今回のトークは『きらきらひかる』で最高のもりあがり。 22号でよびかけた「豊川悦司さんを陰から見守る会」 の参加希望者・顔合わせも兼ねていたのでなおさら…。 初めて会った人たちで、しかも年齢も職業も生活環境も全然違うのに 何十年来の友人のごとく楽しく会話が弾みました。 なにもかも豊川様のお陰です。ハイ。
我がシネマジャーナルとしては、神棚に祭っておきたいような若くてカワイイ、な、 なんと十八歳の吉村さんや鈴木京香さんによく似た美人OLの渡辺さんが新メンバーになりました。 そして今回は、四月にイギリス王立音楽院に留学する吉村さんが、 私たちの勝手なリクエストに答えて、素晴らしいバイオリン演奏も聞かせてくれました、 ツィゴイネルワイゼンの力強い響き…さらに嬉しいことに渡辺さんは、 豊川悦司ファンクラブをお友達と発足し、コツコツ会報を作ったり、 映画祭に出掛けてはファンクラブ入会募集のパンフレットを配っているとのこと。
こんな頼もしい女性たちによって日本映画は支えられているのです。 映画好きの女性と会える…シネマジャーナルを作る喜びはこういうところにあるんです。
ではトークをどうぞ。
出海
勝間
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「私は先に原作を読んですごく泣いてしまったのですが、 映画は違っていたし原作ほど泣けなかった。なんでかと分析すると、 原作では睦月がとても優しくて笑子は普通じゃないところがあるでしょ、 そういう女性を彼は見捨てないで心の底から心配してるんだけど 女にとってこれほど都合のいい夫はいないと思うのね。 それが、映画では監督がこういう男は絶対いないからと現実的な男性に変えてしまったと思うの、 "僕は保護者になるために結婚したんじゃない"というせりふ、原作にはなかった。 監督は睦月をうまく作り変えているんだけど、笑子が描ききれてない、 原作ではなぜ笑子が情緒不安定になるのかわかるんだけど、映画ではわからない。 ただ、エキセントリックでついていけない人に見えるでしょ。 ウエイトレスとの意地に張り合いも、ただ土屋久美子を出したかった印象がある。 ただ、原作には友人と家族だけで外の人と関わる笑子がないから、 ああいうウエイトレスがいたらどうなるかわからないけど」
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外山
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「不自然だわ、あのウエイトレス」
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出海
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「私、原作読んでないからわからないけど、 どうして笑子のキャラクターがいまいちなのかな」
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吉村
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「原作だと主人公ごとに一章づつわかれているんです」
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勝間
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「だから、それぞれの側から語れるから、 笑子の不安定さがよく理解できるんです」
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外山
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「私も原作読んでないけど、あの笑子はすごくわがままだと思った。 情緒不安定になるってことは、自己中心にしか物事を考えないわけでしょ、 私の中にもあるわよ。それでつい親しい人に当たっちゃう(笑)」
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勝間
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「あと、ラストのところで原作では笑子と紺が睦月と親たちを騙んです」
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吉村
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「そう、紺が旅にでます、捜さないで下さいって。 どこかに行ってしまい、最後には三人で暮らす」
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勝間
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「それが映画では睦月が別れようっていって、 『ポンヌフの恋人』調になって、また三人がもどってくるでしょ」
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外山
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「笑子が車から降りていくと、紺が睦月に 「亭主としては失格だと思ってたけど、人間としても失格だ」みたいに言ったわね」
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勝問
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「私は原作のほうが好きですね、笑子が親たちより一枚上だし、 最後まで意地でもふたりと別れなかったところがさすが」
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吉村
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「先程、非常に実験映画的だという意見がありましたけど、 先日松岡監督が武蔵野ホールにいらした時、 この映画は色々ロケハンして気に入った場所を選んだとおっしゃってたんですが。 それが南大沢だったり、横浜だったり」
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出海
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「南大沢ってとても不思議な感じのところよ。 山を切り開いて高層住宅が建っているの」
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吉村
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「ええ、建物が近代的なわりにまわりはまだ畑とかが残っているところが、 現実とはかけ離れている感じがして、気に入ったとのことです。 今回全部中央線周辺でまとめてるみたいですね。 紺が井の頭線の中吊りの仕事してましたものね」
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出海
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「で、若いでしょ、私たちに比べて(笑) 感激したってお手紙にあったけどどんな感想なの?」
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吉村
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「原作読んですごく感動したので、映画も観たいと思ったわけですが、 でもよく映画観て裏切られることが多いんです。 小説の中だけでイメージしてた方がよかったなって。 でもこの作品は原作に忠実ではないのですが、映画として成功していると思いました」
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出海
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「でも、セックスに関わる内容はどうかしら、抵抗なく受け入れられた? ノーマルってわけじゃないんだけど」
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吉村
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「そうですね。個人的には本で読んだりして、 自分なりにホモセクシャルの世界の知識はあったので、それほどショックはなかったです」
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出海
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「では、よかったというところは?」
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吉村
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「う〜ん(考える)。人間の友情…」
