上映日 | 第1回(10:00〜12:00) | 第2回(13:00〜15:00) | 第3回(15:30〜17:30) | 第4回(18:30〜20:30) |
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6/6 (木) |
女人、四十。 許鞍華監督 香港 |
※少年の叫び アニエス・メレ監督 フランス |
画魂 黄蜀芹監督 中国 |
人でなしの恋 松浦雅子監督 |
6/7 (金) |
天の馬 オランチメグ監督 モンゴル |
ウィッシュ・夢がかなうとき マーサ・クーリッジ監督 アメリカ |
※私の子供 ラマサン監督 フィリピン |
ウインズ・オブ・ゴッド 奈良橋陽子監督 |
6/8 (土) |
※インディラ スハシニ監督 インド |
Dearフレンズ レスリー・リンカ・グラッター監督 アメリカ |
片岡仁左衛門〜登仙の巻 羽田澄子 |
エコエコアザラクII 佐藤嗣麻子 |
6/9 (日) |
※エデンの園 マリア・ノバロ監督 メキシコ |
ピクチャーブライド カヨ・ハッタ監督 アメリカ |
※少年の叫び アニエス・メレ監督 フランス |
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6/10 (月) |
※私の子供 ラマサン監督 フィリピン |
※インディラ スハシニ監督 インド |
ピアノレッスン カンピオン監督 ニュージーランド |
※エデンの園 マリア・ノバロ監督 メキシコ |
上映日 | 第1回(10:00〜12:00) | 第2回(13:00〜15:00) | 第3回(15:30〜17:30) | 第4回(18:30〜20:30) |
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6/6 (木) |
めし 成瀬巳喜男監督 |
未定 |
冬の河童 風間志織監督 |
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6/7 (金) |
お吟さま 田中絹代監督 |
※ツーフレンズ カンピオン監督 ニュージーランド |
シンポジウム |
西鶴一代女 溝口健二監督 |
6/8 (土) |
杉の子たちの50年 藤原智子監督 |
岩波ホール総支配人 高野悦子氏講演 「映像が女性で輝くとき」 |
シンポジウム |
かたつもり につつまれて 河瀬直美監督 |
6/9 (日) |
わが青春に悔いなし 黒澤明監督 |
黒澤プロダクション・プロダクションマネージャー 野上照代氏講演 「わが青春に悔いなしの時代」 |
フェアウェル・パーティ |
にっぽん昆虫記 今村昌平監督 |
六月五日 映画祭前日 外国人監督の来日始まる。私の関わっているラジオ番組に、 来日早々の許鞍華(アンホイ)監督に出演してもらう。大柄で目がクリクリした童顔の監督は 緊張の様子は全然なく、リラックスした受け答え。終わってすぐ合同記者会見へ。 参加者は許鞍華(香港)、黄蜀芹(ホワン・シューチン/中国)、 ナンサリーン・オランチメグ(モンゴル)、オリビア・ラマサン(フィリピン)、 スハシニ・マニ・ラトナム(インド)、カヨ・ハッタ(アメリカ)、 ロザリオ・サグラフ(メキシコ・主演女優)の七人。 各新聞社、放送局もほぼ揃っての取材態勢。モンゴルの民族衣裳を着た オランチメグ監督はキリリと美しく、元女優のスハシニ監督のしぐさはどこか優雅で みとれる。 六月六日 映画祭開幕 オープニング作品はアンホイ監督の『女人、四十。』。 八〇〇席のホールはほぼ満席になった。私の方はまた昨日と同じく、 黄蜀芹監督と一緒にラジオ出演。