女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。
[シネマジャーナル]
33号   pp.98 -- 99

読者からのお便り



その(1)

 貴誇32号、と〜くのコーナーで『ミナ』が取り上げられていました。 読んでいるうちに、「わたしにもちょっといわせて」という気分になりペンをとりました。

 正直申し上げて、スタッフの皆様のご意見.ご感想には、哀しい思いを抱きました。 というのは、『ミナ』の観方にかなり偏りが感じられるからです。 ミナとエテルの欠点を逐一指摘してばかりで、二人の長所である葛藤しながらも 自分で自分の道を切り開いていく生き方や、胸の奥に秘めた繊細な感情、情熱、不安、 孤独といったものにはほとんど注意が向けられていません。

 おすぎさんを含め『ミナ』に共感を覚えた女性たちは、ミナとエテルの欠点を 許容したうえで作品にむかうので、ばかなことをやりながらも懸命に生きる彼女たちに 拍手をおくり、また自分の姿と重ね合わせてさまざまな思いを巡らせます。

 イヤな部分もイイ部分も総括した人間が自分であり、同じくミナとエテルです。 もう少し広い心と暖かい眼差しで『ミナ』を観ていただけたら、「フランス人だから…」 とか「ユダヤ人だから…」とかいう狭義にとらわれずにこの作品を 評価してもらえたのではないかと残念でなりません。

 最後に「カイエ・デ・シネマ」に掲載されていたジェーン・カンピオン監督の言葉を 添えてペンを置きます。

 「美人じゃないので魅力的になるためにばかげた苦労をするような若い女の子たちが、 わたしはとっても好きですね」


その(2)

 同じく32号で取り上げられていた『スウィング・キッズ』について少々書かせて いただきたいと思います。

 私もスウィング・ジャズの甘い香りに誘われ、映画館に足を運んだ一人ですので、 ジャズやダンスがないがしろにされた映像に「前半は」腹をたてていました。

 ところが、後半になると怒りは消え、代わりに感動と驚きがじわじわと 湧いてきたのです。そして見終えたころには、興奮も頂点に達し、気が付くと一週間後、 私は同じ映画の画面に向かっていました。そうです、私はこの映画を二度 観に行ったのです!

 続けて同じ映画を観ることなどほとんどない私は、『スウィング・キッズ』 に関してはそうすることに何の迷いもためらいもありませんでした。

 音楽・ダンス映画を想像していた私にとって、ヒトラー・ユーゲントの話が 柱になっているのは意外でした。しかしその意外さが私を魅きつけたようです。

 「意外に」ストーリーやテーマが奥深く、演出が緻密で、「意外に」秀逸な作品でした。

 私は、この映画の主題を反国家権力、反戦争、反ナチとみれば、『シンドラーのリスト』 を遥かに超える傑作だといっても過言ではないと思っています。

 グロテスクともいえる残虐な場面をただただ「見せ付け」られたために、 食傷し感慨などには程遠かった『シンドラーのリスト』に比べ、『スウィング・キッズ』 の多感な年頃の青年たちの心情を繊細に綴っていくことで、あの時代へのアンチテーゼを 観客の心に自然にかつ必然的に感じ取らせる一見地味な手法は、かえって恐ろしさや 哀しさ、切なさを胸に深く刻みつけました.

 「スウィング」は青年たちにとって自由と信念の象徴でした。奔放で純粋な彼らが 権力・社会・時代にもてあそぱれ、友情が破壊され、若い命までもが奪われていくとき、 「スウィング」だけは、不変のままに若者たちの「こころ」にあったようです。

 『スウィング・キッズ』もっともっと多くの人に知ってほしい映画です。

 編集部の皆様、これからもシネマファンたちのために頑張って下さい。

(以上 本橋さん)

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 香港電影にのめり込みどっぷりつかってまだ半年あまりと未熟な私ですが、 慢性の睡眠不足や家族のヤジもものともぜず、週に十二本のレンタルピデオを走破する 毎日です。

 子供の世話や家業の一端を担う私には、ハードな日々ですが、香港電影に魅せられた今、 ストレスも溜まることなく、映画の情報集めに気を使う毎日です。その中で シネマジャーナルは、同志にめぐりあった喜ぴを感じながら読ませていただいております。

 私は、香港・中国をはじめアジアの映画を心から愛しています。 周囲の理解を得られなくても、一生ついていきたいと思っています。

追伸・
 張國榮(レスリー・チョン)の次に好きな任達華(サイモン・ヤム)を 気になるあの人のコーナーで取り上げて下さい。

(石山さん)

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 BOX東中野に『風よさらぱ/天若有情II』を観にいったおり、スタッフの宮崎さんと お会いできてうれしかったです。

 私は85年の正月に『スパルタンX』を観て以来の香港映画ファンです。 中国映画も台湾映画も観ますが、香港映画が一番好きです。『男たちの挽歌4』は、 初々しくりりしい鄭伊健(チェン・イーキン)に好感がもてました。 劉青雲(ラウ・チンワン)の武骨な感じもよかったです。でも王敏徳(マイケル・ウォン)は、 なんだかよくわからないキャラクターだったような。三人が結束してではなく、 成り行きで悪を倒していくという展開が、物足らなくもあり、それはそれで面白くもあり…。 といった感じでした。

 皆様のご健闘をお祈りいたします。

(岸井さん)

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