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地畑
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「私は、セックスレスで男女が心から愛し合えることだと思う。 結婚ていえば子供の問題があるでしょ。私も時々言われる、子供は?って。 子供がいないとおかしいみたい。まるで」
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出海
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「まだ、そんな時代?」
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地畑
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「そう、まだ保守的なのね。こういうことって。 だから、笑子と睦月の追い詰められる気持ちってわかる。 それに男の人って年齢に関わらず、やっぱりゲイの人に冷たいみたい」
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外山
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「そうかな、最近はファッションになってるようだけど」
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出海
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「あら、ゲイが好きっていう女性だって 自分の恋人や夫が男と愛し合っていたらパニックになるんじゃないの」
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吉村
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「でも、この映画では作品の中できちんと二人の友情が成立しているから 観ていて変だとは思いませんでした。それに豊川さんがとてもステキでした」
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出海
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「ではもう一人の初参加、渡辺さんは」
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渡辺
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「感激したというより、 パンフレットにもあったように少女漫画的なひたひたと情感にせまる映画でしたね。 私、シナリオも読みましたが、シナリオの方だと直接的な表現が多いんですね。 例えば、映画だと最初のシーンで睦月と紺は食事をしているのですが、 シナリオでは二人ベッドにいる。 あと、シナリオでは結構説明的なところがあるんですが、映画ではそれが排除されている。 感覚に任せる感じの曖昧さがあって、私そういうの好きでしたから、気に入りました。 先程、ラブシーンがない方が良かったという意見がありましたが、私はあってよかったですね、 睦月と紺のラブシーンは縛麗でしたし愛し合っている姿があったからこそ、 二人の結びつきがより一層わかった」
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出海
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「私『おこげ』を観た直後だったからスンナリ受け入れてしまいました。 男女のをみてるみたいな感じで」
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地畑
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「男同士の本物(!?)ってやっぱりエエッとなりますよ、 私以前ゲイ雑誌刷ってるところにいましたから、生写真バンバンみてましたから。 出海さんに見せましたよね」
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出海
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「ウン、ウン! 危ないんだこれが(笑)」
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吉村
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「あと海のところがすごく綺麗でしたね」
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渡辺
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「私も原作に比べて笑子の情緒不安定になる過程が少し弱かったとは思います。 でも大きく気になる部分はありませんでした」
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出海
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「私は、松岡監督のせりふが好きで、感心しながら観てましたが、 特に薬師丸ひろ子さんの出来がすばらしいと思った、 ああいう情緒不安定さって自分をみているようで胸に迫るのね。 原作を読んでないから特別不自然とも思わなかった」
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地畑
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「やっぱり、今の時代皆病んでいる」
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出海
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「そう、あの夫婦は病んでる同士なのね」
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地畑
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「普通そういうのって、傷を嘗め合うみたいにドロドロしたものだけど、 それがないのよね。透明な感じで」
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出海
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「皆が病んでいて、病んでいるならそれを現実として受け止めて 前向きに生きていきましょうよっていう優しさがあるでしょ。 強さというか、自分を大事にするというか。 日本はまだまだ子供ができない同性を愛すると少し変だとかいってレッテルをはるけど、 決まった形ってないと思う。 わからないところはわかろうと相談したりっていうことがあってもいいと思う。 そういう面がこの映画にはあるからいい」
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地畑
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「笑子が道路に転がるシーン好き」
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出海
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「私もグッときて泣けてきた…」
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外山
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「笑子はすごく健気だったわね」
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地畑
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「睦月も優しくて優しすぎて腹を立てるところがあったでしょ」
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出海
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「それに笑子が睦月と紺にやきもちやくわね」
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地畑
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「え、やきもちじゃありませんよ」
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出海
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「どうして…独占したいって思わないの」