黄蜀芹監督は重厚な人柄を感じさせ、 事前の打ち合せでも「何を質問するのか」とキチンとメモをとり、 自分の話すことも原稿化しておく、優等生の雰囲気漂う女性。 六月七日 映画も次々に上映される入りはまずまず。シンポジウムや質疑になると、外国の監督に比べ、 日本の若手監督の発言が気になる。「女性であることをあまり意識しない」 「男、女に関係なく撮りたい」という言葉は一見その通りだが、 差別構造は意識しなげれば見えないもの。フランスやアメリカに比べ、 監督だけでなくスタッフにさえ女性が少ない現状を自分の痛みとして感じてほしいと願う。 私が司会をしたモンゴルのオランチメグ監督は、通訳に 「もっとキチンと訳してもらわなくては困る」と大声で文句をつげていた。 いくら手短に答えてくれと注文をつけられても平然と無視し、言いたいことは トコトン言うオランチメグ監督の迫力にむしろ感心した。このくらいでなければ 多くの人をしきる監督など、できはしないのだろう。 六月八日 この日、初回上映の『インディラ』(インド)が評判。笑い声、映画の途中の拍手など、 熱気が溢れている。これは、カースト制度への批判を含みつつ、一種の娯楽映画だが、 色彩鮮やかでわかり易い。一番人気になりそうな雰囲気。 『Dearフレンズ』(アメリカ)も満員。出演のデミー・ムーア(来日はしていない) 人気もあるのだろうが、昨日の『ウイッシュ・夢がかなう時』の入りもよかったことを考えると、 やはり“ハリウッド映画強し”の感はある。 『片岡仁左衛門』『エコエコアザラクII』は、監督の固定ファンが存在している。 この日、岩波ホール支配人の高野悦子さんの講演があったが、これもびっしりで立ち見が出た。 さすがと言うべき話術。カリスマ的魅力がある。 六月九日 いよいよ最終日(六月一〇日は再映のみ)。フェアウエルパーティは一般の人も チケットを買えば参加できる形。それぞれ、監督と話したい人々が列を作る。 黄蜀芹監督が質問責めにあっていた。やはり、まだなじみの少ない他の国 (フィリピンやインド、メキシコ)の映画に比べ中国映画はよく観られており、 ファンも多いようだ。 この映画祭で印象に残った映画を三〜四本ご紹介します。 『ツーフレンズ』ジェーン・カンピオン監督 86年 オーストラリア(日本初公開作)高校生の二人の少女、ルイーズとケリー。 有名女子高に通うルイーズと、どぎつい化粧にパンクファッション、 男と棲んでいるケリーの間の友情はいかにして壊れたのか? こんな微妙な心の変化をカンピオン監督は非凡な構成で観せる。 つまり、二人の友情がさめたところから物語を始め、映像をどんどん過去に さかのぼらせてゆくのである。そこで観客の私たちは、あたかも探偵が 犯罪の動機をあばいてゆくのにつき合うかのように、 二人の友情にひびが入っていく過程を検証することになる。 順序よく描いたら別に面白くもない話を、スリル満点、緊張を持ってみせる カンピオンの才能は、やはり並みたいていではない。実を言うと、 私は『ピアノレッスン』より、こちらの映画の方が好きだ。 『歌舞伎役者片岡仁左衛門』—登仙の巻 羽田澄子監督 94年 日本ご存知の通り全六部作(上映時間十時間四〇分)の最後の部分。それでも、二時間四〇分。 ナレーションなし、効果音なし、BGMなしの映像は、正直なところ、最初は辛い。 特によく知らない歌舞伎の場面を延々と写されると、眠ってしまいそうになる。 しかし始まって一時間ほどたつと、今度は自分の感覚が徐々に冴えてきてわずかな音、 少しの光に反応するようになってくるのに気づく。そうなると、一転して気持ちが 映画に集中してむさぼるように観たくなる。映画の中の仁左衛門の端正さ、 可愛さは無類だ。多分、監督もそれに魅かれて十時間も撮ってしまったのだろう。 女性がなめるように男性を撮っているって、本当はかなりすごい官能的なことでは…? 