推薦者:E&Y
推薦の言葉
E: 「コンバット」の頃からアルトマンのファンである私が、 あの『ザ・プレイヤー』を見逃すはずがない。作品はよかったのは当然だけど、 主演のティム・ロビンスに思わず目を奪われてしまった。彼ってセクシーですよ。 それにえらく背が高い。考えてみたら『ジェイコブス・ラダー』も彼だったんですねえ。 もう一度見なおして再び感動!
Y: なによ今更というほど日本でも有名な俳優になったティム・ロビンス。 でも。若干、顔と名前が一致しない人もいるようなので、大推薦。 この人大物ですよ(身長も才能も)。 そして、彼の奥方スーザン・サランドンの『ぼくの美しい人だから』 を地でいく12歳の年齢差を飛びこえた彼の結婚感(結婚はしてないのかな? ま、同じようなものだ)には感服。ほんとサランドンは魅力的。 とはいえ、彼の魅力は、やっぱりほんのりにじみ出てるセクシーさとその非凡な才能。 『ボブ・ロバーツ』を観れぱわかりますよね。 そしてEと同じく長身に弱い私。それにあのキューピーさんみたいな童顔 (盟友?のジョン・キューザックと同じくオデコが広くちょっと出ている) と身長との不釣り合いに惹かれました。 と、スクリーンで観る彼の身長を目測したところ、195cmはある。 (『ザ・プレイヤー』の中でみるとなんと6.5フィートの線を越えている…!) 体が資本のアクション・スターのドルフ・ラングレンが199cm、 スティーブン・セガールが197cmときいても当然かなと思うけど、 演技派の彼だとなんかとてつもない巨人のように思える。 たしかに『さよならゲーム』のときケビン・コスナーさえチビに見えたのも納得。 『ファイブ・コーナーズ』でジョディ・フォスターと並んだら彼女がほとんど子供、 『ミス・ファイヤークラッカー』でホリー・ハンターと並んだら 彼女がほとんど小人のように見えてしまったのも納得。 加えて、彼は歌える俳優なのだ。当然『ボブ・ロバーツ』でさんざん聞いたわけだけど、 『シュア・シング』でも、小さい車の中で何かうれしそうに歌ってた。 ものすごくうまいわけじゃないけど、いい線いってる。 そういえば「セサミストリート」にも出てたんだ。 彼を初めて観たのは、『ハワード・ザ・ダック』。 あの時は博士役のジェフリー・ジョーンズ (この人もいつか「気になるあの人」に推薦したいなあ)に気を取られて、 明るく軽い彼にはさほど興味がなかったけれど、 『さよならゲーム』のでかくて生意気なピッチヤーと記憶して、 『ジェイコブズ・ラダー』でこの人はもしかしてスゴイ人かも…と感じて、 『ザ・プレイヤー』に至ったわけです。 この欄を書くにあたって後出のフィルモグラフイーの作品を全部観て、 彼ってデビュー当初から単純に青春してるみたいなフツーの役が少なかったことを確認。 観れば観るほどなんでも演れる撮れる非凡な俳優(いや映画人)だと感じたのです。
1958年10月16日生まれ。 米カリフォルニア州コービナ出身。 12歳で出た舞台で注目される。ニューヨーク大学、UCLAで演劇を学んだ。 彼の前衛的劇団、アクターズ・ギャングは81年にアンサンブル賞を獲得。 89年にはエジンバラ・フェスティバルに参加。 演劇界では早くから名をなした人とのこと。
[フィルモグラフィー]
『恋人ゲーム』('84 ジェリー・シャッツバーグ) 『シュア・シング』('85 ロブ・ライナー) 『ハワード・ザ・ダック』('86 ウィラード・ハイク) 『テープヘッズ』('88 ビル・フィッシュマン) 『ファイブ・コーナーズ』(未公開、ビデオ発売)('88 トニー・ビル) 『さよならゲーム』('88 ロン・シェルトン) 『ミス・ファイヤークラッカー』('89 トーマス・シャローム) 『エリック・ザ・バイキング』('89 テリー・ジョーンズ) 『キャデラック・マン』('90 ロジャー・ドナルドソン) 『ジェイコブズ・ラダー』('90 エイドリアン・ライン) 『ジャングル・フィーバー』('91 スパイク・リー) 『ザ・プレイヤー』('91 ロバート・アルトマン)〈92年カンヌ映画祭主演男優賞受賞など〉 『ボブ・ロバーツ』('92 監督兼脚本兼歌兼主演) 〈92年ボストン映画祭・観客選出・作品賞・監督賞・主演男優賞受賞など〉 『THE HUDSUCKER PROXY』('93 イーサン&ジョエル・コーエン) 『SHORT CUTS』('93 ロバート・アルトマン)
*( )内は監督名
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- 『恋人ゲーム』