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地畑
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「それとは違うと思いますよ」
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出海
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「え、でも仲良さそうにみえても一皮むけば人間って 皆自分勝手な考えで行動したいと思ってるんじゃない。 でもその気持ちと相手の立場に立った気持ちとの間で微妙なバランスをとっているというか。 そこがいいと思うのだけど。でも、『おこげ』の清水美砂の役に比べたら共感できますよ。笑子は」
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地畑
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「笑子のはやきもちじゃなくって、 同じ人を愛する同志的な気持ちなんじゃないかな。 睦月に対する笑子と紺のそれぞれの愛情って違う次元、どっちが上とか下っていうのではなくてね。 だから、友人にも姉弟みたいな感じになれたんじゃないかな」
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吉村
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「『おこげ』の彼女はニコニコして男二人にどうぞどうぞなんて謎だらけ」
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出海
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「あれこそ、異常よね」
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吉村
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「で、最後は自分の好きな人じゃないのに子供作っちゃって」
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出海
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「あの場合、いわばレイプされたようなものだから、堕ろすなり、 たとえ産んだって結婚なんかしなくてもいいのに(笑)」
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吉村
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「監督の挨拶を武蔵野ホールでみましたが、気さくな方のようですね」
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地畑
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「わりと女性と世話話ができそうなタイプの人かも」
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出海
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「松岡監督は女性を描いたら、群を抜いていますよね。 二十代、三十代の女性の等身大を描ける。 特に女性には若年から中年以降まで支持が高いけれど男性にはダメっていう人が多い」
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渡辺
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「あ、でもゲイに詳しいっていう女性評論家には受けが悪いみたいですよ」
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地畑
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「でも、この作品ってゲイそのものを描いたものじゃないですよね」
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吉村
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「監督も、豊川さん自身もおっしゃってたんですが、 ゲイの人たちに取材したということはしてないそうですよ。 自分の中で作ったというか」
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渡辺
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「三人の関係を軸にしてるから」
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吉村
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「性を越えた友情というか、人間愛とかを描こうとしたんではないですか」
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出海
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「そうするとセックス抜きには男女は描けないという考えを覆しちゃったわけだ」
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地畑
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「日本映画だったことが嬉しかったですよね。 こういうのが出来るようになったと感じて」
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出海
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「松岡監督や中原監督など、若い女性を描ける人たちがいて、 周防監督も感覚的には松岡監督の方に近いと思うのですが、一方では、 今の男の世界を描ける貴重な阪本監督がいる。 映画もテレビドラマも描かれる女性像がはどんどん変化して、 新しい女性を描く監督がそのうち主流になると思うけど、 逆に阪本監督のような新しい男性を描ける人を大切にしたいと思う気持ちもありますね」
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出海
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「さて、いよいよ役者さんの話に移りましょう。 豊川悦司ファンが集まっています何なりと叫んで下さい。 豊川さんがよかった人(と、手を挙げる)(笑)」 〈と、先頭をきっていきなりしゃべりだす出海さん…編集部注〉
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出海
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「私、試写会でお会いしてビビッときてしまったんです。 なんといっても素顔がいいですね。スクリーンとの落差、それにスタイル…。 それからお話した時の腰の低さ。人間性じゃないですか、でも私ばかり話しても、 またか…と思われる。十八歳の吉村さんなにか言ってよ、(笑) お手紙までいただいて色々な年齢の人が同じ男性を好きだなんてすてきなことだと思ったわ。 私の感覚って若いのね」 〈「年下の私たちからみればその逆ですよ出海さん」…編集部注〉
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吉村
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「私、最初観たのは『課長島耕作』なんですよ。 その後がテレビの「いとこ同志」素顔と違って恐いような…」
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出海
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「そんなに赤くならなくていいのよ」(爆笑)
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吉村
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「んとに恐そうで、だから、わー困った!(笑) 何も言えない・誰か替わって」
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佐藤
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「こんにちは(っと入ってくる)。今日は楽しそうね。 前の道路にまで皆の笑い声が響いていたわよ」
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渡辺
