宮崎暁美 (文&写真) 本当にこの一〜二年、アジアからのアーティストたちの日本での公演が増えて、 シネマジャーナルの読者の中にも映画から入って音楽に興味を持つ人が増え、 「コンサートレポートも楽しみ」というお手紙や電話をもらう機会も多くなってきた。 そこで今回は3/18に東京渋谷のクラブクアトロで行われた黒豹のレポートを。 黒豹は中国ロックの草分け的なバンド。メンバーは五人。 八七年北京で結成され、もう、すでに日本語対訳盤CDも三枚出ている。 何度かのメンバーチェンジがあり、現在オリジナルメンバーは二人だけ。 三枚のアルバムのボーカルは全部違う。 ライブ、一曲目はファーストアルバムから 「無地自容(穴があったら入りたい)」。 いきなり、地響きするようなパワフルな音から始まった。 中国のロックバンドと言えば唐朝もそうだけど、このパンドも大柄な人ぞろい。 ボーカルの秦勇(チン・ヨン)はちょっと小柄。 会場はほとんど満杯状態で身動きもままならない。中国語が飛びかい、 観客は最初からのっているが、黒豹がのってきたのは、 掛け声もかかるようになった五曲目以降。全部で一四曲歌ってくれたけど、 最高に盛り上がったのは九曲目の「光の神(光芒之神)」、 これはセカンドアルバムに収められたタイトル曲。最初がパワフルだったので、 ずっとこんな感じでギンギンに行くのかなと思っていたらそうでもなく、 六曲目には「安らかな世界へ(放心走[o巴])」という聞かせる曲を持ってきた。 この曲は昨年交通事故で亡くなった唐朝のベーシスト張炬に捧げられた歌。 五月の、TV中国語講座の中でも流されたのでMTVを観た方もいるでしょう。 サードアルバムに収められている 「愛してくれる人のために(為所有愛我們的人)」 もフォーク調だったし、メロディアスな歌が多かった。 彼らの歌は全体的には、崔健のどちらかというと絶叫型、 吠えるように歌うロックと違って、メロディアスなロックのスタイルである。 ロックパンドだけど、音楽大学で専門的な教育を受けた人が二人もいるからかもしれない。 こういう感じの方が、入って行きやすいかもしれない。 会場はライブハウスで、立見の人たちが中央部を占め、周りにイスとテーブルが 用意され座っている人たちもいたけど、ほとんどが立見。 しかし、立っているのは疲れる。崔健の時も、艾敬の時もスタンディングだったけど、 最近はライブというとこういう感じなのかしら。でも、体は疲れたけど、 気分は爽快で会場を後にした。 |