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主役はジョン・クライヤーと今をときめくデミ・ムーア。 彼女は今より老けてる感じで、『セント・エルモス・ファイヤー』 の時みたいなロングヘアであんまり美しくない。で、ティム・ロビンスは、 クライヤーの悪友ネルソン役。 ゲーム・センターなんかでたむろってるアホな高校生 (でも、ちっとも高校生に見えない)。 ムーアのことをいい女だな〜と目をパチパチして眺めて、 「彼女の胸に触ちゃった!」(肩なのに)なんて喜ぶヘンな男。
- 『シュア・シング』
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昔のジョン・キューザックお得意の青春もの。 ロビンスは自分の車にキューザックをロスまで同乗させてあげるゲーリー・クーパーっていう気のいい大学生。 「俺って彼の孫じゃないからね」なんて、つまんない冗談。 車中で人の迷惑を省みずアクエリアスかなんかを力一杯歌いながら運転をする彼ってスゴイ。 最後はぷっつんしてさようなら。チョイ役ながら印象的だ!
- 『ハワード・ザ・ダック』
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他惑星からやってきたハワードという名のアヒルの話。 彼はヒロインの友人役で科学者きどりの実験室助手フィル。(チョイ役じゃないぞ!) 黒ぶち眼鏡が似合っているがとんでもないズッコけ男。 でも、笑くぼがあって、アヒルの声色ができて、頭から煙を出して愛敬たっぷリ。 ハワードと変な飛行機で空を飛ぶシーンはわりと有名。 風を受けて広いオデコがいっそう広く、 敵から身を隠そうにも大きすぎて隠しきれていない陽気な男。
- 『テープ・ヘッズ』
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ジョン・キューザックと一緒に堂々の主役。 いいかげんなふたりが好きなことやろうよ!とビデオ会社を作って、 とんでもない事件に巻き込まれるコメディで、MTV感覚で楽しい。 おしゃべりでマネージメント一辺倒のキューザックと相反して彼は、 黙々と画を撮りつづける才能たっぷりのビデオ作家。カメラを回す姿も雄々しく、 この頃から映画を撮ろうって思ってたのかも…なんて思わせる。
- 『ファイブ・コーナーズ』
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舞台は'64年のブロンクス。ジョディ・フォスター、 狂暴なハインツ役にジョン・タトゥーロ、そしてトッド・グリフとロビンスが主役の 青春群像シリアスもの。今じゃびっくりする豪華キャストで、 これが未公開なんて信じられない。(作品自体がいい) 彼はオープニングにキング牧師のテレビを観ている非暴力主義者の青年ハリー。 フォスターに頼られるカッコイイ男なのだ。公民権運動を志し、 ミシシッピーヘいく計画を立てている。愛犬にブッダなんて名前をつけたり、 「時代は変わる」なんかを聞いている。
- 『さよならゲーム』
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これってケビン・コスナーとスーザン・サランドンの映画だから、 彼は共演のピッチャー役といえまるで添え物みたい。実力はあるけどわがままなヤツ。 でも、この作品で彼女と出会えたからいいか。 彼女のガーターベルトをつけるオハズカシイ場面もあったしね。
- 『ミス・ファイヤークラッカー』
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舞台は南部町ヤズー。ヒロインはホリー・ハンター。 彼は事情あってハンターと共に育った義理の兄弟みたいな存在。 すべて本音で生きているためか変人扱いされてる役。自分に嘘がなく、 本音と建前で生きてる彼の姉メアリー・スティンバーゲンとは度々衝突。 ハンター曰く「青く光る稲妻みたいな目」のいい男。 心やさしいド近眼の黒人女性と結ばれる。
- 『エリック・ザ・バイキング』
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タイトルを演じる堂々の主役! 長髪姿もたくましく?青い目を爛々と輝かせる力の入った演技は、滑稽。 それもそのはず、監督・脚本は『モンティ・パイソン』のひとり テリー・ジョーンズなのだ。 ジョン・クルースも出演。 『モンティ・パイソン』色の作品にもぴったりハマるアメリカ人、ティム・ロビンスはエライ。(関根勤も出演してます)
- 『キャデラック・マン』