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「えー私は最初テレビなんですけど、『ナイトヘッド』をみて」
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地畑
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「みてますよ! 夜の秘かな楽しみ」
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渡辺
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「私たちの年代の人ならよくご存じだと思いますが、 あれって少年ドラマシリーズみたいですよね。その後で映画ですが、 全然違う透明感というか男臭さがないですよね。 「いとこ同志」のあの変な役(笑)とまるで同じ人がやってると思えない。 色々な役ができて現実はまた普通の人でニコやかで、スゴイじゃないですか。 今トレンディドラマに出てる人って別のものに出ても皆同じですよね。 でも豊川さんは映画向きで、何でもこなす方で、こういうタイプの人って外国スターにはいますよね。 デニーロとかダニエル・デイ・ルイスとか。とてもいいと思いました」
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出海
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「それでファンクラブを作ったのね」
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渡辺
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「ええ、いきなり。 私日本の役者さんをこんなに好きになったの初めてなんです。 あのアメリカ人ならいるんですけど」
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出海
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「誰?」
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渡辺
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「皆さん知らないと思います」
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出海
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「ここで知らない人なんていないわ。 みんなすごい映画好きなんだから」
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渡辺
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「『ヤングガン』でインディアン役の…」
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地畑
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「ルー・ダイアモンド・フィリップスでしょ。」
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渡辺
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「すごい!そうなんですよ。でも、日本人ではいなかったんです。 でも、豊川さんをみて…。他の豊川さんファンに聞いてみると、 皆いきなりはまったっていう人が多いんですよ」
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吉村
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「私もです! それに、私たちみたいな一般のファンにもとても丁寧に応対して下さるんですよ」
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渡辺
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「そう、それはもう本当なんです。 映画やテレビをみていきなり一緒に熱が上がる(笑) それだけインパクトのある人ってなかなかいない」
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出海
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「いないわ!〈笑)」
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地畑
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「この前びっくりしちゃった。木村一八の『タフ』観たのよ」
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渡辺
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「あっー観ました!」
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地畑
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「ねえ(爆笑)」
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渡辺
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「まですね」
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地畑
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「ま○○といいながら三原じゅん子を犯す役」
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渡辺
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「あれ、スゴイですね、あの役をやれる人は素晴らしい」
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地畑
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「あの作品、ちょっとねえ。個性的な人かなり出てるのにねえ。 渡辺哲さん(知人のその又知人というだけなのに妙に馴れ馴れしい)も出てるのに、 もったいない」
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出海
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「たけし軍団にやられるよりも?」
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渡辺
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「あれも許せないわ(笑)。『病院へいこう』もひどいですよ」
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出海
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「え、どんな役なの?」
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渡辺
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「宅八郎なんです(爆笑)」
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出海
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「何? 何が宅八郎なの(笑)」
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渡辺
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「薬師丸ひろ子の同僚の役なんですけど、髪型がこんなで。 だめですよ。あれはだめ。(爆笑)」
〈そこへ豊川さんファンの飯島さん到着、 自己紹介の後ひとしきり豊川さんにはまったいきさつを話し合う。 そして、地畑さんが持ってきた雑誌「CUT」20号を回し見。 4ぺージの記事だというのに目次に彼の名前がないことを発見。 「何よこれ」とブーイング。〉
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吉村
