推薦者…播磨屋お弓 推薦の言葉忘れもしない、あれは90年の秋。梅田で半ば新幹線の時間までの暇つぶしで観たのが 『ヤングガン2』。 本当はエミリオ・エステベス監督第二作の『メン・アット・ワーク』 に目星をつけていたのだが、映画館まで行ったら客が入らないらしく終わっていた。 仕方ないので、近くの劇場でやはりエステベスの出ている 『ヤングガン2』をやっていたので、『1』を観ていなかったけど、 森繁の『流転の海』よりかはいいやと思って中へ入ったのだった。 ところが、お目当てのエステベスは『ウィズダム』の頃の精悍さはどこへやら、 太っていて全然かっこよくない! 彼以外(キーファー・サザーランドも ルー・ダイヤモンド・フィリップスも)はかっこいいのに、どうして!? 中でも私が目を奪われたのは、エステベスのビリー・ザ・キッドに対抗意識を燃やす、 アーカンソー・ルタボゥ役のクリスチャン・スレーターであった。 彼のことは『薔薇の名前』を観て知っていた。永千絵さん曰く、 「ショーン・コネリー以外は作り物のような顔をした人物ばかり」の、 おどろおどろしい中世のミステリーの中で、スレーター少年は 負けずにアクの強い顔で目立っていた。当時の私は 「もっと可愛い子使えばいいのに」と思っていた。 そのスレーター少年が、90年には不敵な笑いを浮かべて半悪役として スクリーンに登場したのだ。私の目は彼に釘付け。こんなことは 『背信の日々』のトム・ベレンジャーに となって以来だぞ、 これはえらいこっちゃ!と思ったのだった。 映画自体にはそれほどノレなかったんだけど (だってエミリオがあまりにもデブなんだもの)、 不敵なスレーターと出会えた忘れられない関西旅行の思い出です。 プロフィール1969年8月18日ニューヨーク生まれ フィルモグラフィー
推薦者への質問演技力はあると思う?--あるある。それだけでなく彼の魅力は不敵な存在感! 作品の寸評をどうぞ。 『薔薇の名前』 作品としては、これが誰にも誇れる一級品。ティーンで、しかも 決してハンサムとはいえない彼が、貧しい村の娘に襲われてしまうのにびっくりした。 『タッカー』 タッカーの自動車作りを手伝う健気な長男。信じられないくらい素直で地味なキャラクター。 『薔薇の名前』の個性的な風貌は鳴りを潜めて普通の少年(子役)という感じ。 ずっと後になってビデオで観たが、この変わりようには舌を巻いてしまった。 『ヘザース/ベロニカの熱い日』 私の好きなウィノナ・ライダー(オスカー取れなくて残念!!)との共演。 喜び勇んで観に行ったが、予想以上のブラックな展開に戸惑う。 彼の役名はJ・D。このイニシャルはジェームス・ディーンと J・D・サリンジャーを連想させる孤独なアメリカン・ヒーローか? 『宇宙への選択』 『ヘザース』と同じ年に、こちらは爽やかな青春物。 引退した宇宙飛行士(マーチン・シーン)との心の交流の物語。 なんとクリスチャンの離婚した父親の新しいパートナーの役で、 あのシャロン・ストーンが出ている。ぎくしゃくした父と子の間を うまく取りもってあげる良き理解者のお姉様というキャラクター! 『今夜はトーク・ハード』 昼間は無口な高校生。夜は海賊放送の過激なDJ。 夜の姿がもちろん彼の本領なのだが、昼間のメガネをかけて図書館に通う 地味な高校生姿もなりきっていて忘れ難し。相手役はサマンサ・マティス。 『ディス・イズ・マイライフ』で有名になった彼女だが、 私はすでにこの作品で青田買いしていました。 『ヤングガン2』 あの憎らしさ、上手い!!! 『ロビン・フッド』 これもまた大好きなケビン・コスナーとの共演で、私が大喜びして 映画館へ駆けつけたのは言うまでもありません。 『モブスターズ/青春の群像』 東京国際映画祭の舞台挨拶を観に行ってしまった。高校生がキャーキャー言っていて、 いつの間にメジャーになったのかとびっくり。共演の3人も一緒で、 挨拶が一人一言ずつでがっかり。映画のほうもアイドル映画でがっかり。 あのララ・フリン・ボイルが相手役だったが、『TP』のドナちゃんのお色気はどこへやら、 なんだか老けた人だなと思って観ていた。 『力フス!』 軽い!!高校生のデート映画って感じ。 『ハートブレイク・タウン』 お母さんがキャスティングしているので助っ人に出たのか?(ノークレジット) 浮浪者の少年少女の取り調べ官(?)という意外な役柄。 出番はほんの1, 2分。出演者は豪華(ララちゃん、カイル・マクラクラン、 レイチェル・ティコティン、ローラ・サン・ジャコモ)だが、 ちょっと実験映画っぽい、クセのある作品。 『忘れられない人』 男運の悪いウェイトレス(マリサ・トメイ)を密かに見つめる無口な同僚。 こうしてみると結構無口な役やってるじゃないか! この役で、 高校生だけでなくOLのお姉さんにもファン層を広げたのではないだろうか? (私が観た日、銀座のシネパトスでは立ち見が出た) 『トゥルー・ロマンス』 これは彼の主演での代表作といえるだろう。この役も 始めはおとなしめのニンジャ映画おたくの青年。それが新米コールガールと恋に落ち、 銃を手にした途端に大変貌。自分がヒーローになってしまう。 デニス・ホッパー、ゲイリー・オールドマンという一級品のクセモノ共演者に対し、 一歩も引かなかったのはお見事。 好きな作品は?作品の完成度でいうと『薔薇の名前』『ロビン・フッド』 (あっ、これはケビンの作品としてかな?)『トゥルー・ロマンス』。 クリスチャン個人としては、『ヤングガン2』『今夜はトーク・ハード』 『宇宙への選択』『トゥルー・ロマンス』。 最後に言いたいことは?いろいろ恋の噂があるようだが、映画雑誌に載ってるプレミアやパーティーのスナップ写真には いつも一人で写っている。なぜ?? 『トゥルー・ロマンス』で一気に花を咲かせた感じ(男優にこの表現は変か?)で、 長年のファンとして非常に嬉しい。いい作品にたくさん出会って、 ハーヴェイ・カイテルのようにかっこよく年をとってほしい。 |