時間をはっきり知らせるとかの条件付きで認めてもらいました。 ——藝訓班には一七才〜一九才までいらしたわけですが、実際、 何才くらいの人が多いのですか? ベニー 二〇才〜二二才が多い。 ——目指しているアーティストは? ベニー 自分のアイドル(偶像)としては 周潤發、張國榮。歌手として目指すのは黎明、映画俳優としては劉徳華。 本来は歌手志望ですが、もちろん、TVドラマも映画もやりたいと思っています。 ——香港ではどんな音楽の授業があるのですか? ベニー 小学校では 週二回の音楽の授業があって、歌を歌ったり、ピアニカを吹いたりします。 中学からは音楽の授業はありません。やりたい人はクラブ活動に入ります。 僕は体を動かすのが好きだったのでスポーツのクラブに入りました。卓球が好きです。 他にサッカーやパスケットポール、自転車など様々なスポーツが好き。 通訳のジョナさん 卓球が得意で、選手として国際大会などにも出ているんですよ。何年か前には 試合で日本にも来ています。 ——楽器は何かできますか? ベニー ギターを始めたばかりです。 あとはピアニカぐらい。 ——好きな映画はなんですか? ベニー 『ロッキー』 『紅番區(レッド・ブロンクス)』『重案組(新ポリス・ストーリー)』。 アクション物が好き。自分が出演するとしてもドラマ物や恋愛物より アクション物に出てみたい。 ——もし辮髪(べんぱつ)にする役が来たらどうしますか? ベニー やります。今までに 四回やったことがある。でも脇役だったのでちょっと剃っただけ、 もし全部剃れと言われたら剃ります。でも今は古装物のブームが去って、 『古惑仔』のような現代物がブームだからそういう古装物の役はこないと思います。 ジョナさん 一九才だから 学生役とか新入りの役とか、やっぱり年相応の役が多い。 日本は十代で活躍しているアイドルとかがいるけど、香港は日本と違って 若いと経験が足りないと言われて、なかなか芸能界の表には出てこれない。 チャンスと経験が物を言う香港芸能界では、いくら若くて可愛くて、スタイルが良くても 経験がないとだめで、実力の世界なんです。 ベニー 経験を積んで チャンスを掴みたい! どんなものでもやっていきたい(キッパリ)。 ——三級片(成人指定)でも? ベニー (あわてて)ノー!ノー!ノー!。(一同爆笑) ——今、なんでもやるって言ったじゃない!(笑) ——将来どんな作品をやってみたいとかありますか? ベニー 今はまだ 自分に何が合っていて、なにをやっていけば良いのか探している最中です。 歌手としてなら歌えて踊れる郭富城(アーロン・クォク)みたいにもやってみたいし、 映画なら『旺角門(いますぐ抱きしめたい)』 の劉徳華のような役をやってみたい。 でも、まずはチャンスを掴むことが大事です。 ——きょうはどうもありがとうございました。 これからのご活躍を期待しています。
まとめ:A. 木口、編集:宮崎 暁美 |