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「私、映画を後ろで観て豊川さんが出てくる個人賞の時に前にいこうと思って、 両方に席をとってたんですよ」
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出海
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「スゴイ!」
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吉村
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「ビデオを撮っていたら"ひとりどうしても早くしなければならない人がいる" という放送があったんです。名前を言わないで、誰だろうと思いながら、 でも豊川さんだったらどうしようと考えて席を立ったら"豊川さんです"っていうから、 ワーと慌てて走って前に行ったんです(喚声)」
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渡辺
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「でも、けっこう花束持ったりしてる人沢山いましたよ」
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吉村
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「私も持っていったけど、渡さなかったんです。 後でもしかしたら外に出ていらっしゃるかと思って(笑)」
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渡辺
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「で、かなり経ってから出てらした」
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出海
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「で、あなたたち豊川さんと関内の駅まで一緒に帰ったんでしょ。 どうして帰れたの。映画は続いていたのに」
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渡辺
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「会場を抜けちゃったんですよ。で。 豊川さんを待っている時に、吉村さんとお会いして」
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一同
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「じゃあ、今日が初対面じゃないのね!」
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吉村
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「お互いに驚いています」
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渡辺
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「で、車で帰るのかなと思ったら、マネージャーさんが"駅はどっちですか" って私たちに聞くんです(笑)」
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出海
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「そこで駅に案内したわけね。震えながら」
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渡辺
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「ハイ。サインいただいたりして」
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吉村
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「背丈は電車の棚より高かったですよ」
〈「わー」「きゃー」の声〉
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渡辺
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「私たちタクシーかなにか待たせてあって スーッと乗り込むのかなと想像してたんです。 そうしたら一緒に駅までテクテク歩くので感激しました」
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吉村
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「駅までいってみてたらスーパー踊り子か何かに乗ったので驚いてたら、 間違えたらしく、降りていらした。(笑) 電車内の人も気づいてないようでした」
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渡辺
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「その方がいいです。キャーっと寄ってきたら困りますね。私たちとしては」
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出海
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「というわけで、豊川さんファンでない人が読んだら くどいと思われそうなくらい載せてまいりました。 まだまだ話は続くのですが、この辺りでカット 〈陰から見守る会〉などとしおらしいこといっておきながら、 〈ひなたで大声で叫ぶ会〉になってしまいました」
では、次は『魚のスープ』です。
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出海
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「まず、実生活でもごった煮的生活を実践されている佐藤さんから」
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佐藤
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「わかんないな…あの家族がユニークなんでしょ。 でも最近は日本でも増えてきたじゃない。 あの夫婦は結婚してないけれど、男女それぞれがそれぞれの子供を連れて同居して、 またふたりの間でも子供つくるっていうのかな。宮迫千鶴さんもそうでしょ。 だから、特別新しいって気はしなかったし後は海がキレイってことかな」
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外山
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「でも、女の子の視点がすごくクールだったじゃない。 それから、これフランスとイタリアの合作でしょう。 画面が黄色くてなんか昔観たネオリアリズムの時代に戻ったみたいな懐かしさがあった」
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佐藤
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「ヘェー、私そういうこと全然わからないけど、 昔のイタリア映画はずいぶん観たから、 マルチェロ・マストロヤンニやソフィア・ローレンたちが出ているパッーと太陽みたいに明るいもの かと思ったら あの時代よりオシャレで階級も上だったみたいじゃない。 だから、家族のバイタリティは感じられなかった」
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出海
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「この映画ね、地畑さんが家族ものだからって探してきてくれて、 さっそく観にいったんだけど、退屈でウトウトしちゃったのね。 なんかイメージと違うのよね」
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佐藤
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「勝手にイメージ作っちゃって!(笑)」
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出海
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「だって中途半端なのね、なんていうか女の子の気持ちがとぶでしょ。 突然別のボーイフレンドと海辺でセックスしたり、 中年の編集者の愛人になってみたり・・。 それからお母さんが全然新しい感じがしないというか、魅力がなかったのね。 それにこの家族はなんといってもあのお父さん中心の家族でしょ」