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主役は車のセールスマン、ロビン・ウィリアムス。ロビンスは、彼の同僚の女性 (なんと、『ジャングル・フィーバー』や『ゆりかごを揺らす手』 で有名になったアナベラ・シオラなのだ)の夫役。 で、彼女が他の男と寝たと知って、バイクでぶっとばしてきて、 車の販売所に籠城する気弱なプッツン男。 ウイリアムスとの掛け合いが笑わせて泣かせてくれます。ハマッてますこういう役。 この作品にはロリ・ペテイ(『ハート・ブルー』『プリティ・リーグ』) やパメラ・リード(『キンダーガートン・コップ』でシュワちゃんの相棒やってた人)、 エディ・ジョーンズ(『プリティ・リーグ』で強打者マーラの父親やってた人)など、 よく見かける人が出てます。
- 『ジェイコブズ・ラダー』
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主役ジェイコブ・シンガー役。 夢と現実、現実と妄想の世界でウロウロするえらく難しい役。 オドケが微塵もないこんな暗い男もできるんですねえ。 マコーレ・カルキン君が彼の回想に出てくる死んだ息子役 (マコーレ君ってこういう控えめな役のほうがいいんだよね。 『マイ・ガール』でもそうだけど)。ダニー・アイエロも出演。
- 『ジャングル・フィーバー』
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どこに出ていたかって? ウエズリー・スナイプスが勤めてる会社の社長だか上司をやってたんですね。 会社の中をスナイプスの一番後にくっついてグルグル歩いてた。別になんてことない役。
- 『ザ・プレイヤー』
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いうことなしの主役。スーツ姿もバシっときまりいうことなし。 アルトマンも大満足なんじやないかな。彼の存在のみならず何回も観たい作品。
- 『ボブ・ロバーツ』
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話題にはなったのにレイトショー。でも、 観にきてる観客が『ザ・プレイヤー』を観てから来てる映画好きの人が大半みたいで、 笑いも揃ってて気分よかった。それに文芸坐でもやったことだし。 本国の政界と選挙を皮肉でコテコテに固めた、こっちも何度も観たい作品。 星条旗を体に巻きつけたポスターもいい。ドキュメンタリーっぽくもあリ、 ビデオクリップの方式も取り入れてとにかく面白い。 『ザ・プレイヤー』と同じく有名俳優のチョイ出もいっぱい。 "ローラのお父さん"レイ・ワイズの他にもアラン・リックマンなど渋いキャスティング。 自身も"歌う上院議員侯補"ボブ・ロバーツ (正式にいえばロバート・ロバーツ?へんなの。こんな名前の人いるの?)を大熱演。 いつも自信満々で嘘で人生固めたような男なのに 異常なほどのカリスマ性をもっている矛盾、偽装殺人までして支持率を上げる汚さ、 黒い噂を告発するものには死を。まったくもって「危険人物」。 『国会に行こう』の話どころじやないですよ。ホント。 ちなみに正義を唱えるジャーナリスト役がスパイク・リー作品の常連 ジャンカルロ・エスポジト。この人『マルコムX』では暗殺者をやっていましたネ。
[推薦者への質問]
(1) 演技力はあると思う?
当然。初期のころのチョイ出のまるでコメディアンみたいな役から、 正統派の役まで数は少ないけど、バラエティに富んでる。それに彼の場合、 『ボブ・ロバーツ』みたいな面白く挑発的な作品を撮るんだから、 俳優という限定は不適切。明日を担う映画作家でもあるんです彼は。
(2) 一番好きな作品は?
『ザ・プレイヤー』と『ボブ・ロバーツ』は別格。
『ミス・ファイヤークラッカー』 あえて推薦。地味だけどアウトサイダーな彼は、素敵。 ストーリーもしみじみ泣けてくる。女性にはぴったりの作品じゃないかな。 ちなみに脚本は原作者ベス・ヘンリーが担当。
(3) 最後に言いたいことをどうぞ。
監督デビュー作が大成功だった分、次回作にプレッシャーがかかるのが普通だけど、 彼ならそんなことも平気でしょう。今まで通りハリウッド大資本にのまれず、 たまにはイギリス映画などに出てちよっと外れた道を歩いてください。 もう一度、モンティ・パイソンの入たちと作品を作ってほしい。 『ワンダとダイヤと優しい奴ら』みたいな決定版を作って! お国ではアルトマンの作品にはずっと出ていてほしい。 あと、レコード出してるなら日本でも発売して!
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