『エコエコアザラク』佐藤嗣麻子監督 95年 日本エコエコのIを劇場で観た時、若い女性監督が“売れる”映画を みるからに低予算で作ったことに、とても感激した。エンターティメントのコツも わかっているようで(主役の使い方、レズビアンのシーンをきれいに撮っていることなど)、 二作目を期待していたのだが『エコエコII』は少々期待はずれ。 物語が拡散してまとまりがつかなかった感がある。本人にインタビューしたところ、 「前作と同じことはしたくなかった」とのこと。気持ちはわかるが、二〜三作は “これは売れる監督だ”と、スポンサーに思わせるよう、手堅く作った方が 良かったのではないかという気がする。 あいち国際女性映画祭96宮崎 暁美 「六月六日から五日間、名古屋で女性映画祭があるから来ない?」と、 高野さんから連絡があったのは四月。その時は「その頃はシネジャの次の号の編集で、 もう忙しい時期だからとても無理」と、答えた私。五月に入ってからまた連絡があり、 今度は「許鞍華監督も来るし、黄蜀芹監督も来るよ」。編集間際のシッチャカメッチャカが 目に浮かんだけど、これは行くしかないと覚悟を決め、行くことにした。 名古屋に出かけたのは、シネジャの最終編集予定日の一〇日前の六月六日から三日間。 三七号は香港金像奨の特集もあるし、“とーく”も『女人、四十。』だったので 許鞍華監督にぜひ会いたい。そう思ってインタビューを申し込んだんだけど、 間際になって急用ができ残念ながら私はインタビューに出席することができなかった (スタッフの出海がインタビューしているのでそちらを参照)。 でも、シンポジウムも少し聞けたし、ウエルカムパーティでも会うことができ、 ほんの少しだけどお話しすることもできた。他にも何人かの監督にインタビューできたので その模様を中心にリポートします。 『画魂』 92年 中国 黄蜀芹監督 実在した中国の女性画家、潘玉良(パン・ユイリャン)の生涯を、一九二〇年代〜 一九七〇年代に渡り、上海やパリを舞台に描いた。裸体画が得意だった彼女の、 本国での軋轢や活躍、本国を追われパリで暮らした彼女の晩年までを鞏俐が演じた。 『天の馬』 95年 モンゴル ナンサリーン・オランチメグ監督賭事に目がない息子を持つ老人と、一緒のパオ(テント)に住む、血の繋がらない孫? とその母親。馬の調教師だった老人はある日、息子が割り当てで連れて来た馬を見て 駿馬だと見抜き、孫と共にその馬を一生懸命調教し、ナーダム(競馬)に出場させ優勝する。 しかし息子が賭事に負け、馬は連れていかれてしまう。それを見送る老人と孫。 自分の誤りに気づき、馬を追いかける息子。しかし、馬は国境を越え、 売られていってしまった。 『私の子供』 94年 フィリピン オリビア・ラマサン監督フィリピンでは国民の二〇人に一人は海外に出稼ぎに行っているという。 この映画は出稼ぎをバックに、子供の親権をいとこ同士が争うことになってしまったことを 描いている。主演には現在フィリピンで最も人気のある女優と男優を使い、 この作品を盛り上げている。 『インディラ』 95年 インド スハーシニ・マニ・ラトナム監督年間八〇〇本前後の作品が作られているという、映画王国インドからの作品。 カースト制度の対立を描きつつ、歌や踊りのミュージカルは入っているし、 これこそ、エンターティメントしている!(笑) 泣かせて、笑わせてといった映画のツボを良く押さえた作品。 劇中「私たち女は柵なんて、越えるわ」と、主人公の女性がいうセリフが心強い。 『私の子供』も『インディラ』も、作品の内容としてはシビアなものなのだけど、 それを娯楽作品として楽しめる作品にまで高めて、観客ヘメッセージを 放っているということに関心した。その意味では、『女人、四十。』も同列の作品。 |