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佐藤
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「イタリアって、本当は女親の方が強いイメージあるわよね、 私もそれは感じた」
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外山
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「でも、イタリアって男親が強いじゃない」
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佐藤
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「そうかな、『鉄道員』だって男親中心だけど、 女親がしっかり家庭を守っていたじゃない」
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出海
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「お父さん中心って感じたのは、フィリップ・ノワレが 『ニュー・シネマ・パラダイス』の映写技師のイメージがあまりに強いから、 よけいそう思ったのかもしれないけど」
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地畑
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「私は違いますね。あの娘が主人公だと思って観ましたけど」
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出海
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「そうなのね。だけど私、全然娘が主人公に思えなかったの」
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佐藤
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「やっぱり私たちって年だから、娘を観るより家族とか父親、 母親をみてしまうのよね。だから面白くないと思うのかもしれないわね」
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出海
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「あの娘の気持ちってセックスに関してひらけすぎじゃない。(笑) だから、そういうところばかり気になってピントがずれたまま帰ってきた感じ。 渡辺さんはどう?」
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渡辺
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「いやあ・・(黙)」
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出海
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「いろいろな観方があっていいんだから、どんどん言って」
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渡辺
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「私って普段観る映画は超娯楽作品が多いので、 こういうものって勧められないと観に行きませんね。 だから全然先入観なしに観にいったんですけど、やっぱりダメでしたね、 こんなこと言っていいのか・・」
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佐藤
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「いいのよ」
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渡辺
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「本当につまらなかったんですよ。話にメリハリがないっていうか。 ただイタリアの風景がきれいなだけで、途中で出ようかなって思ったんですよ」
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出海
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「私に近いわ」
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渡辺
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「もともとイタリア映画やフランス映画って観たことなくて。 ストーリーも淡々としていて、何も感じなくて。 家を差し押えられてこれからどうなるんだろうって思ってたら、また元に戻ってるし」
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出海
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「時代設定も不明の点が多かった。あんな古いオートバイが出てきたり」
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地畑
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「この映画って、監督の自伝的要素があるんですよね。 だから二十年くらい前じゃないですか」
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佐藤
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「それにしちゃ、新しいわね。あの女の子自体」
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出海
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「太陽族?(笑)」
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佐藤
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「古すぎよ。全共闘世代じゃない」
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出海
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「あんなだったかな、私たち」
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佐藤
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「じゃあ、今なの? わからないわね」
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地畑
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「私は別に時代設定にこだわらなかったですけど」
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出海
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「でも中に出てきた映画は古かったじゃない」
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佐藤
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「あれはお父さんが映画の仕事していたから、フィルムが家にあったのよ」
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地畑
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「家に編集機もあったでしょ」
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出海
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「この作品の監督って女性で、ベルトリッチの助手もしてたんでしょ」
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佐藤
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「監督って、女性なの!」
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外山
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「えっ、女性なの!」
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地畑
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「私、前作の『ラ・マスケラ』も観てますけど、個人的には好きですね。 ヘレナ・ボナム・力ーターもわりと好きなので」
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勝間
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「私も観ましたが・・つまらなかったです。 旅芸人の物語なんですけど、一言退屈でした」
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地畑
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「私はこの監督も映画も嫌いじゃないですね。 主人公の娘を観てたら『悲しみよこんにちは』のセシルを思い出したんです。 すごいわがままで、勉強だってしなきゃいけないのにしない。 やるべきことやらないで、海で遊びほうけて、いつも昼まで寝てて父親に叱られる。 フワフワしてて一見、次々と男を代えてるみたいだけど、結構傷つきやすくて。 なんかいつも気持ちがもやっとしてて。意欲的に生きてるわけじゃない。 なんとなくわかる気がするんです。そういう時期って」
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佐藤
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「でも父親の自伝を書くとか言ってた じゃない」
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地畑
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「あれも、父親の傘からでてませんよね。 なんとなく小さいころから馴染んできた映画関係の世界に入っちゃったって感じで。 恋愛関係についても、それほど、とんでもない子って感じはしませんでした。 真剣な愛を探すためにいろんなタイプの恋人を作ってるって感じで。 ああいう気持ちもってる人って私やそれより年下の人でいると思いますよ。 でも、この監督のタッチって少し飛びすぎてるかもしれませんね」
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出海
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「海の中に入るとパーンと時が飛躍するでしょ」
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地畑
|
「あの場面転換の仕方というか時間の経過の効果、私は好きですね。 あと主人公の女の子の髪型でもわかる。 でもたしかにあとでよく考えないとわからないところはありますよね。 それからお兄さんふたりの顔がよく似ていてまぎらわしいとか。 全体にサラっとし過ぎてるとは思いますけど、でもそういうタッチの監督なんじゃないですか。 姉との関わりあいのところで手紙を父親とみるところなんかは 逆にこのあっさりした感じが効いててよかったと思いました。 画面の色のセンスなんかも私は好きです」
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出海
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「だから、サラっとしすぎてて私たちがわからないことも イタリアの人には十分わかってることだからながされてて、 逆に日常の細かなエピソードのなかにも、私たちでは見逃してしまうけど本国の人には理解できて、 ずーと面白い要素もあるのかもしれないわね」
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地畑
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「そうなのね、そこまで説明しきれてないというか」
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出海
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「日本の向田邦子さんかな、彼女は。 食事の何気ない会話とか日常になれたものでサラリと描いても思い入れのある人には ズシンと感じるというか。でも日本の生活を知らない外国人がみたらわからないというか」
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地畑
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「本国人に向けて作った映画みたいですね。 その辺りのことを言えば、ピエトロ・ジェルミみたいにどこの国の人が観ても感動、 共鳴できる普遍的なところは欠けていると思いますね」
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出海
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「女性特有といってはいけないかもしれないけど、 この作品がわかりにくかった私たちからみれば、ひとりよがりの部分があった気がしますね。 女性というよりひとりの監督の特性かな」
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地畑
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「それから、ごった煮家族の話というより、 ひとりの女性の成長記として宣伝されてたほうがわかりやすかったと思います。 この娘はこの娘なりの論理で生きて、そのまわりにこんな家族がいて成長したんだってね。 その部分が私にはよく伝わってきたんで、多少の欠点はあるけど好きですね。 こういう映画」
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出海
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「確かにタイトルを少女の成長記を思わせるような○○の青春とかにすれば 初めからそういう気持ちで観ることができて、また違った感想を持てたかもしれないわね。 『魚のスープ』というタイトルが妥当だったか・・大事な間題だと思います、こうなると」
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地畑
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「この作品、なんだか映画をあんまりみない人でも知ってるんですよね。 テレビとかの宣伝で」
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出海
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「テレビのトーク番組なんかにも柄本監督がバンバン出て、 映画のことしゃべってましたね」
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地畑
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「私、相米慎二が製作をしているから主人公の三浦友和が 『台風クラブ』の線でいくのかなって淡い期待があったんですよね。 だけど、"金かえせ"ですね、八百円でも!」
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出海
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「あなた、レディスデイに行ったのね。 私なんか前売千四百円も払ったけど、つまらなかったわ」
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地畑
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「何なのかしら、この映画、場面転換がめちゃくちゃ」
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出海
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「柄本監督の演出が一〇分くらい観てるうちに鼻についてくるのよね。 なんていうのかな・・カメラが舞台をみつめる目で。 映像のリズムを全く無視しているというか」
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地畑
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「一方通行ですね」
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出海
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「画面の向こうで何かかが起っている気配がしてれば 観客の方はアップでどうなってるかはっきり観たいと思うじゃない。 それが、延々とワンカットで引きの場面があったり」
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地畑
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「リズムがまずないですね」
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出海
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「ワンカットひとつとっても、 さりげなく流れていってもらいたいカットもあるのに、 必ずそのカット内でオチがあることが多くて、本当に観ていて苦痛でしたね。 映像をバカにしている。それから効果音も耳障り」
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地畑
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「友情出演の俳優がたくさんいても私は気にならないけど、 いかにも内輪映画になりすぎて、 せっかくの存在感のある人たちがいつものイメージより下手にみえてしまったのは、どうもね」
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出海
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「『無能の人』とは大違いですね。あっちの出し方はしゃれてたし、 映画にはまってたんだけど、こっちは友情出演の人たちばかりが突然目立ったりして」
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渡辺
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「私は観ていませんが、このチラシにあるように、 ずーと家庭内の話なんですか」
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地畑
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「いえ、やたら会社での不倫のところが多くって」
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出海
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「あの、女性が変なのね。やたらマンガチックで」
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地畑
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「あのカスタネット(笑)」
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出海
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「あのギャグは確かにおかしかっただけど(笑)、 やりますよ〜ってミエミエのギャグなのよね」
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地畑
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「笑いの品もよくなかった。例えば周防監督の笑いって、 ホロっときて気持ちよくってあとに余韻を残してくれますよね。 でも、柄本監督の場合は笑ったあとシラけるのね。 でそれが続いて起ることを考えてみてくれますか? 疲れますよ。 やっと場面が変わってくれたって感じよ」
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出海
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「私が一番いやだったのは、エンディング。 あのバックに流れていた合唱曲はよく小学校のコーラスなんかで定番のよく知ってる曲で、 それをもってくるというのは効果的だとは思う。だけど、画面がね。 それこそ延々とポロの自転車に乗った友和さんが空を見上げながらゆっくり、 あぶなっかしく路地をいくのよね。それを正面からずっーと映してるわけ。 私たちとしては状況的な場面はわかっているから、彼の見上げた空はどんなだったか、 切り返しがほしいじゃない。彼の目になってカメラが空をみてカメラが移動するような。 だけど次のカットが空と彼の後ろ姿が入った引き画なのね。 それがまた延々と。あ、もうダメだなって思いましたね」
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地畑
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「それに、会社の愛人があんなにオーバーなのに対して、 奥さんの存在っていったい? それにしても、この作品のいわんとしてることがよくわからなかった」
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出海
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「そうね。このテーマというか、要するに会杜の問題、 年老いた母の問題、家の問題、嫁姑問題などいろいろ抱えて サラリーマンのお父さんは楽じゃないってことなのね。 でも、この三浦友和は何をしたっていうのかな。 いろんな状況に対面してあたふたしてるだけじゃない。そういうものなんです。 なんとかしてよって同情をかってるような監督の顔が浮かんできていやでしたね」
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地畑
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「脚本が現役のサラリーマンということだったので、 もうちょっと違う意味でリアルなのかなって期待してたんですけどね。 なんか作品の中に愚痴のはけ口みたいな部分も感じられていい気分にはなれなかった。 唯一良かったのは久我美子のボケたお母さん」
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出海
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「家族で外食したとき唐突に"なんで帽子被ってるの"って、 いきなりぼけてしまうところね」
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地畑
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「こわかったですね…ドキッとしちゃった(笑)」
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出海
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「きれいなのね。久我美子がやたら。 それに三浦友和もよかったのにね」
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地畑
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「子供も良かったわよ。漆にかぶれたって(笑)」
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佐藤
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「じゃ、いいんじゃないの」
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地畑
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「でも、疲れるんですよ。 私たち映画が面白くて笑ったんじゃなくて、出てる役者のキャラクターがおかしかったんですよ。 高田純次なんかやたら食べまくって(笑)」
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出海
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「そうね。面白い人が揃えば面白い映画ができるというのも一理あるけど、 そうでなくそこにもう一つ映像を知ってる人がつくることが大事ということね。 玉三郎さんの『外科室』もそうだけど、ああいうの観ると本当に腹が立つの。 これは演出家というより製作者の人たちに対してだけど、 お金を払って映画を楽しみに観にきた人たちのことを考えてつくるということをお願いしたいですね」
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